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JP4744096B2 - パック電池 - Google Patents

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Description

本発明は、主として大電流の放電に適しているパック電池に関し、特に複数の電池を並列と直列に接続しているパック電池に関する。
パック電池は、並列に接続する電池の個数を多くして出力電流を大きくでき、また、直列に接続する電池の個数多くして出力電圧を高くできる。この構造のパック電池は、多数の電池を内蔵するので、各々の電池を能率よく接続できる構造とすることが大切である。このことを実現するパック電池として、独特の構造のリード板で電池を接続するパック電池が開発されている(例えば特許文献1参照)。また、大出力が要求される用途、例えば自転車、工具、自動車等に使用されるパック電池においても、複数の電池を並列に接続し、さらに、これを直列に接続して出力を大きくする構造がとることができる。
このようなパック電池は、大出力、大電流化の要求によって、使用する電池数が増える傾向にある。内蔵する電池数が増えると、パック電池の形状が一方向に長くなる形状となる。パック電池が一定方向にあまり長くなると、パック電池を装着して使用する電池駆動型の電気機器との接続のバランスが悪くなる。このため、一方向のみに長くなるような偏った形状とせず、パック電池の外形が縦横のバランスのよいサイズとなるよう、多数の電池の配置を工夫する必要がある。一方で、個々の電気機器毎にパック電池を専用設計するのでは、設計コストがかかり効率が悪くなるため、設計上ある程度の汎用性を持たせることが望まれる。このため、一定数の電池をまとめてブロック状とし、各電池ブロックを必要数だけ連結するように配置することで、所望の出力に調整でき、かつ構成上の汎用性を得ることが考えられる。
しかしながら、多数の電池を含む電池ブロックを積層すると、電池と電池の充放電回路などを備える回路基板との接続が問題となる。すなわち、一般に各電池の端面に電極が配置されるため、隣接する電池の端面同士が不意にショートしないように、電池と回路基板との電気接続を行う必要がある。ショートを防止するためには電池の端面を絶縁することが行われるが、使用する電池によっては電池ブロック集合体の中間電位を検出する必要があり、そのためには複数の電池ブロックに中間電位検出用の端子を設けなければならず、この部分での短絡防止も考慮しなければならない。一方で、複数の電池ブロックを積層する構造においては、電池ブロックの積層数が多くなると基板と電池ブロックとの距離が長くなり、この間をリード板やバスバーなどで接続する必要がある。リード板などが長くなると、それだけショートの発生する確率が高くなるため、十分な絶縁構造が必要となる。このように、複数の電池を使用するパック電池において、絶縁を確保しつつ配線等の作業性を向上させた構造が望まれていた。
特開平10−308205号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、電池ブロックを積層して連結する際に電池の端面における絶縁を確実に行い、信頼性を高めたパック電池を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のパック電池は、複数の一端に端面を備える電池と、複数の電池の端面を固定して電池同士を略平行状態に保持するリード板と、隣接する電池同士の間を区画する絶縁性を有するスペーサとを備える複数の電池ブロックと、複数の電池ブロックを連結した電池ブロック集合体の端縁に配置され、電池と配線される電子回路を実装した回路基板と、電池ブロック集合体おいて電池の端面側の一方の面を電圧取り出し面とし、電圧取り出し面に各電池ブロックのリード板の電位を各々引き出すため各リード板と電気的に接続された電圧取り出し部と、電圧取り出し部と回路基板とが電気的に接続された状態で、電池ブロック集合体および回路基板を収納する収納ケースとを有する。このパック電池は、少なくとも電圧取り出し面と面した電池ブロックの、少なくともいずれかの電圧取り出し面と面した端面において、リード板の上面を被覆する絶縁シートを備えており、絶縁シートの上面に他の電池ブロックと接続された電圧取り出し部を配置することで、電圧取り出し部と前記少なくとも前記電圧取り出し面と面した電池ブロックのリード板を設けた電池端面との絶縁を行う。これにより、各電池ブロックの電位を集中させた電圧取り出し面を一方に集中させ、かつこの電圧取り出し面と回路基板とを接続する構成により、電池をブロック状に配置でき、さらに電池ブロックの端面を絶縁シートで覆うことにより、電池と回路基板とを配線する電圧取り出し部が電池ブロックの端面とショートしないよう確実に絶縁されるので、多数の電池をブロック状に配置しても短絡を防止して安全性の高いパック電池を構成でき、一方向に長細い形状とすることなくバランスのよいパック電池とできる。
また、本発明の他のパック電池は、電池ブロック集合体を構成する複数の電池ブロックの内、電圧取り出し面に位置する電池ブロックのリード板が回路基板と電気的に接続するための端子を備えるリード突出部を備えており、該リード突出部の上に絶縁シートが配置され、さらに該絶縁シートの上に該電池ブロックに隣接する次の電池ブロックのリード板が電圧取り出し部により電圧取り出し面に引き出され、さらにその上に別の絶縁シートが配置され、以下すべての電池ブロックのリード板が各々電圧取り出し部により電圧取り出し面に個別に引き出されるまで同様の構造を繰り返している。これにより、すべての電池ブロックの電位を電池ブロック集合体の一方、すなわち電圧取り出し面に取り出すことができると同時に、隣接する電池ブロックの電圧取り出し部が絶縁シートに挟まれて確実に絶縁されるので、電池の安全性を高めることができる。
さらに、本発明の他のパック電池は、絶縁シートを折曲して、隣接する電池ブロック同士の間に折曲された絶縁シートの一片を挿入することで電池ブロック間を絶縁している。これにより、絶縁シートで電池端面の絶縁のみならず、電池ブロック間の絶縁スペーサに兼用することができ、絶縁構造を簡素化できる。
さらにまた、本発明の他のパック電池は、絶縁シートの形状を断面コ字状とし、コ字状の対向面で電池ブロックの両端面を被覆している。これにより、一枚の絶縁シートで電池ブロックの両端面を被覆して端面を絶縁でき、かつ電池ブロック同士の絶縁も行える。
る。
さらにまた、本発明の他のパック電池は、絶縁シートの形状を断面L字状とし、電池ブロックの一方の端面を被覆している。これにより、一枚の絶縁シートで電池ブロックの一方の絶縁でき、かつ電池ブロック同士の絶縁も行える。
さらにまた、本発明の他のパック電池は、電池ブロック集合体の一方の端面に面する電池を、電池ブロック集合体の列毎に同電位となるよう配列し、さらに列方向に延長された同電位取り出し部によって各電池を電気的に接続している。これにより、電池の片面を列毎に同電位とすることで、片面の絶縁を不要とでき、かつ絶縁シートを重畳する必要を無くして薄型化、小型化に寄与し、製造コストを抑えることができる。さらにまた、電池と回路基板との電気接続を一方の面で集中して行うことができるので、一面のみで溶接などの作業を行え、作業性を高め生産性を向上できる利点も得られる。
さらにまた、本発明の他のパック電池は、電圧取り出し面に引き出されたリード突出部および電圧取り出し部と反対面に、回路基板を配置しており、リード突出部および電圧取り出し部と回路基板とがリード線により電気的に接続されている。これにより、電池電圧を取り出す端子を引き出した電圧取り出し面側と、基板側とを対向面として、これらを分離することで不用意なショートを回避し、かつリード線により確実に回路基板と電気接続することで、短絡防止による信頼性を向上させることができる。
さらにまた、本発明の他のパック電池において、電池は円筒形である。
本発明のパック電池によれば、多数の電池を使用するパック電池であっても、これらの電池を一方向のみに長くなるような配置でなく、ブロック状にバランスよく配置して構成できるので、電気機器との取り付けに好適な形状とすることができる。それは本発明のパック電池が、複数の電池をブロック状に積層する構成に加えて、電池の端面を絶縁シートで被覆し、電池と回路基板とを電気接続する電圧取り出し部が電池端面とショートする事態を確実に阻止しているからである。これにより、複数の電池ブロックを積層し、さらに電池ブロック集合体の中間電位を測定するために電池端面に端子を設ける構成においても、電池ブロック間のショートを防止して安全性の高いパック電池とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのパック電池を例示するものであって、本発明はパック電池を以下のものに特定しない。
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図1〜図3に、本発明の一実施の形態に係るパック電池に内蔵される電池ブロック集合体を示す。これらの図において、図1は電池ブロック集合体201の斜視図、図2は図1を背面から見た斜視図、図3はこれらの四面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電池ブロック集合体201は、電池ブロック200A、Bを2段積層したものである。各電池ブロック200は5本の電池210を水平に並べ、かつ上下に2段となるよう、計10本の電池210をほぼ平行に等間隔で配置している。各電池210を所定の配置とするよう、電池ブロック200はスペーサ220を備えている。
[スペーサ220]
スペーサ220は、円筒形の電池210の側面を保持するように開口した電池保持部222を形成している。電池保持部222は、円筒型電池210側面の湾曲面を確実に保持できるように、電池の湾曲面に沿った円筒状とする。また断面を略六角形状のハニカム型等、多角形状としてもよい。あるいは、スペーサの断面を複数の十字が連続する形状に、複数の板状部を組み合わせて、各電池210を配置する空間に区画してもよい。あるいはスペーサ表面は必ずしも平面状とする必要はなく、表面を凹凸形状としてもよい。また、スペーサに弾性変形する部材を使用すれば、電池の湾曲面を挟着して確実に保持できる。スペーサ220は絶縁性部材で構成され、例えば硬質あるいは軟質のプラスチックを一体成型して形成したり、紙性のシートを折曲して組み合わせる。スペーサ220は電池保持部222を区画することによって複数の電池210を正確に位置決めしながら配列でき、かつ各電池210を各々独立して分離させることができる。スペーサがない状態で電池を複数接近させると電池同士の摩擦や、電池の発熱によって他の電池が影響を受ける問題がある。例えば、一の電池が短絡するなどして異常に発熱した場合、その熱によって隣接する電池も損傷を受けることがあった。スペーサ220で各電池210を隔離することによりこれらの影響を低減できる。尚、スペーサの一部または全部に、金属等の熱伝導性の良好な部材を用いた場合は、発熱した電池の放熱を促進して、電池の寿命低下を防ぐこともできる。なお、この例では電池210が十字状に交差するように配置されているが、スペーサの形状を変更することにより各電池の中心が上下でオフセットするように配置することもできる。特に円筒形の電池を使用する場合は、オフセット状に配置することでスペース効率よく多数の電池を配置できる。
[電池210]
電池ブロック200の電池210は、充電可能な二次電池である。図1〜図3のパック電池は、電池210を円筒型電池としている。ただ、電池210には角型電池や薄型電池も使用できる。本実施の形態においては、電池210として円筒型のリチウムイオン電池を使用する。リチウムイオン電池は、複数個を並列に接続して、これを直列に接続するパック電池の二次電池として適している。それは、複数のリチウムイオン電池を並列に接続して、内部抵抗を小さくして出力電流を大きくできるからである。また、リチウムイオン電池は、充電容量も大きいので、大電流を必要とする用途の場合でも、容量不足を招かずに十分な使用時間を確保できる。ただし、本発明のパック電池は電池210をリチウムイオン電池に特定せず、ニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池等の二次電池も使用できる。電池210の使用数や配置、接続形態は適宜変更できる。図1〜図3の例においては、各電池ブロック200が2本の電池210を並列に接続し、5組を直列に接続しているが、この例に限定されるものでない。
また電池210の温度を検出して電池保護の制御を行うために感熱素子を電池210に近接して設ける。感熱素子としてはサーミスタや熱電対、PTC素子など温度に応じて電気特性を変化させる素子が利用できる。サーミスタである感熱素子は円筒型電池210同士の谷間に位置することで、一個の感熱素子で2個の電池の温度を測定することができ、また谷間のスペースを利用して感熱素子の配置スペースを稼ぐことができる。
さらに電池ブロック200は、両面テープなどにより固定される。電池210の側面部分を貼付するように両面テープなどの固定テープで電池ブロック200の周囲を捲回して、電池ブロック200を固定する。これにより、電池210がスペーサ220から脱離しないよう確実に固定される。
[リード板240]
さらに、各電池210の端面にはリード板240が固定される。リード板240は平面部分で複数の電池210の端面を覆い、電池210の端子同士を電気接続して直列、並列に電池210を接続する。リード板240は電気導電および熱伝導のよい材質が使用され、アルミニウムや銅、銀等の金属板が好適に使用できる。図1の斜視図および図3(a)の背面図に示す例では、上下左右に隣接する4本の電池210を接続するリード板240A2枚と、上下に並ぶ2本の電池210を接続する小リード板240Bを1枚とで電気的に接続されている。リード板240は、電池210の端面同士を電気的に接続して、これらの電池210を直列あるいは並列に接続する。さらにリード板240は、電池ブロック集合体201の中間電位を測定するための端子として機能する。このため、リード板240は好適には一部を突出させて、かつ穿孔してリード線などを接続しやすくする。リード線500は、後述するように電池210と回路基板600とを電気接続する。また、リード板240に電池210の放熱機能を備えさせることもできる。
[電圧取り出し部246]
さらにリード板240は、電圧取り出し部246を備えている。電圧取り出し部246は、各電池ブロック200の電位を電圧取り出し面248まで引き出すためのリードとして機能する。図1〜図3の例では、電池ブロック200A、Bを上下に重ね合わせ二段に積層している。このうち、電圧取り出し面248に面した電池ブロック200Aでは、リード板240の一部を突出させたリード突出部242を、電圧取り出し面248に向かって突出させている。リード突出部242は、好ましくはリード板240と一体成形により構成される。ただ、リード突出部をリード板と別部材として、これらを溶接などにより接合する構成としてもよい。
さらに、電池ブロック200Aに対して、電圧取り出し面248と逆側に積層された電池ブロック200Bは、電池ブロック200Aとほぼ同様の構成で、リード板240により電池210を接続している。電池ブロック200Bのリード板240の電位を、電圧取り出し面248に引き出すために、リード板240は電圧取り出し部246を接続している。電圧取り出し部246も、好ましくはリード板240と一体成形されている。ただ、電圧取り出し部もリード板と別部材として、これらを溶接などにより接合する構成としてもよい。このように、電圧取り出し面248に位置する電池ブロック200のみ、リード板240にリード突出部242を備え、これ以降の電池ブロック200はリード板240にリード突出部242に変わって電圧取り出し部246を備えている。言い換えると、電圧取り出し部246やリード突出部242はいずれもリード板240の一部として、電池ブロック200の位置に応じて適切な長さや形状に調整される。
電圧取り出し部246は、電池ブロック200Bから電圧取り出し面248まで端子を引き出すよう、電池ブロック200Aの高さ分延長されている。このとき、電圧取り出し部246が電池ブロック200Aのリード板240と接触しないように、電圧取り出し部246は電池ブロック200Aのリード板240と離間するように配置される。ここでは、電圧ブロックBのリード板240と電圧取り出し部246との接合面で段差部を設け、電圧取り出し部246がリード板240の上方を跨ぐようにして電圧取り出し面248まで引き出される。さらに、電圧取り出し部246と電池ブロック200Aのリード板240との間には、絶縁シート249が配置され、これらの間を確実に絶縁している。このため、電圧ブロックBのリード板240と電圧取り出し部246との高度差、すなわち段差部の高さは、絶縁シート249の厚さと略等しくする。
[絶縁シート249]
電圧取り出し面248まで延長される電圧取り出し部246が短絡を生じないよう、電池ブロック200の端面は絶縁シート249で覆われる。絶縁シート249は、図1および図3(a)に示すように、電池ブロック200Aの端面(図3(a)における背面)をほぼ被覆する大きさの矩形状に形成される。絶縁シート249は、紙やプラスチックシートなど、絶縁性の優れた素材で構成される。
[L字状絶縁シート249]
さらに図3(d)の側面図に示すように、絶縁シート249はL字状に折曲させることで、電池ブロック200Aと電池ブロック200Bとの間を絶縁することもできる。L字状の絶縁シート249は、電池210端面を被覆する大きさと、かつ電池ブロック200の底面を被覆できる大きさとなるよう設計され、一枚のシートを折曲させてこれらを被覆できる。なお、同様にして電池ブロック200を3段以上に積層することも可能であることはいうまでもない。図4に示すように電池ブロック200を3段積層する場合も、各電池ブロック200で被覆すべき大きさの絶縁シート249Aを使用することで、同様に電池210の端面と電池ブロック200間とを被覆して絶縁できる。絶縁シートは単に絶縁性シート部材を折曲するだけの簡素な構成であるため、安価にかつ簡単に製造できる。また一枚の絶縁シートで電池ブロック間の絶縁と電池端面の絶縁を兼用することで、部品点数も減らして製造工程も簡素化できる。
[同電位取り出し部247]
以上のように、電池ブロック200の一方の端面では絶縁シート249で電圧取り出し部246を絶縁することにより、電圧取り出し面248までリード板240の電位を引き出している。一方、電池ブロック200の他方の端面では、図2および図3(c)に示すように、電池ブロック集合体201の縦方向に、すべて同電位取り出し部247により電圧取り出し面248に引き出している。これは、縦方向に位置する電池210の電位をすべて同電位となるよう予め設計して配置しているからである。これにより、一枚の同電位取り出し部247で縦方向に位置する電池210の端面をすべて接続して取り出すことができ、接続工程および構成を容易にできる。また、縦方向に同電位であるためこの部分で短絡のおそれが無く、上記のような上下での絶縁を行う必要がない。このため、絶縁シート249を不要にできる。
[コ字状絶縁シート249]
あるいは、本発明の他の実施の形態として、電池ブロック200の端面の両面を覆うように絶縁シートを構成することもできる。図5に示すように、絶縁シート249Bの断面を上方を開口するコ字状となるよう2カ所で折曲して、電池ブロック200の両端面および底面を被覆する。絶縁シート249Bの大きさおよび折曲位置は、電池ブロック200毎に特に端面を被覆すべき面積に応じて設計される。この構成は、電池の両端面を被覆してこれらの部位を絶縁するため、より確実に短絡を防止できる。また電池の一方の端面を同電位にする必要がないため、電池の配置や接続形態の自由度が高まる。
また、上記のコ字状絶縁シート249Bに代わって、L字状絶縁シートを2枚使用する構成とすることもできる。すなわち、図6に示すようなL字状絶縁シート249Cを2枚逆向きに重ね、左右の端面を覆うようにしてもよい。またこのとき、2枚のL字状絶縁シート249Cで電池ブロック200間を絶縁する際の重畳面積を少なくするよう、電池ブロック200底面の半分の面積を被覆するようにL字状絶縁シート249Cの一片を小さく形成してもよい。これによって、2枚のL字状絶縁シート249Cを合わせることで電池ブロック200間を絶縁でき、かつ重畳部分を少なくして電池ブロック200間の厚みが増すことを回避できる。あるいは、図7に示すように2枚のL字状絶縁シート249Dの接合面を密着させて重畳部分を無くすか、あるいは若干間隔を開けるようにして2枚のL字状絶縁シート249Dで電池ブロック200間を被覆するように構成してもよい。この構成においても、絶縁シート249Dの厚みにより電池ブロック200間が離間されるため、これらの間の導通を防止できる。
[リード線500による配線]
以上のようにして、電池ブロック集合体201の電圧取り出し面248に、リード板240の電位を引き出した後、電圧取り出し面248と回路基板600とを電気接続する。電圧取り出し面248と回路基板600との電気接続には、リード線500が用いられる。図8〜図9に、電圧取り出し面248と回路基板600とをリード線500で配線した状態を図示する。これらの図において、図8は電池ブロック集合体201を基板側から見た斜視図、図9は逆に電圧取り出し面248側から見た斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示すように、電圧取り出し面248に引き出された各電圧取り出し部246は、各々リード線500によって回路基板600と配線される。回路基板600は電池210の充放電を制御する駆動回路を備えており、電池ブロック集合体201の電源線をリード線500で引き込んでいる。同時に、回路基板600は電池電圧や電池温度を検出して、これらを保護する保護回路などを構成する電池部品を実装しており、電圧取り出し部246の電圧を検出して各電池ブロック200の両端の電圧を電池ブロック集合体201の中間電圧として検出する。各リード線500は、回路基板600の所定の位置に半田などで接続される。リード線500は図8〜図9に示すように、互いにほぼ平行に、いいかえるとリード線500同士が交差しないように配線されている。さらにリード線500は、ビニールチューブなどで被覆されており、絶縁性が保たれている。また電圧値などに応じてリード線500の太さや材質等も選択され、例えば電源線を引き出すリード線500は大電流、高電圧に耐え得るような信頼性の高い太めのタイプを使用する。同様の理由から、リード板やリード突出部も、電源線に使用されるものには太めのタイプを使用することが望ましい。
[インナーケース400]
電池ブロック集合体201は、好ましくはインナーケース400に収納される。図10および図11に、電池ブロック集合体201をインナーケース400に収納した状態で、リード線500で電圧取り出し面248と基板とを配線した状態を示す。この図に示すようにインナーケース400に電池ブロック集合体201を収納することで、電池ブロック200の保護して耐衝撃性を高め、また絶縁性も向上できる。図に示すインナーケース400は上下ケースに分割され、内部に電池ブロック集合体201を収納した状態で溶着やネジ止めにより固定される。
図10および図11の例では、電池ブロック集合体201を下インナーケース402に挿入する際、下外装ケース102に形成されたリード用スリット410に挿入される。下インナーケース402にはリード突出部242が位置する部位に予めリード突出部242が挿入できる大きさのリード用スリット410を開口している。このようにリード用スリット410にリード突出部242を挿入することで電池ブロック200が下インナーケース402に位置決めされる。
リード突出部242をリード用スリット410に挿入すると、リード突出部242は下インナーケース402を貫通してインナーケース400の外部に突出する。この状態で、リード突出部242に開口された配線用の孔にリード線500の一端が配線される。リード線500の他端は、回路基板600に配線される。このように、各リード板240に配線を行うのは、電池210の端子電圧を測定するためである。特にリチウムイオン電池を使用する場合は、電池210を保護するために電池電圧を検出して、電池ブロック集合体201の中間電圧である電池ブロック200の両端の電圧をモニタする必要がある。このため、各リード板240の電圧を検出して、所定の電池ブロック200の端子電圧をモニタできる。
[封止用リブ412]
またリード用スリット410の周囲には、図11に示すように封止用リブ412が設けられている。図11は下インナーケース402を底面から見た状態を示している。この図に示すように、リード用スリット410の周囲を囲むように、リード突出部242の突出する方向と略並行な方向に直立する封止用リブ412が形成される。封止用リブ412は、リード突出部242にリード線500を配線した状態で封止するための区画を形成している。封止は、シリコン系樹脂などの封止材を封止用リブ412で囲まれた領域に注入して行われ、これによりリード板240とリード線500が確実に電気接続された状態で固定され、同時に防水も図られる。さらに絶縁および放熱性を高めることもできる。封止用リブ412は下インナーケース402の表面に一体成型により設けられる。図11に示すように、封止用リブ412は下インナーケース402の側面から延長されるように、側面と同一平面で形成されており、さらにU字状にリード線保持部414を形成している。これにより、リード線500を折曲させることなく回路基板600から直線状に引き出し、さらにリード保持部でリード線500を挟着して保持し、配線を安定して行える。また封止用リブ412の高さは、全周にわたって均一とせず、一部の壁面のみを高く形成してもよい。特に、インナーケース400の側面側に面した封止用リブ412は、リード用スリット410にリード突出部242を挿入した状態でリード突出部242の上端よりも高くなるよう設計される。これによって、突出するリード突出部242が金属などの導電性部材に接触してショートすることが防止される。特に、封止後にリード突出部242の一部が露出しないので、この部分でのショートの恐れを回避できる。また、封止前の状態でも導電性のリード突出部242が突出しないので、超音波溶着の際等に金属板に接触してもショートし難くできる。
インナーケース400は上下に分割された構成であり、開口部を有する箱状の下インナーケース402と、蓋状の上インナーケース401で構成される。内部に組立済みの電池ブロック集合体201を上方を開口した下インナーケース402挿入した後、上インナーケース401で開口部を閉塞して超音波溶着などの熱溶着や接着により、この部分で気密に固定される。インナーケース400は、絶縁材を成形して製作される。インナーケース400を成形する絶縁材は、超音波溶着できるプラスチック、すなわち熱可塑性のプラスチックである。またインナーケース400は、好ましくは透光性の部材とする。透光性の部材としては、ポリカーボネート樹脂が好適に利用できる。ポリカーボネート樹脂は耐熱性に優れており、また電解液に溶解しないので、リチウムイオン電池の保護に適している。透光性のインナーケースを使用することで、インナーケース内部の状態が外部から視認できるので、電池の不具合や組立上の問題などが目視で発見しやすくなり、電池の信頼性を高められる。一方、外装ケース100等は安価なABS樹脂などで構成でき、パック電池の製造コストを低減できる。
なお、上記の例ではインナーケースを使用する例について説明したが、上述の通りインナーケースを使用せず、外装ケースに直接電池ブロックを収納する構成としてもよい。請求項における収納ケースは、インナーケースまたは外装ケースに対応する。
また、上記の例ではリード板240から引き出された電圧取り出し部246と基板の配置を、電池ブロック集合体201と逆の面とし、リード線500を介してこれらを電気接続する構成を採用した。これによって、電池電位の取り出し位置と基板との配線を明確に分離し、隣接するリード板同士や基板との短絡を防止している。ただ、電圧取り出し面と回路基板の配置面を同一面とすることもできる。これらを同一面とすることで、リード線による配線が不要となり、直接リード板や電圧取り出し部を回路基板と電気接続でき、回路構成を簡素化できる。反面、端子同士が隣接することとなるので、十分な絶縁構造が求められる。このような構造においても、上述した絶縁シートで電圧取り出し部間を絶縁し、また電池ブロック集合体の一方の面を同電位とする構成により、短絡事故の生じる可能性を極減した安全性の高いパック電池を構成できる。
[回路基板600]
電子部品などを実装し、電池の充電制御や保護回路などを構成したり、電池の残容量の演算回路を構成する回路基板600は、基板ホルダ610に保持される。図10に、インナーケース400上に回路基板600を固定した状態の斜視図を示す。この図に示すように、基板ホルダ610は回路基板600の周囲を囲むように基板ホルダ用リブ612を直立させている。一般に回路基板は厚さに対して薄く面積が広くなるため、強度的に弱くなるが、基板ホルダ610によって周囲を枠状に囲むことで、平面と直交する面に延長された基板ホルダ用リブ612で補強される効果が得られる。
回路基板600は、電池ブロック200と並行に配置され、リード線500による配線を短くシンプルに行えるようにしている。回路基板600に実装された保護回路は、電池の過充電や過放電を検出して電流を制御する回路、電池の過充電を検出して電流を遮断する回路等である。保護回路は、電池の過充電や過放電を検出するために、電池の電圧を検出する電圧検出回路(図示せず)を備える。電圧検出回路は、リード板240を介して電池ブロック集合体201の中間電圧として電池ブロック200の電圧を検出し、検出した電圧から電池の過充電や過放電を検出する。さらに、回路基板は、図示しないが充放電用の出力端子に接続されている。パック電池は、充放電用の出力端子が電動機器に接続される状態で放電し、充放電用の出力端子が充電器に接続される状態で電池が充電される。
[ポッティング]
基板ホルダ610内で配線された回路基板600は、図10に示すように樹脂620によるポッテングまたはコーティングにより防水加工される。回路基板600のポッティング等により、回路基板600の防水が図られるとともに、回路基板600と配線されたリード線500の分離を阻止し、ショートの恐れを回避する。ポッティングの材料には、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂620が利用できる。ポッティングすることで、放熱性が改善される。何らコーティングなどを行わない状態では断熱性の高い空気に曝されることとなり、熱伝導性が悪いが、コーティングによって接触面積から放熱が行われるので、放熱性を改善してパック電池の信頼性も向上される。また上述の通りシリコン系樹脂は放熱性を向上できるため、ポッティング材料として好ましい。
[外装ケース100]
以上のようにして配線された電池ブロック集合体201は、外装ケース100に収納される。外装ケース100の一例を図12の斜視図、および図12と逆から見た斜視図である図13に示す。外装ケース100は、ABS樹脂などで成型されており、2以上の部材に分割されてネジ止めや嵌め込み式などの連結方法により固定される。外装ケース100は、パック電池の用途や目的、使用状況に応じた様々な形状に設計できる。これらの図に示す外装ケース100は、上外装ケース101と下外装ケース102に分割されている。
上記の構成により、電池をブロック状に積層しても、短絡を防止しつつ回路基板と配線できるため、単に一方向に長く接続したようなバランスの悪い配置とすることなく、電池数に応じて縦横長さの配置本数を適宜調整できる。その結果、図4、図5に示すように、正方形に近い形状のパック電池を構成することができ、パック電池を接続する電気機器との取り付け面の設計を容易として扱いやすい形状のパック電池とすることができる。もちろん、パック電池の形状は直方体状に限られず、接続される電気機器の形状や使用目的、要求される電圧や使用される電池の本数などに応じて適宜設計でき、例えば直方体状、多角形状、円筒状、楕円状、あるいはL字状やU字状などとすることができる。
本発明のパック電池は、自転車、工具、自動車等、複数の電池を並列に接続し、かつこれらを直列に接続して出力を大きくしたパック電池に好適に適用できる。
本発明の一実施の形態に係るパック電池に内蔵される電池ブロック集合体を示す斜視図である。 図1の電池ブロック集合体を背面から見た斜視図である。 図1の電池ブロック集合体の背面図、平面図、正面図および側面図である。 L字状絶縁シートを使用して電池ブロックを積層した電池ブロック集合体を示す断面図である。 コ字状絶縁シートを使用して電池ブロックを積層した電池ブロック集合体を示す断面図である。 他のL字状絶縁シートを使用して電池ブロックを積層した電池ブロック集合体を示す断面図である。 さらに別のL字状絶縁シートを使用して電池ブロックを積層した電池ブロック集合体を示す断面図である。 リード線で配線した電池ブロック集合体を基板側から見た斜視図である。 図8の電池ブロック集合体を電圧取り出し面側から見た斜視図である。 電池ブロック集合体を収納したインナーケースを基板側から見た斜視図である。 図10のインナーケースを電圧取り出し面側から見た斜視図である。 外装ケースを示す斜視図である。 図12の外装ケースを逆から見た斜視図である。
符号の説明
100…外装ケース
101…上外装ケース
102…下外装ケース
200、200A、200B…電池ブロック
201…電池ブロック集合体
210…電池
220…スペーサ
222…電池保持部
240、240A、240B…リード板
240B…小リード板
242…リード突出部
246…電圧取り出し部
247…同電位取り出し部
248…電圧取り出し面
249、249B、249C、249D…絶縁シート
400…インナーケース
401…上インナーケース
402…下インナーケース
410…リード用スリット
412…封止用リブ
414…リード線保持部
500…リード線
600…回路基板
610…基板ホルダ
612…基板ホルダ用リブ

Claims (8)

  1. 複数の一端に端面を備える電池と、
    前記複数の電池の端面を固定して電池同士を略平行状態に保持するリード板と、
    隣接する電池同士の間を区画する絶縁性を有するスペーサと、
    を備える複数の電池ブロックと、
    前記複数の電池ブロックを連結した電池ブロック集合体の端縁に配置され、前記電池と配線される電子回路を実装した回路基板と、
    前記電池ブロック集合体おいて前記電池の端面側の一方の面を電圧取り出し面とし、電圧取り出し面に各電池ブロックのリード板の電位を各々引き出すため各リード板と電気的に接続された電圧取り出し部と、
    前記電圧取り出し部と前記回路基板とが電気的に接続された状態で、前記電池ブロック集合体および前記回路基板を収納する収納ケースと、
    を有するパック電池であって、
    少なくとも前記電圧取り出し面と面した電池ブロックの、少なくともいずれかの前記電圧取り出し面と面した端面において、リード板の上面を被覆する絶縁シートを備えており、
    前記絶縁シートの上面に他の電池ブロックと接続された電圧取り出し部を配置することで、電圧取り出し部と、前記少なくとも前記電圧取り出し面と面した電池ブロックのリード板を設けた電池端面との絶縁を行うことを特徴とするパック電池。
  2. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記電池ブロック集合体を構成する複数の電池ブロックの内、前記電圧取り出し面に位置する電池ブロックのリード板が前記回路基板と電気的に接続するための端子を備えるリード突出部を備えており、該リード突出部の上に絶縁シートが配置され、さらに該絶縁シートの上に該電池ブロックに隣接する次の電池ブロックのリード板が電圧取り出し部により前記電圧取り出し面に引き出され、さらにその上に別の絶縁シートが配置され、以下すべての電池ブロックのリード板が各々電圧取り出し部により前記電圧取り出し面に個別に引き出されるまで同様の構造を繰り返してなることを特徴とするパック電池。
  3. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記絶縁シートを折曲して、隣接する電池ブロック同士の間に折曲された絶縁シートの一片を挿入することで電池ブロック間を絶縁してなることを特徴とするパック電池。
  4. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記絶縁シートの形状を断面コ字状とし、コ字状の対向面で電池ブロックの両端面を被覆してなることを特徴とするパック電池。
  5. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記絶縁シートの形状を断面L字状とし、電池ブロックの一方の端面を被覆してなることを特徴とするパック電池。
  6. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記電池ブロック集合体の一方の端面に面する電池を、前記電池ブロック集合体の列毎に同電位となるよう配列し、さらに列方向に延長された同電位取り出し部によって各電池を電気的に接続してなることを特徴とするパック電池。
  7. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記電圧取り出し面に引き出されたリード突出部および電圧取り出し部と反対面に、前記回路基板を配置しており、前記リード突出部および電圧取り出し部と回路基板とがリード線により電気的に接続されてなることを特徴とするパック電池。
  8. 請求項1に記載されるパック電池であって、
    前記電池は円筒形であることを特徴とするパック電池。
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