JP4625113B2 - サイレントチェーン - Google Patents
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Description
図6は、従来のサイレントチェーンの平面図である。従来のサイレントチェーン100は、図6に示すように、2枚のリンクプレート201を有する複数のリンク列200と、2枚のガイドプレート301と2枚のリンクプレート302とを有する複数のガイド列300と、を備えており、これら複数のリンク列200と複数のガイド列300とがピン400を介して交互に連鎖状に連結されている。そして、従来のサイレントチェーン100においては、2枚のリンクプレート201の外側にガイドプレート301がそれぞれ配置されており、2枚のリンクプレート201の間に2枚のリンクプレート302が配置されている。
そのため、例えば、製造誤差によって、右側のガイドプレート301の2枚のピン孔301aの間隔PBが、左側のガイドプレート301の2枚のピン孔301aの間隔PAよりも大きく形成された場合、サイレントチェーン100の幅方向に対してピン400が角度αだけ傾いて配置され、左側のリンクプレート201のピン孔201a(より詳しくは、ピン孔201aの左側の開口部付近の点P)にピン400が片当たりしてしまうことがある。左側のリンクプレート201とピン400とが片当たりすると、ピン400が傾いている分だけ片当たりした部分が磨耗し、サイレントチェーン100の伸びやがたつきが大きくなってしまう。
β’=(L1+L3)・tanα ・・・・式(1)
となる。
また、リンク列が2枚のリンクプレートで構成されるので、リンク列の歯とスプロケットの歯との噛み合い時の衝撃を分散して、騒音を低減することができる。
すなわち、チェーンの幅方向両端部にのみガイド列(ガイドプレートおよびガイド列リンクプレート)が存在する配列の場合、ガイド列の剛性がリンク列の剛性よりも小さいと、万が一、一方のガイド列が変形あるいは破断したようなときには、チェーンが片持ちとなり、他方側のガイド列に集中荷重がかかるため、リンクプレートが曲がり、不正噛み合いを発生し、チェーンの折損、脱落するといった問題が極短時間で発生し、駆動伝達できない、車両走行不能といった事態が生じるおそれがある。
これに対して、ガイド列の剛性が、リンク列の剛性よりも高いあるいは等しい場合、万が一、ガイド列の一方のリンクプレートかガイドプレートに変形や破断が生じたとしても、短期間にチェーン自体の破断に繋がることがない。そして、変形や破断により騒音が生じることで駆動伝達手段の異常を早期にユーザーに認識させることが可能になる。
この構造によって、従来のサイレントチェーンのようにガイド列のリンクプレートの 枚数を増加して荷重を分散させ、強度をアップさせる構造に比べて、最少枚数のガイド列リンクプレート配列で信頼性の高いサイレントチェーン駆動手段を提供することが可能である。
ガイド列6の2枚のガイドプレート4,4は、ピン7の軸方向の両端にそれぞれ配置されている。また、ガイド列6の2枚のリンクプレート5,5は、リンク列3のリンクプレート2とガイド列6のガイドプレート4の間にそれぞれ配置されている。
すなわち、リンク列3の2枚のリンクプレート2,2は、ピン7の長さ方向中心位置から等しい位置でガイド列6のリンクプレート5,5と隣接している。
図2(a)に示すように、リンク列3のリンクプレート2は、例えば金属製の板状部材であり、サイレントチェーン1の駆動前後方向に離間して、2つのピン孔21,21を有している。ピン孔21,21は、ピン7の直径よりも若干大きく形成されており、ピン7に対して遊嵌(遊び嵌め)するようになっている。リンクプレート2の外周面のうち、サイレントチェーン1の内側となる部分には、スプロケットSの歯部S1(図6(b)参照)と噛み合う2つのリンク歯22,22が、サイレントチェーン1の駆動前後方向に互いに離間して突出形成されている。
また、リンク列3のリンクプレート2には、その全面に、例えば厚さ12μm程度の炭化クロムコーティング(CrC)が施されている。
ガイドプレート4のピン孔41の直径D2やピッチJ1,K1の製造誤差によって、ピン7が傾いた状態で設置されることとなる。
図2(c)に示すように、ガイド列6のリンクプレート5は、例えば金属性の板状部材であり、サイレントチェーン1の駆動前後方向に離間して、2つのピン孔51,51を有している。ピン孔51,51は、ピン7の直径よりも若干大きく形成されており、ピン7に対して遊嵌(遊び嵌め)するようになっている。リンクプレート5の外周面のうち、サイレントチェーン1の内側となる部分には、スプロケットSの歯部S1(図6(b)参照)と噛み合う2つのリンク歯52,52が、サイレントチェーン1の駆動前後方向に互いに離間して突出形成されている。
本実施形態では、ガイド列6のガイドプレート4及びリンクプレート5の板厚の総和((L2+L3)×2)が、リンク列3のリンクプレート2の板厚の総和(L1×2)以上になっている。一例を挙げると、ガイド列6のガイドプレート4の板厚L2が1.30mmであり、ガイド列6のリンクプレート5の板厚L3が1.40mmである場合、リンク列3のリンクプレート2の板厚L1は2.63mmとなる。
また、ガイド列6のガイドプレート4の板厚L2を1.20mmとし、ガイド列6のリンクプレート5の板厚L3を1.40mmとし、リンク列3のリンクプレート2の板厚L1を2.60mmとしてもよい。この場合、ガイド列6の板厚の総和とリンク列3の板厚の総和は等しくなる。
具体的には、リンク列3とガイド列6の材質と板厚の総和が等しければ両者の剛性は等しくなる。また、リンク列3とガイド列6の材質が等しく、リンク列3の板厚の総和よりもガイド列の板厚の総和の方が大きければ、リンク列3の剛性よりもガイド列の剛性の方が大きくなる。
図3に示すように、製造誤差などによって、図3における左側のガイドプレート4のピン孔41同士の間隔PAが、図3における右側のガイドプレート4のピン孔41同士の間隔PBよりも小さい場合、ピン7が、サイレントチェーン1の幅方向に対して角度αだけ傾いて配置される。
このとき、2つのリンクプレート2は、ピン7の軸方向の中心位置を挟んで隣接して配置されているので、リンクプレート2の板厚(すなわち、サイレントチェーン1の幅方向の中心から点Pまでの距離)をL1とすると、磨耗量βは、
β=L1・tanα ・・・・式(2)
となる。
β’=(L1+L3)・tanα ・・・・式(1)
となる。
△β=β−β’=L3・tanα ・・・・式(3)
だけ磨耗量が少なくなる。
また、このようにすると、万が一、ガイド列6のリンクプレート5あるいはガイドプレート4に変形や破断などの異常が生じたとしても、短時間でサイレントチェーン1自体が破断することがない。そして、異音や振動により、サイレントチェーン1の異常を早期にユーザーに認識させることが可能となる。
図4(a),(b)に示すように、第2実施形態に係るサイレントチェーン1Aは、リンク列3の2枚のリンクプレート2Aに給油溝23を有する点が、第1実施形態と異なっている。
そして、2枚のリンクプレート2Aを隣接して配置することにより、給油溝23によって、断面視楕円形状の給油路が形成され、リンクプレート2Aの外周面25とピン孔21とが連通されることとなる。
図5(a),(b),(c)に示すように、第3実施形態に係るサイレントチェーン1Bは、リンク列3の2枚のリンクプレート2Bの互いに隣接する側面24が、リンクプレート2Bの外周面26からピン孔21にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面に形成されている点が、第1実施形態に係るサイレントチェーン1と異なっている。
例えば、リンク列3とガイド列6の材質を異ならせることにより、リンク列3よりもガイド列6の剛性を大きくしてもよい。また、ガイド列6の各プレートに表面処理を施してもよい。
また、ガイドプレート4のピン孔41のピッチJ2を、リンクプレート2のピン孔21のピッチJ1よりも大きくすることにより、ピン孔41,41の間の面積を大きくして、ピン孔41,41間の延びを低減し、ガイドプレート4の剛性を大きくしてもよい。
2 リンクプレート
21 ピン孔
22 リンク歯
3 リンク列
4 ガイドプレート
41 ピン孔
5 リンクプレート
51 ピン孔
52 リンク歯
6 ガイド列
7 ピン
Claims (4)
- 駆動前後方向に設けられた2箇所のピン孔を有し、それぞれの前記ピン孔にピンが嵌合固定される一対のガイドプレートを、前記ピンの軸方向両端に有する複数のガイド列と、
駆動前後方向に設けられた2箇所のピン孔を有し、それぞれの前記ピン孔に前記ピンが遊嵌される2枚のリンクプレートを有する複数のリンク列と、を備え、
前記複数のガイド列と前記複数のリンク列とが前記ピンを介して交互に連鎖状に連結されてなるサイレントチェーンであって、
前記リンク列の2枚のリンクプレートは、相互に隣接して前記ピンの中央に配置されており、
前記ガイド列は、駆動前後方向に設けられた2箇所のピン孔を有し、それぞれの前記ピン孔に前記ピンが遊嵌される2枚のリンクプレートを、前記リンク列のリンクプレートと前記ガイドプレートの間にそれぞれ1枚ずつ備え、
前記ガイド列のガイドプレート及びリンクプレートの板厚の総和が、前記リンク列の2枚のリンクプレートの板厚の総和以上であり、
前記ガイド列のリンクプレートと前記ガイドプレートとからなるガイド列の剛性が、前記リンク列の剛性と同じあるいは大きいことを特徴とするサイレントチェーン。 - 前記リンク列の2枚のリンクプレートは、互いに隣接する面の少なくとも一方に、当該リンクプレートの外周面と前記ピン孔とを連通する給油溝を有することを特徴とする請求項1に記載のサイレントチェーン。
- 前記給油溝は、前記外周面側の端部の方が前記ピン孔側の端部よりも駆動方向前方側に位置していることを特徴とする請求項2に記載のサイレントチェーン。
- 前記リンク列の2枚のリンクプレートは、互いに隣接する面が当該リンクプレートの外周面から前記ピン孔にかけて凸状に湾曲する凸状湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサイレントチェーン。
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