JP4688149B2 - 染毛剤組成物 - Google Patents
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本実施形態の染毛剤組成物は、第1剤、第2剤及び第3剤とから構成される、所謂3剤式の形態を有している。第1剤には(A)カプラー及び(B)基剤が含有される。(B)基剤は、(b1)界面活性剤、多価アルコール、低級アルコール(炭素数4以下)、多価アルコールアルキル(炭素数4以下)エーテル、及び芳香族アルコールから選択される少なくとも1種を含有してなるものである。第2剤には(C)酸化剤が含有される。また、第3剤には(D)アルカリ剤が含有される。第1剤、第2剤及び第3剤は使用時に混合調製され、これらの混合物が毛髪に塗布されることにより毛髪が染色される。
[第1剤]
第1剤には、(A)カプラー及び(B)基剤が含有される。
(A)成分の具体例としては、レゾルシン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子及びそれらの塩等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載される成分も含まれる。これらの(A)成分は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
log(POW)=log([PO]/[PW])…(1)
[PO]:オクタノール相中における物質のモル数
[PW]:水相中における物質のモル数
例えば、このlog(POW)値が高いほど、その物質は疎水性となる。例えば、log(POW)の値が1である物質は水相よりも有機相に10倍よく溶け、log(POW)の値が2である物質は水相よりも有機相に100倍よく溶ける。
高級アルコールは、第1剤の粘度安定性を向上させるべく配合されるものであり、こうした観点から炭素数が14以上のものが好ましい。但し、本実施形態の高級アルコールとは、前記芳香族アルコールを除くものをいう。この高級アルコールの具体例としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは、単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
pH調整剤は、第1剤のpHを所望の範囲に設定するために配合される。pH調整剤の具体例としては、塩酸、燐酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、及びそれらの塩類等が挙げられる。第1剤中におけるpH調整剤の配合量は、第1剤のpHが所望の範囲になる量とするのが好ましい。
油脂類の具体例としては、ホホバ油、オリーブ油のグリセライド等、ロウ類の具体例としては、ミツロウ、ラノリン等、炭化水素類の具体例としては、ワセリン、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。エステル類の具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等、シリコーン類の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
この第1剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。この第1剤は、チューブ容器、エアゾール容器等の各種容器に充填され、使用時まで保存される。
[第2剤]
第2剤には(C)酸化剤が含有される。この(C)成分としての酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。(C)成分の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの(C)成分は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。本実施形態では、これらの(C)成分の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、過酸化水素を用いるのが好ましい。
[第3剤]
第3剤には(D)アルカリ剤が含有される。(D)成分としてのアルカリ剤は、(C)成分の作用を促進することにより、毛髪に明度を付与するために配合される。
[混合物]
混合物は、第1剤、第2剤及び第3剤を所定の割合で混合調製することによって得られる。混合物中における(A)成分の含有量は、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。この含有量が0.001重量%未満であると、十分な染毛力は得られにくい。一方、10重量%を超えて配合すると、染毛力に関してもそれ以上の顕著な効果が得られない可能性が高く、経済的でない。
さて、第1剤を調製するには、(A)成分を(B)成分に添加し、これを攪拌混合する。そして、各種容器に充填された第1剤は、使用時まで保存される。ここで、本実施形態では、第1剤において(D)成分を除外したことにより、第1剤を長期に亘って保存する場合でも染毛効果の変化が抑制されるようになる。
・ 本実施形態では、第1剤と第3剤とにそれぞれ(A)成分と(D)成分とが分離されており、第1剤の保存時においては、(A)成分に対する(D)成分の影響が回避される。すなわち、本実施形態では、第1剤において(D)成分を除外したことにより、第1剤を長期に亘って保存する場合でも染毛効果の変化が抑制されるようになる。その結果、十分に安定した染毛力を有する染毛剤組成物が得られる。
・ (b1)成分のオクタノール/水分配係数は、(A)成分のオクタノール/水分配係数に対して±3の範囲内とされている。これにより、(A)成分が(b1)成分との協働作用により(B)成分に溶解されやすくなる。このため、(B)成分に対する(A)成分の良好な溶解性を確保することができる。
(実施例1〜5及び比較例1〜5:染色性試験)
表1に示す各成分を混合して、実施例1〜5においては第1剤〜第3剤を、比較例1〜5においては第1剤及び第2剤を調製し、これらを60℃にて1ヶ月保存した後、各例の染毛剤組成物を得た。そして、各例の染毛剤組成物を毛束に塗布した。次いで、染毛剤組成物が塗布された毛束を30分間放置した後、プレーンリンスを施すことによって毛束の染毛処理を完了した。染毛処理が施された毛束について、下記の項目の評価を行った。
実施例1〜5においては第1剤〜第3剤を、比較例1〜5においては第1剤及び第2剤を調製した後に、これらを保存することなく上記と同様の混合比で染毛剤組成物を調製し、これを各例の標準サンプルとした。次に、各例の標準サンプルを毛束に塗布した後、上記と同様の操作を施すことで毛束の染毛処理を完了した。そして、各例の染毛剤組成物と標準サンプルとを用いてそれぞれ毛束の染毛処理をした際の毛束の色調(染毛色調)を比較し、該毛束の色調の変化の有無について専門のパネラーが以下の基準に従い評価した。その結果を表1に示す。
×:標準サンプルに対し、毛束の色調に変化が生じる
ここでは、表2に示す各成分を混合して、第1剤を調製した。そして、ここで得られた各例の第1剤に関し、(B)成分に対する(A)成分の溶解性について、以下の基準に従い目視にて評価した。その結果を表2に示す。なお、(A)成分として5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール(以下、5HMという)を用いた第1剤(実施例9〜11及び比較例9)に関しては、第1剤が淡色化するほど、(B)基剤に5HMが十分に溶解していることを意味する。また、表中の各成分の含有量を示す数値の単位は重量%であり、各成分に付随する数値は、オクタノール/水分配係数である。
(実施例6〜8及び比較例6〜8)
○:第1剤中におけるレゾルシンの残存が認められない
×:第1剤中におけるレゾルシンの残存が認められる
(実施例9〜11及び比較例9)
○:第1剤の淡色化が認められる
×:第1剤の淡色化が認められない
・ 本実施形態では、第1剤、第2剤及び第3剤とから構成される、所謂3剤式の染毛剤組成物を採用した。しかしながら、さらに第1剤、第2剤及び第3剤を構成する各成分を分離して4剤式以上に構成してもよい。例えば、二種以上の(A)カプラーを配合する場合に、これらの(A)カプラーを第1剤と第4剤とに分離してなる4剤式の染毛剤組成物が挙げられる。
・ 前記第1剤、前記第2剤及び前記第3剤が混合調製された混合物中における前記(A)カプラーの含有量は、0.001〜10重量%であることを特徴とする染毛剤組成物。
Claims (2)
- (A)カプラーとしてレゾルシン及び5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノールから選ばれる少なくとも一種と(B)基剤とを含有する第1剤と、(C)酸化剤を含有する第2剤と、(D)アルカリ剤を含有する第3剤とから構成され、使用時に混合調製される染毛剤組成物において、
前記(B)基剤は、(b1)界面活性剤、多価アルコール、低級アルコール(炭素数4以下)、多価アルコールアルキル(炭素数4以下)エーテル、及び芳香族アルコールから選択される少なくとも1種を含有してなり、
前記(b1)界面活性剤、多価アルコール、低級アルコール(炭素数4以下)、多価アルコールアルキル(炭素数4以下)エーテル、及び芳香族アルコールのオクタノール/水分配係数[log(POW)]は、前記(A)カプラーのオクタノール/水分配係数の±3の範囲内であることを特徴とする染毛剤組成物。 - 前記第1剤のpHは8.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
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