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JP4752673B2 - 脈波データ解析方法、システム、プログラム - Google Patents

脈波データ解析方法、システム、プログラム Download PDF

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JP4752673B2 JP2006224132A JP2006224132A JP4752673B2 JP 4752673 B2 JP4752673 B2 JP 4752673B2 JP 2006224132 A JP2006224132 A JP 2006224132A JP 2006224132 A JP2006224132 A JP 2006224132A JP 4752673 B2 JP4752673 B2 JP 4752673B2
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Description

本発明は、生体の脈波データから心電図におけるR−R間隔に相当する情報を抽出する脈波データ解析方法、システム及びプログラムに関するものである。
不整脈の診断手法として、被験者の心電図計測を行い、該心電図から求められるR−R間隔を用いる方法が汎用されている。すなわち、図20に示すように心電図のR−R間隔は、一回の心拍で心電図に表れるP,Q,R,S,T波のうち、最も顕著に観察されるR波のピーク間隔であって、このR−R間隔を時系列化して表示すると心拍変動を知見することができる。このような心拍変動は、生体活動に伴う自律神経の生物学的制御機能の評価指標として広く臨床応用されている。
前記心電図計測は、一般に心臓の活動電位を検出する電極を備えたホルダー心電計等を用いて行われる。この場合、医療機関にて被験者の胸に電極を5個程度取り付けると共にデータの受信機を腰に装着し、被験者に1日間程度通常の生活を行ってもらいつつデータ計測を行う。そして測定終了後、前記受信機に保存されたデータを所定の解析機器に取り込んで心電波形解析を行い、前記R−R間隔が求められるものである。しかしながら、このような心電図計測は、電極等を装着した状態での生活を強いることになることから、被験者の負担が大きいという問題があった。
そこで、心電図に依拠せず、脈波データからR−R間隔に相当する情報(脈波R−R間隔)を抽出する方法が検討されている。ここで脈波とは、血液の流入によって生じる動脈血管の容積変化を体表面から波形として捉えたものをいい、血管運動反応である。脈波は心臓の動きと連動しており、末梢血管の運動を測定することによって間接的に心電図から求められたR−R間隔と同様の意味を持つ情報を得ることが可能である。
脈波R−R間隔の検出に関し、例えば特許文献1には、脈波センサにより被験者の脈波を時々刻々検出し、演算手段にて検出された脈波データを解析してピーク値及びピーク時点を求め、脈波R−R間隔を算出する脈波R−R間隔測定装置が開示されている。また、特許文献2には、脈波波形検出手段より検出された脈波波形を周波数解析し、体動成分を除去することで正確な脈波成分を検出すると共に、得られた周波数解析結果を用いて不整脈を検出する不整脈検出装置が開示されている。さらに、特許文献3には、脈波センサで検出された脈波波形を1次微分して速度脈波波形を算出し、速度脈波波形のピークを検出することで脈波R−R間隔を検出する脈波解析法が開示されている。
特開平8−229013号公報 特許第3635663号公報 特開2001−70265号公報
しかしながら、脈波データのピークは、心電図におけるR波において観察されるような顕著なピークではなく、また脈波データには切痕や反射波等(脈波波形に比較的小さなピークとボトムが表れる部位。これら切痕や反射波等は、ピーク検出の際のノイズとなる。以下、説明の簡略化のため、切痕や反射波等の総称として単に「切痕」という)があり、R波に相当するピークを生の脈波波形から自動検出することは容易ではなかった。この点、特許文献1、2には脈波データから正確にピークを抽出する手法については特に言及されていない。また、特許文献3の脈波解析法では、ある程度切痕は除去できるとは考えられるものの、ピーク間隔の平均値から求めた閾値を用いて切痕を除去する方法を採用しているので、不整脈のようにピークの出現が予測不可能な場合には本当のピークもノイズと判断されてしまう可能性がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、被験者において不整脈等が生じている場合であっても、脈波データに含まれる切痕部を的確に除去し正確にピーク乃至はボトムを検出でき、生体情報、例えば心電図から求められるR−R間隔と相関性が高い情報(以下、本明細書では、ピーク乃至はボトム間隔を求めるという意味で「脈波P−P間隔」という場合がある)を検出することが可能な脈波データ解析方法、システム及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る脈波データ解析方法は、生体の脈波データから生体情報を抽出する脈波データ解析方法であって、脈波を所定時間連続計測して得た脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出し、時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求め、求められたボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値をノイズと見なして除去するステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、脈波データにおいて隣接するボトム値とピーク値とのペアから求められるボトム−ピーク振幅値が時間軸上の前後で比較され、その振幅値比が所定値よりも大きい場合、つまり一方の振幅値が他方の振幅値に比べて所定の相対値よりも小さい場合に、その小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値がノイズと見なされて除去される。通常、切痕にかかるボトム−ピーク振幅値は、本来的なボトム−ピーク振幅値と同等乃至はこれを上回ることはなく、総じて小幅な振幅値となる。従って、振幅値比が所定値よりも大きい場合に、小さい方のボトム−ピーク振幅値を切痕ノイズと扱い除去することで、正確にピーク間隔(若しくはボトム間隔)を求めることができるようになる。
上記構成において、前記ノイズが除去された後の脈波データに基づいて、心電図におけるR−R間隔に相当するピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求めるステップをさらに含むことが望ましい(請求項2)。この構成によれば、ノイズ除去後の脈波データに基づいてピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求められるので、不整脈の診断等を的確に行うことができる。
また、前記ノイズが除去された後の脈波データに基づいて、ボトム−ピーク振幅値を求めるステップをさらに含むことが望ましい(請求項3)。この構成によれば、ボトム−ピーク振幅値を利用して、各種の診断(交感神経活動の診断等)を行うことが可能となる。
上記構成において、前記脈波データからボトム値及びピーク値を抽出する前に、該脈波データにつき移動平均を取る処理を行うことが望ましい(請求項4)。この構成によれば、生の脈波データにしばしば発生する微小測定時間範囲における脈波データのゆらぎ(これは一種のボトム値及びピーク値となる)を移動平均処理により平滑化することができ、ボトム値及びピーク値の抽出処理を簡素化できるようになる。
上記いずれかの構成において、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する処理、ボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求める処理、及び振幅値比に基づきノイズを除去する1回目の一連のノイズ除去処理を前記脈波データに対して行った後、同様なノイズ除去処理を、前記1回目のノイズ除去処理が行われた脈波データに対して1回若しくは複数回繰り返すようにすることができる(請求項5)。この構成によれば、本来の脈波振幅の間に複数の切痕ノイズが含まれているような場合でも、当該切痕ノイズを確実に除去できるようになり、正確なボトム値及びピーク値の位置を得ることができる。
この場合、前記ノイズ除去処理を繰り返すに際し、ノイズと見なすか否かを判定するための前記振幅値比の閾値を、少なくとも1回変更することが望ましい(請求項6)。この構成によれば、切痕ノイズを状況に応じて的確に除去できるようになる。例えばノイズ除去処理の繰り返し回数が増えるほど、振幅値比の閾値を小さくすることで、比較的大きな振幅の切痕ノイズから比較的小さな振幅の切痕ノイズまで、順次確実に除去できるようになる。
本発明の請求項7に係る脈波データ解析システムは、生体の脈波データから生体情報を抽出する脈波データ解析システムであって、被験者の脈波情報を所定のサンプリング周期で取得して時間軸に関連付けられた脈波データを取得する脈波検出手段と、前記脈波データを解析するデータ解析手段とを備え、前記データ解析手段は、前記脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する変曲点検出部と、時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求める振幅値検出部と、前記ボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値を除去するノイズ除去部とを具備することを特徴とする。
この構成によれば、脈波検出手段により取得された脈波データに基づいて、データ解析手段の変曲点検出部によりボトム値及びピーク値が求められ、振幅値検出部により時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とのペアからボトム−ピーク振幅値が各々求められる。そして、ノイズ除去部により前記ボトム−ピーク振幅値が時間軸上の前後で比較され、その振幅値比が所定値よりも大きい場合、つまり一方の振幅値が他方の振幅値に比べて所定の相対値よりも小さい場合に、その小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値がノイズと見なされて除去されるようになる。
上記構成において、前記データ解析手段は、前記ノイズ除去部によりノイズが除去された後の脈波データに基づいて、心電図におけるR−R間隔に相当するピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求める間隔算出部を備えることが望ましい(請求項8)。この構成によれば、ノイズが除去された脈波データを利用して、間隔算出部によりピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求めることが可能となる。この場合、生の脈波データからピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求める場合に比較して、切痕ノイズが除去されていることから、心電図R−R間隔と相関性の高い脈波P−P間隔を検出することができる。
上記構成において、前記ノイズが除去された後の脈波データについて、所定の診断情報としてのボトム−ピーク振幅値を求める振幅値算出部を備えることが望ましい(請求項9)。この構成によれば、前記振幅値算出部にて算出されるボトム−ピーク振幅値を利用して、各種の診断(交感神経活動の診断等)を行うことが可能となる。
また、上記構成において、前記データ解析手段は、前記脈波検出手段により取得された脈波データにつき移動平均を取る処理を行う移動平均処理部を具備することが望ましい(請求項10)。この構成によれば、移動平均処理部により、脈波データのゆらぎが平滑化され、ボトム値及びピーク値の抽出処理が簡素化されるようになる。
上記いずれかの構成において、前記データ解析手段は、前記変曲点検出部、振幅値検出部、及びノイズ除去部による1回目の一連のノイズ除去処理を前記脈波データに対して行わせた後、同様なノイズ除去処理を、前記1回目のノイズ除去処理が行われた脈波データに対して1回若しくは複数回繰り返させるようにすることができる(請求項11)。この構成によれば、本来の脈波振幅の間に複数の切痕ノイズが含まれているような場合でも、当該切痕ノイズが確実に除去できるようになり、正確なボトム値及びピーク値の位置を得ることができる。
この場合、前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去処理を繰り返すに際し、ノイズと見なすか否かを判定するための前記振幅値比の閾値を、少なくとも1回変更することが望ましい(請求項12)。この構成によれば、切痕ノイズを状況に応じて的確に除去できるようになる。例えばノイズ除去処理の繰り返し回数が増えるほど、ノイズ除去部に設定される振幅値比の閾値を小さくすることで、比較的大きな振幅の切痕ノイズから比較的小さな振幅の切痕ノイズまで、順次確実に除去できるようになる。
上記いずれかの構成において、前記データ解析手段によるデータ解析結果を表示する所定の表示手段を有し、前記脈波検出手段、前記データ解析手段及び前記表示手段が、前記被験者に対して装着可能な機器に装備されている構成とすることができる(請求項13)。この構成によれば、必要な機能が全て搭載されたウェアラブルな単一機器として、本発明に係る脈波データ解析システムが構成される。
さらに、上記いずれかの構成において、前記脈波検出手段により取得された脈波データを保存する記憶手段を有し、前記脈波検出手段と前記記憶手段とが装備され、前記被験者に対して装着可能な第1の機器と、前記データ解析手段が装備され、前記第1の機器とデータ通信を行うことで前記記憶手段に保存されている脈波データを取り入れ可能とされた第2の機器とから構成することができる(請求項14)。この構成によれば、脈波データを取得する第1の機器と、データ解析を行う第2の機器(例えばパーソナルコンピュータ)とに分離して、本発明に係る脈波データ解析システムが構成される。
また、前記データ解析手段が、前記脈波データをリアルタイムで解析すると共に、該解析により得られる脈波情報を所定の表示部へ表示させるものとすることができる(請求項15)。この構成によれば、ユーザは、リアルタイムで脈波情報を表示部において確認できるようになる。
さらに、前記データ解析手段が、解析した脈波情報を保存する記憶手段を具備することが望ましい(請求項16)。この構成によれば、解析した脈波情報をデータとして保存できるようになる。
本発明の請求項17に係る脈波データ解析プログラムは、生体の脈波データから生体情報を抽出するための解析プログラムであって、前記脈波データを解析するデータ解析手段に、被験者の脈波情報を所定のサンプリング周期で取得して時間軸に関連付けられた脈波データを読み出すステップと、前記脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出するステップと、時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求めるステップと、前記ボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値を除去するステップとを実行させることを特徴とする。
請求項1に係る脈波データ解析方法、請求項7に係る脈波データ解析システム、並びに請求項17に係る脈波データ解析プログラムによれば、ボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、振幅値が相対的に所定値よりも小さいボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値を除去するノイズ除去手法であるので、脈波の周波数や波形形状に関係なく的確にノイズを除去できる。従って、脈波データに含まれる切痕部を的確に除去し正確な生体の脈波データを得ることができ、かかる脈波データに基づいて、医療従事者等は的確に各種の診断を行うことができる。
請求項2並びに請求項8に係る発明によれば、被験者において不整脈等が生じている場合に、脈波データに含まれる切痕部を的確に除去し正確にピークを検出できるので、心電図から求められるR−R間隔と相関性が高い脈波P−P間隔を検出することができるようになる。これにより、被験者への負担が大きいホルダー心電計を用いることなく不整脈を正確に検出することができ、疾病を早期発見することができる。また、脈波測定は測定方法が簡便で年配者であっても容易に行えるため、年配者に発生率の高い心房細動等の症状の早期発見用としてスクリーニングにも利用できる。さらに、被験者への負担が軽いことから、薬の効用を確認するために必要な長期間(例えば、心房細動が完治したことを確認するには2週間程度心房細動が発生していないことを確認する必要がある)の連続測定が可能であるという利点もある。
請求項3並びに請求項9に係る発明によれば、ボトム−ピーク振幅値を利用してより広範囲な診断を行うことができ、本システムの利便性を向上させることができる。
請求項4並びに請求項10に係る発明によれば、移動平均処理を行うことでボトム値及びピーク値の抽出処理を簡素化できるようになり、結果としてデータ解析処理の高速化を図ることができる。
請求項5並びに請求項11に係る発明によれば、本来の脈波振幅の間に複数の切痕ノイズが含まれているような場合でも、当該切痕ノイズが確実に除去できるようになり、正確なボトム値及びピーク値の位置を得ることができる。従って、医療従事者等に対して、一層正確な脈波間隔データを提供できるようになる。
請求項6並びに請求項12に係る発明によれば、大きい切痕ノイズを除去する一方で本来の脈波間隔データを削除することなく、小さい切痕ノイズも綺麗に除去できるようになる。
請求項13に係る発明によれば、必要な機能が全て搭載されたウェアラブルな単一機器として脈波データ解析システムが構成されるので、可搬性に優れたコンパクトなシステムとすることができる。
請求項14に係る発明によれば、被験者に装着される第1の機器を簡素な構成として装着性を向上させ得ると共に、第2の機器としてパーソナルコンピュータ等を用いることで、一層高度なデータ解析が行えるようになる。
請求項15に係る発明によれば、リアルタイムで脈波情報を把握できるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
請求項16に係る発明によれば、脈波情報をデータとして保存できるので、事後的に脈波情報を確認したり、統計処理を行ったりすることが容易となる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる脈波データ解析システムS0の全体構成を概略的に示すブロック図である。当該脈波データ解析システムS0は、被験者(生体)の脈波データから心電図におけるR−R間隔に相当する情報である脈波P−P間隔を抽出可能なシステムである。この脈波データ解析システムS0は、脈波検出手段11、データ解析手段12、表示手段13及び記憶手段14を備えている。
脈波検出手段11は、被験者の脈波情報を所定のサンプリング周期で取得して時間軸に関連付けられた脈波データ(脈波を所定時間連続計測して得たデータ)を取得するものである。ここで、脈波の検出方法としては、各種の方法が採用可能であるが、例えば血液中のヘモグロビンの吸光特性を利用する方法を好適に採用することができる。この方法は、血液中のヘモグロビンが光を吸収する特性を有することから、生体に光を照射した場合に、心拍に伴う血流の脈動でヘモグロビンの量が波動的に変化することに起因して、その反射光量若しくは透過光量が変化することを利用したものである。この場合、測定に際しては、発光素子と受光素子とを備える反射型若しくは透過型センサを指先等にセットし、前記受光素子による受光量をモニタすることで脈波データを取得することができる。なお、上記反射型若しくは透過型センサとしては、光電脈波計や血中酸素飽和度の計測を行うことができるパルスオキシメータ等を好適に用いることができる。また、圧力センサ等を用い、血管脈動による脈圧を直接検出することで、脈波データを取得するようにしても良い。
データ解析手段12は、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを格納するRAM(Random Access Memory)及び制御プログラム等をROMから読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)やDSP(Digital Signal Processor)等から構成され、脈波検出手段11にて取得された脈波データを解析するものである。後記で詳述するが、データ解析手段12は、前記脈波データに含まれる切痕ノイズを除去するノイズ除去処理を行うと共に、ノイズ除去後の脈波データに基づき、その脈波波形上に表れるピークの間隔(若しくはボトムの間隔)を求める処理を行う。
表示手段13は、データ解析手段12により処理されたデータを表示するものであり、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)、7セグメントLED、有機フォトルミネセンス表示装置、CRT(Cathode Ray Tube)及びプラズマ表示装置等の表示装置からなる。この表示手段13には、脈波データのデータ解析結果等の各種測定情報が、文字情報、画像情報或いは光点灯情報等、必要に応じた任意の形態で表示される。
記憶手段14は、前記脈波検出手段11により計測された脈波データや、データ解析手段12によるデータ解析結果等を一時的に格納するものである。この記憶手段14としては、RAMやEPROM(Erasable and Programmable ROM)などを用いることができる。
以上説明した脈波データ解析システムS0は、様々なハード構成として構築することができる。図2は、上記脈波検出手段11、データ解析手段12、表示手段13及び記憶手段14を、被験者に装着可能な単一機器である脈波測定装置20に搭載してなる脈波データ解析システムS1を示す外観構成図である。この脈波測定装置20(脈波データ解析システムS1)は、被験者の手首付近に装着可能とされた脈波測定装置本体部21と、指先に装着可能とされたプローブ22とを備え、両者が信号ケーブル201で電気的に接続されてなる。
脈波測定装置本体部21には、電源スイッチ211、LCD等からなる表示部212(表示手段13に相当する)、ベルト係止部213等が備えられているほか、その内部に、前記脈波検出手段11の一部、データ解析手段12及び記憶手段14に相当する機能を果たす電気回路が収納されている。また、プローブ22には、前記脈波検出手段11の一部を構成する発光素子と受光素子とが備えられている。かかる脈波データ解析システムS1によれば、必要な機能が全て搭載されたウェアラブルな単一機器としてシステムが構成されるので、可搬性に優れたコンパクトなシステムとすることができる。
図3は、本発明に係るシステムの他のハード構成例を示すもので、被験者に装着可能な脈波測定装置20’(第1の機器)とパーソナルコンピュータ30(第2の機器)とがUSBケーブル等の通信ケーブルで接続されてなる脈波データ解析システムS2を示す外観構成図である。この脈波データ解析システムS2では、上記脈波検出手段11の機能が脈波測定装置20’に備えられ、上記データ解析手段12及び表示手段13の機能がパーソナルコンピュータ30に備えられる(勿論、脈波測定装置20’にもデータ解析手段12及び表示手段13の機能が備えられていても良い)構成とされる。このような脈波データ解析システムS2とすれば、被験者に装着される脈波測定装置20’を簡素な構成として装着性を向上させ得ると共に、パーソナルコンピュータ30により高度なデータ解析が行えるようになる。
図4は、図2に示した脈波測定装置20の電気的構成を示すブロック図である。この脈波測定装置20は、電気的構成として、検知部23(脈波検出手段)、CPU(Central Processing Unit)24(データ解析手段)、記憶部25(記憶手段)、操作部26、I/F部27、電源部28及び上述の表示部212(表示手段)を備えて構成されている。
検知部23は、CPU24(後述の測定制御部41)に制御され、所定のサンプリング周期(例えば30ms周期)で被験者の脈波情報を計測するもので、発光部231、受光部、発光制御回路233及びA/D変換部234を備えている。ここで、前記発光部231及び受光部232はプローブ22に搭載され、発光制御回路233及びA/D変換部234は脈波測定装置本体部21に搭載され、発光制御回路233と発光部231とが、また受光部232とA/D変換部234とが、信号ケーブル201でそれぞれ電気的に接続されている。発光部231及び受光部232は、上述したように、血液中のヘモグロビンの吸光特性を利用した反射型若しくは透過型センサを構成するもので、両者は生体組織(この場合は指先)を経由する光路が形成される位置関係でプローブ22にセッティングされている。
発光部231は、所定波長λの光を発生するLED等の発光素子からなる光源であり、発光制御回路233によりその発光動作が制御される。発光制御回路233は、CPU24から与えられる測定制御信号に基づいて、発光部231を所定のサンプリング周期で点灯させる駆動信号を生成する。受光部232は、少なくとも発光部231から発せられる波長λの光に対して感度を有し、受光した光強度に応じた電流を生成する光電変換型の受光素子である。かかる受光素子としては、例えばシリコンフォトダイオード(Silicon Photo Diode)等を用いることができる。A/D変換部234は、受光部232から出力される光強度に応じたアナログ電流をデジタル信号に変換する。
受光部232により受光される光量(反射光量若しくは透過光量)は、心拍に伴う血流の脈動でヘモグロビンの量が波動的に変化し吸光量が変動することから、脈動のサイクルに応じて変化する。従って、A/D変換部234からサンプリング周期毎に出力される受光光量に応じたデジタル信号は、各サンプリング周期における脈波状態を反映した情報となる。このようにして検出された脈波情報は、CPU24を介し、時刻情報に関連付けられて記憶部25に格納される。
CPU24は、所定の制御プログラムに従って、脈波測定装置20全体の動作制御を司るもので、検知部23による脈波データ取得動作、取得された生の脈波データに含まれる切痕ノイズを除去するノイズ除去処理動作、ノイズ除去後の脈波データに基づき、その脈波波形上に表れるピークの間隔(若しくはボトムの間隔)を求める処理動作等を実行する。このCPU24の機能構成については、図5に基づき後記で詳述する。
記憶部25は、検知部23により計測された脈波データ(A/D変換部234から出力されるデジタルデータを時刻情報に関連付けたデータ)や、CPU24によるデータ解析結果等(後述の間隔算出部45により求められる脈波波形のピーク値間隔、ボトム値間隔、或いはピーク値−ボトム値幅等)を一時的に格納するものである。
操作部26は、各種スイッチ(入力ボタン)を備え、装置各部を操作するべく所定の指示入力を行うためのものである。操作部26は、各種スイッチとして、電源部28のオン/オフ切り替えを行う電源スイッチ211(図2参照)のほか、検知部23による脈波データの検出及びこの検出情報に基づくデータ解析処理を開始又は終了するためのオン、オフ切り替えを行う測定スイッチ等を備えている。なお、当該各種スイッチは、機械的に押下するプッシュボタンの形態、液晶表示装置等のタッチパネル内に表示される入力ボタンの形態など種々の形態が採用可能である。
I/F部27は、例えば図3に示すように、パーソナルコンピュータ30等とのデータの送受信を行う場合に用いられるものであり、例えばRS−232C、USB、IrDA(Infrared Data Association )等の有線(LAN等のネットワーク)又は無線による通信規格によるデータ送受信装置である。
電源部28は、脈波測定装置20の各部に電源を供給するものであり、例えば乾電池やボタン電池、或いはAC電源等からなる。表示部212は、CPU24による脈波データのデータ解析結果を文字情報や画像情報等として表示するものである。
続いて、CPU24の機能構成について説明する。図5は、CPU24の機能構成を示す機能ブロック図である。このCPU24は、機能的に、測定制御部41、データ解析部42及び表示制御部46を備えている。
測定制御部41は、検知部23による脈波データ取得動作を制御するもので、所定のタイマー機能を用いて予め定められたサンプリング周期毎に、発光制御信号を生成して発光制御回路233(図4参照)へ送信する。そして、前記発光制御信号に同期してA/D変換部234から出力されるデジタル信号を受け入れ、時刻情報に関連付けて記憶部25にその脈波情報を書き込む。
表示制御部46は、CPU24による脈波データのデータ解析結果を、適宜な形態として表示部212において表示させるためのデータ処理を行う。
データ解析部42は、検知部23により取得され一旦記憶部25に格納された脈波データに対して(或いは検知部23により検出された脈波データに対して直接)、各種のデータ解析処理を行う。このデータ解析部42は、前処理部43、ノイズ除去処理部44及び間隔算出部45を備えて構成されている。
前処理部43は、ノイズ除去処理部44による切痕ノイズの除去処理を行う前に、検知部23により取得された生の脈波データに所定の前処理を行う機能部であり、脈波波形生成部431と移動平均処理部432とを備えている。脈波波形生成部431は、所定のサンプリング周期で取得され時刻情報に関連付けられて記憶部25に格納されている脈波データを時間軸に展開するデータ整列処理を行い、脈波波形を生成する。
移動平均処理部432は、脈波波形生成部431により生成された脈波波形について移動平均処理を行い、これを平滑化する演算を行う。例えば、時間軸上にプロットされた脈波データの5個移動平均(中心データと、その前後2個のデータの平均を求める)を取る演算を、脈波波形の時間軸に沿って順次行う。このような移動平均処理を行う意義は次の通りである。
図6は、脈波波形生成部431により生成された脈波波形51を示すグラフ(脈波のサンプリング周期=26.7ms)である。この脈波波形51は、生の脈波データをそのままプロットした、生の脈波波形である。このような生の脈波波形51には、符号511で示すように、微小測定時間範囲における脈波データに重畳するノイズがしばしば表れる。このような脈波データのノイズも、一種のボトム値及びピーク値となるため、生の脈波波形51を用いてノイズ除去処理部44により切痕ノイズの除去処理を行った場合、高速処理が阻害されることがある。
そこで、移動平均処理部432により生の脈波波形51について上述の移動平均処理を行い、これを平滑化するものである。図7は、移動平均処理後の脈波波形52を示すグラフである。該脈波波形52において、符号521で示す部分は、図6の生の脈波波形51において符号511で示す部分に対応するものであるが、当該部分は移動平均処理により平滑化されていることが分かる。これにより、ノイズ除去処理部44におけるボトム値及びピーク値の抽出処理を簡素化できるようになる。
ノイズ除去処理部44は、図7に示す移動平均処理後の脈波波形52に含まれる切痕ノイズの除去処理を行うもので、変曲点検出部441、振幅値検出部442及びノイズ除去部443を備えている。変曲点検出部441は、図7に示す移動平均処理後の脈波波形52(脈波データ)から、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する処理を行う。すなわち、脈波波形52を構成するプロットデータを時間軸に沿って順次比較し、脈波波形52が下降から上昇へ転じる点をボトム値として、また上昇から下降へ転じる点をピーク値としてそれぞれ検出する。図8に、前記脈波波形52に対するボトム値及びピーク値の検出状況を示す。図中の符号B1〜B5はボトム値を、符号P1〜P5はピーク値をそれぞれ示している。
振幅値検出部442は、前記変曲点検出部441にて検出されたボトム値B1〜B5及びピーク値P1〜P5を用い、時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求める処理を行う。この処理を図8に基づき具体的に説明すると、先ず脈波波形52において時間軸上に最初に表れるボトム値B1とピーク値P1(符号512で示す部分の拡大図参照)とがペアとされ、このボトム値B1とピーク値P1との差分を求めることで第1ボトム−ピーク振幅値SW1が求められる。以下同様に、ボトム値B2とピーク値P2、ボトム値B3とピーク値P3、ボトム値B4とピーク値P4及びボトム値B5とピーク値P5というように、隣接するボトム値とピーク値とがペアとされ、各々の差分を求めることで第2〜第5ボトム−ピーク振幅値SW2〜SW5が求められる(以降に表れるボトム値及びピーク値についても同様の処理が為される)。
ノイズ除去部443は、振幅値検出部442で求められたボトム−ピーク振幅値SW1〜SW5を時間軸上の前後で順次比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値に係るボトム値及びピーク値を、以後のデータ処理上において除去する処理を行う。図8に示す第1〜第5ボトム−ピーク振幅値SW1〜SW5のうち、第1、第3、第5ボトム−ピーク振幅値SW1,SW3,SW5は比較的大きな振幅を有し、これらボトム−ピーク振幅値に係るピーク値P1,P3,P5(若しくはボトム値B1,B3,B5)は、脈波P−P間隔を検出する上で有意性のあるデータと評価することができる。しかし、第2、第4ボトム−ピーク振幅値SW2,SW4については振幅が小さく、切痕ノイズであると考えられる。ノイズ除去部443は、このような第2、第4ボトム−ピーク振幅値SW2,SW4に係るボトム値B2,B4及びピーク値P2,P4を削除する処理を行うものである。
ノイズ除去部443における処理の具体例を説明すると、先ず時間軸上に最初に表れる第1ボトム−ピーク振幅値SW1と次に表れる第2ボトム−ピーク振幅値SW2とを比較し、第2ボトム−ピーク振幅値SW2が第1ボトム−ピーク振幅値SW1に対して所定の相対値a以下の大きさである場合に、第2ボトム−ピーク振幅値SW2を切痕ノイズと見なす判定を行う。続いて、第2ボトム−ピーク振幅値SW2と次に表れる第3ボトム−ピーク振幅値SW3とを比較し、同様に第3ボトム−ピーク振幅値SW3が第2ボトム−ピーク振幅値SW2に対して所定の相対値a以下であるか否かに基づき、第3ボトム−ピーク振幅値SW3を切痕ノイズと見なすか否かの判定を行う。以下、時間軸上において隣接するボトム−ピーク振幅値同士を順次比較し、同様な判定処理を行う。
つまり、ここで示した具体例では、時間軸上において隣接するボトム−ピーク振幅値同士について次の(1)式で示す演算を順次行い、(1)式が満足される場合に、ボトム−ピーク振幅値SWに対して時間軸上において後に表れるボトム−ピーク振幅値(SWi+1)について切痕ノイズと見なす判定を行う。
SW*相対値a>SWi+1 ・・・(1)
但し、iは1〜nの整数。
nは脈波波形52から検出されるボトム−ピーク振幅値の総数。
相対値aは任意に設定される1以下の値。
上記(1)式で用いられる相対値aは、被験者の脈動の特徴、予期される症状によって適宜設定されるが、切痕は脈波に比べてかなり小さく、切痕に係るボトム−ピーク振幅値は脈波に係るボトム−ピーク振幅値に対して相対比で30%程度以下の大きさであることが通常なので、例えば相対値a=0.3をデフォルト値として定めることができる。このような判定処理を図8に示す第1〜第5ボトム−ピーク振幅値SW1〜SW5に適用し、SW1:SW2、SW2:SW3、SW3:SW4、SW4:SW5について相対比を求めれば、SW1:SW2及びSW3:SW4の比較判定において、明らかに上記(1)式が満足されるようになる。従って、この場合ノイズ除去部443は、第2、第4ボトム−ピーク振幅値SW2,SW4を切痕ノイズと見なし、これらに係るボトム値B2,B4及びピーク値P2,P4が以後のデータ処理上において使用されないよう除去する処理を行うものである。
この結果、図9に示すように、脈波波形52において、データ処理上のピーク値及びボトム値として残存するのは、ピーク値P1,P3,P5とボトム値B1,B3,B5となる。つまり、切痕ノイズと見なされたピーク値P2,P4及びボトム値B2,B4は捨象され、心拍と真に連関性のあるピーク値(ボトム値)のみが残存するようになる。従って、ピーク値P1〜P3の時間間隔X1、ピーク値P3〜P5の時間間隔X2・・・を求めることで、正確な脈波P−P間隔を算出できるようになる。なお、ボトム値B1〜B3、ボトム値B3〜B5の時間間隔を求めるようにしても良い。
ノイズ除去処理部44は、切痕ノイズと見なされるボトム−ピーク振幅値が完全に削除されるまで、脈波波形の時間軸上の始端から終端までのスルー処理(ノイズ除去処理)を繰り返す。すなわち、脈波波形の形状(切痕ノイズの表出態様)は、被験者によりまちまちであり、時間軸上の1回のスルー処理では切痕ノイズが完全に除去できない場合がある。この点を、図10に示すような脈波波形53の場合について説明する。
図10に示す脈波波形53では、変曲点検出部441によりボトム値B11〜B14及びピーク値P11〜P14が検出され、これに基づき振幅値検出部442により第1〜第4ボトム−ピーク振幅値SW11〜SW14が検出されることとなる。ここでは、振幅値が大きい第1、第4ボトム−ピーク振幅値SW11、SW14の間に、切痕とみられる振幅値が小さい2つのピークである第2、第3ボトム−ピーク振幅値SW12、SW13が検出されている。このため、ノイズ除去部443により上記(1)式を適用し、時間軸に沿ってSW11:SW12、SW12:SW13、SW13:SW14の対比演算を順次行った場合、SW11:SW12の対比において第2ボトム−ピーク振幅値SW12は第1ボトム−ピーク振幅値SW11に比べ相対的に十分小さいので、第2ボトム−ピーク振幅値SW12は切痕ノイズとみなされる。しかし、SW12:SW13の対比においては、両者はいずれも振幅値が小さいことから、第3ボトム−ピーク振幅値SW13は切痕ノイズとみなされないこととなる。従って、第2ボトム−ピーク振幅値SW12に係るボトム値B12とピーク値P12とは削除されるものの、第3ボトム−ピーク振幅値SW13に係るボトム値B13とピーク値P13とは削除されずに残存する。
このように、時間軸上の1回のスルー処理では切痕ノイズが残ることがあるので、この場合ノイズ除去処理部44は第2ボトム−ピーク振幅値SW12をデータ処理上削除すると共に、時間軸上の2回目のスルー処理を行う。この処理では、第2ボトム−ピーク振幅値SW12が削除されていることから、SW11:SW13、SW13:SW14の対比演算が順次行われることになる。従って、SW11:SW13の対比において第3ボトム−ピーク振幅値SW13は第1ボトム−ピーク振幅値SW11に比べ相対的に十分小さいことから、第3ボトム−ピーク振幅値SW13は切痕ノイズとみなされ、削除される。このようにノイズ除去処理部44は、例えばピーク値の存在数を記憶しておき、時間軸上の1回のスルー処理後にピーク値の存在数をカウントしてスルー処理前後でピーク値数が減少しているか否か(切痕ノイズとみなされ削除されたボトム−ピーク振幅値が存在するか)を判定し、スルー処理前後でピーク値数が同数となるまで、ノイズ除去処理を繰り返す。これにより、切痕ノイズは完全に除去されるようになる。
間隔算出部45は、ノイズ除去部443によりノイズが除去された後の脈波波形に基づいて、そのピーク値間隔(若しくはボトム値間隔)を求める処理を行う。例えば、図9に示した脈波波形52の場合は、ピーク値P1に関連付けられて記憶されている時刻情報と、ピーク値P3に関連付けられて記憶されている時刻情報とから、ピーク値P1〜P3の時間間隔X1を求める演算を行う。以下、ピーク値P3〜P5の時間間隔X2・・・についても同様に求める演算を行うものである。
以上の通り構成されたデータ解析部42によれば、図6に示す生の脈波波形51からピーク値間隔(若しくはボトム値間隔)を求める場合に比較して、切痕ノイズが除去されていることから、一層心電図R−R間隔と相関性の高い脈波P−P間隔を検出することができる。図11は、同一の被験者に心電計と本実施形態に係る脈波測定装置20とを装着し、同じ時間帯において心電と脈波とを測定し、これらに基づいて心電図R−R間隔と脈波P−P間隔とを求め、両者を同一グラフ上に表示したものである。図11に示すように、心電図R−R間隔と脈波P−P間隔とは略一致しており、心電図R−R間隔に相当する情報がデータ解析部42により取得されたことが分かる。
因みに、図11に示す心電図R−R間隔(脈波P−P間隔)は、被験者において心房細動が発生し不整脈が生じている測定結果を示している。不整脈発生中は、心電図R−R間隔は図11に示すように不規則なものとなる。このような心電図R−R間隔と相関性の高い脈波P−P間隔を測定する場合、切痕ノイズによるピークが含まれた状態で間隔算出部45により時間間隔が求められてしまうと、不整脈による脈波P−P間隔の乱れなのか、切痕ノイズが介在したことによる脈波P−P間隔の乱れなのかが判別できず、測定結果の信頼性が低下してしまう。従って、間隔算出部45による脈波P−P間隔の算出の前に、ノイズ除去処理部44により切痕ノイズ除去が肝要となるものである。
以上の通り構成された脈波測定装置20の動作について説明する。図12は、脈波測定装置20による脈波P−P間隔算出の全体フローを示すフローチャートである。ここでは、所定の計測時間無いにおいて計測された脈波データを一旦記憶部25へ格納し、後からデータ解析部42で読み出して脈波P−P間隔を求める場合のフローを示している。
プローブ22を被験者の指先に装着し脈波測定装置20による脈波測定準備が整うと、CPU24の測定制御部41により検知部23が制御され、所定のサンプリング周期で脈波データが取得される(ステップS1)。次に、測定制御部41は、A/D変換部234から出力されるデジタル脈波データを、時刻情報に関連付けて記憶部25へ記録する(ステップS2)。そして、測定制御部41は、所定時間の測定動作を終えたか否かをタイマー情報等に基づいて判定し(ステップS3)、測定終了でない場合は(ステップS3でNO)、次のサンプリング周期の到来を待ってステップS1、ステップS2の動作を繰り返す。
一方、所定の測定動作を終えた場合は(ステップS3でYES)、データ解析部42により記憶部25へ記録されている脈波データが読み出される(ステップS4)。そして、前処理部43で前記脈波データに対して所定の前処理(移動平均処理等)を行った上で、ノイズ除去処理部44で切痕ノイズを除去するノイズ除去処理が行われる(ステップS5)。しかる後、ノイズ除去処理後の脈波データに基づき、間隔算出部45により脈波P−P間隔が算出され(ステップS6)、その結果が、表示制御部46により適宜な表示形態とするためのデータ処理が施された上で表示部212に表示され(ステップS7)、処理が完了する。
図13及び図14は、上記ステップS5の切痕ノイズ除去処理の詳細フローを示すフローチャートである。記憶部25から脈波データが読み出されると、先ず脈波波形生成部431により、脈波データを時間軸に展開するデータ整列処理が行われ、図6に示すような脈波波形が生成される(ステップS11)。この脈波波形について、移動平均処理部432により移動平均処理が行われ、図7に示すように脈波波形が平滑化される(ステップS12)。以上が前処理である。
次に、ノイズ除去処理部44の変曲点検出部441により、移動平均処理後の脈波波形から、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する処理が行われる。具体的には、変曲点検出部441は、脈波波形を構成する一つの脈波値PWとこの脈波値PWと時間軸上で隣接する脈波値PWi+1とを比較し、脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足されているか否かを判定する(ステップS13)。脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足されていない場合(ステップS13でNO)、カウンタiが1だけインクリメントされ(ステップS14)、時間軸上における次の脈波値同士の組み合わせについてステップS13の処理が繰り返される。一方、脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足された場合(ステップS13でYES)、脈波波形が下降から上昇へ転じたこととなるので、このときの脈波値PWがボトム値Bとして検出される(ステップS15)。
続いて変曲点検出部441は、脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足されているか否かを判定する(ステップS16)。脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足されていない場合(ステップS16でNO)、カウンタiが1だけインクリメントされ(ステップS17)、時間軸上における次の脈波値同士の組み合わせについてステップS16の処理が繰り返される。一方、脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足された場合(ステップS16でYES)、脈波波形が上昇から下降へ転じたこととなるので、このときの脈波値PWがピーク値Pとして検出される(ステップS18)。そして、変曲点検出部441は、脈波波形の全データについての比較処理が完了したか否かを確認し(ステップS19)、未完了の場合(ステップS19でNO)はステップS13に戻って処理を繰り返す。
比較処理が完了した場合(ステップS19でYES)、振幅値検出部442により上述の処理で検出されたボトム値Bとピーク値Pとを用い、時間軸上において隣接するボトム値Bとピーク値Pとをペアとし、各ペアにおけるボトム値Bとピーク値Pとの差分を求める演算が各々行われ、図8に示すようなボトム−ピーク振幅値SW1〜SW5が求められる(ステップS20)。
しかる後、ノイズ除去部443により、ステップS20で求められたボトム−ピーク振幅値を用い、上記(1)式を用いて時間軸上の最初に検出された第1ボトム−ピーク振幅値SWと、これに続いて検出された第2ボトム−ピーク振幅値SWi+1とを比較する処理が行われる(ステップS21)。そして、上記(1)式の関係が満足されているか否かが判定され(ステップS22)、満足されている場合(ステップS22でYES)、ノイズ除去部443は、ここでの第2ボトム−ピーク振幅値SWi+1を切痕ノイズと見なす判定を行い、このデータを削除するマーキング処理を行う(ステップS23)。これにより、第2ボトム−ピーク振幅値SWi+1に係るボトム値及びピーク値は以後のデータ処理では使用されなくなる。これに応じて、ノイズ除去部443は、変曲点検出部441で検出されたピーク値Pのカウント数を1つ減ずる修正を行う(ステップS24)。
一方、上記(1)式の関係が満足されていない場合は(ステップS22でNO)、ノイズ除去部443は、ここでの第2ボトム−ピーク振幅値SWi+1を切痕ノイズとは扱わず、検出されたボトム−ピーク振幅値の全てについての比較処理が完了したか否かを確認し(ステップS25)、未完了の場合(ステップS25でNO)、カウンタiが1だけインクリメントされた上で(ステップS26)、ステップS21に戻って処理を繰り返す。
一方、比較処理が完了した場合(ステップS25でYES)、時間軸上の1回のスルー処理が完了したことになるが、ここでノイズ除去部443により、ピーク値Pのカウント数がスルー処理の前後で減少したか否かが確認される(ステップS27)。カウント数が減少している場合(ステップS27でYES)、切痕ノイズが完全に除去されていない可能性があるので、ステップS22に戻って処理を繰り返す。一方、カウント数が減少していない場合(ステップS27でNO)、切痕ノイズが完全に除去されたものとして、ノイズ除去処理を終える。
以上説明した実施形態では、切痕ノイズを除去するための、上記(1)式で用いられる相対値a(振幅値比の閾値)を、専ら固定的な設定値として扱う例を示した。しかし、相対値aは、状況に応じて適宜変更する(少なくとも1回変更する)ようにしても良い。例えば、図10に基づき説明したように、切痕ノイズ除去のための時間軸上のスルー処理を複数回行う場合において、スルー処理回数の進行に従って相対値aを小さくするようにすることは、好ましい実施形態の一つである。その理由は以下の通りである。
いま、1回の連続測定で、図15及び図16に示したような脈波波形61、62を含む脈波波形が取得された場合を考える。図15に示した脈波波形61には、符号611で指し示す部分に微小なピークとボトム(切痕ノイズ)が表れており、これに続く符号612で指し示す部分にも比較的小さい切痕ノイズが表れている。また、符号613で指し示す部分においては、比較的ピーク値とボトム値との差が大きい切痕ノイズが表れている。一方、図16に示した脈波波形62には、符号621で指し示す時間帯で振幅の大きい脈波波形が検出された後、これに続く符号622で指し示す時間帯で比較的振幅の小さい脈波波形が検出されている。
このような場合、図15の符号612で指し示す部分のように、小さい切痕ノイズが連続している箇所において当該切痕ノイズを除去するためには、切痕ノイズ除去のスルー処理を少なくとも2回行う必要がある(図10参照)。また、符号613で指し示す部分のような大きい切痕ノイズを除去するためには、相対値aを0.5程度の高い値に設定する必要がある。
しかし、相対値a=0.5程度として、切痕ノイズ除去のスルー処理を複数回繰り返した場合、図16に示した符号622で指し示す時間帯の脈波波形が、切痕ノイズとして除去されてしまうことがある。すなわち、符号622の時間帯の脈波波形は、本来脈波として扱うべきピーク値及びボトム値を含んでいるにも拘わらず、符号621の時間帯でたまたま振幅の大きい脈波波形が検出されてしまった結果、高い値の相対値aに起因して切痕ノイズと扱われてしまうものである。
かかる不都合を抑止するためには、スルー処理を複数回繰り返すに当たり、相対値aを小さい値に変更しながら処理を行えば良い。具体的には、図5に示したノイズ除去部443に前記相対値aの変更機能を持たせ、相対値aを状況に応じて低減させつつ、n回の切痕ノイズ除去のスルー処理を行わせるようにすれば良い。例えば、図15及び図16に示したような脈波波形61、62を想定する場合は、相対値a=0.5に設定して2回の切痕ノイズ除去処理を行い大きい切痕ノイズを除去した後、相対値a=0.1に設定して小さい切痕ノイズが除去されるまで切痕ノイズ除去処理を繰り返すようにすれば良い。この他、スルー処理の繰り返し回数が増加するに連れて相対値aを徐々に小さくしたり、2回〜4回単位程度の割合で段階的に相対値aを小さくしたりしても良い。このような相対値aの変更処理を行うことで、大きい切痕ノイズを除去する一方で本来の脈波波形を削除することなく、小さい切痕ノイズも綺麗に除去できるようになる。
図17は、ノイズ除去部443に相対値aの変更機能を持たせた場合の処理動作を示すフローチャートである。当該フローチャートにおいて、ステップS30〜ステップS36は、図14のフローチャートに基づき先に説明したステップS20〜ステップS26と同様であるので、ここでは説明を省略する。
全データの比較処理の完了後(ステップS35でYES)、ノイズ除去部443により、ピーク値Pのカウント数がスルー処理の前後で減少したか否かが確認される(ステップS37)。カウント数が減少している場合(ステップS37でYES)、ステップS32に戻って処理を繰り返す前に、相対値aを初期値から所定の値に変更する処理が必要であるか否かが確認される(ステップS38)。
相対値aの変更処理が必要である場合(ステップS38でYES)、ノイズ除去部443は、相対値aを所定値に変更する(ステップS39)。上記の例示のような設定が行われている場合は、3回目のスルー処理の際に、相対値a=0.5から相対値a=0.1に変更されることとなる。しかる後、ステップS32に戻って処理を繰り返す。これに対し、相対値aの変更処理が必要でない場合(ステップS38でNO)、相対値aを変更せずにステップS32に戻って処理を繰り返す。一方、ステップS37においてカウント数が減少していない場合(ステップS37でNO)、切痕ノイズが完全に除去されたものとして、ノイズ除去処理を終える。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような実施形態を取ることもできる。
[1]上記実施形態では、ノイズ除去部443において、時間軸上で隣接する2つのボトム−ピーク振幅値を比較し、時間軸上で後のボトム−ピーク振幅値が先のボトム−ピーク振幅値に対して相対的に所定値よりも小さいか否かを判定する場合について例示したが、時間軸上で隣接していない2つのボトム−ピーク振幅値を比較したり、或いは3つ以上のボトム−ピーク振幅値を比較したりするようにしても良い。
[2]上記実施形態では、ピーク値Pのカウント数がスルー処理の前後で減少しなくなるまでスルー処理を繰り返す例を示した。これに代えて、スルー処理の繰り返し回数を一定回数(例えば5回)に制限するようにしても良い。この場合、相対値aを途中で変更するようにして良い(例えば、相対値a=0.5として2回のスルー処理を行い、相対値a=0.1として3回のスルー処理を行う等)。
[3]図11に示したような脈波P−P間隔のパターンを症例に応じて類型化し、これを判別インデックスとして記憶部25等に記憶させておき、データ解析部42に、間隔算出部45により実際に求められた脈波P−P間隔と前記類型とを比較し、どの症例に属するかを近似的に推定するような症例判定部を設けるようにしても良い。
[4]上記実施形態では、検知部23で計測された脈波データを一旦記憶部25へ格納し、事後的にデータ解析部42によりデータ解析する例について例示したが、脈波データを逐次データ解析し、これにより得られる脈波情報を表示部212にライブ表示させるようにしても良い。或いは、不整脈警報ランプ等を具備させておき、脈波P−P間隔の規則性が所定の閾値以上に乱れた場合に、被験者において不整脈が発生したものとして前記不整脈警報ランプ等を点灯させるように構成することもできる。或いは、警報ランプの点灯に代えて、医療機関やナースセンター等に不整脈の発生を無線通報するように構成しても良い。また、不整脈の発生回数や不整脈の種類を表示部212に表示させるようにしてもよい。
[5]上記実施形態では、ノイズが除去された後の脈波波形について、間隔算出部45において心電図R−R間隔に相当する脈波P−P間隔(若しくは脈波ボトム値間隔)を求めるようにしたが、これに加えて、或いはこれに替えて、隣接するピーク値とボトム値の幅(振幅)を求めるようにしても良い。例えば、図9に示した切痕ノイズ除去後の脈波波形52において、診断のための情報として、ボトム値B1とピーク値P1とに基づく振幅、ボトム値B3とピーク値P3とに基づく振幅、ボトム値B5とピーク値P5とに基づく振幅・・・を振幅値検出部442(振幅値算出部)にて求めさせるようにしても良い。
例えば心房細動患者においては、心電図R−R間隔(脈波P−P間隔)にバラツキが生じると共に、ピーク値とボトム値の振幅にもバラツキが生じる。従って、脈波P−P間隔及びピーク値−ボトム値振幅を求め、それらのバラツキ度合いを評価することで、心房細動患者の診断を行うことができる。
また、交感神経が働くと血管が収縮し、ピーク値−ボトム値振幅が小さくなる。これは、通常の脈動振幅に対してピーク値−ボトム値振幅が小さくなっていることが検出されると、交感神経が有効に動作していることが知見できることを意味する。従って、ピーク値−ボトム値振幅を求めることで、自律神経障害の診断等を行うことが可能となる。また、脈波の振幅に基づいて、末梢循環の良否評価を行うことも可能である。
[6]上記実施形態では、全測定データを使用したスルー処理の例を示したが、リアルタイムで切痕を除去しながら脈波P−P間隔を算出するようにしても良い。図18、図19は、リアルタイム処理を行う場合のフローチャートである。この場合、図13のフローチャートでの説明と同様に、脈波波形が生成され(ステップS41)、この脈波波形が平滑化される(ステップS42)。そして、カウンタi=1、j=1、m=0に設定される(ステップS43)。
次に、ノイズ除去処理部44の変曲点検出部441により、脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足されているか否かが判定される(ステップS44)。脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足されていない場合(ステップS44でNO)、カウンタiが1だけインクリメントされ(ステップS45)、ステップS44の処理が繰り返される。一方、脈波値PW<脈波値PWi+1の関係が満足された場合(ステップS44でYES)、このときの脈波値PWがボトム値Bとして検出される(ステップS46)。
続いて変曲点検出部441は、脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足されているか否かを判定する(ステップS47)。脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足されていない場合(ステップS47でNO)、カウンタiが1だけインクリメントされ(ステップS48)、ステップS47の処理が繰り返される。一方、脈波値PW>脈波値PWi+1の関係が満足された場合(ステップS47でYES)、このときの脈波値PWがピーク値Pとして検出される(ステップS49)。そしてカウンタj=1であるか否かが確認され(ステップS50)、j=1である場合(ステップS50でYES)はカウンタjが1だけインクリメントされた上で(ステップS51)、ステップS44に戻って処理が繰り返される。j=1でない場合(ステップS50でNO)は、図19のフローに移行する。
次に、振幅値検出部442により上述の処理で検出された時間軸上において隣接するボトム値Bとピーク値Pとの差分を求める演算が行われ、ボトム−ピーク振幅値SWが求められる(ステップS52)。しかる後、ノイズ除去部443により、ステップS52で求められたSWと、1つ前に同様にして求められているボトム−ピーク振幅値(その時点での基準振幅値)SWj−1とを比較する処理が行われる(ステップS53)。
そして、SWj−1*相対値a>SWの関係が満足されているか否かが判定され(ステップS54)、満足されている場合(ステップS54でYES)、ノイズ除去部443は、ここでのSWを切痕ノイズと見なす判定を行い、このデータを削除する(ステップS55)。一方、SWj−1*相対値a>SWの関係が満足されていない場合(ステップS54でNO)、今回求められたSWが次回求められるボトム−ピーク振幅値に対する基準振幅値となる。このため、カウンタjが1だけインクリメントされた上で(ステップS60)、先に説明したステップS44〜S49と同様にして、次回のボトム値Bとピーク値Pとを求める処理が実行される(ステップS61〜S66)。
なお、ステップS55の後、相対値aを変更するか否かが確認され(ステップS56)、変更が予定されている場合は相対値aが変更される(ステップS57)。これは、上述したように、大きい切痕ノイズを除去する一方で本来の脈波データを削除することなく、小さい切痕ノイズも綺麗に除去できるようにするためである。そして、同じ脈波データについての振幅値比較の繰り返し回数(m)が任意回数(例えば5回)を超過しているか否かが確認される(ステップS58)。これは、上述の変形実施形態[2]に対応する処理である。超過している場合(ステップS58でYES)、ステップS60に移行する。このとき、相対値aが初期値に戻される。超過していない場合(ステップS58でNO)、カウンタmが1だけインクリメントされた上で(ステップS59)、ステップS61に移行する。
ステップS66の後、測定全データの処理が完了したか否かが確認される(ステップS67)。未了である場合は(ステップS67でNO)、ステップS52に戻って処理が繰り返される。すなわち、基準振幅値が順次更新されながら、ボトム−ピーク振幅値の比較処理が繰り返される。一方、測定全データの処理が完了した場合は(ステップS67でYES)、処理を終了する。このようなリアルタイム切痕ノイズ除去を行うことで、リアルタイムで脈波P−P間隔を算出することが可能となる。
[7]本発明にかかる実施品の提供形態として、上述の脈波データ解析システムS0(脈波測定装置20)等としてではなく、該脈波データ解析システムS0等が行う処理を実行する動作プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
本発明の実施形態にかかる脈波データ解析システムS0の全体構成を概略的に示すブロック図である。 脈波データ解析システムS0の具体的なハード構成の一例である脈波データ解析システムS1を示す外観構成図である。 脈波データ解析システムS0の具体的なハード構成の他の例である脈波データ解析システムS2を示す外観構成図である。 図2に示した脈波測定装置20の電気的構成を示すブロック図である。 CPU24の機能構成を示す機能ブロック図である。 脈波波形生成部431により生成された脈波波形51を示すグラフである。 移動平均処理後の脈波波形52を示すグラフである。 脈波波形52におけるボトム値及びピーク値、並びにボトム−ピーク振幅値の検出状況を示すグラフである。 切痕ノイズの除去状況を示すグラフである。 脈波波形の他の例を示すグラフである。 心電図R−R間隔と脈波P−P間隔とを示すグラフである。 脈波測定装置20による脈波P−P間隔算出の全体フローを示すフローチャートである。 切痕ノイズ除去処理の詳細フローを示すフローチャートである。 切痕ノイズ除去処理の詳細フローを示すフローチャートである。 脈波波形の一例を示すグラフである。 脈波波形の一例を示すグラフである。 ノイズ除去部443に相対値aの変更機能を持たせた場合の処理動作を示すフローチャートである。 変形実施形態に係る切痕ノイズ除去処理の詳細フローを示すフローチャートである。 変形実施形態に係る切痕ノイズ除去処理の詳細フローを示すフローチャートである。 心電図に表れる波形及び心電図R−R間隔を示すグラフである。
符号の説明
11 脈波検出手段
12 データ解析手段
13 表示手段
14 記憶手段
20 脈波測定装置
20’ 脈波測定装置(第1の機器)
21 脈波測定装置本体部
23 検知部(脈波検出手段)
24 CPU(データ解析手段)
25 記憶部
30 パーソナルコンピュータ(第2の機器)
41 測定制御部
42 データ解析部
43 前処理部
431 脈波波形生成部
432 移動平均処理部
44 ノイズ除去処理部
441 変曲点検出部
442 振幅値検出部
443 ノイズ除去部
45 間隔算出部
46 表示制御部
51,52,53 脈波波形(脈波データ)
S0,S1,S2 脈波データ解析システム

Claims (17)

  1. 生体の脈波データから生体情報を抽出する脈波データ解析方法であって、
    脈波を所定時間連続計測して得た脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出し、
    時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求め、
    求められたボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値をノイズと見なして除去するステップを含むことを特徴とする脈波データ解析方法。
  2. 前記ノイズが除去された後の脈波データに基づいて、心電図におけるR−R間隔に相当するピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求めるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の脈波データ解析方法。
  3. 前記ノイズが除去された後の脈波データに基づいて、ボトム−ピーク振幅値を求めるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の脈波データ解析方法。
  4. 前記脈波データからボトム値及びピーク値を抽出する前に、該脈波データにつき移動平均を取る処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の脈波データ解析方法。
  5. ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する処理、ボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求める処理、及び振幅値比に基づきノイズを除去する1回目の一連のノイズ除去処理を前記脈波データに対して行った後、
    同様なノイズ除去処理を、前記1回目のノイズ除去処理が行われた脈波データに対して1回若しくは複数回繰り返すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脈波データ解析方法。
  6. 前記ノイズ除去処理を繰り返すに際し、ノイズと見なすか否かを判定するための前記振幅値比の閾値を、少なくとも1回変更することを特徴とする請求項5に記載の脈波データ解析方法。
  7. 生体の脈波データから生体情報を抽出する脈波データ解析システムであって、
    被験者の脈波情報を所定のサンプリング周期で取得して時間軸に関連付けられた脈波データを取得する脈波検出手段と、前記脈波データを解析するデータ解析手段とを備え、
    前記データ解析手段は、
    前記脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出する変曲点検出部と、
    時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求める振幅値検出部と、
    前記ボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値を除去するノイズ除去部と
    を具備することを特徴とする脈波データ解析システム。
  8. 前記データ解析手段は、前記ノイズ除去部によりノイズが除去された後の脈波データに基づいて、心電図におけるR−R間隔に相当するピーク値間隔若しくはボトム値間隔を求める間隔算出部を備えることを特徴とする請求項7に記載の脈波データ解析システム。
  9. 前記ノイズが除去された後の脈波データについて、所定の診断情報としてのボトム−ピーク振幅値を求める振幅値算出部を備えることを特徴とする請求項7に記載の脈波データ解析システム。
  10. 前記データ解析手段は、前記脈波検出手段により取得された脈波データにつき移動平均を取る処理を行う移動平均処理部を具備することを特徴とする請求項7に記載の脈波データ解析システム。
  11. 前記データ解析手段は、前記変曲点検出部、振幅値検出部、及びノイズ除去部による1回目の一連のノイズ除去処理を前記脈波データに対して行わせた後、
    同様なノイズ除去処理を、前記1回目のノイズ除去処理が行われた脈波データに対して1回若しくは複数回繰り返させることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の脈波データ解析システム。
  12. 前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去処理を繰り返すに際し、ノイズと見なすか否かを判定するための前記振幅値比の閾値を、少なくとも1回変更することを特徴とする請求項11に記載の脈波データ解析システム。
  13. 前記データ解析手段によるデータ解析結果を表示する所定の表示手段を有し、
    前記脈波検出手段、前記データ解析手段及び前記表示手段が、前記被験者に対して装着可能な機器に装備されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の脈波データ解析システム。
  14. 前記脈波検出手段により取得された脈波データを保存する記憶手段を有し、
    前記脈波検出手段と前記記憶手段とが装備され、前記被験者に対して装着可能な第1の機器と、
    前記データ解析手段が装備され、前記第1の機器とデータ通信を行うことで前記記憶手段に保存されている脈波データを取り入れ可能とされた第2の機器とから構成されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の脈波データ解析システム。
  15. 前記データ解析手段が、前記脈波データをリアルタイムで解析すると共に、該解析により得られる脈波情報を所定の表示部へ表示させるものであることを特徴とする請求項7に記載の脈波データ解析システム。
  16. 前記データ解析手段が、解析した脈波情報を保存する記憶手段を具備することを特徴とする請求項7に記載の脈波データ解析システム。
  17. 生体の脈波データから生体情報を抽出するための解析プログラムであって、前記脈波データを解析するデータ解析手段に、
    被験者の脈波情報を所定のサンプリング周期で取得して時間軸に関連付けられた脈波データを読み出すステップと、
    前記脈波データから、ボトム値及びピーク値を時間軸に沿って順次検出するステップと、
    時間軸上において隣接するボトム値とピーク値とをペアとし、各ペアのボトム値とピーク値との差分であるボトム−ピーク振幅値を時間軸に沿って各々求めるステップと、
    前記ボトム−ピーク振幅値を時間軸上の前後で比較し、その振幅値比が所定値よりも大きい場合に、振幅値が小さい方のボトム−ピーク振幅値にかかるボトム値及びピーク値を除去するステップとを実行させることを特徴とする脈波データ解析プログラム。
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