JP4745259B2 - セメント組成物 - Google Patents
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Description
詳しくは、大幅に減水率を高め、容易に高強度を得るためのセメント混和材及びそのセメント組成物に関する。
また、高強度混和材を添加した場合の強度も結局は水セメント比で決まることから、減水率をより高くすることができれば、より高い強度が容易に得られるばかりでなく、強度を一定とすると単位セメント量や単位高強度混和材量を少なくすることができ、経済的なコンクリートの製造が可能となる。
しかしながら、クエン酸等とアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩の併用系では、アルカリ金属の炭酸塩等はスランプロス防止の助長作用には卓効を示すが減水率の増大効果は全く示されないものである。
しかしながら、この場合も、アルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩は、ベントナイトのプラスチック性向上には卓効を示すが、減水率の増大効果は認められないものであり、アルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩は他の成分と併用されると全く異なった性質を示すものである。
従って、強度を一定とすると、高性能減水剤の使用量、単位セメント量、及び石膏や活性シリカの使用量を低減できるので経済的であるばかりでなく、水和熱も小さくできるなどの理想的なモルタル又はコンクリートの製造が可能となる。
また、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤としては、デンカグレース社製商品名「FT−3S」、昭和電工社製商品名「モルマスター10」や「モルマスター20」などが挙げられる。
さらに、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、藤沢薬品社製商品名「パリック200」シリーズがある。
この中で、粉末状態で市販されているのは「マィティ100」、「セルフロー110P」、「モルマスター10」、及び「モルマスター20」であり、その他は液体の状態で市販されており、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤では固形分が40重量%程度となっている。
石膏は本発明の減水率の向上に対して、助長作用を有し、同一配合のコンクリートではより高い強度が容易に得られる。また、強度を一定にすると石膏の添加量は少なくできるものである。
また、液体状の高性能減水剤等にアルカリ炭酸塩を溶解して、他の固体の成分とは別に添加しても良いし、さらに、セメント混和材全体を練り混ぜ水の一部又は全量で懸濁してミキサーに添加しても良いものである。
全ての成分を混合(高性能減水剤も粉末を使用)したセメント混和材をモルタルやコンクリートを練り混ぜるとき添加する方法が最も好ましい。
以下、実施例で使用した各種材料を一括して示す。
セメント :電気化学工業社製、普通ポルトランドセメント
粗骨材 :新潟県姫川産砕石
細骨材 :新潟県姫川産天然砂
水 :地下水
高性能減水剤A:ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、第一工業製薬社製商品名「セルフロー110P」、粉末状
高性能減水剤B:メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、昭和電工社製商品名「モルマスター10」、粉末状
アルカリ炭酸塩a:炭酸ナトリウム、試薬1級
アルカリ炭酸塩b:炭酸カリウム、試薬1級
石膏イ :II型無水石膏、フッ酸発生副成石膏、ブレーン比表面積6,000cm2/g
石膏ロ :二水石膏、工業用、ブレーン比表面積6,500cm2/g
石膏ハ :半水石膏、石膏ロを140℃で熱処理、ブレーン比表面積10,000cm2/g以上
石膏ニ :III型無水石膏、可溶性、石膏ハを200℃で熱処理、ブレーン比表面積10,000cm2/g以上
活性シリカα:シリカフューム、エジプトエファコ社産、BET比表面積19.2m2/g
活性シリカβ:ケイ化木、稲藁の焼却灰、BET比表面積1.0m2/g
活性シリカγ:メタカオリン、関東ベントナイト鉱業社製商品名[SEMクレー]を700℃で焼成し、ブレーン比表面積8,150cm2/gに粉砕したもの
活性シリカδ:アエロジル、日本アエロジル社製、BET比表面積160m2/g
セメント100重量部、細骨材135重量部、及び水28重量部のモルタル配合を使用して、表1に示す高性能減水剤とアルカリ炭酸塩を配合してモルタルを練混ぜ、そのモルタルの練混ぜ直後のモルタルフローを測定した。その結果を表1に示す。
なお、モルタルの練混ぜは、練り鉢に細骨材の一部と練混ぜ水と高性能減水剤を投入して低速で撹拌しながら溶解し、その後、セメントとアルカリ炭酸塩を軽く混合したものを30秒間内に投入して、次いで残りの細骨材を30秒間の内に投入する。
さらに、60秒間練混ぜを継続した後、一度、撹拌を止めてスパチラで鉢に付着したものを掻き落としてから高速で90秒間練混ぜた。
また、モルタルフローの測定は、底辺と上辺の直径がそれぞれ12cm、7cm、高さが10cmのコーンを使用してガラス板の上でフローコーンを抜き上げた時のモルタルの広がりを練混ぜ直後に測定した。試験室内温度は20±3℃である。
また、0.5重量部を超えるとフローの増大効果が小さくなる傾向を示すと同時に、練混ぜ20分後程度で偽凝結(ただし、再練りしてもフローは回復しない)を示す場合もあることが示され、最も好ましい上限は0.3重量部である。
最大骨材寸法25mm、スランプ10±2cm、空気量1.0%、細骨材率43%、及び水セメント比32%で、各材料の単位量が、水144kg/m3、セメント450kg/m3、細骨材793kg/m3、粗骨材1,059kg/m3、及び高性能減水剤A4.5kg/m3のコンクリート基本配合を用いて、セメント100部に対して、表2に示す石膏を外割りで添加してコンクリートを練混ぜた。
なお、コンクリートはスランプが一定となるように、練混ぜ水量を調節して40リットル分のコンクリートを練り混ぜた。この時、使用した練混ぜ水量を記録して水セメント比に換算すると共に、φ10×20cmの供試体を作製し、標準養生28日材齢の圧縮強度と蒸気養生後の材齢1日強度を測定した。その結果を表2に示す。
なお、コンクリートの練混ぜは、20±3℃の室内で遊星型強制練りミキサーで行い、粗骨材、細骨材、及びセメント(石膏を添加する場合はセメントに軽く混合した)を投入した後、セメント100重量部に対して、0.9重量部の高性能減水剤Aと0.2重量部のアルカリ炭酸塩bを練混ぜ水全量に溶解したものを投入して2分間練り混ぜた。
蒸気養生は4時間前置き後、3時間で75℃まで昇温し、そのまま4時間保持した後、蒸気バルブを止めて翌日まで養生槽中で冷却した。
比較のため、アルカリ炭酸塩bを使用せず、セメント100重量部に対して1.0重量部の高性能減水剤Aを添加して同様に行った。結果を表2に併記する。
本発明の高性能減水剤とアルカリ炭酸塩と石膏を併用すると高い強度が得られる。石膏の中でもII型無水石膏は、水セメント比をより低下させる傾向にあり、かつ、強度的にも優れた効果を発揮し(実験No.2-5、実験No.2-10〜実験No.2-12と実験No.2-17、実験No.2-22〜実験No.2-24の比較)、比較例のII型無水石膏12重量部添加に対して、実施例では6重量部添加の方がより高い強度が得られる(実験No.2- 8と実験No.2-17の比較)。
II型無水石膏は、常温養生では、2重量部から急に強度を増大させ6重量部でピークを示し、その後は徐々に低下させるが、8重量部を超えると強度低下が顕著に大きくなることが示される。また、蒸気養生では、2〜3重量部から強度は顕著に増大し、添加量が多くなるほど強度も高くなるが12重量部を超えると頭打ちとなることが示される(実験No.2-13〜実験No.2-21参照)。
セメント100部に対して、表3に示す活性シリカを外割りで添加してコンクリートを練混ぜたこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表3に併記する。
表4に示す石膏と活性シリカを使用したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表4に併記する。
Claims (4)
- セメント100重量部と、0.02〜0.5重量部のナトリウム又はカリウムの炭酸塩と、1〜10重量部のメタカオリンと、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、及び芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上の高性能減水剤からなるセメント組成物。
- セメント100重量部と、0.02〜0.5重量部のナトリウム又はカリウムの炭酸塩と、CaSO4換算で1〜15重量部のII型無水石膏と、1〜10重量部のメタカオリンと、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、及び芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上の高性能減水剤からなるセメント組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物と水とを配合してなるモルタル。
- 請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物と水とを配合してなるコンクリート。
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