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JP4772264B2 - リパーゼ阻害物質の新規用途 - Google Patents

リパーゼ阻害物質の新規用途 Download PDF

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JP4772264B2
JP4772264B2 JP2002515365A JP2002515365A JP4772264B2 JP 4772264 B2 JP4772264 B2 JP 4772264B2 JP 2002515365 A JP2002515365 A JP 2002515365A JP 2002515365 A JP2002515365 A JP 2002515365A JP 4772264 B2 JP4772264 B2 JP 4772264B2
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Description

【0001】
本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病を予防および治療するための新規の方法に関し、特に、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病(高コレステロール血症)を処置するためのリパーゼ阻害物質、例えば、下記式I:
【0002】
【化1】
Figure 0004772264
【0003】
の化合物(オルリスタット)および薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤の使用に関する。
【0004】
胆汁酸封鎖剤は、循環血液中のコレステロール濃度を低下させるための化合物として使用されることが提案されている。生物学的に、コレステロールは、胆汁酸への変換および中性ステロイドとしての排泄によって体から排除される。胆汁酸は、肝臓内でコレステロールから合成され、グリシン抱合体およびタウリン抱合体として胆汁に入る。これらは、消化の間に塩の形態で胆汁中に放出され、界面活性剤として作用して溶解度を高め、その結果、食事脂肪の消化を助ける。消化後、胆汁酸塩は、大部分、回腸において再吸収され、タンパク質と複合して、肝門脈により肝臓に戻る。能動輸送によって再吸収されない少量の胆汁酸塩は、遠位回腸および大腸によって糞便物質の一部として排泄される。胆汁酸は、肝臓のリポタンパク質中に輸送されたコレステロールから合成される。従って、対応する塩または抱合体として存在し得る胆汁酸の腸からの再吸収によって、リポタンパクコレステロールが血流中に維持される。こうした場合、腸管内の胆汁酸の再吸収を低下させることによって、腸肝系内で循環する胆汁酸の濃度を低下させることができ、それによって、肝臓において、コレステロールからの合成による胆汁酸の置換が促進される。その結果、循環血液中のコレステロール濃度が低下する。再吸収される胆汁酸の量を減少させる一つの方法は、腸管内の胆汁酸を封鎖し、それら自体、吸収されない化合物を経口投与することである。その結果として、封鎖された胆汁酸は、排泄される。
【0005】
オルリスタット(XENICAL(登録商標)、テトラヒドロリパスタチン)は、胃腸リパーゼ、すなわち、摂取した脂肪を分解する役割を果たすリパーゼ(胃リパーゼ、カルボキシエステルリパーゼ、膵臓リパーゼ)の有効な阻害物質である。この結果として、未吸収脂肪は、糞便中に排出される。膵臓リパーゼは、食事トリグリセリドを加水分解するために重要な酵素である。加水分解を免れたトリグリセリドは、腸において吸収されない。オルリスタットは、動物モデルにおいて脂肪吸収を阻害し、体重を減らすことを示している。人間での薬理学的研究において、脂肪吸収に対して効力のある阻害が実証されている。
【0006】
肥満症は、多くの場合、心臓血管の危険因子、特に、高濃度の血漿コレステロールを随伴する。高コレステロール濃度を処理するための臨床的に確立された原理は、胆汁酸封鎖剤の投与である。胆汁酸封鎖剤の一つの副作用は、便秘である。本発明は、太りすぎおよび高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病を予防および治療するための改善された方法を提供する。
【0007】
本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病の予防および治療用の薬物を製造するためのリパーゼ阻害物質と薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤の併用を提供する。驚くべきことに、この併用によって、コレステロール低下が進み、加えて、リパーゼ阻害物質および胆汁酸封鎖剤の投与で観察される副作用は減弱することとなる。
【0008】
より詳細には、本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病の予防および治療用の、すなわち、高コレステロール血症の処置用の薬物を製造するためのリパーゼ阻害物質、例えばオルリスタット、および薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤の使用に関する。好ましくは、薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤は、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、コレスチミド、セベラマー、セルロースおよびデキストラン誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体ならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0009】
別の指示が無い場合、本明細書に本発明を記載するために用いられる多様な用語の意味および範囲を説明し、定義するために、以下の定義を示す。
【0010】
本明細書中に用いられる場合、用語「薬学的に許容され得る」は、毒性の見地から緩衝剤または塩が許容され得ることを意味する。
【0011】
本明細書中に用いられる場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、生体に対して非毒性である、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびこれらに類するものなどの無機酸または有機酸と、リパーゼ阻害物質または胆汁酸封鎖剤との塩を意味する。第四アンモニウム基を有する胆汁酸封鎖剤の場合、薬学的に許容され得る塩は、相応じて、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびこれらに類するものを意味する。
【0012】
用語「リパーゼ阻害物質」は、リパーゼ、例えば、消化リパーゼおよび膵臓リパーゼの作用を阻害することができる化合物を指す。例えば、米国特許第4,598,089号に記載されているようなオルリスタットおよびリプスタチンは、リパーゼの有効な阻害物質である。リプスタチンは、微生物由来の天然産物であり、オルリスタットは、リプスタチンの水素化の結果物である。他のリパーゼ阻害物質には、一般にパンクリシンと呼ばれる種類の化合物が挙げられる。パンクリシンは、オルリスタットの類似体である(Mutohら、1994)。用語「リパーゼ阻害物質」は、例えば、国際公開公報第99/34786号(Geltex Pharmaceuticals Inc.)に記載されているポリマー結合リパーゼ阻害物質も指す。これらのポリマーは、それらがリパーゼを阻害する一つ以上の基で置換されていることを特徴とする。用語「リパーゼ阻害物質」は、これらの化合物の薬学的に許容され得る塩も包含する。用語「リパーゼ阻害物質」は、国際公開公報第00/40569号(Alizyme Therapeutics Ltd.)に記載されている2−オキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、例えば、2−デシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、6−メチル−2−テトラデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、および2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンも指す。最も好ましくは、用語「リパーゼ阻害物質」は、オルリスタットを指す。
【0013】
オルリスタットは、肥満症および高脂血症の制御および予防に有用な公知の化合物である。オルリスタットの製造方法も開示している1986年7月1日発行の米国特許第4,598,089号、および適切な医薬組成物を開示している米国特許第6,004,996号を参照のこと。さらに適する医薬組成物は、例えば、国際公開公報第00/09122号および同第00/09123号に記載されている。オルリスタットのさらなる製造方法は、欧州特許出願公開第185,359号、同第189,577号、同第443,449号および同第524,495号に開示されている。
【0014】
オルリスタットは、好ましくは、1日あたり60〜720mgを1日2〜3回に分割した用量で経口投与される。その場合、1日あたり180〜360mg、最も好ましくは360mgのリパーゼ阻害物質を1日2回または特に3回に分割した用量で患者に投与することが好ましい。患者は、好ましくは、肥満した人または太りすぎの人、すなわち、肥満度指数25以上の人である。一般に、リパーゼ阻害物質は、脂肪を含む食物を摂取して約1または2時間以内に投与されることが好ましい。一般に、上で定義したようなリパーゼ阻害物質の投与では、その処置が、肥満症の強い家族歴を有し、かつ肥満度指数25以上を得ていた人に施されることが好ましい。
【0015】
オルリスタットは、錠剤、コーティング錠、硬および軟ゼラチンカプセル、乳剤または懸濁剤などの通常の経口用組成物で人に投与することができる。錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルに使用することができる担体の例は、ラクトース、他の糖および糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、マルトデキストリンなど)、または他の充填剤;ラウリル硫酸ナトリウム、Brij 96またはTween 80のような界面活性剤;デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプンまたはそれらの誘導体のような崩壊剤;ポビドン、クロスポビドンのようなポリマー;タルク;ステアリン酸またはその塩、およびそれらに類するものである。軟ゼラチンカプセルに適する担体は、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固体および液体ポリオール、およびこれらに類するものである。さらに、この医薬品は、保存薬、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、コーティング剤および酸化防止剤を含有することができる。これらは、さらに他の治療上有益な物質も含有することができる。この製剤は、単位剤形で適便に提供することができ、製薬分野において知られているあらゆる方法によって製造することができる。好ましくは、オルリスタットは、本実施例および米国特許第6,004,996号にそれぞれ示されている処方に従って投与される。
【0016】
用語「胆汁酸封鎖剤」は、多様な因子、例えば、アミノ基、第四アンモニウム基などを有する陰イオン交換ポリマー(アミン含有ポリマー)によって、胆汁酸または胆汁酸塩に結合することができる種類の化合物を指す。より詳細には、この用語は、非共有結合性のファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用および/またはイオン相互作用によって生理学的に活性な胆汁酸および/または胆汁酸塩と複合体を形成することができる、異なる構造のオリゴマーまたはポリマー(グラフトポリマー、ブロックポリマー、マルチブロックポリマー、ホモポリマー、コポリマー)、デンドリマー、または第四アンモニウム基、置換もしくは非置換ピリジニウム基、置換もしくは非置換第一、第二もしくは第三アルキル−もしくはアリールアミン基、またはそれらのあらゆる統計的もしくは非統計的組み合わせのいずれかを含む過分枝構造を指す。例えば、これらの構造には、例えば、ポリ(リシン)、ポリ(乳酸−co−リシン)(PLAL)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(N−アルキルビニルアミン)、ポリ(N,N−ジアルキルアミン)、ポリ(N−アルキルアリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)および他の一または二置換ポリ(アミン)などのポリ(アミノ酸)を挙げることができる。さらに、ポリマーには、ポリ(ビニルピリジニル)、ポリ(アミドエナミン)、PAMAMデンドリマー、アゾ基を有するポリマー、ポリ(ジアルキルシロキサン)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、ポリ(アミド)、ポリ(エーテル)、ポリ(エステル)が含まれる。適する側鎖には、例えば、カチオン性もしくは中性の基、置換および非置換アルキルもしくはアリール基、飽和もしくは不飽和アルキル基、アミノ酸、またはアミンもしくはアンモニウム部分などの官能基を挙げることができる(Uhrichら、Chem. Rev. 1999, 99, 3181〜3198)。加えて、ポリ(アミノ糖)(キトサン)またはセルロース誘導体(例えば、ジエチルアミノエチルセルロース、グアニジノエチルセルロース)などの天然に産出し、後に合成的に修飾されたポリマーも特に興味深い。さらに重要な種類の胆汁酸封鎖剤は、ホスト−ゲスト包接複合体を形成することができる、βおよびγ−シクロデキストリンなどの化合物である。
【0017】
胆汁酸封鎖剤およびそれらの製造方法は、例えば、国際公開公報第95/34585号(Geltex Pharmaceuticals, Inc,; ポリアミン塩疎水性封鎖剤に関する)、同第94/27620号(Geltex Pharmaceuticals, Inc.;胆汁酸のための高分子封鎖剤の製造に関する)、および同第94/04596号(DuPont;架橋高分子アンモニウム塩に関する)に記載されている。
【0018】
例えば、本明細書中に定義されるようなアミン含有ポリマーは、国際公開公報第94/27620号に記載されている化合物を含むことができる。このポリマーまたはそれらのコポリマーは、下記式:
【0019】
【化2】
Figure 0004772264
【0020】
{式中、
nは、整数であり;
1は、Hまたはアルキル基(直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。例えば、メチルなどのC1〜C8アルキル)であり;
Mは、−C(O)−R2または−Z−R2であり;
Zは、O、NR3、Sまたは(CH2mであり;
mは、0〜10であり;
3は、Hまたはアルキル基(直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。例えば、メチルなどのC1〜C8アルキル)であり;そして
2は、下記式のとおりである:
【0021】
【化3】
Figure 0004772264
【0022】
〔この式中、
pは、0〜10であり、
4、R5およびR6は、それぞれ独立して、H、アルキル基(直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。例えば、メチルなどのC1〜C8アルキル)またはアリール基(例えば、一つ以上の環を有し、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。例えば、フェニル、ナフチル、イミダゾリルまたはピリジル〕である}を有する繰り返し単位によって特徴づけられる。好ましい態様において、ポリマーは、全モノマー重量を基準にして約0.5〜25重量%〔さらに好ましくは約2.5〜20重量%(または約1〜10重量%)〕の量で存在する多官能架橋性コモノマーによって架橋される。組成物は、治療上有効な量で摂取された時、非毒性であり、安定である。これらの化合物の製造は、国際公開公報第94/27620号(Geltex Pharmaceuticals Inc.)に記載されている。
【0023】
用語「胆汁酸封鎖剤」は、モレキュラーインプリンティングによって得ることができる化合物も指す。モレキュラーインプリンティングは、インプリントされるテンプレート分子の存在下でポリマーが製造されるテンプレート重合に基づく。得られるポリマーは、それらのマトリックス中のテンプレートの形状および化学的特性を記録し、テンプレート分子に対して特異的な結合特性を示す。この技術の最も有意な利点は、分子認識が可能な合成ポリマーの簡便な製造手順を提供することである。この手順では、特異的結合部位であることが予想されるターゲット分子に対する相補的部位を、分子の自己集合を利用して構築することができ、複雑な合成を必要としない。モレキュラーインプリントポリマーは説明されており、モレキュラーインプリントポリマーの有効性は、実証されている(Ansellら、Curr.Opin.Biotechnol. (1996), 7(1), 89〜94)。インプリントポリマーは、アミノ酸、糖、薬物およびヌクレオチドのクロマトグラフ分離に用いられている。放射リガンド結合アッセイにおいて、インプリントポリマーを代用抗体として用いて薬物が測定されている(Sheaら、Trends Polym. Sci. (1994), 2(5), 166〜73; Takeuchiら、Chromatography (1997), 18(2), 102-103; Nicholls, J.Molecular Recognition, (1998)11(1〜6), 79〜82)。用語「胆汁酸封鎖剤」は、これらの化合物の薬学的に許容され得る塩も包含する。
【0024】
さらに好ましくは、本発明は、薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤が、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、コレスチミド、セベラマー、セルロースおよびデキストラン誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩からなる群より選択される組成物または組合せに関する。
【0025】
コレスチラミン(Quantalan(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)は、公知の化合物であり、例えば、米国特許第4,902,501号およびその明細書で引用された参照に記述されている。これは、重合体スチレン−ジビニルベンゼン構造に結合した第四アンモニウム官能基を有する強カチオン性樹脂:
【0026】
【化4】
Figure 0004772264
【0027】
である。これは、1959年に治療に導入され、一般には高コレステロール血症の状態の管理に用いられる。コレスチラミンの治療活性は、腸の胆汁酸を封鎖し、それらの糞便排泄を7〜8倍まで増加させる樹脂の能力に相関する。高コレステロール濃度の患者の管理における随伴食事療法としてのコレスチラミン樹脂の使用は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed. Mack Publishing Co. (1975) p733〜734に示されている。コレスチラミンおよび適切な組成物の製造方法は、当技術分野において知られている(例えば、独国特許出願公開第38 08 191号明細書、欧州特許出願公開第347 014号、米国特許第5,695,749号、米国特許第4,172,120号および欧州特許出願公開第492 235号)。
【0028】
コレスチポール(Cholestabyl(登録商標)、Pharamacia & Upjohn)は公知の化合物であり、例えば、米国特許第3,692,895号、同第3,803,237号および同第5,807,582号ならびにそれらの明細書で引用された参照に記載されている。これは、5個のアミン窒素のうちの約1個がプロトン化されたジエチレントリアミンと1−クロロ−2,3−エポキシプロパン(エピクロロヒドリン)の高分子量コポリマーとして説明される塩基性陰イオン交換樹脂であり、すなわち、これは、5個のアミン窒素のうち約1個がプロトン化されたジエチレントリアミンとエピクロロヒドリンのコポリマー:
【0029】
【化5】
Figure 0004772264
【0030】
である。これは、吸湿性であり、水または水性液に入れると膨潤する薄黄色の樹脂である。Merck Index(Tenth Edition)#2440、2438頁を参照のこと。塩酸コレスチポールは、Colestid(登録商標)Granulesとして顆粒形態で市販されている。Physicians Desk Reference (PDR) 42nd Ed., p2119 (1988)を参照のこと。Colestid(登録商標)Granulesは、経口使用のための高脂血症用薬剤として市販されている。コレスチポールは、腸内で胆汁酸と結合して複合体を形成し、それが糞便中に排出される。この非全身的作用によって、腸肝循環から胆汁酸が一部除去されて、それらの再吸収が妨げられる。
【0031】
コレセベラムおよび塩酸コレセベラム(Cholestagel(登録商標)またはWelChol(登録商標))は、コレステロール低下剤である(Polym. Prepr. 2000, 41, 735〜736)。コレセベラムは、エピクロロヒドリンで架橋される、下記で言及される3つのアミンのポリアミンコポリマーである。別名は、1−ヘキサンアミニウム、N,N,N−トリメチル−6−(2−プロペニルアミノ)−、塩化物、(クロロメチル)オキシランと2−プロペン−1−アミンとN−2−プロペニル−1−デカンアミンとのポリマー、塩酸塩(9CI);または1−デカンアミン、N−2−プロペニル−、(クロロメチル)オキシランと2−プロペン−1−アミンと塩化N,N,N−トリメチル−6−(2−プロペニルアミノ)−1−ヘキサンアミニウムとのポリマー、塩酸塩(9CI);2−プロペン−1−アミン、(クロロメチル)オキシランとN−2−プロペニル−1−デカンアミンと塩化N,N,N−トリメチル−6−(2−プロペニルアミノ)−1−ヘキサンアミニウムとのポリマー、塩酸塩(9CI);オキシラン、(クロロメチル)−、2−プロペン−1−アミンとN−2−プロペニル−1−デカンアミンと塩化N,N,N−トリメチル−6−(2−プロペニルアミノ)−1−ヘキサンアミニウムとのポリマー、塩酸塩(9CI);Cholestagel;塩酸コレセベラム;GT 31−104;またはGT 31−104HBである(Holmes-Farley, S. ら; Polym. Prepr. (Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem.) (2000), 41(1), 735〜736も参照のこと)。該3つの関連するアミンは、下記の式:
【0032】
【化6】
Figure 0004772264
【0033】
を有する。エピクロロヒドリンは、下記の式:
【0034】
【化7】
Figure 0004772264
【0035】
を有する。コレセベラムおよび塩酸コレセベラムは、米国特許第5,607,669号、同第5,624,963号、同第5,679,717号、同第5,693,675号、同第5,917,007号および同第5,919,832号に記載されている。
【0036】
【化8】
Figure 0004772264
【0037】
セベラマーおよびその塩酸塩(Renagel(登録商標)、GelTex)は、経口投与を意図した重合リン酸塩結合剤である。塩酸セベラマーは、アミンの40%がプロトン化されている、エピクロロヒドリンで架橋されたポリ(塩酸アリルアミン):
【0038】
【化9】
Figure 0004772264
【0039】
である。これは、化学的には塩酸ポリ(アリルアミン−co−N,N′−ジアリル−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン)として知られている。塩酸セベラマーは、親水性であるが、水に不溶性である。この化合物、その製造および使用は、米国特許第5,496,545号および同第5,667,775号ならびに国際公開公報第95/05184号に記載されている。
【0040】
コレスチミド(Cholebine(登録商標);Mitsubishi-Tokyo Pharmaceuticals)は、1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの2−メチルイミダゾールのポリマー:
【0041】
【化10】
Figure 0004772264
【0042】
である。胆汁酸の結合は、例えば、Mitsukaら、Japanese Pharmacology & Therapeutics, 24 (Suppl. 4), 103,1996、Mitsukaら、Japanese Pharmacology & Therapeutics, 24 (Suppl. 4), 111, 1996および Mitsukaら、Japanese Pharmacology & Therapeutics, 24 (Suppl. 4), 127, 1996に記載されている。
【0043】
様々なセルロースおよびテキストラン陰イオン交換樹脂が、小腸の管腔内と類似したpHおよびイオン強度の条件下、インビトロで胆汁酸と結合する(Parkinson, Thomas M., J. Lipid Res. (1967), 8(1), 24〜9; Nichiforら、Pharama Sci. (1994), 4(6), 447〜52)。これらの物質のなかで、DEAE−セルロース、グアニジノエチルセルロースおよびDEAE−セファデックスを、コレステロールを与えた若雄鶏の餌に加えると、高コレステロール血症を軽減する。さらに、DEAE−セファデックスは、正常なコレステロール血の若雄鶏および犬において血清ステロールを減少させ、コレステロールを与えた高コレステロール血の若雄鶏および正常なコレステロール血の犬において血清リン脂質およびトリグリセリドを低下させ、高コレステロール血の若雄鶏において胆汁酸の糞便排泄を増加させた。これらの不溶性のカチオン性ポリマーは、明らかに、胆汁酸の腸肝循環を遮断することによってそれらの高コレステロール血に対する効果を発揮する。DEAE−セルロースは、ジエチルアミノエチル基がセルロースのヒドロキシル基と共有結合している化合物である。DEAE−セルロースは、公知の物質であり、市販されている(例えば、Sigma-Aldrich)。グアニジノエチルセルロースは、グアニジノエチル基がセルロースのヒドロキシル基と共有結合している化合物である。グアニジノエチルセルロールは、公知の物質であり、市販されている。DEAE−セファデックスは、ジエチルアミノエチル基がデキストランと共有結合している架橋デキストラン誘導体である。DEAE−セファデックス組成物は、市販されている(例えば、Pharmacia Fince Chemicals)。DEAE−セルロース、グアニジノエチルセルロースおよびDEAE−セファデックスは、胆汁酸封鎖剤として特に有用であり、DEAE−セルロースが好ましい。
【0044】
用語「デンプンおよびその誘導体」は、遊離胆汁酸塩および胆汁酸とならびに抱合胆汁酸塩および胆汁酸と包接複合体を形成することができる化合物を包含する。例は、β−およびγ−シクロデキストリンであり、これらは、それぞれ、7つおよび8つのアンヒドログルコース(C6105)単位を有する。これらの分子は、特定体積の中空の空洞を有するドーナツ形の環である。極性ヒドロキシル基が環の外側に配向して、外面に親水性の特性が付与される。対照的に空洞の内部は、疎水性(親油性)の特性を有する。このユニークな構造のため、「ホスト」分子としてのシクロデキストリンは、適するサイズ(一般に、80〜250の間の分子量のもの)、形状および疎水性の「ゲスト」分子を空洞内に保持することができる。(「Production and Potential Food Applications of Cyclodextrins」Food Technology,1998年1月, p96〜100)。β−およびγ−シクロデキストリンは、市販されている化合物である(例えば、Sigma-Aldrich)。デンプンおよびその誘導体の他の例は、老化および/または分解デンプン、例えば、マルトデキストリン、疎水性デンプン、アミロース、ならびにデンプン誘導体、例えば、デンプン−ジエチルアミノエチルエーテル、デンプン−2−ヒドロキシエチルエーテルおよびこれらに類するものである(「Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete」,H. P. Fiedler, Editio Cantor Aulendorf, Bd. 2., 3. Auflage, 1989, p.1147〜1154)。好ましくは、デンプン誘導体は、β−またはγ−シクロデキストリン、老化および/または分解デンプン、例えば、マルトデキストリン、疎水性デンプン、アミロース、デンプン−ジエチルアミノエチルエーテルおよびデンプン−2−ヒドロキシエチルエーテルから成る群より選択され、好ましくはβ−またはγ−シクロデキストリンから選択される(Wacker Chemie; Gattfosee)。
【0045】
好ましい態様において、胆汁酸封鎖剤は、セルロースまたはデキストラン誘導体、例えば、DEAE−セルロース、グアニジノエチルセルロースおよびDEAE−セファデックスであり、好ましくはDEAE−セルロースである。
【0046】
本発明のもう一つの好ましい態様において、デンプンまたはデンプン誘導体は、β−またはγ−シクロデキストリン、老化および/または分解デンプン、疎水性デンプン、アミロース、デンプン−ジエチルアミノエチルエーテルおよびデンプン−2−ヒドロキシエチルエーテル、好ましくは、β−またはγ−シクロデキストリンから成る群より選択される。
【0047】
本発明のさらなる態様において、胆汁酸封鎖剤は、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、コレスチミド、セベラマー、セルロース、DEAE−セルロース、グアニジノエチルセルロースおよびDEAE−セファデックス、デンプン、β−またはγ−シクロデキストリン、好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム、コレスチミド、セベラマー、DEAE−セルロースおよびβ−またはγ−シクロデキストリン、さらに好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、セベラマー、DEAE−セルロースおよびβ−またはγ−シクロデキストリン、最も好ましくは、コレスチラミン、コレスチポールおよびセベラマーからなる群より選択される。
【0048】
本発明の好ましい態様において、胆汁酸封鎖剤は、コレスチラミンである。さらに好ましい態様において、胆汁酸封鎖剤は、コレスチポールである。さらなる態様において、胆汁酸封鎖剤は、セベラマーである。
【0049】
リパーゼ阻害物質の化合物と胆汁酸封鎖剤の両方を配合する医薬組成物は、本発明の重要な態様である。こうした医薬組成物は、治療上有効な量の各化合物を含む。各投薬単位は、両方の化合物の一日用量を得ることができ、または投薬量の三分の一など、一日用量の一部を含有してもよい。あるいはまた、各投薬単位は、一方の化合物の全投薬量と他方の化合物の投薬量の一部を含有することができる。こうした場合、患者は、混合型投薬単位を一つと、もう一方の化合物のみを含有する単位を一つ以上、毎日服用する。
【0050】
具体的には、上記組成物は、a)約5〜約1000mgのリパーゼ阻害物質およびb)約0.1〜約20gの胆汁酸封鎖剤を含む組成物を指す。この組成物は、薬学的に許容され得る添加剤、例えば、希釈剤または担体を含むことができる。薬学的に許容される添加剤は、賦形剤、例えば、糖および/または糖アルコール、例えば、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、マルトデキストリンなど;界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、Brij 96またはTween 80;崩壊剤、例えば、デンプングルコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプンまたはそれらの誘導体;結合剤、例えば、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;滑沢剤、例えば、ステアリン酸またはその塩;流動性向上剤、例えば、二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、アスパルテーム;および/または着色剤、例えば、β−カロテンからなる群より選択することができる。
【0051】
好ましい組成物は、a)約5〜約1000mgのリパーゼ阻害物質;b)約0.1〜約20gの胆汁酸封鎖剤;および場合により、約0.1〜約10gの賦形剤、約0.05〜約3.0gの界面活性剤、約0.05〜約2.0gの崩壊剤、約0.02〜約2.0gの結合剤、約0.001〜約1.0gの滑沢剤、約0.1〜約5.0gの流動性向上剤、約0.01〜約4.0gの甘味剤、および約0.001〜約0.5gの着色剤の群より選択される薬学的に許容される添加剤を含むことができる。好ましいリパーゼ阻害物質は、オルリスタットである。
【0052】
より詳細には、本発明は、オルリスタットおよび薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤を、薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、希釈剤または担体とともに含む医薬組成物に関し、好ましくは、薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤が、上で定義したようなものから選択される組成物に関する。さらに好ましくは、リパーゼ阻害物質、例えばオルリスタットと、上記の胆汁酸封鎖剤の両方を含有する組成物は、5〜1000mgのリパーゼ阻害物質、好ましくは約10〜約500mgのリパーゼ阻害物質、さらに好ましくは約20〜約100mgのリパーゼ阻害物質、例えば、オルリスタットを含むことができる。オルリスタットについての好ましい量は、約10〜約360mg、好ましくは約30〜約120mg、最も好ましくは約40〜約80mgである。
【0053】
医薬組成物は、約0.1〜約20g、好ましくは約0.5〜約10g、最も好ましくは約1〜約5gの胆汁酸封鎖剤を含有することができる。好ましい胆汁酸塩封鎖剤は、コレスチラミンである。
【0054】
本発明による使用は、リパーゼ阻害物質および胆汁酸封鎖剤を、同時に、別々に、または逐次的に投与することを含む。
【0055】
本発明は、リパーゼ阻害物質またはその薬学的に許容され得る塩を、胆汁酸封鎖剤またはその薬学的に許容され得る塩および一つ以上の薬学的に許容され得る添加剤、例えば、希釈剤および/または担体と混合することを含む、上記の組成物の製造方法にも関する。
【0056】
経口剤形は、本発明における使用に好ましい構成であり、これらは、こうした投与用に知られている製薬形態、例えば、錠剤、カプセル、棒状形(bar)、サッシェ、顆粒、シロップまたは水性もしくは油性懸濁液である。薬学的に許容され得る賦形剤(希釈剤および担体)は、薬剤師の分野では公知である。錠剤は、活性化合物と、賦形剤、例えば、リン酸カルシウム;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;結合剤、例えば、微結晶性セルロースまたはポリビニルピロリドンおよび当技術分野において知られている他の任意の成分との混合物から成って、公知の方法によってその混合物を錠剤にすることができる。同様に、カプセル、例えば、添加剤を加えたまたは加えていない活性化合物を含有する硬または軟ゼラチンカプセルは、公知の方法によって製造することができる。カプセルの中身を、活性化合物が持続放出されるように、公知の方法を用いて処方することができる。例えば、錠剤およびカプセルは、上記のリパーゼ阻害物質および胆汁酸封鎖剤の量を各々適便に含有することができる。
【0057】
経口投与用の他の剤形には、例えば、水性媒質中に活性化合物を、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの非毒性懸濁化剤が存在する状態で含有する水性懸濁液、および適切な植物油、例えば、ラッカセイ油中に活性化合物を含有する油性懸濁液が挙げられる。活性化合物は、さらなる添加剤を用いてまたは用いずに顆粒にすることができる。顆粒は、患者が直接服用することができ、または服用前に適切な液体担体(例えば水)に添加することができる。顆粒は、崩壊剤、例えば、酸と炭酸塩または重炭酸塩とから成る発泡性の一組を含有して、液体媒質中への分散を促進することができる。
【0058】
本発明の組成物において、活性化合物は、所望であれば、他の適合する薬理学的に活性な成分を伴うことができる。場合により、ビタミンサプリメントを本発明の化合物とともに投与することができる。
【0059】
リパーゼ阻害物質および胆汁酸封鎖剤の両方の化合物は、同時に、別々にまたは逐次的に投与することができる。好ましくは、本化合物または組成物は、食事中、または食前もしくは食後1〜2時間に投与される。投与される胆汁酸封鎖剤の量は、患者の年齢、症状の重症度および患者の過去の病歴を含む多数の因子に依存し、投与する医師の裁量内にある。例えば、β−およびγ−シクロデキストリン(デンプン誘導体)、コレスチラミン、コレスチポール(アミン含有ポリマー)およびジエチルアミノエチルセルロース(セルロースまたはデキストラン誘導体)は、一日に0.1〜20g、好ましくは一日に1〜10gを投与することができ、デンプン、アミロースおよび上記の他の胆汁酸封鎖剤は、一日に1〜20gを越えて投与することができる。
【0060】
本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症の予防および治療用の薬物の製造における上記の化合物の組合せの使用も提供する。さらに、本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症の予防および治療において使用するための組合せおよび上記組成物を提供する。
【0061】
本発明は、適切な経口単位剤形中に、a)リパーゼ阻害物質である第一成分とb)胆汁酸封鎖剤である第二成分を含む、好ましくは、a)1〜100投薬量単位のオルリスタットとb)1〜100投薬単位の胆汁酸封鎖剤を含む、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症の予防および治療用キットにも関する。
【0062】
さらに、本発明は、胆汁酸封鎖剤またはその薬学的に許容され得る塩による処置も受けている患者において、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症を処置するための薬物の製造におけるリパーゼ阻害物質、例えば、オルリスタットの使用に関する。
【0063】
本発明のさらなる態様は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症の処置が必要な人の該疾病を処置する方法であって、そうした人に、治療上有効な量のリパーゼ阻害物質、例えばオルリスタット、および治療上有効な量の胆汁酸封鎖剤またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む方法に関する。これらの化合物の投与は、同時に、別々にまたは逐次的に行うことができる。
【0064】
本発明のさらなる態様は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病、すなわち、高コレステロール血症のために同時に、別々にまたは逐次的に使用するためのリパーゼ阻害物質、例えばオルリスタット、および胆汁酸封鎖剤ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩に関する。加えて、本発明は、高血漿中コレステロール濃度に関連する疾病の予防および治療に同時に、別々にまたは逐次的に使用するための配合製剤としてのリパーゼ阻害物質、例えばオルリスタット、および上で定義したような胆汁酸封鎖剤ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩を含む。
【0065】
下記の実施例を参照することによって、本発明をよりよく理解することができる。下記の実施例は、本明細書に記載する本発明を説明するものであり、制限するものではない。
【0066】
実施例
実施例1:研究
血漿コレステロールに対するオルリスタット〔XENICAL(登録商標)〕と胆汁酸封鎖剤コレスチラミン〔QUANTALAN(登録商標)〕の併用の影響を試験した。
【0067】
三人の高コレステロール血症のボランティア(女性一人、男性二人)が、1日2回、4週間のオルリスタット〔XENICAL(登録商標)〕の服用を開始して、安定な血漿中コレステロール濃度を確立した。彼らは、1日2回のオルリスタット〔XENICAL(登録商標)〕と、1日2回、4gのコレスチラミン〔QUANTALAN(登録商標)〕の併用をさらに4週間継続し、その後、4週間は、非服用期間とした。この処置スケジュールの血漿コレステロールに対する影響を表1に示す。
【0068】
三人すべての血漿コレステロールは、1日2回のXenicalでの6週間の処置の終わりには相当安定した。1日2回のXenical処置に1日2回のQuantalanを追加した後、血漿コレステロールは、明らかに、さらにほぼ20%低下した。この低下がQuantalan処置に関わることは、疑う余地が無い。Quantalanの服用を停止すると、血漿中コレステロール濃度は、Xenical単独時の値に戻った。
【0069】
この実験は、リパーゼ阻害物質と胆汁酸封鎖剤の混合服用によって、リパーゼ阻害物質単独の服用によりもたらされる血漿コレステロールの低下よりすぐれた血漿コレステロールの低下が達成される、すなわち、混合活性は、少なくとも相加的であることを実証した。
【0070】
コレスチラミンは、コレステロールの分解を増進することによってコレステロールの合成を増進することが知られている。この意味で、コレステロール合成低下化合物(推定)としてのXenical、およびコレステロール分解増進物質としての胆汁酸封鎖剤と混合したXenicalは、驚くべきことに、血漿コレステロール低下の有効成分を代表する。
【0071】
【表1】
Figure 0004772264
【0072】
実施例2:オルリスタット医薬組成物
【0073】
【表2】
Figure 0004772264
【0074】
手順:
1.適切なミキサー内で、オルリスタット、微結晶性セルロースおよびデンプングリコール酸ナトリウムを混和した。
2.純水中のポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムの溶液で顆粒状にした。
3.顆粒を押出機に通し、押出された物をスフェロナイザー(spheronizer)に通してペレットを形成した。
4.ペレットを30℃で乾燥させた。
5.タルクを添加して、混合した。
6.硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0075】
【表3】
Figure 0004772264
【0076】
手順:
1.適切なミキサー内でオルリスタット、微結晶性セルロースおよびデンプングリコール酸ナトリウムを混和した。
2.純水中のポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムの溶液で顆粒状にした。
3.顆粒を押出機に通し、押出された物をスフェロナイザーに通してペレットを形成した。
4.ペレットを30℃で乾燥させた。
5.タルクを添加して、混合した。
6.硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0077】
【表4】
Figure 0004772264
【0078】
手順:
1.適切なミキサー内でオルリスタット、ラクトース、微結晶性セルロースおよびデンプングリコール酸ナトリウムを混和した。
2.純水中のポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムの溶液で顆粒状にした。
3.顆粒を押出機に通し、押出された物をスフェロナイザーに通してペレットを形成した。
4.ペレットを30℃で乾燥させた。
5.タルクを添加して、混合した。
6.硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0079】
実施例3:胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0080】
【表5】
Figure 0004772264
【0081】
手順:
1.適切なミキサー内でコレスチラミンおよび二酸化ケイ素を混和した。
2.純水中のアスパルテームおよびβ−カロテンの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
3.顆粒を篩に通した。
4.顆粒を60℃で乾燥させた。
5.乾燥顆粒を篩に通した。
6.サッシェに充填した。
【0082】
実施例4:胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0083】
【表6】
Figure 0004772264
【0084】
手順:
1.適切なミキサー内でコレスチラミン、二酸化ケイ素およびサッカロースを混和した。
2.純水中のアスパルテームおよびβ−カロテンの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
3.顆粒を篩に通した。
4.顆粒を60℃で乾燥させた。
5.乾燥顆粒を篩に通した。
6.サッシェに充填した。
【0085】
実施例5:胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0086】
【表7】
Figure 0004772264
【0087】
手順:
1.適切なミキサーにコレスチラミンを充填した。
2.純水中のアスパルテームおよびβ−カロテンの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
3.顆粒を篩に通した。
4.顆粒を60℃で乾燥させた。
5.乾燥顆粒を篩に通した。
6.サッシェに充填した。
【0088】
実施例6:オルリスタット/胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0089】
【表8】
Figure 0004772264
【0090】
手順:
1.ミキサー内でオルリスタットを融解し、マルトデキストリンを添加した。
2.凝固するまで室温で混合した(第一部分)。
3.コレスチラミンを添加し、混合した。
4.純水中のアスパルテームの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
5.顆粒を篩に通した。
6.顆粒を60℃で乾燥させた。
7.乾燥顆粒を篩に通した(第二部分)。
8.両方の部分をミキサー内で混和した。
9.サッシェに充填した。
【0091】
実施例7:オルリスタット/胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0092】
【表9】
Figure 0004772264
【0093】
手順:
1.適切なミキサー内でコレスチラミン、オルリスタット、微結晶性セルロース(Avicel)、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを混和した。
2.純水中のラウリル硫酸ナトリウム、アスパルテームの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
3.顆粒を篩に通した。
4.顆粒を30℃で乾燥させた。
5.乾燥顆粒を篩に通した。
6.サッシェに充填した。
【0094】
実施例8:オルリスタット/胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0095】
【表10】
Figure 0004772264
【0096】
手順:
1.ミキサー内でオルリスタットを融解し、マルトデキストリンを添加した。
2.凝固するまで室温で混合した(第一部分)。
3.コレスチポールを添加し、混合した。
4.純水中のアスパルテームの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
5.顆粒を篩に通した。
6.顆粒を60℃で乾燥させた。
7.乾燥顆粒を篩に通した(第二部分)。
8.両方の部分をミキサー内で混和した。
9.サッシェに充填した。
【0097】
実施例9:オルリスタット/胆汁酸封鎖剤医薬組成物
【0098】
【表11】
Figure 0004772264
【0099】
手順:
1.適切なミキサー内でコレスチポール、オルリスタット、微結晶性セルロース(Avicel)、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを混和した。
2.純水中のラウリル硫酸ナトリウム、アスパルテームの溶液/コロイド懸濁液で顆粒状にした。
3.顆粒を篩に通した。
4.顆粒を30℃で乾燥させた。
5.乾燥顆粒を篩に通した。
6.サッシェに充填した。

Claims (12)

  1. 高コレステロール血症を予防および治療するための、
    オルリスタットおよび
    0.5〜10gのコレスチラミンおよびその薬学的に許容され得る塩からなる群より選択される、薬学的に許容され得る胆汁酸封鎖剤
    を含む医薬組成物。
  2. 5〜1000mgのオルリスタット、および0.5〜10gの胆汁酸封鎖剤、および場合により一つ以上の薬学的に許容され得る添加剤を含む、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 薬学的に許容され得る添加剤が、賦形剤、糖および/または糖アルコール;界面活性剤;崩壊剤;結合剤;滑沢剤;流動性向上剤;甘味剤;ならびに着色剤からなる群より選択される、請求項記載の医薬組成物。
  4. a)5〜1000mgのオルリスタット;
    b)0.5〜10gの胆汁酸封鎖剤;および
    場合により、0.1〜10gの賦形剤、糖および/または糖アルコール、0.05〜3.0gの界面活性剤、0.05〜2.0gの崩壊剤、0.02〜2.0gの結合剤、0.001〜1.0gの滑沢剤、0.1〜5.0gの流動性向上剤、0.01〜4.0gの甘味剤、および0.001〜0.5gの着色剤の群より選択される薬学的に許容され得る添加剤
    を含む、請求項または記載の医薬組成物。
  5. 10〜500mgのオルリスタットを含む、請求項のいずれか一項記載の医薬組成物。
  6. 20〜100mgのオルリスタットを含む、請求項記載の医薬組成物。
  7. 10〜360mgのオルリスタットを含む、請求項記載の医薬組成物。
  8. 30〜120mgのオルリスタットを含む、請求項記載の医薬組成物。
  9. 40〜80mgのオルリスタットを含む、請求項記載の医薬組成物。
  10. 1〜5gの胆汁酸封鎖剤を含む、請求項2〜9のいずれか一項記載の医薬組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項記載の胆汁酸封鎖剤またはその薬学的に許容され得る塩による処置も受けている患者において、高コレステロール血症を予防および治療するための、請求項1〜10のいずれか一項記載のオルリスタットを含む医薬組成物。
  12. 高コレステロール血症に同時に、別々にまたは逐次的に使用するための、請求項1〜10のいずれか一項記載のオルリスタットおよび請求項1〜のいずれか一項記載の胆汁酸封鎖剤およびそれらの薬学的に許容される塩。
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