JP4646278B2 - 照明光学系及び投射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明光学系及び投射装置に関し、さらに詳しくは、レーザ光を光源とし被照射部を均一に照明する照明光学系、レーザ光を光源とする照明光学系を用いた投射装置に関し、プロジェクタ、レーザ加工、ステッパ等多くの技術分野への応用に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
1998年9月28日付け日経産業新聞に、ビーム強度分布を変換することができる特殊レンズに関する記事が記載されている。
図30は、同記事に記載されている図で、図30に示された特殊レンズは、レンズの中央部が凹レンズ効果を有し、周辺部が凸レンズ効果を有するような特殊な断面形状を有し、強度分布に疎密があるビームを強度分布が均一なビームに変換することができる。
しかし、強度分布に疎密があるビームを均一な強度分布の平行光線束に変換するのを、レンズで実施するにはレンズ形状の設計が困難であり、また特殊な断面形状の金型を作製する必要があるため高コストとなる。
【0003】
また、特開平8−94839号公報には、第1のホログラムと第2のホログラムからなる光ビーム変換素子が記載されている。しかし、この光ビーム変換素子によれば、第1のホログラムの各ファセットからの光が第2のホログラムの全面に照射されるため、第2のホログラムで全ての光線を平行化させることは不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術に鑑みてなされたもので、強度分布に疎密がある光源からのビームを被照射部で均一な強度分布に、または、均一な強度分布の平行光線束に変換する変換素子に特殊な断面形状のレンズを用いることなしに、ホログラム素子を用いて強度分布に疎密がある光源からのビームを被照射部で均一な強度分布に、または、均一な強度分布のビームに変換することができる光学変換素子、照明光学系及び投射装置を低コストで提供することを目的とする。また、各請求項の発明は次のような事項を目的とする。
【0005】
(1)レーザ光源のビームを被照射部に強度分布が均一となるように照明することを目的とする(請求項1)。
【0006】
(2)強度分布がガウシアン分布を有するビームを強度分布が均一なビームに変換することができ、ホログラム素子の作製に二光束干渉露光法を使用することができるようにすることを目的とする(請求項2)。
【0007】
(3)レーザアレイ光源の各ガウシアン分布を有するビームを強度分布が均一なビームに変換することを目的とする(請求項3)。
【0008】
(4)レーザアレイ光源の各ガウシアン分布を有するビームを強度分布が均一なビームに変換し、かつ小型な照明光学系にも使用可能であることを目的とする(請求項4)。
【0010】
(5)レーザ光源のビームを被照射部に強度分布が均一となるように照明し、かつ照明光学系の小型化を可能とすることを目的とする(請求項5,6)。
【0011】
(6)発光部がライン状に配列されたレーザアレイ光源のビームを被照射部に強度分布が均一となるように照明する照明光学系において、レーザアレイ光源のアレイ数が多くなっても照明光学系の設計が容易であることを目的とする(請求項7)。
【0012】
(7)レーザ光源またはレーザアレイ光源を用いた投射装置を小型化し、高性能化することを目的とする(請求項8)。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するためになされたものであって、その第1の技術手段は、レーザ光源と、コリメートレンズと、ビーム変換素子と、レンズアレイからなる照明光学系において、前記ビーム変換素子は、平行配置された第1ホログラム素子と第2ホログラム素子からなり、前記第1ホログラム素子は凹レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が大きく、前記第2ホログラム素子は凸レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が小さいことを特徴とする。
【0025】
第2の技術手段は、第1の技術手段のビーム変換素子において、前記第1ホログラム素子と前記第2ホログラム素子は、斜入射系となるように配置されていることを特徴とする。
【0026】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段のビーム変換素子において、前記第1ホログラム素子と前記第2ホログラム素子のホログラムパターンは、それぞれアレイ状に形成されていることを特徴とする。
【0027】
第4の技術手段は、第2の技術手段のビーム変換素子が複数個アレイ状に配列されているビーム変換素子であることを特徴とする。
【0029】
第5の技術手段は、第1の技術手段の照明光学系において、前記コリメートレンズ部は、コリメート機能を有するホログラム素子からなることを特徴とする。
【0030】
第6の技術手段は、第5の技術手段の照明光学系において、前記レンズアレイは、レンズアレイ機能を有するホログラム素子からなることを特徴とする。
【0031】
第7の技術手段は、レーザアレイ光源と、ビーム変換素子部と、ホモジナイザからなる照明光学系において、前期レーザアレイ光源は発光部がライン状に配列され、前記ビーム変換素子部は前記レーザアレイ光源のアレイ厚さ方向のみにレンズ機能を有し、第1ホログラム素子と第2ホログラム素子で形成され、前記第1ホログラム素子は凹レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が大きく、前記第2ホログラム素子は凸レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が小さい照明光学系であることを特徴とする。
【0032】
第8の技術手段は、第1〜7の照明光学系と、ライトバルブと、投射レンズからなる投射装置であることを特徴とする。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜29に示す実施例1〜22に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1のビーム変換素子を示す図である。
実施例1のビーム変換素子1は、第1のホログラム素子2と第2のホログラム素子3から構成され、両者は互いに平行に配置される。
第1のホログラム素子2は、凹レンズの機能を有するが、中心に近づくほど焦点距離が大きく(凹レンズの焦点距離は負の値なので、焦点距離が大きいということは焦点距離の長さが小さいことになる)、レンズの周辺に近づくほど焦点距離が小さくなるように設計されている。第1のホログラム2は、例えば計算機ホログラムの作製方法で作製可能である。
第2のホログラム素子3は凸レンズの機能を有するが、中心に近づくほど焦点距離が小さく、周辺に近づくほど焦点距離が大きくなるように設計されている。第2のホログラム素子3も計算機ホログラムによって作製可能である。
【0045】
図1に示すビーム変換素子1は、向かって左側からレーザ光4が第1のホログラム素子2に入射する。通常、レーザ光のビームプロファイルはガウシアン分布(Gaussian Distribution)で、ビームの中心が強度が高く、ビームの周辺に近づくにしたがって指数関数的に光強度が減少する。図1に示すレーザ光4もガウシアン分布であり、図1では光強度の強い領域ほど線と線の間隔を狭く描いている。
第1のホログラム素子2によってレーザ光4の中心部付近の強度の強い光線は焦点距離が大きい(焦点距離の長さが小さい)レンズ作用を受けて大きく発散される。レーザ光4の周辺部にいくにしたがって第1のホログラム素子2による発散角は小さくなる。これらの光線は、第2のホログラム素子3によって平行光束となる。
そして、第1のホログラム素子2から第2のホログラム素子3に向かう光は重なり合うことなく第2のホログラム素子3に入射させるため、第2のホログラム素子3から透過される光を平行化させることが設計上可能になる。
したがって、第1,第2のホログラム素子2,3によって、ガウシアンビームをコリメート光で、かつ放射照度を均一化したビーム5に変換することができる。
【0046】
(実施例2)
図2は、実施例2のビーム変換素子を示す図である。
実施例2のビーム変換素子6は、平行配置された第1のホログラム素子7と第2のホログラム素子8で構成される。
第1のホログラム素子7は、凹レンズ機能と偏向機能を有する。第1のホログラム素子7の中心部付近は焦点距離が大きく(焦点距離の長さが小さく)、かつ光軸が所定の方向に偏向される。第1のホログラム素子7の周辺に近づくほど、その凹レンズ機能の焦点距離が小さく(焦点距離の長さが大きく)なるように設計される。
一方、第2のホログラム素子8は、凸レンズ機能と偏向機能を有する。第2のホログラム素子8の中央に近づくほど凸レンズの焦点距離が小さく、周辺に向かうにしたがって焦点距離が大きくなるように設計されている。
【0047】
第1のホログラム素子7に入射するレーザ光9はその強度分布がガウシアン分布であり、中央部付近の強度が高く、ビームの周辺に向かうにしたがって指数関数的に光強度が減少する。図2では強度の強い領域ほど線と線の間隔を狭くして表している。ガウシアン分布のレーザ光9の中央付近は、第1のホログラム素子7の中央部付近の偏向機能と凹レンズ機能によって進行方向が変わり、かつ発散される。ガウシアン分布のレーザ光9の周辺ほど発散の度合いが小さくなっている。
これらのビームが第2のホログラム素子8に入射されると、凸レンズ機能と偏向機能によって図2に示すように平行光束化し、かつ強度分布が均一なレーザ光10に変換される。
【0048】
実施例2のような斜入射系のホログラムを用いることによって、図12に示すような二光束干渉露光法でホログラムを作製することができる。
垂直入射ホログラムを用いることによっても、二光束干渉露光法は可能であるが、効率の良いホログラムの作製は困難である。
斜入射系のホログラムでは図12のようにホログラム記録材料の基板74の片側から二つの光束を重ねることができる。ところが、二光束干渉で垂直入射タイプのホログラムを作製するには基板74の両側から光束を照射するため、基板74の裏面による多重反射によってホログラムの効率や特性が低下する。
したがって、本構成の場合、2つのホログラム素子からなるビーム変換素子の作製自由度が高くなることになる。
【0049】
(実施例3)
図3は、実施例3のビーム変換素子を示す図である。
実施例3のビーム変換素子11は、第1のホログラム素子12と第2のホログラム素子13で構成される。入射光はアレイ光14であり、例えば、レーザアレイ光源からのレーザ光である。図3では2つのビームのみ表しているが、アレイ数はいくつであっても構わない。
第1のホログラム素子12は入射光であるアレイ光14のアレイ数に対応する領域のホログラムが施されている。図3では2つのビームに合わせて、第1のホログラム素子12には2つの領域にホログラムを施している。
同様に、第2のホログラム素子13も入射ビームのアレイ光14に合わせた領域にホログラムが施されている。各領域のホログラムの構成は、実施例1に記載されるホログラムと同じであるので説明を省略する。
実施例3の構成によって、各々がガウシアンビームであるアレイ光14をそれぞれビーム変換し、強度均一化されたアレイ光15が得られる。
【0050】
(実施例4)
図4は、実施例4のビーム変換素子を示す図である。
実施例4のビーム変換素子16は、第1のホログラム素子17と第2のホログラム素子18で構成される。
入射光19はアレイ光であり、例えばレーザアレイ光源からのレーザ光である。図4では2つのビームのみ表示しているが、アレイ数はいくつであっても構わない。
第1のホログラム素子17は入射光であるアレイ光19のアレイ数に対応した領域数のホログラムが施されている。図4では2つのビームにあわせて、第1のホログラム素子17には2つの領域にホログラムが施される。
同様にして、第2のホログラム素子18も入射ビーム数に合わせたホログラムが施されている。各領域のホログラムの構成は実施例2のビーム変換素子に用いられるホログラムと同じ構成であるので説明を省略する。
【0051】
実施例4のビーム変換素子によって、各々がガウシアンビームであるアレイ光19をそれぞれ強度均一化されたビーム変換し、強度均一化されたアレイ光20が得られる。また、実施例4に使われる第1、第2のホログラム素子17,18は計算機ホログラム以外にも二光束干渉露光法で作製することも可能である。
二光束干渉露光法でホログラムを作製するには、図12に示すように、レーザ光75をハーフミラー69(またはビームスプリッタ)で2分する。一方のビームは必要ならミラー70で反射させ、ホログラム記録材料の基板74に照射される。もう一方のビームは必要ならミラー71で反射させ、レンズ72で集光させホログラム記録材料の基板74に照射する。ホログラム記録材料の基板74の直前にはマスク73を配置させ、必要な領域だけを露光させるようにする。その領域に適した焦点距離となるようにレンズ72を適宜交換することによって、ホログラム素子の焦点距離を変えることができる。さらに、レンズ72の焦点位置をホログラム記録材料の基板74の手前に(図12に示す配置)するとホログラム素子は凹レンズ機能を有し、焦点位置が記録材料74の先にあれば凸レンズ機能をもたせることになる。
【0052】
(実施例5)
図5は、実施例5のビーム変換素子を示す図である。
実施例5のビーム変換素子21は、第1のホログラム素子22a,22b,…と第2のホログラム素子23a,23b,…で構成される。図5に示したビーム変換素子21は2セットのホログラム素子であるが、入射されるアレイ光24の数に合わせる。
入射されるアレイ光24は、まず第1のホログラム素子22a,22bで回折される。
各々の第1ホログラム素子22a,22bは凹レンズ機能を有し、各素子の中心に近づくほど焦点距離が大きい凹レンズ機能を有する。
第2のホログラム素子23a,23bは凸レンズ機能を有し、各ホログラム素子の中心ほど焦点距離が短い凸レンズ機能を有する。
【0053】
実施例5のビーム変換素子21の構成によって、強度分布がガウシアン分布のアレイ光24は、2枚のホログラム素子22a,22bで回折させた結果、光強度が均一化される。この動作が全てのアレイ光24で動作されるので、結果的にレーザアレイ光24を全て均一ビームのアレイ光25に変換させることができる。また、斜入射系のホログラムであるため、二光束干渉露光法でも、計算機ホログラムでも作製が可能である。
さらに、ホログラム素子をアレイ状に配置させるため、ビーム変換素子部21の入射光軸方向の長さを小さくまとめることができる。
【0054】
(実施例6)
図6は、本発明の実施例6の照明光学系を示す図である。
実施例6の照明光学系26は、レーザアレイ光源27と、コリメートレンズアレイ28と、ビーム変換素子部29と、レンズアレイ30と、コンデンサレンズ31で構成され、被照射部32を照射する。
コリメートレンズアレイ28は、必ず備えなければならないものではなく、ビーム変換素子部29のホログラム素子の設計と配置によって、コリメートレンズアレイ28を省略することができる。具体的には、第1のホログラム素子に入射する光を発散光で設計し、さらに、レーザアレイ光源27の各アレイからの発散光が重ならないうちに第1のホログラム素子に入射するように配置させればよい。
また、コンデンサレンズ31は必ずしも必要ではなく、レンズアレイ30にコンデンサレンズ31の機能を持たせることも可能である。
【0055】
ビーム変換素子部29には、実施例3〜5のビーム変換素子11,16,21を用いることができる。
実施例6の照明光学系26によって、レンズアレイ30に入射される各ビームは照度が均一化されている。レンズアレイ30とコンデンサレンズ31によって各ビームを被照射部32に照射している。
均一化されている各ビームを被照射部32で重ね合わせるため、被照射部32でも均一な照度分布が得られる。さらに、レーザアレイ光源27の各ビームは被照射部32全体を各々照明するため、レーザアレイ光源27の各アレイ間で光強度のばらつきがあったとしても、被照射部32で均一な照明となる。
【0056】
(実施例7)
図7は、本発明の実施例7の照明光学系を示す図である。
実施例7の照明光学系33は、光源34と、コリメートレンズ機能を有するホログラム素子35と、ビーム変換素子部36と、レンズアレイ37、コンデンサレンズ38で構成され、被照射部39を照射する。
光源34は一本のレーザでもレーザアレイ光源でも良い。レーザアレイ光源の場合にはホログラム素子35やビーム変換素子部36はアレイ状にホログラムが形成される。
【0057】
光源34からの各ビームは、ホログラム素子35で各々平行光束化される。この段階では平行光束化されただけで、それぞれのビームにはガウシアンの強度分布であり、このビームがビーム変換素子部36に入射する。光源34が一本のレーザであるならビーム変換素子部36は、実施例1または2のビーム変換素子1,6を使用し、レーザアレイ光源なら実施例3〜5のビーム変換素子11,16,21を用いる。
ビーム変換素子の機能によって各々のビームは均一照度分布のビームに変換される。レンズアレイ37とコンデンサレンズ38によって、それぞれの均一ビームを被照射部39に重ね合わせる。したがって、被照射部39でも均一な照度が得られる。
ホログラム素子35の機能は、ビーム変換素子部36に持たせることも可能である。
実施例7の照明光学系33によって、レーザ光源もしくはレーザアレイ光源を被照射部39に均一照明することができる。さらに、ホログラム素子35はビーム変換素子部36のホログラムに集約することも可能であるため、さらに小型の照明光学系を実現することができる。
【0058】
(実施例8)
図8は、本発明の実施例8の照明光学系を示す図である。
実施例8の照明光学系40は、光源41と、コリメートレンズ機能を有するホログラム素子42と、ビーム変換素子部43と、各光束を合成するホログラム素子44で構成され、被照射部45を照射する。
光源41は一本のレーザでもレーザアレイ光源でもよい。レーザアレイ光源の場合にはホログラム素子42,44やビーム変換素子部43はアレイ状にホログラムが形成される。
光源41からの各ビームはホログラム素子42で各々平行光束化される。この段階では平行光束化されただけで、それぞれのビームにはガウシアンの強度分布である。このビームがビーム変換素子部43に入射する。光源41が一本のレーザならビーム変換素子は実施例1または2のビーム変換素子1,6を使用し、レーザアレイ光源なら実施例3〜6記載のビーム変換素子11,16,21を用いることができる。ビーム変換素子の機能によって各々のビームは均一照度分布のビームになる。ホログラム素子44は、これ一枚で図7に示すレンズアレイ37とコンデンサレンズ38の組み合わさった機能を有する。
【0059】
実施例8の照明光学系40によって、レーザ光源もしくはレーザアレイ光源を被照射部45に均一照明することができる。さらに、ホログラム素子42,44はどちらか一方、または両方をビーム変換素子部43のホログラムに集約することも可能であるため、さらに小型の照明光学系を実現することができる。
【0060】
(実施例9)
図9は、本発明の実施例9の照明光学系を示す図で、図9(A)は正面図、図9(B)は平面図である。
実施例9の照明光学系46は、レーザアレイ光源47と、レンズアレイ48と、シリンドリカルレンズ49と、ビーム変換素子部50と、レンズアレイ51、シリンドリカルレンズ52,53で構成され、被照射部54を照射する。
レーザアレイ光源47は、レーザ発振部がライン状に配列されている。
レンズアレイ48はコリメートレンズアレイで示されているが、レーザアレイ厚さ方向にはレンズパワーを持たないシリンドリカルレンズアレイでもよい。
ビーム変換素子部50は、レーザアレイの厚さ方向のガウシアン分布特性を均一なビームに変換する機能を有する。
レンズアレイ51とシリンドリカルレンズ52はレーザアレイ光源47のアレイ方向成分のホモジナイザである。すなわち、レーザアレイ47のアレイ方向に(図9(A)の紙面内方向に)平行光束化されたアレイ光をシリンドリカルレンズアレイ48の分割数だけ分割し、シリンドリカルレンズ52で各々を被照射部54で重ね合わせる。
シリンドリカルレンズ53はレーザアレイ47のアレイ厚さ方向のビームを被照射部54に合わせるためのレンズである。図9(B)で、ビーム変換素子部50からのビームが既に被照射部54の形状に合っているなら、シリンドリカルレンズ53は必要ではない。
また、シリンドリカルレンズ49も特に必要ではない。シリンドリカルレンズ49のない場合には、入射光が発散光であることを考慮したビーム変換素子部50を設計すればよい。
【0061】
レンズアレイ48はレーザアレイ光源47のアレイ数に一致する。
レンズアレイ51はレーザアレイ数よりも好ましくは少なくし、かつレーザアレイ数の約数ではない分割数を選ぶ。被照射部54でレンズアレイ51の各アレイでのビーム強度が重ね合わさることになるが、アレイ数の約数でないために、各ビーム強度分布の位相がずれて重ね合わさり、均一化される。
実施例9の照明光学系46によって、ビーム変換素子部50のホログラム設計は光源のアレイ数に依存することなく設計することができる。
また、ホモジナイザ部は光源のアレイ数ほどの分割数にしなくても均一照明が可能である。したがって設計、作製がさらに容易になる。
【0062】
(実施例10)
図10は、本発明の実施例10の投射装置を示す図である。
実施例10の投射装置55は、レーザ光源56r,56g,56bと、照明光学系57r,57g,57bと、ライトバルブ58r,58g,58bと、色合成素子59と投射レンズ60で構成される。
レーザ光源56r,56g,56bが各々1本のレーザ光の場合には、照明光学系57r,57g,57bは、実施例1または2のビーム変換素子1,6を用いることができる。また、レーザ光源56r,56g,56bがアレイである場合、照明光学系57r,57g,57bには実施例3〜5のビーム変換素子11,16,21が用いられる。
ライトバルブ58r,58g,58bには、例えば液晶ライトバルブを用いることができる。
投射レンズの瞳に効率よく光を導くために、各ライトバルブ58r,58g,58bの直前にフィールドレンズを配置してもよい。
実施例10の投射装置55によって、ライトバルブ58r,58g,58b上で均一照度が得られ、投射レンズ60によってスクリーン(図示せず)上で照度均一化を図ることができる。
【0063】
(実施例11)
図11は、本発明の実施例11の投射装置を示す図である。
実施例11の投射装置61は、レーザアレイ光源62r,62g,62bを3枚ならべ、かつ単板のライトバルブ67を用いた例である。
レーザアレイ光源62r,62g,62bの直後にはコリメートレンズもしくはコリメートレンズ機能を有するホログラム素子63r,63g,63bが配置され、これらはビーム変換素子部64r,64g,64b、光束合成部65r,65g,65b、(必要なら)フィールドレンズ66、ライトバルブ67、投射レンズ68で構成される。ビーム変換素子部64r,64g,64bには実施例3〜5のビーム変換素子11,16,21が使われる。
光束合成部65r,65g,65bは、レンズアレイとコンデンサレンズで構成してもよいし、またホログラム素子で構成してもよい。
実施例11の投射装置61の構成によれば、レーザ光源を使用した小型の投射装置を実現することができる。
【0064】
(実施例12)
図13は、実施例12のビーム変換素子を示す図である。
実施例12のビーム変換素子81は、ホログラム素子82と被照射部83からなり、ホログラム素子82に強度分布が不均一なビーム86が入射される。入射光はレーザ光が最も均一化しやすいが、もとのビームより均一化されれば良い程度ならレーザ光以外のビームでも良い。例えば発光ダイオードやインコヒーレントの単色光でも良い。ただし、ビームの中心に向かって光線強度が高くなるガウシアンビームもしくはガウシアンに近いビームプロファイルを有する入射光である必要がある。ホログラム素子82の設計は次のように行う。
【0065】
入射光軸84と回折光軸85を含む面(図13の紙面に平行で入射光の中心を通る平面)でホログラム素子82を切った断面の格子ピッチが(式1)を満たすようにする。
P=A+Bx+Csin(Dx) (式1)
ただし、A,C,Dは0以外の定数、Bは0を含む定数
例えば、入射光が円形のガウシアンビームであるとき、Aは入射光軸が通過する場所の格子ピッチを表す。Bは図13において、ビームの両端の格子ピッチの差とホログラム領域の長さの比に関係する値である。Cは正弦波関数の重み付けで、Dはホログラム領域の中心から端までを半周期とするパラメータである。
【0066】
定数A、B,C,Dの範囲は次の通りである。
Aは入射光の波長によって異なるが、概ね、0<A<20(μm)である。
B,C,Dはホログラム素子のホログラム面の大きさや被照射部との相対位置によって異なるが、概ね、−2<B<2(μm),−1<C<1(μm),−0.3<D<0.3(rad/μm)である。
【0067】
図14は、定数A,B,C,Dの具体例として
A=0.5(μm)、
B=6.84×10−5(μm)、
C=−7.1×10−3(μm)、
D=1.37×10−2(rad/μm)
としたときの、ホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図であり、図15は図13のビーム変換素子を用いてガウシアン分布の入射光プロファイルが均一なビームプロファイルに変換される様子を示す図である。
図15に示すように、図13面内において、入射角30度の入射ビーム(ガウシアン分布)が光線強度の均一化されたビームに変換される。この設計を図13の紙面に非平行な方向にも行うことで被照射部83では円形で光線強度が均一になる。
【0068】
ホログラムの作製は、例えば電子ビーム描画機などを使い、いわゆる計算機ホログラムを作製するときに、(式1)を用いて格子ピッチを数値指定することができる。このため、ホログラムの作製も容易になる。この加工法によって表面レリーフを量産するための金型の原型、もしくは、体積ホログラム量産用のマスターホログラムを作ることが可能である。このため本発明によって低コストのビーム変換素子を実現できる。
【0069】
(実施例13)
図16は、実施例13のビーム変換素子を示す図であり、図17は、第2のホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図である。
実施例13のビーム変換素子88は、第1のホログラム素子89と第2のホログラム素子90で構成される。第1のホログラム素子89は(式1)で表される変調ピッチが形成される。第1のホログラム素子89で回折された光95は、実施例12の説明の通り、ガウシアンプロファイルの入射光94の中央付近は第2のホログラム素子90上で広がり、入射光の周辺からの光ほど第2のホログラム素子90上で圧縮される。第2のホログラム素子90の格子ピッチは、例えば図17で表される。この例は、第1のホログラム素子89として図16に示された格子を用いたときに、第2のホログラム素子90からの出射光96の回折角が15度でコリメート光として出射される場合である。図16の例では第1のホログラム素子89は入射光92に対し傾いているが、垂直に配置しても変調ピッチは設計可能である。
【0070】
二枚のホログラム素子を用いてガウシアンビームをコリメート光として均一強度にできるため、被照射部91と第2のホログラム素子90との距離が変っても均一性は保持される。このため、ビーム変換素子88と被照射部91の距離を任意に設定でき設置の自由度が高い。
【0071】
(実施例14)
図18は、実施例14のビーム変換素子97を示す図であり、図19は、第2のホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図である。
図18に示すように、実施例14のビーム変換素子97は、第1のホログラム98素子と第2のホログラム素子99で構成され、入射光103と出射光105の光軸101,102が平行となるようにホログラムを設計する。すなわち、例えば第1のホログラム素子98が図14に示される格子ピッチであるとき、第2のホログラム素子99は図19に示す変調ピッチにすれば良い。図19は第2のホログラム素子99が入射光103に対して垂直に配置された場合の格子ピッチである。第1のホログラム素子98の格子ピッチの設計値から第2のホログラム素子99への各光線の入射角は決まるため、第2のホログラム素子99からの回折光105が入射光103と平行となるように回折角度が決められるので第2のホログラム素子99の格子ピッチが求められる。
【0072】
2枚のホログラム素子を用いてガウシアンビームをコリメート光として均一放射照度にできるため、被照射部100と第2ホログラム素子99との距離が変化しても放射照度の均一性は保持される。このため、被照射部100までの距離を自由に選ぶことができる。これに加えて、入射光軸101と出射光軸102が平行になるため、本発明のビーム変換素子を光学系の一部に利用する場合にその他の光学系を設計しやすくなる。
図18では第1のホログラム素子98と第2のホログラム素子99が非平行であるが、平行であっても両ホログラム素子の格子ピッチは設計可能である。両ホログラム素子が平行な配置であれば第1のホログラム素子98からの回折光が第2のホログラム素子99に入力される場所では第1のホログラム素子98の格子ピッチと同じになる。
【0073】
(実施例15)
図20は、実施例15のビーム変換素子を示す図である。
実施例15のビーム変換素子111は、ホログラム素子112と被照射部113があり、(式1)で表される変調ピッチのホログラム素子112からの回折光115によって被照射部113が均一照明される。ホログラム素子112の変調ピッチの設計は実施例12に説明された通りである。ホログラム素子112の端部から被照射部113の端までの入射光軸に沿った距離Lを(式2)に示される様に配置する。
L≧W/tan(θ+ψ) (式2)
ここで、Wは入射ビームの直径もしくは入射面内のビームの幅を表し、θはホログラム素子112への入射角、ψはホログラム素子の平均的な回折角である。
【0074】
本構成によってホログラム素子112で回折せず透過した光116は被照射部113を外れる。従って、被照射部113でのビームの均一性が良好になる。図示しないが,被照射部113がホログラム素子112と平行であっても良く、さらにはホログラム素子112と被照射部113がともに入射光軸に垂直に配置されていても式2の関係を保った距離Lを設定すれば、被照射部113から不要光であるホログラム透過光116を外すことができる。
図示しないが、後述の実施例17,18においてホログラム素子をアレイ状に配列させたビーム変換デバイスの場合でも(式2)を満たすようにホログラム素子から被照射部までの距離を設定することによって不要な透過光を被照射部から外すことが可能である。
【0075】
(実施例16)
図21は、実施例16のビーム変換素子を示す図である。
実施例16のビーム変換素子は、第1のホログラム素子118と第2のホログラム素子119で構成される。第1のホログラム素子118はその格子が(式1)で表される変調ピッチを有し、入射光121は第2ホログラム素子119によってさらに回折され、入射光軸と平行となり、かつコリメート光123で出力される。図21のように第1のホログラム素子118と第2のホログラム素子119の入射光軸に沿った距離L1を(式3)で示される距離とし、
L1≧W/tan(θ+ψ) (式3)
さらに、第2ホログラム素子119から被照射部120までの入射光軸に沿った距離L2を(式4)で示される距離に設定する。
L2≧W/tan(θ+ψ) (式4)
【0076】
本構成によれば、第1のホログラム素子118から回折されずに透過する光124が被照射部120から外れ、さらには第1ホログラム素子118で回折されて第2ホログラム素子119で回折されずに透過する光125が被照射部120から外れる。このため、第1のホログラム素子118と第2のホログラム素子119で共に回折された光123のみが被照射部120に到達する。このためフレア光の無い設計通りの均一性の高いコリメート光が得られる。L1、L2がそれぞれ(式3),(式4)を満たす最小の距離を選ぶことによって小型のビーム変換素子が得られる。
【0077】
(実施例17)
図22は、実施例17のビーム変換素子を示す図である。
実施例17のビーム変換素子131は、ホログラム素子132によってレーザアレイ光134を被照射部133に均一照明する。図22ではガウシアンビームが2本で構成されるのでホログラム素子132には同じ格子パターンが2つあることになる。レーザアレイの数や配列方向に合わせて格子パターンを作製すればアレイ数は任意である。なお、格子パターンが同じパターンがアレイ状に配列されるには、ホログラムの基板132と被照射部133が平行である必要がある。
図示しないが、ホログラム基板132と被照射部133が非平行の場合には格子パターンはアレイごとに異なる。
【0078】
図23は、実施例17のビーム変換素子の異なる構成を示す図である。
ビーム変換素子136は、第1のホログラム素子137と第2のホログラム素子138で構成される。第1のホログラム素子137に施されるアレイ状の格子パターンは各々(式1)で表される変調ピッチを有する。第2のホログラム素子138は第1のホログラム素子と平行にしている。このため、両ホログラム素子ともに格子パターンは全て同じパターンをアレイ状に配列させれば良い。また、図23では第2ホログラム素子138と被照射部139は非平行であるが、平行であっても第2ホログラム素子138を設計することは可能である。
本発明によってアレイ光ごとにガウシアンビームのレーザアレイ光を被照射部139で均一な放射照度にすることができる。
【0079】
(実施例18)
図24は、実施例18のビーム変換素子を示す図である。
実施例18のビーム変換素子142は、ホログラム素子143a,143bがアレイ状に配列される。ガウシアンビームの特性を持つレーザアレイ光145に合わせてホログラム素子アレイ143a,143bを配置する。図23のように入射ビームに対してホログラム素子を傾ける場合にはアレイ数が多くなるとホログラム素子(図23の137,138)が光軸方向に長くなる。本構成のようにホログラム素子を配列させれば光軸方向の厚さをコンパクトにする事ができる。
【0080】
(実施例19)
図25は、実施例19のビーム変換素子を示す図である。
実施例19のビーム変換素子147は、第1のホログラム素子148aと第2のホログラム素子149a、同様に148bと149b、148cと149cがそれぞれ1組のビーム変換素子を構成する。これらがアレイ状に配列されている。ビーム変換素子によって入射アレイ光の1本のビーム152aのガウシアン分布が均一な放射照度に変換される。隣接する出射ビーム153a,153b,153cの間には遮蔽板151a,151bが配置される。第1のホログラム素子148aの回折光のうち第2のホログラム素子149aで回折されずに透過した光(図25で点線で示した光)は遮蔽版151aによって被照射部150に届かない。この遮蔽板151a,151bがアレイ状に配置されるため、被照射部150では均一な放射照度分布が得られる。さらに、これら遮蔽板151a,151bを置くことによって第2のホログラム素子149aから被照射部150までの入射光軸に沿った距離Lは、第1のホログラム素子148aへの入射角をθ、1本の入射ビームの直径もしくは幅をW、第1のホログラム素子148aの平均的な回折角をψとすると(式2)を満たせば良い。仮に、遮蔽板が配置されず、入射ビームの本数がmとすれば、第2のホログラム素子149aからの不要光を被照射部150から外すには、
L≧mW/tan(θ+ψ)
にする必要がある。したがって本発明によってm分の1に被照射部との距離を短くすることができる。
なお、図25では入射光のビームは3本であるが、アレイ数は2以上ならいくつであっても本発明の効果が得られる。
【0081】
図26は、実施例19のビーム変換素子の変形であって、ホログラム基板上に格子パターンをアレイ状に形成された2枚のホログラム素子154,155と遮蔽板157で構成される実施例を示している。
この例でも、入射光の一つのビーム158aが第1のホログラム素子154と第2のホログラム素子155によって放射照度が均一化され(159a)被照射部156に向かうが、第2のホログラム素子155で透過した光(点線で示される光)は遮蔽板157でカットされ被照射部156には届かない。図26では入射光のビームが2本の例を示しているが、アレイ数は2以上ならいくつであっても本発明の効果が得られる。
本発明によって、ガウシアンプロファイルを有するアレイ光を均一放射強度にすることができ、かつ、このデバイスと被照射部までの距離を短くすることができる。
【0082】
(実施例20)
図27は、実施例20の露光装置を示す図である。
実施例20の露光装置160は、レーザ光源161、実施例12〜19で説明したいずれかのビーム変換素子162、レチクル163、投影レンズ164、基板ステージ165等から構成されている。レーザ光源161からのガウシアン分布の強度がビーム変換素子162で均一放射照度となりレチクル163を照明する。レチクル163のパターンが基板ステージ165上に置かれたウエハに露光される。図示しないが、レーザ光源161とビーム変換素子162の間に、コリメートレンズを配置しても良い。また、レーザ光源によっては、ビームを拡大して平行光束化させる光学系を使っても良い。
設計しやすいホログラム素子で構成された、放射照度均一性を高くした小型のビーム変換素子を用いた露光装置を提供できる。
【0083】
(実施例21)
図28は、実施例21のレーザ加工機を示す図である。
実施例21のレーザ加工機170は、レーザ光源171、実施例12〜19で説明したいずれかのビーム変換素子172、レンズ173、ワーク174等からなる。
本発明のレーザ加工機170は、レーザ光源171からのレーザ光をビーム変換素子172で均一ビームに変換し、レンズ173でワーク174に集光される。集光スポットによってワーク174の表面加工や切断加工ができる。また、レンズ173を投影レンズに置きかえるか、もしくは被照射部が直接ワークとする配置では、ワークの広い範囲にわたって均一照明できるため、レーザアニールとしても利用できる。
図示しないが、レーザ光源171とビーム変換素子172の間に、コリメートレンズを配置しても良い。また、レーザ光源171によっては、ビームを拡大して平行光束化させる光学系を使っても良い。
設計しやすいホログラム素子を用いたり、放射照度均一性を高くした小型のビーム変換素子を用いたレーザ加工機を提供できる。
【0084】
(実施例22)
図29は、実施例22の投写装置を示す図である。
実施例22の投射装置180は、レーザ光源181、実施例12〜19で説明したいずれかのビーム変換素子182、ライトバルブ183、投射レンズ184等で構成される。レーザ光のガウシアン分布強度のビームがビーム変換素子182で均一強度のビームに変換され、ライドバルブ183で空間変調された画像を投射レンズ184でスクリーン(図では省略)に投影する。ライドバルブ183は例えば液晶素子を用いることができる。図示しないが、レーザ光源181とビーム変換デバイス182の間に、コリメートレンズを配置しても良い。また、レーザ光源181によっては、ビームを拡大して平行光束化させる光学系を使っても良い。
設計しやすいホログラム素子を用いたり、放射照度均一性を高くした小型のビーム変換デバイスを用いた投射装置を提供できる。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば特殊な断面形状のレンズを用いることなしに、強度分布に疎密があるビームを被照射部で均一強度分布に変換、または、均一強度分布のコリメート光に変換する、照明光学系及び投射装置を提供することができる。
【0086】
(1)請求項1の発明によれば、ビーム変換素子を用いて照明光学系を形成したので、ガウシアン分布を有するレーザ光を被照射部に均一に照明することができる。また、レーザ光源としてレーザアレイ光源を用いた場合においても、各ビームは被照射部全体を各々照明するため、各アレイ間で光強度のばらつきがあったとしても被照射部で均一な照明とすることができる。さらに、2枚のホログラムを用いることによって、ガウシアン分布を持つレーザ光のビームをコリメート光で、均一な強度分布のビームに変換することができる。
【0087】
(2)請求項2の発明によれば、斜入射系のホログラム素子を用いることによって、作製法の自由度が高くなるビーム変換素子が得られる。
【0088】
(3)請求項3の発明によれば、2枚のホログラム素子にアレイ状にビーム変換パターンを作製することによって、レーザアレイ光の各々のガウシアン分布を均一強度分布のビームに変換することができる。
【0089】
(4)請求項4の発明によれば、レーザアレイ光をすべて均一強度分布のビームに変換させることができる光学系であるので、ホログラム作製の自由度が高く、ビーム変換部の厚さを小さくすることができる。
【0091】
(5)請求項5の発明によれば、コリメート機能のホログラム素子はビーム変換素子部のホログラムに集約することも可能であるため、さらに小型の照明光学系を実現することができる。
【0092】
(6)請求項6の発明によれば、コリメート機能及びビーム合成用のホログラム素子はどちらか一方、または両方をビーム変換素子部のホログラムに集約することも可能であるため、さらに小型の照明光学系を実現することができる。
【0093】
(7)請求項7の発明によれば、ビーム変換素子部のホログラム設計は光源のアレイ数に依存することなく設計できる。また、ホモジナイザ部は光源のアレイ数ほどの分割数にしなくても均一に照明することができる。
【0094】
(8)請求項8の発明によれば、レーザ光源を用いた小型の投射装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1のビーム変換素子を示す図である。
【図2】 本発明の実施例2のビーム変換素子を示す図である。
【図3】 本発明の実施例3のビーム変換素子を示す図である。
【図4】 本発明の実施例4のビーム変換素子を示す図である。
【図5】 本発明の実施例5のビーム変換素子を示す図である。
【図6】 本発明の実施例6の照明光学系を示す図である。
【図7】 本発明の実施例7の照明光学系を示す図である。
【図8】 本発明の実施例8の照明光学系を示す図である。
【図9】 本発明の実施例9の照明光学系を示す図である。
【図10】 本発明の実施例10の投射装置を示す図である。
【図11】 本発明の実施例11の投射装置を示す図である。
【図12】 斜入射系のホログラムを用いた二光束干渉露光法でホログラムを作製する装置を示す図である。
【図13】 本発明の実施例12のビーム変換素子を示す図である。
【図14】 図13のホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図である。
【図15】 図13のビーム変換素子を用いてガウシアン分布の入射光プロファイルが均一なビームプロファイルに変換される様子を示す図である。
【図16】 本発明の実施例13のビーム変換素子を示す図である。
【図17】 図16のビーム変換素子において、第2のホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図である。
【図18】 本発明の実施例14のビーム変換素子を示す図である。
【図19】 図18のビーム変換素子において、第2のホログラム素子の中心からの距離と格子ピッチの関係を示す図である。
【図20】 本発明の実施例15のビーム変換素子を示す図である。
【図21】 本発明の実施例16のビーム変換素子を示す図である。
【図22】 本発明の実施例17のビーム変換素子を示す図である。
【図23】 図22のビーム変換素子の異なる構成を示す図である。
【図24】 本発明の実施例18のビーム変換素子を示す図である。
【図25】 本発明の実施例19のビーム変換素子を示す図である。
【図26】 図25のビーム変換素子の異なる構成を示す図である。
【図27】 本発明の実施例20の露光装置を示す図である。
【図28】 本発明の実施例21のレーザ加工機を示す図である。
【図29】 本発明の実施例21の投射装置を示す図である。
【図30】 強度分布に疎密があるビームを強度分布が均一なビームに変換する従来の特殊レンズを示す図である。
【符号の説明】
1,6,11,16,21…ビーム変換素子、2,7,12,17…第1のホログラム素子、3,8,13,18…第2のホログラム素子、4,9…ガウシアン分布のレーザ光、5,10…均一強度分布のレーザ光、14,19,24…ガウシアン分布のアレイ光、15,20,25…均一強度分布のアレイ光、26,33,40,46…照明光学系、27,47…レーザアレイ光源、28…コリメートレンズアレイ、29,36,43,50…ビーム変換素子部、30,37,48,51…レンズアレイ、31,38…コンデンサレンズ、32,39,45,54…被照射部、34,41…光源、35,42,44,63…ホログラム素子、49,52,53…シリンドリカルレンズ、55,61…投射装置、56…レーザ光源、57…照明光学系、58,65,67…ライトバルブ、59…色合成素子、60,68…投射レンズ、62…レーザアレイ光源、64…ビーム変換素子部、65…光束合成部、66…フィールドレンズ、81,88,97,111,117,131,136,142,147…ビーム変換素子、82,112,132,143…ホログラム素子、83,91,100,113,120,133,139,144,150,156…被照射部、89,98,118,137,148,154…第1のホログラム素子、90,99,119,138,149,155…第2のホログラム素子、151,157…遮蔽板、160…露光装置、161,171,181…レーザ光源、162,172,182…ビーム変換素子、163…レチクル、164…投影レンズ、165…基板ステージ、170…レーザ加工機、173…レンズ、174…ワーク、180…投射装置、183…ライトバルブ、184…投射レンズ。
Claims (8)
- レーザ光源と、コリメートレンズと、ビーム変換素子と、レンズアレイからなる照明光学系において、
前記ビーム変換素子は、平行配置された第1ホログラム素子と第2ホログラム素子からなり、前記第1ホログラム素子は凹レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が大きく、前記第2ホログラム素子は凸レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が小さいことを特徴とする照明光学系。 - 前記第1ホログラム素子と前記第2ホログラム素子は、斜入射系となるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の照明光学系。
- 前記第1ホログラム素子と前記第2ホログラム素子のホログラムパターンは、それぞれアレイ状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の照明光学系。
- 前記ビーム変換素子が複数個アレイ状に配列されていることを特徴とする請求項2記載の照明光学系。
- 前記コリメートレンズは、コリメート機能を有するホログラム素子からなることを特徴とする請求項1記載の照明光学系。
- 前記レンズアレイは、レンズアレイ機能を有するホログラム素子からなることを特徴とする請求項5記載の照明光学系。
- レーザアレイ光源と、ビーム変換素子部と、ホモジナイザからなる照明光学系において、前期レーザアレイ光源は発光部がライン状に配列され、前記ビーム変換素子部は前記レーザアレイ光源のアレイ厚さ方向のみにレンズ機能を有し、第1ホログラム素子と第2ホログラム素子で形成され、前記第1ホログラム素子は凹レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が大きく、前記第2ホログラム素子は凸レンズ機能を有しホログラムの中心に向かうほど焦点距離が小さいことを特徴とする照明光学系。
- 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の照明光学系と、ライトバルブと、投射レンズからなることを特徴とする投射装置。
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