JP4539955B2 - 位相シフトマスク及びその製造方法並びに露光方法 - Google Patents
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Description
すなわち、同図に表したハーフトーン位相シフトマスクは、透明基板1の上に選択的にハーフトーン位相シフト膜2を形成した構造を有する。157nm以上の波長を有する光を適用して露光を行う場合は、一般に、透明基板1の材料として石英ガラスが適用され、例えば、その大きさは6インチ角、厚さは0.25インチである。また、ハーフトーン位相シフト膜2の材料としては、ドライエッチング速度が他の材料に比較して大きいモリブデンシリサイド(MoSi)が適用され、透過率3〜15パーセントの光学特性を有し、位相差180度が得られる厚さに設定される。ここで、ハーフトーン位相シフト膜2の厚さDは、露光光の波長をλ、ハーフトーン位相シフト膜2の屈折率をnとすると次式により表される。
D=λ/2(n−1) (1)
このハーフトーン位相シフトマスクを上面から見て、石英ガラスの領域は露光光の透過領域として機能し、モリブデンシリサイドの領域は露光光の位相シフト領域として機能する。
本具体例の場合、理想的には、ホールパターン12のみが解像されなければならないのであるが、ハーフトーン位相シフト膜2の透過率が大きい場合やフォトレジストが3〜15パーセントのわずかな光にも反応しやすい場合においては、サイドローブパターン13が発生してしまう。この原因は、図12に例示したハーフトーン位相シフトマスクの場合は、光の干渉によるサイドローブ光が通常のフォトマスクに比較して大きいためであると考えられる。
また、前記半透明膜は、露光光に対する透過率が3パーセント以上15パーセント以下であるものとすることができる。
また、前記遮光膜は、露光光に対する透過率が0.5パーセント以下であるものとすることができる。
また、前記透明基板は、シリコンオキサイド(SiO2)を含有してなるものとすることができる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる位相シフトマスクの断面構造を表す模式図である。
すなわち、本実施形態においては、透明基板1の上に設けられた半透明膜2の上面が完全に覆われるように、遮光膜3のパターンが設けられている。半透明膜2は、「位相シフト効果」が生ずるようにその材質や厚みが設定されている。すなわち、半透明膜2を透過した露光光の位相が、半透明膜2を介さずに透明基板1を透過した露光光の位相に対してシフトするように半透明膜2が設けられる。典型的には、半透明膜2の厚みDと屈折率nは、露光光の波長λに対して、図12に関して前述した(1)式を満足するものとすることが望ましい。
以下、実施例を参照しつつ、本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明する。
図4は、本発明の実施例にかかる位相シフトマスクの製造工程を表す工程断面図である。以下、同図を参照しつつ、本実施例の位相シフトマスクの構造と製造方法について説明する。
また、半透明膜2の材料としては、適用する露光光の波長において、フォトレジスト転写時に、フォトレジストが完全に除去できる透過率を有するもので、できるだけ透過率の小さいものを用いることが望ましい。半透明膜2の材料としては、タンタルシリサイド(TaSi)、ジルコンシリサイド(ZrSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)、クロムフロライド(CrF)、シリコンオキサイド(SiO2)、シリコンオキシナイトライド(SiOxNy)などが有効である。
また、いわゆる「ピンホール」の発生を避けるためには、クロムの場合には膜厚を60ナノメータ以上とすることが望ましい。
しかる後に、図4(b)に表したように、電子線レジスト4を現像する。電子ビーム描画と現像工程により、電子線レジスト4は、レジスト領域と無レジスト領域に区別されて、パターニングが行われる。なお、電子線レジスト4の現像工程においては、電子線レジスト4としてポジ型レジストを用いた場合、電子ビームが照射された領域は、電子線レジスト4が現像液に溶解し、遮光膜3が露出する。電子ビームが照射されない領域は、電子線レジスト4が現像液に溶解しないので、電子線レジストのパターンが残存する。電子線レジスト4としてネガ型レジストを用いた場合には、電子線の照射領域を反転させればよい。
図12に表した比較例のハーフトーン位相シフトマスクを用いた場合は、図3に表したような光強度分布を示すので、サイドローブ光17が発生する。その影響により、ハーフトーン位相シフト膜2の透過率が大きい場合や、フォトレジストが透過率3〜15パーセントのハーフトーン位相シフト膜2を透過したわずかな光にも反応しやすい場合においては、図13に表したようなサイドローブパターン13が発生する。
なお、本変型例のような半透明膜2のはみ出し形状は、例えば、いわゆる異方性エッチングにより形成可能である。すなわち、遮光膜3に開口を形成した後に、FIB(Focused Ion Beam)法などの方法によりビームを絞って半透明膜2をエッチングすることができる。この時に半透明膜2に形成される開口サイズは、ビームサイズに依存し、図9の如く段差状のパターンエッジを形成することが可能である。
本変型例のような半透明膜2のはみ出し形状は、例えば、2段階のエッチングプロセスを実施することにより可能である。すなわちまず、遮光膜3に図10の状態よりもやや小さな開口を形成する。しかる後に、遮光膜3よりも半透明膜2に対するエッチング速度が大きなエッチング条件を用い、遮光膜3をマスクとして半透明膜2をエッチングする。この時に、等方的なエッチング条件を用いるとよい。しかる後に、遮光膜3の開口を拡大する。その方法としては、半透明膜2よりも遮光膜3に対するエッチング速度が大きなエッチング条件によって遮光膜3をエッチングすることにより、その開口を拡大させる方法がある。このようにして、図10に表したようなはみ出し形状を形成することが可能である。
本変型例のようなパターンエッジの形状は、遮光膜3を等方的なエッチング条件によりエッチングすることにより形成可能である。すなわち、遮光膜3の上に図示しないマスクを設け、そのマスクに設けられた開口を介して、遮光膜3を等方的にエッチングする。すると、図11に表したような遮光膜3の傾斜したパターンエッジが得られる。しかる後に、遮光膜3をマスクとして、半透明膜2をエッチングする。この際には、異方性エッチングを用いると図示した如く、垂直状の開口を半透明膜2に形成できる。
2 半透明膜(ハーフトーン位相シフト膜)
3 遮光膜
4 電子線レジスト
10 電子線
12 ホールパターン
13 サイドローブパターン
17 サイドローブ光
22 露光光源
23 位相シフトマスク
24 露光投影系レンズ
25 ウェーハ
Claims (9)
- 透明基板と、
前記透明基板の上に選択的に設けられ、露光光の波長λに対して、厚みDと屈折率nとがD=λ/2(n−1)の式を満たし、かつ、前記露光光に対する透過率が3パーセント以上15パーセント以下である半透明膜と、
前記半透明膜の上に設けられた遮光膜と、
を備え、
前記半透明膜は、前記遮光膜によってその上面のみが覆われ、前記半透明膜の側面は前記遮光膜により覆われず露出してなり、前記半透明膜のエッジと前記遮光膜のエッジとは面一であることを特徴とする位相シフトマスク。 - 前記半透明膜は、露光光の位相を略反転させる屈折率と膜厚を有することを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスク。
- 前記遮光膜は、露光光に対する透過率が0.5パーセント以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相シフトマスク。
- 前記半透明膜は、タンタルシリサイド(TaSi)、ジルコンシリサイド(ZrSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)、クロムフロライド(CrF)、シリコンオキサイド(SiO2)及びシリコンオキシナイトライド(SiOxNy)よりなる群から選択されたいずれかからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の位相シフトマスク。
- 前記遮光膜は、クロム(Cr)、酸化クロム(CrO)及びフッ化クロム(CrF)よりなる群から選択されたいずれかからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の位相シフトマスク。
- 前記透明基板は、シリコンオキサイド(SiO2)を含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の位相シフトマスク。
- 透明基板の上に、露光光の波長λに対して、厚みDと屈折率nとがD=λ/2(n−1)の式を満たし、かつ、前記露光光に対する透過率が3パーセント以上15パーセント以下である半透明膜を形成し、前記半透明膜の上に遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜の上に電子線レジストを塗布する工程と、
電子ビーム描画と現像により前記電子線レジストを選択的に除去する工程と、
前記レジストにより覆われていない部分の前記遮光膜及び前記半透明膜に関し、前記半透明膜のエッジ及び前記遮光膜のエッジが面一になるようにエッチングする工程と、
前記レジストを除去する工程と、
を備えたことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - 前記遮光膜及び前記半透明膜をエッチングする工程において、異方性エッチングを用いることを特徴とする請求項7記載の位相シフトマスクの製造方法。
- 光源から放出された露光光を、請求項1〜6のいずれか1つに記載の位相シフトマスクを介して被照射体に照射することを特徴とする露光方法。
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