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JP4661744B2 - 車両用モーター制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の走行用モーターを制御する車両用モーター制御装置に関する。
モーターのステーターに対するローターの回転角度(位置)を回転角センサーにより検出し、回転角度に応じてインバーターからモーターへ流れる電流を制御するようにした車両用モーター制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この装置では、モーターの回転速度と出力トルクとに応じて、モーターへの供給電力の電圧波形を正弦波PWM制御モードと矩形波制御モードとの間で切り換えており、モーターが低速で高トルクの運転領域にあるときは正弦波PWM制御モードとし、高速の運転領域にあるときは矩形波制御モードとしている。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開平11−285288号公報
しかしながら、上述した従来の車両用モーター制御装置では、波状路走行時にトランスアクスルに共振による大きな振動が発生すると、その振動の振幅と周波数が大きいほど走行用モーターの回転速度変化量が大きくなり、回転角センサーにより検出したモーター回転角度に応じてインバーターからモーターへ流す電流制御が正常に行われず、過電流が流れるという問題がある。
走行用モーターの回転角を検出し、インバーターによりモータートルク指令値とモーター回転角に応じた電流をモーターへ供給して駆動する車両用モーター制御装置において、モーター回転角に基づいてモーターの回転速度変化量を検出するとともに、回転速度変化量に基づいて車体共振発生の有無を判定し、車体共振が発生していると判定されるとモータートルク指令値を低減する。
本発明によれば、車体共振に起因するインバーターの過電流を防止することができる。
本願発明の車両用モーター制御装置をエンジン、モーターおよびジェネレーターを備えたパラレル・ハイブリッド車両PHEVに適用した一実施の形態を説明する。なお、本願発明の車両用モーター制御装置はパラレル・ハイブリッド車両に限定されず、例えば純電気自動車EV、シリーズ・ハイブリッド車両SHEV、エンジンとモーターのみを備えたパラレル・ハイブリッド車両、燃料電池車両FCVにも適用することができる。
図1は一実施の形態の構成を示す図である。モーター1、ジェネレーター2およびエンジン3の各出力軸はトランスアクスル4に連結されており、モーター1、ジェネレーター2およびエンジン3のいずれか1つまたは複数の駆動力によりトランスアクスル4を介して車輪5を走行駆動する。モーター1とジェネレーター2にはそれぞれ回転角センサー6、7が連結されており、モーター1とジェネレーター2のローター(不図示)の回転角度(回転位置)を検出する。回転角センサー6、7にはレゾルバーやパルスジェネレーターなどを用いることができる。なお、回転角センサー6、7の回転角度を積分することによってモーター1とジェネレーター2の回転速度(毎分回転数;以下では単に回転数という)[r/m]を求めることができる。
モーター1とジェネレーター2はそれぞれインバーター8、9により駆動される。インバーター8、9はPWM制御または矩形波制御によりバッテリー10の直流電力を交流電力に変換する。インバーター8、9はまた、モーター1とジェネレーター2により発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリー10を充電する。モーターコントローラー10はマイクロコンピューターを備え、車両コントローラー11からのモータートルク指令値Tmと回転角センサー6、7により検出したモーター回転角θmおよびジェネレーター回転角θgとに基づいて回転角θm、θgに応じた電流指令値Im、Igを演算し、インバーター8、9を制御する。
車両コントローラー11はマイクロコンピューターを備え、車速センサー12により検出した車速Vs、アクセルセンサー13により検出したアクセルペダル(不図示)の踏み込み量Accとに基づいてユーザー要求トルク指令値Tを求め、走行駆動力を得るためのエンジントルク指令値Teとモータートルク指令値Tmとに分配する。なお、車両コントローラー11には共振継続時間に対するトルク制限率マップ(詳細後述)などを記憶するメモリ14が接続される。エンジンコントローラー15は、エンジン3の出力トルクがエンジントルク指令値Teに一致するようにスロットルバルブ開度θvを制御する。
車両コントローラー11、モーターコントローラー10およびエンジンコントローラー15は通信回線を介して互いに情報の授受を行い、互いに情報を共有する。
なお、シリーズ・ハイブリッド車両SHEVでは、エンジンとジェネレーターが連結され、モーターのみがトランスアクスルに連結される。そして、エンジンでジェネレーターを駆動して発電し、発電電力をインバーターを介してモーターへ供給する。また、燃料電池車両FCVでは、図1の構成に加え、燃料電池スタック(不図示)がバッテリーに接続されている。
図2〜図3は、一実施の形態の車体共振発生時のトルク制限プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。車両コントローラー11のマイクロコンピューターは、所定時間ごとにこのトルク制限プログラムを実行する。
ステップ1においてモーターコントローラー10を介して入力したモーター回転角センサー6の出力にバンドパスフィルター処理を施し、車体共振が発生する特定の周波数領域、例えば8〜15Hzの回転数変化量(回転速度変化量)を検出する。通常、波状路を走行するとモーター1に回転数変化が生じるが、車体共振によるトランスアクスル4の振動によるモーター回転数変化量の方がはるかに大きく、上述したように、回転角センサー6により検出したモーター回転角度に応じてインバーター8からモーター1へ流す電流制御が正常に行われず(インバーターフェールという)、過電流が流れる。なお、ジェネレーター2においても同様な問題が発生するが、ここではモーター1の場合を代表して説明する。また、エンジン3がトランスアクスル4に連結されているハイブリッド車両では、エンジン3の失火等による回転変動があるとトランスアクスル4が振動し、インバーターフェールが発生する。
車体共振によりモーター回転数変化量が増大すると上述したインバーターフェールが発生するが、モーターに正弦波PWMの電圧を印加して駆動する正弦波PWM制御モード時よりも、モーターに矩形波電圧を印加して駆動する矩形波制御モード時の方が発生確率が高くなる。これは、PWM制御により短時間間隔でスイッチングを行う正弦波PWM制御モードの方が、モーター回転数変化量の増大によりモーター回転角度に応じた電流制御に失敗しても、すぐに復旧して過電流に至るのを防止できる可能性が高いからである。なお、上述したように、モーターが低速で高トルクの運転領域にあるときは正弦波PWM制御モードで運転を行い、高速の運転領域にあるときは矩形波制御モードで運転を行う。
この一実施の形態では、モーター回転数変化量に基づいて車体共振を検出し、共振の継続時間に応じてモータートルク指令値Tmとユーザー要求トルク指令値Tを制限する。共振継続時間は共振継続カウンターを用いて計時するが、矩形波制御モードで運転している場合、もしくは矩形波制御モードに近い運転状態にある場合には、上記インバーターフェールを発生する確率が高いから、共振継続カウンターのカウントアップ量を多くして早くトルク制限を実施する。また、共振によるモーター回転数変化量が大きいほどインバーターフェールを発生する確率が高いから、共振継続カウンターのカウントアップ量を多くして早くかつ大きなトルク制限を実施する。
ステップ2〜9において矩形波制御モードで運転している場合、または矩形波制御モードに近い運転状態にある場合には、大きなカウントアップ量を設定する。まず、インバーター8のキャリア周波数に応じてカウントアップ量CU1を設定する。この一実施の形態では、モーターの回転数(回転速度)とトルクに応じて3段階にキャリア周波数を変える。すなわち、低速で高トルクの運転を行う場合は、インバーター8およびモーター1の発熱を抑制するために、キャリア周波数を低い1.25kHzとする。一方、高速で低トルクの運転を行う場合は、耳障りな低周波数での運転を避けるためにキャリア周波数を5kHzと高くする。さらに、中速で中トルクの運転を行う場合は、キャリア周波数を中間的な2.5kHzとする。
キャリア周波数が高いほどモーター回転数(回転速度)が高い状態にあり、モーター回転数が高い場合は矩形波制御モードで運転することになるので、キャリア周波数が高いほど矩形波制御モードで運転される可能性が高い。したがって、キャリア周波数が高いほどインバーターフェールが発生する可能性が高くなる。そこで、キャリア周波数が高いほど共振継続カウンターのカウントアップ量を多くして早くかつ大きくトルク制限を行い、インバーターフェールの発生を防止する。
ステップ2においてインバーター8の現在のキャリア周波数を確認する。キャリア周波数が高い場合(ここでは5kHz)はステップ3へ進み、カウントアップ量CU1に5を設定する。また、キャリア周波数が中位の場合(ここでは2.5kHz)はステップ4へ進み、カウントアップ量CU1に3を設定する。さらに、キャリア周波数が低い場合(ここでは1.25kHz)はステップ5へ進み、カウントアップ量CU1に1を設定する。
次に、モーター1の現在の制御モードに応じてカウントアップ量CU2を設定する。この一実施の形態では、図4に示すように、モーター1の回転数(回転速度)とトルクに応じて3種類の制御モードを設定する。領域(a)は、モーター1に正弦波PWMの電圧を印加して駆動する正弦波PWM制御モードの運転領域である。領域(c)は、モーターに矩形波電圧を印加して駆動する矩形波制御モードの運転領域である。また、正弦波PWM制御モードと矩形波制御モードの間の中間領域(b)は過変調PWM制御モードであり、正弦波PWM波形の一部を矩形波とする運転領域である。正弦波PWM制御、過変調PWM制御、矩形波制御の順に少ないスイッチング回数で大電流を流すことができる。
正弦波PWM制御、過変調PWM制御、矩形波制御の順にスイッチング回数が少なくなるので、モーター回転数変化量の増大によりモーター回転角度に応じた電流制御に失敗すると、すぐに復旧して過電流に至るのを防止できる可能性が低くなる。つまり、正弦波PWM制御、過変調PWM制御、矩形波制御の順にインバーターフェールの発生確率が高くなる。そこで、正弦波PWM制御、過変調PWM制御、矩形波制御の順に共振継続カウンターのカウントアップ量を多くし、早くかつ大きくトルク制限を行ってインバーターフェールの発生を防止する。
ステップ6で現在のモーター制御モードを確認する。矩形波制御モードで運転されている場合はステップ7へ進み、カウントアップ量CU2に6を設定する。また、過変調PWM制御モードで運転されている場合はステップ8へ進み、カウントアップ量CU2に4を設定する。さらに、正弦波PWM制御モードで運転されている場合はステップ9へ進み、カウントアップ量CU2に2を設定する。
ステップ10〜12では、共振によるモーター回転数変化量に基づいて共振継続カウンターのカウントアップ量CU3を設定する。ステップ10でモーター回転数変化量が予め設定したしきい値Δ1より大きいか否かを判別し、しきい値Δ1を超えている場合はステップ11へ進み、インバーターフェールを発生する確率が高いからカウントアップ量CU3に大きな値7を設定する。一方、しきい値Δ1を超えていない場合はステップ12へ進み、カウントアップ量CU3に0を設定する。なお、しきい値Δ1には、速やかにトルク制限を実行する必要があるモーター回転数変化量を設定する。
以上ではキャリアー周波数、モーター制御モードおよびモーター回転数変化量の各パラメーターに基づいて、それぞれ共振継続カウンターのカウントアップ量CU1、CU2およびCU3を設定したが、インバーターフェールを発生する確率はキャリアー周波数、モーター制御モード、モーター回転数変化量の順に高くなるので、インバーターフェールの発生確率が高いパラメーターには大きなカウントアップ量を設定している。
キャリアー周波数、モーター制御モードおよびモーター回転数変化量に基づいて共振継続カウンターのカウントアップ量CU1、CU2、CU3を設定した後、ステップ13へ進み、設定したカウントアップ量CU1、CU2、CU3の中の最大値を最終的なカウントアップ量CUとする。
ステップ14において、モーター回転数変化量が予め設定したしきい値Δ2を超えているか否かを判別する。ここで、しきい値Δ2は、車体共振が発生しているか否かを判定するためのしきい値であり、車種ごとに実機テストを行って最適値を設定する。モーター回転数変化量が共振判定しきい値Δ2を超えている場合はステップ15へ進み、共振継続カウンターをカウントアップ量CUだけインクリメントする。一方、モーター回転数変化量が共振判定しきい値Δ2を超えていない場合はステップ16へ進み、共振継続カウンターを所定のカウントダウン量C0だけデクリメントする。なお、カウントアップ量CU1、CU2、CU3およびカウントダウン量C0には、インバーターフェールを確実に回避できるような最適値を実機テストあるいはシュミレーションにより設定する。
ステップ17において共振継続カウンターの値に応じてモータートルク制限率を設定し、続くステップ18では共振継続カウンターの値に応じてユーザー要求トルク制限率を設定する。ここで、共振継続カウンター値に対するモータートルク制限率とユーザー要求トルク制限率は、図5に示すように、共振継続カウンター値が大きいほどトルク制限率を小さくする。この一実施の形態では、トルクを制限しないときの制限率を100%とし、トルクを0に制限するときの制限率を0%としてトルク制限率を定義する。モータートルクの制限率は、モーター1の運転領域が図4に示す矩形波制御領域(c)に入らないような値に設定する。なお、モータートルク制限率とユーザー要求トルク制限率は、それぞれ別個のマップデータとして予めメモリ14に記憶される。
ユーザー要求トルク制限率は、車速Vsとアクセルペダルの踏み込み量Accに基づいて決定したユーザー要求トルク指令値Tを制限するためのものである。インバーターフェールを防止するためには共振発生時にモータートルク指令値Tmを制限すればよいが、ジェネレーター2で発電した電力をモーター1へ供給して運転しているときに、モータートルク指令値Tmのみを制限すると、ジェネレーター2の発電電力がバッテリー10へ供給されてバッテリー10が過充電になったり、あるいはインバーター8、9とバッテリー10との間のDCリンク電圧が過電圧になるおそれがある。そこで、この一実施の形態では、共振発生時にモータートルク指令値Tmを制限すると同時にユーザー要求トルク指令値Tを制限し、バッテリー10の過充電やDCリンク電圧の過電圧を防止する。
次に、ステップ19で、図6に示すように、モーター1の最大定格トルク(実線で示す)に上述したモータートルク制限率を乗じてモータートルク制限値(破線で示す)を設定する。続くステップ20で、図7に示すように、ユーザー要求最大トルク(実線で示す)に上述したユーザー要求トルク制限率を乗じてユーザー要求トルク制限値(破線で示す)を設定する。
ステップ21において、モータートルク指令値Tmが現在のモーター回転数に対応する上記モータートルク制限値以下になるように制御する。続くステップ22では、ユーザー要求トルク指令値Tが現在の車速に対応する上記ユーザー要求トルク制限値以下となるように、モータートルク指令値値Tmとエンジントルク指令値Teを制御する。
図8は、一実施の形態の車両用モーター制御装置による共振発生時のトルク制限結果を示す図である。モーター回転数にバンドパスフィルター処理を施して算出したモーター回転数変化量がしきい値Δ2を超え、車体共振の発生が検出されると、共振継続カウンター値が共振継続時間が長くなるにつれて増加し、モータートルク指令値Tmとユーザー要求トルク指令値Tの制限率が低下し、モータートルク指令値Tmとユーザー要求トルク指令値Tが低下していく。これにより、車両共振領域においてモーターが矩形波制御モードで運転されることがなくなり(図中の破線円参照)、インバーターフェールが発生せず、モーターの運転が継続される。そして、車両共振が収まると共振継続カウンター値が減少し、モータートルク指令値Tmおよびユーザー要求トルク指令値Tの制限率が増加し、モータートルク指令値Tmとユーザー要求トルク指令値Tが増加する。
このように、一実施の形態によれば、走行駆動用モーターの回転角を検出し、インバーターによりモータートルク指令値とモーター回転角に応じた電流をモーターへ供給して駆動する車両用モーター制御装置において、モーター回転角に基づいてモーターの回転速度変化量を検出するとともに、モーター回転速度変化量に基づいて車体共振発生の有無を判定し、車体共振が発生していると判定されるとモータートルク指令値を低減するようにしたので、誤った電流指令によりインバーターに過電流が発生してインバーターフェールになるのを防止することができる。
また、一実施の形態によれば、車体共振が発生していると判定されると、インバーターの運転領域が矩形波制御モードの運転領域に入らないようにモータートルク指令値を低減するようにした。誤った電流指令によりインバーターに過電流が流れるインバーターフェールは、矩形波制御モードでモーターを運転しているときに発生する確率が高いことから、車体共振発生時に矩形波制御モードの運転領域に入らないようにすることによって、インバーターフェールの発生を抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、車体共振発生時のインバーターのキャリア周波数に応じてモータートルク指令値の低減量を決定するようにした。キャリア周波数が高いほどインバーターフェールの発生確率が高くなるので、車体共振発生時にインバーターフェールの発生確率の高い運転領域から効果的に脱することができ、インバーターフェールの発生を抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、車体共振発生時のインバーターの制御モードに応じてモータートルク指令値の低減量を決定するようにした。正弦波PWM制御モード、過変調PWM制御モード、矩形波制御モードの順にインバーターフェールの発生確率が高くなるので、車体共振発生時にインバーターフェールの発生確率の高い制御モードから効果的に脱することができ、インバーターフェールの発生を抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、車体共振発生時のモーター回転速度変化量に応じてモータートルク指令値の低減量を決定するようにした。モーター回転速度変化量が大きいほどインバーターフェールの発生確率が高くなるので、車体共振発生時にインバーターフェールの発生確率の高いモーターの運転領域から効果的に脱することができ、インバーターフェールの発生を抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、車体共振発生の継続時間が長いほどモータートルク指令値の低減量を多くするようにした。車体共振にともなうモーター回転速度変化量が小さくても、その継続時間が長いほどインバーターフェールの発生確率が高くなるから、インバーターフェールの発生を抑制できる。
一実施の形態によれば、車体共振発生時のインバーターの制御モードが矩形波制御モードおよび過変調PWM制御モードの場合には、車体共振発生の継続時間が短くてもモータートルク指令値の低減量を多くするようにしたので、インバーターフェールの発生確率が高い矩形波制御モードおよび過変調PWM制御モードにおいて早めにモータートルク指令値を低減することができ、インバーターフェールの発生を確実に抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、車体共振発生の継続時間が短くてもインバーターのキャリア周波数が高いほどモータートルク指令値の低減量を多くするようにしたので、インバーターフェールの発生確率の高い高キャリア周波数の運転状態において早めにモータートルク指令値を低減することができ、インバーターフェールの発生を確実に抑制できる上に、無用にモータートルク指令値を低減してドライバビリティが悪化するのを避けることができる。
一実施の形態によれば、回転角センサーによるモーター回転角検出値に所定の周波数特性を有するバンドパスフィルター処理を施し、フィルター処理後の回転角に基づいてモーターの回転速度変化量を検出するようにしたので、車体共振を確実に検出することができる。
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、モーター1およびジェネレーター2がモーターを、回転角センサー6、7が回転角検出手段を、インバーター8、9がインバーターを、車両コントローラー11が回転速度変化量検出手段、共振判定手段およびトルク低減手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係になんら限定も拘束もされない。
なお、上述した一実施の形態ではインバーターの制御モードとして正弦波PWM制御モード、過変調PWM制御モード、矩形波制御モードを例に上げて説明したが、制御モードは一実施の形態の制御モードに限定されるものではない。また、キャリア周波数、制御モードおよびモーター回転速度変化量に応じた共振継続カウンターのカウントアップ量は上述した一実施の形態の数値に限定されるものではない。
一実施の形態の構成を示す図 一実施の形態の車体共振発生時のトルク制限プログラムを示すフローチャート 図2に続く、一実施の形態の車体共振発生時のトルク制限プログラムを示すフローチャート モーター制御モードを示す図 共振継続時間に対するモータートルクの制限率を示す図 モータートルク制限値を示す図 ユーザー要求トルク制限値を示す図 一実施の形態の共振発生時のトルク制限結果を示す図
符号の説明
1 モーター
2 ジェネレーター
6、7 回転角センサー
8、9 インバーター
11 車両コントローラー

Claims (9)

  1. 走行用モーターの回転角を検出する回転角検出手段と、
    モータートルク指令値と前記回転角に応じた電流を前記モーターへ供給して駆動するイ
    ンバーターと、
    前記回転角に基づいて前記モーターの回転速度変化量を検出する回転速度変化量検出手
    段と、
    前記回転速度変化量に基づいて車体共振発生の有無を判定する共振判定手段と、
    車体共振が発生していると判定されると前記モータートルク指令値を低減するトルク低
    減手段とを備え
    前記インバーターは、前記モーターの高速領域では矩形波制御モードで前記モーターを
    運転し、
    前記トルク低減手段は、車体共振が発生していると判定されると、前記インバーターの
    運転領域が前記矩形波制御モードの運転領域に入らないように前記モータートルク指令値
    を低減することを特徴とする車両用モーター制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記インバーターは、前記モーターの回転速度に応じてキャリア周波数を可変とし、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生時の前記インバーターのキャリア周波数に応じて前記モータートルク指令値の低減量を決定することを特徴とする車両用モーター制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記インバーターは、少なくとも正弦波PWM制御モードと矩形波制御モードを含む複数の制御モードを切り替えて前記モーターを駆動し、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生時の前記インバーターの制御モードに応じて前記モータートルク指令値の低減量を決定することを特徴とする車両用モーター制御装置。
  4. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生時の前記モーターの回転速度変化量に応じて前記モータートルク指令値の低減量を決定することを特徴とする車両用モーター制御装置。
  5. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生の継続時間が長いほど前記モータートルク指令値の低減量を多くすることを特徴とする車両用モーター制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記インバーターは、前記モーターの回転速度が高くなるにしたがって正弦波PWM制御モード、過変調PWM制御モード、矩形波制御モードの順に切り替えて前記モーターを駆動し、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生時の前記インバーターの制御モードが前記矩形波制御モードおよび前記過変調PWM制御モードの場合には、車体共振発生の継続時間が短くても前記モータートルク指令値の低減量を多くすることを特徴とする車両用モーター制
    御装置。
  7. 請求項5に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記インバーターは、前記モーターの回転速度が高くなるほどキャリア周波数を高くし、
    前記トルク低減手段は、車体共振発生の継続時間が短くても前記インバーターのキャリア周波数が高いほど前記モータートルク指令値の低減量を多くすることを特徴とする車両用モーター制御装置。
  8. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記回転速度変化量検出手段は、前記回転角検出手段による前記モーターの回転角検出値に所定の周波数特性を有するバンドパスフィルター処理を施し、フィルター処理後の回転角に基づいて前記モーターの回転速度変化量を検出することを特徴とする車両用モーター制御装置。
  9. 請求項1に記載の車両用モーター制御装置において、
    前記インバーターは、
    前記モーターの回転速度に応じてキャリア周波数を可変とし、
    少なくとも正弦波PWM制御モードと矩形波制御モードを含む複数の制御モードを切り替えて前記モーターを駆動し、
    前記トルク低減手段は、
    車体共振発生時の前記インバーターのキャリア周波数に応じて第1のモータートルク指令値の低減量を設定し、
    車体共振発生時の前記インバーターの制御モードに応じて第2のモータートルク指令値の低減量を設定し、
    車体共振発生時の前記モーターの回転速度変化量に応じて第3のモータートルク指令値の低減量を設定し、
    前記第1のモータートルク指令値の低減量、前記第2のモータートルク指令値の低減量及び前記第3のモータートルク指令値の低減量のうち最も値の高い低減量を、最終的な低減量として決定することを特徴とする車両用モーター制御装置。
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