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JP4696621B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体チップから発生した熱を効率良く放熱することができる半導体装置に関する。
半導体装置は、近年、電子機器の小型化に伴って、小型化が求められている。そこで、半導体装置では、半導体チップをプリント配線基板上に実装する方法としてフェイスアップ実装からフリップチップ実装へとなってきている。フェイスアップ実装は、例えば高周波トランジスタ等の回路が形成された側の面を上向きにしてプリント配線基板上に半導体チップを実装して、ワイヤーで半導体チップとプリント配線基板に形成された導体パターンとを電気的に接続する。一方、フリップチップ実装は、回路が形成されている面が下向きとなるように半導体チップを配置し、半導体チップと導体パターンとの間に導電性材料からなるバンプを設け、バンプを介して半導体チップと導体パターンとを電気的に接続する。
半導体装置では、ワイヤーを用いて半導体チップとプリント配線基板とを電気的に接続するフェイスアップ実装よりも、バンプを使うため、フリップチップ実装の方が信号の伝送経路が短くなり、信号の伝送損失を抑えることができる。また、半導体装置では、フリップチップ実装の場合、ワイヤーを用いていないことから、このワイヤーの取り付け部分の面積を省くことができ、小型化することができる。
そこで、半導体装置では、信号の伝送が良好であり、小型化することができることから、フェイスアップ実装よりもフリップチップ実装で半導体チップをプリント配線基板上に実装するようにしている。また、フリップチップ実装は、信号の伝送経路が短くなることで、信号の伝送を良好にすることができることから、例えばμ波、ミリ波等の高周波領域において作動する半導体チップを用いる場合に有効である。
しかしながら、半導体装置では、μ波、ミリ波等の高周波領域において作動する半導体チップを用いた場合、電力効率が悪く、一定RF(Radio Frequency)出力を得るために直流供給電力が大きくなるため、発熱量が多くなってしまう。半導体装置では、半導体チップから発生した熱を十分に放熱できないと、半導体チップの特性が劣化し、更には半導体チップの破損にも結びつく虞がある。このため、半導体装置では、十分に放熱を行う必要がある。
半導体チップをフリップチップ実装した半導体装置では、例えば下記の特許文献1に提案されているような方法で放熱を行っている。図8に示すように、特許文献1に提案されている半導体装置60は、多層基板61上に信号用電極62及び地導体用電極63が形成されており、半導体チップ64に設けられた導電性バンプ65がこの信号用電極62及び地導体用電極63と電気的に接続するように、多層基板61上に半導体チップ64がフリップチップ実装されている。この半導体装置60では、半導体チップ64の発熱部64aから発生した熱を導電性バンプ65を介して地導体用電極63に伝え、多層基板61や図示しない多層基板61に積層されたヒートシンクに放熱される。この半導体装置60では、熱が導電性バンプ65まで導かれるため、半導体チップ64の回路が形成されている面に対して面方向に放熱経路が形成され、放熱経路をとることによって効率よく放熱されず、放熱効率が低下してしまう。
また、半導体チップをフリップチップ実装した半導体装置では、下記の特許文献2に提案されているような放熱方法もある。図9に示すように、特許文献2に提案されている半導体装置70は、モジュール基板71上にフリップチップ実装された半導体チップ72が実装基板73上に実装されている。具体的に、この半導体装置70は、半導体チップ72がフリップチップ実装されているモジュール基板71が上側となり、半導体チップ72のフリップチップ実装側とは反対側の面が実装基板73側となるように、実装基板73上に熱伝導性材料74で半導体チップ72が実装されている。この半導体装置70では、半導体チップ72のフリップチップ実装側とは反対側の全面が熱伝導性材料74で実装基板73と接着されているため、半導体チップ72の発熱部72aから発生した熱が熱伝導性材料74を介して実装基板73に放熱される。
この半導体装置70では、下記の特許文献1のようにバンプを用いて放熱した場合よりも、半導体チップ70のフリップチップ実装側とは反対側の全面が実装基板73に接着されているため、半導体チップ70のフリップチップ実装側とは反対側の全面から放熱することができ、放熱効率はよくなる。しかしながら、この半導体装置70では、半導体チップ72と実装基板73との間の信号の伝送経路をモジュール基板71と実装基板73上に形成された配線パターン75との間に接続部材76を設けて形成するようになる。このため、半導体装置70では、モジュール基板71と実装基板73との間に設けた接続部材76の分だけ半導体チップ72と実装基板73との間の信号の伝送経路が長くなってしまう。半導体装置70では、信号の伝送経路が長くなることにより、信号を伝送損失しやすくなり、特性劣化が生じ、半導体チップ72をモジュール基板71上にフリップチップ実装することによる効果が得られなくなってしまう。
また、半導体チップをフリップチップ実装した半導体装置では、下記の特許文献3に提案されているような放熱方法もある。図10に示すように、特許文献3に提案されている半導体装置80は、半導体チップとなる半導体ペレット81がベース基板82上にフリップチップ実装され、半導体ペレット81をベース基板82との間で封じ、放熱部材となる封止用キャップ83が設けられている。また、この半導体装置80には、半導体ペレット81と封止用キャップ83との間に、半導体ペレット81が作動することにより発生する電磁波を電荷で吸収し、外部に伝播する電磁波を防止する金属層84が設けられている。この半導体装置80では、半導体ペレット81と、放熱部材となる封止用キャップ83との間の金属層84が設けられているため、半導体ペレット81の発熱部81aからの熱は金属層84に伝わり、金属層84を介して封止用キャップ83に伝わることから、熱伝導率が悪くなり、放熱効率が低下してしまう。このため、このような半導体装置80では、電力が大きい半導体ペレット81を用いた場合には十分な放熱を行うことができなくなってしまう。
上述したように、半導体装置では、半導体チップをプリント配線基板上にフリップチップ実装して、信号の伝送を良好にするとともに、半導体チップから発生した熱を十分に放熱することは困難である。特に、μ波、ミリ波等の高周波領域において作動する半導体チップを用いた場合には、直流供給電力が大きくなり、発熱しやすくなるため、信号の伝送を良好にし、十分な放熱を行うことが困難となる。
特開2001−345398号公報 特開2002−110871号公報 特開平7−169869号公報
そこで、本発明は、半導体チップがプリント配線基板上にフリップチップ実装され、信号の伝送が良好であり、放熱も十分に行うことができる半導体装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る半導体装置は、プリント配線基板の一方の面にフリップチップ実装される半導体チップと、半導体チップから発生した熱を放熱し、半導体チップのフリップチップ実装している側とは反対側の全面に熱伝導性接着剤を介して取り付けられ、半導体チップとともにプリント配線基板上に取り付けられる放熱部材と、凹部状に形成され、凹部の内面を半導体チップ側にして、プリント配線基板の半導体チップが実装されている面に熱伝導性導電接着剤を介して外周壁が突き合わされ、該外周壁よりも内側に形成され、凹部の内面から突出した突部が熱伝導性導電接着剤で放熱部材に突き合わされている金属製のキャップ部材とを有し、キャップ部材の外周壁と突部に跨って、突部と放熱部材とに接する遮蔽板が形成されている。
本発明では、プリント配線基板上にフリップチップ実装されている半導体チップのフリップチップ実装側とは反対側の全面を覆うように放熱部材が設けられているため、半導体チップの反対側の全面から熱を吸収し、放熱することができることから、効率よく放熱することができ、十分な放熱を行うことができる。また、本発明では、プリント配線基板上に半導体チップが実装されているため、信号の伝送経路を縮小することができ、信号の伝送損失を防止することができる。更に、本発明では、キャップ部材により半導体チップが保護されると共に、半導体チップが発生した熱を放熱することができる。これにより、本発明では、半導体チップをプリント配線基板上にフリップチップ実装することによる効果である信号の伝送性を良好にし、放熱も十分行うことができる。
以下、本発明を適用した半導体装置について図面を参照して詳細に説明する。本発明を適用した半導体装置は、例えばμ波、ミリ波等の高周波領域において作動する高周波回路が形成された半導体チップを有しているものである。半導体装置1は、図1に示すように、プリント配線基板2と、プリント配線基板2上にフリップチップ実装される半導体チップ3と、半導体チップ3から発生した熱を放熱する放熱部材4とを有し、更に半導体チップ3と放熱部材4を覆うキャップ部材5を有する。
プリント配線基板2は、絶縁基板が複数積層されている。各基板上には、銅箔をパターンニングした導体パターンが複数形成されている。具体的に、プリント配線基板2は、図1に示すように、半導体チップ3がフリップチップ実装される側の第1の基板11aと、接地層が設けられた第2の基板11bとを有している。第1の基板11aには、図2に示すように、導体パターンとして信号を伝送するための信号用導体パターン12aと、半導体チップ3に直流を供給する直流供給用導体パターン12bと、接地用導体パターン12cとが形成されている。信号用導体パターン12a及び直流供給用導体パターン12bは、互いに直交するような向きで形成されている。なお、プリント配線基板2は、図1に示すような2層構造に限定されず、1層又は3層以上であってもよい。
信号用導体パターン12aの一端は、半導体チップ3に設けられた信号用バンプ21aを介して、半導体チップ3に形成された高周波回路と電気的に接続されている。他端は、詳細を図示しない第1の基板11a内部に形成されたスルーホールやめっき等で形成する半田バンプでプリント配線基板2内に形成された他の導体パターンと電気的に接続されている。信号用導体パターン12aは、半導体チップ3の高周波回路とプリント配線基板2内の導体パターンとを電気的に接続することによって、信号の入出力線となる。
直流供給用導体パターン12bの一端は、半導体チップ3に設けられた直流供給用バンプ21bを介して、半導体チップ3に形成された高周波回路と電気的に接続されている。他端は、プリント配線基板2内に形成された電源層とスルーホールやめっき等で形成された半田バンプを介して電気的に接続されている。直流供給用導体パターン12bは、半導体チップ3の高周波回路と電源層とを電気的に接続することによって、半導体チップ3に直流を供給する。
接地用導体パターン12cは、後述する放熱部材4の接合部31と電気的に接続され、図4に示すように、第1の基板11aと第2の基板11bとの間に設けられた接地層13と第1の基板11aに形成されたスルーホール14、又は半田バンプを介して電気的に接続されている。
プリント配線基板2上にフリップチップ実装される半導体チップ3は、一方の面に電界効果トランジスタ等を含む高周波回路が形成されている。半導体チップ3には、図4に示すように、プリント配線基板2の信号用導体パターン12aの一端と電気的に接続される信号伝送用の信号用バンプ21aと、直流供給用導体パターン12bの一端と電気的に接続される直流供給用バンプ21bとが電解又は無電解めっき等で形成されている。半導体チップ3は、信号用バンプ21aを信号用導体パターン12aに電気的に接続し、直流供給用バンプ21bを直流供給用導体パターン12bに電気的に接続することで、プリント配線基板2上にフリップチップ実装される。
半導体チップ3から発生した熱を放熱する放熱部材4は、図3及び図4に示すように、半導体チップ3の高周波回路が形成されている一方の面とは反対側の他方の全面を覆うように半導体チップ3上に取り付けられる。放熱部材4は、熱伝導性の良好な銅等の金属で形成されている。
放熱部材4には、半導体チップ3と接合されるチップ接合部31の四隅にプリント配線基板2に形成された接地用導体パターン12cと電気的に接続される突起32が離間して設けられている。突起32は、チップ接合部31が半導体チップ3と接合され、放熱部材4がプリント配線基板2上に取り付けられた際に、チップ接合部31を支持する。この突起32は、半導体チップ3をプリント配線基板2上にフリップチップ実装した際に、半導体チップ3の他方の面と同じ高さとなるように形成されている。チップ接合部31の半導体チップ3と接合される面の突起32で囲まれた内側は、半導体チップ3を収納する収納部となる。また、チップ接合部31は、突起32が設けられている側の面とは反対側の面が平坦に形成されている。
以上のように構成される放熱部材4は、図4に示すように、半導体チップ3の高周波回路が形成されている一方の面とは反対側の他方の全面に塗布して形成した金とスズの合金(AuSn)からなるAuSn溶剤等の熱伝導性接着剤からなる接着層33を介して、半導体チップ3上に取り付けられる。半導体チップ3に取り付けられた放熱部材4は、図3に示すように、接地用導体パターン12cの取付部を基準にして、突起32が取付部に導電性接着剤を介して接着されることで、プリント配線基板2に取り付けられる。これにより、放熱部材4は、接地用導体パターン12cに接地されるとともに、プリント配線基板2上に安定した姿勢で取り付けられることになる。プリント配線基板2上に取り付けられた放熱部材4は、チップ接合部31に突起32が離間して設けられているため、プリント配線基板2上に実装された際に、突起32間に信号用導体パターン12a及び直流供給用導体パターン12bが通ることになる。
また、放熱部材4をプリント配線基板2上に実装する際には、放熱部材4の半導体チップ3と接続されている面とは反対側の面が平坦に形成されているため、吸着及び加圧可能な接合具を用い、この接合具を平坦な面に吸着させることによって、放熱部材4を容易に移動させ、正確な位置決めを行うことができる。
半導体チップ3及び放熱部材4を覆うキャップ部材5は、図1に示すように、放熱部材4と同様に熱伝導性の良好な例えばアルミニウム等の金属材料からなり、ダイキャストにより凹状に形成されている。キャップ部材5は、プリント配線基板2の半導体チップ3がフリップチップ実装されている面に取り付けられ、凹部部分に半導体チップ3と放熱部材4とを収納する。キャップ部材5は、半導体チップ3及び放熱部材4を収納することで、半導体チップ3を湿気等から保護し、半導体チップ3の劣化を防止する。また、キャップ部材5は、外部からの電磁波が内部に伝播されることを防止し、外部からの電磁波から半導体チップ3を保護する。
キャップ部材5は、プリント配線基板2と突き合わされる外周壁41の内部の放熱部材4と対向する位置に、放熱部材4と突き合わされる突部42が設けられている。外周壁41は、プリント配線基板2の半導体チップ3が実装されている面の外周と突き合わされ、プリント配線基板2と接着される。突部42は、キャップ部材5の凹部の内面から突出して形成され、放熱部材4の半導体チップ3が接着している側とは反対側の面に突き合わされ、放熱部材4と接着される。この突部42は、放熱部材4と接着される面の面積が少なくとも放熱部材4の面積と同じ、又は放熱部材4の面積よりも大きく形成される。これにより、突部42と放熱部材4との接着が容易となる。
キャップ部材5をプリント配線基板2に取り付ける際には、プリント配線基板2と外周壁41との間に熱伝導性導電接着剤からなる接着層43a、及び放熱部材4と突部42との間に熱伝導性導電接着剤からなる接着層43bを設け、窒素(N)ガス雰囲気中で加熱硬化させることにより、キャップ部材5とプリント配線基板2及び放熱部材4とを接着し、プリント配線基板2に取り付ける。
キャップ部材5は、プリント配線基板2に取り付けられることによって、外周壁41とプリント配線基板2の間に接着層43aが設けられているため、内部を気密にし、半導体チップ3及び放熱部材4を保護する。また、キャップ部材5の外周壁41と突部42との間に形成された空間には、Nが充填されているため、半導体チップ3の酸化が防止される。
プリント配線基板2に取り付けられたキャップ部材5は、突部42が放熱部材4と間に設けた接着層43bを介して接合されることによって、半導体チップ3から発生した熱が放熱部材4及び接着層43bを介して伝わり、放熱部材4と同様に熱を放熱させることができる。
以上のような構成からなる半導体装置1では、半導体チップ3が作動することによって発生した熱は半導体チップ3の高周波回路が形成されている一方の面とは反対側の他方の全面から放熱部材4との間に設けられた接着層33を介して、放熱部材4に伝わり、放熱部材4に伝わった熱がキャップ部材5との間に設けた接着層43bを介してキャップ部材5に伝わることによって、熱を外部に放熱することができる。半導体装置1では、発生した熱が半導体チップ3の他方の全面から放熱部材4に伝わり、この放熱部材4より更に大きい面積を有するキャップ部材5に熱を伝えて放熱することによって、効率よく放熱することができる。
また、この半導体装置1では、プリント配線基板2に半導体チップ3を信号用バンプ21a及び直流供給用バンプ21bを用いたフリップチップ実装を用いているため、信号の伝送経路をワイヤーで形成したフェイスアップ実装の場合よりも伝送経路が短縮され、信号の伝送損失を抑えられることから、信号の伝送が良好であり、半導体チップ3の入出力信号の伝達を効率よく行わせることができる。これにより、半導体装置1では、半導体チップ3に形成されている高周波回路への直流供給電力が大きいため、発熱しやすいが効率よく放熱することができ、半導体チップ3の熱による劣化が防止され、高周波特性が向上し、良好な状態で維持することができる。
また、この半導体装置1では、プリント配線基板2上に半導体チップ3をフリップチップ実装することによって、フェイスアップ実装を用いた場合よりもワイヤーで半導体チップ3とプリント配線基板2とを接続する工程を省くことができるため、製造工数が削減され、製造工程を短縮することができる。これにより、この半導体装置1では、製品の納期を短縮でき、製造単価を低減させることができる。
また、この半導体装置1では、熱等による半導体チップ3への影響が小さく、半導体チップ3の特性を維持できるため、特性の低い半導体チップ3を用いることができる。これにより、半導体装置1では、コストを削減することができる。
また、上述した半導体装置1では、プリント配線基板2上に1つの半導体チップ3を設けたものを例に挙げて説明したが、このことに限定されず、図5に示すように、複数の半導体チップ3を設けてもよい。図5に示す半導体装置50では、上述した半導体装置1と同じ構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この半導体装置50では、プリント配線基板2上に3つの半導体チップ3がフリップチップ実装されている。各半導体チップ3には、放熱部材4が熱伝導性接着剤からなる接着層33を介して取り付けられる。半導体装置50には、更にプリント配線基板2に取り付けられるキャップ部材51を有する。
キャップ部材51は、放熱部材4と同様に熱伝導性の良好な例えばアルミニウム等の金属材料からなり、ダイキャストにより凹状に形成されている。キャップ部材51は、プリント配線基板2の半導体チップ3がフリップチップ実装されている面に取り付けられ、凹部部分に各半導体チップ3と放熱部材4とを収納し、保護する。また、キャップ部材51は、外部からの電磁波が内部に伝播されることを防止し、外部からの電磁波から各半導体チップ3を保護する。
キャップ部材51は、プリント配線基板2と突き合わされる外周壁52の内部の各放熱部材4と対向する位置に、各放熱部材4と突き合わされる突部53が設けられている。突部53は、キャップ部材51の凹部の内面から突出して形成され、各放熱部材4の半導体チップ3が接着している側とは反対側の面に突き合わされ、各放熱部材4と接着する。この突部53は、各放熱部材4と接着される面の面積が少なくとも放熱部材4の面積と同じ、又は放熱部材4の面積よりも大きく形成される。このため、突部53と各放熱部材4との接着が容易となる。
キャップ部材51をプリント配線基板2に取り付ける際には、プリント配線基板2と外周壁52との間に熱伝導性導電接着剤を用いた接着層54a、及び各放熱部材4と突部53との間に熱伝導性導電接着剤からなる接着層54bを設け、窒素(N)ガス雰囲気中で加熱硬化させることにより、キャップ部材51とプリント配線基板2及び放熱部材4とを接着し、プリント配線基板2に取り付ける。
キャップ部材51は、プリント配線基板2に取り付けられることによって、プリント配線基板2の間に接着層54aが設けられているため、内部を気密にし、半導体チップ3及び放熱部材4を保護する。また、キャップ部材51の外周壁52と突部53との間に形成された空間には、Nが充填されているため、半導体チップ3の酸化が防止される。
プリント配線基板2に取り付けられたキャップ部材51は、各突部53が各放熱部材4と接着層54bを介して接着されていることによって、各半導体チップ3から発生した熱が放熱部材4及び接着層54bに伝わり、熱を外部に放熱させることができる。
この半導体装置50では、各半導体チップ3から発生した熱が各半導体チップ3の他方の全面から放熱部材4を介して伝わり、放熱部材4の面積よりも更に大きい面積を有するキャップ部材51に伝わることによって、各半導体チップ3から発生した熱を効率よく放熱することができる。
また、この半導体装置50では、プリント配線基板2に半導体チップ3がフリップチップ実装されているため、伝送経路が短縮され、信号の伝送損失が抑えられるため、信号の伝送が良好であり、半導体チップ3の入出力信号の伝達を効率よく行わせることができる。これにより、半導体装置50では、各半導体チップ3から発生した熱を効率よく放熱することで、半導体チップ3の熱による劣化を防止され、半導体チップ3の高周波特性が向上し、良好な状態で維持することができる。また、この半導体装置50では、上述した半導体装置1と同様に、フェイスアップ実装する場合よりも製造工程を短縮することができ、コストを削減することもできる。
また、半導体装置50には、図6及び図7に示すように、外周壁52と突部53との間に遮蔽板55を設けてもよい。遮蔽板55は、プリント配線基板2上に形成されている直流供給用導体パターン12bと並設するように、外周壁52と突部53との間に設ける。この遮蔽板55は、キャップ部材51をダイキャストで成型する際に、突部53と同時成型して形成される。遮蔽板55は、プリント配線基板2に突き合わさるように設けたり、プリント配線基板2との間に、外周壁52とプリント配線基板2との間に設けた接着層54aや突部53と放熱部材4との間に設けた接着層54bと同様の接着層を設けて、プリント配線基板2に接着させてもよい。この遮蔽板55は、放熱部材4の側面と接している。
遮蔽板55を設けた半導体装置50では、遮蔽板55が放熱部材4の側面に接し、熱伝導性の良好な材料で形成されているため、放熱部材4から突部53及び遮蔽板55に熱が伝わり、遮蔽板55が設けられた分だけ熱が伝わる面積が広くなるため、遮蔽板55を設けていない場合よりもより効率よく放熱することができる。また、半導体装置50では、遮蔽板55を設けることによって、キャップ部材51内の電磁的干渉を防止することができる。これにより、半導体装置50では、高周波回路が電磁波の影響を受けず安定して作動するため、各半導体チップ3の高周波特性の劣化を防止できる。
なお、半導体装置50では、3つ半導体チップ3を設けることに限定されず、1又は複数設けるようにしてもよい。また、上述した半導体装置1及び半導体装置50では、高周波回路が形成されている半導体チップ3を用いたがこのことに限定されず、高周波領域以外で作動する半導体チップを用いてもよい。
本発明を適用した半導体装置の断面図である。 プリント配線基板に形成された導体パターンを示す平面図である。 同半導体装置のフリップチップ実装部分を拡大した平面図である。 図3中における線分A−Aにおける断面図である。 同半導体装置の他の実施例を示す断面図である。 同半導体装置の他の実施例を示す断面図である。 同半導体装置の他の実施例で用いるキャップ部材の平面図である。 従来の半導体装置の断面図である。 従来の半導体装置の断面図である。 従来の半導体装置の断面図である。
符号の説明
1 半導体装置、2 プリント配線基板、3 半導体チップ、4 放熱部材、5 キャップ部材、11a 第1の基板、11b 第2の基板、12a 信号用導体パターン、12b 直流供給用導体パターン、12c 接地用導体パターン、13 接地層、14 スルーホール、21a 信号用バンプ、21b 直流用バンプ、31 チップ接合部、32 突起、33 接着層、41 外周壁、42 突部、43a 接着層、43b 接着層

Claims (2)

  1. プリント配線基板の一方の面にフリップチップ実装される半導体チップと、
    上記半導体チップから発生した熱を放熱し、上記半導体チップのフリップチップ実装している側とは反対側の全面に熱伝導性接着剤を介して取り付けられ、上記半導体チップとともに上記プリント配線基板上に取り付けられる放熱部材と、
    外周壁によって内側に凹部が形成され、上記凹部を上記半導体チップ側にして、上記プリント配線基板の上記半導体チップが実装されている面に熱伝導性導電接着剤を介して外周壁が突き合わされ、凹部の内面から突出した突部が熱伝導性導電接着剤で放熱部材に突き合わされている金属製のキャップ部材とを有し、
    上記キャップ部材の上記外周壁と上記突部に跨って、上記突部と上記放熱部材とに接する遮蔽板が形成されている半導体装置。
  2. 上記半導体チップには、高周波回路が形成されている請求項1記載の半導体装置。
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