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JP4667548B2 - 車両シートクッション用低密度軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

車両シートクッション用低密度軟質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用クッションとして有用な低密度で弾性感、機械強度、耐久性が改善または保持され、成形性にも優れる軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
軟質ポリウレタンフォームはポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、水、架橋剤、界面活性剤、触媒、必要により難燃剤や顔料等よりなるレジンプレミックスと有機ポリイソシアネートを混合して製造される。特に車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームは発泡機から吐出された反応混合液を金型内に注入し、金型内に発泡充填した軟質ポリウレタンフォームが硬化した後、脱型し所望の成形物を得る方法で製造されている。
この車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームは、車両用シートクッションとして適切な物性を持つことが要求される。すなわち、基本的なクッション(座部)に要求される硬さ(25%ILD硬度で14〜30kg/314cm)の他、振動伝達特性やバネ感の指標となる適度な反発弾性(通常65〜75%)や使用に際して問題の無い程度の機械強度(伸び100%以上、引裂強度0.5kg/cm以上)、および長期間使用時の耐久性の指標となるWET・SET(15%以下:温度50℃、相対湿度95%の条件下で50%圧縮し、22時間後の残留歪率を測定する評価方法)等である。
これらの諸特性はコア密度(軟質ポリウレタンフォームのほぼ中心部の密度であり、表面スキン層を含むオーバーオール密度と区別される。)が比較的高い軟質ポリウレタンフォーム(通常、コア密度40kg/mを越える領域)においては既に達成されており、広く実用的に用いられている。しかし、コストダウンを求めて低い密度で軟質フォームを成形した場合、これらの物性値が要求性能を満たさなくなる。
【0003】
また、車両用軟質ポリウレタンフォームの製造においては、金型の蓋締め時間の関係や、生産性を満足するため、軟質ポリウレタンフォームの反応性を生産設備や所望の生産能力に併せて調整することが要求されており、これは用いる触媒の量によって通常は調整されている。しかし、所定の型締め時間で反応混合液が発泡によって下型から溢れ出さない程度まで触媒の量を減らした場合、軟質ポリウレタンフォームの硬化時間が長くなり生産性を低下させる等の不具合がしばしば生ずる。
また、軟質ポリウレタンフォームの硬化時間を短縮して生産性を高めるため、触媒を多く使用する方法も用いられるが、この方法は型締めが間に合わなくなる不具合の他、軟質ポリウレタンフォームの急激な硬化のため、金型内に反応混合液が充填する際のエアーボイド(フォーム内部に空気を巻き込んだ空洞)や、フォーム表面のセル荒れ(フォームのセル(気泡)形成が不完全で、不均一なセルが発生し表面が荒れている状態)発生が増加し、成形不良が増加する等の悪影響が見られる。
生産性を高めるためには、発泡機からの1秒当たりの反応混合液の吐出量を高める方法も用いられており、この方法によれば、金型への反応混合液の注入時間短縮により生産性を向上させることができる。しかし、この方法を用いた場合、発泡機の吐出口から反応混合液の飛び散りや、反応混合液が金型表面に衝突した際の飛び散りのため、エアーボイド発生が増加し、成形不良が増加する等の好ましくない影響がでる。さらに、飛び散った反応混合液が下型と上型のシール面にも付着し、シール性を悪化させることによるフォーム表面のセル荒れ発生が増加し、成形不良が増加するコストダウンの要求に応えるため、軟質ポリウレタンフォームを低密度化する検討はさまざまな方法でこれまで行われてきている。また、最近ではコストダウンのみならず、車両の軽量化による燃費の軽減により地球環境を配慮する見地からも、軟質ポリウレタンフォームの軽量化(低密度化)が検討されている。
【0004】
軟質ポリウレタンフォームを低密度化するには発泡剤である水の使用量を増加させる方法が一般的である。
水はイソシアネートと反応する際の発熱量が大きく、反応混合液温度を高めることにより、発泡・硬化反応を著しく加速するため、水の使用量を増やした場合、先に述べた成形不良や、型を締める前に金型から反応混合液が溢れる等の不具合の原因となる。このような現象は特に車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームではコア密度50kg/m以下で発生しやすく、触媒量を下げて反応性を制御することはコア密度45〜50kg/mの領域ではできるが、硬化時間が長くなるため生産性上は好ましくない。さらに密度45kg/m未満ではこの不具合はより耐え難いものとなる。
さらに、発泡剤である水はイソシアネートと反応し、ポリ尿素を形成しながら、炭酸ガスを発生する機構により発泡剤として作用するため、水を多く使用して得られた軟質ポリウレタンフォームにおいてはポリ尿素の含まれる割合が増加し、これが物性上の悪影響(特に反発弾性とWET・SET)を及ぼす。
【0005】
また、低密度化することそのものは、軟質ポリウレタンフォームの硬度低下や機械強度の低下を招く。これらの悪影響により、車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームのコア密度を40kg/m以下の領域で車両用シートクッション用途での使用に耐える物性を満足することは難しい。
特開平02−115211、特開平03−068620、特開平03−014812によれば、低総不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールを用いて、軟質ポリウレタンフォームの圧縮永久歪(WET・SETを含む)を改良できる方法が記載されている。
しかし、これらの公知技術では、軟質ポリウレタンフォームを生産する際に極めて重要な低密度化時の成形性上の問題を解決する手法について述べられていなかった。特にレジンプレミックス粘度と軟質フォーム成形性の関係についての記載は無い。
特開平07−206961では、硬度5〜14kg/314cm、密度25〜45kg/mの低密度化された反発弾性、圧縮永久歪に優れた背もたれクッションの製造方法について開示されている。
しかし、この手法は「背もたれ」に適用されるものであるため、軟質ポリウレタンフォームの硬さの領域が大きく異なり、さらにWET・SET、反発弾性の改良幅もクッション(座部)用として用いるには更なる物性向上が望まれていた。特に、優れた物性を有し、生産性に優れた車両シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、車両用シートクッションとして有用な、低密度で反発弾性、機械強度、WET・SETが改善または保持され、生産性を損なうことなく、成形性にも優れる軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の事情を鑑み、レジンプレミックスの粘度を高め、使用するポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度を下げることにより、成形性、物性に優れた車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法を得るに至った。即ち本発明は、以下の(1)〜(7)を提供するものである。
(1)レジンプレミックス(I)と有機ポリイソシアネート(II)とを混合して車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、レジンプレミックス(I)が,ポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、水、界面活性剤、触媒を含有する25℃における粘度が2.5Pa・secを超え、4.5Pa・sec以下の範囲にある組成物であり、該ポリオキシアルキレンポリオールまたは該ポリマーポリオール製造用ポリオキシアルキレンポリオールの少なくとも一方が,総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールであり、ポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールとの重量比(ポリオキシアルキレンポリオール/ポリマーポリオール)が、15/85〜25/75であり(ただし、ポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和を100重量部とする)、水が、レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して、3.5〜5.5重量部であり、触媒が、レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して、0.5〜1.5重量部であり、界面活性剤が、レジンプレミックス(I)及び有機ポリイソシアネート(II)との総量100重量部に対して、0.2〜3重量部であるレジンプレミックス(I)を用いて、コア密度が30〜50kg/m3、反発弾性が65〜75%、Wet・Setが5〜15%の軟質ポリウレタンフォームを製造する車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0008】
(2) (1)記載のポリオキシアルキレンポリオールおよびポリマーポリオール製造用ポリオキシアルキレンポリオールがプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドを用いて製造され、エチレンオキサイドの使用量がポリオキシアルキレンポリオールに対して5〜30重量%となるように製造された車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(3) (1)記載のポリマーポリオールがポリオキシアルキレンポリオール中でビニル化合物をラジカル重合させて得られたものであり、ビニル化合物から生成するポリマー粒子がポリマーポリオール中に10〜40重量%である車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(4) (1)記載の水が,レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して3.5〜5.5重量部である車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(5) (1)記載の触媒が,レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して0.5〜1.5重量部であり、該触媒が3級アミン触媒または3級アミン触媒の蟻酸塩から選ばれる化合物である車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0009】
(6) (1)記載のレジンプレミックス(I)が,架橋剤を含有し、その架橋剤が、官能基数が3〜6、水酸基価が400〜800mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールまたは、該ポリオキシアルキレンポリオールとアルカノールアミンの混合物であり、架橋剤の使用量が、前記総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール、該ポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造されたポリマーポリオールの総和を100重量部とした時、0.5〜5部であり、かつアルカノールアミンの使用量が1部以下であることを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(7) (1)記載の有機ポリイソシアネート(II)がトルイレンジイソシアネートまたはトルイレンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの重量比率96/5〜50/50の混合物である車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本願発明の車両シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造はレジンプレミックス(I)と有機ポリイソシアネート(II)とを混合することのよって製造することができ、そのレジンプレミックス(I)はポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、水、界面活性剤、触媒を含有している。まずこれらの各成分について詳細に説明する。
【0011】
[レジンプレミックス(I)]
本願発明のレジンプレミックスは、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、水、界面活性剤、触媒、必要に応じて架橋剤等その他の添加剤を含有する。また本願発明の効果を阻害しない範囲で、通常の軟質ポリウレタンフォームに用いられるポリオールを併用してもよいことは言うまでもない。
また本願発明に用いられるポリオキシアルキレンポリオール又はポリマーポリオール製造に用いられるポリオキシアルキレンポリオールの少なくとも一方は総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールである。ポリオキシアルキレンポリオール又はポリマーポリオール製造に用いられるポリオキシアルキレンポリオールの双方が前記物性を満たすことが好ましい。
【0012】
本発明で用いられるレジンプレミックスは粘度が2.5Pa・secを越え、4.5Pa・sec以下であるものが用いられる。さらに好ましくは2.7Pa・sec〜4.3Pa・secである。
レジンプレミックスの粘度が2.5Pa・sec以下では発泡機からの反応混合液吐出時に吐出口からの液の飛びちりが激しく、エアーボイドやセル荒れ等の成形不良の原因となる他、金型表面への反応混合液衝突時に液の飛散が激しく、成形不良の原因となる。これらの不具合は発泡機の総吐出量が3000g/sec以上の場合、特に顕著に観測される。
又、レジンプレミックスの粘度が4.5Pa・secを越えると、通常の発泡機の送液ポンプが過負荷になり停止する等の不具合が生じやすく長期間安定に製造しようとすると装置が過大になりやすくまた発泡機タンクへの送液に同様の対策が必要となる。
本発明におけるレジンプレミックスの粘度範囲は実際にはレジンプレミックスを使用する温度における粘度であるが、通常発泡機のタンク温度設定は通常20〜30℃であるため、温度25℃においての測定値で代用することができる。
【0013】
<ポリオキシアルキレンポリオール>
ポリオキシアルキレンポリオールとは、例えば3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール類(ペンタエリスリトール、ジグリセリン等)にアルキレンオキシドを付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオール等が例示できる。
これらのポリオキシアルキレンポリオールは単独で用いてもよいが複数を併用してもよい。ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価は20mgKOH/g以上40mgKOH/g以下が好ましく、24mgKOH/g以上35mgKOH/g以下のものがさらに好ましい。
【0014】
(アルキレンオキシド)
本発明のポリアルキレンオキシポリオールを製造する際に用いられるアルキレンオキシド化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物である。これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがさらに好ましい。
これらは2種以上を併用してもよい。併用する場合には、複数のアルキレンオキシド化合物を同時に併用する方法、順次に併用する方法または順次を繰り返して行なう方法などがとり得る。
併用する場合にはアルキレンオキシド中のエチレンオキシドの比率が5〜30重量%とすることが特に好ましい。
【0015】
低密度化された車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの反発弾性や機械強度、WET/SET等の物性を改善または維持するため、これらのポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度は0.03meq/g以下であり、さらに好ましくは0.025meq/g以下である。
また、ポリオキシアルキレンポリオールとしてアルキレンオキシド中のエチレンオキシドの含有量が20重量%以上、水酸基価15mgKOH/g以上100mgKOH/g以下のポリオキシアルキレンポリオールをレジンミックス中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの和100重量部に対して、1ないし30重量部使用することができる。
【0016】
<ポリマーポリオール>
本発明において、ポリマーポリオールとは、アクリロニトリルやスチレン等の不飽和結合を有する化合物をアゾビスブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いて、ポリオール中で分散重合させて得られた一部グラフト体を含むポリマー微粒子の分散体を言う。
ここで用いられるポリオールは通常の軟質ポリウレタンフォームで用いられるポリオールのいずれでもよいが、ポリオキシアルキレンポリオールを用いることがより好ましい。
この分散重合して得られた重合体は一般的にその平均粒子径は0.1ないし10マイクロメートルである。
本発明で用いるポリマーポリオールにおいて、ポリオキシアルキレンポリオール中に占めるポリマー微粒子の割合は、通常10〜40重量%であり、好ましくは15〜35重量%である。
【0017】
{ポリオール}
本発明ポリマーポリオールに用いるポリオールとは、例えば2価〜6価等の多価アルコール、ポリオキシアルキレンポリオール等が例示できる。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては例えば、2価アルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール等、3価アルコールとしてグリセリン、トリメチロールプロパン等、4価アルコールとしてペンタエリスリトール、ジグリセリン等、6価アルコールとしてソルビトール等が挙げられる。
(ポリオキシアルキレンポリオール)
ポリオキシアルキレンポリオールとは、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールとも呼称され、アルキレンオキシドを開環重合させて得られたオリゴマーないしは重合物を意味する。通常触媒存在下、活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合させて得られる。ポリオキシアルキレンポリオールの製造に際し、開始剤やアルキレンオキシドはそれぞれ単独でも複数併用してもよい。これらの中でも、前述のポリオキシアルキレンポリオール、すなわち、総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。
【0018】
<水及びその他発泡剤>
本発明における発泡剤としては水を使用する。水はポリイソシアナートと反応して炭酸ガスを発生することにより発泡剤として作用する。使用量としてはレジンプレミックス中のポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、及び必要に応じて用いるその他ポリオールの総和100重量部に対して、3.5〜5.5重量部が好ましく、さらに好ましくは4〜5重量部である。
これら発泡剤は単独で使用してもよいが、複数を併用して用いてもよい。例えば水と炭酸ガス、水とメタン、エタン、プロパン等低沸点炭化水素類、水とフロン類等を併用することができる。軟質ウレタンフォームの発泡倍率を比較的高く維持し、密度を低く保つ観点から水が3.5重量部以上であることが好ましく、軟質ポリウレタンフォームの硬化反応を良好な範囲に保ち生産性をより高く維持して成形性を高めるには5.5重量部以下であることが好ましい。
【0019】
<触媒>
軟質ポリウレタンフォームの製造に際して用いられる触媒としては従来公知のものが使用でき、特に制限は無いが、使用量はレジンプレミックス中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの和100重量部に対して0.005〜10重量部を使用することが好ましい。触媒を例示すれば、トリエチレンジアミンやビス(N,N−ジメチルアミノエチルエーテル)、モルホリン類等の脂肪族アミン類やオクタン酸スズやジブチルチンジラウレイト等の有機錫化合物が用いられる。これらの触媒は単独、または複数種が使用される。
本発明で特に好ましい触媒はトリエチレンジアミンやビス(N,N−ジメチルアミノエチルエーテル)等の3級アミン触媒および/またはその蟻酸塩であって、その使用量はレジンプレミックス中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの和100重量部に対して0.5〜1.5重量部が最も好ましい。これら3級アミン触媒の蟻酸塩の使用は反応混合液の初期の反応性を好ましく遅延させ、成形性向上に寄与する効果を生む。
【0020】
<界面活性剤>
界面活性剤が整泡剤として使用される。界面活性剤は通常用いられる有機ケイ素系界面活性剤が使用できる。使用量はレジンプレミックス及び有機ポリイソシアネートとの総量100重量部に対して0.2〜3重量部であり、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSRX−274C、SF−2969、SF−2961、SF−2962や日本ユニカー社製のL−5309、L−3601、L−5307、L−3600等が使用できる。
【0021】
<その他助剤>
ウレタン発泡に用いられる助剤としては架橋剤、難燃剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等があり、それぞれを必要に応じて添加することができ、その他の添加剤等を併用しても良いことは言うまでもない。
(架橋剤)
架橋剤は特に使用しなくても良いが、使用する場合には水酸基価200〜1800mgKOH/gの化合物が用いられる。例えばグリセリン等の脂肪族多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が用いられる。また水酸基価200〜1800mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールが用いられる他、従来公知の架橋剤がレジンプレミックス中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの和100重量部に対して、0.5〜10重量部の間で任意の量使用できる。
本発明で特に好ましい架橋剤は水酸基価400〜800mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールまたは該ポリオキシアルキレンポリオールとアルカノールアミンの混合物であり、アルカノールアミンの使用量がレジンプレミックスに用いるポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの和100重量部に対して1重量部以下であり、架橋剤混合物の使用量が0.5〜5重量部の使用量が最も好ましい。
又、総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール、該ポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造されたポリマーポリオールの総和を100重量部としたとき架橋剤の使用量は0.5〜5重量部であり、かつアルカノールアミンの使用量が1重量部以下であることが好ましい。
アルカノールアミン架橋剤は反応混合液の初期の反応性を加速し、エアーボイドやセル荒れの原因となるため、アルカノールアミンの使用量を1重量部以下とすることにより好ましく反応性を遅延させて、成形性を向上させることに寄与する。アルカノールアミンとしては、好ましくはジエタノールアミンが用いられる。
【0022】
[有機ポリイソシアネート(II)]
レジンプレミックス(I)と反応させるポリイソシアナートは特に限定されないが、従来公知のトルイレンジイソシアナート(2,4−体や2,6−体等の異性体比率は特に限定されないが、2,4−体/2,6−体が80/20の比率のものが好ましく使用される。)やトルイレンジイソシアナートと下記一般式(1)で表されるポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートの混合物が好ましく用いられる。
【化1】
Figure 0004667548
(式中nは0 またはn≧1の整数)
具体的には三井化学社製コスモネートM−200m等が挙げられる。式中のn=0の成分の異性体は2,4’−体、4,4'−体、2,2’−体の比率は特に限定されないが、通常2,2'−体は痕跡量であり、2,4'−体は10%未満である。また式中のn=0の成分の比率は特に限定されないが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアナート中の50%未満のものが通常用いられている。
ポリイソシアナートがトルイレンジイソシアナートとポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートの混合物の場合、その混合比は重量で95:5〜50:50が軟質ポリウレタンフォームの製造に特に適している。
またポリイソシアナートはポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートの組成物であっても好ましく使用できる。
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートの組成物であるポリイソシアナートまたはそのウレタン変性体とトルイレンジイソシアナートの混合物も好ましく使用できる。
レジンプレミックス中の水酸基やアミノ基のようなイソシアナート基と反応する官能基の総量と化学量論的に等しいイソシアナート基を含む有機ポリイソシアナートの量を軟質ポリウレタンフォームの製造に使用した場合、NCOインデックスを100と定義すると、本発明におけるNCOインデックスは70〜140で実施することが好ましい。
【0023】
[軟質ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、通常レジンプレミックスとポリイソシアナートを高圧発泡機や低圧発泡機等を用いて混合する方法がとられる。
混合液は発泡機の吐出口(混合ヘッド)から吐出され、混合液を金型内に吐出し、発泡、充填、硬化させて一定形状の目的物を得る。硬化時間は通常30秒〜15分であり、型温は室温から80℃程度、硬化温度は、室温から180℃で軟質ポリウレタンフォームの製造が行われる。
反応混合液は発泡機吐出口から吐出されてから30秒後の発泡高さが最大発泡高さの20%以下の発泡速度であることが望ましい。これより発泡速度が速いと生産ラインにおいて型締めが間に合わずに発泡途中の反応混合液が金型から溢れる等の不具合の原因になりやすい。
【0024】
[車両シートクッション用軟質ポリウレタンフォーム]
本願発明で得られる車両シートクッション用軟質ポリウレタンフォームはコア密度が30〜50kg/m、反発弾性が65〜75%、WET・SETが5〜15%である。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、低総不飽和度のポリオールを用い、高粘度のレジンプレミックスを用いることにより、コア密度が30〜50kg/m3の低密度領域においても、車両用シートクッションに要求される物性(反発弾性、機械強度、WET・SET)を満足し、かつ反応液の飛び散り等によるエアーボイドやセル荒れの軽減された、高生産性の車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0026】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[測定方法]
ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価、総不飽和度はJIS K−1557記載の方法により測定を実施した。
軟質ポリウレタンフォームの物性値はJIS K−6400記載の方法により測定を実施した。
【0027】
(ポリオキシアルキレンポリオールの調製方法及び物性)
本発明で用いたポリオキシアルキレンポリオールは開始剤はグリセリンまたはペンタエリスリトールであり、アルキレンオキシドはプロピレンオキシドとエチレンオキシドを用いて製造した。この時エチレンオキシドはポリオキシアルキレン中15重量%となるように使用した。
実施例に用いたポリオキシアルキレンポリオールをポリオールA、B、C、D、E、F、Gとしてその物性を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0004667548
(ポリマーポリオールの調製方法及び物性)
実施例、比較例で用いるポリマーポリオールは表2に示したポリオキシアルキレンポリオールを用いて、以下の不飽和結合を有する化合物をポリマー微粒子の含有量が20重量%となるように重合させてポリマーポリオールを製造した。得られたポリマーポリオールの水酸基価を表2に示した。
ポリマーポリオール製造に用いたビニルモノマーはポリマーポリオールA、Dはアクリロニトリルを、ポリマーポリオールB、Cはアクリロニトリルとスチレンを用いた。
【0029】
【表2】
Figure 0004667548
(その他原材料)
○ 界面活性剤
日本ユニカー社製L−5309
○ 架橋剤A
ペンタエリスリトールにエチレンオキサイドを付加して得られた水酸基600mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール
○ 触媒
触媒A :活材ケミカル社製3級アミン触媒L−1020
触媒B :活材ケミカル社製3級アミン触媒TMDA
触媒C :東ソー社製3級アミン触媒蟻酸塩Toyocat ETF
○ ポリイソシアネート
三井化学社製コスモネートTM−20(トルイレンジイソシアネート80部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート20部の混合物)
【0030】
(実施例1〜8)
表3の配合に従い、発泡はポリウレタンエンジニアリング社製の高圧発泡機(3Bヘッドタイプ)を用い、タンクの温度設定を25℃として行った。NCOインデックスは100,総吐出量は300〜400g/secで行なった。金型は物性測定用は400×400×100mmのアルミ製テストモールドを60℃±10℃の範囲で温度調節して用いた。注入から脱型までの時間は6分〜10分である。
又、反応混合液の発泡機吐出口(ヘッド)からの出かた、成型物のエアーボイドや表面セル荒れの状況は目視で評価した。
軟質ポリウレタンフォームの立ち上がり速度は、発泡機からの吐出から30秒後の立ち上がりの高さを最大発泡高さに対する割合(%)で示した。
実施例1〜6では発泡機吐出口からの液の飛び散りが少なく、軟質ポリウレタンフォームのエアーボイドも少なく成形性は良好であり、発泡の速度もフォームの立ち上がり速度(表3)に示したように発泡後30秒で最大発泡高さの15〜18%の値で問題の無い速さであった。また、軟質ポリウレタンフォームの物性値もコア密度35〜40kg/mの範囲で反発弾性が65〜75%であり、WET・SETの値は15%以下であった。
実施例7ではアルカノールアミンの使用量を下げるとフォームの立ち上がり速度がさらに低下し、成形性上より好ましい効果があることが示された。
また、実施例8では蟻酸塩の3級アミン触媒を使用しなくとも、軟質ポリウレタンフォーム製造時の成形性とその物性が満足しうるものであることが示されており、他実施例との比較から3級アミン触媒の蟻酸塩を用いた場合、フォーム発泡速度がより遅延し、成形性上より好ましい効果があることが示されている。
これらの結果を表3に示した。
【0031】
(比較例A)
実施例1〜6と同様に軟質ポリウレタンフォームの製造を行った。レジンプレミックスの粘度が1.6Pa・secであり、水酸基価が56mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール(ポリオールF)を使用した場合、発泡機吐出口からの飛び散りが激しく、得られた軟質ポリウレタンフォームにもエアーボイドが多く見られた。発泡の立ち上がり速度も速く、成形性上の問題が見られた。さらに反発弾性の値も65%を大きく下回っていた。結果を表3に示した。
【0032】
(比較例B)
実施例1〜6と同様に軟質ポリウレタンフォームの製造を行った。レジンプレミックスの粘度が2.2Pa・secであり、発泡機吐出口からの飛び散りが激しく、得られた軟質ポリウレタンフォームにもエアーボイドが多く見られた。発泡の立ち上がり速度も速く、成形性上の問題が見られた。
【0033】
(比較例C)
実施例1〜6と同様に軟質ポリウレタンフォームの製造を行った。レジンプレミックスの粘度が2.6Pa・secであるが、総不飽和度が0.045meq/gのポリオキシアルキレンポリオール(ポリオールG)を使用した場合、発泡機吐出口からの飛び散り等の成形性上の問題が見られ無いが、反発弾性の値やWET・SETが目標に至らない。結果を表3に示した。
【0034】
(比較例D)
実施例1〜6と同様に軟質ポリウレタンフォームの製造を行った。レジンプレミックスの粘度が5.08Pa・secであり、発泡できなかった。結果を表3に示した。
【0035】
【表3】
Figure 0004667548
【0036】
(実施例9、10)
実施例9、10はNCOインデックスを変更し、金型に注入する反応混合液の量を変えて、軟質ポリウレタンフォームの密度を変更した以外、実施例1と同様の方法で発泡を行った。成形性、物性ともに良好なフォームが得られた。結果を表4に示した。
【0037】
【表4】
Figure 0004667548

Claims (6)

  1. レジンプレミックス(I)と有機ポリイソシアネート(II)とを混合して車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、
    レジンプレミックス(I)が、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリマーポリオール、水、界面活性剤、触媒を含有する25℃における粘度が2.5Pa・secを超え、4.5Pa・sec以下の範囲にある組成物であり、
    該ポリオキシアルキレンポリオールまたは該ポリマーポリオール製造用ポリオキシアルキレンポリオールの少なくとも一方が、総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールであり、
    ポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールとの重量比(ポリオキシアルキレンポリオール/ポリマーポリオール)が、15/85〜25/75であり(ただし、ポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和を100重量部とする)、
    水が、レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して、3.5〜5.5重量部であり、
    触媒が、レジンプレミックス(I)中のポリオキシアルキレンポリオールとポリマーポリオールの総和100重量部に対して、0.5〜1.5重量部であり、
    界面活性剤が、レジンプレミックス(I)及び有機ポリイソシアネート(II)との総量100重量部に対して、0.2〜3重量部であ
    レジンプレミックス(I)を用いて、
    コア密度が30〜50kg/m3、反発弾性が65〜75%、WET・SETが5〜15%の軟質ポリウレタンフォームを製造することを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールおよびポリマーポリオール製造用ポリオキシアルキレンポリオールが、プロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドを用いて製造され、エチレンオキサイドの使用量がポリオキシアルキレンポリオールに対して5〜30重量%となるように製造されたことを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 請求項1記載のポリマーポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオール中でビニル化合物をラジカル重合させて得られたものであり、ビニル化合物から生成するポリマー粒子がポリマーポリオール中に10〜40重量%であることを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 請求項1記載の触媒が3級アミン触媒または3級アミン触媒の蟻酸塩から選ばれる化合物であることを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 請求項1記載レジンプレミックス(I)が、架橋剤を含有し、その架橋剤が、官能基数が3〜6、水酸基価が400〜800mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールまたは、該ポリオキシアルキレンポリオールとアルカノールアミンの混合物であり、架橋剤の使用量が、前記総不飽和度が0.03meq/g以下、官能基数が3〜4、水酸基価が20〜40mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオール、該ポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造されたポリマーポリオールの総和を100重量部とした時、0.5〜5重量部であり、かつアルカノールアミンの使用量が1重量部以下であることを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 請求項1記載の有機ポリイソシアネート(II)が、トルイレンジイソシアネートまたはトルイレンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの重量比率95/5〜50/50の混合物であることを特徴とする車両用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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