JP4747522B2 - 背面投射型ディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
このような透過型スクリーンの背面に入射する映像光は、まず、フレネルレンズにより略平行光となり、次いで、レンチキュラーレンズシートによりスクリーンの左右方向に拡散するとともに拡散層によりスクリーンの上下方向に拡散する。これにより、スクリーン左右方向及び上下方向の視野角が制御される。
つまり、フレネルレンズの光軸上に配置されるプロジェクタから投射される映像光を、従来よりも大きな入射角度でフレネルレンズのレンズ本体に対して斜めに入射させることにより、リアプロジェクションテレビの薄型化を図ろうとしているのである。
つまり、特許文献1・2に開示されたフレネルレンズは、映像光が通常の入射角度でレンズ本体に対して入射するような場合には、その反射防止膜による反射防止効果を発揮することができるのであるが、リアプロジェクションテレビの薄型化に起因して、映像光が従来よりも大きな入射角度でレンズ本体に対して斜めに入射する場合には、その反射防止膜による十分な反射防止効果を発揮することができず、映像光のロスを十分に少なくすることができないのであった。
ここで、上記のように光軸が偏心したフレネルレンズを用いたことにより、このフレネルレンズのレンズ本体に入射する映像光の入射角度が大きくなってしまう。しかしながら、本発明においては、フレネルレンズのレンズ本体の入射面側に上式を満たす反射防止膜を設けたことにより、レンズ本体に対して大きな入射角度で入射する映像光に対しても、十分な反射防止効果を発揮することができる。つまり、上式を満たす反射防止膜が、その入射側の界面において反射する映像光の光路と出射側の界面において反射する映像光の光路とを所定距離だけずらして、これら反射する映像光同士を互いに打ち消しあわせるように機能するのである。これにより、本発明の背面投射型ディスプレイ装置のフレネルレンズは、大きな入射角度でレンズ本体に入射する映像光における可視光(波長450nm〜650nm)の例えば90%以上を透過させることができ、反射によって生じる映像光のロスを極力少なくして、透過型スクリーン上に暗い画像が表示されてしまうのを防止することができる。
本実施形態による背面投射型ディスプレイ装置としてのリアプロジェクションテレビ10は、図1に示すように、筐体11と、前面側(図1中の右側)を筐体11の外部へ露出させるとともに背面側(図1中の左側)を筐体11の内部へ露出させた略長方形平板状をなす透過型スクリーン20と、筐体11内に配置され、透過型スクリーン20の背面に対して映像光を投射する光源としてのプロジェクタ12と、同じく筐体11内に配置され、プロジェクタ12から投射される映像光の光路を偏向させる例えば2枚の反射鏡13,14とを備えている。
これらフレネルレンズ30、レンチキュラーレンズシート40、拡散層50は、透過型スクリーン20の背面側(図2中の左側)から前面側(図2中の右側)にかけて順次配置されているとともに、互いに略平行となるように配置されている。
本実施形態において、フレネルレンズ部33の複数の単位レンズ35がなす同心円の中心を通ってレンズ本体31の法線に沿う方向、つまり、フレネルレンズ30の光軸P1は、図2に示すように、レンズ本体31の中心P2を通るレンズ本体31の短辺に沿う方向(スクリーン上下方向)においてレンズ本体31の長辺よりも外側でレンズ本体31から外れた位置を通るように配置されている。
また、この反射防止膜34については、後述するが、その屈折率をnfとし、膜厚をdとし、膜内を透過する映像光の傾斜角度(光軸P1に対してなす傾斜角度)をθfとし、映像光の波長をλとしたときに、
λ・1/8<N・(nf・d/cos(θf))<λ・3/8 (Nは自然数) …(1)
を満たすようになっている。
そして、プロジェクタ12から投射される映像光を透過型スクリーン20の背面に入射させる、つまり、プロジェクタ12から投射される映像光を透過型スクリーン20の背面側に位置するフレネルレンズ30に入射させると、このフレネルレンズ30は、入射した映像光の方向を整えて略平行光としてからレンチキュラーレンズシート40に向けて出射する。
そして、このような配置とされるプロジェクタ12から投射される映像光の光路を、透過型スクリーン20の背面に対向配置されるとともに透過型スクリーン20に対して略平行となるように配置される反射鏡14とさらにもう一つの反射鏡13とによって偏向させることにより、プロジェクタ12が、筐体11内において透過型スクリーン20と反射鏡14との間の領域から例えば下方側に外れた領域に配置されている。
このような最大入射角度θmaxでフレネルレンズ30のレンズ本体31に入射する映像光に対して、上記反射防止膜34が十分な反射防止効果を発揮することにより、入射する映像光における可視光(波長450nm〜650nm)の例えば90%以上がフレネルレンズ30を透過できるようになっている。
この拡散レンズ部44を構成する複数のシリンドリカルレンズ43は、その長さ方向をスクリーンの上下方向(垂直方向)に略一致させており、フレネルレンズ30から出射される映像光がレンチキュラーレンズシート40に入射すると、このレンチキュラーレンズシート40は、入射した映像光をスクリーンの左右方向(水平方向)で集光・拡散してストライプ状の光としてから拡散層50に向けて出射する。なお、図2においては、説明上分かりやすくするため、シリンドリカルレンズ43の長さ方向をスクリーンの上下方向(垂直方向)ではなく左右方向(水平方向)に略一致させて示してある。
これに対し、複数のシリンドリカルレンズ43によるストライプ状の集光部に対応する領域は、シート本体41の出射面側に位置させられた通過部46とされており、シリンドリカルレンズ43によって集光した映像光が、この通過部46を通過するようにして拡散することになる。
そのため、フレネルレンズ30の光軸P1上に配置されるプロジェクタ12を、反射鏡13,14によって映像光の光路を偏向させていない状態において、透過型スクリーン20の背面に対向する領域から例えば下方側に外れた領域に配置することができている。
このように、透過型スクリーン20の背面に対向配置される反射鏡14を透過型スクリーン20に対して略平行となるように配置することができていると、従来では反射鏡14の傾斜の分だけ必要となっていた筐体11の奥行きが不必要になり、リアプロジェクションテレビ10のさらなる薄型化を実現することができる。
しかしながら、本実施形態では、フレネルレンズ30のレンズ本体31の入射面側に、上記(1)式を満たす反射防止膜34を設けたことによって、映像光の入射角度が大きくなることに起因した映像光の反射ロスの問題を解決することができている。
ここで、本実施形態のように例えば1層の反射防止膜34がレンズ本体31の入射面側に設けられている場合、反射防止膜34の屈折率をnfとし、反射防止膜34の入射側に隣接する入射媒質(本実施形態では、空気)の屈折率をnoとし、反射防止膜34の出射側に隣接する出射媒質(本実施形態では、レンズ基板32)の屈折率をnsとしたときに、映像光の反射率Rは、
R=(nf2−no・ns)2/(nf2+no・ns)2 …(2)
で表される。
この反射率Rを小さくするためには、レンズ本体31の入射面側に設けられた反射防止膜34が、その入射側の界面(本実施形態では、空気と反射防止膜34との界面、つまりレンズ本体31の入射面)において反射する映像光の光路と、出射側の界面(本実施形態では、反射防止膜34とレンズ基板32との界面)において反射する映像光の光路とを所定距離だけずらして、これら反射する映像光同士を互いに打ち消しあわせるように機能することが必要となる。
よって、反射防止膜34の屈折率をnfとし、反射防止膜34の膜厚をdとし、反射防止膜34内を透過する映像光の傾斜角度(光軸P1に対してなす傾斜角度)をθfとし、映像光の波長をλとしたときに、
N・(nf・d/cos(θf))=λ・1/4 (Nは自然数) …(3)
を満たせばよい。
なお、反射防止膜34内を透過する映像光の傾斜角度θfは、反射防止膜34に入射する映像光の入射角度θo(本実施形態では、フレネルレンズ30のレンズ本体31に入射する映像光の入射角度)との関係において、スネルの法則
no・sin(θo)=nf・sin(θf) …(4)
より求めることができる。
したがって、本実施形態のフレネルレンズ30では、上記(1)式を満たす反射防止膜34がレンズ本体31の入射面側に設けられていることにより、従来よりも大きな入射角度でレンズ本体31に入射する映像光における可視光(波長450nm〜650nm)の例えば90%以上を透過させることができ、反射によって生じる映像光のロスを極力少なくして、透過型スクリーン20上に暗い画像が表示されてしまうのを防止することができる。
この場合、複数の反射防止膜34のうちの少なくとも1層の反射防止膜34について(好ましくは、すべての反射防止膜34について)、上記(1)式を満たしていれば、十分な反射防止効果を得ることができる。なお、上記(4)式において、入射媒質の屈折率noは、空気あるいは反射防止膜34の入射側に隣接する他の反射防止膜34の屈折率となり、反射防止膜34に入射する映像光の入射角度θoは、レンズ本体31に入射する映像光の入射角度あるいはこの反射防止膜34の入射側に隣接する他の反射防止膜34内を透過する映像光の傾斜角度となる。
そのため、この映像光は、偏光面の方向が揃っている直線偏光からなることが好ましい。このように偏光面の方向が定まっていれば、反射率を確実に特定することができて、最適な反射防止膜34を設計することができる。つまり、映像光の偏光面を直線偏光とすることで、反射防止効果をより高めることができるため、映像光の利用効率をさらに改善することができるのである。とくに、直線偏光のうちでも、入射角度が60°近傍の大きい場合に低い反射率を示すp偏光を用いることがより好ましい。
12 プロジェクタ(光源)
20 透過型スクリーン
30 フレネルレンズ
31 レンズ本体
32 レンズ基板
33 フレネルレンズ部
34 反射防止膜
35 単位レンズ
35A 屈折面
40 レンチキュラーレンズシート(拡散レンズシート)
50 拡散層
P1 フレネルレンズの光軸
P2 フレネルレンズのレンズ本体の中心
Claims (1)
- 光軸上にフレネルレンズが配置され、透過型スクリーンと映像光を投射する光源とを備えている背面投射型ディスプレイ装置において、
前記フレネルレンズが入射光の方向を整えて出射光とするフレネルレンズ部を出射面側に有し、かつ前記フレネルレンズのレンズ本体が略長方形平板状であり、かつ前記光軸が前記レンズ本体の中心を通る前記レンズ本体の短辺に沿う方向において前記中心から外れた位置を通るように配置されており、
前記レンズ本体の入射面側に、前記光軸上に配置される光源から投射されて前記レンズ本体に入射する映像光の反射を低減するための反射防止膜が設けられており、
前記反射防止膜を構成する少なくとも1つの膜が屈折率をnfとし、膜厚をdとし、膜内を透過する映像光の傾斜角度をθfとし、映像光の波長をλとしたときに、
λ・1/8<N・(nf・d/cos(θf))<λ・3/8(Nは自然数)
を満たしているフレネルレンズであって、前記映像光の最大入射角度θmaxが、
θmax≧60°
を満たしており、
前記映像光が前記フレネルレンズに対してp偏光の直線偏光であることを特徴とする背面投射型ディスプレイ装置。
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