JP4621111B2 - デバイス試験機構、ハンドラおよびデバイスの試験方法 - Google Patents
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Description
このような試験機構では、プッシャがデバイスに接触したときに、プッシャの温度に影響されて高温状態のデバイスの温度が低下することを防ぐため、プッシャを恒温槽内に配置し、雰囲気温度によってプッシャを暖めたり、プッシャを保持している搬送機構にヒータを設けてプッシャを暖めたりしている。
また、低温状態のデバイスの電気的特性を試験する場合には、プッシャの温度に影響されてデバイスの温度が上昇することを防ぐため、試験を開始するときに、プッシャ全体の温度を下降させる必要があるが、前記したように、熱伝導率が低い樹脂材料を用いてプッシャが形成されているため、プッシャ全体の温度下降に時間を要することになり、待機時間が長くなってしまうという問題がある。
また、ソケットとパフォーマンスボードとを接続する信号線が設けられている構成において、ソケットに載置されたデバイスの温度を安定させることができ、複数のソケットに載置されたデバイスの温度のバラツキを防ぐことができるデバイス試験機構、ハンドラおよびデバイスの試験方法を提供することを他の課題とする。
なお、被膜処理によって形成される導電性の低い被膜は、デバイスの静電破壊を防ぐことができる程度の電気抵抗値を備えている必要があり、例えば、金属材料の表面の組成を変化させたり、金属材料の表面に被膜材料等を塗布したりして形成することができる。
また、表面に被膜処理を施した金属材料は、従来のプッシャに用いられていた導電性が低い樹脂材料よりも安価であるため、プッシャの製造コストを低減することができる。
また、被膜処理として導電性アルマイト処理を施した場合には、導電性アルマイト処理はアルミニウム材料への密着性が高いため、プッシャの表面に導電性の低い被膜を確実に形成することができる。
例えば、複数のソケットを設けた場合には、そのソケットごとにエアコン等からの送風の当たり具合が異なる場合であっても、各ソケットの信号線は送風に直接当たることなく、ソケットの温度に影響を与えないため、設置環境による影響を防ぐことができ、各ソケットに載置されたデバイスの温度のバラツキを防ぐことができる。
また、常温状態のデバイスの電気的特性を試験する場合には、カバーを収縮させて信号線を露出させることにより、信号線を外気に触れさせることができるため、カバーを取り外すことなく、高温状態または低温状態から常温状態に条件変更させて、各種の試験条件に短時間で対応させることができる。
また、ソケットとパフォーマンスボードとを接続する信号線をカバーによって囲んだ構成では、ソケットに載置されたデバイスの温度を安定させることができ、複数のソケットに載置されたデバイスの温度のバラツキを防ぐことができる。
さらに、プッシャが安価となるため、ハンドラの製造コストを低減することができる。
また、ソケットとパフォーマンスボードとを接続する信号線をカバーによって囲んだ構成では、エアコンの送風等の設置環境による影響を防ぐことができ、複数のソケットに載置されたデバイスの温度のバラツキを防ぐことができるため、測定精度を向上させることができる。
また、被膜処理を施した金属材料は、従来のプッシャに用いられていた導電性が低い樹脂材料よりも安価であるため、プッシャの製造コストを低減することができる。
さらに、プッシャが安価となるため、ハンドラの製造コストを低減することができる。
図1は、本実施形態のハンドラを示した概略構成図である。図2は、本実施形態の試験機構を示した側断面図である。図3は、本実施形態の試験機構を示した図で、カバー部材を収縮させた状態の側断面図である。
本実施形態では、高温状態のデバイスの電気的特性に基づいて、デバイスを良品または不良品に選別搬送するハンドラを例として説明する。
図1に示すハンドラ1は、ICであるデバイス(図示せず)を良品または不良品に選別搬送するための装置である。
なお、加熱手段3、搬入側シャトル6a、搬出側シャトル6bおよび搬送用ロボットは、公知の装置を用いており、その構成は特に限定されるものではない。
この選別手段4の記憶部には、常温、高温、低温状態のデバイスの電気的特性に関して、試験装置によるデバイスの試験結果に基づいて、良品に分類される電気的特性と、不良品に分類される電気的特性とが記憶されており、そのデバイスを良品または不良品に選別するように構成されている。なお、選別はCPUがプログラムを実行することにより実現される。
なお、本実施形態のように、選別手段4に電気的特性を記憶させることなく、試験装置でデバイスの良品または不良品を選別させ、その選別結果を示す信号に基づいて選別手段4がデバイスを良品または不良品に選別するように構成してもよい。
試験機構10は、図2に示すように、デバイスDを載置可能であり、試験装置7に接続されているソケット11と、このソケット11に載置されたデバイスDを押えて固定するプッシャ12とを備え、ソケット11およびプッシャ12は、恒温槽13内に配置されている。
ソケット11の各コンタクトピンは、パフォーマンスボード8を介して試験装置7に接続されており、各コンタクトピンに接続された複数の信号線14が、ソケット11の下面から延長されてパフォーマンスボード8に接続されている。
このプッシャ12の上面は、恒温槽13内で昇降自在なフローティングプレート9に取り付けられており、フローティングプレート9の昇降に伴って昇降するように構成されている。
そして、プッシャ12を下降させてソケット11のホルダ11aに嵌合部12aを外嵌させることにより、ホルダ11aに嵌め込まれたデバイスDがプッシャ12によって押さえられて固定された状態となる。
この恒温槽13は、底部を構成するソケットベース13aと、ソケットベース13aの上面に取り付けられた上部カバー13bとから構成されている。
また、ソケットベース13aには、加熱用のヒータ13cが取り付けられており、ヒータ13cの熱がソケットベース13aからソケット11に伝わることにより、ソケット11に載置されたデバイスDが暖められるように構成されている。
カバー15は上下方向に伸縮自在な蛇腹形状となっており、上端縁はソケットベース13aの下面に固着され、ソケットベース13aから吊り下げられている。このように、ソケットベース13aに吊り下げられた状態では、カバー15は伸長しており、その下端縁がパフォーマンスボード8の上面に載置されることにより、カバー15の内部が密閉されている。
なお、ソケットベース13aの下面には、図3に示すように、収縮したカバー15を挟んで保持するクリップ13dが複数取り付けられている。このクリップ13dは、L字形状に折り曲げられた板状部材であり、ソケットベース13aの中心方向に向けてスライドさせることにより、収縮したカバー15の側部をソケットベース13aの下面との間に挟んで保持することができる。
次に、試験機構10を用いたハンドラ1によってデバイスの電気的特性を測定する試験方法について説明する。
まず、ストック用トレイ2に収容されている試験対象のデバイスは、搬送用ロボットによって加熱手段3に搬送される。
加熱手段3で所定温度まで加熱されたデバイスは、搬送用ロボットによって搬入側シャトル6aに搬送され、搬入側シャトル6aによって試験機構10内に搬入される。
そして、試験装置7では、デバイスDから出力された信号に基づいて、高温状態のデバイスDの電気的特性を測定し、その試験結果を図1に示す選別手段4に出力する。
選別手段4では、記憶部に記憶されている良品または不良品のデバイスの電気的特性に基づいて、デバイスDを良品または不良品に選別し、その選別結果に基づいて、搬送用ロボットがデバイスDを良品トレイ5aまたは不良品トレイ5bに収容する。
以上のように構成された試験機構10、ハンドラ1および試験方法では、次のような作用効果を奏する。
本実施形態の試験機構10では、図2に示すように、表面に導電性アルマイト処理を施したアルミニウム材料によってプッシャ12が形成されており、プッシャ12の表面に金属材料よりも導電性の低い被膜が形成されている。これにより、プッシャ12がデバイスDに接触したときに、デバイスDに帯電していた静電気がプッシャ12に少しずつ流れるため、デバイスDの静電破壊を防ぐことができる。
また、熱伝導率が高い金属材料であるアルミニウム材料によってプッシャ12全体が形成されており、試験を開始するときに、プッシャ12全体の温度が早く上昇するため、待機時間を短縮することができる。
さらに、熱伝導率が高い金属材料であるアルミニウム材料によってプッシャ12全体を形成することにより、プッシャ12全体の温度を調整し易くなるため、測定中にデバイスの温度を安定させることができ、測定精度を向上させることができる。
また、常温状態のデバイスDの電気的特性を試験する場合には、カバー15を収縮させて信号線14を露出させることにより、信号線14を外気に触れさせることができるため、カバー15を取り外すことなく、高温状態または低温状態から常温状態に条件変更させて、各種の試験条件に短時間で対応させることができる。
また、導電性アルマイト処理はアルミニウム材料への密着性が高いため、プッシャ12の表面に導電性の低い被膜を確実に形成することができる。
また、ソケット11から延長された信号線14が外気に直接触れないため、デバイスDの温度を安定させることができ、温度制御精度を向上させることができる。
さらに、プッシャ12が安価となるため、ハンドラ1の製造コストを低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、プッシャ12をアルミニウム材料によって形成しているが、プッシャ12は熱伝導率が高い金属材料であれば限定されるものではない。
さらに、本実施形態では、プッシャ12を形成する金属材料に導電性アルマイト処理を施しているが、金属材料よりも導電性が低い被膜を形成するための半導電性処理の種類および方法は限定されるものではなく、導電性が低い被膜を形成することができるのであれば、各種公知の被膜処理を用いることができ、本実施形態のように金属材料の表面の組成を変化させたり、金属材料の表面に導電性エポキシ樹脂等の被膜材料を塗布したりして、導電性が低い被膜を形成することができる。
なお、半導電性処理によって形成される被膜は、デバイスDの静電破壊を防ぐことができる程度の電気抵抗値を備えている必要があるため、106〜109Ω程度の電気抵抗値を備えていることが好ましい。
この場合には、試験を開始するときに、プッシャ12全体の温度が早く下降するため、待機時間を短縮することができる。さらに、カバー15によって信号線14が外気に直接触れないため、信号線14の温度上昇を防ぐことができ、ソケット11に載置されたデバイスDの温度上昇を防ぐことができる。
図4は、本実施例の試験結果を示した図で、(a)は従来の試験機構におけるデバイスの温度変化を示したグラフ、(b)は本発明の試験機構におけるデバイスの温度変化を示したグラフである。図5は、本実施例の試験結果を示した図で、従来の試験機構におけるプッシャの温度変化と、本発明の試験機構におけるプッシャの温度変化を示したグラフである。
また、本実施例では、ソケットが二体並設された構成となっており、それぞれソケット番号1、ソケット番号2で示され、各ソケットに対応させてプッシャが設けられている。
そして、ソケット番号1、ソケット番号2で各十個のデバイスを順次に試験したときの一個目、二個目および十個目のデバイスの温度変化を図4のグラフに示し、プッシャの温度変化を図5のグラフに示している。
一方、本発明の試験機構では、ソケットごとにエアコンからの送風の当たり具合が異なる場合であっても、各ソケットの信号線は送風に直接当たることなく、ソケットの温度に影響を与えないため、図4(b)に示すように、各ソケットに載置されたデバイスの温度にバラツキがない。
また、本発明のプッシャでは、導電性アルマイト処理したアルミニウム材料を用いており、熱伝導率が高いため、図5に示すように、プッシャの温度が目標温度付近で安定するまでの時間が早くなっている。なお、従来の樹脂材料の熱伝導率が0.23W/m・kであるのに対して、本発明の導電性アルマイト処理したアルミニウム材料の熱伝導率は85W/m・kであり、約370倍の熱伝導率となっている。
3 加熱手段
4 選別手段
5a 良品トレイ
5b 不良品トレイ
6a 搬入側シャトル
6b 搬出側シャトル
7 試験装置
8 パフォーマンスボード
10 試験機構
11 ソケット
12 プッシャ
13 恒温槽
14 信号線
15 カバー
D デバイス
Claims (5)
- デバイスを載置可能であり、前記デバイスの電気的特性を測定する試験装置に接続されるソケットと、
前記ソケットに載置された前記デバイスを押えて固定するプッシャと、を備え、
前記プッシャは、表面に半導電性の被膜処理を施した金属材料によって形成され、
前記ソケットは、パフォーマンスボードを介して前記試験装置に接続されるように構成され、
前記ソケットと前記パフォーマンスボードとを接続する信号線が、カバーによって囲まれており、
前記カバーは、伸縮自在な蛇腹形状であることを特徴とするデバイス試験機構。 - 前記プッシャは、表面に導電性アルマイト処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス試験機構。
- 前記プッシャは、アルミニウム材料によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス試験機構。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデバイス試験機構と、
前記試験装置の試験結果に基づいて、前記デバイスを選別する選別手段と、を備えていることを特徴とするハンドラ。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデバイス試験機構を用いて、前記デバイスの電気的特性を測定することを特徴とするデバイスの試験方法。
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