JP4531913B2 - 有機el素子用透明電極板および有機el素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電極板に挾持された有機発光(材料)層に電場を印加して発光させる有機EL素子(通称に従い、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略記する)の少なくとも一方の電極板を構成する透明電極板、ならびに該透明電極板を含む有機EL素子に関する。
【0002】
有機EL素子は、軽量且つ機械的耐久性に優れた自己発光型の素子として、液晶表示素子用のバックライト(補助光源)、常夜灯、道路標識、夜間公告等としての用途が拡大しつつある他、各色発光有機材料の開発とも相まって、薄型、高視野角、高速応答性、高精細の(フルカラー)表示素子としての開発も進みつつある。
【0003】
このような有機EL素子の有機発光層を挾持する一対の電極板のうち、少なくとも発光(表示)面側を構成する一方の電極板としては、透明基板上に、すずドープ酸化インジウム膜(通称に従い、以下「ITO膜」という)で代表される金属酸化物透明電極層を形成した透明電極板が用いられる。
【0004】
透明基板には、透明性に加えて、その上に金属酸化物透明電極層を蒸着により形成するための耐熱性、ならびに平坦な透明電極層を形成してリーク電流や、使用下に透明電極層が基板より局所的に剥離すること、または表面の凹凸により局所的な蒸着不良が起ることが主要な原因と解されているダークスポット(非発光部)の発生という有機EL素子特有の現象による性能低下を防止するため、それ自体で極度の平坦面を有することが必要とされている(例えば特開平11−126689号公報)。このため、透明基板としては、従来より、このような要求特性を良好に満たすガラス基板が用いられてきたが、有機EL素子の軽量性、耐衝撃性または可撓性の一層の向上を図るため、透明樹脂基板の使用も検討されている。透明樹脂基板としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる基板も提案されている(特開平2−251429号公報)が、これら熱可塑性樹脂は耐熱性および表面平坦性の点で難点があり、精密注型等により表面平坦性に注意して形成された熱硬化性樹脂基板の使用が好ましいとされている(特開平9−129376号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの研究によれば、精密注型法による熱硬化性樹脂基板も、有機EL素子の透明基板に要求される極度の表面平坦性を満たすものではなく(上記特開平11−126689号公報で推奨する最大表面粗さが10nm以下に対し、上記特開平9−129376号公報の実施例1によれば500μm角の領域内に存在する600オングストローム(60nm)以上の突起数が15個とされている)、その上にITO電極層を形成した際には、上記したダークスポットの発生による性能低下は避けられなかった(後述の比較例1参照)。
【0006】
本発明の主要な目的は、透明樹脂基板を用いた透明電極板によりダークスポットの発生等による有機EL素子の性能低下を防止することにより、信頼性のある有機EL素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そして、上述の目的を達成するために開発された本発明の有機EL素子用透明電極板が、熱可塑性樹脂基板上に、金属酸化物透明電極層を有してなり、該熱可塑性樹脂基板は、JIS K7122による結晶融解に伴なう潜熱が2.1J/g以下の非晶性樹脂である環状オレフィン系重合体からなり、以下の(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴とするものである。
【0008】
(イ)JIS B0601による十点平均粗さRzが4nm以下、且つ最大高低差Ryが20nm以下、である表面平坦性、
(ロ)JIS K0068による飽和吸水率が0.02重量%以下、である低吸水性、および
(ハ)基板を構成する熱可塑性樹脂のJIS K7121による中間点ガラス転移温度Tmgと吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twpとの差ΔT(=Tmg−Twp)が20℃<ΔT<100℃。
【0009】
また本発明の有機EL素子は、透明電極板と背面電極とからなる電極板の間に有機発光層を配した積層構造を有し、該透明電極板が上記透明電極板からなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明者らが、上記目的で研究して、本発明に到達した経緯について若干付言する。
【0011】
上記したように注型法により形成した、熱硬化性樹脂基板は、有機EL素子用透明電極板の基板に要求される表面平坦性を満たすものではなく、その上に金属酸化物透明電極層を形成して得られた透明電極板を用いて得られた有機EL素子においてはダークスポットの発生防止は、困難である(後述の比較例1)。このような表面平坦性の低下は、注型した熱硬化性樹脂の紫外線照射や加熱による硬化に際して、一部樹脂が解重合してモノマーやオリゴマーが生成して、これが表面から脱離する際に表面に微小な凹所、亀裂および盛り上り等を生ずるためであり、むしろ熱硬化性樹脂を基板材料として用いることに伴う不可避的な欠点である。これに対し、本発明者らの知見によれば押出成形条件等を精密に制御することにより、有機EL素子の形成に要求される程度の基板の表面平坦性を有する熱可塑性樹脂シートは既に市販もされている(例えば後述の比較例4で用いられているポリエチレンナフタレートフィルムなど)。しかしながら、本発明者らの研究によれば、このような良好な表面平坦性を有する熱可塑性樹脂シートを単に基板として用いたのでは、ダークスポット等による有機EL素子特有の輝度ムラの発生等の性能低下は避けられない。本発明者等が鋭意研究した結果、透明樹脂基板を用いて、透明電極板を形成した際に発生するダークスポットの発生には、使用する透明樹脂基板の初期的な表面平坦性もさることながら、使用する樹脂の吸水性ならびに加熱下での吸水遊離特性が重要な影響を有することが解明されてきた。透明樹脂基板上に、ITO等の金属酸化物透明電極層を形成するに際しては、基板の洗浄−乾燥−ITO等の金属酸化物透明電極層の蒸着形成−エッチングによるパターニング−洗浄−乾燥等の工程が含まれ、基板樹脂は(純)水を代表とする溶媒ないし洗浄媒体の吸収−加熱乾燥の過程を不可避的に経由する。特に加熱乾燥に際しては、吸水分が多ければ、その放出はかなり急激な応力を、樹脂基板表面ならびにその上の透明電極層に与えるものであり、その後の透明電極層の界面剥離につながる基板表面の変形あるいはクラックの発生、更には蒸着後の透明電極層の直接的な局所剥離が起り得る。また吸水水分は、乾燥工程を経ても製品有機EL素子中の透明電極板中に若干残存して、長期使用中の透明電極形成用金属酸化物の腐食によるより体積の大なる水酸化物化を起し、電極層の膨潤、亀裂等の発生につながる。従って本発明者らは、金属酸化物透明電極層の形成工程も含めて有機EL素子におけるダークスポットの発生防止するためには、使用する樹脂として、極めて小さい吸水性(ロ)を有するとともに、金属酸化物透明電極層中の加熱条件との吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度との関係で適切に設定されたガラス転移温度(ハ)を有する樹脂を選定し、且つ選択された樹脂を用いて、製造条件を制御することにより可及的に良好な表面平坦性(イ)を有する樹脂シートないしフィルムを形成することが必要であり、そのためにはむしろ熱可塑性樹脂基板を用いることが望ましいことを知見して本発明に到達したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1および2は、それぞれ本発明の一実施例にかかる比較的簡単な構成を有する有機EL素子の模式断面図である。
【0013】
図1を参照して、この例にかかる有機EL素子は、有機発光層1を、表示面側の透明電極板2と背面電極3とからなる一対の電極板により挾持してなる積層構造体の両側に、更に一対の防湿性フィルム4、4を積層してなるものである。本発明に従い、表示面側の透明電極板2は、熱可塑性樹脂基板2a上に金属酸化物透明電極層2bを形成してなり、更に透明電極板2の逆側には、対向する電極として金属酸化物または金属からなる背面電極3が設けられている。透明電極層2および背面電極3を含む積層構造は、更に防湿性フィルムの層4または金属酸化物等からなる他の防湿層5(図2)の積層により封止される。ここで透明電極板2及び背面電極3は、電源6(直流または交流)に接続されるリード線が取り付けられて、有機発光層1に電圧が印加できる仕組みとされている。
【0014】
本発明に従い、表示面側の透明電極板2を構成する透明基板2aは、以下の要件(イ)〜(ハ)を満たす熱可塑性樹脂基板である。(なお、背面電極3は、金属の単層または複層電極であるか、または金属あるいは金属酸化物の透明電極層と透明でない基板との積層物であり得る。必要に応じて、いずれかを選ぶことができる。)
(イ)JIS B0601による十点平均粗さRzが4nm以下、且つ最大高低差Ryが20nm以下、である表面平坦性、
(ロ)JIS K0068による飽和吸水率が0.02重量%以下、である低吸水性、および
(ハ)基板を構成する熱可塑性樹脂のJIS K7121による中間点ガラス転移温度Tmgと吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twpとの差ΔT(=Tmg−Twp)が20℃<ΔT<100℃。
【0015】
以下、要件(イ)〜(ハ)について逐次説明する。
【0016】
(イ)表面平坦性
熱可塑性樹脂基板2aは、JIS B0601(基準長さ:0.08mm、評価長さ0.04mm)、による十点平均粗さRzが4nm以下、好ましくは2nm以下;最大高低差Ryが20nm以下、好ましくは10nm以下、であるものを用いる。本明細書におけるRz、Ry値は、具体的には、原子間力顕微鏡(セイコー電子(株)製「SPI3800/SPA300HV」)による常温、常圧での測定値に基づく。
【0017】
Rzが4nmを超え、あるいはRyが20nmを超える粗さを有する、すなわち表面平坦性の比較的悪い熱可塑性樹脂基板を用いると、ダークスポットの発生が多くなり、有機EL素子としての発光輝度が小さくなるので、商品としては不適となる。
【0018】
熱可塑性樹脂基板2aは、EL素子の作製に適する厚さであれば、特に制限はないが、強度、可撓性等を考慮して、一般に5〜300μm程度の範囲から適宜選択可能である。その面積は、必要な表示ないし発光面積により決定され、対角長さとして20mm〜2000mm程度のものが多いが、有機発光層1を構成する有機材料の改良により、より大面積の素子開発も期待されている。素子に必要な面積の基板シートは、一般により大なる面積の基板シートから適宜切断されて調製される。
【0019】
上記のような厚さの熱可塑性樹脂シートは、一般に溶液キャスティング(注型)法、溶融押出法、より厚肉成形物からの切削加工等により形成されるが、溶液キャスティング法は、使用する溶媒の蒸発により、また切削加工は機械加工精度の制限より、最大高低差Ryが100〜5000nmというような粗面化は避けられず、とても上述にRz≦4nm、Ry≦20nmというような表面平滑性は期待できない。この表面平坦性を得るには溶融押出法を用いることが好ましい。すなわち、単軸または2軸押出機で樹脂を加熱溶融し、次いでこの溶融樹脂を導管を介してTダイまたはコートハンガーダイなどのフラットダイに導き、このフラットダイのリップ部からシート状またはフィルム状の溶融樹脂を吐出させ、引出す。引出したこの溶融樹脂は、温度管理してなるキャストロールの表面に接触して冷却され、固化したシートまたはフィルムとなる。このとき、溶融樹脂の温度、前記ダイの幅方向の溶融樹脂の吐出量分布、キャストロールの速度及び温度、キャストロールの表面と溶融樹脂との密着性等の条件を精密に制御してなる溶融押出法による熱可塑性樹脂シートまたはフィルムを基板として用いるのが好ましい。この観点で、後述の非吸湿性(ロ)に優れ、代表的な防湿性フィルム4、5の材料であるPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)は、その熱分解温度と溶融押出温度が近似しているため、溶融押出法による成形が困難であり、フィルム成形を溶液キャスティング法あるいは切削加工法に頼らざるを得ないので、透明電極板に使用する透明基板材料としては不適である。
【0020】
(ロ)低吸水性
熱可塑性樹脂基板2aは、JIS K0068(カールフィッシャー電量滴定法)による飽和吸水率(JIS K7209)が0.02重量%以下のものを用いる。測定に際しては、JIS K7209に準拠して測定対象フィルムないしシートを一辺が50mmの正方形に切り出した試料片を、50℃に保った恒温槽中で24時間乾燥し、デシケーター中で放冷後、23±2℃の温度に保った純水中に170時間(JIS基準の24時間より延長)放置後、試料片を取り出し、60℃で10分間通気乾燥して試料表面の付着水を除き、その後に、水分量をカールフィッシャー電量滴定法(JIS K0068)で滴定して、飽和吸水率を求める。本明細書中に記載の数値は、三菱化成(株)製電量滴定式水分測定装置「CA−06型」による測定値に基づいている。
【0021】
使用する熱可塑性樹脂基板2aの飽和吸水率が0.02重量%を超えると、おそらくは上述したように、透明電極層2bの形成工程中での水系媒体との接触により吸水し、その後の乾燥による水分放出時の悪影響、製造有機EL素子中の電極板中への水分残量等を通じて、ダークスポットの抑制が困難となる。この特性は、先に述べた基板の要求特性において項目(イ)表面平坦性ならびに項目(ハ)適性ガラス転移温度と同時に満たされる必要があるポリエチレンテレフタレート(飽和吸水率=0.128重量%)は飽和吸水率が大きく不適当であり、ポリエチレンナフタレート(飽和吸水率=0.209重量%)も飽和吸水率が大きく不適当であり、ポリプロピレン(飽和吸水率=0.010重量%)は飽和吸水率は小さいが表面平坦性(十点平均粗さRz=120nm、最大高低差Ry=400nm)が大きく不適当である。飽和吸水率は0.01重量%以下、更には0.005重量%以下であることが特に好ましい。
【0022】
(ハ)適性ガラス転移温度
熱可塑性樹脂基板2aは、これを構成する熱可塑性樹脂のJIS K7121による中間点ガラス転移温度Tmgと吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twpとの差ΔT(=Tmg−Twp)が20℃<ΔT<100℃の関係を満たすものである必要がある。中間点ガラス転移温度Tmg(JIS K7121)は、昇温速度10℃/分でのDSC(示差走査熱量測定)カーブにおける転移過程の前後のベースラインをもとに、両ベースラインと等距離に引いた中間線とDSCカーブとの交点の温度を示す。また吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twpは、JIS K7121に定められる転移熱測定方法による昇温速度10℃/分でのDSC曲線上において、結晶融解ピーク温度測定に準じて求めた、但し吸水(おそらくは吸着状態にある水分)の遊離水としての離脱に伴う約60〜90℃の温度範囲での吸熱ピーク温度をいう。
【0023】
該温度差ΔT(=Tmg−Twp)が100℃以上であると、乾燥工程においての吸水状態の衝撃的変化が加わると基板に脆弱な亀裂が入りやすくなり、製品有機EL素子の長期使用において発光面にダークスポットによる非発光部を生じて初期の輝度を維持することが困難となる。他方、該温度差ΔTが20℃以下であると、乾燥工程においての脱水時間が長くなり、製造工程上好ましくないだけでなく、基板上への残存水分のため、上部金属酸化物透明電極層の劣化を生じかねない。アクリル系熱硬化性樹脂(ΔT=12℃、後述比較例1)はこの観点でも好ましくない。また、この観点で好ましくない熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、硬質塩化ビニル樹脂等がある。
【0024】
(ニ)また基板2aを構成する熱可塑性樹脂は、JIS K7122に準拠して昇温速度10℃でのDSC法により測定した潜熱(融解熱、インジウム標準試料により比較校正)が2.1J/g以下の実質的非結晶性を示すことが好ましい。潜熱が2.1J/gを超える結晶性を示す場合は、溶融押出樹脂シートの冷却過程で球晶の発生により粗面化し易くなるだけでなく、乾燥工程において吸水状態の衝撃的変化が加わると体積変化により、ダークスポットの発生につながるミクロな亀裂が生じ易くなる。
【0025】
上記特性(ハ)および(ニ)の理解のために熱可塑性樹脂基板についての、DSCによる昇温過程での吸熱挙動の典型例を示すグラフを図6に示す。
【0026】
上述の(イ)〜(ニ)の要求特性を与える容易性を考慮して、本発明では、熱可塑性樹脂基板2aとしては、環状オレフィン系重合体(例えば特開平11−216817号公報あるいは特開平8−142263号公報に記載されるもの)を用い、押出特性を満足すべく組成および分子量等に関して配慮するとともに、項目(イ)表面平坦性を満足すべく、先に述べた溶融樹脂の温度、フラットダイの幅方向の溶融樹脂の吐出量分布、キャストロールの速度及び温度、キャストロールの表面と溶融樹脂との密着性等を精密に制御した条件でT−ダイ溶融押出法により得られた厚さ5〜300μm、好ましくは10〜200μmのシートないしフィルムを用いることが好ましい。特に飽和吸水率が約0.001重量%あるいは、それ以下と極めて小さい環状オレフィン系重合体、特にα−オレフィン(エチレンを含む)と環状オレフィンとの共重合体、ノルボルナン環を与えない環状オレフィンモノマーとノルボルナン環を与える環状オレフィンモノマーとの共重合体等からなる、より非晶性および溶融押出特性を改善した環状オレフィン系共重合体の溶融押出シートないしフィルムを用いることが好ましい。
【0027】
本発明の透明電極板(2)は、上記のようにして得られた熱可塑性樹脂基板2aを、必要に応じてアセトン、純水等の媒体による洗浄−乾燥等の前処理を経たのち、その一面に、高周波スパッタリング、DCスパッタリング、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等により厚さが1〜200nm、好ましくは5〜100nm程度の金属酸化物透明電極層2bを形成することにより得られる。
【0028】
透明電極層2bを構成する金属酸化物としては、ZnO、SnO2、In2O3等が用いられるが、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ITO(すずドープ酸化インジウム)等がより好ましく、なかでも酸化インジウムに対して1〜50重量%、より好ましくは5〜15重量%程度のSnO2をドープしたITO膜が好ましく用いられる。成膜後の金属酸化物層2bは、必要に応じて、グレーン調整のためのイオンあるいは加熱処理、希塩酸等の希酸もしくはヨウ素酸−塩化第二鉄混液等のエッチング液、あるいはHBr、C2H2、Cl2、SF6、CF4またはCHF3等のエッチングガスによるパターニング(エッチング)−レジスト除去−(水)洗浄−乾燥等の後処理を経てパターン化される。このようにしてパターニングされた金属酸化物透明電極層2bを有する透明電極板2およびパターニング前の透明電極層2bを有する透明電極板2は、いずれも製品として流通の対象となり得るものであるが、もちろん引き続く有機EL素子の製造工程に連続的に入ることもできる。
【0029】
本発明の透明電極板は上述した図1および図2の有機EL素子の実施例に含まれ、また図3に取り出して示すように、熱可塑性樹脂基板2aの一面に金属酸化物透明電極層2bを形成した二層構造体2であってもよいが、必要に応じて図4に示すように熱可塑性樹脂基板2aと透明電極層2bとの間に接着剤層2cを挿入して透明電極層2bの密着性を改善した積層構造とすることもできる。
【0030】
接着剤層2cを構成する接着剤としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、加水分解性基(アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン等)と有機官能基(アミノ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基等)を導入したシランカップリング剤等を用いても良い。また、表面性を阻害しない範囲で、熱可塑性基板の電極層形成側にあらかじめコロナ処理を行っても良い。このような接着剤層2cが入っても、上記(イ)〜(ハ)、更には(ニ)の特性を満足する熱可塑性樹脂基板2aを使用することによるダークスポットの発生防止等を通じた有機EL素子の信頼性向上効果は実質的に損なわれることはない。
【0031】
また最終的に得られる有機EL素子の耐久性を更に向上するために、本発明の透明電極板には、基板2aのEL素子形成面側、EL素子形成面と逆側(例えば図5として例示)あるいはその両面に防湿層2dを設けて、有機発光層1への水分の到達を可及的に減少させることも好ましい。防湿層2dとしては、薄膜で水分の透過を阻止できる任意の材料が用いられるが、通常は、金属、金属化合物の単独もしくは複合の膜から形成される。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル等の金属単体、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、フェライト、酸化銀、酸化クロム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化銅、酸化ニッケル、酸化バナジュウム、酸化マグシウム、酸化マンガン、酸化ランタン、酸化鉛、酸化カドニウム、酸化ビスマス、等の金属酸化物あるいはこれら金属及び金属化合物の一種もしくは二種以上の組合せを使用する。特に好ましくは酸化珪素である。形成方法は、蒸着やスパッタ法が一般的である。厚みは、50〜500nmで、防湿性と厚くなると透明性や着色が大きくなるのでEL素子の発光性能を阻害しない範囲で厚みを選定する。また防湿層2dとして、前記金属あるいは金属酸化物または金属化合物等の防湿膜を単体であるいはその表面に樹脂のフィルムを積層して用いることができる。この樹脂として、特に制限は無いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフィッド、ポリオキシエチレン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、弗化ビニル樹脂、弗化ビニリデン系樹脂、エチレン四弗化エチレン共重合体等の弗素系樹脂、アクリル酸系共重合体、メタクリル酸系共重合体、ユリア樹脂、更にはこれら樹脂の2種類以上の混合物を適宜選ぶことができる。
【0032】
防湿層2dは、積層構造体であっても良く、前記金属あるいは金属酸化物等を単体であるいはその表面に樹脂のフィルムを積層しても良い。このフィルムの層の間に、ポリビニルアルコール等の吸湿性樹脂の層を挾持する構造は特に好ましい。
【0033】
またこの電極面の外側または防湿層2dの外側に、耐候性、防汚性を付与するために、弗化ビニリデン系樹脂、弗化ビニル樹脂、四弗化エチレン樹脂、エチレン四弗化エチレン共重合体等の弗素系樹脂、アクリル酸系共重合体やメタクリル酸系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル等の樹脂の単体またはそれらの2種類以上の混合物からなる樹脂層を設けてもよい。
【0034】
またこれら樹脂は、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、顔料、染料、増量剤を必要に応じて0.1重量%〜30重量%含んでも良い。
【0035】
これら樹脂の層の厚さは、特に制限はないが、5μm〜200μmとすることが多い。
【0036】
背面電極3は、表示面側の透明電極板2の構成と実質的に同等としてもよく、または金属の電極による単層又は積層構成としてもよい。
【0037】
有機発光層1の構成は、特に従来の有機EL素子に含まれるものと特に異なるものではない。すなわち、キノリノール誘導体等の金属錯体、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、ポリフェニル化合物、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、等の各種色素;ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール等の螢光増白剤;等の有機発光材料の単独層、あるいは付加的に陽極側に正孔輸送層、および/または陰極側に電子注入層、を必要に応じて設けた多層構造とすることもできる。有機発光層1は、このような単層あるいは多層構造で全体として、例えば5nm〜5000nmの範囲の厚さに形成される。
【0038】
図1の有機EL素子は、このような有機発光層1を、一対の電極板2、3で挾してなる積層構造を一対の防湿性フィルム4、4間に封止することにより得られる。
【0039】
防湿性フィルム4、4としては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)フィルムが用いられるほか、吸湿性または非吸湿性の樹脂層と無機酸化物または金属の蒸着膜との(交互)積層多層膜(PCT/JP98/01781ならびに特願平11−127437号)も好適に用いられる。これら多層防湿膜の全体厚さは、多くの場合30〜1000μm、特に50〜500μm程度である。
【0040】
図2の有機EL素子では、図1の例における一対の防湿性フィルム4、4の背面側の一方が、上記した防湿層2d(図5)を構成する金属酸化物層等からなる他の防湿性層5に置きかえられ、また電極板2および背面電極3の外側には、それぞれ吸湿性樹脂層(捕水層)7が設けられ、防湿性フィルム4ないし防湿性層5を透過してくる可能性のあるわずかな量の水を捕捉して有機発光層1への水分の透過を抑制することにより、有機発光層1を構成する有機材料の劣化による寿命の低下を抑制している。それ以外の構成は図1のそれと同じである。
【0041】
吸湿性樹脂層7は、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化ポリ酢酸ビニル)、ナイロン等の吸湿性樹脂により5〜200μm程度の厚さの層として形成される。
【0042】
なお素子の側方からの水分の侵入をもより効果的に防止するために、防湿性層5に変え、あるいはこれに加えて、素子裏面から側方へと延長するエポキシ樹脂(層)あるいはアクリル系紫外線硬化樹脂(層)の硬化物を設けてもよい。
【0043】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明する。
【0044】
(実施例1)
環状オレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製「ゼオノア」、以下「COC樹脂」と略す)を用い、260℃に設定した軸径50mm且つL/D=26の単軸押出機でCOC樹脂を溶融した。次いで、導管を経由して260℃に設定したダイリップ幅700mmのTダイに導き、ダイリップから溶融吐出させた。次いで、表面温度150℃に設定したキャストロールで等速度で引き取りながら、均一に接触させ固化させて、厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムを基板2aとして用いて、概ね図2に示す層構成の有機EL素子を形成した。但し、この有機EL素子では、透明電極2bおよび背面電極3を直交ストライプ状とし、背面電極3側の捕水性樹脂層7は設けていない。
【0045】
該COC樹脂基板は、原子間力顕微鏡を用いて常温/常圧で行った表面粗さ試験(JIS B0601)により、十点平均粗さRzが1.5nm、最大高低差Ryが4.0nmの表面平坦性を示した。また、カールフィッシャー法(JISK0068)による飽和吸水率(JIS K7209、23℃の蒸留水中、170時間浸漬)が0.001重量%と極めて良好な低吸湿性を示し、昇温速度10℃/分でのDSC測定により、中間点ガラス転移温度Tmg=166℃、吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twp=73℃、ΔT=Tmg−Twp=93℃、結晶融解潜熱は2.1J/g未満であることを確認した。
【0046】
約8cm×8cm角の上記COC樹脂基板に下記の工程(i)〜(x)を逐次、施して有機EL素子を形成した。
【0047】
(i)上記樹脂基板を、室温にて、まずアセトンで180秒、次いで純水で180秒間、更にアセトンで180秒間洗浄し、(ii)遠赤外線乾燥装置により90℃で約60秒間乾燥した。(iii)次いで、基板を市販のDCマグネトロンスパッタリング装置内に設置し、真空槽内を1×10-3Pa以下に減圧して、基板温度で90℃で10分間保持して更に基板を乾燥した。(iv)その後、DCマグネトロンスパッタリングにより基板の一面に透明電極用に厚さ200nmのITO膜を形成した。(v)次いでITO膜上に、フォトレジスト(東京応化工業製「OFPR」)を塗布し、石英ガラス製フォトマスク(東京応化工業製)を通じて、アラインメント露光し、専用現像像液(東京応化工業製)による現像、10%塩酸水中への常温浸漬によるエッチング、を行いレジスト除去後、更に純水で180秒間洗浄し、アセトンで180秒間洗浄する工程を経て、線幅5mm、ピッチ8mmで、10本のストライプ状ITO電極を形成した基板を、遠赤外加熱装置にて90℃で、120秒間加熱乾燥した。(vi)次に、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、槽内を1×10-4Pa以下に減圧し、基板を90℃に加熱し10分間保持した。(vii)その後、キノリール誘導体を配位子とするアルミニウム錯体からなる有機ELの発光層を50nmの厚さに蒸着にて製膜した。(viii)次いで、基板をスパッタ装置に移し、有機EL発光体側面直上間隔0.2mmのところに厚み1mmのアルミ板に幅5mm、間隔3mmの帯状の空間を10本有するメタルマスクをITO電極のパターンに直交するように設置し、該マスクを介してDCスパッタ法にてMg・Ag合金をターゲットとして、ITO膜に直交し幅5mm、間隔3mmの帯状の対向電極パターンからなる厚さ200nmの対向電極を形成した。(ix)次に、各電極からリード線を取り出した後、スパッタ装置にてMg・Ag合金電極上に酸化珪素膜を200nmの厚みに製膜して背面の防湿層とした。(x)次に、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに対して真空蒸着法で厚さ50nmの酸化珪素層を蒸着してなる2層フィルムを形成して、EL素子積層体の表示面側の樹脂基板の上に積層した。更にその上に、60℃の真空乾燥機で100時間乾燥した厚さ30μmのポリビニルアルコールの吸湿膜を積層し、更に前記酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートのフィルムを積層した。これら積層方法は、いずれもドライラミネート法を用いた。これにより、8cm×8cm角の有機EL素子を形成した。
【0048】
形成した有機EL素子の対向電極間に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは観察されなかった。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットは、非画素部も含めて3cm×3cmの発光面領域あたり3カ所、輝度の維持率は85%であった。
【0049】
(参考例1)
使用樹脂基板として、表面平滑な厚さ75μmのポリカーボネート樹脂シート(帝人(株)製「ピュアエース」)を使用する以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。
【0050】
該基板は実施例1と同様の測定の結果、平均粗さRz=0.35nm、最大高低差3.5nm、飽和吸水率=0.016重量%、中間点ガラス転移温度Tmg=152℃、吸水による転移ピーク温度Twp=75℃、潜熱=2.1J/gであった。
【0051】
作成した有機EL素子に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは観察されなかった。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットは3cm四方の発光面で5カ所、輝度の維持率は78%であった。
【0052】
(比較例1)
使用樹脂基板として、厚さ80μmのアクリル樹脂硬化物のシート(アクリル酸2−シアノヘキシルの紫外線硬化物)を使用する以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。
【0053】
該基板は実施例1と同様の測定の結果、平均粗さRz=10nm、最大高低差60nm、飽和吸水率=0.32重量%、中間点ガラス転移温度Tmg=85℃、吸水による転移ピーク温度Twp=73℃、潜熱=8J/gであった。
【0054】
次に、このようにして作成した有機EL素子に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは3cm四方に27カ所観察された。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットは3cm四方の発光面で全面に広がり、100時間後においては全く発光はみられなかった。
【0055】
(比較例2)
使用樹脂基板として、厚さ50μmのポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製「ノーブレン」)を使用する以外は、実施例1と同様にして有機EL素子の形成を試みた。
【0056】
該基板は実施例1と同様の測定の結果、平均粗さRz=120nm、最大高低差400nm、飽和吸水率=0.010重量%、中間点ガラス転移温度Tmg=−3℃、吸水による転移ピーク温度Twp=65℃、潜熱=25J/gであった。
【0057】
この樹脂基板に実施例1と同様にEL素子製造工程を適用したところ、スパッタや蒸着工程では、ガラス転移点が低いので基板の加熱や蒸着熱により基板が変形し易く、均一なEL素子を製造する歩留りが悪かった。
【0058】
製造された有機EL素子に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは3cm四方に53カ所観察された。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットが全面に広がり、100時間後には全く発光がみられなかった。
【0059】
(比較例3)
使用樹脂基板として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム(帝人(株)製「テトロンフィルム」)を使用する以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。
【0060】
該基板は実施例1と同様の測定の結果、平均粗さRz=12nm、最大高低差80nm、飽和吸水率=0.125重量%、中間点ガラス転移温度Tmg=76℃、吸水による転移ピーク温度Twp=74℃、潜熱=14J/gであった。
【0061】
作成した有機EL素子に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは3cm四方に35カ所観察された。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットが全面に広がり、100時間後においては全く発光がみられなかった。
【0062】
(比較例4)
使用樹脂基板として、表面平滑な厚さ50μmのポリエチレンナフタレート樹脂のフィルム(帝人(株)製「テオネックスフィルム」)を使用する以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を形成した。
【0063】
該基板は実施例1と同様の測定の結果、平均粗さRz=1.8nm、最大高低差9nm、飽和吸水率=0.209重量%、中間点ガラス転移温度Tmg=118℃、吸水による転移ピーク温度Twp=77℃、潜熱=18J/gであった。
【0064】
作成した有機EL素子に直流電圧を加え、10mA/cm2の電流密度で発光させた。その初期発光状態を観察したところ、発光しない島状のダークスポットは3cm四方に46カ所観察された。更に、この素子を60℃、90%の雰囲気中で100時間連続発光させ、その後のダークスポットや輝度の低下を測定した。その結果、ダークスポットが全面に広がり、100時間後においては全く発光がみられなかった。
【0065】
別途、工程管理の目的で、上記実施例1〜2、比較例1〜4の各工程(iii)および(v)の後で、取り出した素子中間体から、試験片を切り出し、JIS K0068(カールフィッシャー電量滴定法)により含有水分率を測定した。その結果を下表1にまとめて記す。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、基板として、平滑度、吸水性ならびに熱特性を厳密に規定した熱可塑性樹脂基板を用いることにより、耐久性、信頼性に優れた有機EL素子ならびにその透明電極板が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる有機EL素子の模式断面図。
【図2】本発明の別の実施例にかかる有機EL素子の模式断面図。
【図3】本発明の透明電極板の一実施例の模式断面図。
【図4】本発明の透明電極板の別の実施例の模式断面図。
【図5】本発明の透明電極板の別の実施例の模式断面図。
【図6】樹脂基板のDSCによる昇温段階での吸熱挙動の典型例を示すグラフ。
【符号の説明】
1:有機発光層
2:透明電極板
2a:熱可塑性樹脂基板
2b:透明電極層
2c:接着剤層
2d:防湿層
3:背面電極
4:防湿性フィルム
5:他の防湿性層
6:電源
7:捕水性樹脂層
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂基板上に、金属酸化物透明電極層を有してなり、該熱可塑性樹脂基板は、JIS K7122による結晶融解に伴なう潜熱が2.1J/g以下の非晶性樹脂である環状オレフィン系重合体からなり、以下の(イ)〜(ハ)の要件を満たすことを特徴とする有機EL素子用透明電極板:
(イ)JIS B0601による十点平均粗さRzが4nm以下、且つ最大高低差Ryが20nm以下、である表面平坦性、
(ロ)カールフィッシャー法(JIS K0068)による飽和吸水率(JIS K7209)が0.02重量%以下、である低吸水性、および
(ハ)基板を構成する熱可塑性樹脂のJIS K7121による中間点ガラス転移温度Tmgと吸水遊離に伴う吸熱ピーク温度Twpとの差ΔT(=Tmg−Twp)が20℃<ΔT<100℃。 - 透明電極板と背面電極とからなる両電極の間に有機発光層を配した積層構造を有し、該透明電極板が請求項1に記載の透明電極板からなる有機EL素子。
- 更に吸湿性樹脂層および防湿性フィルム層を積層してなる請求項2の有機EL素子。
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