JP4631306B2 - 対物レンズおよび観察光学系 - Google Patents
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Description
1.6 ≦ f1/E1 ≦ 3.5 …(1)
0.6 ≦|f2/f1|≦ 2 …(2)
3.5 ≦ f/D ≦ 4.64 …(3)
(第1実施形態)
第1実施形態の対物レンズ10は、図1に示すように、物体側(図の左方)より順に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とが配置された二群構成の光学系である。なお図1には、第2レンズ群G2と像面10aとの間に正立プリズム14を配置した。像面10aは、対物レンズ10により中間像が形成される面である。正立プリズム14は、倒立像を反転させるための光学素子である。第1実施形態の対物レンズ10と正立プリズム14と不図示の接眼レンズとを組み合わせることにより、双眼鏡や望遠鏡などの観察光学系を構成できる。
さらに、対物レンズ10は、第1レンズ群G1の有効径E1と、第1レンズ群G1の焦点距離f1と、第2レンズ群G2の焦点距離f2と、対物レンズ10の全体の焦点距離fと、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との主点間隔Dとが、次の条件式(1)〜(3)を同時に満足するように構成されている。
0.6 ≦|f2/f1|≦ 2 …(2)
3.5 ≦ f/D ≦ 5.5 …(3)
条件式(1)は、第1レンズ群G1のFナンバーを規定する条件である。第1レンズ群G1の有効径E1と焦点距離f1との比(=f1/E1)が、条件式(1)の上限より大きくなると、第1レンズ群G1のFナンバーが大きくなり、第1レンズ群G1の焦点距離f1が長くなり、コンパクト性に欠けてしまう。逆に、有効径E1と焦点距離f1との比が条件式(1)の下限より小さくなると、第1レンズ群G1のFナンバーが小さくなり過ぎて球面収差が悪化し、非球面による補正が困難になってしまう。
第2レンズ群G2を光軸に沿って移動させる機構は、例えば図2の模式図に示す通り、第2レンズ群G2を支持する部材15と、この部材15を鏡筒16の内面に沿って光軸方向に動かす部材(不図示)とからなる。鏡筒16の内部には、対物レンズ10と正立プリズム14だけでなく、接眼レンズ17も収容されている。観察光学系(10,14,17)のうち第2レンズ群G2以外は、各々、鏡筒16の内面に固定されている。
RA < RS …(4)
条件式(4)は、複合型非球面(12a)の頂点曲率半径RAよりも、ガラスの基本球面の曲率半径RSの方が大きいことを意味する。条件式(4)を満足することにより、ガラスによる基本レンズ面が球面であっても、レンズ面全体における合成樹脂の樹脂厚差を小さくすることができ、非球面の成形性が向上する。
tmax/tmin ≦ 3 …(5)
条件式(5)は、非球面の成形性を良好にするための条件である。最大樹脂厚tmaxと最小樹脂厚tminとの比が条件式(5)の上限値を上回ると、樹脂厚の差が大きくなり、非球面を所定の形状に成形することが困難になりやすい。なお、条件式(5)の上限値は2程度が好ましく、1.5程度であれば再現性よく製造できるためより好ましい。
合成樹脂としては、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などのうち、少なくとも可視光を透過するものが用いられる。紫外線硬化型の場合には、紫外光も透過する必要がある。第1実施形態では、樹脂厚そのものを薄くできるため、合成樹脂として紫外線硬化性樹脂を採用することが好ましい。紫外線硬化性樹脂では、熱硬化性樹脂のような冷却のための作業時間を省略でき、製造コストを大幅に削減することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の対物レンズ20は、図4に示すように、基本的な構成が図1の対物レンズ10と同じである。つまり、正の第1レンズ群G1と負の第2レンズ群G2とが配置されたテレフォトタイプの構成であり、最も物体側のレンズ面21aから像面20aまでの距離(つまり全長)が短く、コンパクトな構成である。第2実施形態の対物レンズ20と正立プリズム14と不図示の接眼レンズとを組み合わせた場合にも、双眼鏡や望遠鏡などの観察光学系を構成できる。
ここで、第2実施形態の対物レンズ20の具体的なレンズデータを表2に例示する。表2は、上記した表1と同様であるため、その補足説明を省略する。また、表2のレンズデータに基づく対物レンズ20の球面収差と非点収差を図5(a),(b)に示す。図5は、上記した図3と同様であるため、その補足説明を省略する。
(第3実施形態)
第3実施形態の対物レンズ30は、図6に示すように、基本的な構成が図1の対物レンズ10と同じである。つまり、正の第1レンズ群G1と負の第2レンズ群G2とが配置されたテレフォトタイプの構成であり、最も物体側のレンズ面31aから像面30aまでの距離(つまり全長)が短く、コンパクトな構成である。第3実施形態の対物レンズ30と正立プリズム14と不図示の接眼レンズとを組み合わせた場合にも、双眼鏡や望遠鏡などの観察光学系を構成できる。
ここで、第3実施形態の対物レンズ30の具体的なレンズデータを表3に例示する。表3は、上記した表1と同様であるため、その補足説明を省略する。また、表3のレンズデータに基づく対物レンズ30の球面収差と非点収差を図7(a),(b)に示す。図7は、上記した図3と同様であるため、その補足説明を省略する。
(第4実施形態)
第4実施形態の対物レンズ40は、図8に示すように、基本的な構成が図1の対物レンズ10と同じである。つまり、正の第1レンズ群G1と負の第2レンズ群G2とが配置されたテレフォトタイプの構成であり、最も物体側のレンズ面41aから像面40aまでの距離(つまり全長)が短く、コンパクトな構成である。第4実施形態の対物レンズ40と正立プリズム14と不図示の接眼レンズとを組み合わせた場合にも、双眼鏡や望遠鏡などの観察光学系を構成できる。
ここで、第4実施形態の対物レンズ40の具体的なレンズデータを表4に例示する。表4は、上記した表1と同様であるため、その補足説明を省略する。また、表4のレンズデータに基づく対物レンズ40の球面収差と非点収差を図9(a),(b)に示す。図9は、上記した図3と同様であるため、その補足説明を省略する。
(第5実施形態)
第5実施形態の対物レンズ50は、図10に示すように、基本的な構成が図1の対物レンズ10と同じである。つまり、正の第1レンズ群G1と負の第2レンズ群G2とが配置されたテレフォトタイプの構成であり、最も物体側のレンズ面51aから像面50aまでの距離(つまり全長)が短く、コンパクトな構成である。第5実施形態の対物レンズ50と正立プリズム14と不図示の接眼レンズとを組み合わせた場合にも、双眼鏡や望遠鏡などの観察光学系を構成できる。
ここで、第5実施形態の対物レンズ50の具体的なレンズデータを表5に例示する。表5は、上記した表1と同様であるため、その補足説明を省略する。また、表5のレンズデータに基づく対物レンズ50の球面収差と非点収差を図11(a),(b)に示す。図11は、上記した図3と同様であるため、その補足説明を省略する。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、対物レンズ10〜50の第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面(例えば12a)を非球面としたが、本発明はこれに限定されない。第1レンズ群G1の最も物体側のレンズ面(例えば11a)を非球面としてもよいし、最も像側と最も物体側との両方のレンズ面を非球面としてもよい。非球面の位置に拘わらず、条件式(1)〜(3)を同時に満足することで、非球面による球面収差の補正を良好に行うことができ、正立プリズム14の配置スペースを確保しつつ全長をコンパクトにすることができる。
さらに、上記した実施形態では、複合型非球面を有するレンズ(例えば12)のガラスによる基本レンズ面を球面としたが、本発明はこれに限定されない。ガラスによる基本レンズ面を非球面にしてもよい。この場合にも、ガラスによる基本非球面に合成樹脂の層を被着させることで、合成樹脂の層の中心部での厚さと周辺部での厚さとの差を大きくせずに、非球面(例えば12a)を形成することができる。
さらに、上記した実施形態では、具体的なレンズデータ(例えば表1)において非球面の形状を上記式(6)で表される回転対称非球面としたが、本発明はこれに限定されない。光軸上における頂点曲率半径に基づく母球面に対して、光軸から周辺に向かって屈折力が小さくなる形状であれば、何でも採用することができる。
12a,22a,32a,42a,52a 非球面
11,12,13,21,22,23,31,32,33,41,42,43,51,52,53 レンズ
14 正立プリズム
15 第2レンズ群G2を支持する部材
16 鏡筒
17 接眼レンズ
Claims (5)
- 物体側より順に正の第1レンズ群と負の第2レンズ群とが配置された対物レンズにおいて、
前記第1レンズ群は、正レンズと負レンズとの貼り合わせレンズのみの構成からなり、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、該非球面が、光軸上における頂点曲率半径に基づく母球面に対して、光軸から周辺に向かって屈折力が小さくなる形状であり、
前記第2レンズ群は、単レンズからなり、
前記第1レンズ群の有効径E1と、前記第1レンズ群の焦点距離f1と、前記第2レンズ群の焦点距離f2と、前記対物レンズの全体の焦点距離fと、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との主点間隔Dとは、次の条件式(1)〜(3)を同時に満足する
1.6 ≦ f1/E1 ≦ 3.5 …(1)
0.6 ≦|f2/f1|≦ 2 …(2)
3.5 ≦ f/D ≦ 4.64 …(3)
ことを特徴とする対物レンズ。 - 請求項1に記載の対物レンズにおいて、
前記非球面は、前記第1レンズ群のうち最も像側に位置する
ことを特徴とする対物レンズ。 - 請求項1または請求項2に記載の対物レンズにおいて、
前記第1レンズ群のうち前記非球面を含むレンズは、ガラスによる基本球面上に合成樹脂の層を被着した複合材料からなり、
前記非球面は、前記合成樹脂の層に形成された複合型非球面である
ことを特徴とする対物レンズ。 - 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の対物レンズにおいて、
前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させる機構を備えた
ことを特徴とする対物レンズ。 - 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の対物レンズと、
接眼レンズとを備えた
ことを特徴とする観察光学系。
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