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JP4772957B2 - レーザ照射交流アーク溶接方法 - Google Patents

レーザ照射交流アーク溶接方法 Download PDF

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JP4772957B2
JP4772957B2 JP2000394221A JP2000394221A JP4772957B2 JP 4772957 B2 JP4772957 B2 JP 4772957B2 JP 2000394221 A JP2000394221 A JP 2000394221A JP 2000394221 A JP2000394221 A JP 2000394221A JP 4772957 B2 JP4772957 B2 JP 4772957B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク発生部にレーザを照射することによって高速溶接を行うレーザ照射アーク溶接方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等を利用したレーザ溶接は、高エネルギー密度の熱源であるので、2[m/分]を超え8[m/分]程度までの高速溶接が可能である。しかし、このレーザ溶接では、重ね継手、突き合わせ継手等への溶接においてその継手部分に少しでもギャップがある場合には、レーザ照射部のビームスポットが小さいためにギャップのある継手部分の両端を溶融することができず溶接をすることができない。したがって、レーザ溶接においては、被溶接物の継手部分に全くギャップがない状態にする必要があるために、実用上の適用範囲は非常に限定されている。
【0003】
上述したレーザ溶接の上記の問題点を解決する1つの方法として、レーザ照射と直流アーク溶接とを併用する複合型のレーザ照射直流アーク溶接方法が提案されている。この溶接方法は、前述したレーザ照射によって形成される高エネルギー密度の熱源による高速溶接性を確保した上で、直流アークによって形成される広がりのある熱源によって継手部分を幅広く溶融すると共に溶接ワイヤをギャップ部分に充填することによって、ギャップのある継手部分に対しても良好な高速溶接を行うことができる。以下、このレーザ照射直流アーク溶接方法の一例を、従来技術1として説明する。なお、これ以降の説明では、溶接速度が2[m/分]以上の場合を高速溶接ということにする。
【0004】
[従来技術1]
図2は、従来技術1のレーザ照射直流アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して説明する。
レーザ発振装置6は、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等の発振装置であり、レーザ用トーチ41を介して被溶接物2へレーザ31を照射する。直流アーク溶接電源装置71は、ワイヤ送給装置の送給ロール5の回転を制御して溶接ワイヤ1を溶接トーチ42を通して送給すると共に、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間に直流アーク32を発生させるための溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。
上記のレーザ31を照射する位置は、被溶接物2のアーク発生部又はその周辺部であればよく、溶接方向を基準としてアーク発生部の前方、後方、右横又は左横のいずれの位置でもよい。
【0005】
図3は、前述したレーザ発振装置6のブロック図である。以下、同図を参照して説明する。
出力開始回路STは、レーザ出力を開始するための出力開始信号Stを出力する。出力設定回路PSは、レーザの出力値[W]を設定する出力設定信号Psを出力する。レーザ出力制御回路ROCは、上記の出力開始信号Stが入力されているときは、上記の出力設定信号Psによって設定された出力値でレーザをレザトーチ41を介して被溶接物へ照射する。
【0006】
上述したように、従来技術1のレーザ照射直流アーク溶接方法はギャップのある継手部分への高速溶接を可能にするが、そのギャップ許容範囲は約0.3[mm]以下と非常に小さいために、この溶接方法の実用上の適用範囲は、かなり限定されている。そこで、以下に、一般的にギャップ許容範囲の大きな溶接方法である交流アーク溶接方法について、従来技術2として説明する。
【0007】
[従来技術2]
図4は、従来技術2の交流アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。同図において、前述した図2と同一構成物には同一の符号を付しそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる交流アーク溶接電源装置72について、同図を参照して説明する。なお、ここでは、交流アーク溶接が交流パルスアーク溶接の場合を例示する。
【0008】
交流アーク溶接電源装置72は、溶接ワイヤ1の送給を制御すると共に、図5で後述するように、極性切換時に再点弧電圧を印加することによってアークを再点弧させて電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す交流アーク33を発生させるための溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。
【0009】
図5は、上述した交流アーク溶接電源装置72の出力波形を示す電流・電圧波形図である。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示しており、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0010】
▲1▼ 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間Tp)
この期間中は、溶接ワイヤが陽極となり被溶接物が陰極となる電極プラス極性(EP)で、同図(A)に示すように、予め定めたピーク期間Tpの間は溶滴移行をさせる予め定めたピーク電流Ipを通電する。また、同図(B)に示すように、この期間中の溶接電圧Vwは上記のピーク電流Ipの通電に対応したピーク電圧Vpとなる。
【0011】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間(電極マイナス期間Ten)
時刻t2において、電極プラス極性(EP)から電極マイナス極性(EN)へと切り換わると、同図(A)に示すように、予め定めた電極マイナス期間Tenの間は溶滴移行をさせない予め定めた電極マイナス電流Ienを通電する。また、同図(B)に示すように、この期間中の溶接電圧Vwは上記の電極マイナス電流Ienの通電に対応した電極マイナス電圧Venとなる。また、時刻t2の極性切換時において、電極プラス極性のアークが一旦消滅するために、電極マイナス極性でアークを再点弧させるには、同図(B)に示すように300[V]程度の再点弧電圧Vrsを溶接ワイヤ(−)と被溶接物(+)との間に短時間だけ印加する必要がある。
【0012】
▲3▼ 時刻t3〜t4の期間(ベース期間Tb)
時刻t3において、電極マイナス極性(EN)から電極プラス極性(EP)へと切り換わると、同図(A)に示すように、後述するベース期間Tbの間は溶滴移行をさせない予め定めたベース電流Ibを通電する。また、同図(B)に示すように、この期間中の溶接電圧Vwは上記のベース電流Ibの通電に対応したベース電圧Vbとなる。上記のベース期間Tbの終了時点(時刻t4)は、電極プラス極性期間中の溶接電圧Vw(ピーク電圧Vp及びベース電圧Vb)の平均値が、同図(B)に示す予め定めた電圧設定値Vsと等しくなるように制御されて自動的に定まる。
また、前述したように、時刻t3の極性切換時においても、電極マイナス極性のアークが一旦消滅するために電極プラス極性でアークを再点弧させるには、同図(B)に示すように300[V]程度の再点弧電圧Vrsを溶接ワイヤ(+)と被溶接物(−)との間に短時間だけ印加する必要がある。
【0013】
また、上述した交流アーク溶接方法では、電極プラス極性と電極マイナス極性との時間比率を制御することによって、被溶接物への入熱及びワイヤ溶融量を精密に制御することにができるので、ギャップ許容範囲が大きくなる。
【0014】
図6は、上述した交流アーク溶接電源装置72のブロック図である。以下、同図を参照して、各回路ブロックについて説明する。
商用電源ACは溶接電源装置の入力電源であり、通常は3相200/220[V]が多く使用される。出力制御回路INVは、上記の商用電源ACを整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、このインバータ回路を形成する複数組のパワートランジスタのドライブ回路と、後述する誤差増幅信号Eaを入力信号として上記のインバータ回路のPWM制御を行うPWM制御回路とから成る。
【0015】
高周波変圧器INTは、上記の高周波交流をアーク負荷に適した電圧値に降圧する。2次側整流器D2a〜D2dは、降圧された高周波交流を直流に整流する。極性切換ドライブ回路DRは、後述する電極マイナス期間信号Tenが入力されているとき(Highレベルのとき)は電極マイナス極性ドライブ信号Ndを出力(Highレベル)し、入力されていないとき(Lowレベルのとき)は電極プラス極性ドライブ信号Pdを出力(Highレベル)する。したがって、電極マイナス極性ドライブ信号Ndが出力されているときは電極プラス極性ドライブ信号Pdは出力されず、反対に電極マイナス極性ドライブ信号Ndが出力されていないときは電極プラス極性ドライブ信号Pdは出力されるという互いに論理反転した関係にある。電極プラス極性トランジスタPTRは、上記の電極プラス極性ドライブ信号Pdが出力されているときにオン状態になり、溶接電源装置の出力は電極プラス極性期間となる。他方、電極マイナス極性トランジスタNTRは、上記の電極マイナス極性ドライブ信号Ndが出力されているときにオン状態になり、溶接電源装置の出力は電極マイナス極性期間となる。
【0016】
リアクトルWLは、上記の電極プラス極性トランジスタPTR又は電極マイナス極性トランジスタNTRを通電するリップルのある出力を平滑して交流アーク33に供給する。前述した図5に示す電極プラス極性期間中のピーク電流Ip及びベース電流Ibは、D2a又はD2b→PTR→WL→溶接ワイヤ1→被溶接物2の経路で通電する。他方、電極マイナス極性期間中の電極マイナス電流Ienは、被溶接物2→溶接ワイヤ1→WL→NTR→D2c又はD2dの経路で通電する。
【0017】
再点弧電圧印加回路VRSは、後述する電極マイナス期間信号Tenを入力として、電極プラス極性から電極マイナス極性への切換時に対応する上記の電極マイナス期間信号Tenの立上り時及び電極マイナス極性から電極プラス極性への切換時に対応する上記の電極マイナス期間信号Tenの立下り時に、前述した再点弧電圧Vrsを出力する。
【0018】
ピーク期間タイマ回路TPは、後述する比較信号Cmが入力(Highレベル)されたことをトリガとして、予め定めた一定期間Highレベルとなるピーク期間信号Tpを出力する。電極マイナス期間タイマ回路TENは、上記のピーク期間信号Tpの出力終了(立下り)をトリガとして、予め定めた一定期間Highレベルとなる電極マイナス期間信号Tenを出力する。
【0019】
電圧検出回路VDは、溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。電圧設定回路VSは、電極プラス極性期間中の溶接電圧(前述した図5のピーク電圧Vp及びベース電圧Vb)の平均値の目標値となる電圧設定信号Vsを出力する。比較回路CMは、上記の電圧検出信号Vd、電圧設定信号Vs及び電極マイナス期間信号Tenを入力として、上記の電極マイナス期間信号Tenが入力されていない期間(電極プラス極性期間)中の上記の電圧検出信号Vdの平均値が、上記の電圧設定信号Vsと等しくなった時点(前述した図5の時刻t4)で短時間Highレベルとなる比較信号Cmを出力する。この比較回路CMは、上記のピーク期間信号Tpの出力開始時点からの電極プラス極性期間中の上記の電圧検出信号Vdの平均値と、上記の電圧設定信号Vsとが等しくなったときに前述したピーク期間タイマ回路TPが再び出力を開始するためのトリガ信号となる。
【0020】
ピーク電流設定回路IPは、溶滴移行をさせる予め定めたピーク電流設定信号Ipを出力する。電極マイナス電流設定回路IENは、溶滴移行をさせない予め定めた電極マイナス電流設定信号Ienを出力する。ベース電流設定回路IBは、溶滴移行をさせない予め定めたベース電流設定信号Ibを出力する。ピーク期間切換回路SPは、前述したピーク期間信号Tpが入力されているとき(Highレベルのとき)はa側に切り換えられて上記のピーク電流設定信号Ipを電流制御設定信号Iscとして出力し、入力されていないとき(Lowレベルのとき)はb側に切り換えられて後述する切換設定信号Seを電流制御設定信号Iscとして出力する。電極マイナス期間切換回路SEは、前述した電極マイナス期間信号Tenが入力されているとき(Highレベルのとき)はa側に切り換えられて上記の電極マイナス電流設定信号Ienを切換設定信号Seとして出力し、入力されていないとき(Lowレベルのとき)はb側に切り換えられて上記のベース電流設定信号Ibを切換設定信号Seとして出力する。
上記のピーク期間切換回路SP及び電極マイナス期間切換回路SEは、ピーク期間信号Tpが入力されているときはピーク電流設定信号Ipを、電極マイナス期間信号Tenが入力されているときは電極マイナス電流設定信号Ienを、上記両期間信号Tp及びTenがいずれも入力されていないときはベース電流設定信号Ibを、それぞれ電流制御設定信号Iscとして出力する。
【0021】
電流検出回路IDは、交流の溶接電流Iwを検出してその値を絶対値に変換した電流検出信号Idを出力する。誤差増幅回路EAは、上記の電流検出信号Idと電流制御設定信号Iscとの誤差を増幅して、誤差増幅信号Eaを出力する。この誤差増幅信号Eaによって、前述したように出力制御回路INVは溶接電流Iwの通電値を制御する。したがって、Isc=Ipのときはピーク電流Ipが通電し、Isc=Ienのときは電極マイナス電流Ienが通電し、Isc=Ibのときはベース電流Ibが通電する。
【0022】
図7は、上述した交流アーク溶接電源装置72における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示しており、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示しており、同図(C)はピーク期間信号Tpの時間変化を示しており、同図(D)は電極マイナス期間信号Tenの時間変化を示しており、同図(E)は比較信号Cmの時間変化を示す。同図(A)及び同図(B)は、前述した図5と同一である。以下、同図を参照して説明する。
【0023】
▲1▼ 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間Tp)
この期間中は、同図(D)に示す電極マイナス期間信号Tenが出力されていない(Lowレベル)ので、前述した極性切換ドライブ回路DRの電極プラス極性ドライブ信号Pdが出力されて電極プラス極性トランジスタPTRがオン状態になり、出力は電極プラス極性期間になる。また、同図(C)に示すように、ピーク期間信号Tpが出力(Highレベル)されているので、同図(A)に示すようにピーク電流Ipが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwはピーク電圧Vpとなる。
【0024】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間(電極マイナス期間Ten)
この期間中は、同図(D)に示す電極マイナス期間信号Tenが出力されている(Highレベル)ので、前述した極性切換ドライブ回路DRの電極マイナス極性ドライブ信号Ndが出力されて電極マイナス極性トランジスタNTRがオン状態になり、出力は電極マイナス極性期間になる。同時に、電極マイナス期間信号Tenが出力されているので、同図(A)に示すように電極マイナス電流Ienが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwは電極マイナス電圧Venとなる。
また、前述したように、同図(D)に示す電極マイナス期間信号Tenが立上る時刻t2及び立下る時刻t3において、同図(B)に示すように再点弧電圧Vrsが印加される。
【0025】
▲3▼ 時刻t3〜t4の期間(ベース期間Tb)
この期間中は、同図(D)に示す電極マイナス期間信号Tenが出力されていない(Lowレベル)ので、上記▲1▼項の期間と同様に電極プラス極性になる。また、この期間中は、同図(C)に示すピーク期間信号Tp及び同図(D)に示す電極マイナス期間信号Tenがいずれも出力されていない(Lowレベル)ので、同図(A)に示すようにベース電流Ibが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwはベース電圧Vbになる。
前述したように、時刻t4において、電極プラス極性期間中の溶接電圧検出信号Vdの平均値と電圧設定信号Vsの値とが等しくなるので、同図(E)に示すように比較信号Cmが短時間Highレベルとなり、これをトリガとして同図(C)に示すピーク期間信号Tpが出力を開始して、再び上記▲1▼項の動作となる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来技術1のレーザ照射直流アーク溶接方法では、レーザ照射による高密度エネルギーの入熱並びに直流アークの広がりのある熱源による継手部分の幅広い溶融及びギャップ部分への溶接ワイヤの充填によって、約0.3[mm]以下の非常に小さなギャップのある継手部分への高速溶接は可能である。しかしながら、上記のように非常に小さなギャップ許容範囲では、実用上の適用は相当に限定されるために、高速溶接時のギャップ許容範囲の拡大が課題であった。
【0027】
他方、前述したように、従来技術2の交流アーク溶接方法では、被溶接物への入熱及びワイヤ溶融量を精密に制御するこができるので、大きなギャップ許容範囲を有している。しかしながら、交流アークの広がりのある熱源のみでは、被溶接物への入熱量に限界があるために、溶接速度が約2[m/分]以下の場合しか溶接を行うことができない。
【0028】
さらに、従来技術2の溶接方法では、前述したように、極性切換時にアークを再点弧させるために約300[V]の高い再点弧電圧を印加する。しかしながら、この高い再点弧電圧の印加によって、被溶接物上のアークの再点弧位置が、ワイヤ先端部から短距離の位置(溶接狙い位置)ではなくそこから離れた位置になる場合がある。このような場合には、極性切換時に一旦はアークが再点弧するが、再点弧電圧の印加が終了するとその長いアーク長を維持することができずにアーク切れを発生する(以下、この現象を再点弧後のアーク切れという)。このアーク切れが発生する原因は、再点弧を確実にするためには約300[V]と高い再点弧電圧を印加する必要があるが、一方、このような高い再点弧電圧の印加によって、上述したように再点弧位置が離れた位置に形成されることが多くなり、その結果アーク切れが発生する。溶接中にアーク切れが発生すると、ビード外観の不良、溶込み不良等の溶接欠陥となる。
【0029】
そこで、本発明では、大きなギャップのある継手部分に対して2[m/分]以上の良好な高速溶接を行うことができると共に、アークの再点弧が円滑に行われ、かつ、再点弧後のアーク切れも発生しないレーザ照射交流アーク溶接方法を提供する。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、消耗電極を被溶接物へ送給すると共に、電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す交流アークを消耗電極・被溶接物間に発生させて溶接する交流アーク溶接方法において、
前記被溶接物のアーク発生部又はその周辺部に、交流アークの極性切換時の直前から予め定めた照射時間の間は予め定めた高出力で、それ以外の期間は予め定めた低出力でレーザを照射することによって前記被溶接物及びそれに近接する前記溶接ワイヤの先端部の温度を上昇させて、前記交流アークの極性切換時のアークの再点弧を再点弧電圧を印加しないで円滑に行わせるレーザ照射交流アーク溶接方法である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例は、図1(図8と同一の図)に示すように、
消耗電極1を被溶接物2へ送給すると共に、電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す交流アーク33を消耗電極・被溶接物間に発生させて溶接する交流アーク溶接方法において、
上記被溶接物2のアーク発生部又はその周辺部にレーザ31を照射することによって上記被溶接物2及びそれに近接する上記溶接ワイヤ1の先端部の温度を上昇させて、再点弧電圧Vrsを印加しないで又は低電圧値の再点弧電圧LVrsを印加して、上記交流アーク33の極性切換時のアークの再点弧を円滑に行わせるレーザ照射交流アーク溶接方法である。
【0035】
【実施例】
[実施例1]
実施例1の発明は、電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す消耗電極交流アーク溶接方法において、被溶接物のアーク発生部又はその周辺部にレーザを照射することによって、被溶接物及びそれに近接する溶接ワイヤの先端部の温度を上昇させて、交流アークの極性切換時に再点弧電圧を印加しないでアークの再点弧を円滑に行わせるレーザ照射再点弧電圧無印加交流アーク溶接方法である。以下、図8〜10を参照して、実施例1の発明について説明する。
【0036】
図8は、実施例1のレーザ照射再点弧電圧無印加交流アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。同図において、前述した図2又は図4と同一構成物には同一の符号を付しそれらの説明は省略する。以下、図2又は図4とは異なる再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73について、同図を参照して説明する。なお、図4のときと同様に、交流アーク溶接が交流パルスアーク溶接の場合を例示する。
【0037】
再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73は、溶接ワイヤ1の送給を制御すると共に、図10で後述するように、極性切換時に再点弧電圧Vrsを印加しないでレーザ31の照射によって、アークを円滑に再点弧させて、かつ、再点弧後のアーク切れも発生させない電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す交流アーク33を発生させる溶接電流Iw及び溶接電圧Vwを出力する。
【0038】
図9は、図8で前述した再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73のブロック図である。同図においては、前述したように極性切換時に再点弧電圧を印加しないために図6で前述した再点弧電圧印加回路VRSが不要であり、それ以外の回路ブロックは図6と同一であるので、それらの説明は省略する。
【0039】
図10は、上述した実施例1の溶接電流・電圧波形と交流アーク発生状態との関係図である。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示しており、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示しており、同図(C1)〜(C3)はレーザ照射部及び交流アーク発生部の状態の時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0040】
▲1▼ 時刻t2の極性切換時
時刻t2の電極プラス極性(EP)から電極マイナス極性(EN)への極性切換時において、同図(B)に示すように再点弧電圧Vrsを印加しないで電極マイナス極性のアークが再点弧する。このときのアーク発生状態を同図(C1)に示す。以下、同図(C1)を参照して説明する。
同図(C1)に示すように、溶接ワイヤ1は陰極(−)となり陰極点が形成され、被溶接物2は陽極となり陽極点が形成される。陰極点は電子を放出するためのエネルギーが必要であるために容易には形成されないという性質を有する。そのために、従来技術2では高電圧の再点弧電圧Vrsを印加することによって陰極点の形成を行っている。一方、本発明では、アーク発生部又はその周辺部にレーザ31を照射することによって、被溶接物2及びそれに近接する溶接ワイヤ1の先端部の温度を上昇させる。ワイヤ先端部が高温になると電子が放出されやすい状態になるので、再点弧電圧Vrsを印加しないでも陰極点はワイヤ先端部に容易に形成される。
【0041】
他方、陽極点は電子を受け入れる側であるので容易に形成されるという性質を有する。そのために、溶接ワイヤ1の送給方向においてワイヤ先端部と被溶接物2との距離が最短となる溶接狙い位置に陽極点が形成される。上述したように、陰極点及び陽極点が形成されて、電極マイナス極性の交流アーク33が、再点弧電圧Vrsを印加しないで円滑に再点弧する。
【0042】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間(電極マイナス期間Ten)
この期間中は、同図(A)に示すように電極マイナス電球Ienが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwは電極マイナス電圧Venとなる。時刻t3の電極マイナス極性(EN)から電極プラス極性(EP)への極性切換時において、同図(B)に示すように再点弧電圧Vrsを印加しないで電極プラス極性のアークが再点弧する。このときのアーク発生状態を同図(C2)に示す。以下、同図(C2)を参照して説明する。
同図(C2)に示すように、溶接ワイヤ1は陽極(+)となり陽極点が形成され、被溶接物2は陰極(−)となり陰極点が形成される。前述したように、陰極点の形成は容易ではないという性質を有するために、従来技術2では高電圧の再点弧電圧Vrsを印加することによって陰極点の形成を行っている。一方、本発明では、アーク発生部又はその周辺部にレーザ31を照射することによって被溶接物2及びそれに近接する溶接ワイヤ1の先端部の温度を上昇させる。被溶接物2が高温になると電子が放出されやすい状態になるので、再点弧電圧Vrsを印加しないでも被溶接物2のレーザ照射に陰極点が円滑に形成される。
【0043】
他方、前述したように、陽極点の形成は容易であるという性質を有するために、溶接ワイヤ1の先端部に陽極点が形成される。上述したように、陰極点及び陽極点が形成されて、電極プラス極性の交流アーク33が、再点弧電圧Vrsを印加しないで円滑に再点弧する。
【0044】
▲3▼ 時刻t3〜t4の期間(ベース期間Tb)
この期間中は、同図(A)に示すようにベース電流Ibが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwはベース電圧Vbとなる。また、この期間中には、通常は溶滴移行しない。
【0045】
▲4▼ 時刻t4〜t5〜t6の期間(ピーク期間Tp)
時刻t4〜t6の期間中は、同図(A)に示すようにピーク電流Ipが通電すると共に、同図(B)に示すように溶接電圧Vwはピーク電圧Vpとなる。時刻t5において、同図(C3)に示すように、大きな値のピーク電流Ipの通電によってワイヤ先端部の溶融が進行して溶滴が移行すると共に、アーク長が最短になるように陰極点の形成位置がレーザ照射部から溶接狙い位置へと移動する場合もある。逆に、被溶接物の表面状態、レーザの出力値、ピーク電流値Ip等の設定によっては、この期間中に陰極点が移動しない場合もある。どちらの場合でも溶接品質への影響はない。
【0046】
上述した実施例1の溶接方法では、レーザ照射によって高速溶接が可能となり、かつ、交流アークによって大きなギャップ許容範囲を有し、かつ、レーザ照射によって再点弧電圧を印加しないで円滑にアークの再点弧を行うことができると共に再点弧後のアーク切れも発生しない。したがって、大きなギャップのある継手部分に対して良好な高速溶接を行うことができる。
【0047】
[実施例2]
実施例2の発明は、電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す消耗電極交流アーク溶接方法において、被溶接物のアーク発生部又はその周辺部にレーザを照射することによって、被溶接物及びそれに近接する溶接ワイヤ1の先端部の温度を上昇させると共に、交流アークの極性切換時に従来技術2のときの半分以下の値である50[V]以上150[V]以下の低再点弧電圧LVrlを印加して、アークの再点弧を円滑に行わせるレーザ照射低再点弧電圧印加交流アーク溶接方法である。以下、実施例2の発明について説明する。
【0048】
実施例2のレーザ照射低再点弧電圧印加交流アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成は、前述した図8において再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73を図11で後述する低再点弧電圧印加交流アーク溶接電源装置に置換した構成となる。
図11は、上記の低再点弧電圧印加交流アーク溶接電源装置のブロック図である。同図の回路構成は、前述した図6の再点弧電圧印加回路VRSを低再点弧電圧印加回路LVRに置換した構成であり、それ以外の回路ブロックは同一である。この低再点弧電圧印加回路LVRは、電極マイナス期間信号Tenを入力として、電極プラス極性から電極マイナス極性への切換時に対応する上記の電極マイナス期間信号Tenの立上り時及び電極マイナス極性から電極プラス極性への切換時に対応する上記の電極マイナス期間信号Tenの立下り時に、前述した50[V]以上150[V]以下の低再点弧電圧LVrsを印加する。
【0049】
上述した実施例2の溶接方法では、低再点弧電圧LVrsを印加することによって、レーザ照射位置がアーク発生部から離れていても、上記の低再点弧電圧LVrs及びレーザ照射による温度上昇の両作用の相乗効果によって、アークの再点弧が円滑に行われ、かつ、印加される再点弧電圧値が従来技術2のときの半分以下と低いので、再点弧後のアーク切れも発生しない。ここで、上記の低再点弧電圧LVrsの下限値が50[V]である理由は、溶接電圧Vwの無負荷電圧値が50〜80[V]程度であるためにそれよりも低い再点弧電圧を印加しても上記の効果がないためである。他方、上記の低再点弧電圧LVrsの上限値が150[V]である理由は、これ以上高い再点弧電圧を印加すると、前述したように再点弧後のアーク切れが発生するためである。
【0050】
[実施例3]
実施例3の発明は、上述した実施例1及び実施例2におけるレーザの照射を、交流アークの極性切換時の直前から予め定めた照射時間Taの間だけ行うことによって、アークの再点弧を円滑に行わせる出力同期レーザ照交流アーク溶接方法である。すなわち、実施例1及び実施例2の発明においてはレーザを連続して照射しているが、実施例3の発明では上記の照射時間Taの間だけ断続してレーザを照射する。以下、実施例3の発明について説明する。
【0051】
図12は、実施例3の出力同期レーザ照射交流アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。同図の構成は、前述した図8において再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73を図12で後述する出力同期交流アーク溶接電源装置74に置換し、かつ、レーザ発振装置6を図13で後述する出力同期レーザ発振装置61に置換して、上記の出力同期交流アーク溶接電源装置74から上記の出力同期レーザ発振装置61へ交流アークの極性切換とレーザ照射とを同期させるための照射時間信号Taを出力する構成である。以下、両装置について説明する。
【0052】
図13は、上記の出力同期交流アーク溶接電源装置74のブロック図である。同図において、前述した図9と同一の回路ブロックには同一符号を付しそれらの説明は省略する。以下、図9とは異なる回路ブロックである点線で囲んだ電極プラス照射開始タイマ回路TPA、電極マイナス照射開始タイマ回路TEA及び照射時間タイマ回路TAについて説明する。
【0053】
電極プラス照射開始タイマ回路TPAは、ピーク期間信号Tpの出力終了(HighレベルからLowレベルへの変化)をトリガとして、予め定めた一定期間Highレベルとなる電極プラス照射開始信号Tpaを出力する。この電極プラス照射開始信号Tpaの出力の終了時点が、電極プラス極性から電極マイナス極性への極性切換時点から先行時間Tpbだけ前の時点になるように、上記の電極プラス照射開始信号Tpaの時間長さを設定する。
電極マイナス照射開始タイマ回路TEAは、電極マイナス期間信号Tenの出力終了(HighレベルからLowレベルへの変化)をトリガとして、予め定めた一定期間Highレベルとなる電極マイナス照射開始信号Teaを出力する。この電極マイナス照射開始信号Teaの出力の終了時点が、電極マイナス極性から電極プラス極性への極性切換時点から先行時間Tbだけ前の時点になるように、上記の電極マイナス照射開始信号Teaの時間長さを設定する。
照射時間タイマ回路TAは、上記の電極プラス照射開始信号Tpa及び電極マイナス照射開始信号Teaの両信号の出力終了をトリガとして、予め定めた一定期間Highレベルとなる照射時間信号Taを出力する。この信号Taは、出力同期レーザ発振装置61へと入力される。
【0054】
図14は、図12で前述した出力同期レーザ発振装置61のブロック図である。同図の回路ブロックは、前述した図3の回路ブロックとは出力同期開始回路STAのみが異なるので、以下に説明する。
出力同期開始回路STAは、前述した出力同期交流アーク溶接電源装置74からの照射時間信号Taが出力(Highレベル)されている間だけ、出力開始信号Stを出力する。その結果、上記の照射時間信号Taと同期してレーザが照射される。
【0055】
図15は、上述した出力同期交流アーク溶接電源装置74及び出力同期レーザ発振装置61における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示しており、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示しており、同図(C)はピーク期間信号Tpの時間変化を示しており、同図(D)は電極マイナス期間信号Tenの時間変化を示しており、同図(E)は電極プラス照射開始信号Tpaの時間変化を示しており、同図(F)は電極マイナス照射開始信号Teaの時間変化を示しており、同図(G)は照射時間信号Taの時間変化を示しており、同図(H)は出力同期レーザ発振装置61の出力開始信号Stの時間変化を示す。同図(A)〜(D)は前述した図7と同一であるので、それらの説明は省略する。以下、同図(E)〜(H)について説明する。
【0056】
▲1▼ 時刻t1において、同図(C)に示すように、ピーク期間信号Tpが出力されたことをトリガとして、同図(E)に示すように、電極プラス照射開始信号Tpaが、時刻t11までの電極プラス照射開始時間Tpaの間出力(Highレベル)される。図13の説明の項で前述したように、上記の電極プラス照射開始時間Tpaは、時刻t2の極性切換時の直前からレーザを照射するために予め定めた先行時間Tb及びピーク期間Tpによって、Tp−Tbとなるように設定される。
【0057】
▲2▼ 時刻t2において、同図(D)に示すように、電極マイナス期間信号Tenが出力されたことをトリガとして、同図(F)に示すように、電極マイナス照射開始信号Teaが、時刻t22までの電極マイナス照射開始時間Teaの間出力(Highレベル)される。図13の説明の項で前述したように、上記の電極マイナス照射開始時間Teaは、時刻t3の極性切換時の直前からレーザを照射するために予め定めた先行時間Tb及び電極マイナス期間Tenによって、Ten−Tbとなるように設定される。
【0058】
▲3▼ 同図(G)に示すように、照射時間信号Taは、上記の電極プラス照射開始信号Tpa又は電極マイナス照射開始信号Teaの立下りをトリガとして、予め定めた照射時間Taの間出力(Highレベル)される。したがって、極性切換時の前後の時刻t11〜t21及び時刻t22〜t31の両期間、照射時間信号Taが出力される。そして、同図(G)に示すように、出力開始信号Stも上記の両期間に出力(Highレベル)されて、これらの期間レーザが照射される。
【0059】
上述した実施例3の溶接方法では、極性換時の前後の照射時間にレーザを照射することによってアークの再点弧を円滑に行わせることができ、かつ、再点弧後のアーク切れも発生しない。
【0060】
[実施例4]
実施例4の発明は、上述した実施例1及び実施例2において、交流アークの極性切換時の直前から予め定めた照射時間Taの間は予め定めた高出力でレーザを照射し、それ以外の期間は予め定めた低出力でレーザを照射することによって、アークの再点弧を円滑に行わせる高低出力同期レーザ照交流アーク溶接方法である。すなわち、実施例1及び実施例2の発明においてはレーザを連続して照射しており、実施例3の発明では上記の照射時間Taの間だけ断続してレーザを照射しているが、実施例4の発明では、上述したように照射時間Taの間は高出力でレーザを照射し、それ以外の期間は低出力でレーザを照射する。以下、実施例4の発明について説明する。
【0061】
実施例4の高低出力同期レーザ照射交流アーク溶接方法を実施するための溶接装置は。前述した図12において出力同期レーザ発振装置61のみを図16で後述する高低出力同期レーザ発振装置62に置換した構成である。したがって、それ以外の構成物である出力同期交流アーク溶接電源装置74等は同一であるので、説明は省略する。以下、図12とは異なる上記の高低出力同期レーザ発振装置62について説明する。
【0062】
図16は、上記の高低出力同期レーザ発振装置62のブロック図である。同図において、前述した図3と同一の回路ブロックには同一符号を付しそれらの説明は省略する。以下、図3とは異なる高出力設定回路HPS、低出力設定回路LPS及び出力設定切換回路SPSについて説明する。
【0063】
高出力設定回路HPSは、レーザの高出力値[W]を設定する高出力設定信号HPsを出力する。低出力設定回路LPSは、レーザの低出力値[W]を設定する低出力設定信号LPsを出力する。出力設定切換回路SPSは、前述した出力同期交流アーク溶接電源装置74からの照射時間信号Taが入力されているとき(Highレベルのとき)はa側に切り換わり上記の高出力設定信号HPsを出力設定信号Psとして出力し、照射時間信号Taが入力されていないとき(Lowレベルのとき)はb側に切り換わり上記の低出力設定信号LPsを出力設定信号Psとして出力する。
【0064】
図17は、上述した実施例4の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示しており、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示しており、同図(C)はピーク期間信号Tpの時間変化を示しており、同図(D)は電極マイナス期間信号Tenの時間変化を示しており、同図(E)は電極プラス照射開始信号Tpaの時間変化を示しており、同図(F)は電極マイナス照射開始信号Teaの時間変化を示しており、同図(G)は照射時間信号Taの時間変化を示しており、同図(H)は出力同期レーザ発振装置62の出力設定信号Psの時間変化を示す。同図(A)〜(H)は前述した図15と同一であるので、それらの説明は省略する。以下、同図(H)について説明する。
【0065】
同図(H)に示すように、出力設定信号Psは、同図(G)に示す照射時間信号TaがHighレベルの期間は高出力設定信号HPsの値となり、Lowレベルの期間は低出力設定信号LPsの値となる。したがって、交流アークの極性切換時の前後の照射時間Ta中は高出力でレーザを照射し、それ以外の期間中は低出力でレーザを照射する。
【0066】
上述した実施例4の溶接方法では、極性切換時の前後の照射時間に高出力でレーザを照射することによってアークの再点弧を円滑に行わせることができ、かつ、再点弧後のアーク切れも発生しない。
【0067】
図13で前述した実施例3及び実施例4の出力同期交流アーク溶接電源装置74では、低再点弧電圧印加回路LVRがない場合を例示したが、この低再点弧電圧印加回路LVRがある場合も同様である。
【0068】
[効果]
図18は、本発明の効果を示すギャップ許容範囲比較図である。同図は、下記の溶接条件下において、横軸に示す溶接速度[m/分]に対して良好な溶接を行うことができる縦軸に示す最大ギャップ長[mm]を従来技術1、従来技術2及び本発明の各溶接方法で比較した図である。同図は、被溶接物に板厚1[mm]のアルミニウム・マグネシウム合金(JIS A5052)を使用し、溶接ワイヤには直径1.2[mm]のアルミニウム・マグネシウム合金ワイヤ(JIS A5356)を使用して、重ねすみ肉溶接を行った場合である。
【0069】
同図に示すように、従来技術1のレーザ照射直流アーク溶接方法においては、溶接速度が2[m/分]で溶接可能な最大ギャップ長はわずか0.3[mm]であり、溶接速度が3[m/分]を超えるとさらに小さなギャップ長しか許容されない。また、従来技術2の交流アーク溶接方法においては、溶接速度が2[m/分]以下では溶接可能な最大ギャップ長が約1.5[mm]と大きいが、それ以上の溶接速度では入熱不足によって溶接することができない。
これに対して、本発明のレーザ照射交流アーク溶接方法においては、溶接速度が2[m/分]で溶接可能な最大ギャップ長は1.5[mm]と大きく、かつ、溶接速度が5[m/分]でも溶接可能な最大ギャップ長は1.0[mm]と大きい。そのために、本発明の溶接方法では、2[m/分]を超える高速溶接時においても大きなギャップ許容範囲を有しているので、実施施工における適用範囲を大きく拡大することができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明のレーザ照射交流アーク溶接方法では、交流アークの発生部へのレーザ照射による高密度エネルギーの入熱によって2[m/分]を超える高速溶接が可能となり、かつ、レーザ照射による照射部周辺の温度上昇によって交流アークの極性切換時のアークの再点弧が円滑になると共に再点弧後のアーク切れも発生しないで、かつ、交流アーク溶接による溶接ワイヤのギャップ部分への充填によって高速溶接時のギャップ許容範囲が大きくなるので、継手部に大きなギャップのある被溶接物に対しても2[m/分]を超え5[m/分]程度までの良好な高速溶接を行うことができる。
実施例3及び実施例4の発明は、上記の効果に加えて、レーザ照射を断続して又は高低出力を切り換えて照射することによってレーザ照射による被溶接物への入熱量を精密に制御することができるので、溶接結果の品質向上及びその適用範囲の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を例示す溶接装置の構成図
【図2】従来技術1のレーザ照射直流アーク溶接方法の溶接装置構成図
【図3】従来技術1のレーザ発振装置のブロック図
【図4】従来技術2の交流アーク溶接方法の溶接装置構成図
【図5】従来技術2の出力波形を示す電流・電圧波形図
【図6】従来技術2の交流アーク溶接電源装置72のブロック図
【図7】従来技術2における各信号のタイミングチャート
【図8】実施例1の溶接装置構成図
【図9】実施例1の再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置73のブロック図
【図10】実施例1の溶接電流・電圧波形と交流アーク発生状態との関係図
【図11】実施例2の低再点弧電圧印加交流アーク溶接電源装置のブロック図
【図12】実施例3の出力同期レーザ照射交流アーク溶接方法の溶接装置構成図
【図13】実施例3の出力同期交流アーク溶接電源装置74のブロック図
【図14】実施例3の出力同期レーザ発振装置61のブロック図
【図15】実施例3における各信号のタイミングチャート
【図16】実施例4の高低出力同期レーザ発振装置62のブロック図
【図17】実施例4における各信号のタイミングチャート
【図18】本発明の効果を示すギャップ許容範囲比較図
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ
2 被溶接物
31 直流アーク
33 交流アーク
41 レーザ用トーチ
42 溶接トーチ
5 送給ロ―ル
6 レーザ発振装置
61 出力同期レーザ発振装置
62 高低出力同期レーザ発振装置
71 直流アーク溶接電源装置
72 交流アーク溶接電源装置
73 再点弧電圧無印加交流アーク溶接電源装置
74 出力同期交流アーク溶接電源装置
AC 商用溶接電源装置
CM 比較回路
Cm 比較信号
D2a〜D2d 2次清流器
DR 極性切換ドライブ回路
EA 誤差増幅回路
Ea 誤差増幅信号
EN 電極マイナス極性
EP 電極プラス極性
HPS 高出力設定回路
HPs 高出力設定信号
IB ベース電流設定回路
Ib ベース電流(設定信号)
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
IEN 電極マイナス電流設定回路
Ien 電極マイナス電流(設定信号)
INT 高周波変圧器
INV 出力制御回路
IP ピーク電流設定回路
Ip ピーク電流(設定信号)
Isc 電流制御設定信号
Iw 溶接電流
LPS 低出力設定回路
LPs 低出力設定信号
LVR 低再点弧電圧印加回路
LVrs 低再点弧電圧
Nd 電極マイナス極性ドライブ信号
NTR 電極マイナス極性トランジスタ
Pd 電極プラス極性ドライブ信号
PS 出力設定回路
Ps 出力設定信号
PTR 電極プラス極性トランジスタ
ROC レーザ出力制御回路
SE 電極マイナス期間切換回路
Se 切換設定信号
SP ピーク期間切換回路
SPS 出力設定切換回路
ST 出力開始回路
St 出力開始信号
STA 出力同期開始回路
t 時刻
TA 照射時間タイマ回路
Ta 照射時間(信号)
Tb ベース期間(信号)
TEA 電極マイナス照射開始タイマ回路
Tea 電極マイナス照射開始(時間/信号)
TEN 電極マイナス期間タイマ回路
Ten 電極マイナス期間(信号)
TP ピーク期間タイマ回路
Tp ピーク期間(信号)
TPA 電極プラス照射開始タイマ回路
Tpa 電極プラス照射開始(時間/信号)
Vb ベース電圧
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vep 電極マイナス電圧
Vp ピーク電圧
VRS 再点弧電圧印加回路
Vrs 再点弧電圧
VS 電圧設定回路
Vs 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
WL 溶接リアクトル

Claims (1)

  1. 消耗電極を被溶接物へ送給すると共に、電極プラス極性と電極マイナス極性とを交互に繰り返す交流アークを消耗電極・被溶接物間に発生させて溶接する交流アーク溶接方法において、
    前記被溶接物のアーク発生部又はその周辺部に、交流アークの極性切換時の直前から予め定めた照射時間の間は予め定めた高出力で、それ以外の期間は予め定めた低出力でレーザを照射することによって前記被溶接物及びそれに近接する前記溶接ワイヤの先端部の温度を上昇させて、前記交流アークの極性切換時のアークの再点弧を再点弧電圧を印加しないで円滑に行わせるレーザ照射交流アーク溶接方法。
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