JP4747753B2 - コネクタ - Google Patents
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アウターハウジングに相手のコネクタが嵌合係止すると、インナーハウジングが相手のコネクタとアウターハウジングの奥壁との間にばね部材を介して嵌合方向にフローティング支持されるので、相手のコネクタの嵌合後に振動が発生するとその振動によって動く相手のコネクタに対しインナーハウジングが追従して動くことになり、振動に起因する端子金具同士の磨耗を抑えることができる。
また、板ばね材からなるばね部材に少なくとも3つの支点部が周方向に等間隔をあけて設置され、これら支点部の弾発力でインナーハウジングの押さえ面を相手のコネクタ側へ押し付け支持するので、支点部の弾発力がインナーハウジングの全周に亘って均等に分散される。これにより、インナーハウジングの軸振れを防止することができる。
また、フード部の周壁がシール部材の弾発力を受けて拡開変形するのを変形規制部が外側から押さえ付けるので、相手のコネクタの嵌合後に振動が発生したときにフード部のがたつきを抑えることができ、ひいてはシール部材のシール性の低下を防止することができる。
相手のコネクタの嵌合前は係合部と係合受け部とが互いに当接することでインナーハウジングがアウターハウジングに対しリジッドに組み付けられるので、インナーハウジングのがたつきが規制されて、相手のコネクタに対する嵌合位置を正しく定めることができる。一方、相手のコネクタの嵌合に伴いインナーハウジングが移動することで、係合部と係合受け部とが互いに離間してインナーハウジングのリジッド状態が解除されるので、インナーハウジングが遊動可能にフローティング支持される。
相手のコネクタの嵌合途中では遊動規制部とこの遊動規制部が取り囲む他方の外面とが互いに摺動してインナーハウジングの移動が案内されるので、インナーハウジングと相手のコネクタとの同軸性が保たれる。一方、相手のコネクタの嵌合後にはインナーハウジングが遊動可能な遊動許容空間へ移動するので、インナーハウジングの追従動作の円滑性が担保される。
相手のコネクタとアウターハウジングのいずれか一方にロックアームが設けられ、他方にロック受け部が設けられており、他方のほうが一方よりも硬質となっているので、相手のコネクタの嵌合後、ばね部材の弾発力が作用し続けるとロックアームのうちのロック受け部と接する面が樹脂のクリープによって変形して、ロック機能が低下するとともに両ハウジング間にがたつきが生じる懸念がある。しかし、請求項4の発明によれば、ロックアームに、少なくとも、ロック受け部と接する面の一部または全部を覆うようにして金属製の補強板が装着されているので、樹脂のクリープを未然に防止することができる。
相手のコネクタの嵌合途中で、持ち上げ部が持ち上げ受け部に乗り上げられ、この乗り上げ動作に伴ってロックアームが持ち上げられることでロックアームとロック受け部とが互いに非干渉となるので、ロック受け部がロックアームに装着された金属製の補強板によって削られることがなく、ロック機能を良好に保つことができる。
ばね部材は金属製の板ばね材によって構成され、補強板は板ばね材の一部がロックアームの内面に沿って延出して形成されるので、補強板とばね部材を別々に製造しなくて済み、部品点数を削減できる。また、補強板がロックアームの内面に沿って延出して形成されるので、ロックアームを広範囲で確実に補強できる。
本発明の実施形態1を図1ないし図18によって説明する。この実施形態では、互いに嵌合可能な雌雄一対のコネクタF,Mのうち、雌コネクタFを例示するものであり、アウターハウジング10、インナーハウジング30、ばね部材50等の相互に独立した多数の構成部品を備えて構成されている。なお、以下の説明において、前後方向については両コネクタF,Mの嵌合面側を前方とし、上下方向については図1や図2を基準とする。
さらに、フード部93の周壁がシール部材32の弾発力を受けて拡開変形するのを変形規制部73が外側から押さえ付けて規制するようにしたので、両コネクタF,Mの嵌合後に振動が発生したときにフード部93のがたつきを小さく抑えることができ、ひいてはシール部材32のシール性の低下を防止することができる。
次に、本発明の実施形態2を図19ないし図29によって説明する。実施形態2では、雌雄の両コネクタF,Mのロック構造に関する部分の形態が実施形態1とは異なっている。しかし、インナーハウジング30及びインナーハウジング30に組み付けられるリテーナ31、シール部材32、フロント部材33の形態は実施形態1とほぼ同一であり、これらについての重複する説明は省略する。
そこで、本実施形態においては、ロックアーム16に、少なくとも、ロック受け部97と接する面の一部を覆うようにして金属製の補強板101を挿入し、これにより、樹脂のクリープを未然に防止できるようにしてある。
また、両コネクタF,Mの嵌合過程では、持ち上げ部106の乗り上げ動作によってロックアーム16がロック受け部97と非干渉な位置にまで持ち上げられるので、ロックアーム16に金属製の補強板101が装着されているという事情があっても、ロック受け部97が補強板101によって削られて損傷することがなく、ロック機能を良好に保つことができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、遊動規制部が係合受け部に設けられていたが、本発明によれば、遊動規制部が係合部に設けられていてもよい。要は、係合部と係合受け部とが係合状態にあるときに、両者のうちのいずれかを三方向から取り囲んでその遊動を規制するものであればよい。
(2)上記実施形態では、係合部と係合受け部とが係合状態にあるときに、両者が遊動規制部によって遊動規制される構成であったが、本発明によれば、係合部と係合受け部との間に両者の隙間をつめる肉盛り部があって、この肉盛り部を介して両者がリジッドに組み付けられるものであればよい。
(3)上記実施形態では、係合部と係合受け部との係合によってインナーハウジングがアウターハウジングに抜け止め状態で係止されるようになっていたが、本発明によれば、係合部と係合受け部とがそのような係止機能を備えていなくてもよい。
(4)上記実施形態では、ばね部材の支点部が周方向に間隔をあけて4つ設置されていたが、本発明によれば、ばね部材の支点部が周方向に間隔をあけて少なくとも3つ設置されていればよい。
(5)上記実施形態では、雌コネクタ側にロックアームが設けられ、雄コネクタ側にロック受け部が設けられていたが、本発明によれば、これとは逆に、雌コネクタ側にロック受け部が設けられ、雄コネクタ側にロックアームが設けられていてもよい。
(6)本発明によれば、金属製の補強板をロックアームの係止孔の被係止面の全体を覆うようにして装着してもよい。これにより、ロック受け部の係止面の全面に補強板が当接可能となる。
(7)本発明によれば、ばね部材とは別体に形成された補強板をロックアームに装着してもよい。
(8)本発明によれば、雄コネクタが、インナーハウジング、アウターハウジング、ばね部材等を備えていてもよい。
M…雄コネクタ
10…アウターハウジング
13…外筒部
16…ロックアーム
23…係止孔
26…ガイド溝
26A…メインガイド溝
30…インナーハウジング
31…リテーナ
32…シール部材
33…フロント部材
34…端子収容室
36…フランジ部
50…ばね部材
51…貫通孔
53…支点部
78…係合部
80…雌端子金具
89…ゴム栓
90…雄端子金具
93…フード部
96…ガイドリブ
97…ロック受け部
Claims (6)
- 一端が奥壁により閉じられた筒状のアウターハウジングと、このアウターハウジング内に収容される板ばね材からなるばね部材と、同じくアウターハウジング内に収容されて前記奥壁との間に前記ばね部材を挟み込む押さえ面を有するとともに端子金具を保持するインナーハウジングとを備え、
前記インナーハウジングは、前記アウターハウジングに相手の端子金具を保持する相手のコネクタが嵌合係止することでこの相手のコネクタに押し込まれて前記奥壁側へ移動し、この奥壁と前記相手のコネクタとの間に前記ばね部材を介して嵌合方向にフローティング支持されており、
前記ばね部材は、少なくとも3つの支点部を一体に備え、これら支点部が周方向に等間隔をあけて設置され、かつ同支点部がその弾発力によって前記インナーハウジングの押さえ面を前記相手のコネクタ側へ押し付け支持し、
前記相手のコネクタには、前記アウターハウジングの内面と前記インナーハウジングの外面との間に進入可能な周壁を備えたフード部が設けられ、前記インナーハウジングの外面には、前記フード部の周壁の先端と嵌合方向で対向する位置に、径方向外向きに張り出すフランジ部が設けられるとともに、このフランジ部と並ぶ位置に、前記相手のコネクタの嵌合後にこのインナーハウジングの外面と前記フード部の周壁の内面との間で圧縮され得るシール部材が嵌着されており、さらに、
前記フランジ部の張り出し端部には、前記シール部材と対向する位置に、前記相手のコネクタの嵌合後、前記フード部の周壁が前記シール部材の弾発力を受けて拡開変形するのを外側から押さえ付ける変形規制部が設けられていることを特徴とするコネクタ。 - 前記アウターハウジングの内面には係合受け部が設けられ、前記インナーハウジングの外面には係合部が設けられており、
前記相手のコネクタの嵌合前には、前記係合部と前記係合受け部とが互いに当接することで前記インナーハウジングが前記アウターハウジングに対してリジッドに組み付けられる一方、
前記相手のコネクタの嵌合に伴う前記インナーハウジングの移動によって前記係合部と前記係合受け部とが互いに離間することで、前記インナーハウジングのリジッド状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。 - 前記係合部と前記係合受け部のいずれか一方には、前記相手のコネクタの嵌合前に他方の外面を三方向から取り囲むことで前記インナーハウジングが嵌合方向と直交する方向へ遊動するのを規制する遊動規制部が設けられ、
前記相手のコネクタの嵌合途中では、前記他方の外面と前記遊動規制部とが互いに摺動して前記インナーハウジングの移動が案内され、前記相手のコネクタの嵌合後には、前記インナーハウジングが遊動可能な遊動許容空間へ移動することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。 - 前記相手のコネクタと前記アウターハウジングのいずれか一方には弾性変形可能なロックアームが設けられ、他方にはロック受け部が設けられており、前記ロックアームが前記ロック受け部を弾性的に係止することで前記相手のコネクタが前記アウターハウジングに離脱規制状態で保持されるようになっており、前記アウターハウジングと前記相手のコネクタの対応する部分がいずれも合成樹脂材により形成され、前記ロック受け部が設けられた他方のほうが前記ロックアームが設けられた一方よりも硬質となっているものであり、
前記ロックアームには、少なくとも、前記ロック受け部と接する面の一部または全部を覆うようにして金属製の補強板が装着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコネクタ。 - 前記相手のコネクタと前記アウターハウジングのいずれか一方には、前記ロックアームと連動して変位する持ち上げ部が設けられ、他方には、前記ロック受け部と並ぶ位置に、持ち上げ受け部が設けられており、
前記相手のコネクタの嵌合途中では、前記持ち上げ部が前記持ち上げ受け部に乗り上げられ、この乗り上げ動作に伴って前記ロックアームが持ち上げられることでこのロックアームと前記ロック受け部とが互いに非干渉となることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。 - 前記ロックアームは前記アウターハウジングに設けられ、
前記ばね部材は金属製の板ばね材によって構成されており、前記補強板は、前記板ばね材の一部が前記ロックアームの内面に沿って延出して形成されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコネクタ。
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