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JP4633648B2 - 液浸露光用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

液浸露光用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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JP4633648B2
JP4633648B2 JP2006039493A JP2006039493A JP4633648B2 JP 4633648 B2 JP4633648 B2 JP 4633648B2 JP 2006039493 A JP2006039493 A JP 2006039493A JP 2006039493 A JP2006039493 A JP 2006039493A JP 4633648 B2 JP4633648 B2 JP 4633648B2
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Description

本発明は、液浸露光(イマージョン(immersion)リソグラフィー)工程を含むレジストパターン形成方法に用いられる液浸露光用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスにおける微細構造の製造には、リソグラフィー法が多用されているが、デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるレジストパターンの微細化が要求されている。
現在では、リソグラフィー法により、例えばArFエキシマレーザーを用いた最先端の領域では、線幅が90nm程度の微細なレジストパターンを形成することが可能となっているが、今後はさらに微細なパターン形成が要求される。
このような微細なパターン形成を達成させるためには、露光装置とそれに対応するレジストの開発が第一となる。
レジストとしては、高解像性が達成される上に、放射線の照射により発生した酸の触媒反応、連鎖反応が利用でき、量子収率が1以上で、しかも高感度が達成できる化学増幅型レジストが注目され、盛んに開発が行われている。
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護した樹脂(PHS系樹脂)や、ArFエキシマレーザー(193nm付近)に対する透明性に優れる(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)のカルボキシ基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂などが一般的に用いられている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
また、酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、エトキシエチル基等のアセタール基、tert−ブチル基等の3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基などが知られている。たとえば、従来ArFレジスト組成物の樹脂成分中の酸解離性溶解抑制基を有する構成単位としては、下記特許文献1に示されるように、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の3級エステル化合物から誘導される構成単位が一般的に用いられている。
一方、露光装置においては、使用する光源波長の短波長化や、レンズの開口数(NA)の大口径化(高NA化)等が一般的である。たとえば、一般に、レジスト解像性約0.5μmでは水銀ランプの主要スペクトルが436nmのg線が、約0.5〜0.30μmでは同じく水銀ランプの主要スペクトルが365nmのi線が用いられており、約0.30〜0.15μmでは248nmのKrFエキシマレーザー光が用いられ、約0.15μm以下では193nmのArFエキシマレーザー光が用いられている。
また、さらなる微細化のために、Fエキシマレーザー(157nm)やArエキシマレーザー(126nm)、EUV(極端紫外線;13.5nm)、EB(電子線)、X線等の使用が検討されている。
しかし、光源波長の短波長化は高額な新たな露光装置が必要となる。また、高NA化では、解像度と焦点深度幅がトレードオフの関係にあるため、解像度を上げても焦点深度幅が低下するという問題がある。
そのような中、液浸露光(イマージョンリソグラフィー)という方法が報告されている(たとえば、非特許文献1〜3参照)。
この方法は、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光(浸漬露光)を行う工程を有する方法である。
このような液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
特開平10−161313号公報 ジャーナルオブバキュームサイエンステクノロジー(Journal of Vacuum Science & Technology B)(米国)、1999年、第17巻、6号、3306−3309頁. ジャーナルオブバキュームサイエンステクノロジー(Journal of Vacuum Science & Technology B)(米国)、2001年、第19巻、6号、2353−2356頁. プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)(米国)2002年、第4691巻、459−465頁.
しかし、液浸露光にはまだまだ未知な点が多く、微細なパターンを実際に使用できるレベルで形成することは、実際には困難である。たとえば、液浸露光においては、上述のように、浸漬露光時にレジスト膜やレンズに液浸媒体が接触する。そのため、レジストに含まれる物質が液浸媒体中へ溶出する等によりレジスト膜が変質してその性能が低下したり、溶出した物質によって液浸媒体の屈折率が局所的に変化したり、溶出した物質がレンズ表面を汚染する等により、リソグラフィー特性に悪影響を与えることが考えられる。すなわち、感度が劣化したり、得られるレジストパターンがT−トップ形状となったり、レジストパターンの表面荒れや膨潤が生じる等の問題が予想される。
物質溶出を抑制する手段として、たとえば、レジスト膜の液浸媒体に対する耐性(液浸媒体耐性)を高めることが考えられる。現在、液浸媒体としては、主に水等の水性溶剤が検討されていることから、レジスト膜の疎水性を高めることが液浸媒体耐性向上に有効ではないかと推測される。
しかしながら、レジスト膜の疎水性を高めるためにレジストの組成を変更することは、通常、リソグラフィー特性を悪化させてしまう。そのため、物質溶出の抑制とリソグラフィー特性との両立は困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、液浸露光時の物質溶出を抑制でき、リソグラフィー特性にも優れた液浸露光用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために以下の手段を提案する。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有する液浸露光用ポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)は、主鎖環状型重合体(A1)と、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10)を有する非主鎖環状型重合体(A2)と、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する非主鎖環状型重合体(A3)とを含有することを特徴とする液浸露光用ポジ型レジスト組成物である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様の液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「構成単位」とは、樹脂成分(重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」とは、放射線の照射全般を含む概念とする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
本発明により、液浸露光時の物質溶出を抑制でき、リソグラフィー特性にも優れた液浸露光用ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法が提供される。
≪液浸露光用ポジ型レジスト組成物≫
本発明の第一の態様の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有するものである。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物において、(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有するため、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は、主鎖環状型重合体(A1)(以下、重合体(A1)ということがある。)と、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10)を有する非主鎖環状型重合体(A2)(以下、重合体(A2)ということがある。)と、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する非主鎖環状型重合体(A3)(以下、重合体(A3)ということがある。)とを含有する。
以下、主鎖環状型重合体(A1)、非主鎖環状型重合体(A2)、非主鎖環状型重合体(A3)について、それぞれ説明する。
[主鎖環状型重合体(A1)]
本明細書および特許請求の範囲において「主鎖環状型重合体」とは、該重合体を構成する構成単位が、単環または多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位(以下、主鎖環状型構成単位という。)を有することを意味する。
かかる構造の重合体(A1)を含有することにより、液浸露光時の溶出が抑制されることに加えて、さらに、レジストとした際のエッチング耐性が向上する。これは、前記主鎖環状型構成単位を有することにより、炭素密度が高くなっているためと推測される。
主鎖環状型構成単位としては、ポリシクロオレフィン(多環式のオレフィン)から誘導される構成単位、後述する構成単位(a’4)において挙げたジカルボン酸の無水物含有構成単位等が挙げられる。これらのなかでも、レジストとした際のエッチング耐性が特に優れることから、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位を主鎖に有することが好ましい。
ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、下記一般式(a’)で表される基本骨格を有する構成単位が好ましい。
Figure 0004633648
[式中、s’は0または1である。]
「一般式(a’)で表される基本骨格を有する構成単位」は、一般式(a’)で表される構成単位(すなわちビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)から誘導される構成単位、およびテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセンから誘導される構成単位)であってもよく、また、後述する構成単位(a’1)〜(a’3)等のように、その環骨格上に置換基を有していてもよい。つまり、「一般式(a’)で表される基本骨格を有する構成単位」には、その環骨格(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタンまたはテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデカン)を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が水素原子以外の原子または置換基で置換された構成単位も含まれる。
重合体(A1)は、主鎖環状型構成単位以外の構成単位、たとえば後述する重合体(A2)において挙げるアクリル酸から誘導される構成単位(a)等を有していてもよいが、本発明の効果のためには、重合体(A1)中、主鎖環状型構成単位が、重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、50〜100モル%含まれていることが好ましく、80〜100モル%含まれていることがより好ましい。
・構成単位(a’1)
重合体(A1)は、解像性等のリソグラフィー特性が良好であることから、下記一般式(a’1)で表される構成単位(a’1)を有していることが好ましい。
Figure 0004633648
[式中、R61は低級アルキル基であり、a”は0または1であり、b”は1〜3の整数である。]
一般式(a’1)で表される構成単位(a’1)は、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位(a’)において、その環上の5位(a”=0の場合)または8位(a”=1の場合)に、置換基として、1−アルキル(式(a’1)におけるR61:炭素数2以上)−1−シクロアルキル(炭素数5〜8)オキシカルボニル基を有するものである。
解像性が向上する理由としては、この置換基の1−アルキル−1−シクロアルキル基部分は、酸解離性溶解抑制基であり、「1−アルキル」のアルキル基の炭素数が2以上であることにより、たとえば該アルキル基がメチル基である場合に比べて、酸解離性溶解抑制基が解離しやすくなっており、これによって解像性が向上すると推測される。また、単環の脂環式基であるシクロアルキル基を有することにより、たとえば酸解離性溶解抑制基がアダマンチル等の多環式基を含む場合に比べ、重合体(A1)の疎水性が低く(親水性が高く)なり、重合体(A1)をレジスト組成物に配合した際に、該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜とアルカリ現像液との親和性が高まって、得られるレジストパターンの解像性が向上すると推測される。
また、酸解離性溶解抑制基が、たとえば鎖状第3級アルキル基等の環を含まない構造である場合に比べ、該レジストパターンのエッチング耐性が向上する。
式(a’1)中、R61は低級アルキル基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよい炭素数1〜5のアルキル基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基又はエチル基である。
a”は0または1であり、工業上入手が容易であることを考慮すると、0であることが好ましい。
b”は1〜3の整数であり、合成上および工業上入手が容易であることを考慮すると、1又は2であることが好ましい。
本発明においては、特に、式(a’1)におけるR61がエチル基であり、b”が2であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基として、1−エチル−1−シクロヘキシル基を有することが、上記効果に特に優れるため、好ましい。
構成単位(a’1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A1)中、構成単位(a’1)の割合は、重合体(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、10〜30モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a’1)を誘導するモノマーは、たとえば、特開2000−235263号公報に記載されるように、(メタ)アクリル酸−1−アルキル(炭素数2以上)−1−シクロアルキル(炭素数5〜8)エステルと、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンとを、公知の反応であるDiels−Alder反応により反応させることにより合成できる。
・構成単位(a’2)
重合体(A1)は、上記構成単位(a’1)に加えて、さらに下記一般式(a’2)で表される構成単位(a’2)を有することが好ましい。
重合体(A1)が構成単位(a’2)を有することにより、解像性等のリソグラフィー特性が向上する。これは、構成単位(a’2)により重合体(A1)全体の親水性が高まり、重合体(A1)をレジスト組成物とした際に、該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜とアルカリ現像液との親和性が高まるためと推測される。
Figure 0004633648
[式中、R62、R63はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基であり、a”は0または1である。]
一般式(a’2)で表される構成単位(a’2)は、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位(a’)において、その環上の5位(a”=0の場合)または8位(a”=1の場合)に、基R62、R63を有するブチロラクトンから1つの水素原子を除いた基が結合したものである。
式(a’2)中、a”は上記式(a’1)におけるa”と同様であり、0であることが好ましい。
62およびR63は、それぞれ独立に、水素原子または低級アルキル基であり、工業上入手が容易であること等を考慮すると、いずれも水素原子であることが好ましい。
62およびR63の低級アルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよい炭素数1〜5のアルキル基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
構成単位(a’2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A1)中、構成単位(a’2)の割合は、重合体(A1)の全構成単位の合計に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、10〜30モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a’2)を有する効果に優れ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a’3)
重合体(A1)は、上記構成単位(a’1)および(a’2)に加えて、さらに下記一般式(a’3)で表される構成単位(a’3)を有することが好ましい。構成単位(a’3)を有することにより、浸漬露光時の溶出抑制効果がさらに向上する。これは、アルカリ可溶性基、特にフッ素原子を含むアルカリ可溶性基を有することにより、接触角及び後退角がいっそう向上するためと考えられる。また、構成単位(a’3)を有することにより、解像性、基板密着性等も向上する。
Figure 0004633648
[式中、R64はアルカリ可溶性基を有する有機基であり、a”は0または1である。]
式(a’3)中、a”は上記式(a’1)におけるa”と同様であり、0であることが好ましい。
64はアルカリ可溶性基を有する有機基である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において「有機基」とは、少なくとも炭素原子を含む基を意味する。
64におけるアルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基と同程度のpKaを有する基であって、アルコール性水酸基やカルボキシ基などのアルカリ可溶性を与える基を有する基が挙げられる。すなわち、pKaが小さい基(特に限定するものではないが、好適には例えばpKaが6〜12の範囲内のもの)である。
64として、より具体的には、例えば結合位置などが特に限定されないアルコール性水酸基;アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基;カルボキシ基等が挙げられる。中でも、アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基、またはカルボキシ基が好ましい。
アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基において、電子吸引性基としては、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基において、ハロゲン原子は前記ハロゲン原子と同様である。アルキル基は、炭素数が例えば1〜3程度の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基またはエチル基、最も好ましくはメチル基である。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等が挙げられるが、特にトリフルオロメチル基が好ましい。
電子吸引性基の数は、1または2であり、好ましくは2である。
前記アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基として、より具体的かつ好適には、−CR7172OH基を有し、R71及びR72は、それぞれ独立にアルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基であり、その少なくともひとつはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基から選ばれる電子吸引性基であるものとして表すことができる。
ここでのハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基とは、前記したものと同様であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜5の低級アルキル基が挙げられる。
これらの中でも、電子吸引性基がフッ素原子又はフッ素化アルキル基であるものが好ましく、特にはR71及びR72がともにフッ素化アルキル基であるものが好ましい。
なかでもR64としては、特に、浸漬露光時の物質溶出の抑制効果に優れることから、下記一般式(a’31)で表される基であることが好ましい。
Figure 0004633648
[式中、c”は1〜5の整数であり、d”およびe”はそれぞれ独立して1〜5の整数である。]
式(a’31)中、c”は1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、最も好ましくは1である。
また、d”およびe”は、それぞれ独立して、1〜5の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、特にd”およびe”がそれぞれ1であるものが、合成上及び効果において優れており、好ましい。
構成単位(a’3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の重合体(A1)中、構成単位(a’3)の割合は、重合体(A1)の全構成単位の合計に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、50〜70モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a’3)を有する効果に優れ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・その他構成単位(a’4)
重合体(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構成単位(a’1)〜(a’3)以外の構成単位(a’4)を含んでいてもよい。
構成単位(a’4)としては、上述の構成単位(a’1)〜(a’3)に分類されない他の構成単位であって、構成単位(a’1)〜(a’3)を誘導するモノマーと共重合可能なモノマーから誘導される構成単位であれば特に限定するものではない。
かかる構成単位(a’4)としては、公知のエチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位を目的に応じて任意に用いることができる。
構成単位(a’4)として、より具体的には、たとえば、後述する重合体(A2)において挙げるアクリル酸から誘導される構成単位(a)、ジカルボン酸の無水物含有構成単位、置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位等が挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物含有構成単位とは、−C(O)−O−C(O)−構造を有する構成単位をいう。そのようなものとしては、例えば、単環式または多環式の環状酸無水物を含有する構成単位が挙げられ、より具体的には、下記式(a’41)に示す単環式の無水マレイン酸から誘導される構成単位、下記式(a’42)に示す多環式の無水マレイン酸から誘導される構成単位、および下記式(a’43)に示すイタコン酸から誘導される構成単位等が挙げられる。
Figure 0004633648
Figure 0004633648
置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセン等が挙げられる。
また、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、上記置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位の環上に、置換基として、例えば、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等の多環式基を有する構成単位が挙げられる。
重合体(A1)において、構成単位(a’1)〜(a’4)等の構成単位の組合せおよび比率は、要求される特性等によって適宜調整可能である。得られるレジストパターンの形状、エッチング耐性、および解像性等のリソグラフィー特性を考慮すると、少なくとも構成単位(a’1)および(a’3)を有することがより好ましく、構成単位(a’1)〜(a’3)を有することがさらに好ましい。
重合体(A1)が構成単位(a’1)および構成単位(a’3)を含み、かつ構成単位(a’2)を含まない二元系の重合体(ただし構成単位(a’4)を含んでもよい)である場合、各構成単位の割合(モル比)は、本発明の効果および重合体の合成における制御がしやすい点で、重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、構成単位(a’1)が5〜80モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、構成単位(a’3)が5〜95モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましい。
また、重合体(A1)が構成単位(a’1)〜(a’3)を含む三元系の重合体(ただし構成単位(a’4)を含んでもよい)である場合、各構成単位の割合(モル比)は、重合体(A1)を構成する全構成単位に対し、構成単位(a’1)が5〜80モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、構成単位(a’2)が5〜80モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、構成単位(a’3)が10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
これにより、浸漬露光時の物質溶出の抑制効果がより向上し、また、エッチング耐性およびレジストパターン形状、解像性等のリソグラフィー特性も向上する。
重合体(A1)として、好ましい具体例としては、下記一般式(A1−11)で表される重合体(A11)が挙げられる。この重合体(A11)は、浸漬露光時のレジスト膜からの物質の溶出を抑制できるとともに、エッチング耐性およびレジストパターン形状に優れ、解像性等のリソグラフィー特性にも優れ、さらに、基板に対する密着性に優れ、パターン倒れ等が生じにくい。
Figure 0004633648
重合体(A1)は、例えば各構成単位に係るモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
重合体(A1)の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算質量平均分子量、以下同様。)は、20000以下が好ましく、15000以下がより好ましい。質量平均分子量が20000以下であると、エッチング耐性に優れ、また、現像時にレジストパターンの膨潤が生じにくく、パターン倒れが生じにくい等の利点がある。
下限値は、特に限定するものではないが、解像性、有機溶剤への溶解性等を考慮すると、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
また、重合体(A1)の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜
3.0がより好ましく、1.0〜2.0が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A)成分中、重合体(A1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の重合体(A1)の含有量は1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。下限値以上であることにより、液浸露光時の溶出抑制効果が向上する。さらに、レジストとした際のエッチング耐性が向上する。上限値以下であることにより、他の重合体(非主鎖環状型重合体等)とのバランスをとることができる。
[非主鎖環状型重合体(A2)]
本発明において、非主鎖環状型重合体(A2)は、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10)を有する。
該重合体(A2)は、好ましくは、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10’)を有さないものである。
また、該重合体(A2)は、好ましくは、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2−10)を有する。
また、該重合体(A2)は、好ましくは、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3−10)を有する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において「非主鎖環状型重合体」とは、該重合体が、上述した「主鎖環状型重合体」ではないことを意味する。すなわち、非主鎖環状型重合体の主鎖を構成する炭素原子として、環を構成する炭素原子が含まれないことを意味する。
本発明における非主鎖環状型重合体は、なかでも本発明の効果が向上することから、アクリル酸から誘導される構成単位(a)を主鎖に有するものが好ましい。
ここで「アクリル酸」とは、狭義のアクリル酸(CH=CHCOOH)、及びその水素原子の一部または全部が他の基または原子で置換された誘導体を含む概念とする。
アクリル酸の誘導体としては、たとえば、狭義のアクリル酸におけるα位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているα置換アクリル酸、これらのアクリル酸のカルボキシ基の水素原子が有機基で置換されたアクリル酸エステル等が挙げられ、なかでもアクリル酸エステルが好ましい。
アクリル酸におけるα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子を示す。
α置換アクリル酸の置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
α位の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
また、「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
係るアクリル酸から誘導される構成単位(a)の中で好適なものとしては、下記一般式(a)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、Xは水素原子または1価の有機基である。]
Rのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記α位の置換基としてのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Xの1価の有機基としては、特に限定されず、たとえば後述する重合体(A2)、(A3)を構成する構成単位において、アクリル酸エステルのエステル側鎖部に結合した基(酸解離性溶解抑制基、ラクトン環を有する基、極性基含有脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基等)が挙げられる。
本発明において、重合体(A2)は、前記構成単位(a)を、それぞれの非主鎖環状型重合体を構成する全構成単位の合計に対し、50モル%以上の割合で含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましい。なかでも、本発明の効果に特に優れることから、該重合体(A2)は、アクリル酸から誘導される構成単位(a)のみからなるものであることが最も好ましい。
なお、「構成単位(a)のみからなる」とは、該重合体(A2)の主鎖が、構成単位(a)のみから構成されており、他の構成単位を含まないことを意味する。
・構成単位(a1−10)
重合体(A2)は、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10)を有する。構成単位(a1−10)を有することにより、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性が向上する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において「第三級アルキル基」とは、第三級炭素原子を有する1価の飽和炭化水素基を示す。したがって、「鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基」は、分岐鎖状のアルキル基からなり、環式基を有さない酸解離性溶解抑制基を意味する。
前記構成単位(a1−10)の中で好適なものとしては、リソグラフィー特性がより向上することから、特に下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位(a1−11)が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R11は炭素数4以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を示す。]
前記一般式(a1−0−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基である。Rのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基については、上記α位の置換基としてのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。Rは、中でもメチル基であることが最も好ましい。
前記一般式(a1−0−1)中、R11は、炭素数4以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基である。
11の酸解離性溶解抑制基は、解離前は重合体(A2)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの重合体(A2)全体をアルカリ可溶性へ変化させるものである。
11としては、炭素数4以上の鎖状の第三級アルキル基であれば特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。
ここで、本発明において「炭素数4以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基」は、合計の炭素数が4以上の分岐鎖状のアルキル基からなり、環式基を有さない酸解離性溶解抑制基を意味する。
11の炭素数は4以上であり、好ましくは4〜10であり、より好ましくは4〜8であり、最も好ましくは5〜7である。
前記構成単位(a1−11)のなかで好適なものとしては、リソグラフィー特性がさらに向上することから、特に下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位(a1−11−0)が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の低級アルキル基である。]
式(a1−0−2)中、Rは、前記一般式(a1−0−1)のRと同様である。
〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜5の低級アルキル基である。
該低級アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
〜Rの合計の炭素数は3以上であり、3〜9であることが好ましく、3〜7であることがより好ましく、4〜6であることが最も好ましい。
構成単位(a1−11−0)としては、本発明の効果に優れることから、R〜Rがいずれも直鎖状のアルキル基であるもの、R〜Rの炭素数が同じアルキル基であるものが好ましく、中でもR〜Rがいずれも直鎖状であって炭素数が同じアルキル基であるものがより好ましく、R〜Rがいずれもエチル基(tert−ヘプチル基)であるものが最も好ましい。
以下に、構成単位(a1−11−0)として好ましい構成単位の具体例を示す。
Figure 0004633648
上記の中でも、化学式(a1−11−5)、(a1−11−6)で示される構成単位がより好ましく、化学式(a1−11−5)で示される構成単位が最も好ましい。
重合体(A2)において、構成単位(a1−10)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2)中の構成単位(a1−10)の割合は、重合体(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましく、30〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。また、上記範囲内とすることにより、本発明の効果、特に良好なレジストパターン形状が得られやすくなってリソグラフィー特性が向上する。
・構成単位(a2−10)
本発明に係る重合体(A2)は、前記構成単位(a1−10)に加えて、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2−10)を有することが好ましい。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2−10)のラクトン環式基は、重合体(A2)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2−10)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2−10)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R’は水素原子、低級アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは前記構成単位(a1−10)におけるRと同様である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1−10)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
これらの中でも、一般式(a2−1)〜(a2−5)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。具体的には、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
重合体(A2)において、構成単位(a2−10)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2)中の構成単位(a2−10)の割合は、重合体(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2−10)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3−10)
本発明に係る重合体(A2)は、前記構成単位(a1−10)に加えて、または前記構成単位(a1−10)および(a2−10)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3−10)を有することが好ましい。構成単位(a3−10)を有することにより、重合体(A2)の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3−10)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、下記式(a3−2)で表される構成単位、下記式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
重合体(A2)において、構成単位(a3−10)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2)中、構成単位(a3−10)の割合は、当該重合体(A2)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3−10)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・その他構成単位(a4−10)
重合体(A2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1−10)〜(a3−10)以外の他の構成単位(a4−10)を含んでいてもよい。
構成単位(a4−10)は、上述の構成単位(a1−10)〜(a3−10)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4−10)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a3−10)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4−10)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 0004633648
[式中、Rは前記と同じである。]
かかる構成単位(a4−10)を重合体(A2)に含有させる際には、重合体(A2)を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4−10)を1〜30モル%含有させると好ましく、10〜20モル%含有させるとより好ましい。
本発明に係る重合体(A2)は、少なくとも構成単位(a1−10)を有する重合体であり、好ましくは、さらに構成単位(a2−10)及び/または(a3−10)を有する共重合体である。
係る共重合体としては、例えば、構成単位(a1−10)及び(a2−10)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4−10)を含んでもよい)、構成単位(a1−10)及び(a3−10)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4−10)を含んでもよい)、構成単位(a1−10)、(a2−10)及び(a3−10)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4−10)を含んでもよい)等が例示できる。
重合体(A2)として、好ましい具体例としては、下記一般式(A2−11)で表される重合体(A21)が挙げられる。この重合体(A21)は、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性に優れたものである。
Figure 0004633648
[式中、R、R〜Rは前記と同じである。]
式(A2−11)中、Rはメチル基であることが最も好ましい。
〜Rは、いずれもエチル基であることが最も好ましい。
重合体(A2)は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、重合体(A2)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
重合体(A2)の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、重合体(A2)の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(A)成分中、重合体(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の重合体(A2)の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。下限値以上であることにより、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性が向上する。上限値以下であることにより、他の重合体とのバランスをとることができる。
・構成単位(a1−10’)
前記重合体(A2)は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10’)を有さないことが好ましい。該構成単位(a1−10’)を有さないことにより、重合体(A2)において前記構成単位(a1−10)を有することによる効果がより向上する。
構成単位(a1−10’)の具体例としては、後述する重合体(A3)の構成単位(a1)の説明に記載のものと同様のものが挙げられる。
[非主鎖環状型重合体(A3)]
本発明において、非主鎖環状型重合体(A3)は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する。
該重合体(A3)は、好ましくは、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する。
また、該重合体(A3)は、好ましくは、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する。
本発明において、重合体(A3)は、前記構成単位(a)を、それぞれの非主鎖環状型重合体を構成する全構成単位の合計に対し、50モル%以上の割合で含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましい。なかでも、本発明の効果に特に優れることから、該重合体(A3)は、アクリル酸から誘導される構成単位(a)のみからなるものであることが最も好ましい。
・構成単位(a1)
本発明において、構成単位(a1)は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における環式基を有する酸解離性溶解抑制基は、解離前は重合体(A3)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの重合体(A3)全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂において、環式基を有する酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状の第3級アルキルエステルを形成する基;環式基を有するアルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「脂肪族環式基」とは、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、Rは上記と同じであり、R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
環式基を有するアセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、R1’,R2’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0004633648
[式中、R1’、n、Yは上記と同様である。]
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は環状のアルキル基である。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は環状のアルキル基であり、炭素数は1〜15であることが好ましく、炭素数4〜15であることがより好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−101)で表される構成単位および下記一般式(a1−102)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは環式基を有する酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは環式基を有する酸解離性溶解抑制基を示し;Yはアルキレン基または脂肪族環式基を示す。]
一般式(a1−101)において、Rのハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよいハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した環状の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、環式基を有するアセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、環状の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−102)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−101)中のXと同様である。
は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0004633648
[式中、X’は環状の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;mは0または1を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
前記R’、R’は好ましくは少なくとも1つが水素原子であり、より好ましくは共に水素原子である。nは好ましくは0または1である。
X’は前記Xにおいて例示した環状の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものである。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
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Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
Figure 0004633648
上記の中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−6)または(a1−1−35)〜(a1−1−41)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R13は低級アルキル基を示す。]
Figure 0004633648
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜3の整数を表す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R13の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
重合体(A3)において、構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A3)中の構成単位(a1)の割合は、重合体(A3)を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a2)
本発明に係る重合体(A3)は、前記構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。構成単位(a2)を有することにより、重合体(A3)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性や、水を含有する現像液との親和性が向上する。
構成単位(a2)の具体例としては、前記重合体(A2)の構成単位(a2−10)の説明に記載のものと同様であり、説明を省略する。
重合体(A3)において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A3)中の構成単位(a2)の割合は、重合体(A3)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3)
本発明に係る重合体(A3)は、前記構成単位(a1)に加えて、または前記構成単位(a1)および(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。構成単位(a3)を有することにより、重合体(A3)の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a3)の具体例としては、前記重合体(A2)の構成単位(a3−10)の説明に記載のものと同様であり、説明を省略する。
重合体(A3)において、構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A3)中の構成単位(a3)の割合は、重合体(A3)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましく、5〜25モル%であることがさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・その他構成単位(a4)
本発明に係る重合体(A3)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)の具体例としては、前記重合体(A2)の構成単位(a4−10)の説明に記載のものと同様であり、説明を省略する。
かかる構成単位(a4)を重合体(A3)に含有させる際には、重合体(A3)を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%、好ましくは10〜20モル%含有させると好ましい。
本発明に係る重合体(A3)は、少なくとも構成単位(a1)を有する重合体であり、好ましくは、さらに構成単位(a2)及び/または(a3)を有する共重合体である。
係る共重合体としては、例えば、構成単位(a1)及び(a2)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4)を含んでもよい)、構成単位(a1)及び(a3)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4)を含んでもよい)、構成単位(a1)、(a2)及び(a3)からなる共重合体(ただし、構成単位(a4)を含んでもよい)等が例示できる。
重合体(A3)として、好ましい具体例としては、下記一般式(A3−11)で表される重合体(A31)が挙げられる。この重合体(A31)は、解像性に優れたものである。
Figure 0004633648
[式中、Rは前記と同じであり、R10は低級アルキル基である。]
式(A3−11)中、R10の低級アルキル基は、Rの低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
重合体(A3)の製造方法は、各構成単位を誘導するモノマーを用いて、前記重合体(A2)と同様の製造方法により重合させることによって得ることができる。
重合体(A3)の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、重合体(A3)の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(A)成分中、重合体(A3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の重合体(A3)の含有量は40〜90質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましく、55〜80質量%がさらに好ましい。下限値以上であることにより、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性が向上する。上限値以下であることにより、他の重合体とのバランスをとることができる。
(A)成分中、主鎖環状型重合体(重合体(A1))と、非主鎖環状型重合体(重合体(A2)と重合体(A3))との混合割合は、本発明の効果に優れることから、質量比で主鎖環状型重合体:非主鎖環状型重合体=1:99〜99:1であることが好ましく、5
:95〜75:25であることがより好ましく、10:90〜75:25であることが特に好ましく、10:90〜50:50であることが最も好ましい。
また、非主鎖環状型重合体において、重合体(A2)と重合体(A3)との混合割合は、リソグラフィー特性が向上することから、質量比で重合体(A2):重合体(A3)=5:95〜50:50であることが好ましく、10:90〜40:60であることがより好ましく、10:90〜30:70であることが最も好ましい。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物において、(A)成分全体の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−0)で表される酸発生剤を好適に用いることができる。
Figure 0004633648
[式中、R51は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、または直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキル基を表し;R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖若しくは分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、または直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基であり;R53は置換基を有していてもよいアリール基であり;u’’は1〜3の整数である。]
一般式(b−0)において、R51は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、または直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、直鎖若しくは分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、または直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基である。
52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
53は置換基を有していてもよいアリール基であり、置換基を除いた基本環(母体環)の構造としては、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基などが挙げられ、本発明の効果やArFエキシマレーザーなどの露光光の吸収の観点から、フェニル基が望ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u’’は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
一般式(b−0)で表される酸発生剤の好ましいものは以下の様なものを挙げることができる。
Figure 0004633648
一般式(b−0)で表される酸発生剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
また一般式(b−0)で表される酸発生剤の他のオニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物も好適に用いられる。
Figure 0004633648
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;R”は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
”は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0004633648
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0004633648
[式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。]
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004633648
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0004633648
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p’’は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントラセル(anthracyl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0004633648
上記例示化合物の中でも、下記の4つの化合物が好ましい。
Figure 0004633648
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<(D)成分>
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
<任意成分>
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分としては、中でも有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる(E)成分を液浸露光用ポジ型レジスト組成物に含有させる際には、(A)成分100質量部当り、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物によれば、浸漬露光時の物質溶出を抑制でき、リソグラフィー特性も良好である。
浸漬露光時の物質溶出を抑制できる理由は、明らかではないが、(A)成分として、重合体(A1)、(A2)及び(A3)を含有することにより、たとえば重合体(A1)を用いず、重合体(A2)と(A3)だけの組合せの場合に比べ、得られるレジスト膜の後退角が増大すること、および転落角が減少することが主な要因の1つと考えられる。
すなわち、本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、(A)成分として、たとえば重合体(A2)と(A3)だけの組合せを用いた場合に比べて、水に対する動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときの接触角。水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)と、転落方向後方の端点における接触角(後退角)とがある。)と、転落角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときのレジスト膜の傾斜角度)が変化する。たとえば後退角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
液浸露光においては、上述のように、浸漬露光時にレジスト膜が水等の液浸溶媒に接触することになる。したがって、物質溶出は、レジスト膜表面の特性(たとえば親水性・疎水性等)により影響を受けると推測される。本発明においては、特定の3種類の重合体を含有する(A)成分を用いることにより、これらの特性が変化し、それによって物質溶出が生じにくく、しかも良好なリソグラフィー特性が得られるレジスト膜が形成されていると推測される。
ここで、後退角は、図1に示すように、その上に液滴1が置かれた平面2を次第に傾けていった際に、当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるときの当該液滴1上端1aが平面2に対してなす角度θである。転落角は、当該液滴1が平面2上を移動(落下)し始めるときの平面2の傾斜角度θである。
本明細書において、後退角および転落角は、以下の様にして測定するものである。
まず、直径6インチのシリコン基板の上に、本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液をスピンコートした後、90℃の温度条件で、90秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における後退角の測定値が45度以上であることが好ましく、50〜150度であることがより好ましく、55〜130度であることが特に好ましく、60〜100度であることが最も好ましい。後退角が45度以上であると、浸漬露光時の物質溶出抑制効果が向上する。その理由は、明らかではないが、主な要因の1つとして、レジスト膜の疎水性との関連が考えられる。つまり、液浸媒体は水等の水性のものが用いられているため、疎水性が高いことにより、浸漬露光を行った後、液浸媒体を除去した際に速やかにレジスト膜表面から液浸媒体を除去できることが影響していると推測される。また、後退角が150度以下であると、リソグラフィー特性等が良好である。
また、本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜における転落角の測定値が36度以下であることが好ましく、10〜36度であることがより好ましく、12〜30度であることが特に好ましく、15〜25度であることが最も好ましい。転落角が36度以下であると、浸漬露光時の物質溶出抑制効果が向上する。また、転落角が10度以上であると、リソグラフィー特性等が良好である。
後退角および転落角の大きさは、液浸露光用ポジ型レジスト組成物の組成、たとえば(A)成分中の重合体(A1)、(A2)及び(A3)の混合比や、前記構成単位(a3−10)、(a3)の割合等を調整することにより制御できる。たとえば、(A)成分中の重合体(A1)の割合を多くすることにより、重合体(A2)と(A3)だけの組合せで用いる場合よりも大幅に後退角が大きくなり、転落角が小さくなる。
上述のように、本発明においては、液浸溶媒中への物質溶出が抑制される。そのため、レジスト膜の変質や、液浸溶媒の屈折率の変化も抑制されると考えられる。これにより、パターンのうねりやLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)が低減され、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性が向上することが考えられる。また、本発明により、露光装置のレンズの汚染も低減されると考えられる。これにより、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献できると考えられる。
また、本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、リソグラフィー特性も良好である。その理由は明らかではないが、以下のように推測される。
本発明においては、微細なレジストパターンを形成するのに有効な重合体(A3)が用いられ、さらに、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含む構成単位(a1−10)を有する重合体(A2)が用いられる。特に、重合体(A2)における酸解離性溶解抑制基は、鎖状であることにより、環式基に比べて嵩高くなく、酸解離エネルギーが小さいと考えられる。そのため、露光により該酸解離性溶解抑制基が解離しやすくなり、レジスト膜の露光部は現像液に速やかに溶解できると推測される。
以上のように、本発明においては、重合体(A3)と共に重合体(A2)を併用することによって、矩形性が高く、側壁等のラフネスが低減されたレジストパターンが得られ、形状等のリソグラフィー特性も良好であると考えられる。
≪レジストパターン形成方法≫
次に、本発明の第二の態様のレジストパターン形成方法について説明する。
本発明のレジストパターン形成方法は、上記本発明の第一の態様の液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含む方法である。
本発明のレジストパターンの形成方法の好ましい一例を下記に示す。
まず、シリコンウェーハ等の基板上に、本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布した後、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB)処理)を行うことにより、レジスト膜を形成する。
このとき、基板と該レジスト組成物の塗布層との間に、有機系または無機系の反射防止膜を設けて2層積層体とすることもできる。
また、レジスト膜上に、さらに有機系の反射防止膜を設けて2層積層体とすることもでき、さらに、これに下層の反射防止膜を設けた3層積層体とすることもできる。
レジスト膜上に設ける反射防止膜は、アルカリ現像液に可溶であるものが好ましい。
ここまでの工程は、周知の手法を用いて行うことができる。操作条件等は、使用する液浸露光用ポジ型レジスト組成物の組成や特性に応じて適宜設定することが好ましい。
次いで、上記で得られたレジスト膜に対して、所望のマスクパターンを介して選択的に液浸露光(Liquid Immersion Lithography)を行う。このとき、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fレーザーなどの放射線を用いて行うことができる。本発明にかかる液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、KrFエキシマレーザーまたはArFエキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
上記のように、本発明のレジストパターン形成方法においては、露光時に、レジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を液浸媒体で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う。
このとき、液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の有する屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl2、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本発明の液浸露光用ポジ型レジスト組成物は、特に水による悪影響を受けにくく、感度、レジストパターンプロファイル形状に優れることから、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒として、水が好ましく用いられる。また、水はコスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
次いで、浸漬露光工程を終えた後、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB)処理)を行い、続いて、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液を用いて現像処理する。そして、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下または噴霧して、基板上の現像液および該現像液によって溶解した液浸露光用ポジ型レジスト組成物を洗い流す。そして、乾燥を行うことにより、レジスト膜(液浸露光用ポジ型レジスト組成物の塗膜)がマスクパターンに応じた形状にパターニングされたレジストパターンが得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<樹脂成分(A)>
実施例および比較例に用いた(A)成分の重合体(A1)〜(A3)をそれぞれ下記に示す。
なお、各重合体の質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を併記した。
質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準で求めた。
また、組成比はカーボンNMRにより算出した。化学式中、構成単位の右下に付した数字は、重合体中の各構成単位の割合(モル%)を示す。
Figure 0004633648
(Mw:5700、Mw/Mn:1.6;プロメラス社製のものを用いた。)
Figure 0004633648
(Mw:10000、Mw/Mn:1.8;各構成単位を誘導するモノマーを用いて公知の滴下重合法により合成した。)
Figure 0004633648
(Mw:10000、Mw/Mn:1.7;各構成単位を誘導するモノマーを用いて公知の滴下重合法により合成した。)
<液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液の調製>
(実施例1〜2、比較例1)
表1に示す各成分を混合し、溶解して液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を調製した。
Figure 0004633648
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(B)−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート。
(B)−2:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
(D)−1:トリエタノールアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
<物質溶出の抑制効果の評価>
得られた液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を用いて以下の評価を行った。
[後退角および転落角の測定]
得られた液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を、スピンナーを用いて直径8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で115℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜上に純水を1滴(50μl)滴下させた後、以下に示す装置及び条件で後退角および転落角をそれぞれ測定した(露光前の後退角および転落角)。
(装置名)
AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(協和界面科学社製)。
AUTO DISPENSER:AD−31(協和界面科学社製)。
(解析ソフト(装置に付属のもの))
FAMAS。
また、上記と同様にしてレジスト膜を形成し、簡易型露光装置VUVES4500(商品名、リソテックジャパン株式会社製)を用いて、ArFエキシマレーザー(193nm)でオープンフレーム露光(マスクを介さないで露光)を行ったこと以外は、上記と同様にして後退角および転落角を測定した(露光後の後退角および転落角)。
露光前および露光後のレジスト膜の後退角および転落角の測定結果を表2に示した。
Figure 0004633648
表2の結果から、本発明に係る重合体(A1)、(A2)及び(A3)を含有する実施例1〜2は、重合体(A1)を含有しない比較例1に比べて、露光前・露光後ともに転落角が小さくなり、後退角が大きくなっていることが確認された。
[溶出物の測定]
実施例1〜2および比較例1の液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を用いて、上記と同様にしてレジスト膜を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(50μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト膜の総接触面積221.56cm)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により分析して、露光前の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)および(D)成分の合計の溶出量(mol/cm)を求めた。これらの結果を表3に示した。
また、上記と同様にしてレジスト膜を形成し、簡易型露光装置VUVES4500(リソテックジャパン株式会社製)を用いて、ArFエキシマレーザー(193nm)で、オープンフレーム露光(マスクを介さないで露光)を行った。
次に、露光されたレジスト膜を上記と同様に分析して、露光後の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)および(D)成分の合計の溶出量(mol/cm)を求めた。これらの結果を表3に示した。
なお、表3中、溶出量が検出限界未満であったものについては「−」と記載した。
Figure 0004633648
表3の結果から、本発明に係る実施例1〜2は、比較例1に比べて、露光処理前後の液浸媒体(水)中への(B)成分と(D)成分との合計の溶出量が少なくなっており、液浸露光時の物質溶出抑制効果が高いことが確認できた。
特に、実施例1〜2の露光前・後のPAG−の溶出量は、比較例1と比べて少なく、なかでも露光後のPAG−の溶出量は特に少なかった。
また、後退角および転落角の測定結果(表2)および溶出物の測定結果(表3)から、後退角が増大し、転落角が減少することと、物質溶出抑制効果との間に相関関係があることが分かる。
<リソグラフィー特性の評価>
実施例1〜2及び比較例1で得られた液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を用いて、リソグラフィー特性を評価した。
8インチシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、上記で得られた液浸露光用ポジ型レジスト組成物溶液を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で、115℃にて、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、115℃にて、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行うことによりラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)を形成した。
[レジストパターン形状の評価]
ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンについての形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
レジストパターン形状の評価の結果、本発明に係る実施例1〜2のレジストパターン形状は、矩形性が高いことが確認された。
一方、比較例1のレジストパターン形状は、パターンのTOPが若干丸みを帯びていた。
以上の結果から、本発明にかかる実施例1〜2は、液浸露光時の物質溶出を抑制でき、リソグラフィー特性にも優れていることが確認できた。
後退角(θ)および転落角(θ)を説明する図である。

Claims (15)

  1. 酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有する液浸露光用ポジ型レジスト組成物であって、
    前記樹脂成分(A)は、主鎖環状型重合体(A1)と、鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10)を有する非主鎖環状型重合体(A2)と、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する非主鎖環状型重合体(A3)とを含有することを特徴とする液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  2. 前記構成単位(a1−10)は、下記一般式(a1−0−1)
    Figure 0004633648
    [式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R11は炭素数4以上の鎖状の第三級アルキル基からなる酸解離性溶解抑制基を示す。]
    で表される構成単位(a1−11)を含む請求項1記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  3. 前記構成単位(a1−11)は、下記一般式(a1−0−2)
    Figure 0004633648
    [式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の低級アルキル基である。]
    で表される構成単位(a1−11−0)を含む請求項2記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  4. 前記非主鎖環状型重合体(A2)は、環式基を有する酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−10’)を有さない請求項1〜3のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  5. 前記非主鎖環状型重合体(A2)は、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2−10)を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  6. 前記非主鎖環状型重合体(A2)は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3−10)を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  7. 前記主鎖環状型重合体(A1)は、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位を主鎖に有する重合体である請求項1〜6のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  8. 前記主鎖環状型重合体(A1)は、下記一般式(a’1)
    Figure 0004633648
    [式中、R61は低級アルキル基であり、a”は0または1であり、b”は1〜3の整数である。]
    で表される構成単位(a’1)を有する請求項7記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  9. 前記主鎖環状型重合体(A1)は、さらに下記一般式(a’2)
    Figure 0004633648
    [式中、R62、R63はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基であり、a”は0または1である。]
    で表される構成単位(a’2)を有する請求項8記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  10. 前記主鎖環状型重合体(A1)は、さらに下記一般式(a’3)
    Figure 0004633648
    [式中、R64はアルカリ可溶性基を有する有機基であり、a”は0または1である。]
    で表される構成単位(a’3)を有する請求項8または9に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  11. 前記一般式(a’3)におけるR64は、下記一般式(a’31)
    Figure 0004633648
    [式中、c”は1〜5の整数であり、d”およびe”はそれぞれ独立して1〜5の整数である。]
    で表される基である請求項10記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  12. 前記非主鎖環状型重合体(A3)は、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  13. 前記非主鎖環状型重合体(A3)は、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  14. さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の液浸露光用ポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を浸漬露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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