しかしながら、上記非特許文献1では、画像処理が複雑であり、デジタルカメラ等の撮像装置に搭載する場合、処理時間が掛かり過ぎる若しくは処理回路が大きくなりコストアップを招いてしまう。一方、上記特許文献1では、ホワイトバランス補正係数の算出に際して撮影画像の各色平均値を用いるため、被写体の色が偏っている場合、すなわち例えば画像全体が赤一色或いは緑一色となるような被写体の場合、正確なホワイトバランス補正係数を算出することができない(色のバランスが崩れてしまう)。また上記特許文献1においては、算出されるホワイトバランス補正係数が撮影画像1枚につき各色1つであることから、被写界に異なる光源が複数存在するような場合には、当該各光源に応じた正確なホワイトバランス補正を行うことができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成でホワイトバランス補正が可能であるとともに、被写体の色が偏っていたり、被写界に異なる光源が複数存在するような場合であっても正確なホワイトバランス補正を行うことができる撮像装置、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る撮像装置は、カラー撮像素子を備え、被写体のカラー画像撮影が可能に構成された撮像手段と、前記撮像手段により得られるカラー画像から各色の照明成分画像を抽出する照明成分抽出手段と、前記照明成分抽出手段により抽出された前記照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記照明成分画像を複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段により算出された前記領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、前記カラー画像のホワイトバランス補正を行うホワイトバランス補正手段とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、カラー撮像素子を備えた撮像手段によって被写体のカラー画像撮影が行われ、撮像手段により得られるカラー画像から各色の照明成分画像が照明成分抽出手段によって抽出され、照明成分抽出手段により抽出された照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とが比較手段によって比較される。そして、比較手段による比較結果に基づいて、照明成分画像が領域分割手段によって複数の領域に分割され、領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値が平均値算出手段によって算出される。そして、平均値算出手段により算出された領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が補正係数算出手段によって算出され、補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、ホワイトバランス補正手段によってカラー画像のホワイトバランス補正が行われる。
また、上記構成において、前記領域分割手段は、前記照明成分画像を、複数種類の光源に対応する複数の光源領域に分割することが好ましい。
また、上記構成において、前記領域分割手段は、前記照明成分画像を、複数種類の光源に対応する複数の光源領域、及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域に分割することが好ましい。
また、上記構成において、前記補正係数算出手段は、前記中間領域のホワイトバランス補正係数を、前記複数の光源領域のホワイトバランス補正係数に基づいて算出することが好ましい。
また、上記構成において、前記補正係数算出手段は、前記中間領域のホワイトバランス補正係数を、前記光源領域のホワイトバランス補正係数に対して該光源領域の照明成分画像と前記中間領域の照明成分画像との輝度差に応じた重み付けを行うことにより算出することが好ましい。
また、上記構成において、前記補正係数算出手段は、前記中間領域のホワイトバランス補正係数を、前記光源領域のホワイトバランス補正係数に対して該光源領域と前記中間領域との空間的な距離に応じた重み付けを行うことにより算出することが好ましい。
また、上記構成において、前記補正係数算出手段は、前記光源領域のホワイトバランス補正係数を算出する場合、所定のデータ変換用のルックアップテーブルを用いて、前記輝度平均値に基づくホワイトバランス補正係数算出用の所定の評価値から、該光源領域毎の各色のホワイトバランス補正係数を算出することが好ましい。
また、上記構成において、前記所定の閾値は、被写体における色温度の違いによる各色の照明成分画像の出力差に基づいて設定されるものであることが好ましい。
また、本発明に係る画像処理装置は、カラー撮像素子を備え、被写体のカラー画像撮影が可能に構成された撮像手段と、前記撮像手段により取得された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、前記画像処理手段は、前記撮像手段により得られるカラー画像から各色の照明成分画像を抽出する照明成分抽出手段と、前記照明成分抽出手段により抽出された前記照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記照明成分画像を複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段により算出された前記領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、前記カラー画像のホワイトバランス補正を行うホワイトバランス補正手段とを備えることを特徴とする。
上記画像処理装置の構成によれば、カラー撮像素子を備えた撮像手段によって被写体のカラー画像撮影が行われ、撮像手段により取得された画像データに対して画像処理手段によって所定の画像処理が行われる。この画像処理手段において、撮像手段により得られたカラー画像から各色の照明成分画像が照明成分抽出手段によって抽出され、照明成分抽出手段により抽出された照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とが比較手段によって比較される。そして、比較手段による比較結果に基づいて、照明成分画像が領域分割手段によって複数の領域に分割され、領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値が平均値算出手段によって算出される。そして、平均値算出手段により算出された領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が補正係数算出手段によって算出され、補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、ホワイトバランス補正手段によってカラー画像のホワイトバランス補正が行われる。
また、上記構成の画像処理装置において、前記領域分割手段は、前記照明成分画像を、複数種類の光源に対応する複数の光源領域に、又は、複数種類の光源に対応する複数の光源領域及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域に分割することが好ましい。
また、上記構成の画像処理装置において、前記補正係数算出手段は、前記中間領域のホワイトバランス補正係数を、前記複数の光源領域のホワイトバランス補正係数に対して所定の重み付けを行うことにより算出することが好ましい。
また、本発明に係る画像処理方法は、カラー撮像素子を備えた撮像手段によって被写体のカラー画像撮影を行う第1の工程と、前記撮像手段により得られるカラー画像から各色の照明成分画像を照明成分抽出手段によって抽出する第2の工程と、前記照明成分抽出手段により抽出された前記照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とを比較手段によって比較する第3の工程と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記照明成分画像を領域分割手段によって複数の領域に分割する第4の工程と、前記領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値を平均値算出手段によって算出する第5の工程と、前記平均値算出手段により算出された前記領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数を補正係数算出手段によって算出する第6の工程と、前記補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、前記カラー画像のホワイトバランス補正をホワイトバランス補正手段によって行う第7の工程とを有することを特徴とする。
上記画像処理方法によれば、カラー撮像素子を備えた撮像手段によって被写体のカラー画像撮影が行われ、撮像手段により得られるカラー画像から各色の照明成分画像が照明成分抽出手段によって抽出され、照明成分抽出手段により抽出された照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とが比較手段によって比較される。そして、比較手段による比較結果に基づいて、照明成分画像が領域分割手段によって複数の領域に分割され、領域分割手段により分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値が平均値算出手段によって算出される。そして、平均値算出手段により算出された領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が補正係数算出手段によって算出され、補正係数算出手段により算出されたホワイトバランス補正係数に基づいて、ホワイトバランス補正手段によってカラー画像のホワイトバランス補正が行われる。
また、上記画像処理方法において、前記領域分割手段によって、前記照明成分画像を、複数種類の光源に対応する複数の光源領域に、又は、複数種類の光源に対応する複数の光源領域及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域に分割することが好ましい。
また、上記画像処理方法において、前記補正係数算出手段によって、前記中間領域のホワイトバランス補正係数を、前記複数の光源領域のホワイトバランス補正係数に対して所定の重み付けを行うことにより算出することが好ましい。
また、本発明に係る画像処理プログラムは、カラー画像に対して所定の画像処理を行うことが可能な画像処理手段を動作させる画像処理プログラムであって、前記画像処理手段に、所定の記憶手段からカラー画像を読み出す第1ステップと、前記カラー画像から各色の照明成分画像を抽出する第2ステップと、前記照明成分画像の輝度値と、所定の閾値とを比較する第3ステップと、前記比較結果に基づいて、前記照明成分画像を複数の領域に分割する第4ステップと、前記分割された領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値を算出する第5ステップと、前記領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数を算出する第6ステップと、前記ホワイトバランス補正係数に基づいて、前記カラー画像のホワイトバランス補正を行う第7ステップとを実行させることを特徴とする。
上記画像処理プログラムによれば、画像処理手段により、第1ステップにおいて、所定の記憶手段からカラー画像が読み出され、第2ステップにおいて、カラー画像から各色の照明成分画像が抽出され、第3ステップにおいて、照明成分画像の輝度値と所定の閾値とが比較され、第4ステップにおいて、上記比較結果に基づいて照明成分画像が複数の領域に分割され、第5ステップにおいて、上記分割された領域毎に該領域における照明成分画像の輝度平均値が算出され、第6ステップにおいて、上記領域毎の各色の輝度平均値に基づいて該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が算出され、第7ステップにおいて、ホワイトバランス補正係数に基づいてカラー画像のホワイトバランス補正が行われる。
請求項1、9、12、15に係る発明によれば、撮影画像(カラー画像)から照明成分画像と反射率成分画像とが抽出(分離)され、この照明成分画像からホワイトバランス補正係数を求めてホワイトバランス補正処理を行うので、複雑な処理を行うことなく(処理時間が掛かることなく)簡易な構成でホワイトバランス補正を行うことができるとともに、被写体における各色の反射率成分の影響が除外されたホワイトバランス補正係数を得ることが可能となり、被写体の色が偏っている場合でも正確なホワイトバランス補正を行うことができる。また、各色の照明成分画像が複数の領域に分割されて該領域毎に各色のホワイトバランス補正係数が算出されるので、被写界に異なる光源が複数存在するような場合であっても正確なホワイトバランス補正を行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、領域分割手段によって、照明成分画像が複数種類の光源に対応する複数の光源領域に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、この各光源に対応する光源領域毎にホワイトバランス補正係数を求めるといったことが可能となり、正確なホワイトバランス補正を行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、領域分割手段によって、照明成分画像が複数種類の光源に対応する複数の光源領域、及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、この各光源に対応する光源領域と共に、これら光源間の例えば影(日陰)部といった中間領域に対しても該光源領域とは別にホワイトバランス補正係数を求めるといったことが可能となり、より正確なホワイトバランス補正を行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、補正係数算出手段によって、中間領域のホワイトバランス補正係数が、複数の光源領域のホワイトバランス補正係数に基づいて算出されるので、中間領域のホワイトバランス補正係数が複数の光源領域のホワイトバランス補正係数を用いて容易に且つ的確に(実際の値と大きく誤差を生じることなく)算出され得るようになる。
請求項5に係る発明によれば、補正係数算出手段によって、中間領域のホワイトバランス補正係数が、光源領域のホワイトバランス補正係数に対して該光源領域の照明成分画像と中間領域の照明成分画像との輝度差に応じた重み付けを行うことにより算出されるので、中間領域のホワイトバランス補正係数を光源領域のホワイトバランス補正係数からより簡単に且つ的確に算出することができる。
請求項6に係る発明によれば、補正係数算出手段によって、中間領域のホワイトバランス補正係数が、光源領域のホワイトバランス補正係数に対して該光源領域と中間領域との空間的な距離に応じた重み付けを行うことにより算出されるので、中間領域のホワイトバランス補正係数を光源領域のホワイトバランス補正係数からより簡単に且つ的確に算出することができる。
請求項7に係る発明によれば、補正係数算出手段によって、光源領域のホワイトバランス補正係数を算出する場合、所定のデータ変換用のルックアップテーブルを用いて、輝度平均値に基づくホワイトバランス補正係数算出用の所定の評価値から、該光源領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が算出されるので、各光源領域の各色のホワイトバランス補正係数をルックアップテーブルを用いて評価値から容易に算出できるようになる。
請求項8に係る発明によれば、所定の閾値は、被写体における色温度の違いによる各色の照明成分画像の出力差に基づいて設定されるものであるので、領域分割において照明成分画像の輝度値と比較する閾値すなわち領域分割の際の所謂判断基準値を、色温度に基づいてより正確なものとすることができ、この値に基づいてより正確な領域分割が可能となり、ひいてはより正確なホワイトバランス補正を行うことができる。
請求項10、13に係る発明によれば、領域分割手段によって、照明成分画像が複数種類の光源に対応する複数の光源領域に分割される、又は照明成分画像が複数種類の光源に対応する複数の光源領域及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、当該各光源に対応する光源領域毎にホワイトバランス補正係数を求めることが可能となり、或いは当該各光源に対応する光源領域と共にこれら光源間の例えば影(日陰)部といった中間領域に対しても該光源領域とは別にホワイトバランス補正係数を求めるといったことが可能となり、より正確なホワイトバランス補正を行うことができる。
請求項11、14に係る発明によれば、補正係数算出手段によって、中間領域のホワイトバランス補正係数が複数の光源領域のホワイトバランス補正係数に対して所定の重み付けを行うことにより算出されるので、中間領域のホワイトバランス補正係数を光源領域のホワイトバランス補正係数から容易に且つ的確に算出することができる。
図1は、本実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ1を示し、このデジタルカメラ1の主に撮像処理に関する概略的なブロック構成図を示している。図1に示すようにデジタルカメラ1は、レンズ部2、撮像センサ3、アンプ4、A/D変換部5、画像処理部6、画像メモリ7、制御部8、レンズ駆動部9及び操作部10を備えている。
レンズ部2は、被写体光を取り込むレンズ窓として機能するとともに、この被写体光をカメラ本体の内部に配置されている撮像センサ3へ導くための光学レンズ系、すなわち被写体光の光軸Lに沿って直列的に配置される例えばズームレンズやフォーカスレンズ、その他の固定レンズブロックを構成するものである。なお、レンズ部2は、入射光量を調節するための絞り部やシャッタ部(例えばメカシャッタ)(いずれも図示省略)を備えており、後述のレンズ駆動部9により駆動される。
撮像センサ3は、被写体光を撮像するものであり、例えばCMOSイメージセンサ等のカラー固体撮像素子(カラー撮像素子)からなる。撮像センサ3は、レンズ部2において結像された被写体光像の光量に応じ、R、G、B各色成分の画像信号に光電変換することで所定のカラー画像を取得する。このカラー画像データは後段のアンプ4へ出力される。
アンプ4は、撮像センサ3から出力された画像信号を増幅するものであり、例えばAGC(オートゲインコントロール)回路を備え、当該出力信号のゲイン(増幅率)調整を行う。アンプ4は、AGC回路の他、アナログ値としての当該画像信号のサンプリングノイズの低減を行うCDS(相関二重サンプリング)回路を備えていてもよい。
A/D変換部5は、アンプ4にて増幅されたアナログ値の画像信号(アナログ信号)をデジタル値の画像信号(デジタル信号)に変換するものであり、撮像センサ3の各画素で受光して得られる画素信号をそれぞれ例えば12ビットの画素データに変換する。
画像処理部6は、A/D変換部5によるA/D変換処理によって得られた画像信号に対する例えばFPN(FPN;Fixed Pattern Noise)補正処理、色補正(補間)処理、ホワイトバランス(以降、WBという)補正処理、或いはダイナミックレンジ(以降、DRという)圧縮処理等の各種画像処理を行うものである。本実施形態では、これら各種画像処理における特にWB補正処理について主な特徴点を有しているが、この処理については後に詳述する。
画像メモリ7は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリからなり、画像処理部6において画像処理される前のRAW画像データ、或いは画像処理部6や制御部8での各種処理時又は処理後の画像データ等を記憶するものである。
制御部8は、画像処理部6を動作させる画像処理プログラム等の各種制御プログラムなどを記憶するROM、一時的に各種データを格納するRAM、及び制御プログラム等をROMから読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)等からなり、デジタルカメラ1全体の動作制御を司るものである。制御部8は、撮像センサ3や操作部10等の装置各部からの各種信号に基づき、装置各部が必要とする制御パラメータ等を算出し、これを送信することで各部の動作を制御する。例えば、撮像センサ3による撮影画像から得た被写体の輝度情報に基づいて、撮像における絞り値やシャッタスピード値、或いはダイナミックレンジ値等を算出し、この算出した各値に基づいて各部を制御する制御信号を送信する。
レンズ駆動部9は、制御部8からの絞り制御信号及びシャッタスピード制御信号に応じて、レンズ部2における上記絞り部やシャッタ部を駆動するものである。
操作部10は、レリーズボタンや設定ボタン等の入力ボタン(スイッチ)及びLCD(Liquid Crystal Display)等を備えており、デジタルカメラ1に対する操作指示入力を行うとともに、所定の情報を表示するものである。例えば、LCDに表示されたメニュー等の情報に基づき、設定ボタンを用いて操作者により撮影モード等の設定が行われる。また例えば、レリーズボタンが押下(オン)されることで、撮像動作すなわち撮像センサ3により被写体光が撮像され、この撮像により得られた画像データに対して所要の画像処理が施された後、画像メモリ7等に記憶(保存)されるといった一連の撮影動作が実行される。
図2は、画像処理部6における上記WB補正処理に関する機能ブロック図である。同図に示すように画像処理部6は、照明成分抽出部61、WB係数算出部62及びWB補正部63を備えている。照明成分抽出部61は、撮像センサ3からの撮影画像データ(画像信号)、ここでは前段のA/D変換部5から入力された画像(この画像を基画像Iと表現する)から、照明成分(又は照明成分画像(照明画像))を抽出するものである。ところで、物体の明るさ(I)は、以下の(1-1)式に示すように、物体に照射される照明光(LS)と物体表面の反射率(R)との積で表される。
I=LS*R ・・・(1-1)
但し、記号「*」は乗算を示す(以降、同様)。
上記物体の明るさ「I」が基画像Iであり、この基画像Iから、上記照明光「LS」である照明成分LSが抽出される。この抽出処理はR、G、Bの各色毎に(各色の画像毎に)独立して行われ、その結果、照明成分抽出部61から各色の照明成分画像が出力される。なお、照明成分LSに対して上記反射率「R」のことを反射率成分Rという。また、基画像Iの出力特性を例えば図4(a)に示すものとすると(横軸は画素アドレス、縦軸は輝度(出力)を示す)、この基画像Iから抽出した照明成分LS、すなわち基画像Iから反射率成分Rが除外されてなる照明成分LSの出力特性は、例えば図4(b)に示すものとなる。
本実施形態では、反射率成分Rが画像の高周波成分に多く分布することに着目し、以下の(1-2)式に示す抽出処理により基画像Iから照明成分LSを抽出する。
LS=LPF(I) ・・・(1-2)
但し、LPF( )とは、所謂ローパスフィルタ処理であり、例えば注目画素周辺との平滑化処理による低周波成分画像の算出処理を示す。
具体的には、基画像Iにおける或る注目画素と、その周辺画素とのコンボリューション演算処理により平滑画像を算出する。図5は、或る注目画素22(この画素データをD22と表現する)に対する周辺画素(D00、D01、・・・D44)を表した図であるが、この注目画素22に対する平滑化後の画像データLPF(D22)は、以下の(1-3)式に基づいて算出される。
LPF(D22)=a00*D00+a01*D01・・・+a22*D22・・・+a44*D44 ・・・(1-3)
但し、a00+a01・・・+a44=1.0の関係を有する。
この照明成分の抽出処理は、本実施形態では撮像装置(デジタルカメラ1)への搭載を目的としていることから、高速、低コスト化のため、上述のような単純な処理によって照明成分を抽出しているが、これに限らず、例えばεフィルタ(非線形フィルタ)やメディアンフィルタを用いた方法など、要は照明成分が抽出可能であれば何れの処理方法であってもよい。
WB係数算出部62は、照明成分抽出部61により抽出された各色の照明成分画像を、光源分布に基づく画像の明るさ(種類)に応じて領域分けを行い、つまり被写界の光源照度の強さに応じて領域分割し、各領域におけるWB補正係数を算出するものである。図3は、WB係数算出部62のWB補正係数算出に関する機能ブロック図である。同図に示すように、WB係数算出部62は、比較部621、領域分割部622、平均値算出部623、評価値算出部624、補正係数算出部625及び記憶部626を備えている。
比較部621は、照明成分の画素毎に所定の閾値ThH及びThLと比較して、該閾値に対する各画素値の大小を判別するものである。ところで、図6は照明成分抽出部61により抽出された照明成分(上記図4(b)に示す照明成分と同じ)を示しているが、この閾値ThH及びThLは、図6に示す輝度(縦軸)の所定値であり、各色の画像に対して設定されるものである。ただし、本実施形態では、後述するようにG色を基準として領域分割を行うことから、閾値ThH及びThLは少なくともG色に対して設定されたものがあればよく、比較部621では、G色の照明成分201の各画素(G画素)と、当該G色の閾値ThH及びThLとの比較を行う。なお、この閾値情報は、後述の記憶部626に固定値として(工場出荷時等に)予め記憶されている。
領域分割部622は、比較部621による比較結果に基づいて、R、G、B各色の照明成分を明るさに応じて領域分けするものである。具体的には、領域分割部622は、図6に示すように、照明成分201の各画素を、閾値ThHよりも輝度値が大きい領域である高輝度領域H(以降、H領域という)、閾値ThLよりも輝度値が小さい領域である低輝度領域L(以降、L領域という)と、閾値ThH、ThL間つまりThH≦輝度値≦ThLとなる、光源の中間輝度レベルを有した中間領域M(以降、M領域という)との各領域の画素に分類する。これは謂わば、照明成分画像を、明るい部分と暗い部分と、その中間の明るさの部分との画像に空間的に分離するものである。
領域分割部622は、当該各色の照明成分の領域分割処理を、或る1つの色を基準として行う構成としている。すなわち、ここではR、G、B色のうちのG色を基準(G基準)として、このG色の照明成分(照明成分201)に対する上記領域分割を行い、その他のR、B色の領域分割については、このG色の領域分割結果と同じものを適用する。例えば、撮像センサ3がベイヤー配列の場合、G画素と隣接するR、B画素の照明成分を、このG画素の照明成分における輝度領域(H、M及びL領域)と同一の領域に分割する(隣接RGB画素で同一の光源領域とする)。なお、分光感度においてはG色の分光特性が中央波長域にあり、光源の波長域が変化したとしてもこの変化の影響を受け難いことから、上記G基準とすることが望ましい。
図7(a)、(b)は、上記領域分割の一例を示す模式図であり、(a)は或る照明環境下の被写体(被写界)を、(b)はこの被写体の撮像により得られた撮影画像を領域分割した結果を示す。同図に示すように、被写界に例えば高照度光源に相当する太陽光環境と、低照度光源に相当する室内光環境とが存在する場合の撮影画像は、これら太陽光環境に対応するH領域(高照度光源領域)、室内光環境に対応するL領域(低照度光源領域)、及びこの太陽光環境と室内光環境との中間の光環境、例えば日陰におけるM領域に分割される。このように、領域分割部622によって領域分割処理された各色の照明成分(各領域に分類された各色の画素データ)は、後述の記憶部626に一旦記憶される。
ところで、上述したように、閾値ThH、ThLは固定値として予め求められたものが用いられるが、この閾値ThH、ThLの算出の考え方について説明する。本実施形態のWB補正処理は、照度の異なる複数の光源、ここでは高照度及び低照度の2種類の光源が存在するような被写体が撮像される場合を想定しているが、各色の照明成分画像において高照度の画像と低照度の画像とに領域分割しようとする場合、この領域分割に際しての閾値は、光源の種類つまり光源の色温度の違いによって異なるものとなってしまう。
図8(a)、(b)はそれぞれ、所定の撮像条件(露光時間、絞り)下で異なる光源を撮影した場合におけるR画素及びG画素の出力特性(照明成分画像データ)であり、図8(a)は、R画素値÷G画素値であるR/Gの値が最小となる光源(光源Aとする)を用いた場合、図8(b)は、R/Gの値が最大となる光源(光源Bとする)を用いた場合を示している。ただし、図中、「Lm」は、上記高照度及び低照度画像の領域分割に関して設定した或る閾値としての光源照度(閾値照度)であり、「Gm1」、「Rm1」はそれぞれA光源におけるR1、G1画素の閾値照度Lmに対する出力値を、「Gm2」、「Rm2」はそれぞれB光源におけるR2、G2画素の閾値照度Lmに対する出力値を示している。図8(a)、(b)に示されるように、光源が異なるつまり色温度が異なると、G画素値とR画素値の比(R/G)は異なるものとなり、設定する光源(種々の光源が考えられる)において、この比が最小、又は最大となる。
これを別の見方をすれば、図8(a)、(b)をG画素、R画素だけで纏めると、図9(a)、(b)に示すようになる。この図に示すように、R、Gそれぞれにおいて、Rm1<Rm2、Gm1>Gm2の関係となる(Rm1及びRm2、Gm1及びGm2の関係は必ずしもこの関係になるものではない)。このように、閾値照度Lmを基準(境界)として一律に明るい領域と暗い領域とに分けようとしても、実際には、光源つまり色温度が異なると、同じ閾値照度Lmに対して各色の出力に差が生じてしまう(後述するように中間のM1及びM2領域が存在する)。
このことから、例えばG画素(ここでの基準)について、複数種類の光源環境下において必ず閾値照度Lm以下となる照明成分の輝度値(閾値)はGm2となる。すなわち、異なる光源において閾値照度Lmに対する出力が最も小さいこのGm2以下の領域のデータは、低照度光源の照明成分(L1領域の照明成分)であると言える。この結果、G画素の低照度の照明成分画像の閾値ThLはGm2となる。逆に、G画素の高照度の照明成分画像(H1領域の照明成分)の閾値ThHはGm1となる。なお、M1領域は、H1及びL1領域の中間領域(中間の明るさを有する輝度領域)を示している(図9(b)のH2、M2及びL2領域についても同様)。以上のような考え方に基づいて、各色ここではG色の領域分割に関する閾値ThL及びThHが設定される。
平均値算出部623は、領域分割部622によって領域分割された各色の照明成分画像データから、光源照度の強さ領域毎の、つまりH、M及びL領域それぞれにおける該照明成分画像データ(輝度)の平均値(輝度平均値という)を算出するものである。この平均値算出部623により算出される、H領域でのR、G、B画素の輝度平均値をそれぞれ「RH」、「GH」及び「BH」、M領域でのR、G、B画素の輝度平均値をそれぞれ「RM」、「GM」及び「BM」、L領域でのR、G、B画素の輝度平均値をそれぞれ「RL」、「GL」及び「BL」とする。ただし、本実施形態では、後述するように、H及びL領域のWB補正係数の情報を用いて、M領域のWB補正係数を求める方法をとるため、平均値算出部623は、ここではM領域以外のH及びL領域における輝度平均値を算出する。
評価値算出部624は、平均値算出部623により算出された上記H、M及びL各領域の各色の輝度平均値に基づいて、後述のWB補正係数の算出に用いる評価値(WB評価値)を、当該各領域について算出するものである。この評価値は、例えば、Gを基準としたR及びBに対する比であるR/G、B/Gで与えられる(ここではG基準であるが、Rを基準とした場合にはG/R、B/Rとなり、またBを基準とした場合にはG/B、R/Bとなる)。ただし、この場合も、後述するように、H及びL領域のWB補正係数の情報を用いて、M領域のWB補正係数を求める方法をとるため、評価値算出部624は、ここではM領域以外のH及びL領域における以下に示す評価値を算出する。
H領域の評価値:RH/GH(H領域におけるG基準でのRの比)、
BH/GH(H領域におけるG基準でのBの比)
L領域の評価値:RL/GL(L領域におけるG基準でのRの比)、
BL/GL(L領域におけるG基準でのBの比)
補正係数算出部625は、評価値算出部624により算出された評価値に基づいて、各色(R、G、B各画素)の照明成分におけるH、M及びL各領域のWB補正係数を算出するものである。補正係数算出部625による実際のWB補正係数の算出においては、先ずH及びL領域のWB補正係数を算出しておき、次に、このH及びL領域のWB補正係数の情報を用いて、M領域のWB補正係数を算出する方法をとる。ところで、評価値に基づくWB補正係数の算出は、例えば図10に示すような、データ変換用すなわち或る入力値に対してこれを所謂変換して所定の出力値を得るための)LUT(ルックアップテーブル)300を用いて行う。このLUT300は、同図に示すように横軸が例えばR/G値、縦軸がB/G値であり、この座標空間内に、例えば曇天領域301、太陽光領域302、白熱光領域303及び蛍光灯領域304といった各種光源の領域(光源領域)が設定されている。ただし、LUT300における(図10に示すようなLUTの平面グラフ上での)各種光源領域の範囲や位置或いは領域の形状は、これに限定されず、任意に設定可能である。
この各光源領域には、それぞれの光源でのR、G、B色に対するWB補正係数の情報が関連付けられており、LUT300に対して上記R/G値及びB/G値が与えられる(入力される)ことで、このR/G値及びB/G値の両方を満たす光源領域、すなわち座標(R/G、B/G)が含まれる光源領域が判定されて、光源の種類が推定されるとともに、この推定された光源におけるR、G、B各色のWB補正係数が得られる(出力される)。図10に示すように、例えば評価値R/Gが約1.0、評価値B/Gが約0.4となる場合は、これら値の交点に位置する光源領域は白熱光領域303であり、これらの評価値を与える光源は白熱光であると推定される。そして、この推定された白熱光におけるR、G、B各色のWB補正係数が得られる。なお、各光源領域に関連付けられた各色のWB補正係数の情報は、LUT300或いはLUT300に対応する別のLUTに予め保存されている。
補正係数算出部625は、上記R/G、B/Gに対応する、上記評価値算出部624により算出されたH領域の評価値RH/GH、BH/GH、及びL領域の評価値RL/GL、BL/GLそれぞれに基づいて、LUT300を用いて光源の種類を推定して該光源に応じたH領域及びL領域での各色のWB補正係数を算出する。なお、当該算出されるH領域及びL領域における、R画素のWB補正係数を「RKH」、「RKL」、G画素のWB補正係数を「GKH」、「GKL」、B画素のWB補正係数を「BKH」、「BKL」とする。
次に、上記で求めたH領域及びL領域での各色のWB補正係数から、M領域での各色のWB補正係数を算出する。このM領域におけるR、G、B色のWB補正係数をそれぞれ「RKM」、「GKM」、「BKM」とすると、これらWB補正係数は、以下の(1-4)〜(1-6)式により算出される。
RKM=α*RKH+(1−α)*RKL ・・・(1-4)
GKM=α*GKH+(1−α)*GKL ・・・(1-5)
BKM=α*BKH+(1−α)*BKL ・・・(1-6)
但し、記号「α」は、0≦α≦1.0の関係を満たす所謂重み付け係数であり、例えば以下の(1-7)式により算出される。
α=(LMG−ThL)/(ThH−ThL) ・・・(1-7)
但し、LMG:M領域におけるG画素の照明成分(照明成分画像のG画素の輝度値)。
上記“α”は、M領域内で各色によって異なるものであり、M領域におけるG画素の照明成分画像データLMGと、H及びL領域の画像データに対応する閾値ThH及びThLとから、具体的には、上記(1-7)式の(LMG−ThL)で示されるように、M領域の照明成分画像データLMG(G画素の輝度値)と、H及びL領域における画像データ(ここではL領域に対応する輝度の閾値ThL)との“差(輝度差)”に基づいて求められる。なお、上記計算に際して、GKH、GKLの値をG基準として「1.0」で与えてもよい。
ところで、上記M領域のWB補正係数算出に際して用いる重み付け係数αは、M領域とH及びL領域との画像データ(輝度値)から求めているが、これに限らず、例えばM領域周辺のH領域及びL領域からの距離(アドレス)に基づいて求めてもよい。この場合、例えば図12に示すように、XY座標平面におけるM領域のG画素アドレスを(Xm、Ym)とし、この画素に例えば最も近いH領域及びL領域のG画素アドレスをそれぞれ(Xh、Yh)、(XI、YI)としたとき、以下の(2-1)〜(2-7)式に基づいて重み付け係数αを算出する。これにより、M領域の、H及びL領域からの距離、すなわちここでのXY座標平面に示す場合のような、空間的な距離(空間距離)に応じた重み付け係数αが得られる。
Xm−Xh=ΔXh ・・・(2-1)
Xm−XI=ΔXI ・・・(2-2)
Ym−Yh=ΔYh ・・・(2-3)
Ym−YI=ΔYI ・・・(2-4)
ΔH=√(ΔXh^2+ΔYh^2) ・・・(2-5)
ΔL=√(ΔXI^2+ΔYI^2) ・・・(2-6)
α=ΔL/(ΔH+ΔL) ・・・(2-7)
但し、記号√( )は括弧内の数式の平方根を、記号「/」は除算を、記号「^」は指数を示している。なお、(2-7)式は、α=ΔH/(ΔH+ΔL)であってもよい。
記憶部626は、所定の情報を記憶するメモリであり、上記閾値ThH及びThLの閾値情報、領域分割部622において領域分割された各色の照明成分画像データ、上記LUT300の情報、或いはWB係数算出部62のWB補正処理における各種演算情報が記憶される。
WB補正部63は、WB係数算出部62によって算出されたH、M及びL領域におけるR、G、B各色のWB補正係数に基づいて、基画像Iに対するWB補正処理を行うものである。なお、このWB補正処理が施された基画像Iは、画像(合成画像)Oとして後段の処理部に出力される。
図11は、本実施形態に係る撮像装置又は画像処理装置(画像処理方法又は画像処理プログラム)のWB補正処理、特にWB補正係数算出の一例を示すフローチャートである。なお、この画像処理装置とは、少なくとも画像処理部6と撮像センサ3とを備えてなる装置を示す。先ず、撮像センサ3により得られた撮影画像が画像処理部6に入力され、照明成分抽出部61によってこの撮影画像からR、G、B各色の照明成分が抽出される(ステップS1)。次に、これら各色のうちの基準となる色(ここではG色)の照明成分画像が、光源分布に基づく光源の明るさ(種類)に応じて領域分割される。具体的には、WB係数算出部62の比較部621によってG色の照明成分画像(G画像と表現する)の画素毎に閾値ThH及びThLと比較され、領域分割部622によってこの閾値ThH、ThLに対する各画素値の大小が判別されることでH、M及びL領域に領域分割される(ステップS2)。そして、このステップS2におけるG画像の領域分割結果に基づいて、R、B色の照明成分画像(R画像、B画像と表現する)もこのG画像と同一の領域に領域分割され(ステップS3)、これらH、M及びL領域に領域分割されたR、G、B各色の照明成分画像が記憶部626に記憶される(ステップS4)。
次に、上記領域分割された各色の照明成分画像から、平均値算出部623によってH及びL領域における各色の輝度平均値が算出される(ステップS5)。この算出されたH及びL領域における各色の輝度平均値に基づいて、評価値算出部624によってH及びL領域における評価値(WB評価値)が算出される(ステップS6)。そして、補正係数算出部625によって、上記ステップS6において算出されたH及びL領域における評価値に基づいて、LUT300を用いてH及びL領域におけるR、G、B各色のWB補正係数が算出され、このH及びL領域における各色のWB補正係数に基づいて、所定の重み付け係数αを用いた演算式を用いてM領域における各色のWB補正係数が算出される(ステップS7)。そして、H、M及びL領域の各色のWB補正係数に基づいて、WB補正部63によって基画像Iに対するWB補正処理が行われ(ステップS8)、フロー終了となる。
以上のように、本発明に係る撮像装置、画像処理装置、画像処理方法によれば、撮像センサ3によって被写体のカラー画像撮影が行われ、撮像センサ3により得られるカラー画像(基画像I)からR、G、B各色の照明成分画像が照明成分抽出部61によって抽出され、照明成分抽出部61により抽出された照明成分画像の輝度値と、閾値ThH、ThLとが比較部621によって比較される。そして、比較部621による比較結果に基づいて、照明成分画像が領域分割部622によって複数の領域(例えばH、M及びL領域)に分割され、領域分割部622により分割されたこの領域毎に、該領域における照明成分画像の輝度平均値(例えばRH、GH及びBHやRL、GL及びBL)が平均値算出部623によって算出される。そして、平均値算出部623により算出された領域毎の各色の輝度平均値に基づいて、該領域毎の各色のWB補正係数(RKH、GKH及びBKH、RKL、GKL及びBKL、RKM、GKM及びBKM)が補正係数算出部625によって算出され、補正係数算出部625により算出されたWB補正係数に基づいて、WB補正部63によってカラー画像(基画像或いは照明成分画像)のWB補正が行われる。
また、本発明に係る画像処理プログラムによれば、画像処理部6により、第1ステップにおいて、画像メモリ7からカラー画像が読み出され、第2ステップにおいて、カラー画像から各色の照明成分画像が抽出され、第3ステップにおいて、照明成分画像の輝度値と所定の閾値とが比較され、第4ステップにおいて、この比較結果に基づいて照明成分画像が複数の領域に分割され、第5ステップにおいて、この分割された領域毎に該領域における照明成分画像の輝度平均値が算出され、第6ステップにおいて、この領域毎の各色の輝度平均値に基づいて該領域毎の各色のホワイトバランス補正係数が算出され、第7ステップにおいて、このホワイトバランス補正係数に基づいてカラー画像のホワイトバランス補正が行われる。
これらのように、カラー画像(基画像I)から照明成分画像と反射率成分画像とが抽出(分離)され、この照明成分画像からWB補正係数を求めてWB補正処理を行うので、複雑な処理を行うことなく(処理時間が掛かることなく)簡易な構成でWB補正を行うことができるとともに、被写体(上記カラー画像)における各色の反射率成分の影響が除外されたWB補正係数を得ることが可能となり、被写体の色が偏っている場合でも正確なWB補正を行うことができる。また、各色の照明成分画像が複数の領域に分割されて該領域毎に各色のWB補正係数が算出されるので、被写界(上記カラー画像内)に異なる光源が複数存在するような場合であっても正確なWB補正を行うことができる。
また、領域分割部622によって、照明成分画像が、複数種類の光源に対応する複数の光源領域(例えばH及びL領域)に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、この各光源に対応する光源領域毎にWB補正係数を求めるといったことが可能となり、正確なWB補正を行うことができる。
また、領域分割部622によって、照明成分画像が、複数種類の光源に対応する複数の光源領域(例えばH及びL領域)、及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域(例えばM領域)に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、この各光源に対応する光源領域と共に、これら光源間の例えば影(日陰)部といった中間領域に対しても該光源領域とは別にWB補正係数を求めるといったことが可能となり、より正確なWB補正を行うことができる。
また、補正係数算出部625によって、中間領域(M領域)のWB補正係数が、複数の光源領域(H及びL領域)のWB補正係数に基づいて算出されるので、中間領域のWB補正係数が複数の光源領域のWB補正係数を用いて容易に且つ的確に(実際の値と大きく誤差を生じることなく)算出され得るようになる。
また、補正係数算出部625によって、中間領域のWB補正係数が、光源領域のWB補正係数に対して該光源領域の照明成分画像と中間領域の照明成分画像との輝度差に応じた重み付けを行うことにより算出されるので(上記(1-4)〜(1-7)式参照)、中間領域のWB補正係数を光源領域のWB補正係数からより簡単に且つ的確に算出することができる。
また、補正係数算出部625によって、中間領域のWB補正係数が、光源領域のWB補正係数に対して該光源領域と中間領域との空間的な距離に応じた重み付けを行うことにより算出されるので(上記(2-1)〜(2-7)式参照)、中間領域のWB補正係数を光源領域のWB補正係数からより簡単に且つ的確に算出することができる。
また、補正係数算出部625によって、光源領域(H及びL領域)のWB補正係数を算出する場合、データ変換用のLUT300を用いて、輝度平均値に基づくWB補正係数算出用の所定の評価値(例えばRH/GH及びBH/GH、RL/GL及びBL/GL)から、当該光源領域毎の各色のWB補正係数が算出されるので、各光源領域の各色のWB補正係数をLUT300を用いて評価値から容易に算出できるようになる。
また、所定の閾値は、被写体における色温度の違いによる各色の照明成分画像の出力差に基づいて設定されるものであるので、領域分割において照明成分画像の輝度値と比較する閾値すなわち領域分割の際の所謂判断基準値を、光源(被写体)の色温度に基づいてより正確なものとして与えることができ、この値に基づいてより正確な領域分割が可能となり、ひいてはより正確なWB補正を行うことができる。
また、上記画像処理装置(画像処理方法)において、領域分割部622によって、照明成分画像が、複数種類の光源に対応する複数の光源領域(例えばH及びL領域)に分割される、又は照明成分画像が、複数種類の光源に対応する複数の光源領域(例えばH及びL領域)及び該複数種類の光源の中間輝度レベルを有する中間領域(例えばM領域)に分割されるので、被写界に異なる光源が複数存在する場合でも、当該各光源に対応する光源領域毎にWB補正係数を求めることが可能となり、或いは当該各光源に対応する光源領域と共にこれら光源間の例えば影(日陰)部といった中間領域に対しても該光源領域とは別にWB補正係数を求めるといったことが可能となり、より正確なWB補正を行うことができる。
さらに、上記画像処理装置(画像処理方法)において、補正係数算出部625によって、中間領域(M領域)のWB補正係数が複数の光源領域(H及びL領域)のWB補正係数に対して所定の重み付けを行うことにより算出されるので(上記(1-4)〜(1-7)式或いは(2-1)〜(2-7)式参照)、中間領域のWB補正係数を光源領域のWB補正係数から容易に且つ的確に算出することができる。
なお、本発明は、以下の態様をとることができる。
(A)上記実施形態では、各色の照明成分画像の領域分割方法として、先ず或る1つの色(G色;G画素)についてその照明成分画像データを閾値(ThL、ThH)と比較するなどして領域分割し、この領域分割結果に基づいて他の色の領域分割を行う(他の色はG色の領域分割結果と同じものとする)構成としているが、これに限らず、一度に全色(R、G、B色)について照明成分画像データと上記閾値との比較を行うなどして領域分割を行う構成としてもよい。また、この場合、各色の領域分割(或いは比較)の結果に基づいて多数決や平均にて領域を分割するようにしてもよい。
(B)上記実施形態では、WB補正係数を評価値から光源推定を行うことによって求めているが、これに限らず、WB補正係数を各色の輝度平均値に基づき例えばG/R、G/B(G色の補正係数は基準として「1.0」とする)により求めてもよい。これを換言すれば、上記実施形態で説明した評価値(例えばR/G、B/G)の逆数をそのままWB補正係数として求めてもよい。
(C)上記実施形態では、複数の領域に分割するに際して、H、M及びL領域の3つの領域に分割しているが、これに限らず、M領域の無いH及びL領域の2つの領域、或いは4つ以上の領域に分割してもよい。この4つ以上の場合、H、M及びL領域のどの領域をさらに分割させてもよい。なお、M領域をさらに分割する場合、例えば図6において、閾値ThH、ThLとからの輝度値差(距離)に応じた重み付けを行う方法等により、そのM領域の分割位置(境界)を設定して容易に領域分割することが可能である。H領域やL領域についてこれをさらに分割する場合も同様、例えば閾値ThH或いはThLからの輝度値差(距離)に応じた重み付け等に基づいて容易に分割可能である。
(D)画像処理部6におけるWB補正処理に関する処理構成は、図13に示す画像処理部6’の構成であってもよい。すなわち、上記画像処理部6での構成では、基画像Iから照明成分画像を抽出し、この抽出した照明成分画像からWB補正係数を算出し、このWB補正係数を用いて、基画像Iに対するWB補正処理を行う構成としているが、画像処理部6’において、基画像Iから照明成分画像を抽出し、この抽出した照明成分画像からWB補正係数を算出し、このWB補正係数を用いて、照明成分画像に対してWB補正処理を行い、このWB補正処理が施された照明成分画像と、反射率成分画像とを合成する構成としてもよい。つまり、画像処理部6では、WB補正係数を求めておいて後に全画像(基画像I)に対してWB補正処理を行う構成であるのに対し、画像処理部6’では、WB補正係数を求めて先に照明成分画像に対してWB補正処理を行う構成としてもよい。なお、図13において、除算部64は、基画像Iに対する照明成分画像の除算処理によって基画像Iから反射率成分画像(反射率画像)を抽出するものであり、乗算部65は、この反射率成分画像とWB補正部63からのWB補正処理後の照明成分画像とを乗算処理によって合成するものである(ここではこの合成により画像Oが出力される)。
(E)上記画像処理部6におけるWB補正処理に関する処理構成は、図14に示す画像処理部600の構成であってもよい。すなわち、画像処理部600をダイナミックレンジ圧縮(DR圧縮)処理が可能な構成とし、WB補正処理をこのDR圧縮中につまりDR圧縮と合わせて行うようにしてもよい。具体的には、上記照明成分抽出部61、WB係数算出部62、WB補正部63、除算部64及び乗算部65にそれぞれ相当する照明成分抽出部601、WB係数算出部602、WB補正部603、除算部605及び乗算部606と、照明成分画像に対するDR圧縮処理(階調変換処理)を行う圧縮部604とを備えている。ここでは、照明成分抽出部601によって基画像Iから照明成分画像を抽出し、この抽出した照明成分画像からWB係数算出部602によってWB補正係数を算出する。一方、この抽出した照明成分画像から圧縮部604によって照明成分画像に対するDR圧縮処理が行われ、このDR圧縮処理が施された照明成分画像と、除算部605により抽出された反射率成分画像とが乗算部606によって合成される。そして、WB補正部603によって、上記WB係数算出部602により算出されたWB補正係数に基づいて、当該乗算部606にて合成された画像に対するWB補正処理が行われ、画像Oとして出力される。このように、照明成分画像を抽出してその照明成分画像に対して圧縮を行うというDR圧縮処理の構成を利用して、WB補正処理を行うことが可能であるので、別途、WB補正処理専用の処理部を備えるといったことなく、既存の構成を利用したより簡易なWB補正処理構成とすることができる。
(F)上記画像処理部600は、図15に示す画像処理部600’の構成であってもよい。すなわち、上記画像処理部6に対する画像処理部6’の関係と同様、上記画像処理部600では、WB補正係数を求めておいて後に全画像(合成画像)に対してWB補正処理を行う構成であるのに対し、画像処理部600’では、WB補正係数を求めて先に照明成分画像に対してWB補正処理を行う構成としてもよい。この場合、照明成分抽出部601によって基画像Iから照明成分画像を抽出し、この抽出した照明成分画像からWB係数算出部602によってWB補正係数を算出する。そして、WB補正部603によって、照明成分抽出部601により抽出された照明成分画像に対するWB補正処理が行われ、後段の圧縮部604によって、当該WB補正処理が施された照明成分画像に対するDR圧縮処理が行われる。このDR圧縮処理が施された照明成分画像と、除算部605により抽出された反射率成分画像とが乗算部606によって合成され、画像Oとして出力される。この場合も、画像処理部600と同様、照明成分画像を抽出してその照明成分画像に対して圧縮を行うというDR圧縮処理の構成を利用して、より簡易なWB補正処理構成とすることができる。
(G)上記実施形態においては、WB補正処理をデジタルカメラ1内(画像処理部6、6’又は600、600’)で行う構成としているが、これに限らず、このWB補正処理をカメラ外の所定の処理部において実行する構成としてもよい。具体的には、例えば図1に示すようにメモリカード等の記録媒体Mを用いて情報伝達可能に構成された、或いはUSB等を用いたデジタルカメラ1との直接接続(有線)又は無線LAN等によるネットワーク接続がなされたユーザーインターフェイスを備える、PC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistant)等のホストにおいてWB補正処理が実行されてもよい。この場合、ホストには、WB補正処理を行う例えば上記画像処理部6、6’、600或いは600’等と同様の構成の画像処理部が備けられ、デジタルカメラ1で得られた例えばRAW画像データを受け取り、このRAW画像データに対して上述の各実施形態の方法に基づくWB補正処理を行う。なお、この場合、少なくともホストの画像出力部とデジタルカメラ1の撮像センサ3とで上記画像処理装置が構成される。