以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置1は、画像読み取り装置2及び外部機器(パーソナルコンピュータ等)3と通信回線4によって接続された受信部5と、この受信部5で受信した画像データに基づいて画像書込部6を制御する画像記録制御部7と、画像書込部6によって静電潜像が書き込まれるドラム状の像担持体(感光体ドラム)8と、像担持体8の円周方向に沿って配設された帯電器9、現像器10及びクリーナー11と、像担持体8に形成されたトナー画像を用紙に転写する転写ロール12と、用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着器13と、定着器13でトナー画像の定着がなされた用紙を排出する排出ロール14と、排出ロール14によって排出された用紙を受ける排出トレイ15と、像担持体8及び転写ロール12の対向位置に向けて用紙を搬送する用紙搬送部16と、画像形成に使用される用紙を積載状態で収容する複数の給紙トレイ17と、給紙トレイ17に収容された用紙を供給する給紙部18とを備えた構成となっている。
図2は本発明の第1実施形態に係る給紙装置の構成を示す概略側面図である。給紙装置は、上述した給紙トレイ17と、給紙部18の他に、第1のエアー吹き付け部19と第2のエアー吹き付け部20を備えた構成となっている。
給紙トレイ17は、画像形成装置本体に対して抜き差し(出し入れ)可能に装着されるものである。給紙トレイ17は、所定枚数(複数枚)の用紙(用紙束)Pを積載状態で収容可能な空間を有し、この空間の底部に板状の用紙支持部材21が設けられている。用紙支持部材21は、給紙トレイ17の空間内で用紙Pを載置状態に支持するものである。用紙支持部材21は、ほぼ水平な姿勢で昇降機構(不図示)により昇降可能に支持されている。給紙トレイ17では、用紙支持部材21の主面(上面)と平行に用紙が支持される。したがって、給紙トレイ17での用紙の積載方向は、用紙支持部材21の主面と直交する方向となる。
また、給紙トレイ17の空間内では、用紙Pの前端部が給紙トレイ17の前壁部17Aに沿って揃えられる構成となっている。したがって、給紙トレイ17に収容される用紙Pの前端位置は、給紙トレイ17の前壁部17Aに沿う位置となる。ここで、用紙Pの前端部とは、給紙トレイ17内で給紙方向Yの下流側を向いて配置される用紙Pの端部をいう。また、給紙方向Yとは、給紙部18によって給紙トレイ17から用紙Pを供給するときに用紙Pが移動する方向をいう。
給紙部18は、用紙の送り出しが行われる側(図例では左側)に配置されている。給紙部18は、給紙トレイ17内で用紙支持部材21の上に積載された用紙Pを最上位から順に供給するもので、ピックアップロール22と、フィードロール23と、リタードロール24とを用いて構成されている。このうち、ピックアップロール22は「呼び出し手段」を構成し、フィードロール23とリタードロール24は「送り出し手段」を構成するものである。
ピックアップロール22は、給紙トレイ17に収容された用紙Pを最上位から順に呼び出すものである。さらに詳述すると、ピックアップロール22は、給紙トレイ17に収容された用紙Pを順に供給するときに下降して用紙Pの最上面に所定の押圧力で当接し、この当接状態で図の時計回り方向に回転することにより、給紙トレイ17から順に用紙Pを呼び出すものである。用紙Pの最上面とは、給紙トレイ17に収容された用紙Pのなかで、最上位に配置された用紙Pの上面をいう。
フィードロール23とリタードロール24は、ピックアップロール22によって給紙トレイ17から呼び出された用紙Pを給紙方向Yの下流側に送り出すものである。これらのロール23,24は、給紙トレイ17の前壁部17Aよりも給紙方向Yの下流側に配置されている。また、フィードロール23とリタードロール24は、フィードロール23を上側、リタードロール24を下側にして、互いに圧接する状態で配置されている。フィードロール23は、図示しないモータの駆動によって図の時計回り方向に回転することにより、ピックアップロール22によって呼び出された用紙Pを、リタードロール24との間でニップしつつ上記用紙搬送部16に向けてフィードするものである。リタードロール24は、ピックアップロール22によってフィードロール23との間(ニップ位置)に呼び出された用紙Pの下面側に接触し、この接触状態で下面側の用紙に適度な摩擦抵抗力(ブレーキ力)を付与することにより、用紙の重送を抑止するものである。
第1のエアー吹き付け部19は、給紙トレイ17に収容された用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることにより、当該用紙Pを分離するものである。さらに詳述すると、第1のエアー吹き付け部19は、給紙トレイ17に収容された用紙Pの前端部に給紙方向Yの下流側からエアーを吹き付けることにより、上層部の用紙P間にエアーを吹き込んで用紙同士を分離し、用紙間の密着を解くものである。
第1のエアー吹き付け部19は、例えばブロワーやファンなどのエアー発生装置(不図示)と、このエアー発生装置で発生させたエアーの流路を形成する第1のダクト19Aとを用いて構成されている。第1のダクト19Aの先端部はエアー吹き出し口19Bとして開口している。また、第1のダクト19Aの先端部は給紙トレイ17の前壁部17Aに接続され、これによって給紙トレイ17の前壁部17Aにエアー吹き出し口19Bが形成されている。したがって、第1のダクト19Aを通してエアー吹き出し口19Bから吹き出されるエアーの向きは給紙方向Yに対して逆向きになる。また、用紙積載方向における第1のダクト19Aの開口寸法及び接続位置は、用紙支持部材21に積載状態で支持された用紙Pの少なくとも上層部にエアーが吹き付けられる条件で設定されている。
第2のエアー吹き付け部20は、ピックアップロール22によって給紙トレイ17から呼び出された用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることにより、当該用紙Pを分離するものである。さらに詳述すると、第2のエアー吹き付け部20は、給紙トレイ17から呼び出された用紙Pの前端部に給紙方向Yの下流側からエアーを吹き付けることにより、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが密着したまま呼び出された場合に、これらの用紙P間にエアーを吹き込んで用紙同士を分離し、用紙間の密着を解くものである。
第2のエアー吹き付け部20は、例えばブロワーやファンなどのエアー発生装置(不図示)と、このエアー発生装置で発生させたエアーの流路を形成する第2のダクト20Aとを用いて構成されている。エアー発生装置については、第1のエアー吹き付け部19と第2のエアー吹き付け部20で共用の構成とすることが望ましい。第2のダクト20Aの先端部はエアー吹き出し口20Bとして開口している。また、第2のダクト20Aの先端部は、給紙トレイ17と搬送ロール対25との間に設けられた上下一対のシュート26A,26Bのうち、下側のシュート26Bに接続され、これによって下側のシュート26Bにエアー吹き出し口20Bが形成されている。一対のシュート26A,26Bは、当該一対のシュート26A,26Bよりも給紙方向Yの下流側に設けられた一対のシュート27A,27Bとともに、用紙Pの進行方向を案内するシュート部材となるものである。すなわち、フィードロール23及びリタードロール24によって送り出された用紙Pは、一対のシュート26A,26Bと一対のシュート27A,27Bに順に案内されながら給紙方向Yの下流側へと進行する。
また、下側のシュート26Bに対する第2のダクト20Aの接続位置は、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置(圧接位置)よりも給紙方向Yの下流側(図の左側)に設定されている。これにより、第2のエアー吹き付け部20のエアー吹き出し口20Bは、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置よりも給紙方向Yの下流側に配置され、そこから当該ニップ位置に向けて斜め上方にエアーを吹き出す構成となっている。
上記構成からなる給紙装置においては、給紙トレイ17に収容された用紙Pを給紙部18で順に供給する際に、第1のエアー吹き付け部19のエアー吹き出し口19Bからエアーを吹き出させることにより、給紙トレイ17に収容された用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける。これにより、給紙トレイ17に収容された上層部の用紙Pを第1のエアー吹き付け部19からのエアーの吹き付けによって分離させることが可能となる。
また、給紙トレイ17に収容された用紙Pの最上面にピックアップロール22を当接させて矢印方向(時計回り方向)に回転させると、これにしたがって最上位の用紙Pが給紙トレイ17から呼び出される。こうして呼び出された用紙Pの前端部は、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向かって進む。このとき、上述した第1のエアー吹き付け部19によるエアーの吹き付けと合わせて、第2のエアー吹き付け部20のエアー吹き出し口20Bからエアーを吹き出せることにより、上記ニップ位置に向かう用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける。これにより、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが重なった状態(密着した状態)で呼び出された場合でも、当該複数枚の用紙Pを第2のエアー吹き付け部20からのエアーの吹き付けによって分離させることが可能となる。
このように本発明の第1実施形態に係る給紙装置では、給紙トレイ17に用紙Pを収容している第1の段階と、ピックアップロール22によって用紙Pを呼び出した第2の段階(具体的には用紙Pの前端部が給紙トレイ17の前壁部17Aを通過してフィードロール23とリタードロール24のニップ位置に取り込まれるまでの期間)で、それぞれ第1のエアー吹き付け部19と第2のエアー吹き付け部20により用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることにより、給紙トレイ17に収容された用紙Pを供給するときに、従来よりもエアーの吹き付け期間を長く確保することが可能となる。
すなわち、従来の給紙装置では、給紙トレイ17に収容されている状態でないと用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることができなかったが、本発明の第1実施形態に係る給紙装置では、給紙トレイ17から呼び出された後でも用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることができる。このため、第1の段階で用紙を分離できなかった場合や用紙の分離が不十分だった場合でも、第2の段階で再度エアーを吹き付けることにより用紙を分離させることができる。したがって、エアーの吹き付けによる用紙の分離効果を高めて、重送の発生を防止することが可能となる。
なお、上記図2においては、第2のエアー吹き付け部20を構成する第2のダクト20Aの先端部(エアー吹き出し口20B)を下側のシュート26Bに接続しているが、これに限らず、例えば図3(A)に示すように、第2のダクト20Aの先端部を上側のシュート26Aに接続し、そこからフィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向けて斜め下方にエアーを吹き出す構成としてもよい。また、図3(B)に示すように、一対のシュート27A,27Bを断面略円弧状に形成するとともに、外側のシュート27Bに第2のダクト20Aの先端部を接続し、そこからフィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向けてほぼ水平にエアーを吹き出す構成としてもよい。
図4は本発明の第2実施形態に係る給紙装置の構成を示す図である。この第2実施形態においては、上記第1実施形態に比較して、第2のエアー吹き付け部20の構成が異なるものとなっている。すなわち、第2のエアー吹き付け部20は、前述した上側のシュート26Aとともに用紙Pの進行方向を案内するシュート部材28を用いて構成されている。シュート部材28は、断面略三角形に形成されるとともに、給紙方向Yと直交する方向(以下、「用紙幅方向」とも記す)に細長い中空構造をなすもので、上記シュート26Aと対向する面を用紙のガイド面29としている。
シュート部材28の長手方向の中間部には、リタードロール24との接触を避けるために凹状の逃げ部30が設けられ、この逃げ部30の両側に長方形のエアー吹き出し口31が左右に対をなして形成されている。また、シュート部材28には、当該シュート部材28の長手方向に沿って中空のダクト部32が一体に形成されている。ダクト部32は、一対のエアー吹き出し口31に連通する状態で形成されている。ダクト部32の一端部は、シュート部材28の一端部で開口し、この開口を通して、図示しないエアー発生装置で発生させたエアーがダクト部32に取り込まれる構成となっている。また、ダクト部32の他端部は、ダクト部32の開口側から見て奥側のエアー吹き出し口31との連通部で閉止している。したがって、エアー発生装置で発生させたエアーは、シュート部材28のダクト部32を通して左右一対のエアー吹き出し口31から同時に吹き出される構成となっている。また、給紙方向Yと直交する方向(図の奥行き方向)から見ると、シュート部材28の各エアー吹き出し口31からは、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向けて斜め上方にエアーが吹き出す構成となっている。
上記構成からなる給紙装置においては、給紙トレイ17に収容された用紙Pを給紙部18で順に供給する際に、第1のエアー吹き付け部19のエアー吹き出し口19Bからエアーを吹き出させることにより、給紙トレイ17に収容された用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける。これにより、給紙トレイ17に収容された上層部の用紙Pを第1のエアー吹き付け部19からのエアーの吹き付けによって分離させることが可能となる。
また、給紙トレイ17に収容された用紙Pの最上面にピックアップロール22を当接させて矢印方向(時計回り方向)に回転させると、これにしたがって最上位の用紙Pが給紙トレイ17から呼び出される。こうして呼び出された用紙Pの前端部は、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向かって進む。このとき、上述した第1のエアー吹き付け部19によるエアーの吹き付けと合わせて、第2のエアー吹き付け部20の各エアー吹き出し口31からエアーを吹き出せることにより、上記ニップ位置に向かう用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける。これにより、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが重なった状態(密着した状態)で呼び出された場合でも、当該複数枚の用紙Pを第2のエアー吹き付け部20からのエアーの吹き付けによって分離させることが可能となる。
このように本発明の第2実施形態に係る給紙装置では、上記第1実施形態と同様に、給紙トレイ17に用紙Pを収容している第1の段階と、ピックアップロール22によって用紙Pを呼び出した第2の段階で、それぞれ第1のエアー吹き付け部19と第2のエアー吹き付け部20により用紙Pの前端部にエアーを吹き付けることにより、給紙トレイ17に収容された用紙Pを供給するときに、従来よりもエアーの吹き付け期間を長く確保することが可能となる。このため、第1の段階で用紙を分離できなかった場合や用紙の分離が不十分だった場合でも、第2の段階で再度エアーを吹き付けることにより用紙を分離させることができる。したがって、エアーの吹き付けによる用紙の分離効果を高めて、重送の発生を防止することが可能となる。
また、上側のシュート26Aとともに用紙Pの進行方向を案内するシュート部材28に一対のエアー吹き出し口31を形成し、このシュート部材28を用いて第2のエアー吹き付け部20を構成しているため、給紙装置に第2のエアー吹き付け部20を実装するにあたって、部品点数を増やすことなく、第2のエアー吹き付け部20の実装スペースを容易に確保することができる。
なお、上記図4においては、下側のシュート26Bに代えてシュート部材28を設け、このシュート部材28に形成されたエアー吹き出し口31から上記ニップ位置に向けて斜め上方にエアーを吹き出す構成としたが、これに限らず、例えば図5(A)に示すように、上側のシュート26Aに代えてシュート部材28を設け、このシュート部材28に形成されたエアー吹き出し口31から上記ニップ位置に向けて斜め下方にエアーを吹き出す構成としてもよい。また、図5(B)に示すように、上記外側のシュート27B(図3(B)参照)に代えてシュート部材28を設け、このシュート部材28に形成されたエアー吹き出し口31から上記ニップ位置に向けてほぼ水平にエアーを吹き出す構成としてもよい。
図6は本発明の第3実施形態に係る給紙部18の構成を示すもので、(A)は給紙方向の下流側から給紙部18を見た図、(B)は(A)のE−E断面図である。フィードロール23は、ゴム製のロール部材からなるものであって、用紙幅方向のセンター位置(図中E−E断面位置)を基準に左右に対をなして配置されている。一対のフィードロール23は、用紙幅方向に所定の間隔を隔てて配置されるとともに、共通のフィードロールコア33の両端に嵌合状態で固定されている。フィードロールコア33は、例えば金属製のコア部材であって、フィードロール23よりも小径の円柱状(又は円筒状)に形成されている。これと同様に、リタードロール24も上記センター位置を基準に左右に対をなして配置され、かつ共通のリタードロールコア34の両端に嵌合状態で固定されている。
このようにフィードロール23とリタードロール24をそれぞれ左右一対の構成とすることにより、給紙方向Yの下流側から給紙部18を見たときに、左右のロール(23,24)とそれらをつなぐロールコア(33,34)により、空間的に閉じられた囲い空間部35が形成される。そして、一対のフィードロール23とリタードロール24は、囲い空間部35の両側でそれぞれニップ(圧接)した状態となる。
図7は本発明の第3実施形態に係る給紙装置の構成を示す図である。この第3実施形態においては、上記第2実施形態に比較して、第2のエアー吹き付け部20を構成するシュート部材28の構造が異なるものとなっている。すなわち、シュート部材28の長手方向の中間部には1つのエアー吹き出し口31が形成され、このエアー吹き出し口31を避けるように凹状の逃げ部30が形成されている。逃げ部30は、上述した一対のリタードロール24とリタードロールコア34の形状に合わせて形成されている。エアー吹き出し口31は、一対のリタードロール24とリタードロールコア34を逃げ部30に配置したときに、リタードロールコア34の近傍に開口状態で配置される構成となっている。また、エアー吹き出し口31は、当該エアー吹き出し口31から吹き出したエアーが上述した左右一対のロール部材(23,24)の間で囲い空間部35を吹き抜けるように、給紙方向Yの上流側を向いて斜め上向きに形成されている。
上記構成からなる給紙装置においては、第2のエアー吹き付け部20を構成するシュート部材28のエアー吹き出し口31からエアーを吹き出させるとともに、このエアーを上述した囲い空間部35(図6参照)を通して用紙Pの前端部に吹き付けることにより、上記実施形態と同様にエアーの吹き付け期間を長く確保することが可能となる。このため、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが重なった状態で呼び出された場合でも、当該複数枚の用紙Pを第2のエアー吹き付け部20からのエアーの吹き付けによって分離させることが可能となる。また、囲い空間部35は用紙幅方向のセンター位置に形成されるため、この囲い空間部35を吹き抜けるようにエアー吹き出し口31からエアーを吹き出させることにより、用紙幅のセンター位置に効率良くエアーを吹き付けることができる。
なお、上記図7においては、下側のシュート26Bに代えてシュート部材28を設け、このシュート部材28に形成されたエアー吹き出し口31から上記囲い空間部35を通して用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける構成としたが、これに限らず、例えば図8に示すように、上側のシュート26Aに代えてシュート部材28を設け、このシュート部材28に形成されたエアー吹き出し口31から上記囲い空間部35を通して用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける構成としてもよい。また、図示はしないが、上記外側のシュート27B(図3(B)参照)に代えてシュート部材を設け、このシュート部材に形成されたエアー吹き出し口から上記囲い空間部35を通して用紙Pの前端部にエアーを吹き付ける構成としてもよい。
図9は本発明の第4実施形態に係る給紙部18の構成を示すもので、(A)は給紙方向の下流側から給紙部18を見た図、(B)は(A)はF−F断面図、(C)は(A)の一部破断図である。この第4実施形態においては、給紙部18と一体構造で第2のエアー吹き付け部20が構成されている。以下に具体的な構成例について説明する。まず、フィードロール23は、上記第3実施形態と同様に用紙幅方向のセンター位置を基準に左右に対をなして配置されている。一対のフィードロール23は、用紙幅方向に所定の間隔を隔てて配置されるとともに、共通のフィードロール軸36に嵌合状態で固定されている。フィードロール軸36は、断面円形の中実軸によって構成されている。
また、リタードロール24は、フィードロール23と同様に左右に対をなして配置されている。一対のリタードロール24は、リタードロールコア34を介してリタードロール軸37に取り付けられている。リタードロール軸37の両端部は、一対の軸保持部材38によって固定状態に保持されている。リタードロールコア34はリタードロール軸37に回転自在に嵌合されている。また、リタードロール軸37にはトルクリミッター39が取り付けられている。トルクリミッター39は、主として固定子と回転子からなるもので、予め設定された所定値以上の回転トルクが加わったときに回転子が回転する仕組みになっている。トルクリミッター39の固定子は、固定ピン40を用いてリタードロール軸37に固定されている。トルクリミッター39の回転子は、リタードロール軸37上でリタードロールコア34に連結されている。
また、リタードロールコア34の外周面には、複数のスリット孔41が形成されている。各々のスリット孔41は、リタードロールコア34の軸方向に沿って細長く形成されている。また、各々のスリット孔41は、一対のリタードロール24の間に形成されるとともに、リタードロールコア34の全周にわたって一定の角度ピッチで形成されている。さらに、各々のスリット孔41は、リタードロールコア34の中心軸から放射状に延びる仮想直線に対して、一様に所定の角度で傾斜した状態に形成されている。また、各々のスリット孔41のスリット幅は、コア外周側がコア内周側よりも若干大きくなるように設定されている。
一方、リタードロール軸37には、中空のダクト部42が形成されている。ダクト部42は、リタードロール軸37の軸方向に沿って形成されている。ダクト部42の一端部は、リタードロール軸37の一端部で開口し、この開口を通して、図示しないエアー発生装置で発生させたエアーがダクト部42に取り込まれる構成となっている。また、ダクト部42の他端部は、ダクト部42の開口側から見て奥側のリタードロール24の近傍で閉止し、その近傍にエアー吹き出し口43が形成されている。エアー吹き出し口43は、ダクト部42に連通するようにリタードロール軸37の外周面の一箇所に開口状態で形成されている。また、エアー吹き出し口43は、一対のリタードロール24の間に形成されるとともに、スリット孔41よりも大きな開口寸法(具体的にはエアー吹き出し口43の開口範囲内に3つのスリット孔41を同時に配置可能な開口寸法)をもって形成されている。さらに、エアー吹き出し口43は、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置を含み、前記ニップ位置より給紙方向Yの上流側へエアーが吹きつけられるように開口部が斜め上向きに形成されている。
上記構成からなる給紙部18においては、ピックアップロール22によって呼び出された用紙Pを送り出すためにフィードロール軸36と一体にフィードロール23を回転させた場合に、トルクリミッター39に加わる回転トルクが所定値未満であれば、リタードロール24が停止したままの状態に維持され、所定値以上の回転トルクがトルクリミッター39に加わると、フィードロール23に連れ回るかたちでリタードロール24が回転し、それと一緒にリタードロールコア34も回転する。このとき、図示しないエアー発生装置で発生させたエアーをリタードロール軸37の一端部(開口部)からダクト部42に取り込むと、リタードロール軸37のエアー吹き出し口43からリタードロールコア43のスリット孔41を通してエアーが吹き出す。この場合、トルクリミッター39に加わる回転トルクの大きさに応じて、リタードロールコア34がリタードロール軸37上で回転又は停止した状態となるが、いずれの状態でもエアー吹き出し口43の開口範囲内に複数のスリット孔41が同時に配置されるため、スリット孔41から継続的にエアーが吹き出される。
こうしてスリット孔41から吹き出したエアーは、ピックアップロール22の回転にしたがってフィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向かう用紙Pの前端部に吹き付けられる。このため、上記実施形態と同様にエアーの吹き付け期間を長く確保することが可能となる。したがって、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが重なった状態で呼び出された場合でも、当該複数枚の用紙Pを第2のエアー吹き付け部20からのエアーの吹き付けによって分離させることができる。また、リタードロール24の回転支持部と一体に第2のエアー吹き付け部20を構成したので、第2のエアー吹き付け部20を実装するために必要なスペースを最小限に抑えることができる。
図10は本発明の第4実施形態に係る給紙部18の他の構成を示すもので、(A)は給紙方向の下流側から給紙部18を見た図、(B)は(A)のG−G断面図、(C)は(A)の一部破断図である。図示した給紙部18の構成においては、リタードロール軸37が断面円形の中実軸で、その軸上にリタードロールコア34を介して一対のリタードロール34が取り付けられている。また、リタードロール軸37には、上記同様に固定ピン40を用いてトルクリミッター39が取り付けられている。
これに対して、一対のフィードロール23は、フィードロールコア33を介してフィードロール軸36に取り付けられている。フィードロール軸36の両端部は、一対の軸保持部材44によって固定状態に保持されている。フィードロールコア33はフィードロール軸36に回転自在に嵌合されている。フィードロール軸36の軸方向へのフィードロールコア36の移動は、図示しないストッパー部材によって規制されている。また、フィードロールコア33の一端部には回転ギア45が形成されている。回転ギア45はフィードロール軸36上でフィードロールコア33と一体に回転するものである。回転ギア45には駆動ギア46が噛み合っている。駆動ギア46は、図示しないモータの駆動によって回転するものである。
さらに、フィードロールコア33の外周面には、複数のスリット孔47が形成されている。各々のスリット孔47は、フィードロール軸36の軸方向に沿って細長く形成されている。また、各々のスリット孔47は、一対のフィードロール23の間に形成されるとともに、フィードロールコア33の全周にわたって一定の角度ピッチで形成されている。さらに、各々のスリット孔47は、フィードロールコア33の中心軸から放射状に延びる仮想直線に対して、一様に所定の角度で傾斜した状態に形成されている。また、各々のスリット孔47のスリット幅は、コア外周側がコア内周側よりも若干大きくなるように設定されている。
一方、フィードロール軸36には、中空のダクト部48が形成されている。ダクト部48は、フィードロール軸36の軸方向に沿って形成されている。ダクト部48の一端部は、フィードロール軸36の一端部で開口し、この開口部を通して、図示しないエアー発生装置で発生させたエアーがダクト部48に取り込まれる構成となっている。また、ダクト部48の他端部は、ダクト部48の開口側から見て奥側のフィードロール23の近傍で閉止し、その近傍にエアー吹き出し口49が形成されている。エアー吹き出し口49は、ダクト部48に連通するようにフィードロール軸36の外周面の一箇所に開口状態で形成されている。また、エアー吹き出し口49は、一対のフィードロール23の間に形成されるとともに、スリット孔47よりも大きな開口寸法(具体的にはエアー吹き出し口49の開口範囲内に2つのスリット孔47を同時に配置可能な開口寸法)をもって形成されている。さらに、エアー吹き出し口49は、フィードロール23とリタードロール24のニップ位置を含み、前記ニップ位置より給紙方向Yの上流側へエアーが吹きつけられるように開口部が斜め下向きに形成されている。
上記構成からなる給紙部18において、ピックアップロール22によって呼び出された用紙Pを送り出すために駆動ギア46を回転させると、その回転力が回転ギア45を介してフィードロールコア33に伝達されるため、フィードロール軸36上でフィードロールコア33と一緒に一対のフィードロール23が回転する。このとき、図示しないエアー発生装置で発生させたエアーをフィードロール軸36の一端部(開口部)からダクト部48に取り込むと、フィードロール軸36のエアー吹き出し口49からフィードロールコア33のスリット孔47を通してエアーが吹き出す。この場合、駆動ギア46の回転動作にしたがってフィードロールコア33がフィードロール軸36上で回転又は停止した状態となるが、いずれの状態でもエアー吹き出し口49の開口範囲内に複数のスリット孔47が同時に配置されるため、スリット孔47から継続的にエアーが吹き出される。
こうしてスリット孔47から吹き出したエアーは、ピックアップロール22の回転にしたがってフィードロール23とリタードロール24のニップ位置に向かう用紙Pの前端部に吹き付けられる。このため、上記実施形態と同様にエアーの吹き付け期間を長く確保することが可能となる。したがって、給紙トレイ17から複数枚の用紙Pが重なった状態で呼び出された場合でも、当該複数枚の用紙Pを第2のエアー吹き付け部20からのエアーの吹き付けによって分離させることができる。また、フィードロール23の回転支持部と一体に第2のエアー吹き付け部20を構成したので、第2のエアー吹き付け部20を実装するために必要なスペースを最小限に抑えることができる。
なお、上記図9においてはリタードロール24の回転支持部に第2のエアー吹き付け部20を設けた構成とし、上記図10においてはフィードロール23の回転支持部に第2のエアー吹き付け部20を設けた構成としたが、これに限らず、フィードロール23の回転支持部とリタードロール24の回転支持部の両方に第2のエアー吹き付け部20を設けた構成としてもよい。
17…給紙トレイ、18…給紙部、19…第1のエアー吹き付け部、20…第2のエアー吹き付け部、22…ピックアップロール、23…フィードロール、24…リタードロール、28…シュート部材