JP4783721B2 - 金属黒化処理方法、電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタ、並びにディスプレイ - Google Patents
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Description
通常、電磁波を遮蔽するためにプラズマディスプレイパネルの前面に、電磁波遮蔽用シートが前面板として設けられる。ディスプレイ前面から発生する電磁波の遮蔽性は、30MHz〜1GHzにおいて30dB以上の機能が必要である。さらに、ディスプレイの表示画像を視認しやすくするため、電磁波遮蔽用の金属メッシュ部分(ライン部)が見えにくく、また、メッシュパターン精度がよくメッシュの乱れがなく、適度な透明性(可視光透過性)を有することが必要である。
また、特許文献2には、透明基材の一方の面上に金属層のパターンを有するシールド材において、前記金属層のパターンの表裏両面及び側面のうち、前記透明基材側の面上に微細な金属粒が形成され、かつ、その他の面上には金属酸化物が形成されており、これによって前記金属層パターンの両面及び側面が黒化処理されていることを特徴とするシールド材が開示されている。特許文献2に開示されているシールド材によれば、ディスプレイの表示面からの出射光や外部からの入射光の反射を防止することができるため、表示画面の視認性を向上させることができる。
しかし、特許文献1及び2の黒化層は、化成処理として、高温のアルカリ水溶液に電磁波遮蔽フィルタを浸漬し、金属メッシュ層表面の組成を変化させることにより得られるため、アルカリ水溶液により、基材−金属層間の侵食(アンダーカット)が問題となる場合があり、特に、基材と金属層とを、接着剤層を介さずに貼り合わせる態様の場合は剥離しやすい。
特許文献4に開示されている黒化処理液は、宝飾品の金属の黒化処理に適しており、一液性で、操作が簡単で、かつ安定である。しかし、当該黒化処理液を電磁波遮蔽フィルタの黒化処理層の形成に使用すると、黒化層が厚くなりすぎて金属層との界面が剥離しやすくなり、また、基材−金属層間の侵食(アンダーカット)が問題となる場合がある。また、塩酸の濃度が高く、作業環境が悪い。
すなわち、本発明の金属黒化処理方法は、少なくとも透明基材、銅メッシュ層、及び黒化層が積層されてなる電磁波遮蔽フィルタの黒化層を形成するための金属黒化処理方法であって、テルルが溶解された塩酸溶液であり、該塩酸溶液中におけるテルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45重量%であり、塩酸濃度が0.05〜8重量%である金属黒化処理液に、少なくとも透明基材、及び銅メッシュ層を含んでなる積層体を接触させて、当該銅メッシュ層の表面に黒化層を形成する工程を含むことを特徴とする。
上記本発明の金属黒化処理方法によれば、テルル濃度及び塩酸濃度が従来の処理液よりも低いという穏やかな条件で、従来のテルルの塩酸溶液系の金属黒化処理液に比べて基材−金属間の侵食が改善され、また、作業雰囲気中への塩酸(乃至塩化水素の)蒸気乃至は霧の飛散混入も低減し、良好な作業環境となり、かつ短時間に黒化層を堆積させることができる。
上記本発明の金属黒化処理方法により得られる電磁波遮蔽フィルタは、黒化層の厚さが薄く、銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ層−透明基材間の密着性が高い。またディスプレイの前面に備えて用いる際には、電磁波遮蔽機能に加えて外光に対する優れた反射防止性能を発揮する。
このような複合フィルタは、上記反射防止性能及び電磁波遮蔽機能に加えて、種々の機能が付加されたディスプレイ用前面板として用いることができる。
本発明のディスプレイは、電磁波遮蔽機能に加えて、上記電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタの黒化層により、外光に対する優れた反射防止性能を具備する。また、本発明のディスプレイが複合フィルタを備える場合、当該フィルタが有する各種機能層によるメリットも享受できる。
また、本発明に係るディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、上記金属黒化処理方法を用いて製造されるため、銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ層−透明基材間の密着性は高く、外光に対する優れた反射防止性能を有する。
本発明に係るディスプレイは、上記電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタを備えているため、電磁波遮蔽機能に加えて、上記電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタの黒化層により、優れた外光の反射防止性能を具備する。また、本発明のディスプレイが複合フィルタを備える場合、当該フィルタが有する各種機能層によるメリットも享受できる。
本発明の金属黒化処理方法は、少なくとも透明基材、銅メッシュ層、及び黒化層が順に積層されてなる電磁波遮蔽フィルタの黒化層を形成するための金属黒化処理方法であって、テルルが溶解された塩酸溶液であり、該塩酸溶液中におけるテルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45重量%であり、塩酸濃度が0.05〜8重量%である金属黒化処理液に、少なくとも透明基材、及び銅メッシュ層を含んでなる積層体を接触させて、当該銅メッシュ層の表面に黒化層を形成する工程を含むことを特徴とする。
上記本発明の金属黒化処理方法により得られる電磁波遮蔽フィルタは、黒化層の厚さが薄く、銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ層−透明基材間の密着性が高く、特に、薄い銅メッシュ層が接着剤層を介さずに透明基材に積層された積層体に対して、従来の黒化処理を行うことにより得られた電磁波遮蔽フィルタおいて不十分であった、黒化層の強度及び銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ層−透明基材間の充分な密着性を有する点において優れている。またディスプレイの前面に備えて用いる際には、電磁波遮蔽機能に加えて優れた反射防止性能を発現する。
本発明で用いる金属黒化処理液は、テルルが溶解された塩酸溶液であり、このテルルの供給源として、酸化テルルを用いることがこのましい。本発明でテルル供給源として使用される酸化テルルは、TeO2で表すことができる。
本発明の金属黒化処理液(100重量%)中には、テルルは、酸化物換算で、0.01〜0.45重量%の範囲内の量、好ましくは0.05〜0.40重量%の量で含有されている。本発明の金属黒化処理液は、従来の処理液よりもテルル濃度が低いため、黒化層の堆積速度が小さくなり、薄く、金属−黒化層間の密着性が高い黒化層を堆積させることができる。また、本発明では、テルルは塩酸に溶解した状態で処理液中に存在し、大変安定性がよく、金属黒化処理液を長時間放置した場合であっても配合物が析出しにくい。したがって、本発明の金属黒化処理液を一液型の処理剤とすることができる。更に、この一液型金属黒化処理液は、処理金属と接触させた後も、その安定性が低下しないので、繰り返し使用することができる。
テルルの配合量が0.45重量%を超える場合、黒化層の堆積速度が大きすぎて、金属表面に堆積する黒化層にはひびが入り、黒化層−金属間の密着性が不十分になるおそれがあり、0.01重量%未満の場合は、黒化層−金属間の密着性は充分だが、黒化層の堆積速度が小さく処理効率に劣るおそれがある。
本発明の金属黒化処理液で使用される酸化テルルとしては、工業的に提供される酸化テルルを使用することができるが、酸化テルルの純度が高いものを使用することが好ましく、純度99〜100%の酸化テルルを使用することが特に好ましい。
また、上記HCl濃度の黒化処理液によれば、得られる黒化処理品は反射防止性能に優れる。本発明の黒化処理液のほうが、従来のHCl濃度が高い黒化処理液よりも処理後の金属の表面粗さは小さくなり、金属表面の粗面効果による反射防止性能が劣ると推測されたが、実際には本発明の黒化処理液により得られる黒化層の方が反射防止性能に優れている。この原因は明らかではないが、形成された黒化層の形状及び原子配列が異なることに起因するものと推測される。
HCl濃度が8重量%を超える場合は、基材−銅メッシュ層間の密着性に劣り、アンダーカットが発生するおそれがある。特に、処理する金属が支持体に直接積層された銅メッシュ層の場合には、アンダーカットが発生しやすい。また、反射防止性能に劣る場合がある。
また、HCl濃度が0.05重量%未満の場合には酸化テルルを塩酸水溶液中に完全に溶解させることができないおそれがあり、その結果、金属表面における黒化層の堆積速度が小さくなり、処理効率に劣るおそれがある。
上記本発明の金属黒化処理液は、無機酸として硫酸を含有し、当該硫酸濃度が90重量%以下であることが、黒濃度が高い黒化層を形成することができる点から好ましい。
硫酸濃度が90重量%を超える場合、処理する金属が支持体に直接積層された金属薄膜の場合には、支持体−金属薄膜間の密着性に劣り、アンダーカットが発生するおそれがある。
上記硫酸濃度は、更に10〜45重量%、特に15〜30重量%であることが、処理時間を短くすることができ、また得られる黒化層の黒濃度に優れる点から好ましい。
また、本発明に用いる金属黒化処理液には、テルルの溶解性を高めるための第三成分を添加してもよい。
図1(A)の積層体3は、必須の層として透明基材11を有し、その上に銅メッシュ層14が積層された構成を有する。透明基材11と銅メッシュ層14は直接積層されているが、他の層を介して積層されていてもよい。例えば、図1(B)の積層体は、透明接着剤層15が、透明基材11と銅メッシュ層14との間に介在することにより、これら両層を接着積層させた構成を有する。また、図1(C)の積層体は電解メッキ法で電磁波遮蔽フィルタを形成された場合の層構成の例示であり、透明基材11上に導電処理層13が形成され、更にその上に銅メッシュ層14が積層させた構成を有する。
(透明基材)
透明基材は、機械的強度が弱い銅メッシュ層を補強するための支持体となる層である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性、絶縁性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明基材の具体例としては、例えば、樹脂等の有機材料からなる板及びシート(乃至フィルム。以下同様。)等、並びに、ガラス等の無機材料からなる板等である。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。
また、上記ガラス板のガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスなどがあり、より好ましくは熱膨脹率が小さく寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラス等が挙げられ、ディスプレイの前面基板等とする電極基板と兼用することもできる。
また、透明基材は、前面基板及び背面基板等からなるディスプレイ本体の一構成要素である前面基板と兼用しても良いが、前面基板の前に配置する前面フィルタとして電磁波シールドフィルタを用いる形態では、薄さ、軽さの点で、板よりもシートが優れており、また割れない等の点でも、ガラス板よりも樹脂シートが優れている。
銅メッシュ層は、銅又は銅を主体とする(銅の配合比率が50%以上の)合金(以下、「銅」には、特に断りがない限り合金を含むものとする)により構成され、導電性を有し、電磁波遮蔽機能を担う層であり、また、それ自体は不透明性であるがメッシュ状の形状で開口部が存在することにより電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている。電磁波遮蔽機能を向上させる点から導電性が高いほうが好ましいため、銅の配合比率は高いほうが好ましい。
銅メッシュ層の全光線透過率は、通常50%以上、より好ましくは80%以上としたものである。
また、銅メッシュ層は、単層でも多層でも良い。
例えば、銅メッシュ層のメッシュ形状をエッチングで形成する場合は、透明基材に積層した銅箔をエッチングでパターンニングして開口部を空けてメッシュ状にすることで形成できる。透明基材に銅箔を積層するには、銅箔を接着剤で透明基材にラミネートしたり、或いはラミネート用接着剤は用いずに、銅層を蒸着、スパッタ、メッキ等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて透明基材上に積層したりすることもできる。
なお、エッチングによる銅メッシュ層は、透明基材に積層前の銅箔単体をエッチングでメッシュ状にパターンニングした後で、接着剤等で透明基材に積層することで形成してもよい。
具体的サイズを例示すれば、図3に示すような格子状のメッシュ状導電体層の場合、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部104の幅はライン幅Wと称し、25μm以下、好ましくは20μm以下であることが好ましい。但し、電磁波遮蔽効果の発現、破断防止のためには、少なくとも5μm以上確保することが好ましい。また、開口部の間口幅は(ラインピッチP)−(ライン幅W)で表され、本発明においては150μm以上、好ましくは200μm以上とするのが、光透過性の点から好ましい。但し、MHz〜GHz帯の電磁波遮蔽性発現のためには、最大3000μm以下とする。
本発明の金属黒化処理方法は、銅メッシュ層が1〜10μm程度の薄い銅メッシュ層を有する積層体、その中でも特に接着剤層を介さずに積層された積層体に対して、従来の黒化処理を行うことにより得られた電磁波遮蔽フィルタにおいて不十分であった、黒化層の強度、及び銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ層−透明基材間の密着性を改善することができる点において特に優れている。
なお、非メッシュ部の具体的大きさは使われ方によるが、額縁状でアース部や外枠とする場合、額縁の幅は15〜100mm程度で、なかでも30〜40mmとするのが一般的である。
金属黒化処理液に接触させる積層体は、上記透明基材及び銅メッシュ層のほかに、必要に応じてその他の層を有していてもよい。例えば、透明基材−銅メッシュ層間に、透明基材と銅メッシュ層を貼り合わせるための接着剤層、銅メッキするための下地層となる導電処理層を、従来公知の材料及び手法により設けることができる。
また、銅メッシュ層の表示装置側の面に、予め従来公知の材料及び手法により黒化層及び/又は防錆層が設けられていてもよい。
Te4+ + 4e− → Te (v)
Te4+ + 4Cl− → TeCl4 (vi)
Cu2+ + 2Cl− → CuCl2 (vii)
Cu+ + Cl− → CuCl (viii)
本発明における黒化処理剤と銅メッシュ層との接触温度は常温でよく、好ましくは10〜40℃の範囲内の温度である。このように本発明の黒化処理剤は、特に加熱する必要がなく、常温で銅メッシュ層と接触させることにより、銅メッシュ層の表面を安定に黒化処理することができる。
なお、接触温度及び接触時間は上記範囲に限定されるものではなく、金属黒化処理液の濃度及び銅メッシュ層の構成元素の組成に応じて、変更することができる。
本発明の電磁波遮蔽フィルタは、少なくとも透明基材、銅メッシュ層、及び黒化層が順に積層されてなる電磁波遮蔽フィルタであって、当該黒化層が塩化テルルを含んでなることを特徴とする。本発明の電磁波遮蔽フィルタは、黒化層の厚さが薄く、銅メッシュ層−黒化層間及び銅メッシュ−透明基材間の密着性が高く、またディスプレイの前面に備えて用いる際に、外光に対する優れた反射防止性能を発現する。
このような電磁波遮蔽フィルタの製造方法は、黒化層が塩化テルルを含んでなるものであれば特に限定されないが、前記黒化層が金属黒化処理方法を用いて形成されたものであることが好ましい。
以下、本発明の電磁波遮蔽フィルタの層構成について説明する。
先ず、図2は本発明による電磁波遮蔽フィルタについて、基本的な形態を例示する模式的断面図である。
図2(A)の電磁波遮蔽フィルタは、透明基材11上に銅メッシュ層14が積層された積層体に対し、銅メッシュ層が露出されている部分に黒化層17が積層された構成である。透明基材11と銅メッシュ層14は直接積層されているが、他の層を介して積層されていてもよい。
例えば、図2(B)の電磁波遮蔽フィルタは、透明接着剤層15が、透明基材11と銅メッシュ層14との間に介在することにより、これら両層を接着積層させている。同図は、銅メッシュ層を銅箔から形成した場合のものであり、その結果、メッシュ状領域の開口部103も含めて透明基材11の全面に透明接着剤層15が存在する形態である。
また、図2(C)は電解メッキ法で電磁波遮蔽フィルタを形成された場合の層構成の例示であり、透明基材11上に導電処理層13が形成され、更にその上に銅メッシュ層14が積層され、更に銅メッシュが露出されている部分に黒化層17が積層されている構成である。
導電処理層13及び銅メッシュ層14(以下、両層、及び導電性を有する他の層を総称して単にメッシュ状導電体層12とも称する)は、開口部103が密に配列したメッシュ状であり、該メッシュ状領域101は開口部103と枠をなしているライン部104から構成されている。銅メッシュ層14の表面上に更に積層された黒化層17(図示せず)は、導電体層12と一体となって、メッシュ状領域101を形成する。
また、ディスプレイ用途等に適用した場合において、観察者側の面は、本発明で定義する表面ではなく、裏面であっても良い。
黒化層は、ディスプレイの前面に備えて用いる際に、該黒化層に外光を吸収させて外光の反射を防止することを目的として、上記金属黒化処理方法により銅メッシュ層の表面及び側面上に形成される層である。外光の反射を防止することにより、ディスプレイの画像コントラストが向上し、視認性が向上する。
従って、銅メッシュ層の裏面側に任意に設けられる黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物の金属化合物等の金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。なかでも、めっき法による黒化処理は密着性、均一性、容易性等で好ましい。めっき法の材料は、例えば、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、スズ、クロム等の金属や金属化合物等を用いる。これらは、密着性、黒さ等の点でカドミウム等による場合よりも優れている。
銅メッシュ層は製造時、取扱時等に錆びて変質し電磁波遮蔽性能の低下を来す懸念があり、錆びを防ぐ必要がある場合には、防錆層で銅メッシュ層の露出する面を被覆すると良い。防錆層の被覆は、メッシュ状導電体層の表面、裏面、側面の各面のうち必要な1以上の面の中から製造コスト等を勘案して選んだ面について行えば良い。
また、クロメート処理は、該処理前に亜鉛めっきするのが、密着性、防錆効果の点で好ましい。また、防錆層中には、エッチングや酸洗浄時の耐酸性向上の為に、シランカップリング剤等のケイ素化合物を含有させることもできる。
なお、防錆層の厚さは通常0.001〜10μm程度、好ましくは0.01〜1μmである。
後述する(3)のメッシュ状導電体層を準備する方法においては、透明接着剤層を、透明基材と銅メッシュ層(銅メッシュ層の透明基材側に黒化層又は防錆層が形成されている場合は、該黒化層又は該防錆層)との間に介在させ、これら両層を接着積層させる。透明接着剤層に用いる透明な接着剤は、後述するエッチング液に対する、耐エッチング性を必要とすることを除き、特に限定されるものでは無く、公知の接着剤を適宜採用すれば良い。
透明接着剤は、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
また、これらの接着剤の中には銅メッシュ層の表面の酸化による変色を防止するために、公知の酸化防止剤を含有させてもよい。
後述する(4)のメッシュ状導電体層を準備する方法においては、上記のような透明基材に、銅メッシュ層を形成するための金属電解メッキ処理に先立ち導電処理を行い、導電処理層を形成する。該導電処理の方法としては、公知の導電性を持つ材料の薄膜を形成すればよい。該導電性を持つ材料としては、例えば金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロムなどの金属、或いはこれらの金属の合金から成る。また、酸化スズ、ITO、ATOなどの透明な金属酸化物でもよい。該導電処理は単層あるいは多層であってもよく、これらの材料を公知の真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法などの方法で形成し導電処理層とする。該導電処理層の厚さは、メッキ時に必要な導電性が得られればよいので、0.001〜1μm程度の極薄い層であることが好ましい。
まず、透明基材を準備する。透明基材として、上述した基材の中から選択して用いることができる。
電磁波遮蔽フィルタを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明基材が樹脂基材である場合、メッシュ層形成等の少なくとも製造初期の段階においては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。
なお、透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
(1)透明基材へ導電インキをパターン状に印刷し、該導電インキ層の上へ銅メッキする方法(例えば、特開2000−13088号公報)。
(2)透明基材へ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布し、フォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより該塗布層をメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ銅メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、“光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材と銅箔とを透明接着剤等で積層した後に、フォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより銅箔をメッシュ状とする(例えば、特開平11−145678号公報)。
(4)透明基材の一方の面へ、導電処理層を形成し、その上に電解メッキにより金属メッキ層として銅層を形成した透明基材を準備し、該銅メッキした透明基材の銅メッキ層及び導電処理層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特開2003−86991号公報)。
(5)透明基材の一方の面へ、蒸着、スパッタ等の物理的薄膜形成法によって銅薄膜層を形成した透明基材を準備し、該透明基材の銅薄膜層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特開平10−335883号公報)。
また、(1)、(2)、(4)の方法において、透明基材上に銅層(箔)を積層する工程の前に、必要に応じて、透明基材上に蒸着等により導電処理層を積層し、公知のメッキ法を用いてニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物からなる防錆層を積層してもよく、更に黒化層を任意の黒化処理方法により積層してもよい。
まず、上記のように準備した透明基材上の導電体層、例えば透明基材上の銅層面へ、レジスト層をメッシュパターン状に設け、レジスト層で覆われていない部分の金属層をエッチングにより除去した後に、レジスト層を除去する所謂フォトリソグラフィー法で、メッシュ状の金属層とする。なお、その際、導電体層以外に、その他の導電性を有しない層も積層されている場合は、開口部に対応する領域においては、その他の層も導電体層と共にエッチング除去する。
まず、マスキングは、例えば、導電体層側の最表面へ感光性レジストを塗布し、乾燥した後に、所定のパターンを有するフォトマスクにて密着露光し、水現像し、硬膜処理などを施し、ベーキングする。尚、感光性レジストのネガ型、ポジ型の何れも使用可である。感光性レジストがネガ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンはライン部が透明なものを用いる。又感光性レジストがポジ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンは開口部が透明ものを用いる。又、露光パターンとしては、電磁波遮蔽フィルタとして所望のパターンであり、最低限メッシュ状領域のパターンから構成される。
以上より、本発明の電磁波遮蔽フィルタを得ることができる。
本発明に係る複合フィルタは、上記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、及び、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能、防擦傷機能、及び防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上の機能フィルタを積層してなることを特徴とする。
このような複合フィルタは、電磁波遮蔽機能及び反射防止機能に加えて、種々の機能が付加された、厚みが薄い画像表示装置用前面板として用いることができる。
上記機能フィルタには、近赤外線吸収フィルタ、ネオン光吸収フィルタ、反射(含む防眩)防止フィルタ等の光学フィルタ、及び防擦傷フィルタ、防汚染フィルタ等の保護フィルタが含まれる。また、上記機能フィルタは、シート、板状、塗膜状のいずれでもよく、層厚及びフレキシブル性は問われない。
なお、これらの機能フィルタは、従来の複合フィルタに於いて公知のものを用いてもよい。
[近赤外線吸収フィルタ]
近赤外線吸収フィルタとしては、近赤外線吸収剤を有する市販フィルム(例えば、東洋紡績社製、商品名No2832)を用いたり、近赤外線吸収色素をバインダへ含有させた組成物を製膜したり、或いは組成物を透明基材上に塗布して積層してもよい。近赤外線吸収色素としては、複合フィルタをプラズマディスプレイパネルの前面に適用する場合、プラズマディスプレイパネルが放出するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するものを用いる。該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に10%以下であることが好ましい。同時に近赤外線吸収フィルタは、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率を有することが望ましい。
ネオン光吸収フィルタは、複合フィルタがプラズマディスプレイ用として用いられる際に、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光、即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収するべく設置される。ネオン光の発光スペクトル帯域は波長550〜640nmの為、ネオン光吸収フィルタの分光透過率は波長550〜640nmにおいて50%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収フィルタは、少なくとも550〜640nmの波長領域内に吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素を近赤外線吸収フィルタのところに挙げたようなバインダ樹脂に分散させて形成することができる。該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。
調色フィルタは、PDPからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用複合フィルタの色を調整するためのものである。例えば調色色素をバインダ樹脂に分散させた組成物を製膜したり、或いはこれを透明基材又は他の機能性フィルタ上に塗布し、必要に応じ乾燥、硬化処理等を経て形成することができる。調色色素としては、可視領域である380〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用することができる。調色色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。当該バインダ樹脂としては、上記近赤外線吸収フィルタのところに挙げたような樹脂を用いることができる。
紫外線吸収フィルタは、主に近赤外線吸収フィルタに含まれる近赤外線吸収色素の外光(紫外線)による分解を防ぐために設けられるため、近赤外線吸収フィルタより観察者側に積層される。紫外線吸収フィルタとしては、例えば、紫外線吸収剤をバインダ樹脂に分散させて形成することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなるものが挙げられる。当該バインダ樹脂としては、上記近赤外線吸収フィルタのところに挙げたような樹脂を用いることができる。
反射防止(AR)フィルタは、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くする役割を果たす層である。反射防止フィルタは、低屈折率層、高屈折率層、及び/又は中屈折率層が複数層形成された多層構造が一般的であり、例えば、低屈性率層と高屈折率層とを交互に積層した構成が挙げられる。これら各層は、蒸着やスパッタ等の乾式法で、或いは塗工等の湿式法も利用して形成することができる。
低屈折率層には、後述する防眩フィルタの低屈折率層及び低屈折率剤の説明で挙げられる材料が用いられ、高屈折率層及び中屈折率層には、後述する防眩フィルタの高屈折率剤/中屈折率剤の説明で挙げられる材料が用いられる。
防眩(AG)フィルタは、通常、複合フィルタの観察者側の最表面に設けられ、当該フィルタに入射する外光の鏡面反射(正反射ともいう。以下適宜両呼称を使い分ける)による強い光の映り込みを防ぎ、あらゆる方向に弱く反射(拡散反射)させることにより、防眩性を発現する層である。防眩フィルタとしては、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形シートや賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、下記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
防擦傷フィルタ(ハードコート層)としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成するとことができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。
防汚染剤の具体例としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効である。より具体例としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
[透明基材]
上記金属黒化処理方法の透明基材の説明において挙げられた透明基材を適宜使用することができる。
上記各層を接着するのに、接着剤層(又は粘着剤層)が用いられても良い。接着剤層は、接着しようとする層同士を接着することが可能なものであれば、材料の種類等は特に限定されるものではない。
但し、上記メッシュ状導電体層が、金属箔及び透明基材を接着剤層を介して貼り合わせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ形状とする態様である場合、接着剤層は耐エッチング性を有することが好ましい。
上記メッシュ状導電体層を準備する方法(3)において、電磁波遮蔽フィルタのメッシュ開口部の接着剤、すなわち、透明基材とメッシュ状導電体層とを接着積層するための透明接着剤の表面の粗さを埋めるため、及び/又は気泡の混入を防止して透明化するため、必要に応じて平坦化樹脂と称される透明樹脂をメッシュ開口部に充填して、平坦化層として被覆しても良い。
平坦化層は透明性が高く、メッシュの導電体層との接着性が良く、当該平坦化層に積層する接着剤との接着性がよいものであればよい。但し、平坦化層の表面に、突起、凹み、ムラがあると、ディスプレイ前面へ設置した際に、モアレ、干渉ムラ、ニュートンリングが発生したりするので好ましくない。この様な問題を防ぐために好ましい方法としては、樹脂として熱又は紫外線硬化樹脂を塗布した後に、平面性に優れ剥離性のある基材を積層し、塗布樹脂を熱又は紫外線で硬化させて、剥離性基材を剥離し除去する方法が挙げられる。平坦化層の表面は、平面性基材の表面が転写されて、平滑な面が形成される。該平坦化層に用いる樹脂としては、特に限定されず各種の天然又は合成樹脂、熱又は電離放射線硬化樹脂などが適用できるが、樹脂の耐久性、塗布性、平坦化しやすさ、平面性などから、アクリル系の紫外線硬化樹脂が好適である。
また、ディスプレイ全面に直接貼り合わせる用途の複合フィルタの場合、複合フィルタの表示装置側の面には、耐衝撃効果を高める観点から、耐衝撃層を設けてもよい。耐衝撃層は、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系等が適用でき、樹脂中でも、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂が好ましい。例えば、上記接着剤層に用いられる粘着剤を用いて、厚さ100〜200μmの粘着剤層を形成したものを好適に用いることができる。
当該耐衝撃層中に、上述のような近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、及び/又は調色色素を1種以上含有させてもよい。
本発明に係る画像表示装置は、上記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、又は上記ディスプレイ用複合フィルタが、ディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
このような画像表示装置においては、上記電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタが有する光学吸収層の働きにより、長時間の使用、特に高温高湿環境下においても、画像表示装置本体から発生する近赤外線の放出が遮蔽される。また、複合フィルタを備える場合、当該フィルタが有する各種機能層によるメリットも享受できる。
画像表示装置としては、従来公知のディスプレイ、例えばCRT、PDP等を挙げることができる。
<実施例1>
以下の手順で、図5(A)に示す層構成の電磁波遮蔽フィルタを作製した。
まず、透明基材11として、連続帯状で無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)の表側とする面に、厚さ10μmの電解銅箔を、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤層15を介してドライラミネートして、連続帯状の銅貼積層シートを作製した。
まず、銅貼積層シートの金属層(銅箔)表面の全体へ、カゼイン系の感光性ネガ型レジストをディッピング法で塗布した。次のステーションへ間歇搬送し、開口部が正方形でライン幅10μm、ライン間隔(ピッチ)300μm、バイアス角度が49度のメッシュ部及び該メッシュ部を外周する幅が15mmの開口部非形成の額縁部を有するネガパターン版を用いて、水銀燈からの紫外線を照射して密着露光した。次々とステーションを搬送しながら、水現像し、硬膜処理し、さらに、100℃でベーキングした。さらに次のステーションへ搬送し、エッチング液として50℃、42゜ボーメの塩化第二鉄溶液を用いて、スプレイ法で吹きかけてエッチングし、開口部を形成した。次々とステーションを搬送しながら、水洗し、レジストを剥離し、洗浄し、さらに60℃で乾燥して、メッシュを形成し、銅メッシュ層14と透明基材11との積層体3を得た。
その後、水洗、乾燥工程を経て電磁波遮蔽フィルタ1を得た。
<実施例2>
以下の手順で、図5(B)に示す層構成の複合フィルタ2を作製した。
まず、反射防止フィルム(大日本印刷(株)製、商品名「VB2」)を準備した。
次いで、実施例1で得られた電磁波遮蔽フィルタ1の黒化層側17に対して、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤層19を介して、上記反射防止フィルム18をドライラミネートして、複合フィルタ2を得た。
以下の手順で、図5(A)に示す層構成の電磁波遮蔽フィルタ1を作製した。
まず、実施例1と同様に連続帯状の銅貼積層シートを作製し、次いでメッシュ積層シートを作製した。
次いで、以下の工程により、銅が露出している部分に黒化層17を形成した。
まず、黒化処理メッキ浴として、硫酸ニッケルアンモニウム水溶液と硫酸亜鉛水溶液とチオ硫酸ナトリウム水溶液との混合水溶液に浸漬し、0.2A/dm2、30℃の条件下、5分間、電解メッキを行って黒化処理し、ニッケル−亜鉛合金からなる黒化層を、銅が露出している部分に被覆形成した。メッシュ切断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、製品名「S−5000H」での拡大観察により測定した黒化層の厚さは0.2μmだった。
その後、水洗、50℃の湯洗、乾燥工程を経て電磁波遮蔽フィルタ1を得た。
以下の手順で、図5(B)に示す層構成の複合フィルタ2を作製した。
まず、実施例2と同様の反射防止フィルム18を準備した。
次いで、比較例1で得られた電磁波遮蔽フィルタ1の黒化層17側に対して、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤層19を介して、上記反射防止フィルム18をドライラミネートして、複合フィルタ2を得た。
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。
(1)黒化層の反射特性
黒化処理面のJIS Z8722に準拠して測定した全光線反射率(%)は、分光測色計(MINOLTA製、CM−3600d)を反射モードに設定し、光源は標準の光D65、視野2°を用いて、検出器を、反射光のうち、拡散反射光と鏡面反射光の両方を総合した全反射光の(積分)強度を測定するようなSCIモードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定した。
全光線反射率は小さいほうが好ましく、特に、全光線反射率が10%未満である場合、電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタの反射防止性能は充分と判断する。
電磁波遮蔽フィルタ1の周縁の額縁部の黒化層形成面に、カッターナイフにて、碁盤目状(縦10×横10の計100個の桝目からなる1枡の寸法は縦1mm×横1mm)の傷を銅箔の途中にまで達する傷を付ける。該傷全面の上に、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ」(登録商標)、幅24mm)を粘着剤層側が該傷面となる様にして貼着する。しかる後、該セロハン粘着テープを剥離する。電磁波遮蔽フィルタ側から剥離して、セロハン粘着テープ側に付着移行した桝目数が0の場合を合格、1以上の場合を不合格とする。
実施例1で得られた電磁波遮蔽フィルタは、全光線反射率が9%で、十分な性能と判断された。一方、比較例1で得られた電磁波遮蔽フィルタは、全光線反射率が15%で、性能不十分と判断された。
また、実施例2で得られた複合フィルタは、全光線反射率が4%で十分な性能だった。一方、比較例2で得られた複合フィルタは、全光線反射率が10%で不十分な性能だった。
本発明の黒化処理によれば、電解処理を必要とせず、また短時間で反射率が低い電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタを形成することができた。
実施例1の電磁波遮蔽フィルタは、黒化層の密着は合格であった。一方、比較例1においては、額縁部の端部に近い側で黒化層の剥離を生じ、黒化層の密着は不合格であった。
2 複合フィルタ
3 積層体
11 透明基材
12 メッシュ状導電体層(金属メッシュ層)
13 導電処理層
14 銅メッシュ層
15 接着剤層
17 黒化層
18 反射防止フィルム
19 接着剤層
101 メッシュ状領域
103 開口部
104 ライン部
Claims (6)
- 少なくとも透明基材、銅メッシュ層、及び黒化層が積層されてなるディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの黒化層を形成するための金属黒化処理方法であって、
テルルが溶解された塩酸溶液であり、該塩酸溶液中におけるテルルの濃度(酸化物換算濃度)が0.01〜0.45重量%であり、塩酸濃度が0.05〜8重量%である金属黒化処理液に、少なくとも透明基材、及び銅メッシュ層を含んでなる積層体を接触させて、当該銅メッシュ層の表面に黒化層を形成する工程を含む、金属黒化処理方法。 - 前記金属黒化処理液が硫酸を含み、硫酸濃度が90重量%以下である、請求項1に記載の金属黒化処理液。
- 少なくとも透明基材、銅メッシュ層、及び塩化テルルを含んでなる黒化層が積層されてなる、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ。
- 前記黒化層が、銅メッシュ層の表面及び側面に積層されてなる、請求項3に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
- 請求項2乃至4のいずれかに記載の電磁波遮蔽フィルタ、及び、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能、防擦傷機能、及び防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上のフィルタを積層してなる、ディスプレイ用複合フィルタ。
- 請求項2乃至4のいずれかに記載の電磁波遮蔽フィルタ、又は請求項5に記載のディスプレイ用複合フィルタが、ディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とするディスプレイ。
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