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JP4653578B2 - 建築部材取付用金物、建築部材取付構造及び建築部材取付方法 - Google Patents

建築部材取付用金物、建築部材取付構造及び建築部材取付方法 Download PDF

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Description

本発明は、既存建物の屋根(屋上、ベランダ)に、例えば手摺、太陽発電機、物置等の建築部材を取り付けるための金物、さらにはこれを用いた建築部材取付構造及び建築部材取付方法に関する。
例えば屋上利用をしていないフラット屋根を持つ既存住宅の屋根(屋上、ベランダ)に手摺を取り付けることにより、屋上利用が図れるようになり、眺望や、洗濯物の干し場などとしての利用価値を高めることができる。また、近時では地球温暖化対策としての屋上緑化の社会的ニーズが高まっており、将来的には屋上非利用の既存建物の屋上を利用できるように改築するケースが多くなるものと予想される。
屋上非利用の建物に屋上手摺を安全性能を充分確保して取り付けるためには、建物本体に強固に止めつける必要があり、例えば鉄骨構造の建物においては、骨組みの鉄骨梁などに止めつけることにより、手摺の強度が確保される。
従前は、新規に手摺を取り付けるために、屋上にコンクリートで土台を作り、その重みで手摺が転倒しないようにする工法があった。しかしながら、この工法は、建物本体の構造体に手摺を緊結しているものではなく、コンクリートの土台を単に防水層の上に置いてあるのみであった。そのため、手摺がぐらぐらする、また大きな力がかかると、動いてしまうなどの欠点があった。
また、既存建物の屋上に新規に手摺を設置する方法については幾つかの工法が提案されている。例えば特許文献1には、あらかじめ、手摺を後設置する際に用いる埋込連結体を躯体に結合しておく提案がなされている。
特開平8−260642号公報
特許文献1に記載の工法によれば、簡易に且つ十分な支持構造で既存建物の屋上に新規に手摺を設置することが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載の工法では、以下のような問題が生じていた。
(1)既存梁のセンターに埋込連結体を固定しているため、手摺の形状によっては、既存梁に接するようにして上部に延出されているパラペットが邪魔になり、手摺を取り付けることができない場合があった。
(2)図9に示すように、屋上の床材としてコンクリート系パネル91を用いたフラット屋根では、コンクリート系パネル91の吹上げ防止のために、パネル91の側面に吹上げ防止突起92を設け、この吹上げ防止突起92に係合する吹上げ防止鉄筋93を仕込むことが行われている。このようなフラット屋根では、通常、吹上げ防止鉄筋93は梁94のセンター付近に位置するため、既存梁のセンターに埋込連結体を固定しょうとすると、吹き上げ防止構造を破損してしまう。
本発明は、以上のような問題点に着目してなされたもので、既存の鉄骨住宅の屋上の床に手摺、太陽発電機、物置等の建築部材を取り付ける場合において、上記のようなパラペットや吹上げ防止鉄筋を回避しつつ、簡易に且つ十分な支持構造で建築部材を取り付けることが可能な建築部材取付用金物、さらにはこれを用いた建築部材取付構造及び建築部材取付方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成すべく成された本発明は、以下の構成を有するものである。
すなわち、本発明の建築部材取付用金物は、屋上の床材にコンクリート系パネルを用いている既存の鉄骨住宅の屋上に建築部材を取り付けるための建築部材取付用金物であって、
筒状体の下部にその外周一方向に延出された板状体を有し、該板状体の延出端近傍に設けられたボルト穴を介して既存梁の上部フランジの片側上面にボルト固定される梁取付部材と、
前記筒状体の上部に前記板状体とは異なる方向に延出され、この延出端近傍に設けられたボルト穴を介してコンクリート系パネルの上面にボルト固定される床取付部材と、
前記筒状体に螺合接続され、上部に建築部材取付部を有する建築部材取付部材と、
からなることを特徴とする。
また、前記床取付部材は、前記板状体の延出方向に対して90度以上170度以下の方向に延出されていることを特徴とする。
また、前記床取付部材は、前記筒状体に高さ調節可能に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の建築部材取付構造は、上記本発明の建築部材取付用金物を用いた建築部材取付構造であって、
既存梁の上方の屋上床構成材が取り除かれた開口部を貫通して、前記既存梁の上部フランジの片側上面に前記梁取付部材がボルト固定され、
前記開口部に近接する床材の上面に前記床取付部材がボルト固定され、
前記梁取付部材の筒状体に螺合接続された建築部材取付部材の建築部材取付部に、建築部材取付手段が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の建築部材取付方法は、梁取付部材と建築部材取付部材とを有する建築部材取付用金物を用いた建築部材取付方法であって、
既存梁の上方の屋上床構成材に開口部を設ける工程と、
前記開口部を貫通して、前記既存梁の上部フランジに前記梁取付部材をボルト固定する工程と、
前記梁取付部材の筒状体に前記建築部材取付部材を螺合接続する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明の建築部材取付用金物、建築部材取付構造及び建築部材取付方法によれば、内装を傷つけることなく、屋上からのみの施工で火気も使わずに簡易に手摺、太陽発電機、物置等の建築部材を取り付けることができる。
また、既存梁にボルト固定される梁取付部材の板状体は、筒状体の外周一方向に延出されているため、梁取付部材の筒状体及びこれに螺合接続される建築部材取付部材を既存梁のセンターから離れた状態で設置することができる。このため、パラペットが既存梁に近接して上部に延出している場合にも、建築部材の形状に関わらずパラペットを回避して建築部材を取り付けることができる。従って、手摺を取り付けるのに有利である。
また、既存梁の上部フランジの片側上面に梁取付部材をボルト固定するため、既存梁のセンター付近に吹上げ防止鉄筋が仕込まれている場合であっても、吹上げ防止鉄筋を避けて梁取付部材を据え付けるための開口部を屋上床構成材に設けることができ、既存の吹上げ防止構造を破損することなく建築部材を設置することができる。
さらに、コンクリート系パネルにも床取付部材がボルト固定されるため、梁取付部材の既存梁への固定位置と、建築部材取付部材が螺合接続される筒状体のセンター位置が偏芯しているにもかかわらず、十分な支持構造で建築部材を取り付けることができる。
また、床取付部材が板状体の延出方向に対して90度以上170度以下の方向に延出されている場合には、コンクリート系パネルの繋ぎ目部分(目地部分)に梁取付部材が位置していても、この繋ぎ目部分を避けつつ床取付部材をコンクリート系パネルに強固に固定することができ、あらゆる場所に十分な支持構造で建築部材を取り付けることができる。
また、床取付部材が筒状体に高さ調節可能に取り付けられている場合には、同じ(標準化された)建築部材取付用金物を、厚みの異なるコンクリート系パネルを使用している既存建物にも用いることができ、汎用性が高い。
以下、建築部材として手摺を鉄骨住宅の屋上に取り付ける場合を例に挙げ、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明するが、本発明はかかる形態例に限定されるものではない。
図1は本発明の一実施形態例に係る手摺(建築部材)取付用金物10を示す斜視図、図2は手摺取付用金物の梁取付部材と床取付部材の連結状態を示す上面図である。
本例の手摺取付用金物10は、梁取付部材11、床取付部材12、及び手摺(建築部材)取付部材13からなる。
梁取付部材11は、内側にネジが切られている筒状体11aと、この筒状体11aの下部にその外周一方向に延出されている板状体11bと、補強材11cからなる。また、板状体11bの延出端近傍には2つのボルト穴11dが設けられている。
床取付部材12は、筒状体11aの上部に板状体11bとは異なる方向に延出されており、この延出端近傍にはボルト穴12aが設けられている。なお、本例の床取付部材12は、板状体11bの延出方向に対して135度の方向に延出されている。
手摺取付部材13は、筒状体11aの内側に螺合接続するためにネジが切られている支柱13aと、支柱13aの上部に固定された手摺(建築部材)取付部13bからなる。手摺取付部13bは、4つのボルト穴13cが設けられた円板状のものである。
次に、本例の手摺取付用金物10を用いた手摺(建築部材)取付方法を図面に基づいて説明する。図3は本例の手摺取付用金物10を既存の鉄骨住宅の屋上に取り付けた状態を示す平面図、図4は図3中のA−A’断面図である。
本例の手摺取付方法は、既存梁の上方の屋上床構成材に開口部を設ける工程と、前記開口部を貫通して、既存梁の上部フランジの片側上面に梁取付部材11をボルト固定する工程と、前記開口部に近接する床材の上面に床取付部材12をボルト固定する工程と、梁取付部材11の筒状体11aに手摺取付部材13を螺合接続する工程と、手摺取付部材13の手摺取付部13bに手摺もしくは手摺取付手段を設ける工程と、を有している。
まず、既存梁31の上方の屋上床構成材32の一部を切り欠き撤去する。撤去は屋外(屋上)から、ホルソーなどの穴あけ機械により屋上床構成材32の材料群(本例では、防水層33と、断熱層34と、ALCパネルやPCパネル等のコンクリート系パネル35からなる。)を一挙に撤去する事が可能である。屋上床構成材32が取り除かれた開口部36では、既存梁31は屋上に露出することになり、屋上から既存梁31の上フランジ31aの片側(外壁37から遠い側)に、梁取付部材11を固定するためのボルト穴を穿つことが可能である。なお、既存梁31の上フランジ31aに既存のボルト穴がある場合はその穴を利用することができる。
また、コンクリート系パネル35に床取付部材12をボルト固定できるように、床取付部材12が配置される部分の防水層33と断熱層34を撤去すると共に、この撤去部分のコンクリート系パネル35にボルト穴38をあけておく。
次に、既存梁31の上フランジ31aに設けたボルト穴と、板状体11bに設けられているボルト穴11dを利用し、開口部36を貫通して、既存梁31の上フランジ31aの片側上面に梁取付部材11をワンサイドボルト39により固定する。また、コンクリート系パネル35に設けたボルト穴38と、床取付部材12に設けられているボルト穴12aを利用し、コンクリート系パネル35の上面に床取付部材12をワンサイドボルト40により固定する。このように、一方向から締め付け施工が可能なワンサイドボルトを用いることにより、屋上から簡単に作業を進めることができる。
次に、梁取付部材11の筒状体11aに手摺取付部材13を螺合接続する。この時、手摺の仕様等に応じて、手摺取付部13bの高さを調整する。
最後に、撤去した屋上床構成材32を復旧し、防水層33を手摺取付部材13の支柱13aにも延長し防水を完全なものとした後、手摺取付部材13の手摺取付部13bに設けられている手摺取付手段であるボルト穴を利用して手摺をボルト固定する(これらは不図示)。
このように、梁取付部材11の既存梁31への固定位置と、手摺取付部材13が螺合接続される筒状体11aのセンター位置が偏芯しているため構造的に不安定になりやすいものの、本発明においては、コンクリート系パネル35にも床取付部材12がボルト固定されるため、十分な支持構造で追加手摺を取り付けることができる。
また、既存梁31にボルト固定される梁取付部材11の板状体11bは、筒状体11aの外周一方向に延出されているため、梁取付部材11の筒状体11a及びこれに螺合接続される手摺取付部材13を既存梁31のセンターから離れた状態で設置することができる。このため、パラペットが既存梁31に近接して上部に延出している場合にも、手摺の形状に関わらずパラペットを回避して手摺を取り付けることができる。
また、既存梁31の上部フランジ31aの片側に梁取付部材11をボルト固定するため、既存梁31のセンター付近に前述したような吹上げ防止鉄筋が仕込まれている場合であっても、吹上げ防止鉄筋を避けて梁取付部材11を据え付けるための開口部36を屋上床構成材32に設けることができ、既存の吹上げ防止構造を破損することなく追加手摺を取り付けることができる。
また、本例のように床取付部材12が板状体11bの延出方向に対して90度以上170度以下(本例では135度)の方向に延出されている場合には、図5に示すように、コンクリート系パネル35の繋ぎ目51に梁取付部材11が位置していても、繋ぎ目51を避けつつ床取付部材12をコンクリート系パネル35に強固に固定することができ、コンクリート系パネルの割付に関わらずあらゆる場所に十分な支持構造で追加手摺を取り付けることができる。一方、上記角度が90度未満であると床取付部材12による十分な補強効果が得ずらくなり、170度を超えるとコンクリート系パネル35の繋ぎ目51に床取付部材12が重なり易くなり、前記と同様、床取付部材12による十分な補強効果が得ずらくなる。
また、本例のように既存梁31の上フランジ31aよりも外側まで大きく開口部36を設けた場合には、例えば図6に示すような特殊座金61を用いることにより、前記ワンサイドボルトの代わりに一般的なボルト・ナットを用いて梁取付部材11及び床取付部材12をそれぞれ既存梁31及びコンクリート系パネル35に固定することもできる。この特殊座金61は内周部分に弾性変形し得る突出片61aを有しており、図7に示すように、開口部36から床下に手を入れて既存梁31の上フランジ31a及びコンクリート系パネル35の下側からボルト穴にボルト71,72を差し込み、上側から特殊座金61を装着すると、突出片61aによってボルト71,72が係止されるため、ボルト71,72は脱落することなく装着することができる。このようにしてボルト71,72を装着すれば、ワンサイドボルトを用いた時と同様に屋上からの作業だけで、図8に示すように、梁取付部材11及び床取付部材12をそれぞれ既存梁31及びコンクリート系パネル35に容易にボルト止めすることができる。
また、本発明においては、例えば梁取付部材11の筒状体11aの外側にもネジを切り、この筒状体11aに床取付部材12を螺合接続して、床取付部材12を筒状体11aに高さ調節可能に取り付けることにより、同じ手摺取付用金物を、厚みの異なるコンクリート系パネルを使用している建物にも用いることができる。
本発明の一実施形態例に係る手摺(建築部材)取付用金物を示す斜視図である。 図1の手摺取付用金物の梁取付部材と床取付部材の連結状態を示す上面図である。 図1の手摺取付用金物を既存の鉄骨住宅の屋上に取り付けた状態を示す平面図である。 図3中のA−A’断面図である。 本発明の手摺取付用金物を既存の鉄骨住宅の屋上に取り付けた状態を示す別の平面図である。 本発明で用いることができる特殊座金の一例を示す図である。 図6の特殊座金を用いて梁取付部材及び床取付部材をそれぞれ既存梁及びコンクリート系パネルにボルト止めする方法の説明図である。 図6の特殊座金を用いて梁取付部材及び床取付部材をそれぞれ既存梁及びコンクリート系パネルにボルト止めする方法の説明図である。 屋上の床材としてコンクリート系パネルを用いたフラット屋根の吹上げ防止構造を示す図である。
符号の説明
10 手摺(建築部材)取付用金物
11 梁取付部材
11a 筒状体
11b 板状体
11c 補強材
11d ボルト穴
12 床取付部材
12a ボルト穴
13 手摺(建築部材)取付部材
13a 支柱
13b 手摺(建築部材)取付部
13c ボルト穴
31 既存梁
31a 上フランジ
32 屋上床構成材
33 防水層
34 断熱層
35 コンクリート系パネル
36 開口部
37 外壁
38 ボルト穴
39、40 ワンサイドボルト
61 特殊座金
61a 突出片
71、72 ボルト
91 コンクリート系パネル
92 吹上げ防止突起
93 吹上げ防止鉄筋
94 梁
95 外壁
96 防水層
97 断熱層

Claims (5)

  1. 屋上の床材にコンクリート系パネルを用いている既存の鉄骨住宅の屋上に建築部材を取り付けるための建築部材取付用金物であって、
    筒状体の下部にその外周一方向に延出された板状体を有し、該板状体の延出端近傍に設けられたボルト穴を介して既存梁の上部フランジの片側上面にボルト固定される梁取付部材と、
    前記筒状体の上部に前記板状体とは異なる方向に延出され、この延出端近傍に設けられたボルト穴を介してコンクリート系パネルの上面にボルト固定される床取付部材と、
    前記筒状体に螺合接続され、上部に建築部材取付部を有する建築部材取付部材と、
    からなることを特徴とする建築部材取付用金物。
  2. 前記床取付部材は、前記板状体の延出方向に対して90度以上170度以下の方向に延出されていることを特徴とする請求項1に記載の建築部材取付用金物。
  3. 前記床取付部材は、前記筒状体に高さ調節可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の建築部材取付用金物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の建築部材取付用金物を用いた建築部材取付構造であって、
    既存梁の上方の屋上床構成材が取り除かれた開口部を貫通して、前記既存梁の上部フランジの片側上面に前記梁取付部材がボルト固定され、
    前記開口部に近接する床材の上面に前記床取付部材がボルト固定され、
    前記梁取付部材の筒状体に螺合接続された建築部材取付部材の建築部材取付部に、建築部材取付手段が設けられていることを特徴とする建築部材取付構造。
  5. 梁取付部材と建築部材取付部材とを有する建築部材取付用金物を用いた建築部材取付方法であって、
    既存梁の上方の屋上床構成材に開口部を設ける工程と、
    前記開口部を貫通して、前記既存梁の上部フランジに前記梁取付部材をボルト固定する工程と、
    前記梁取付部材の筒状体に前記建築部材取付部材を螺合接続する工程と、
    を有することを特徴とする建築部材取付方法。
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