JP4604592B2 - アリールアミン誘導体の製造方法及びそれに用いるメタノール誘導体 - Google Patents
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Description
これらの中でも、アリールアミン系化合物は、優れた電荷輸送能力、環境変動に対する高い耐久性等を有することから、電子写真感光体における電荷輸送物質としてて古くから精力的に研究がなされ、又、近年では、次世代表示デバイスとして注目されている有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送材料としての研究が進んでいるが、有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動したときに発生するジュール熱により素子温度が急激に上昇し、正孔輸送材料の分子運動が活発になり、分子が凝集し始めて薄膜内で結晶化が起こって薄膜のアモルファス性が崩壊し、その結果として、電界界面との接触不良や絶縁破壊等により、駆動電圧の上昇や発光輝度の低下等を引き起こすという問題が提起され、その問題に解決を与えるべく、正孔輸送材料としてのアリールアミン系化合物のガラス転移温度の高温化が求められている。
一方、これら有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送材料を含む電荷輸送物質のガラス転移温度の高温化を企図した化合物として、例えば、トリアリールアミン骨格を有する2つの構造単位がシクロヘキサン環、又はアダマンタン環等の脂環式環で連結され分子量の増大が図られた化合物(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)、更にその連結を繰り返すことにより高分子量化された化合物(例えば、特許文献5、特許文献6参照。)、及び、トリアリールアミン骨格の分子量を増大させると共に、その2つの構造単位が芳香族環で連結され分子量の増大が図られた化合物(例えば、特許文献7参照。)等が提案されている。
る、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体に芳香族アミンを反応させて下記一般式(IIa)で表される、複数のアリールアミン骨格を有するアリールアミン誘導体を製造す
るアリールアミン誘導体の製造方法、及び、該製造方法に用いられ、下記一般式(Ia) で
表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体、を要旨とする。
本発明のアリールアミン誘導体の製造方法は、前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体に芳香族アミンを反応させて前記一般式(II)で表される、複数のアリールアミン骨格を複数有するアリールアミン誘導体を製造するものである
。
前記一般式(I) 及び(II)において、Xは、少なくとも1個のアリールアミン骨格を含むものであれば特に限定されるものではなく、モノ、ジ、若しくはトリアリールアミン骨格のいずれかの骨格を少なくとも1個含めばよく、例えば、モノアリールジアルキルアミノ骨格、モノアリールジアラルキルアミノ骨格、ジアリールモノアルキルアミノ骨格、ジアリールモノアラルキルアミノ骨格、及びトリアリールアミノ骨格等が挙げられ、中で、トリアリールアミノ骨格が好ましい。尚、これらのアリール基やアルキル基等は、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。
そのアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。又、メチレン基の置換基としては、例えば、更に置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアリール基、シアノ基、ニトロ基、及びハロゲン原子等が挙げられ、これらの中でアルキル基、アルケニル基等は相互に結合して環状構造を形成していてもよく、又、aとしては、1〜6の範囲の整数が適当である。
又、前記一般式(II)において、Ar1 のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ナフチレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基等が挙げられ、又、アミノ基の置換基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等のアリール基等が挙げられ、これらは、隣接するアリール基同士が直接に、或いは酸素原子、硫黄原子等の複素原子を介して結合し環状構造を形成していてもよい。
これらの前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体の具体例を以下に示す。
又、本発明において、以上の前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体、及び、前記一般式(II)で表される、複数のアリールアミン構造を有するアリールアミン誘導体の中で、下記一般式(Ib)で表されるメタノール誘導体、及びそれに芳香族アミンを反応させて得られ、下記一般式(IIb) で表されるアリールアミン誘導体が好適である。
又、本発明において、以上の前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体、及び、前記一般式(II)で表される、複数のアリールアミン骨格を有するアリールアミン誘導体の中で、下記一般式(Ic)で表されるメタノール誘導体、及びそれに芳香族アミンを反応させて得られ、下記一般式(IIc) で表されるアリールアミン誘導体も好ましい。
又、本発明において、以上の前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体、及び、前記一般式(II)で表される、複数のアリールアミン骨格を有するアリールアミン誘導体の中で、下記一般式(Id)で表されるメタノール誘導体、及びそれに芳香族アミンを反応させて得られ、下記一般式(IId) で表されるアリールアミン誘導体も好ましい。
ここで、前記一般式(Ia)及び(IIa) 、前記一般式(Ib)及び(IIb) 、前記一般式(Ic)及び(IIc) 、並びに前記一般式(Id)及び(IId) において、Ar2 、Ar3 、Ar5 、Ar6 、Ar8 、及びAr9 のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられ、又、Ar1 、Ar4 、Ar6 、Ar7 、及びAr10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ナフチレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基等が挙げられ、中で、フェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
尚、本発明において、前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体は、例えば、アリールアミン骨格を有するカルボニル化合物を、水素化アルミニウムリチウム、水素化硼素ナトリウム、ジイソブチルリチウムアルミニウムハイドライド等の還元剤で還元する方法、或いは、グリニヤール試薬、有機リチウム化合物等のアニオン種と反応させる方法、又は、ハロゲン化アリールアミン骨格を有する化合物からアニオン種を発生させ、そのアニオン種にカルボニル化合物を反応させる方法等の公知の方法により、容易に製造することができる。
本発明において、前記一般式(I) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体に芳香族アミンを反応させて下記一般式(II)で表される、複数のアリールアミン骨格を有するアリールアミン誘導体を製造するにおいて、芳香族アミンとしては、少なくとも1個のアリールアミン骨格を含むものであれば特に限定されるものではなく、モノ、ジ、若しくはトリアリールアミン骨格のいずれかの骨格を少なくとも1個含めばよく、具体的には、例えば、モノアリールジアルキルアミン、モノアリールジアラルキルアミン、ジアリールモノアルキルアミン、ジアリールモノアラルキルアミン、及びトリアリールアミン等が挙げられ、中で、トリアリールアミンが好ましい。
前記一般式(I) で表されるメタノール誘導体に前記芳香族アミンを反応させるにおいては、溶媒中で行うのが好ましく、その溶媒としては、トルエン、アニソール、ジフェニルメタン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等の塩素化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の多価エーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、酢酸等の酸系溶媒類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して用いられる。これらの中で、芳香族炭化水素類、塩素化炭化水素類、非プロトン性極性溶媒類、エーテル類、多価エーテル類、飽和脂肪族炭化水素類、及び酸系溶媒類等が好ましい。
又、反応は、酸触媒の存在下で行うのが好ましく、その酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸等のカルボン酸類、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、オルト燐酸、メタ燐酸等の燐酸類、塩化アルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸類等の相溶系酸触媒、及び、シリカゲル、白土、プロトン性イオン交換樹脂、ZSM−5、ZSM−12、エリオナイト、フォージャサイト等のゼオライト類等の非相溶系酸触媒等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して用いられる。
尚、反応は、前記一般式(I) で表されるメタノール誘導体と前記芳香族アミンとを、好ましくは前記酸触媒の存在下、前記溶媒中で混合するだけで速やかに行われるが、メタノール誘導体の酸触媒による分解を抑制するために、両者の接触時間をできるだけ短くすることが好ましく、例えば、溶媒中に、最初に芳香族アミン及びメタノール誘導体を仕込み、最後に酸触媒を加えるか、最初に芳香族アミン及び酸触媒を仕込み、最後にメタノール誘導体を加える、等の仕込み順序とするのが好ましい。
又、反応温度としては、特に限定されるものではないが、反応速度の面から、0℃以上とするのが好ましく、10℃以上とするのが更に好ましい。又、使用溶媒の沸点、及び前記一般式(I) のメタノール誘導体の安定性の面から、200℃以下とするのが好ましく、150℃以下とするのが更に好ましい。
実施例1
<メタノール誘導体(A)の製造>
クロロホルム100mlに無水塩化アルミニウム20g、イソ酪酸クロリド16gを加え、攪拌下に、N,N−ジ−p−トリルアニリン20gをクロロホルム50mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で4時間反応させた後、反応溶液を氷水300ml中に注ぎ、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮した。濃縮して得られたN,N−ジ−p−トリル−4−イソプロピルカルボニルアニリンの粗体をテトラヒドロフラン60mlとメタノール40mlの混合溶媒に溶解し、その溶液に水素化硼素ナトリウム2.2gを添加し、攪拌下に室温で30分間反応させた後、トルエン100mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を 1H−NMRスペクトルで確認したところ、目的物質である下記のメタノール誘導体(A)であった。尚、その際の収量は22.9g、収率は90.7%であった。得られたメタノール誘導体(A)の 1H−NMRスペクトルを図1に示す。
前記で得られたメタノール誘導体(A)2gとN,N−ジ−3,4−キシリルアニリン1.7gを、酢酸30ml、トルエン15ml、メタンスルホン酸0.15gの混合溶液中で、攪拌下に65℃で2時間反応させた後、トルエン150mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物をIRスペクトルで確認したところ、目的物質とする、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体(A)であり、LCを用いてピーク面積の面積百分率から算出した純度は97.2%であった。尚、その際の収量は2.2g、収率は58.2%であった。得られたアリールアミン誘導体(A)のIRスペクトルを図5に示す。
<メタノール誘導体(B)の製造>
クロロホルム250mlに無水塩化アルミニウム51.3g、イソ酪酸クロリド41.1gを加え、攪拌下に、N,N−ジフェニル−p−トルイジン20gをクロロホルム50mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で1時間反応させた後、反応溶液を氷水500ml中に注ぎ、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮した。濃縮して得られたN,N−4−ジ−イソプロピルカルボニルフェニル−p−トルイジンの粗体をテトラヒドロフラン200mlとメタノール100mlの混合溶媒に溶解し、その溶液に水素化硼素ナトリウム5.7gを添加し、攪拌下に室温で30分間反応させた後、トルエン250mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を 1H−NMRスペクトルで確認したところ、目的物質である下記のメタノール誘導体(B)であった。尚、その際の収量は31.1g、収率は73.8%であった。得られたメタノール誘導体(B)の 1H−NMRスペクトルを図2に示す。
前記で得られたメタノール誘導体(B)5gとN,N−ジ−p−トリルアニリン20g
を、酢酸140ml、クロロホルム50ml、メタンスルホン酸0.9gの混合溶液中で、攪拌下に65℃で1時間反応させた後、トルエン150mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物をIRスペクトルで確認したところ、目的物質とする、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体(B)であり、LCを用いてピーク面積の面積百分率から算出した純度は97.7%であった。尚、その際の収量は6.2g、収率は69.7%であった。得られたアリールアミン誘導体(B)のIRスペクトルを図6に示す。
<メタノール誘導体(C)の製造>
クロロホルム200mlに無水塩化アルミニウム14.7g、n−酪酸クロリド11.8gを加え、攪拌下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−3,4−キシリルベンジジン15gをクロロホルム150mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で1時間反応させた後、反応溶液を氷水500ml中に注ぎ、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮した。濃縮して得られたN−フェニル−N’−4−n−プロピルカルボニルフェニル−N,N’−ジ−3,4−キシリルベンジジンの粗体をテトラヒドロフラン100mlとメタノール50mlの混合溶媒に溶解し、その溶液に水素化硼素ナトリウム0.63gを添加し、攪拌下に室温で30分間反応させた後、トルエン100mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を 1H−NMRスペクトルで確認したところ、目的物質である下記のメタノール誘導体(C)であった。尚、その際の収量は10.2g、収率は60.1%であった。得られたメタノール誘導体(C)の 1H−NMRスペクトルを図3に示す。
前記で得られたメタノール誘導体(C)2gとN,N−ジ−p−トリルアニリン4.4gを、酢酸70ml、クロロホルム15ml、メタンスルホン酸0.45gの混合溶液中で、攪拌下に65℃で1時間反応させた後、トルエン150mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物をIRスペクトルで確認したところ、目的物質とする、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体(C)であり、LCを用いてピーク面積の面積百分率から算出した純度は95.4%であった。尚、その際の収量は1.9g、収率は66.7%であった。得られたアリールアミン誘導体(C)のIRスペクトルを図7に示す。
<メタノール誘導体(D)の製造>
クロロホルム200mlに無水塩化アルミニウム14.7g、n−酪酸クロリド11.8gを加え、攪拌下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−3,4−キシリルベンジジン15gをクロロホルム150mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で1時間反応させた後、反応溶液を氷水500ml中に注ぎ、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮した。濃縮して得られたN,N’−4−ジ−n−プロピルカルボニルフェニル−N,N’−ジ−3,4−キシリルベンジジンの粗体をテトラヒドロフラン100mlとメタノール50mlの混合溶媒に溶解し、その溶液に水素化硼素ナトリウム0.63gを添加し、攪拌下に室温で30分間反応させた後、トルエン100mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を 1H−NMRスペクトルで確認したところ、目的物質である下記のメタノール誘導体(D)であった。尚、その際の収量は7.4g、収率は39.1%であった。得られたメタノール誘導体(D)の 1H−NMRスペクトルを図4に示す。
前記で得られたメタノール誘導体(D)4gとN,N−ジ−p−トリルアニリン8gを、酢酸140ml、クロロホルム35ml、メタンスルホン酸0.9gの混合溶液中で、攪拌下に65℃で1時間反応させた後、トルエン150mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物をIRスペクトルで確認したところ、目的物質とする、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体(D)であり、LCを用いてピーク面積の面積百分率から算出した純度は96.3%であった。尚、その際の収量は5.33g、収率は76.6%であった。得られたアリールアミン誘導体(D)のIRスペクトルを図8に示す。
<アリールアミン誘導体(E)の製造>
前記で得られたメタノール誘導体(D)2.2gと、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体3.7gを、酢酸70ml、クロロホルム20ml、メタンスルホン酸0.45gの混合溶液中で、攪拌下に65℃で1時間反応させた後、トルエン150mlを加え、有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物をIRスペクトルで確認したところ、目的物質とする、複数のアリールアミン骨格を有する下記のアリールアミン誘導体(E)であり、LCを用いてピーク面積の面積百分率から算出した純度は98.4%であった。尚、その際の収量は3.2g、収率は55.5%であった。得られたアリール
アミン誘導体(E)のIRスペクトルを図9に示す。
酢酸35mlにN,N−ジフェニル−p−トルイジン10g、n−カプリンアルデヒド7g、及びメタンスルホン酸0.5gを加え、攪拌下に、65℃で8時間反応させた後、反応溶液を25℃まで冷却し、トルエン100mlを加え、10分間攪拌して有機相を分離し、次いで、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶の生成物を得た。得られた生成物についてLC−MS分析を行ったところ、下記の化合物1:7重量%、2:26重量%、3:3重量%、4:48重量%、5:4重量%、6:12重量%、の混合物であることを確認した。尚、その際の収率は51.6%であった。尚、化合物1〜6は、シリカゲルクロマトグラフィーによっても分離不可能であった。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
<下引き層用分散液>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランとを、該酸化チタンに対して2
重量倍のメタノールとともにボールミルにて混合して得られたスラリーを乾燥後、120℃〜140℃で30分間熱処理し、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式A]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式B]/ヘキサメチレンジアミン[下記式C]/デカメチレンジカルボン酸[下記式D]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式E]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
電荷発生物質として図10に示される、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部と4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 150重量部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕し微粒化分散処理を行った後、そのフタロシアニン分散液160重量部と、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカブチラール #6000C」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部とフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHH」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部との混合溶液とを混合し、更に1,2−ジメトキシエタンを加えて固形分濃度を4.0重量%に調整し、電荷発生層用塗布液を調製した。
<電荷輸送層用塗布液>
電荷輸送物質として、前記実施例2で製造したアリールアミン誘導体B40重量部、及びバインダー樹脂として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを芳香族ジオール成分とする構成繰返し単位51モル%と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを芳香族ジオール成分とする構成繰返し単位49モル
%からなり、p−t−ブチルフェノールに由来する末端構造を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)100重量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(重量比8/2)640重量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置〔「続電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、コロナ社発行、第404〜405頁)〕に装着し、感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした光を露光光とし、660nmのLED光を除電光として、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行った。その際、表面電位が−350Vになるのに要する露光光の照射エネルギー(μJ/cm2 )を感度とし、除電光照射後の表面電位を残留電位として測定したところ、感度は0.101μJ/cm2 、残留電位は−36Vであり、前記実施例2で製造したアリールアミン誘導体Bは、優れた電荷輸送物質であることが確認できた。
Claims (3)
- 下記一般式(Ia) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体に芳香族ア
ミンを反応させて下記一般式(IIa)で表される、複数のアリールアミン骨格を有するアリ
ールアミン誘導体を製造することを特徴とするアリールアミン誘導体の製造方法。
〔式(Ia)及び式(IIa) 中、Ar1 及びAr4 は各々独立して、アリーレン基を示し、Ar2 、Ar3 、及びAr5 は各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基を示し、メチレン基は置換基Rを有していてもよい。bは0、1、又は2であり、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 、及びAr5 が各々複数存在する場合、各々の複数は互いに異なっていてもよい。〕 - 前記一般式(Ia) で表される、アリールアミン骨格を有するメタノール誘導体が下記一般
式(Ib)で表されるものであり、前記一般式(IIa)で表される、複数のアリールアミン骨格
を有するアリールアミン誘導体が下記一般式(IIb) で表されるものである請求項1に記載のアリールアミン誘導体の製造方法。
〔式(Ib)及び式(IIb) 中、Ar1 及びAr4 は各々独立して、アリーレン基を示し、Ar2 、Ar3 、及びAr5 は各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基を示し、Ar6 は、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示し、メチレン基は置換基Rを有していてもよい。cは0、又は1、dは1〜6の整数であり、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 、及びAr5 が各々複数存在する場合、各々の複数は互いに異なっていてもよい。〕 - 芳香族アミンを反応させるにおいて、酸触媒を存在させる請求項1又は2のいずれかに記載のアリールアミン誘導体の製造方法。
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