JP4643203B2 - 牛糞を発酵・分解・処理する微生物、及びこれを用いた牛糞の処理方法 - Google Patents
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Description
本発明者も先に有機性廃液又は生物性汚泥に含まれるデンプン又は蛋白質を効率的に分解する微生物として、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−18014及びバチルス・サブチリスFERM P−18015を発明し、特許出願を行った。
糞尿等の水分含量の高い有機性廃棄物は、有機物を微生物の作用により処理、消化した後、固液分離し固体部分はコンポストとして利用し、液体部分は必要に応じて更に浄化して、河川等に放流されている。それらの処理設備は大型となるため、処理設備費及び濾過助剤、電力その他の補助材料費、人件費等を含めて運転、処理には高い費用を必要としている。
thuringiensis FERM P−19220)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−19221(Bacillus
thuringiensis FERM P−19221)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−18014(Bacillus
thuringiensis FERM P−18014)、バチルス・サブチリスFERM P−19222(Bacillus
subtilis FERM P−19222)、バチルス・サブチリスFERM P−18015(Bacillus
subtilis FERM P−18015)、又はバチルス・メガテリウムIBTU−1(FERM P−20160)(Bacillus
megatherium IBTU−1(FERM P−20160)があげられる。バチルス・メガテリウムIBTU−1(FERM P−20160)は、本発明において用いられる新菌株であり、平成16年8月11日独立行政法人産業技術総合研究所 微生物寄託センターに寄託番号(FERM P−20160)として寄託されている。
これらの植物性油脂の使用量は、水分65〜85%程度の通常の牛糞に対し、0.5乃至5%程度、より好ましくは1−3%容量程度を初発時に全量又は発酵の途中に牛糞の温度が40℃以下に低下したとき、或いは切り返しを行うときに補充添加して用いる。
実施例1
微生物製剤の調製
ニュートリエントブロス−グルコース(食塩0.5%を含む)からなる液体培地(2.5L)に下記の各菌株を個別に攪拌しながら10日間以上培養し、この培養物を遠心分離して菌体を集め、各菌株を混合した。一方、そば殻10Lに水600ml、菜種油200ml、ミクニ株式会社製ペプトン50gを加えてよくかき混ぜ、これに上に得た菌体混合物を混ぜて、発泡スチロールの容器に入れて好気的に20℃にて3日間培養した。培養物を切り返し、同条件で3日間培養して微生物製剤を調製した。この微生物製剤を等量(重量)のそば殻と混ぜて、種菌とした。
バチルス・シューリンゲンシスFERM P−19220)
バチルス・シューリンゲンシスFERM P−19221
バチルス・シューリンゲンシスFERM P−18014
バチルス・サブチリスFERM P−19222
バチルス・サブチリスFERM P−18015
バチルス・メガテリウムIBTU-1(FERM P−20160)
信州大学農場から採取した黒毛和牛の牛糞18L(水分含量79%)、種菌6Lの混合物、信州大学農学部生協食堂から供与された廃食用油300ml、ペプトン30gを魚や野菜保冷用発泡スチロール製容器に入れ、蓋と容器の間に1cm程度の隙間を作って屋外に放置した。
2日目に内部温度は38〜48℃に上昇した。3〜5日目に内部温度が60〜71℃に上昇した。その間悪臭は発生しなかった。6日目に悪臭が感じられたので、攪拌したところ、底部に粘稠物が未発酵のまま堆積していたので、全体を攪拌した。このときの牛糞の水分含量は、56.5%であった。
対照として、同時併行して、牛糞15L(水分含量79%)、種菌6L、廃食用油300mlを混合攪拌して、発泡スチロール容器に入れ、蓋と容器の間に1cm程の隙間を作り屋外に放置した。途中十分に攪拌した。2日目〜9日目の牛糞の発酵温度は44〜53℃であった。10日目に発酵終了した。容器底部には、牛糞の未分解粘稠物が堆積して悪臭を発しており、更に攪拌しても発酵は進行しなかった。途中悪臭があり、昆虫が集まった。牛糞の固まりは発酵しておらず、雑草種子の発芽が見られた。発酵した部分(約30%程度、塊以外で上部)の水分含量は57%であった。
対照として、同時併行して、牛糞15L(水分含量79%)、種菌6L、20%塩化アンモニウム溶液50mlを混合攪拌して、発泡スチロール容器に入れ、蓋と容器の間に1cm程の隙間を作り、屋外に放置した。途中十分に攪拌した。発酵初日の牛糞内部温度は45℃、2日目〜5日目の牛糞の発酵温度50〜68℃に上昇したが、底部に未分解粘稠物が堆積していたので攪拌した。6〜8日目発酵温度は25〜38℃を維持した。9日目に塩化アンモニウム30mlを加えて攪拌すると、10〜12日目に発酵温度が54〜68℃に上昇したが、底部に未分解粘稠物が堆積していたので攪拌した。13日目、発酵温度は47〜54℃、14日目34〜38℃となり、15日目で発酵終了した。雑草種子の発芽は見られないが、牛糞の固まり内部は生のままで、発酵は認められなかった。又、底部の粘稠物は未発酵のまま残留しており、牛糞の固まりも多く残量、発酵した部位の水分含量は、57%であった。発酵には、植物油の存在が必要であることが理解される。
牛糞20L(水分含量85%)、種菌6Lの混合物、食用油800ml、20%塩化アンモニウム溶液50mlを発泡スチロール製容器に入れてよく混合し、蓋と容器の間に1cm程度の隙間を作って屋外に放置した。
2日目〜6日目、内部発酵温度は58〜68℃であった。この間実施例1と同様に発酵した。底部には粘稠物が未発酵のまま堆積していたので、2日に1回全体を攪拌した。7日目、温度が28〜38℃の下降したので、廃食用油400mlと20%塩化アンモニウム液20mlを加えて放置した。この時点では底部には未だ粘稠物が未発酵のまま堆積していた。
12日目以降3日間、温度は20〜30℃付近で持続し、発酵期間中を通して悪臭は感じられなかった。
塩化アンモニウムを酢酸アンモニウムに替えて、実施例2と同様に牛糞を処理して、実施例2とほぼ同様の結果を得た。発酵期間中、時々酢酸臭が僅かに感じられた。
牛糞15L(水分含量76%)、食用油300ml、ペプトン30gを発泡スチロール製容器に入れてよく混合し、蓋と容器の間に1cm程度の隙間を作って屋外に放置した。
2日目〜3日目、内部発酵温度は37〜47℃であった。4〜5日目に内部発酵温度は57〜65℃に上昇した。悪臭が感じられ、昆虫が集まってきた。6日目に内部発酵温度は32〜37℃、7日目に20℃に低下した。8日目に廃食用油200mlとペプトン4gを加え、よく攪拌したところ、9〜10日目に内部発酵温度は42〜52℃に上昇したが、11日目に発酵終了した。
牛糞表面には発芽した雑草があり、牛糞内部は、菌体の生育は見られず、牛糞の固まりはそのままであり、底部には未分解粘稠物が残留しており、水分含量は、発酵した部分は58%、牛糞の固まりの内部は72%であり、部位によってまちまちであった。
参考例2と併行して、牛糞10L(水分含量76%)と種菌5Lとを発泡スチロール製容器に入れてよく混合し、蓋と容器の間に1cm程度の隙間を作って屋外に放置した。
2日目〜9日目、内部発酵温度は25〜33℃であった。10日目には内部発酵温度は17〜19℃となり、発酵は終了した。この間、2回攪拌したが、固まりの部分は表面に菌体の生育が認められるが、内部は全く発酵していなかった。
13日目に廃食用油200mlとペプトン20gを加えると発酵が始まり、14〜16日目に発酵して、内部牛糞温度は50〜55℃に上昇した。
この結果から明らかなように、種菌だけでは牛糞は僅かに発酵されるのみであるが、植物油とアンモニア源の存在によって、牛糞が見事に堆肥化されることが分かる。
Claims (2)
- 牛糞に、植物性油脂及びアンモニア源、並びにバチルス・シューリンゲンシスFERM P−19220(Bacillus
thuringiensis FERM P−19220)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−19221(Bacillus
thuringiensis FERM P−19221)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−18014(Bacillus
thuringiensis FERM P−18014)、バチルス・サブチリスFERM P−19222(Bacillus
subtilis FERM P−19222)、バチルス・サブチリスFERM P−18015(Bacillus
subtilis FERM P−18015)、及びバチルス・メガテリウムIBTU−1(FERM P−20160)(Bacillus megatherium IBTU−1(FERM P−20160)からなる微生物群から選ばれた1種又は2種以上の微生物の培養物を添加し、間歇的に切り返し又はアンモニア源の添加を行いながら発酵させることを特徴とする牛糞を分解して堆肥化する方法。 - 牛糞に、植物性油脂及びアンモニア源、並びにバチルス・シューリンゲンシスFERM P−19220(Bacillus
thuringiensis FERM P−19220)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−19221(Bacillus
thuringiensis FERM P−19221)、バチルス・シューリンゲンシスFERM P−18014(Bacillus
thuringiensis FERM P−18014)、バチルス・サブチリスFERM P−19222(Bacillus
subtilis FERM P−19222)、バチルス・サブチリスFERM P−18015(Bacillus
subtilis FERM P−18015)、及びバチルス・メガテリウムIBTU−1(FERM P−20160)(Bacillus megatherium IBTU−1(FERM P−20160)からなる微生物群から選ばれた1種又は2種以上の微生物の培養物を添加し、間歇的に切り返し又はアンモニア源の添加を行いながら発酵させることを特徴とする牛糞を分解・処理して無臭化する方法。
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