JP4744937B2 - プリント配線基板用金属材料 - Google Patents
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Description
そして、半導体材料の著しい発達に伴って電気・電子部品は、より一層の小型化・高密度実装化が要求されるようになり、前記受動部品の小型化等ではその要求を満足することが出来なくなっていた。
この部品内蔵化の技術に関しては、例えば、プリント配線基板にキャパシタを設ける方法として、チップコンデンサ等の外部キャパシタをプリント配線基板に取り付ける方法の他、高誘電率材料をプリント配線板の内層に用いてプリント配線基板自体にキャパシタの機能を持たせる方法が知られている。近年の電子製品の小型化を考慮すると、高誘電率材料を内層に用いてキャパシタにする後者の方法が望ましい。
誘電体層をプリント配線基板に内蔵する方法が種々検討されているが、誘電体樹脂を予め電極を形成したフィルム上に塗布後半硬化させて、更にその上に電極を形成した後、基板へ転写する方法が特許文献1に開示されている。
しかしながら、電極を形成する際に銅箔の平滑性がそのまま、キャパシタの品質に影響するので、銅箔の平滑性が問題となる。
最近では銅箔表面に平坦性を要求されるようになっており、電着粒を細かくする添加剤を電解めっき液中に添加して、平滑なめっきを成長させて電解めっき液側の表面を光沢面として使用する電解銅箔も使用されている。しかし、その表面粗さは通常の電解銅箔よりは平滑であるが圧延銅箔に比較するとまだ粗いのが一般的である。
ただし、電解銅箔とは異なりその軟化温度は150℃程度と比較的低い。フレキシブルプリント回路(FPC)のように屈曲性を必要とする場合には軟化温度が低く、接着や樹脂硬化処理時に軟化することは、有利な特性である。
これを防止するためには、窒素やアルゴンといった不活性ガス中で加熱する必要があり、設備投資が大きくなる欠点があった。
(1)300℃で1時間加熱しても軟化しない圧延銅合金箔の少なくとも一方の面を光沢面に仕上げ、その面に0.3μm以上のNi合金めっきを施すことを特徴とするプリント配線基板用材料
(2)光沢面に施したNi合金めっきの表面粗さがRaで0.15μm以下である特徴とする上記(1)に記載のプリント配線基板用材料
(3)光沢面に施したNi合金めっきが光沢Ni合金めっきであることを特徴とする上記(1)〜(2)に記載のプリント配線基板用金属材料
(4)銅合金箔の化学組成が、0.05〜0.25質量%のSn残部Cuおよび不可避的不純物であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のプリント配線基板用金属材料。
(5)銅合金箔の化学組成が、0.02〜0.4質量%のCrおよび0.01〜0.25質量%のZr、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のプリント配線基板用金属材料
である。
(1)表面粗さについて
プリント配線基板に用いられる合金箔は、一方の面に粗化めっきが施され、樹脂と密着させる。もう一方の面には、たとえば、受動部品内蔵基板の場合には、キャパシタやインダクタンス、抵抗等を実装される。
また、平滑性の観点からは、本発明においては、平滑な表面が得られる圧延銅合金箔に限定するものである。
合金箔にNi合金めっきを施すことで、高温での光沢面のCu酸化を防止することができる。とくに、Ni−PやNi−Co、Ni−Feといった合金めっきでは、電着粒が微細化してCuが表面へ拡散することを抑制することが出来るため、通常のNiめっきに比較してもCuの酸化防止に有利である。
さらに、実装に当たっては、表面の平滑性が要求されるため、Ni合金めっきは光沢Ni合金めっきを用いることがより好ましい。すなわち、圧延箔に光沢Ni合金めっきを使うことで光沢面の表面粗さRaが0.10μm以下、Rzが0.7μm以下にでき、キャパシタや抵抗といった搭載部品の歩留が向上する。光沢化するには、有機物や無機物を浴中に添加して電着粒を細かくする方法が一般的である。ただし、Ni合金めっきの場合は合金成分の存在で電着粒が細かくなる場合があり、その場合にはそのまま使用できる。
一方、Ni合金めっきの場合、皮膜中の電着応力が大きくなることがあるため、電流密度や液攪拌、浴温といっためっき条件を調整するか、めっき後に加熱して電着応力を減少させる必要がある場合がある。
金属箔は、樹脂を硬化させるため、300℃〜400℃の高温の環境にさられるので、300℃で軟化しないことが条件となる。ここで軟化とは、加熱により加熱前の引張り強度の60%以下に低下することとする。
本発明では、300℃で1時間加熱しても軟化しない圧延銅合金箔を規定する。具体的には以下に示す。
Snを添加することによりCuの耐熱性が向上する。その効果として、300℃で1時間加熱した際の引張り強さの低下量が小さくなり、0.05質量%以上のSn添加で350MPa以上の引張り強さを保つことが可能となる。この引張り強さのレベルは、Agを添加する場合(特願平2001−216411)よりも50MPa以上も高い。上述した圧延上がりの強度の改善効果をも考慮すると、好ましいSn添加量は0.05質量%以上であり、Snの上限値は目標とする導電率より決定される。
この銅合金の不純物はOが60ppm以下、Sが10ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、FeおよびTeの合計濃度が10ppm以下であることが望ましい。
純銅に0.02%〜0.4質量%のCrおよび0.01〜0.25質量%のZrを添加した銅合金であり、残部が銅および不可避的不純物である合金の場合、さらに耐熱性が向上し、350℃で1時間加熱後でも引張強さの低下がほとんど無い。
更にZn、Ni、Ti、Sn、Si、Mn、P、Mg、Co、Te、Al、B、In、AgおよびHf等の元素1種以上を総量で0.005質量%〜1.5質量%を含有させると、さらに強度を向上することが可能であり、強度を必要とする場合にはより有利である。また耐熱性にも悪影響が無いのでこれら第三元素の添加を除外するものではない。
発明例No.6〜12は、請求項4を満たす組成の合金であり、請求項1に記載の300℃で1時間加熱しても軟化しないという条件を満たし、Ni合金めっき後の表面粗さ(Ra、Rz)が請求の範囲にあるため、良好な結果をえた。さらに、発明例No.10〜11は、Ni合金めっきに光沢Ni−Pめっきを用いたことによりRaが0.1μm以下を満たすため、発明例No.6〜9よりも良好であった。
発明例No.12は請求項5を満たす組成の合金であり、さらに高温の処理にも耐えられるものであった。
○:変形無し(300℃×1h)
◎:より高温(350℃×1h)まで変形無し
部品性能 ×:歩留10%以下
△:歩留10〜60%
○:歩留60:歩留80%以上
比較例No.4は請求項5を満たす組成の合金であるが、Ni−Pめっきを施していないため、部品搭載時に銅の酸化が発生し、部品性能を満たすことができなかった。
Claims (4)
- 300℃で1時間加熱しても引張り強度が加熱前の60%以下に低下しない圧延銅合金箔において、少なくとも一方の面に0.3μm以上の厚みで、表面粗さがRaで0.15μm以下であるNi合金めっきを施すことを特徴とするプリント配線基板用金属材料。
- 前記Ni合金めっきが光沢Ni合金めっきであることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板用金属材料。
- 銅合金箔の化学組成が、0.05〜0.25質量%のSn残部Cuおよび不可避的不純物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
- 銅合金箔の化学組成が、0.02〜0.4質量%のCrおよび0.01〜0.25質量%のZr、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のプリント配線基板用金属材料。
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