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JP4604466B2 - 耐油紙 - Google Patents

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Description

本発明は、耐油性を要求される紙製トレー、食品包装紙製容器等の基材として適する耐油性に優れる耐油紙に関するものである。
耐油紙は「耐油性をもたせた紙の総称。高度に粘性叩解した化学パルプで製造した紙、耐油脂性の材料処理した紙などがある。油脂性食品の包装などに用いられる。」と定義されている(JIS Z0108参照)。
一般的には、耐油性としてはキット値(TAPPI UM−557)が8以上であることが望ましく、これはサラダ油をはじくレベルである。紙を耐油化するためには、加工処理面の臨界表面張力を油性物質の表面張力より小さくすることが必要である。このような機能を有する薬品を耐油剤と称し、主に過フッ素炭化水素のアクリルレートまたはリン酸エステルなどのフッ素系化合物を用いたものが、従来耐油紙の主流となっていた。
耐油紙としては、この他にもグラシン紙、ポリエチレン加工紙、塩化ビニリデン加工紙、防湿セロハン及びアルミウム箔ラミネート紙などがあるが、紙の表面張力を下げ,濡れの現象から油の浸透を防止するという点から、やはり、従来フッ素系耐油剤で処埋した加工紙が耐油紙の本命であった。
しかしながら、フッ素系の耐油剤は、耐油性を発現するパーフルオロアルキル基と紙の表面に定着させるためのリン酸エステル基などの官能基を分子の両端に有している。このうち、紙に定着させるための官能基は親水性であり、アニオン性あるいはノニオン性を帯びているのが一般的である。フッ素系耐油剤の耐油性は、リン酸エステル基などがその親水性によって紙に定着すること、パーフルオロアルキル基が紙表面で外側に向けて配向し、加工処理面の表面張力が油性物質の表面張力より低くなることによって発現する。言い換えれば、紙に耐油剤の定着を阻害する物質が存在していると、パーフルオロアルキル基の紙表面での配向が乱れ、耐油性は発現しないという問題があった。
また、フッ素系耐油剤を用いた耐油紙は、加熱(例えば、120℃、10分)すると紙中に存在するフッ素系耐油剤が熱分解されて自然界において「難分解性」のフッ素系炭化水素が発生し、環境汚染の問題が危惧されている。
また、従来フッ素系耐油剤の代替として、例えばポリビニルアルコール(PVA)、アクリル、デンプン、ポリエステル系耐油剤からなる薬剤を基材上に塗膜を形成して耐油性を発現する構成の耐油紙であるために通気性に問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、PVA、デンプン等の耐油剤をパルプ繊維を主体とする紙層間に強制的に染み込ませることで塗膜を形成することなく紙層間に耐油性を有する耐油層を形成することで通気性を有し、かつ罫線を設けた罫線部においても十分な耐油性を発揮する、環境配慮型の優れた耐油紙を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、
請求項1に係る発明は、
パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる多層紙における全ての各紙層間に、3g/m(固形分量)以上の塗布量の耐油剤からなる耐油層が、層間スプレイ装置によ
り塗布形成されてなり、
前記耐油剤が、変性デンプン、アミロース、ポリビニルアルコールの1種または2種以上を混合してなることを特徴とする耐油紙である。
請求項に係る発明は、
前記変性デンプンが、カチオン化デンプン、エーテルエステル化デンプンであることを特徴とする請求項1記載の耐油紙である。
請求項に係る発明は、
前記耐油紙が、パルプ繊維を主体とする紙層を2層積層してなる多層紙であことを特徴とする請求項1または2記載の耐油紙である。
請求項に係る発明は、
前記耐油剤に柔軟剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の耐油紙である。
請求項に係る発明は、
前記柔軟剤が、エチレングリコール等の炭化水素系非イオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項記載の耐油紙である。
請求項に係る発明は、
前記耐油紙が、多層漉き合わせ抄紙方法により、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の耐油紙である。
本発明の耐油紙はフッ素系耐油剤を使用していないので、従来問題となっていた環境汚染の危惧が解消された環境配慮型の耐油紙を提供できる。
また、本発明の耐油紙は、通気性をも有することから、例えば、テイクアウト用紙容器にして、内容物として揚げ物などを包装した場合、容器内に蒸気がこもらず内容物の風味が損なわれないという効果を奏するものである。
また、本発明の耐油紙をブランクとして容器を成形するために罫線を形成する際、万一その罫線部にクラックが生じた場合でも、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる構造の多層紙からなることで、パルプ繊維を主体とする複数の紙層中に油分が吸収されて表面に染み出ることを防止できる。
本発明の耐油紙は、紙製トレー、食品包装紙製容器等の基材として好適に用いられるのみならず広い用途に使用できるものである
以下、本発明の最も好ましい一実施例としての実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の耐油紙の一例を示す断面図である。本発明の耐油紙は、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる多層紙の該紙層間に、耐油剤からなる耐油層を設けてなることを特徴とするものである。
本発明におけるパルプ繊維を主体とする紙層を形成する紙製材料として、パルプ以外のの副材料、例えば、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留まり向上剤および紙力増強剤、サイズ剤、填料、消泡剤、染料、顔料、濾水性向上剤、PH調整剤、粘剤、防腐剤、防カビ剤などの公知の材料を必要に応じて単独または組み合わせて使用することができる。
本発明において使用される上記のパルプ繊維としては、特に限定されず、通常の製紙で使用されるもののいずれもが使用可能である。例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)などの化学パルプ、GPやMP機械パルプ等の木材パルプ、ケナフ、麻、綿などの非木材天然パルプ等が使用できる。
さらに、必要に応じて、合成高分子を溶融紡糸等により繊維化した合成繊維を上記のパルプ繊維に混抄することもできる。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のハロゲン含有重合体、ナイロン−6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート・ヴァリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル繊維、アクリロニトリル繊維、またはアクリロニトリルと酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸、アリルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ等のビニルモノマーとの共重合体等のアクリル系繊維、ビニロン繊維などがあげられる。また合成高分子を木材パルプに似た多分岐状の繊維にした合成パルプ等があげられる。これらの繊維を単独または組み合わせて使用することができる。
上記の歩留まり向上剤および紙力増強剤としては、具体的には、紙力増強剤、歩留まり向上剤として、ポリアクリルアミド系のカチオン性、ノニオン性、アニオン性及び両性の樹脂、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドポリアミン及びその誘導体、カチオン性及び両性澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、親水性のポリマー粒子等の有機系化合物、及び硫酸バンド、アルミナゾル、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等のアルミ化合物、更に硫酸第一鉄、塩化第一鉄あるいはコロイダルシリカ、ベントナイト等の無機系化合物等を組み合わせて使用することができる。
上記のサイズ剤としては、具体的には、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤などの各種サイズ剤を使用することができる。
上記の填料としては、具体的には、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、ケイソウ土、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、シリカ、アルミノ硅酸塩、ベントナイト等の鉱物質填料やポリスチレン
粒子、尿素ホルマリン樹脂粒子等の有機合成填料等が挙げられる。
本発明において使用される耐油剤としては、変性デンプン、アミロース、ポリビニルアルコールの1種または2種以上を混合して用いることができる。上記の変性デンプンとしては、特に、カチオン化デンプン、エーテルエステル化デンプンを用いるのが好ましい。
本発明で使用される柔軟剤としては、炭化水素系非イオン系界面活性剤が用いられる。特に、エチレングリコールが好適に用いられる。
その他の炭化水素系非イオン系界面活性剤として、親水基にエチレングリコール部を含むものも使用できる。具体的には、親水基としてポリエチレングリコール部分を含むものとして、高級アルコールエチレンオキサイド付加物(ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなど)、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物(ポリオキシエチレンラウリルフェノールなど)、脂肪酸エチレンオキサイド付加物(ポリエチレングリコールラウリン酸モノエステル、ポリエチレングリコールラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールオレイン酸モノエステル、ポリエチレングリコールオレイン酸ジエステルなど)、多価アルコールエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、上記エチレンオキサイド付加物の親水性誘導体(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなど)などが挙げられる。
上記の柔軟剤の添加量は、耐油剤に対して0.5〜20重量%の範囲が好ましい。
本発明の耐油紙は、上記で得られる構成からなることで、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる多層紙の該紙層間に、フッ素系耐油剤の代替として優れた耐油性を発現する耐油剤からなる耐油層を設けた、環境配慮型の、通気性を有し、かつ優れた耐油性を有する耐油紙を提供できる。また、本発明の耐油紙はフッ素系耐油剤を使用していないので、従来問題となっていた環境汚染の危惧が解消された環境配慮型の耐油紙を提供できる。また、本発明の耐油紙は、通気性をも有することから、例えば、テイクアウト用紙容器にして、内容物として揚げ物などを包装した場合、容器内に蒸気がこもらず内容物の風味が損なわれないという効果を奏するものである。さらに、図3に示すように、本発明の耐油紙をブランクとして、容器に成形するために罫線を形成し、罫線部を有する場合、万一その罫線部に若干のクラックが生じたとしても、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる構造の多層紙からなることで、パルプ繊維を主体とする複数の紙層中に油分が吸収されて表面に染み出ることを防止できる効果を奏するものである。
次に、本発明の耐油紙を製造する方法について以下に説明する。
本発明の耐油紙は、多層漉き合わせ抄紙方法により、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなり、その紙層間に設けられる耐油剤からなる耐油層が、多層漉き合わせ抄紙方法における層間スプレイ装置により形成されて製造される。その製造手段としては、例えば、丸網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法や長網もしくは短網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法を挙げることができる。
図4は、丸網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法による本発明の耐油紙の製造方法における一実施例としての製造工程の要部説明図である。図5は、長網抄紙機を用いた多層漉き
抄紙方法による本発明の耐油紙の製造方法における一実施例としての製造工程の要部説明図である。
丸網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法による本発明の耐油紙の製造方法における抄紙機として、図4に示すように、例えば4層漉き抄紙機40は、第1バット41、第2バット42、第3バット43、第4バット44が直列に配設され、各バット41〜44の内上部に、第1丸網45、第2丸網46、第3丸網47、第3丸網48がそれぞれ平行に横架されている。各丸網45〜48上部には各丸網と接触.離脱可能にクーチロール49が平行に横架されている。前記第1バット41の後方には駆動ロール50、第4バット44の前方にはブレストロール51が配設され、各丸網44〜48の上でクーチロール49の下に挾まれた回転無端帯52が駆動ロール50とブレストロール51間に架設されている。図中符号53は、ガイドロール、54は、サクションロール、55は脱水用回転無端帯である。以上の構成におて、回転無端帯52と各丸網45〜48は同速回転をすると、回転無端帯52にまず第1バット41内の第1紙料が第1丸網45によって転着され、次いで第1紙料による湿紙の上に第2バット42内の第2紙料が第2丸網46によって接合され、次いで第2紙料による湿紙の上に第3バット43内の第3紙料が第3丸網47によって接合され、続いて第3紙料による湿紙の上に第4バット44内の第4紙料が第4丸網48よって接合されて4層が接合された湿紙が形成される。この抄紙過程で、回転無端帯52上に走行方向に対して直角にスプレーノズルを有する層間スプレー装置(図示せず)により、各紙層間に耐油剤を含む水溶液をスプレーされて耐油剤からなる耐油層が形成される。その耐油層を層間に設けた湿紙がクーチロール49で脱水されブレストロール51で折り返して、途中で更に脱水され、駆動ロール50部分で脱水装置(図示せず)に移動し、乾燥装置(図示せず)で乾燥され、これによって4層積層厚紙からなる耐油紙が形成される。
なお、第4バット以降に、さらに複数のバットを配設することにより、さらに多層構成の耐油紙が得られる。
また、長網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法による本発明の耐油紙の製造方法における抄紙機として、図5に示すように、例えば3層漉きの抄紙装置60は、プーリ63,64にエンドレス状に回転するよう巻回された抄紙ワイヤ(図では短網)62と、その一端に保持され、第1の製紙原料を抄紙ワイヤ62に供給する第1のヘッドボックス65と、抄紙ワイヤ62上に供給された第1の製紙原料がシート状に形成される以前の部位に、第2、第3の製紙原料を供給するよう設けられた第2、第3のヘッドボックス66,67とから構成されている。68は、抄紙ワイヤ62を支持して製紙原料が自然に脱水するよう構成したテーブルロール、69は、製紙原料から強制脱水するためのサクションボックスである。
すなわち、上記第1のヘッドボックス65の前方にはフォーミングボードと称するガイド61が設けられており、製紙原料を一定の膜厚で供給するようになっている。製紙原料がテーブルロール8で脱水されて行くにしたがい、上記膜厚は低下する。その後製紙原料が紙の状態になる以前の部位に、順流型の第2のヘッドボックス66が保持され、あまり間隔を置かないで逆流型の第3のヘッドボックス67が保持されている。製紙原料はその後紙の状態になり、フェルト(図示せず)等で抄紙ワイヤ62上から移送されて強制乾燥されるのである。
第1のヘッドボックス65から供給されて上記ガイド61上で地合混合の状態から、抄紙ワイヤ62上において製紙原料がシート状に形成される以前の、第2、第3のヘッドボックス66,67から第2、第3の製紙原料を供給される段階で地合が形成される。その後抄紙ワイヤ62上において脱水されシート形成過程で、抄紙ワイヤー62上に走行方向
に対して直角にスプレーノズルを有する層間スプレー装置(図示せず)により、各紙層間に耐油剤を含む水溶液をスプレーされて耐油剤からなる耐油層が形成される。
なお、第3のヘッドボックス以降に、さらに複数のヘッドボックスを配設することにより、さらに多層構成の耐油紙が得られる。
パルプを主体とするパルプ濃度が0.5重量%のパルプスラリーからなる製紙原料を準備し、丸網抄紙機を用いて2層漉き抄紙により、1層目と2層目との層間に抄紙機に具備層間スプレイ装置により、耐油剤としてエーテルエステル化澱粉を用いて、このエーテルエステル化澱粉に対して、柔軟剤としてエチレングリコールを5重量%添加した耐油剤水溶液を、抄紙機上で、塗布量4g/m2(固形分量)の耐油剤からなる耐油層を形成した坪量200g/m2の本発明の耐油紙を作成した。
パルプを主体とするパルプ濃度が0.5重量%のパルプスラリーからなる製紙原料を準備し、丸網抄紙機を用いて6層漉き抄紙により、各紙層間に抄紙機に具備する層間スプレイ装置により、耐油剤としてエーテルエステル化澱粉を用いて、このエーテルエステル化澱粉に対して、柔軟剤としてエチレングリコールを5重量%添加した耐油剤水溶液を、塗布量3g/m2(固形分量)の耐油剤からなる耐油層を形成した坪量350g/m2の本発明の耐油紙を作成した。
本発明の耐油紙に対する比較例として、パルプを主体とするパルプ濃度が0.5重量%のパルプスラリーからなる製紙原料を準備し、丸網抄紙機を用いて6層漉き抄紙により、各紙層間に抄紙機に具備する層間スプレイ装置により、耐油剤として尿素リン酸澱粉を用いた耐油剤水溶液を、抄紙機上で塗布して、塗布量1g/m2(固形分量)の耐油剤からなる耐油層を形成した坪量350g/m2の耐油紙を作成した。
比較例として一般市販の耐油コート紙を用いた。
上記で得られた耐油紙を下記の評価方法に基づいて平面耐油度、罫線耐油度、透気度について測定し、その結果を表1に示した。
<平面耐油度>
Kit試薬により耐油紙の平面部の耐油度を測定した。
<罫線耐油度>
耐油紙に下記の設定の木型により罫線高さ200μmの罫線を入れて、Kit試薬により耐油紙の罫線部の耐油度を測定した。
罫線設定・・・罫幅1.0mmの丸罫
面板設定・・・溝幅1.6mm、深さ0.5mm
<吸油性>
0.1ccのひまし油を滴下し10秒後に紙表面に油が残っているかで、◎・・・優、○・・・良、×・・・不可の3段階評価を行った。
<油表ヌケ性>
吸油テストを行った用紙の反対面に表染みが現れているかを目視で、◎・・・優、○・・・良、×・・・不可の3段階評価を行った。
<吸水性>
0.1ccの蒸留水を滴下し10秒後に紙表面に油が残っているかで、◎・・・優、○・・・良、×・・・不可の3段階評価を行った。
<透気度>
ガーレ試験機法(JIS P8117)により、透気抵抗度(面積642mmの紙を空気100mlが透過する時間)を測定し、透気度を求めた。
表より明らかに、本発明の耐油紙(実施例1、2)は、実施例3および4(比較例)と比較して、平面耐油度、罫線耐油度のいずれもKit値で6以上を有し耐油性に優れるものである。また、吸油性、油表ヌケ性、吸水性についても優れている。さらに、本発明の耐油紙は、透気度100〜300秒の値を示し、このことは本発明の耐油紙を、例えば、テイクアウト用紙容器にして内容物として揚げ物などを包装した場合、容器内に蒸気がこもらず内容物の風味が損なわれないという効果を奏するものである。
本発明の耐油紙は、耐油性を要求される紙製トレー、テイクアウト用などの食品包装紙製容器の基材として好適に使用することができるものである。
本発明の耐油紙の一例を示す断面図である。 本発明の耐油紙の他の例を示す断面図である。 本発明の耐油紙に罫線を形成した例を示す断面図である。 本発明の耐油紙を製造する方法の一例として、丸網抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法における製造工程の要部説明図である。 本発明の耐油紙を製造する方法の他の例として長網(短網)抄紙機を用いた多層漉き抄紙方法における製造工程の要部説明図である。
符号の説明
10、20、30・・・耐油紙
1・・・パルプを主体とする紙層
2・・・耐油剤からなる耐油層
3・・・罫線部
40・・・丸網抄紙機を用いた多層漉き抄紙機
41・・・第1バット
42・・・第2バット
43・・・第3バット
44・・・第4バット
45・・・第1丸網
46・・・第2丸網
47・・・第3丸網
48・・・第4丸網
49・・・クーチロール
50・・・駆動ロール
51・・・プレストロール
52・・・無端回転帯
53・・・ガイドロール
54・・・サクションロール
55・・・脱水用無端回転帯
60・・・長網(短網)抄紙機を用いた多層漉き抄紙機
61・・・ガイド
62・・・抄紙ワイヤー
63、64・・・プーリー
65・・・第1のヘッドボックス
66・・・第2のヘッドボックス
67・・・第3のヘッドボックス
68・・・テーブルロール
89・・・サクションボックス

Claims (6)

  1. パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなる多層紙における全ての各紙層間に、3g/m(固形分量)以上の塗布量の耐油剤からなる耐油層が、層間スプレイ装置により塗布形成されてなり、
    前記耐油剤が、変性デンプン、アミロース、ポリビニルアルコールの1種または2種以上を混合してなることを特徴とする耐油紙。
  2. 前記変性デンプンが、カチオン化デンプン、エーテルエステル化デンプンであることを特徴とする請求項1記載の耐油紙。
  3. 前記耐油紙が、パルプ繊維を主体とする紙層を2層積層してなる多層紙であることを特徴とする請求項1または2記載の耐油紙。
  4. 前記耐油剤に柔軟剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐油紙。
  5. 前記柔軟剤が、エチレングリコール等の炭化水素系非イオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項4記載の耐油紙。
  6. 前記耐油紙が、多層漉き合わせ抄紙方法により、パルプ繊維を主体とする複数の紙層を積層してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐油紙。
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