以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るウェハ支持部材1の1例を示す断面図で、炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状セラミックス体2の一方の主面をウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、該抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を具備し、給電部6に給電端子11が接続している。これらの給電部6を囲む金属ケース19が接続部材17を介して板状セラミックス体2の他方の主面の周辺部に固定されている。
また、ウェハリフトピン25は板状セラミック体2を貫通する孔を通してウェハWを上下に移動させウェハWを載置面3に載せたり降ろしたりすることができる。そして、給電部6に給電端子11が接続し外部から電力が供給され、測温素子27で板状セラミックス体2の温度を測定しながらウェハWを加熱することができる。
尚、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、ウェハWの片当たり等による温度バラツキを防止するようにしている。また、抵抗発熱体5を複数のゾーンに分割する場合、それぞれのゾーンの温度を独立に制御することにより、各給電部6の給電端子11に電力を供給し、各測温素子27の温度が各設定値となるように給電端子11に加える電力を調整し、載置面3に載せたウェハWの表面温度が均一となるようにしている。
抵抗発熱体5には、金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給電部6に給電端子11を接触させることにより、導通が確保されている。給電端子11と給電部6とは、導通が確保できる方法で有れば、はんだ付け、ロー付け等の手法を用いてもよい。
ウェハWの載置面3に対応して同心円の3つの円環状の抵抗発熱体ゾーン4に分割するのは、円板状のウェハWの表面を均一に加熱するにはウェハW周辺の雰囲気やウェハWに対抗する壁面やガスの流れの影響を受けるが、円板状のウェハWの表面温度をばらつかせないために、ウェハWの周囲や上面の対抗面や雰囲気ガスの流れはウェハWに対し中心対称となるように設計されているからである。ウェハWを均一に加熱するにはウェハWに対し中心対称な上記環境に合わせたウェハ支持部材1が必要で、載置面3を中心対称に分割し抵抗発熱体ゾーン4を形成することが好ましい。
特に、300mm以上のウェハWの表面温度を均一に加熱するには同心円の円環状の抵抗発熱体ゾーンは3つであることが好ましい。
図2(a)は本発明のウェハ支持部材1で、板状セラミックス体の一方の主面に複数の抵抗発熱体ゾーンを備え、中心部に円形の抵抗発熱体ゾーン4aと、その外側に同心円の3つの円環内に抵抗発熱体ゾーン4bc、4dgと、抵抗発熱体ゾーン4hoとを備える各抵抗発熱体ゾーン4の配置例を示す。この例では、ウェハWの均熱性を改善するため、抵抗発熱体5を4個の抵抗発熱体ゾーンに対応して分割している。
本発明の前記ウェハ支持部材1の中心部の抵抗発熱体ゾーン4aの外径D1は外周部の抵抗発熱体ゾーン4hoの外径Dの15〜40%であり、その外側の抵抗発熱体ゾーン4bcの外径D2は外周部の抵抗発熱体ゾーンの外径Dの40〜60%であり、最外周の抵抗発熱体ゾーンの内径D3は最外周の抵抗発熱体ゾーンの外径Dの60〜85%とするとウェハWの面内温度差を小さくすることができ好ましい。
尚、外周部の抵抗発熱体ゾーン4hoの外径Dとは、板状セラミックス体2の他方の主面に平行な投影面でみて、前記抵抗発熱体ゾーン4hoを構成する抵抗発熱体5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5oを囲み接する円の直径である。また、同様に、抵抗発熱体ゾーン4bcの外径D2とは、前記抵抗発熱体ゾーン4bcを構成する抵抗発熱体5b、5cを囲み接する円の直径である。また、D3は、抵抗発熱体5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5oの内側に接する円の直径である。
外径D1がDの15%未満では中心部の抵抗発熱体ゾーン4aの外径が小さ過ぎることから抵抗発熱体ゾーン4aの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4aの中心部の温度が上がらず中心部の温度が低下する虞があるからである。また、外径D1が40%を越えると中心部の抵抗発熱体ゾーン4aの外径が大き過ぎることから、中心部の温度を上げた際に抵抗発熱体ゾーン4aの周辺部の温度も上がり、抵抗発熱体ゾーン4aの周辺部の温度が高くなり過ぎる虞があるからである。尚、好ましくは、外径D1はDの20〜30%
であり、更に好ましくは、外径D1はDの22〜26%とすることでウェハWの面内温度
差を更に小さくすることができる。
また、外径D2が外径Dの40%未満では、ウェハ支持部材1の周辺部が冷却され易いことから、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4dgの発熱量を増大した際に、ウェハWの中心に近い抵抗発熱体ゾーン4dgの内側の温度が高くなり、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞があった。また、外径D2が外径Dの60%を越えると、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4dgの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4dgの温度は上がるが、ウェハW周辺の温度の低下の影響が抵抗発熱体ゾーン4bcに達し、抵抗発熱体ゾーン4bcの外側の温度が低くなる虞があった。好ましくは、外径D2が外径Dの45%〜54%であり、更に好ましくは48〜51%とするとウェハWの面内温度差は更に小さくできた。
また、外径D3が外径Dの60%未満では、ウェハ支持部材1の周辺部が冷却され易いことから、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4hoの発熱量を増大した際に、ウェハWの中心に近い抵抗発熱体ゾーン4hoの内側の温度が高くなり、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞があった。また、外径D2が外径Dの85%を越えると、ウェハW周辺の温度の低下を防ごうと抵抗発熱体ゾーン4hoの発熱量を大きくしても、抵抗発熱体ゾーン4hoの温度は上がるが、ウェハW周辺の温度の低下の影響が抵抗発熱体ゾーン4dgに達し、抵抗発熱体ゾーン4dgの外側の温度が低くなる虞があった。好ましくは、外径D2が外径Dの65%〜75%であり、更に好ましくは67〜70%とするとウェハWの面内温度差は更に小さくできた。
更に、ウェハ支持部材1の周囲の環境から生じる左右前後の微妙な非対称性や、対称な発熱体の厚みバラツキを補正できると、ウェハWの面内温度差がより小さくなる事がわかった。
図2(b)は、本発明のウェハ支持部材1の抵抗発熱体ゾーン4の1例を示す。3つの円環状の抵抗発熱体ゾーン4bc、4dg、4hoのうち、最も内側の抵抗発熱体ゾーン4bcは、円環を2等分した2個の扇状の抵抗発熱体ゾーン4b、4cであり、その外側の抵抗発熱体ゾーン4dgは、円環を円周方向に4等分した4個の扇状の抵抗発熱体ゾーン4d、4e、4f、4gであり、その外側の抵抗発熱体ゾーン4hoは、円環を円周方向に8等分した8個の扇状の抵抗発熱体ゾーン4h、4i、4j、4k、4l、4m、4n、4oからなっていることがウェハWの表面温度を均一にする上で好ましい。
上記ウェハ支持部材1の各抵抗発熱体ゾーン4a〜4oは独立して発熱でき、各抵抗発熱体ゾーン4a〜4oに対応して抵抗発熱体5a〜5oを備えている。
尚、円環状の抵抗発熱体ゾーン4bc、4dg、4hoはそれぞれ放射方向に2分割、4分割、8分割したが、これに限るものではない。
図2(b)の抵抗発熱体ゾーン4b、4cの境界線は直線であるが、必ずしも直線である必要はなく、波線であっても良く、抵抗発熱体ゾーン4b、4cが同心円の発熱体ゾーンの中心に対して中心対称であることが好ましい。
同様に、抵抗発熱体ゾーンの4dと4e、4eと4f、4fと4g、4gと4dとのそれぞれの境界線も必ずしも直線である必要はなく、波線で有っても良く、同心円の発熱体ゾーンの中心に対して中心対称であることが好ましい。
上記の各抵抗発熱体5を印刷法等で作製し、1〜5mmの巾で厚みが5〜50μmで形成することが好ましい。一度に印刷する印刷面が大きくなると印刷面の左右や前後でスキージとスクリーンとの間の圧力の違いから印刷厚みが一定とならない虞が生じる。特に、抵抗発熱体5の大きさが大きくなると、抵抗発熱体5の左右前後の厚みが異なり設計した発熱量がバラツク虞があった。発熱量がバラツクとウェハWの面内温度差が大きくなり好ましくない。この抵抗発熱体の厚みのバラツキから生じる温度バラツキを防ぐには、一つの抵抗発熱体からなる外径の大きな個々の抵抗発熱体5を分割することが有効である事が判明した。
そこで、ウェハW載置面3の中心部を除く同心円環状の抵抗発熱体ゾーン4bcは左右に2分割し、更に大きな円環状の抵抗発熱体ゾーン4dgは4分割し、また、最も大きな円環状の抵抗発熱体ゾーン4hoは8分割することで抵抗発熱体ゾーン4にある抵抗発熱体5の印刷する大きさを小さくすることができることから、抵抗発熱体5の各部の厚みを均一にすることができ、更にウェハWの前後左右の微妙な温度差を補正しウェハWの表面温度を均一にすることができる。
尚、図3に示す抵抗発熱体5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5oのパターンは夫々折り返しパターンからなり、図4に示す抵抗発熱体はこれらの折り返しパターンが渦巻き状となった例を示す。また、これらのパターンを複合したパターンでも良い。
また、本発明のウェハ支持部材1は、板状セラミックス体2の一方の主面に抵抗発熱体5を備えたウェハ支持部材1であって、図3に示すように板状セラミックス体2の外周部に位置する前記抵抗発熱体5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h、5i、5j、5k、5l、5m、5n、5oは板状セラミックス体2の中心から遠い部位は同心円状をした円弧状パターン51とこれらと連続して繋がっている連結パターン52からなることが好ましい。前記抵抗発熱体5に電力を供給する給電部6と、該給電部6を囲む金属ケース19とからなり、前記板状セラミックス体2の他方の主面にウェハ加熱面を備え、他方の主面に平行な投影面でみて、前記円Cの直径Dが前記板状セラミックス体2の直径DPの90〜99%であることが好ましい。
前記円Cの直径Dが板状セラミックス体2の直径DPの90%より小さいと、ウェハを急速に昇温したり急速に降温させる時間が大きくなりウェハWの温度応答特性が劣る。また、ウェハWの周辺部の温度を下げないようウェハWの表面温度を均一に加熱するには、直径DはウェハWの直径の1.02倍程度が好ましいことから、ウェハWの大きさに対して板状セラミックス体2の直径DPが大きくなり、均一に加熱できるウェハWの大きさが板状セラミックス体2の直径DPに比較して小さくなり、ウェハWを加熱する投入電力に対しウェハWを加熱する加熱効率が悪くなる。更に、板状セラミックス体2が大きくなることからウェハ製造装置の設置面積が大きくなり、最小の設置面積で最大の生産を行う必要がある半導体製造装置の設置面積に対する稼働率を低下させ好ましくない。
前記円Cの直径Dが板状セラミックス体2の直径DPの99%より大きいと接触部材17と抵抗発熱体5の外周との間隔が小さく抵抗発熱体5の外周部から熱が接触部材17に不均一に流れ、特に、外周部の円Cに接する円弧状パターン51が存在しない部分からも熱が流れ、外周部の円弧状パターン51が板状セラミックス体2の中心部へ曲がっていることから抵抗発熱体5を囲む円Cに沿って円弧状パターン51が欠落する部分Pの温度が低下しウェハWの面内温度差を大きくする虞がある。より好ましくは、抵抗発熱体5の円Cの直径Dが板状セラミックス体2の直径DPの92〜97%である。
また、図1に示す様に板状セラミックス体2と金属ケース19の外径が略同等で板状セラミックス体2を下から金属ケース19が支える場合、ウェハWの面内の温度差を小さくするには、抵抗発熱体5の円Cの直径Dが板状セラミックス体2の直径DPの92〜95%であり、更に好ましくは93〜95%である。
一方、図5に示す様な板状セラミックス体2の外周面を覆うように金属ケースが接続した場合には、抵抗発熱体5の円Cの直径Dが板状セラミックス体2の直径DPの95〜98%が好ましく、更に好ましくは96〜97%である。
更に、本発明のウェハ支持部材1において、例えば図3の抵抗発熱体5の円Cと接する円弧状パターン51と、該円弧状パターン51と連続して繋がった連結パターン52とを備え、前記円Cの一部に前記円弧状のパターンのない空白域Pの間隔Sが、前記板状セラミックス体の直径DPと前記円Cの直径Dとの差(以下、Lと略する)より小さいことが好ましい。間隔SがLより大きいと空白域Pの熱が板状セラミックス体の周辺部へ流れ空白域Pの温度が下がる虞がある。しかし、間隔SがLより小さいと空白域Pの温度が下がり難く板状セラミックス体2の載置面3に載せたウェハWの周辺部の一部の温度が低下せずウェハW面内の温度差が小さくなり好ましい。
上記空白域Pの温度を下げないためには、空白域の温度を上げる必要があり、空白域を加熱する連結パターン52の抵抗を同等か或いは大きくして発熱量を増大すると、空白域Pの温度が下がる虞が小さくなり、ウェハWの面内温度が均一となり好ましい。印刷法等で作成した抵抗発熱体5が面状の場合、円弧状パターン51の線巾Wpより連結パターン52の線巾Wsを小さくすることで連結パターン52の抵抗を大きくすることができ、連結パターン52の温度を円弧状パターン51の温度より高めることでウェハWの面内温度を均一とすることができる。
板厚が1〜7mmの板状セラミックス体2の一方の主面側を、ウェハを載せる載置面3とするとともに、前記板状セラミックス体2の下面に抵抗発熱体5を備えたウェハ支持部材1において、前記抵抗発熱体5の厚みが5〜50μmであるとともに、前記板状セラミックス体2の主面に平行な投影面で見て、前記前記抵抗発熱体5を囲む円Cの面積に対し、該円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率が5〜50%であることが好ましい。
即ち、前記抵抗発熱体5を囲む円Cの面積に対し、円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を5%未満とすると、抵抗発熱体5の相対向する対向領域において、対向領域の対向間隔S1が大きくなり過ぎることから、抵抗発熱体5のない間隔S1に対応した載置面3の表面温度が他の部分と比較して小さくなり、載置面3の温度を均一にすることが難しいからであり、逆に抵抗発熱体5を囲む円Cの面積に対し、円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率が50%を超えると、板状セラミック体2と抵抗発熱体5との間の熱膨張係数の差を3.0×10−6/℃以下に近似させたとしても、両者の間に作用する熱応力が大きすぎることから、板状セラミック体2は変形し難いセラミック焼結体からなるものの、その板厚tが1mm〜7mmと薄いこと、から抵抗発熱体5を発熱させると、載置面3側が凹となるように板状セラミック体2に反りが発生し、その結果、ウェハWの中心部の温度が周縁よりも小さくなり、温度バラツキが大きくなる恐れがあるからである。
なお、好ましくは、抵抗発熱体5を囲む円Cの面積に対し、円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を10%〜30%、さらには15%〜25%とすることが好ましい。
より具体的には、抵抗発熱体5は外周部に相対抗する対抗領域を有し、上記対抗領域の間隔S1が0.5mm以上で、上記板状セラミックス体2の板厚の3倍以下であることが好ましい。上記対抗領域の間隔S1が0.5mm以下では抵抗発熱体5を印刷し形成する際に抵抗発熱体5の対抗領域でひげ状の突起が発生しその部分が短絡する虞がある。また、上記対抗領域の間隔S1が板状セラミックス体2の厚みの3倍を越えると、対抗領域S1に対応するウェハWの表面にクールゾーンが発生しウェハWの面内温度差を大きくする虞があるからである。
さらに、このような効果を効率良く発現させるには、抵抗発熱体5の膜厚を5〜50μmとすることが好ましい。
抵抗発熱体5の膜厚が5μmを下回ると、抵抗発熱体5をスクリーン印刷法で膜厚を均一に印刷することが困難となるからであり、また、抵抗発熱体5の厚みが50μmを越えると、円Cに対し、抵抗発熱体5の占める面積の比率を50%以下としても抵抗発熱体5の厚みが大きく、抵抗発熱体5の剛性が大きくなり、板状セラミック体5の温度変化により抵抗発熱体5の伸び縮みによる影響で板状セラミック体2が変形する虞がある。また、スクリーン印刷で均一の厚みに印刷することが難しくウェハWの表面の温度差が大きくなったりする虞があるからである。なお、好ましい抵抗発熱体5の厚みは10〜30μmとすることが良い。
更に詳細な構成について説明する。
図1は本発明に係るウェハ支持部材の一例を示す断面図で、板厚tが1〜7mm、100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状セラミック体2の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、この抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を備えたものである。
100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状セラミック体2の材質としては、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムを用いることができ、この中でも特に窒化アルミニウムは50W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有するとともに、フッ素系や塩素系等の腐食性ガスに対する耐蝕性や耐プラズマ性にも優れることから、板状セラミック体2の材質として好適である。
板状セラミックス体2の厚みは、2〜5mmとすると更に好ましい。板状セラミックス体2の厚みが2mmより薄いと、板状セラミックス体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱による加熱時、ガス噴射口24らの冷却エアーを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状セラミックス体2にクラックが発生する虞があるからである。また、板状セラミックス体2の厚みが5mmを越えると、板状セラミックス体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度が安定するまでの時間が長くなる虞がある。
板状セラミックス体2は、有底の金属ケース19開口部の外周にボルト16を貫通させ、板状セラミックス体2と有底の金属ケース19が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、有底の金属ケース19側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、板状セラミックス体2の温度が変動した場合に有底の金属ケース19が変形しても、上記弾性体18によってこれを吸収し、これにより板状セラミックス体2の反りを抑制し、ウェハ表面に、板状セラミックス体2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。
リング状の接触部材17の断面は多角形や円形の何れでも良いが、板状セラミックス体2と接触部材17が平面で接触する場合において、板状セラミックス体2と接触部材17との接する接触部の巾は0.1mm〜13mmであれば、板状セラミックス体2の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れる量を小さくすることができる。そして、ウェハWの面内の温度差が小さくウェハWを均一に加熱することができる。更に好ましくは0.1〜8mmである。接触部材17の接触部の巾が0.1mm以下では、板状セラミックス体2と接触固定した際に接触部が変形し、接触部材が破損する虞がある。また、接触部材17の接触部の巾が13mmを越える場合には、板状セラミックス体2の熱が接触部材に流れ、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下しウェハWを均一に加熱することが難しくなる。好ましくは接触部材17と板状セラミックス体2の接触部の巾は0.1mm〜8mmであり、更に好ましくは0.1〜2mmである。
また、接触部材17の熱伝導率は板状セラミックス体2の熱伝導率より小さいことが好ましい。接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より小さければ板状セラミックス体2に載せたウェハW面内の温度分布を均一に加熱することができると共に、板状セラミックス体2の温度を上げたり下げたりする際に、接触部材17との熱の伝達量が小さく有底の金属ケース19との熱的干渉が少なく、迅速に温度を変更することが容易となる。
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率の10%より小さいウェハ支持部材1では、板状セラミックス体2の熱が有底の金属ケース19に流れ難く、雰囲気ガス(ここでは空気)による伝熱や輻射伝熱により流れる熱が多くなり逆に効果が小さい。
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より大きい場合には、板状セラミックス体2の周辺部の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れ、有底の金属ケース19を加熱すると共に、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下しウェハW面内の温度差が大きくなり好ましくない。また、有底の金属ケース19が加熱されることからガス噴射口24からエアを噴射し板状セラミックス体2を冷却しようとしても有底の金属ケース19の温度が高いことから冷却する時間が大きくなったり、一定温度に加熱する際に一定温度になるまでの時間が大きくなる虞があった。
一方、前記接触部材17を構成する材料としては、小さな接触部を保持するために、接触部材のヤング率は1GPa以上が好ましく、更に好ましくは10GPa以上である。このようなヤング率とすることで、接触部の巾が0.1mm〜8mmと小さく、板状セラミックス体2を有底の金属ケース19に接触部材17を介してボルト16で固定しても、接触部材17が変形することが無く、板状セラミックス体2が位置ズレしたり平行度が変化したりすることなく、精度良く保持することができる。
尚、特開2001−313249号公報に記載のような、フッ素系樹脂やガラス繊維を添加した樹脂からなる接触部材では得られない精度を達成することができる。
前記接触部材17の材質としては鉄とカーボンからなる炭素鋼やニッケル、マンガン、クロムを加えた特殊鋼等の金属がヤング率が大きく好ましい。また、熱伝導率の小さな材料としては、ステンレス鋼やFe―Ni−Co系合金の所謂コバールが好ましく、板状セラミックス体2の熱伝導率より小さくなるように接触部材17の材料を選択することが好ましい。
更に、接触部材17と板状セラミックス体2との接触部を小さく、且つ接触部が小さくても接触部が欠損しパーティクルを発生する虞が小さく安定な接触部を保持できるために、板状セラミックス体2に垂直な面で切断した接触部材17の断面は多角形より円形が好ましく、断面の直径1mm以下の円形のワイヤを接触部材17として使用すると板状セラミックス体2と有底の金属ケース19の位置が変化することなくウェハWの表面温度を均一にしかも迅速に昇降温することが可能である。
次に、有底の金属ケース19は側壁部22と底面21を有し、板状セラミックス体2はその有底の金属ケース19の開口部を覆うように設置してある。また、有底の金属ケース19には冷却ガスを排出するための孔23が施されており、板状セラミックス体2の抵抗発熱体5に給電するための給電部6に導通するための給電端子11,板状セラミックス体2を冷却するためのガス噴射口24、板状セラミックス体2の温度を測定するための熱電対27を設置してある。
なお、有底の金属ケース19の深さは10〜50mmで、底面21は、板状セラミックス体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜30mmである。これは、板状セラミックス体2と有底の金属ケース19相互の輻射熱により載置面3の均熱化が容易となると同時に、外部との断熱効果があるので、載置面3の温度が一定で均一な温度となるまでの時間が短くなるためである。
そして、有底の金属ケース19内に昇降自在に設置されたリフトピン25により、ウェハWを載置面3上に載せたり載置面3より持ち上げたりといった作業がなされる。そして、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、片当たり等による温度バラツキを防止するようにしている。
また、このウェハ加熱装置1によりウェハWを加熱するには、搬送アーム(不図示)にて載置面3の上方まで運ばれたウェハWをリフトピン25にて支持したあと、リフトピン25を降下させてウェハWを載置面3上に載せる。
次に、ウェハ支持部材1をレジスト膜形成用として使用する場合は、板状セラミックス体2の主成分を炭化珪素にすると、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、ウェハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。この際、焼結助剤に水と反応してアンモニアやアミンを形成する可能性のある窒化物を含まないようにすることが必要である。
なお、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体は、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もしくはアルミナ(Al2O3)イットリア(Y2O3)のような金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工したのち、1900〜2100℃で焼成することにより得られる。炭化珪素はα型を主体とするものあるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
一方、炭化珪素質焼結体を板状セラミックス体2として使用する場合、半導電性を有する板状セラミックス体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmを越えると、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層4の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200μm〜350μmの範囲とすることが良い。
さらに、板状セラミックス体2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
また、板状セラミックス体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてY2O3やYb2O3等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。板状セラミックス体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成することもある。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
この絶縁層を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、耐熱温度が200℃以上でかつ0℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が板状セラミックス体2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5〜+5×10−7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が前記範囲を外れたガラスを用いると、板状セラミックス体2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付け後の冷却時においてクラックや剥離等の欠陥が生じ易いからである。
なお、ガラスからなる絶縁層を板状セラミックス体2上に被着する手段としては、前記ガラスペーストを板状セラミックス体2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペーストを600℃以上の温度で焼き付けすれば良い。また、絶縁層としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミックス体2を850〜1300℃程度の温度に加熱し、絶縁層を被着する表面を酸化処理しておくことで、ガラスからなる絶縁層との密着性を高めることができる。
本発明の抵抗発熱体5のパターン形状としては、図3や図4に示すような複数のブロックに分割され、個々のブロックが円弧状のパターンと直線状のパターンとからなる渦巻き状やジグザクな折り返し形状をしたもので、本願発明のウェハ支持部材1はウェハWを均一に加熱することが重要であることから、これらのパターン形状は帯状の抵抗発熱体5の各部の密度が均一なことが好ましい。ただし、図7に示すような、板状セラミック体22の中心から放射方向に見て、抵抗発熱体25の間隔が密な部分と粗な部分が交互に現れる抵抗発熱体パターンでは、粗な部分に対応するウェハWの表面温度は小さく、密な部分に対応するウェハWの温度は大きくなり、ウェハWの表面の全面を均一に加熱することはできないことから好ましくない。
また、抵抗発熱体5を複数のブロックに分割する場合、それぞれのブロックの温度を独立に制御することにより、載置面3上のウェハWを均一に加熱することが好ましい。
抵抗発熱体5は、導電性の金属粒子にガラスフリットや金属酸化物を含む電極ペーストを印刷法で板状セラミック体2に印刷、焼き付けしたもので、金属粒子としては、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いることが好ましく、またガラスフリットとしては、B、Si、Znを含む酸化物からなり、板状セラミック体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましく、さらに金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
ここで、抵抗発熱体5を形成する金属粒子として、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いるのは、電気抵抗が小さいからである。
抵抗発熱体5を形成するガラスフリットとして、B、Si、Znを含む酸化物からなり、抵抗発熱体5を構成する金属粒子の熱膨張係数が板状セラミック体2の熱膨張係数より大きいことから、抵抗発熱体5の熱膨張係数を板状セラミック体2の熱膨張係数に近づけるには、板状セラミック体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましいからである。
また、抵抗発熱体5を形成する金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いるのは、抵抗発熱体5の中の金属粒子と密着性が優れ、しかも熱膨張係数が板状セラミック体2の熱膨張係数と近く、板状セラミック体2との密着性も優れるからである。
ただし、抵抗発熱体5に対し、金属酸化物の含有量が80%を超えると、板状セラミック体2との密着力は増すものの、抵抗発熱体5の抵抗値が大きくなり好ましくない。その為、金属酸化物の含有量は60%以下とすることが良い。
そして、導電性の金属粒子とガラスフリットや金属酸化物からなる抵抗発熱体5は、板状セラミック体2との熱膨張係数の差が3.0×10−6/℃以下であるものを用いることが好ましい。
即ち、抵抗発熱体5と板状セラミック体2との熱膨張係数の差を0.1×10−6/℃とすることは製造上難しく、逆に抵抗発熱体5と板状セラミック体2との熱膨張係数の差が3.0×10−6/℃を超えると、抵抗発熱体5を発熱させた時、板状セラミック体2との間に作用する熱応力によって、載置面3側が凹状に反る虞があるからである。
さらに、絶縁層上に被着する抵抗発熱体5材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等の金属単体を、蒸着法やメッキ法にて直接被着するか、あるいは前記金属単体や酸化レニウム(Re2O3)、ランタンマンガネート(LaMnO3)等の導電性の金属酸化物や上記金属材料を樹脂ペーストやガラスペーストに分散させたペーストを用意し、所定のパターン形状にスクリーン印刷法等にて印刷したあと焼付けして、前記導電材を樹脂やガラスから成るマトリックスで結合すれば良い。マトリックスとしてガラスを用いる場合、結晶化ガラス、非晶質ガラスのいずれでも良いが、熱サイクルによる抵抗値の変化を抑えるために結晶化ガラスを用いることが好ましい。
ただし、抵抗発熱体5材料に銀(Ag)又は銅(Cu)を用いる場合、マイグレーションが発生する恐れがあるため、このような場合には、抵抗発熱体5を覆うように絶縁層と同一の材質からなるコート層を40〜400μm程度の厚みで被覆しておけば良い。
更に、抵抗発熱体5への給電方法については、有底の金属ケース19に設置した給電端子11を板状セラミックス体2の表面に形成した給電部6にバネ(不図示)で押圧することにより接続を確保し給電する。これは、2〜5mmの厚みの板状セラミックス体2に金属からなる端子部を埋設して形成すると、該端子部の熱容量により均熱性が悪くなるからである。そのため、本発明のように、給電端子11をバネで押圧して電気的接続を確保することにより、板状セラミックス体2とその有底の金属ケース19の間の温度差による熱応力を緩和し、高い信頼性で電気的導通を維持できる。さらに、接点が点接触となるのを防止するため、弾性のある導体を中間層として挿入しても構わない。この中間層は単に箔状のシートを挿入するだけでも効果がある。そして、給電端子11の給電部6側の径は、1.5〜5mmとすることが好ましい。
また、板状セラミックス体2の温度は、板状セラミックス体2にその先端が埋め込まれた熱電対27により測定する。熱電対27としては、その応答性と保持の作業性の観点から、外径0.8mm以下のシース型の熱電対27を使用することが好ましい。この熱電対27の先端部は、板状セラミックス体2に孔が形成され、この中に設置された固定部材により孔の内壁面に押圧固定することが測温の信頼性を向上させるために好ましい。同様に素線の熱電対やPt等の測温抵抗体を埋設して測温を行うことも可能である。
なお、板状セラミック体2の一方の主面には、図5に示すように、複数の支持ピン8を設け、板状セラミック体2の一方の主面より一定の距離をおいてウェハWを保持するようにしても構わない。
また、図1では板状セラミック体2の他方の主面3に抵抗発熱体5のみを備えたウェハ支持部材1について示したが、本発明は、主面3と抵抗発熱体5との間に静電吸着用やプラズマ発生用としての電極を埋設したものであっても良いことは言うまでもない。
まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で1.0質量%の酸化イットリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚製作した。
そして、得られた窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚積層熱圧着にて積層体を形成した。
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い各種の熱伝導率を有する板状セラミックス体を製作した。
そして、窒化アルミニウム焼結体に研削加工を施し、板厚3mm、直径315mm〜330mmの円盤状をした板状セラミックス体2を複数枚製作し、更に中心から60mmの同心円上に均等に3箇所貫通孔を形成した。貫通口径は、4mmとした。
次いで板状セラミックス体2の上に抵抗発熱体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPd粉末と、前記同様の組成からなるバインダーを添加したガラスペーストを混練して作製した導電体ペーストをスクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体5を形成した。
抵抗発熱体ゾーン4の配置は、中心部に直径D1mmの円形の1つに抵抗発熱体ゾーンを形成し、その外側の円環を同等の2つの抵抗発熱体ゾーンに分割し、その外側に外径D2mmの円環を4つの抵抗発熱体ゾーンに分割し、更に最外周の抵抗発熱体ゾーンの内径D3の円環を8つの抵抗発熱体ゾーンに分割した計15個の抵抗発熱体ゾーン構成とした。そして、最外周の4つの抵抗発熱体ゾーンの円Cの直径を310mmとしD1、D2、D3の比率を変えた試料を作製した。しかるのち抵抗発熱体5に給電部6をロウ付けし固着させることにより、板状セラミックス体2を製作した。
また、比較用として図9の構成の抵抗発熱体ゾーンとし、矩形の発熱体ゾーンの大きさは212×53mmとして、矩形の発熱体ゾーンを8個用いた試料No.31を作製した。同様に試料No.32は図8に示す構成の抵抗発熱体ゾーンで、D1rを150mmとし、D2rは310mmとした。試料No.33は図7に示す構成の抵抗発熱体ゾーンの形状とした。試料No.34は抵抗発熱体ゾーンは円形で1つの抵抗発熱体からなるウェハ支持部材を作製した。
また、有底の金属ケースの底面の厚みは2.0mmのアルミニウムと側壁部を構成する厚み1.0mmのアルミニウムからなり、底面に、ガス噴射口、熱電対、導通端子を所定の位置に取り付けた。また、底面から板状セラミックス体までの距離は20mmとした。
その後、前記有底の金属ケースの開口部に、板状セラミックス体を重ね、その外周部にボルトを貫通させ、板状セラミックス体と有底の金属ケースが直接当たらないように、リング状の接触部材を介在させ、接触部材側より弾性体を介在させてナットを螺着することにより弾性的に固定することによりウェハ支持部材とした。
また、板状セラミックス体の周辺部下面を支持する支持構造(1)と、板状セラミックス体の外周面を支持する支持構造(2)との2つの構造でウェハ支持部材を作製した。尚、支持構造(1)では、板状セラミックス体の直径と金属ケースの外径である直径を同じとした。
尚、接触部材17の断面は円形状で、リング状とした。円形状の断面の大きさは、直径1mmとした。また、接触部材の材質はSUS304、炭素鋼を用いた。作製した各種のウェハ支持部材を試料No.1〜34とした。
作製したウェハ支持部材の評価は、測温抵抗体が29箇所に埋設された直径300mmの測温用ウェハを用いて行った。夫々のウェハ支持部材に電源を取り付け25℃から200℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を200℃に設定してからウェハWの平均温度が200℃±0.5℃の範囲で一定となるまでの時間を応答時間として測定した。また、30℃から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、30分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から200℃に設定し10分後のウェハ温度の最大値と最小値の差をウェハWの温度差として測定した。
本願発明のウェハ支持部材1で、中心部に円形の抵抗発熱体ゾーンと、その外側の同心円の3つの円環内に抵抗発熱体ゾーンを備えた試料No.1〜30のウェハ支持部材1はウェハWの温度差は0.5℃未満で且つ応答時間は59秒以下と優れていた。また、中心部の抵抗発熱体ゾーンの外径D1はその最外周の抵抗発熱体ゾーンの外径Dの15〜40%であり、外径D2は外径Dの40〜60%であり、外径D3は外径Dの60〜85%であるウェハ支持部材1は、表1の試料No.2〜9、12〜19、22〜29であり、ウェハWの温度差は0.45℃以下と小さく、しかも応答時間は48秒以下と小さく優れた特性を示す事が分った。
更に、中心部の抵抗発熱体ゾーンの外径D1は抵抗発熱体の円Cの直径Dの20〜30%である試料No.4〜7のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.31℃以下と小さく、且つ応答時間も39秒以下と小さく優れていることが分った。また、外径D1はDの22〜26%である試料No.5〜6のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.22℃以下と小さく応答時間は37秒以下と小さく更に好ましいことが分った。
また、外径D2はDの45〜54%である試料No.14〜17のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.35℃以下と小さく応答時間は36秒以下と小さく好ましいことが分った。また、外径D2はDの48〜51%である試料No.15〜16のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.21℃以下と小さく応答時間は32秒以下と小さく更に好ましいことが分った。
また、外径D3はDの65〜75%である試料No.24〜27のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.32℃以下と小さく応答時間は35秒以下と小さく好ましいことが分った。また、外径D3はDの67〜70%である試料No.25〜26のウェハ支持部材で、ウェハの温度差が0.20℃以下と小さく応答時間は31秒以下と小さく更に好ましいことが分った。