JP4788394B2 - 画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム - Google Patents
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Description
従って、元画像データの特定色領域(肌色領域)については、背景領域の色に関係なく一律に補正量Thだけ「好ましい色の目標値」へ色補正が施される。
本発明では、色領域の明るさが第一の明るさより暗く、かつ、背景の明るさが第二の明るさより暗いとき、目標の明るさが下げられるので、上述した不具合を解消することができる。従って、本発明によれば、画像入力装置で適切な明るさ調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの明るさを適切に調整することが可能になる。
上記所定の色領域は、顔領域、肌色領域、空色領域、等が考えられ、多くの人に印象付けられる領域、人間が好ましいと感じる色再現に関係する領域、等とすることができる。上記目標の明るさは、人間が好ましいと感じる明るさ、記憶色の明るさ、人間の感覚に依存しない明度、等とすることができ、色領域や背景の明るさに応じて変化する明るさでもよいし、色領域や背景の明るさに関わらない一定の明るさでもよい。上記色領域の背景は、画像全体から前記色領域を除く全ての領域でもよいし、当該領域の一部の領域でもよい。上記明るさは、色座標平面および明度軸からなる色空間の明度、輝度、色成分値の平均、等で表される。色領域や背景の明るさは、色領域や背景の各画素の明るさを表す値の単純平均や重み付け平均、等で表される。上記明るさ補正は、画像データ全体へ一律に行ってもよいし、抽出した色領域のみ行ってもよい。
色座標平面および明るさ軸からなる色空間には、国際照明委員会(CIE)で規定されたCIE L*a*b*色空間、CIE L*u*v*色空間、等がある。ここで、L*は明度(明るさ)を表す色成分であり、a*,b*,u*,v*は色相および彩度を表す色成分である。以下、「*」を省略して記載する。
なお、明るさを下げることとは、明度を低くする等、暗くすることを意味する。
前記目標の明るさが前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異に応じて人に感じられる前記色領域の感覚的な明るさの違いを補償するように決定されると、さらに適切に画像の明るさを調整することが可能になる。
ここで、上記差異は、例えば、背景の明るさを表す値と色領域の明るさを表す値との差、背景の明るさを表す値と色領域の明るさを表す値との比と1との差、等で表される。
なお、明度が離散的な値をとるようにされている場合、目標の明度は上記明度差ΔLが所定範囲内で大きくなるほど離散的な各値の全てをとりうるよう段階的に高くされてもよいし、より大きな間隔で段階的に高くされてもよい。
すなわち、上記調整手段により、背景の明るさが色領域の明るさより明るく、背景の明るさと色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、目標の明るさが下げられて画像データの明るさ補正が行われる。
画像入力装置で作成される種々の画像データを調べたところ、画像入力装置で適切な明るさ調整が行われない場合として、逆光の条件で撮像されて画像が作成される場合があった。色領域の明るさを一律に目標の明るさにする明るさ補正を画像に対して行うと逆光条件下で作成された画像では画像にノイズが現れ、画像処理後の画質が意図したように向上しないことがある。特許文献1に記載の技術のように、特定色領域(肌色領域)を背景領域の色に関係なく一律に補正量Thだけ「好ましい色の目標値」へ色補正することでも、逆光条件下で作成された画像では画像にノイズが現れてしまう。そこで、逆光の条件で作成された画像では明るさ補正の目標を暗い方向へ下げる方が画像の画質を向上させることができる。
本発明では、背景の明るさが色領域の明るさより明るく、背景の明るさと色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、目標の明るさが下げられるので、上述した不具合を解消することができる。従って、本発明によれば、画像入力装置で適切な明るさ調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの明るさを適切に調整することが可能になる。
また、前記背景の明度から前記色領域の明度を差し引いた明度差ΔLが所定の明度差ΔLthより大きいとき、前記色領域の明度よりも高い範囲内で前記明度差ΔLが大きくなるほど連続的または段階的に前記目標の明度を低くしてもよい。これによっても、逆光の条件で作成された画像について、ノイズが現れない程度に明るくして適切に画質を向上させることが可能になる。
また、上述した装置の構成に対応した工程を有する制御方法や、上述した装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させるプログラムとしても適用可能であり、画像処理方法や画像処理プログラム等の発明も、同様の作用、効果を奏する。さらに、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても適用可能である。むろん、請求項2〜9に記載した構成も、前記方法や前記システムや前記プログラムや前記記録媒体に適用可能である。
(1)画像処理装置を含む印刷システムの構成:
(2)画像処理の動作および作用:
(3)変形例:
図1は本発明の一実施形態である画像処理を模式的に示す図、図2は本発明の一実施形態に係る画像処理装置を含む印刷制御装置U0の構成を模式的に示すブロック図、図3は本印刷制御装置U0を含む印刷システムの構成の概略を示すブロック図、図4は色領域とする色範囲R11をab平面にて模式的に示す図、図5は画像データDA2から色領域R1を抽出する様子を模式的に示す図、図6は背景の明度に応じて変化する感覚的な明度Jを補償する様子を模式的に示す図、図7は暗い画像における色領域の明度の補正目標を模式的に示す図、図8と図9は本印刷制御装置U0が行う印刷制御処理を示すフローチャート、図10は画像データの明るさを補正する様子を模式的に示す図、図11はデジタルスチルカメラが行う色調整処理とその変換特性とを模式的に示す図、図12はデジタルスチルカメラの構成を模式的に示すブロック図である。本印刷システムは、本発明の画像処理装置となるパーソナルコンピュータ(PC)10、カラー印刷可能なインクジェットプリンタ(印刷装置)20等から構成されている。むろん、本発明に用いられるコンピュータは、PCに限定されない。
本画像処理プログラムは、プリンタドライバ等のオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム(APL)、OSとAPL、のいずれにより構成してもよい。本プログラムを記録した媒体は、HD以外にも、CD−ROM15a、フレキシブルディスク、半導体メモリ、等でもよい。また、通信I/F17dをインターネット網に接続し、所定のサーバから本発明のプログラムをダウンロードして実行してもよい。
上述した画質調整の処理が行われた画像データは、RAM54dの画像エリアに格納され、適宜、I/O回路54hからPC10へ出力されたり、メモリカード54iに記憶されたりする。
L*=116Y-1/3−16 …(1)
を利用すれば、光の量Yを明度L*に相当する値へ変換する特性を記述することができる。DSCはRGBの色毎に光の量Yを示す信号を取得するが、RGB各色の光量Yを式(1)に代入すると、人間に知覚される明るさと比例関係にある階調値をRGBの色毎に取得することができる。本実施形態では、この値をsL*と呼ぶ。
pY=((pL*+16)/116)3 …(2)
RGB=pY1/2.2 …(3)
ここで、RGBはRGB各色のデータである。なお、式(3)においては、光の量Yの(1/2.2)乗に比例するデータを算出できればよく、右辺に係数を乗じるなどしてもよい。
以上の解析により、グラフ1〜グラフ4の入出力特性を重畳した入出力特性のグラフ5を作成することにより、DSCの各メーカーにおける色調整処理とほぼ同様の特性を記述することができる。そこで、グラフ5に示す変換特性F-1(Y)とその逆の正変換特性Y=F(RGB)を示す情報テーブルを変換特性データとしてHD14等に記憶しておく。この結果、正変換特性F(RGB)によって画像データDA1を光の量に比例する値に変換することができるし、変換特性F-1(Y)によって光の量に比例する値を画像データDA1に変換することができる。
領域抽出部(領域抽出手段)U1は、各部U11,U12を備え、画像入力装置50により作成された多階調(例えば256階調)の画像データDA1から所定の色領域を抽出する。画像入力部U11は、画像入力装置で作成された画像データDA1を入力し、カラー画像を画素毎に複数の要素色RGBで階調表現(例えば256階調で表現)したRGBデータDA2(画像データの一種)に変換する。領域取得部U12は、画像データDA1から所定の色領域を抽出し、当該色領域の範囲を表す色領域情報DA3を生成する。
図5に示す画像データDA2から顔領域R1を抽出する場合、例えば、画像データDA2を構成する各画素P1について顔色として想定される色の範囲内であるか否かを判別し、当該範囲内と判別した画素を顔領域として抽出する。顔色として想定される色の範囲は、例えば、図4に示すように、顔領域の色の目標(Lab色空間の目標点T)を含むLab色空間のab平面の色範囲R11で定義することができる。むろん、顔色として想定される色の範囲は、「人物の肌の色」として一般的に多くの人がイメージとして記憶している色の範囲を彩度Sと色相Hとで定義した範囲、特開2004-192614号公報に記載されるように(財)日本色彩研究所が出版している「スキントーンカラー」の範囲である色相(H)1YR〜9YR;彩度(C)3,4および5、「好ましい肌色」(目標点T)のab平面の座標を(at,bt)とし所定の差をEt(0<Et<100)として{(a−at)2+(b−bt)2}1/2≦Etを満たすab平面での範囲(a,b)、これらの条件を満たして明度Lが所定範囲内となる範囲、等と定義してもよい。
顔領域以外の色領域を抽出するための色範囲も、図4に示すように、色領域R1の目標点Tを含む所定の色空間の色座標平面の色範囲R11で色領域R1として想定される色の範囲を定義することができる。色範囲R11を表す情報は、色抽出情報14cとして情報記憶領域U5に記憶されている。そして、色抽出情報14cを参照して、図5に示すように画像データDA2を構成する各画素P1について色範囲R11内であるか否かを判別し、当該色範囲内と判別した画素を色領域R1として抽出すればよい。
明るさ値の重み付け平均値を用いる場合、例えば、図5の下段に示すように、色領域R1の中で横方向または縦方向で背景領域R2に接する画素に最も小さい重み付け「1」を付与し、当該画素に横方向または縦方向で接する画素へ次に小さい重み付け「2」を付与し、以下、当該画素に横方向または縦方向で接する画素へ一つずつ大きい重み付けを付与して、色領域R1の内側ほど重み付けが大きくなるようにする。なお、各画素の重み付けの値Ki(iは1〜nの整数、nは色領域の画素数)は、色領域情報DA3としてRAMに記憶しておく。ここで、色領域内の各画素の画素値を(Ri,Gi,Bi)とすると、色領域の画素値の重み付け平均値(AR,AG,AB)は、
むろん、色領域内の各画素の画素値(Ri,Gi,Bi)を先に明度Liへ変換し、平均値を求めて色領域の明るさ(明度Lp)としてもよい。また、RGB色空間以外の色空間で定義される色成分値を用いて明るさを取得することも可能である。
本実施形態では、画像データDA2のうち色領域R1を除く全ての領域を背景領域R2とし、具体的には、RGBデータDA2のうち顔領域R1を除く領域の全体から顔領域の背景の明るさを取得している。むろん、画像データDA2のうち色領域R1を除く領域の一部のみを背景領域としてもよい。例えば、色領域の周辺のみ(色領域との境界から所定の距離内)を背景領域としたり、色領域との境界から所定の距離を超える領域を背景領域としたり、色領域以外の領域から上記色範囲R11内の画素を除いた部分を背景領域としたりすることができる。
調整部U4は、目標の明るさ(明度Lt)よりも暗い第一の明るさ(明度L1)より色領域R1の明るさ(明度Lp)が暗く、かつ、目標の明るさ(明度Lt)よりも暗い第二の明るさ(明度L2)より背景の明るさ(明度Lq)が暗いとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を画像データDA2に対して行う。また、調整部U4は、背景の明るさ(明度Lq)が色領域R1の明るさ(明度Lp)より明るく、背景の明るさ(明度Lq)と色領域の明るさ(明度Lp)との差異が所定の差異より大きいとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を画像データDA1に対して行う。ここでいう差異は、例えば、背景と色領域の明度をそれぞれLq,Lpとして、差Lq−Lq、比Lq/Lpと1との差(Lq/Lp)−1、Lq2−Lq2、(1/Lp)−(1/Lq)、等で表される。
明るさを調整するための色空間は、機器従属色空間でもよいが、機器独立色空間が好ましく、均等色空間がさらに好ましい。均等色空間には、CIE Lab色空間、CIE Luv色空間、等がある。機器独立色空間には、均等色空間の他、CIE XYZ色空間、NTS CRGB色空間、等がある。明るさを調整するための色空間を表す情報は、色空間情報14cとして情報記憶領域U5に記憶されている。本実施形態では、色相および彩度を表すab平面(色座標平面)並びに明度軸(明るさ軸)からなるLab色空間で明るさを調整するものとする。なお、Luv色空間ではuv平面が色相および彩度を表す色座標平面となり、また、明るさ軸には輝度軸等も考えられる。
目標の明るさは、色領域や背景の明るさに関わらない一定の明るさでもよいが、背景の明るさ(明度Lq)と色領域の明るさ(明度Lp)との差異に応じて変化するようにすると、背景の明るさに応じて人に感じられる色領域の感覚的な明るさを調整することができるので、画像入力装置により作成された画像の明るさをより適切に調整することが可能になる。
そこで、同図の下段のグラフに示すように、背景の明度Lqと顔領域の明度Lpとの差異に応じて人に感じられる顔領域の感覚的な明るさJの違いを補償するように色領域の目標の明度Ltを決定すると、背景と顔領域の明るさの差異による顔領域の感覚的な明るさの違いが補償されるので、さらに適切に画像データの明るさを調整することが可能になる。なお、同図の下段では、横軸が背景の明度Lq、縦軸が目標の明度Ltである。図の例では、顔領域の目標の明度Ltは、背景の明度Lqが所定範囲内で大きくなるほど高くなっている。
修正目標の明度Lcを色領域の明度Lpのみに応じた明度としたのは、画像入力装置で作成された全体に非常に暗い画像では、背景と色領域の明度差ΔLが小さいため、ΔLに応じて修正目標の明度Lcを設定するよりも、背景の明度Lqに関係なく色領域の明度Lpのみに応じて修正目標の明度Lcを設定する方が、適切に画像の明るさを調整することができるためである。一方、修正目標の明度Lcは、感覚的に同じ明るさとされた目標の明度Ltよりも低くされている。これは、以下の理由がある。
1.全体に非常に暗い画像では、色領域の明度Lpと目標の明度Ltとの差が大きく、色領域の明度を目標の明度Ltまで上げる明度補正をすると、画像にノイズが現れ、処理後の画質が意図したように向上しないことがあるためである。
2.非常に暗い環境で撮像された画像だと、人は暗さに対して不自然さを小さく感じる傾向があるためである。
以上より、全体に非常に暗い画像では、明度補正の目標を下げる方が画像処理後の画質を向上させることができるといえる。
すなわち、全体に暗い画像でも、比較的暗い画像では明るくする度合を大きくすると処理後の画像にノイズが生じやすくなる一方、比較的明るい画像では明るくする度合を大きくしても処理後の画像にノイズが生じにくくなる。従って、全体に非常に暗い画像について、ノイズが現れない程度に明るくなり、適切に画質が向上する。
第三の明度L3は、0<L3<L1が満たされるように設定されればよく、L3=L1/2等とすればよい。
修正目標の明度Lcを感覚的に同じ明るさとされた目標の明度Ltよりも低くしたことには、以下の理由がある。
すなわち、画像入力装置で逆光条件下にて作成された画像では、色領域の明度Lpが低い結果、色領域の明度Lpと目標の明度Ltとの差が大きく、色領域の明度を目標の明度Ltまで上げる明度補正をすると、画像にノイズが現れ、処理後の画質が意図したように向上しないことがあるためである。
従って、逆光条件下で作成された画像では、明度補正の目標を下げる方が画像処理後の画質を向上させることができるといえる。
すなわち、逆光条件で作成された画像でも、比較的逆光の度合が大きい画像では色領域が比較的暗い結果明るくする度合を大きくすると処理後の画像にノイズが生じやすくなる一方、比較的逆光の度合が小さい画像では色領域が比較的明るい結果明るくする度合を大きくしても処理後の画像にノイズが生じにくくなる。従って、逆光条件で作成された画像について、ノイズが現れない程度に明るくなり、適切に画質が向上する。
第二の明度差ΔL3は、ΔLth<ΔL3<ΔL2が満たされるように設定されればよく、ΔL3=(ΔLth+ΔL2)/2等とすればよい。
また、逆光条件で作成された画像でも明るさ補正の目標を暗い方向へ下げる方が画像の画質を向上させることができる。本発明では、ΔL>ΔLthのとき、目標の明るさが下げられるので、画像にノイズが入るといった不具合を解消することができる。従って、画像入力装置で適切な明るさ調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの明るさを適切に調整することが可能になる。
そして、調整前のRGBデータの全画素の画素値に対して補正前後の色成分値R,G,Bの差異(比)に応じた補正を行うことにより、色バランス調整後のRGBデータを生成することができる。
すると、プリンタ20は、CMYKデータに対応するインクのドットを印刷媒体M1上に付着させることにより、RGBデータDA6に対応する画像を印刷媒体M1に形成する。これにより、明るさの適切な画像IM1が印刷媒体上に印刷される。
図8に示す印刷制御処理を開始すると、画像入力部により、画像入力装置で作成された画像データDA1を入力し、例えば広域RGB色空間で表現されたRGBデータDA2に変換する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。画像データDA1は、画像入力装置50から直接入力することもできるし、メモリカード用のI/Fを介してDSCのメモリカード54iに記憶された画像データを入力することもできるし、画像入力装置で作成された画像データを記録したCD−ROM15a等から画像データを入力することもできる。画像データを入力する際には、画像データ全てをRAMに格納するのみならず、画像データを分割して分割されたデータを順次RAMに上書きしてもよいし、画像データを格納したバッファ領域を表すデータのみをRAMに格納してもよい。画像データDA1は、画像をドットマトリクス状の多数の画素で階調表現したデータであり、sRGB色空間で定義されるRGBから構成された画像データや、YUV表色系におけるYUVから構成された画像データ、等がある。画像データDA1の各成分も様々な階調数とされているので、sRGBやYUV表色系等の定義に従って、画像データDA1を例えばR,G,B各256階調(0〜255の整数値)のRGBデータDA2に変換する。
以上のS102〜S110の処理を行うPC10が画像処理装置を構成する。
すると、プリンタ20は、ラスタデータDA7を入手し、当該ラスタデータに基づいてCMYKデータに対応するCMYKのインクの各ドットを形成し、色調整後のRGBデータDA6に対応する画像IM1を印刷媒体M1上へ印刷する。
次に、色領域の明度Lpが第一の明度L1より小さく、かつ、背景の明度Lqが第二の明度L2より小さいか否かを判断する(S204)。条件成立時、画像データDA2が所定のストロボ未達条件(ストロボ未達モード)を満たすとして、図7で示した明度Lpと明度Lcとの対応関係を規定した修正目標の明るさ情報14hを参照して、色領域の明度Lpのみに応じて目標Ltから下げた修正目標の明度Lc(Lp<Lc<Lt)を設定し(S206)、S212に進む。このLcの値は、変数LLastに代入しておく。なお、逆光条件でなくてLp≧L1またはLq≧L2であれば、背景が極端に明るいということでなく画像が全体にある程度明るいため、色領域の明度を目標の明度Ltにする通常モードの明度補正を行っても画像にノイズが表れない。
S204およびS208で条件不成立時、上記通常モード(所定の通常撮像条件)であるとして、目標の明度Ltを下げることなく、S212に進む。
以上の処理により、色領域の明るさを目標の明るさにする明るさ補正が画像データDA2に対して行われる。
ε=Lp’/Lp …(7)
としている。
図10では、露出補正後の光の量をeYとし、横軸を光の量Y、縦軸を露出補正後の光の量eYとして示している。露出補正後の光の量eYをグラフ8のように変換特性F-1で変換すると、露出補正後の画像データをRGBの色成分毎に取得することができる。
そこで、補正倍率εの値に応じて調整前のRGBデータDA2におけるR,G,Bの画素値と調整後のRGBデータDA6におけるR,G,Bの画素値との対応関係を階調毎に規定したLUT(情報テーブル)を補正対応情報としてHD14等に記憶させておき、このLUTを参照して調整前のRGBデータDA2の画素値を要素色RGB毎に変換することにより、調整後のRGBデータDA6を生成することができる。
正変換特性Y=F(RGB)に従った変換と変換特性F-1(Y)に従った変換とを行うと調整後の画像を非常に高画質にすることができる点で好適であるものの、処理を簡素化させるために、Y=F(RGB)とF-1(Y)とに従った変換を行わずにRGBデータDA2のR,G,Bの画素値に補正倍率εを乗じてRGBデータDA6を生成してもよい。また、補正倍率εの値に応じて調整前の画素値と調整後の画素値との対応関係を画素毎に規定したLUTを用意してHD14等に記憶させておき、補正倍率εの値に応じたLUTを参照してRGBデータDA2のR,G,Bの画素値を当該LUTの情報に従って変換してRGBデータDA6を生成してもよい。
むろん、明るさ補正前のRGBデータDA2に対して色バランス調整を行った後、本発明の明るさ補正を行ってもよい。
以上により、画像の色バランスも調整されるので、画質がさらに向上する。
ここで、Lp<L1かつLq<L2、すなわち、ストロボ未達条件では、前提として色領域の明度が線CO1よりも下側にあり、当該色領域の明度は、上げられるものの、線CO1の下の明度で止められる。これにより、画像にノイズが生じない程度まで明るくされ、画質を適切に向上させることができる。
また、Lq−Lp>ΔLth、すなわち、逆光条件では、前提として色領域の明度が線CO1よりも下側にあり、当該色領域の明度は、上げられるものの、線CO1の下の明度で止められる。これにより、画像にノイズが生じない程度まで明るくされ、画質を適切に向上させることができる。
むろん、顔領域以外の色領域を有する画像の明るさを調整する場合にも同様のことがいえる。
本発明の画像処理装置を含む印刷システムは、様々な構成が可能である。例えば、印刷装置は、コンピュータと一体化されたもの、単色画像のみ印刷する印刷装置、でもよい。上述したフローについては、一部または全部を印刷装置、専用の画像処理装置、外部のサーバ、等で実行してもよい。印刷装置がハーフトーン処理とラスタライズ処理を実行可能な装置であれば、色変換後の画像データをそのまま同印刷装置に出力すればよい。
明るさ補正対象の画像データは、RGBデータ以外にも、YUV表色系で定義される色成分YUV毎の画素値からなるYUVデータ、色成分Lab毎の画素値からなるLabデータ、要素色CMY毎の画素値からなるCMYデータ、要素色CMYK毎の画素値からなるCMYKデータ、等でもよい。
上記目標の明るさは、上記明度Jのように感覚的な明るさの違いを補償するように設定されると好適であるものの、背景の明るさとは関係なく一定の明るさとされても、ストロボ未達条件や逆光条件で画像にノイズを生じさせず適切に明るさを向上させる効果が得られる。
逆光領域A2を判別するための明るさの所定の差異(明度差ΔLth)は、固定値以外にも、色領域や背景の明るさ(明度Lp,Lq)に応じて変化する変動値でもよい。例えば、ΔLth=ΔLth’+k5×Lp(−1<k5<1)、ΔLth=ΔLth’+k6×Lq(−1<k6<1)、ΔLth=ΔLth’+k7×(Lp+Lq)(−1<k7<1)、と、ΔLthを色領域や背景の明るさ(明度Lp,Lq)に応じて変化する明度とすることができる。
図14は、変形例に係る画像処理装置が行う調整処理をフローチャートにより示している。本変形例では、ΔL≦ΔLthの場合に上記目標の明度Lt、ΔL>ΔLthの場合に上記修正目標の明度Lcとなる補正目標の明度LbとΔLとの対応関係を規定した補正目標の明るさ情報を用意してHD14に記憶させる。まず、上記S202の代わりに、色領域R1の補正目標の明度(明るさ)Lbを取得する(S202)。ここで、前記補正目標の明るさ情報を参照して、明度差ΔLに対応する補正目標の明度Lbを取得する。次に、Lp<L1かつLq<L2か否かを判断する(S204)。条件成立時、図7で示した明度Lpと明度Lcとの対応関係を規定した修正目標の明るさ情報14hを参照して、色領域の明度Lpのみに応じて目標Ltから下げた修正目標の明度Lc(Lp<Lc<Lt)を設定し(S206)、S212に進む。一方、条件不成立時には、即座にS212に進む。S212では、変数LLastの値Lp’と色領域の明度Lpとを用いて補正倍率εを決定する(S212)。そして、補正倍率εに基づいてRGBデータDA2から調整後のRGBデータDA6を生成する(S214)。
本処理によっても、ストロボ未達条件と逆光条件とで画像の明るさが適切に調整される。
図15は、変形例に係る印刷制御装置が行う印刷制御処理を示すフローチャートである。本処理では、S106とS108の間にS130が挿入されている。すなわち、S106で色領域の明るさ(明度Lp)を取得すると、S130で明度Lpが「好ましい明るさ」の所定範囲LL〜LU内であるか否かを判断する。ただし、0<LL<Lt<LU<100とする。明度Lpが所定範囲の境界LL,LUの場合には、該範囲内と判断してもよいし、該範囲外と判断してもよい。明度Lpが前記範囲外と判断したときにはS108〜S118の処理を行う一方、明度Lpが前記範囲内と判断したときにはS112に進んで調整処理を省略する。これにより、色領域の明るさが「好ましい明るさ」の範囲内であれば画像データの明るさを調整する処理が省略されるので、画像処理を高速化させることが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施例や変形例に限られず、上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、画像入力装置で適切な明るさ補正が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの明るさを適切に調整することが可能になる。
Claims (14)
- 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出する領域抽出手段と、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得する領域明るさ取得手段と、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う調整手段とを備える画像処理装置であって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得する背景明るさ取得手段を備え、
前記調整手段は、前記目標の明るさよりも暗い第一の明るさより前記色領域の明るさが暗く、かつ、前記目標の明るさよりも暗い第二の明るさより前記背景の明るさが暗いとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理装置。 - 前記目標の明るさは、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異に応じて変化する明るさとされ、
前記調整手段は、前記色領域の明るさが前記第一の明るさより暗く、かつ、前記背景の明るさが前記第二の明るさより暗いとき、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異に応じて変化する目標の明るさを前記色領域の明るさよりも明るい範囲内で下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 全ての前記明るさは、明度で表され、
前記目標の明るさは、前記背景の明度から前記色領域の明度を差し引いた明度差ΔLが所定範囲内で大きくなるほど連続的または段階的に大きくなる明度とされ、
前記調整手段は、前記目標の明度よりも低い第一の明度より前記色領域の明度が低く、かつ、前記目標の明度よりも低い第二の明度より前記背景の明度が低いとき、前記明度差ΔLが所定範囲内で大きくなるほど連続的または段階的に大きくなる目標の明度を前記色領域の明るさよりも高い範囲内で低くした明度補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記調整手段は、前記色領域の明るさが前記第一の明るさより暗く、かつ、前記背景の明るさが前記第二の明るさより暗いとき、前記色領域の明るさよりも明るい範囲内で前記色領域の明るさが明るくなるほど連続的または段階的に明るくなるように前記目標の明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 前記調整手段は、前記色領域の明るさが前記第一の明るさより暗く、かつ、前記背景の明るさが前記第二の明るさより暗いとき、前記目標の明るさを前記色領域の明るさよりも明るい範囲内で下げるとともに、前記第一の明るさよりも暗い第三の明るさより前記色領域の明るさが明るいときの前記目標の明るさを前記第三の明るさより前記色領域の明るさが暗いときの前記目標の明るさよりも明るくさせた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 前記調整手段は、さらに、前記背景の明るさが前記色領域の明るさより明るく、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 前記調整手段は、前記背景の明るさが前記色領域の明るさより明るく、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、前記色領域の明るさよりも明るい範囲内で前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が大きくなるほど連続的または段階的に前記目標の明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
- 全ての前記明るさは、明度で表され、
前記目標の明るさは、前記背景の明度から前記色領域の明度を差し引いた明度差ΔLが大きくなるほど連続的または段階的に大きくなる明度とされ、
前記調整手段は、前記ΔLが所定の明度差ΔLth(ΔLth>0)より大きいとき、前記色領域の明度よりも高い範囲内で前記明度差ΔLが大きくなるほど連続的または段階的に前記目標の明度を低くした明度補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。 - 前記画像データは、人物画像を含むカラー画像を画素毎に複数の要素色で階調表現したデータとされ、
前記所定の色領域は、前記人物画像の顔領域とされ、
前記顔領域について予め設定された目標の明るさは、肌色の目標の明度とされるとともに、前記ΔLが前記ΔLth以下のときに前記明度差ΔLが大きくなるほど連続的または段階的に大きくなる明度とされ、
前記背景明るさ取得手段は、前記画像データのうち前記顔領域を除く領域の全体から前記顔領域の背景の明るさを取得し、
前記調整手段は、前記目標の明度よりも低い第一の明度より前記色領域の明度が低く、かつ、前記目標の明度よりも低い第二の明度より前記背景の明度が低いとき、前記明度差ΔLが大きくなるほど連続的または段階的に大きくなる目標の明度を前記色領域の明度よりも高い範囲内で低くして、前記画像データの明度補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出する領域抽出手段と、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得する領域明るさ取得手段と、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う調整手段とを備える画像処理装置であって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得する背景明るさ取得手段を備え、
前記調整手段は、前記背景の明るさが前記色領域の明るさより明るく、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理装置。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得し、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う画像処理方法であって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得し、前記目標の明るさよりも暗い第一の明るさより前記色領域の明るさが暗く、かつ、前記目標の明るさよりも暗い第二の明るさより前記背景の明るさが暗いとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得し、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う画像処理方法であって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得し、前記背景の明るさが前記色領域の明るさより明るく、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得し、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う機能をコンピュータに実現させる画像処理プログラムであって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得し、前記目標の明るさよりも暗い第一の明るさより前記色領域の明るさが暗く、かつ、前記目標の明るさよりも暗い第二の明るさより前記背景の明るさが暗いとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行う機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の明るさを取得し、前記色領域の明るさを当該色領域について予め設定された目標の明るさにする明るさ補正を前記画像データに対して行う機能をコンピュータに実現させる画像処理プログラムであって、
前記画像データから前記色領域の背景の明るさを取得し、前記背景の明るさが前記色領域の明るさより明るく、前記背景の明るさと前記色領域の明るさとの差異が所定の差異より大きいとき、前記目標よりも明るさを下げた明るさ補正を前記画像データに対して行う機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。
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