JP4692230B2 - セラミックハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
上記セラミックハニカム構造体は、セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなる。そして、このようなセラミックハニカム構造体は、セラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形し、これを切断、乾燥、焼成することにより得ることができる。
そのため、所望の形状を容易に得ることができると共に、高い寸法精度を実現できるセラミックハニカム構造体の製造方法が求められている。
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体の周縁部を加工除去する加工工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含み、
上記加工工程では、乾燥後であって焼成前の上記ハニカム成形体に対して、先端に周方向断面が所望の形状を有する環状の刃部を備えた打抜き用刃具を、上記ハニカム成形体の軸方向に相対移動させることにより、少なくとも上記外皮を含む上記ハニカム成形体の周縁部を打ち抜いて除去し、
上記打抜き刃具における上記刃部の先端の逃がし角βが0°<β≦10°であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
第2の発明は、セラミックス原料を押出成形することにより、外皮と、該外皮内にハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画されていると共に両端に貫通するよう軸方向に沿って形成された多数のセルとを有するハニカム成形体を成形する押出成形工程と、
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体の周縁部を加工除去する加工工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含み、
上記加工工程では、乾燥後であって焼成前の上記ハニカム成形体に対して、先端に周方向断面が所望の形状を有する円環状の刃部を備えた打抜き用刃具を、上記ハニカム成形体の軸方向に相対移動させることにより、少なくとも上記外皮を含む上記ハニカム成形体の周縁部を打ち抜いて除去し、
上記打抜き刃具における上記刃部の先端の逃がし角βがβ=0°であり、上記刃部の周方向断面が円形状であり、かつ、上記刃部の先端において上記逃がし角β=0°の部分であるストレート部の軸方向の長さをL、上記刃部の先端の半径をdとした場合、L/2d=0.05〜0.15であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法(請求項2)。
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体の周縁部を加工除去する加工工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含み、
上記加工工程では、本体と該本体の外周面に設けられた切削部材または研削部材とを有する回転工具を、該回転工具と上記ハニカム成形体の軸線がねじれの位置となるように配置し、上記回転工具を回転させると共に上記ハニカム成形体の軸方向に相対移動させることにより、少なくとも上記外皮を含む上記ハニカム成形体の周縁部を切削して除去することを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法にある。
その他は、上記本発明と同様の作用効果を得ることができる。
この場合には、乾燥後の上記ハニカム成形体を所望の形状に容易に加工することができる。これにより、焼成後に得られる上記セラミックハニカム構造体の寸法精度を向上させることができる。
また、上記打抜き用刃具における上記刃部の周方向断面の形状を予め設定しておくことにより、円形状、オーバル状、レーストラック状、三角形状、その他の多角形状、非対称の任意形状等の様々な断面形状のハニカム成形体に加工することができる。また、それ故に、様々な断面形状のセラミックハニカム構造体を容易に作製することができる。
上記逃がし角β>10°の場合には、上記ハニカム成形体を加工する際に、上記刃部の先端が上記ハニカム成形体の内側に向かって受ける力が大きくなるため、上記刃部の先端に弾性変形及び塑性変形が生じ、上記ハニカム成形体の寸法や断面形状の精度が低下するおそれがある。また、上記刃部の先端の耐摩耗性が著しく低下したり、破損が生じたりするおそれがある。
この場合には、上記ハニカム成形体を問題なく所望の形状に加工することができる。
L/2dが0.05未満の場合には、上記刃部の先端の強度を充分に得ることができない。そのため、上記ハニカム成形体を加工する際に、上記刃部の先端に弾性変形及び塑性変形が生じ、上記ハニカム成形体の寸法や断面形状の精度が低下するおそれがある。また、上記刃部の先端の耐摩耗性が著しく低下したり、破損が生じたりするおそれがある。
一方、L/2dが0.15を超える場合には、ハニカム成形体を加工する際に、上記刃部がハニカム成形体の外周面に接触する。そのため、上記刃部または上記ハニカム成形体が破損するおそれがある。
上記刃先角α<5°の場合には、上記刃部の先端の強度を充分に得ることができない。そのため、上記ハニカム成形体を加工する際に、上記刃部の先端に弾性変形及び塑性変形が生じ、上記ハニカム成形体の寸法や断面形状の精度が低下するおそれがある。また、上記刃部の先端の耐摩耗性が著しく低下したり、破損が生じたりするおそれがある。
一方、上記刃先角α>55°の場合には、上記刃部が上記ハニカム成形体に食い込む際に、上記ハニカム成形体が上記刃部の先端よりも前の部分で割れるおそれがある。そのため、上記ハニカム成形体を精度よく加工することができないおそれがある。
また、上記逃がし角βとは、上記刃部の内側面と上記刃部の移動方向(打ち抜き方向)とが成す角度のことである。
この場合には、上記ハニカム成形体を効率よく、かつ、精度よく加工することができる。
この場合には、上記ハニカム成形体をさらに効率よく、かつ、精度よく加工することができる。
この場合には、上記セラミックハニカム構造体の輸送、組み付け等の際に、該セラミックハニカム構造体の外周部における上記セル壁の変形や破損を防ぐことができる。また、上記セラミックハニカム構造体のアイソスタティック強度を向上させることもできる。
この場合には、上記刃部の耐摩耗性を向上させることができると共に、寿命を延ばすことができる。
本発明の実施例にかかるセラミックハニカム構造体の製造方法について、図1〜図5を用いて説明する。
本例のセラミックハニカム構造体1の製造方法は、図1〜図5に示すごとく、少なくとも、押出成形工程、切断工程、乾燥工程、加工工程、及び焼成工程を含む。
上記切断工程は、ハニカム成形体10を所望長さに切断する工程である。
上記乾燥工程は、ハニカム成形体10を乾燥させる工程である。
上記加工工程は、ハニカム成形体10の周縁部を加工除去する工程である。
上記焼成工程は、ハニカム成形体10を焼成する工程である。
以下、これを詳説する。
まず、原料粉末に水、メチルセルロース、造孔材等を所定量添加して混錬し、セラミックス原料を作製する。なお、上記原料粉末としては、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、カーボン粒子等を含有し、化学組成が重量比にて最終的にSiO2:45〜55%、Al2O3:33〜42%、MgO:12〜18%よりなるコーディエライトを主成分とする組成となるように調整したものを用いた。
これにより、図1に示すごとく、単純な円筒形状のハニカム成形体10を得る。ハニカム成形体10は、ハニカム状に配設されたセル壁11と、該セル壁11内に区画されていると共に両端に貫通するよう軸方向に沿って形成された多数のセル12とを有している。また、外周部には外皮13を有している。
次に、ハニカム成形体10を所定の水分量以下となるように乾燥させる。なお、ハニカム成形体10の乾燥は、マイクロ波加熱、高周波加熱等によって行うことができる。
まず、加工工程で使用する刃具について説明する。
本例で使用する刃具は、図2、図3に示すごとく、円筒形状を呈しており、高強度材料である高速度鋼より構成されている打抜き用刃具2である。打ち抜き刃具2に用いる高強度材料としては、上記の高速度鋼以外にもダイス鋼等を用いることができる。
この打抜き用刃具2の軸方向の先端201には、軸方向に鋭角状を成し、周方向に環状の刃部21が設けてある。また、刃部21の先端部211(以下、刃部先端部211と記す)の周方向断面の形状は、最終的に得ようとするセラミックハニカム構造体1の形状を有している。なお、本例では、円形状を有している。
また、刃部21に除去されたハニカム成形体10の破片や切粉が付着することを防ぐためには、刃部21の表面に微細なディンプルを加工しておくことが好ましい。また、刃部21を加工時以外の外力によって加振させ、破片や切粉を除去する手段を設けることも可能であるし、ブラシ等の積極的な除去手段を設けてもよい。
ここで、同図に示すごとく、刃先角αとは、刃部先端部211の先端が成す角度のことである。また、逃がし角βとは、刃部先端部211の内側面210と刃部21の移動方向(打ち抜き方向)20との間の角度のことである。
まず、図4(a)に示すごとく、打抜き用刃具2をハニカム成形体10の上方にセットする。このとき、刃部21がハニカム成形体10の周縁部の打ち抜こうとする部分の上方に位置するように、打抜き用刃具2の位置を調整する。
そして、打抜き用刃具2の刃部21をハニカム成形体10に接触させながら、外皮13を含むハニカム成形体10の周縁部を徐々に打ち抜いて、除去する。これにより、ハニカム成形体10の加工面101には、セル壁11が露出した状態となる。なお、図4(b)では、加工面101に露出したセル壁11の図示を省略してある(後述の図4(c)も同様)。
これにより、外皮13を含む周縁部を除去し、所望の形状となったハニカム成形体10が得られる。
また、打抜き用刃具2だけを移動させてハニカム成形体10を加工したが、逆にハニカム成形体10だけ、または両方を移動させて加工することもできる。
次に、所望の形状に加工されたハニカム成形体10をコーディエライト化する温度以上で焼成する。
以上により、図5に示すごとく、セラミックハニカム構造体1を得る。その外周面である加工面101は、セル壁11が露出した状態となっている。なお、図5では、セラミックハニカム構造体1の形状を分かり易くするために、輪郭線を図示してある(後述の図7(a)〜(d)も同様)。
また、焼成工程の前に、ハニカム成形体10の加工面101に外皮用材料を塗布し、その後の焼成工程における焼成により外皮を形成することもできる。
本例のセラミックハニカム構造体1の製造方法は、乾燥工程の後に、先端に刃部21を設けてある打抜き用刃具2をハニカム成形体10の軸方向に相対移動させることにより、該ハニカム成形体10の周縁部を加工除去する加工工程を行う。即ち、乾燥後であって焼成前のハニカム成形体10を加工するため、打抜き用刃具2のような簡単な道具を用いた加工が可能であり、所望の形状に容易に加工することができる。これにより、得られるセラミックハニカム構造体1の寸法精度を向上させることができる。
また、打抜き用刃具2を用いて打ち抜くという簡単な動作によってハニカム成形体10を加工することができるため、セラミックハニカム構造体1の製造効率を向上させることができる。
また、加工工程では、超音波加振装置により、打抜き用刃具2をハニカム成形体10の軸方向に振動させながら移動させる。そのため、ハニカム成形体10を効率よく、かつ、精度高く加工することができる。なお、打抜き用刃具2をハニカム成形体10の周方向に振動させても、上記と同様の効果を得ることができる。
ただし、同図に示すごとく、打抜き用刃具2における刃部21の周方向断面が単純な円形状である場合、刃部先端部211における逃がし角β=0°の部分であるストレート部212の軸方向の長さをL、上述の刃部先端部211における半径をd(図示略)としたとき、L/2d=0.05〜0.15であることが好ましい。この場合には、ハニカム成形体10をさらに精度よく加工することができる。
本例は、ハニカム成形体を加工するための刃具として、刃部が曲線形状を有する切削用刃具を用いた例である。
本例で使用する刃具は、図8に示すごとく、先端301に曲線形状の刃部31を設けてある切削用刃具3である。また、刃部31の先端部311(以下、刃部先端部311と記す)は鋭角状を成している。
加工工程において、切削用刃具3をハニカム成形体10の上方から軸方向に移動させる。そして、刃部31をハニカム成形体10に接触させながら、外皮13を含むハニカム成形体10の周縁部を切削して、除去する。これを複数回繰り返して行い、所望の形状となったハニカム成形体10が得られる。
その他は、実施例1と同様の製造方法である。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
また、加工工程は、切削用刃具3をハニカム成形体10の周囲に複数配置して行うことが好ましい。この場合には、ハニカム成形体10をより効率よく切削加工することができる。これにより、セラミックハニカム構造体1の製造効率をさらに向上させることができる。
また、本例における逃がし角βとは、刃部先端部311の内側面と刃部31の移動方向(切削方向)との間の角度のことである。
本例は、ハニカム成形体を加工するための刃具として、本体と該本体の外周面に設けられた切削部材とを有する回転工具を用いた例である。
本例で使用する回転工具4は、図9に示すごとく、鼓形状を呈している本体40を有しており、その本体40の外周面400に複数の刃部411により構成された切削部材41を有している。
加工工程において、回転工具4の軸線49とハニカム成形体10の軸線109とがねじれの位置となるように、回転工具4をセットする。そして、回転工具4を、軸線49を中心にして回転させると共にハニカム成形体10の軸方向に移動させる。このとき、本例では、ハニカム成形体10も軸線109を中心にして回転させる。そして、回転工具4の刃部411をハニカム成形体10に接触させながら、外皮13を含むハニカム成形体10の周縁部を切削して、除去する。これにより、所望の形状となったハニカム成形体10が得られる。
また、回転工具4だけを移動させてハニカム成形体10を加工したが、逆にハニカム成形体10だけ、または両方を移動させて加工することもできる。
その他は、実施例1と同様の製造方法である。
その他は、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
10 ハニカム成形体
11 セル壁
12 セル
13 外皮
2 打抜き用刃具
201 先端(打抜き用刃具の先端)
21 刃部
Claims (5)
- セラミックス原料を押出成形することにより、外皮と、該外皮内にハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画されていると共に両端に貫通するよう軸方向に沿って形成された多数のセルとを有するハニカム成形体を成形する押出成形工程と、
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体の周縁部を加工除去する加工工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含み、
上記加工工程では、乾燥後であって焼成前の上記ハニカム成形体に対して、先端に周方向断面が所望の形状を有する円環状の刃部を備えた打抜き用刃具を、上記ハニカム成形体の軸方向に相対移動させることにより、少なくとも上記外皮を含む上記ハニカム成形体の周縁部を打ち抜いて除去し、
上記打抜き刃具における上記刃部の先端の逃がし角βが0°<β≦10°であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。 - セラミックス原料を押出成形することにより、外皮と、該外皮内にハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画されていると共に両端に貫通するよう軸方向に沿って形成された多数のセルとを有するハニカム成形体を成形する押出成形工程と、
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体の周縁部を加工除去する加工工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを含み、
上記加工工程では、乾燥後であって焼成前の上記ハニカム成形体に対して、先端に周方向断面が所望の形状を有する円環状の刃部を備えた打抜き用刃具を、上記ハニカム成形体の軸方向に相対移動させることにより、少なくとも上記外皮を含む上記ハニカム成形体の周縁部を打ち抜いて除去し、
上記打抜き刃具における上記刃部の先端の逃がし角βがβ=0°であり、上記刃部の周方向断面が円形状であり、かつ、上記刃部の先端において上記逃がし角β=0°の部分であるストレート部の軸方向の長さをL、上記刃部の先端の半径をdとした場合、L/2d=0.05〜0.15であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。 - 請求項1又は2において、上記刃部の先端の刃先角αは、5°≦α≦55°であることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記加工工程の後、上記ハニカム成形体の外周面に外皮用材料を塗布し、その後の上記焼成工程における焼成により新たな外皮を形成することを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記焼成工程の後、上記ハニカム成形体の外周面に外皮用材料を塗布し、再度焼成または乾燥することにより新たな外皮を形成することを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
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