JP4538334B2 - 車両の排気装置 - Google Patents
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Description
この種の車両の排気装置では、マフラー内で排気ガスの流れを反転させて消音効果を高めるために、膨張室を隔てる隔壁に、複数の連通管を一定間隔を保って並べて配置したタイプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記特許文献の技術では、マフラー内に、排気管に接続されるU字状連通管を配置し、このU字状連通管の出口部に触媒体を近接配置すると共に、この触媒の活性化を促すために、U字状連通管の上流部の熱を触媒体の外周部に伝達する熱伝達部品を配置したものが提案されている。
また、マフラー内に触媒体を配置した場合には、この触媒体に熱を伝導する熱伝達部品を配置すると、部品点数が多くなってしまう。さらに、上記熱伝達部品を配置すると、この熱伝達部品が接触する部分と非接触の部分とで熱ムラが生じてしまい、触媒体全体が活性化されるまでに時間がかかってしまう場合がある。
この発明によれば、隔壁を貫通する複数の連通管のうち、一の連通管の内側に、他の連通管を貫通させて配置したので、複数の連通管を、一定間隔を保って並べて隔壁に配置する場合に比して、連通管の配置スペースを小さくすることができ、限られた隔壁面を有効に使って複数の連通管を配置することができ、連通管の配置の自由度が向上する。
前記一の連通管(64)が、隣接する膨張室間を連通し、前記他の連通管(65)が、前記隣接する膨張室の少なくとも一方を横断して他の隔壁(66)を貫通するようにしてもよい。この構成によれば、音低減に効果的な3パス構造をシンプルなパイプ配置で実現することができる。また、前記他の連通管(65)を、排気ガスをマフラー外に排出するテールパイプにすることにより、テールパイプの配置の選択肢を拡げることができる。
また、他の連通管の上流側の開口端を一の連通管の開口端より上流で開口させ、この他の連通管と一の連通管との間に触媒体を配置することにより、触媒体に排気管からの熱を伝達するための熱伝達部品を設けなくても、触媒体を他の連通管からの放熱によって暖めることができ、また、排気管の延長管の直後に触媒体を配置する場合に比して、排気抵抗を増やすことなく、触媒体の活性化を促進することができる。この場合に、他の連通管を排気管の延長管にすることにより、高温の排気ガスにより加熱される延長管からの放熱によって触媒体を暖めることができ、触媒体の活性化がより促進される。
図1は、本実施形態に係る自動二輪車の全体構成の側面図を示している。この自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2の前端部に回動可能に支持された左右一対のフロントフォーク3と、これらフロントフォーク3の上端部に取り付けられて車体前部の上部に配置された操舵用の左右一対のバーハンドル4と、フロントフォーク3に回転自在に支持された前輪5と、車体フレーム2に支持されたエンジン6と、エンジン6の前方に配置されたラジエータ7と、エンジン6の後端と車体フレーム2によって鉛直方向に揺動可能に支持されたリヤフォーク8と、このリヤフォーク8の後端部に回転自在に支持された後輪9と、車体フレーム2の上部に配置された燃料タンク10と、この燃料タンク10の後方に配置された運転者が着座する乗車用シート11および同乗者が着座するピリオンシート12とを備えており、車体前部のほぼ全体がフロントカウル15によって覆われている。なお、ピリオンシート12は、乗車用シート11の後側に配置されたリヤカウル13に設けられている。
このマフラー26の前端壁(隔壁)63には、集合排気管25bの延長管25cが貫通して固定され、この延長管25cの出口25dは、第一膨張室Xに連通されている。
第一隔壁61には、この第一隔壁61の中心から若干ずれた位置に、連通管63が貫通して固定され、この連通管63は、前側開口端63aが第一膨張室Xに連通すると共に、第三膨張室Yを横断して第二隔壁62を貫通し、後側開口端63bが第二膨張室Zに連通することによって、第一膨張室Xと第二膨張室Z間が連通されている。
この連通管64の内側には、連通管64より小径に形成され、マフラー26の後端壁(隔壁)66を貫通して固定される連通管65が貫通して配置されている。この連通管65は、第二膨張室Zを横断して、その前側開口端65aが上記連通管64の前側開口端64aより突出する位置にて第三膨張室Yに連通し、その後側開口端65bがマフラー26外の空間に連通することによって、マフラー26内の第三膨張室Yとマフラー26外の空間とを連通するテールパイプとして機能している。
このマフラー26の後端部には、テールカバー67が固定され、このテールカバー67は、連通管65の後端部65b、つまり、テールパイプの出口部分の周囲を覆う椀形状に形成されている。
このように、排気ガスを3つの膨張室X,Y,Zを通過させて各膨張室で膨張させると共に、マフラー26内で排気ガスの流れを複数回反転させて排気経路長を長くする、いわゆる3パス構造をとっているので、マフラー26内で排気ガスを低圧にして排気音を低減することができる。
特に、本構成では、隣接する膨張室Y,Z間を連通する連通管64の内側に、その一方の膨張室Zを横断して膨張室Yとマフラー26外とを連通する連通管(テールパイプ)65を配置したので、隔壁62を貫通させる3本の連通管63〜65を、一定間隔を保って並べて配置する場合に比して、音低減に効果的な3パス構造をシンプルなパイプ配置で実現できると共に、テールパイプ(連通管65)の配置の選択肢を拡げることができる。
なお、本実施形態では、図3(A)に示すように、テールパイプ(連通管65)を連通管64と同軸に配置し、後端壁66のみに固定して片持ち支持する場合を例示したが、図3(B)に一例を示すように、テールパイプを連通管64の内周面に近接させ、テールパイプと連通管64とを点付溶接することによって、テールパイプを点付溶接部と後端壁66とで両持ち支持させてもよい。
本構成では、第二隔壁62aが楕円形状に形成され、この第二隔壁62aの長手方向に、連通管63及び64が各々間隔を空けて配置され、この連通管64の内側に、テールパイプとして機能する連通管65が貫通して配置される。これにより、第二隔壁62aの長手方向の長さを比較的短くしても、隔壁面を有効に使って三本の連通管63,64,65を効率よく配置することができる。
なお、この場合においても、図4(B)に示すように、テールパイプとして機能する連通管65を連通管64の内周面に近接させ、テールパイプと連通管64とを点付溶接することによって、テールパイプを点付溶接部と後端壁66とで両持ち支持させてもよい。また、上記マフラー及び隔壁の形状は一例であって、これに限定されず、他の異形形状であってもよい。
この実施形態では、膨張室Yが第一膨張室に相当し、膨張室Xが第二膨張室に相当し、膨張室Zが第三膨張室に相当している。
このマフラー126において、第一隔壁61には、この第一隔壁61の中心から若干ずれた位置に、排気管125bの延長管(連通管)125cより大径の連通管70が貫通して固定され、この連通管70の内側には、延長管125cが貫通して配置され、延長管125cの出口125dが第一膨張室Yに連通されている。
連通管70の前側開口端70aは、第二膨張室Xに連通し、後側開口端70bは、第一膨張室Yに連通することによって、隣接する膨張室X,Y間が連通され、延長管125cの出口125dは、この連通管70の後側開口端70bより突出する位置にて第一膨張室Yに連通されている。
この触媒体100には、多孔質のハニカム構造体に白金、パラジウム、ロジウム等をコーティングして構成されたハニカム三元触媒が適用され、この触媒体100は、その内周側部分101が延長管125cの外周面125eと密着して配置されている。この触媒体100の他の構成として、図6に示すように、その両端が延長管125cの外周面125eに密着するパンチングパイプ110に、白金、パラジウム、ロジウム等を担持させたヒートパイプを適用してもよい。なお、これら構成は一例であって、これに限定されず、他の構成であってもよい。
マフラー126の後端壁66には、連通管72が貫通して固定され、この連通管72の前側開口端72aは第三膨張室Zに連通し、後側開口端72bはマフラー126外の空間に連通し、これにより、連通管72がいわゆるテールパイプとして機能している。
本構成では、この触媒体100を、このマフラー126内の排気経路のうち最も上流に位置する延長管125cと、この延長管125cから第一膨張室Yに入った直後の排気ガスが通過する連通管70との間の間隙に配置しているので、触媒体100が、この触媒体100を通過する排気ガスの熱で暖められるだけでなく、高温の排気ガスが通過する延長管125cからの放熱によって内周側部分101からも暖められる。
このため、触媒体の外周部に連通管上流部の熱を伝導する熱伝達部品を配置する場合に比して、部品点数を増大させることなく、延長管125cからの放熱によっても触媒体を暖めることができ、しかも、触媒体100の略中央部分に相当する内周側部分101を暖めるので、例えば、冷機時であっても、エンジン6の始動直後から比較的短時間で、触媒体全体の温度を活性化温度にすることができる。
本構成では、上述したように、延長管125cから排出されて第一膨張室Yに入った直後の比較的高温の排気ガスが触媒体100を通過するため、延長管の直後に触媒体を配置する場合に比して、エンジン出力への影響を低減しつつ、高温の排気ガスの熱によって触媒体の活性化を促進することができる。
また、第一隔壁61を貫通する連通管70及び延長管125cを、一方の連通管70の内側に他方の延長管12cを貫通させて配置したので、これら管70,125cを、各々間隔を空けて第一隔壁61に配置する場合に比して、これら管の配置スペースを小さくすることができ、連通管の配置の自由度が向上する。
この実施形態では、膨張室Yが第一膨張室に相当し、膨張室Zが第二膨張室に相当し、膨張室Xが第三膨張室に相当している。
このマフラー226において、第一隔壁61には、この第一隔壁61の中心から若干ずれた位置に、排気管125bの延長管225cが貫通して固定され、この延長管225cの出口225dは第一膨張室Yに連通している。
また、第一隔壁61には、延長管225cと干渉しない位置に、比較的大径の連通管80が貫通して固定され、この連通管80の前側開口端80aは第三膨張室Xに連通すると共に、第一膨張室Yを横断して第二隔壁62を貫通し、後側開口端80bが第二膨張室Zと連通することによって、第二膨張室Zと第三膨張室X間が連通されている。
また、第二隔壁62には、連通管80と干渉しない位置に、連通管82が貫通して固定され、この連通管82の前側開口端82aは第一膨張室Yに連通し、後側開口端82bは第二膨張室Zに連通し、この連通管82によって、隣接する膨張室Y,Z間が連通されている。この構成では、連通管80,81からなる二重管が、第一隔壁61及び第二隔壁62に配置されている。
このマフラー326においては、筒状本体60が、第一隔壁61、第二隔壁62及び第三隔壁90を介して、4つの膨張室W、X,Y,Zに仕切られている。この実施形態では、膨張室Yが第一膨張室に相当し、膨張室Xが第二膨張室に相当し、膨張室Zが第三膨張室に相当し、膨張室Wが第四膨張室に相当している。
排気管125bの延長管325cは、第一隔壁61及び第二隔壁62の中心からずれた位置を貫通して固定され、この延長管325cの出口325dは第一膨張室Yに連通されている。
第二隔壁62には、延長管325cと干渉しない略中央領域に、大径の連通管91が貫通して固定され、この連通管91の前側開口端91aは第二膨張室Xに連通し、後側開口端91bは第一膨張室Yに連通することによって、隣接する膨張室X,Y間が連通されている。
さらに、この連通管92の内側には、この連通管92より小径の連通管93が貫通して配置され、この連通管93は、第一隔壁61を貫通して固定され、その前側開口端93aが第四膨張室Wに連通し、その後側開口端93bが第三膨張室Zに連通し、これによって、第三膨張室Zと第四膨張室W間が連通されている。
そして、この第三膨張室Zに入った排気ガスは、そこで、再び流れる方向を反転して連通管93を通過して第四膨張室Wに入った後、流れる方向を反転して連通管94を通過してマフラー326外に排出される。
また、隔壁62を貫通する3本の連通管91,92、93を、連通管91の内側に連通管92を貫通させて配置すると共に、この連通管92の内側に連通管93を貫通させて配置したので、これら3本の連通管91〜93を、一定間隔を保って並べて隔壁62に配置する場合に比して、連通管の配置スペースを小さくすることができ、連通管の配置の自由度が向上する。
6 エンジン
25c,125c、225c,325c 延長管(連通管)
26,126,226,326 マフラー(排気装置)
60 筒状本体
61 第一隔壁
62,62a 第二隔壁
63〜65,70〜72,80〜82,91〜94、P1〜P3 連通管
90 第三隔壁
100 触媒体
110 パンチングパイプ
W,X,Y,Z 膨張室
Claims (6)
- エンジンから延びる排気管に接続されるマフラー内に、このマフラー内を複数の膨張室に仕切る隔壁と、この隔壁を貫通する複数の連通管とを備える車両の排気装置において、
前記複数の連通管のうち、両端が膨張室に開口した一の連通管(64)の内側に、一端が隔壁(66)に支持された他の連通管(65)を貫通させて配置し、他の連通管(65)の他端を一の連通管(64)が開口する膨張室に開口し、前記他端を一の連通管(64)の内周面に近接させて溶接したことを特徴とする車両の排気装置。 - 前記他の連通管(65)の他端を、前記一の連通管(64)の内周面に、一の連通管(64)が貫通する隔壁(62)を貫通する別の連通管(63)に対し距離を換えない方向に近接させて溶接したことを特徴とする請求項1に記載の車両の排気装置。
- 前記一の連通管(64)が、隣接する膨張室間を連通し、前記他の連通管(65)が、前記隣接する膨張室の少なくとも一方を横断して他の隔壁(66)を貫通することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の排気装置。
- 前記他の連通管(65)が、排気ガスをマフラー外に排出するテールパイプであることを特徴とする請求項3に記載の車両の排気装置。
- 前記他の連通管(125)の上流側の開口端(125a)が、前記一の連通管(70)の開口端(70b)より上流で開口し、前記他の連通管(125)と前記一の連通管(70)との間に、触媒体(100)を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の排気装置。
- 前記他の連通管(125)が、前記排気管の延長管であることを特徴とする請求項5に記載の車両の排気装置。
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