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JP4523126B2 - スケール防止剤 - Google Patents

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JP4523126B2 JP2000217665A JP2000217665A JP4523126B2 JP 4523126 B2 JP4523126 B2 JP 4523126B2 JP 2000217665 A JP2000217665 A JP 2000217665A JP 2000217665 A JP2000217665 A JP 2000217665A JP 4523126 B2 JP4523126 B2 JP 4523126B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スケール防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スケール防止剤は、水中の炭酸カルシウム等のスケールの結晶核を吸着、分散させることによってスケールの生成を抑制する(スレスホールド効果)と考えられているが、水中でその効果を十分に発揮するためには、スケール防止剤が、吸着性、分散性とともに、良好な親水性を有していることが重要である。
他方、近年、洗濯洗剤のコンパクト化に伴い、界面活性剤のほかに、アクリル酸重合体やアクリル酸/マレイン酸共重合体等の合成ポリマーが洗剤添加物として一般に含有されているが、このような従来の合成ポリマーでは、洗浄およびすすぎの過程で生じる染色布から他の布への染料の移染は、防止できないのが現状であった。
【0003】
従来、スケール防止剤、洗剤添加剤等の用途においては、アクリル酸等の不飽和カルボン酸系単量体を重合して得られる重合体や他の単量体との共重合体が、そのキレート能、分散性等の特性から、汎用されている。また、ポリエーテル化合物に、アクリル酸等の不飽和カルボン酸系単量体、酢酸ビニル、または(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合して得られるグラフト重合体が、その分散性、溶解性等の特性から、使用されている。
また、前記グラフト重合体をさらに改良したものとして、N−ビニルピロリドンをグラフト重合する試みもなされている。例えば、特開昭63−260995号公報には、洗濯用灰色化防止剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドを基礎とするポリアルキレンオキシド(a)に、N−ビニルピロリドン(b)および1〜6個の炭素原子を有する飽和モノカルボン酸から誘導される少なくとも1種のビニルエステルおよび/またはアクリル酸もしくはメタクリル酸のメチルエステルもしくはエチルエステル(c)を、特定の割合でグラフト重合したグラフト重合体が報告されている。しかし、このグラフト重合体は、グラフト成分である(b)および(c)に対してグラフト基体となるポリアルキレンオキシド(a)の割合が低く、しかも、(c)の全エステルのうちの15モル%以下までしか加水分解されないため、親水性が低いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、良好な親水性を有するとともに、吸着性および分散性に優れた新規なグラフト重合体を用いたスケール防止剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、オキシエチレン鎖とピロリドン基とを存在させ、しかも、グラフト基体であるオキシエチレン鎖の割合を一定量以上とすることにより、良好な親水性を保持させ、分散性および吸着性を向上させることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のスケール防止剤は、グラフト重合体を必須成分として含有するスケール防止剤であって、前記グラフト重合体は、少なくとも50モル%のエチレンオキシドを含むアルキレンオキシド成分を重合させてなる数平均分子量200以上のポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(b1)を必須としモノエチレン性不飽和単量体(b2)を含むことがあるグラフト成分(B)が、(A)の1重量部に対して(B)が0.1〜1.2重量部となるようにグラフト重合されてなり、前記N−ビニルピロリドン(b1)と前記モノエチレン性不飽和単量体(b2)との重量比が、(b1)1重量部に対し(b2)0〜5重量部であり、前記モノエチレン性不飽和単量体(b2)が、カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)(但し、該単量体(b2−1)は、加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体であってもよい)および/またはカチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)からなり、前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)が前記加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体を含む場合は、前記構造を有する単量体の加水分解により生じるカルボキシル基(但し、カルボン酸塩である場合もカルボキシル基とみなす)を含めて、前記単量体(b2−1)由来の全構造単位の50モル%以上の構造単位がカルボキシル基を有しており、かつ、前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸からなる少なくとも1つであるか、および/または、前記アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのエステルであるとともに、前記カチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)がN−ビニルイミダゾールおよびビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、グラフト重合体である、ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のグラフト重合体は、エチレンオキシドを含むアルキレンオキシド成分を重合させてなるポリエーテル化合物(A)に、グラフト成分(B)をグラフト重合させてなるものである。
本発明においては、ポリエーテル化合物(A)の1重量部に対して、グラフト成分(B)が0.1〜1.2重量部となるようにグラフト重合されていることが重要である。ポリエーテル化合物(A)1重量部に対してグラフト成分(B)が0.1重量部未満であると、グラフト成分(B)に必須成分として含まれるN−ビニルピロリドン(b1)の量が少なくなりすぎ、ピロリドン基による吸着効果を十分に発揮できないこととなり、一方、1.2重量部を越えると、ポリエーテル化合物(A)の割合が低くなるため、オキシエチレン鎖の有する分散能や親水性を十分に発揮できず、しかも、グラフト点が少なくなるためグラフト重合反応自体が進行しにくくなる。なお、後述のグラフト成分(B)がN−ビニルピロリドン(b1)のほかにモノエチレン性不飽和単量体(b2)をもさらに含む場合には、N−ビニルピロリドン(b1)の重量部とモノエチレン性不飽和単量体(b2)の重量部との合計をグラフト成分(B)の重量部とする。
【0009】
本発明において用いられるポリエーテル化合物(A)は、エチレンオキシドを必須成分として含み、必要に応じて他のアルキレンオキシドをさらに含むアルキレンオキシド成分を重合することにより得られるものであるが、前記アルキレンオキシド成分は、少なくとも50モル%、好ましくは70モル%以上のエチレンオキシドを含有するものでなければならない。エチレンオキシドが50モル%未満であると、得られるグラフト重合体の親水性が低下し、十分な分散性を発揮できない。
アルキレンオキシド成分に必要に応じて含有される前記他のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシドと共重合可能なエーテルであれば特に制限はなく、具体的には、例えば、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらのアルキレンオキシドは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0010】
本発明において用いられるポリエーテル化合物(A)は、数平均分子量が200以上のものでなければならない。数平均分子量の上限については、特に制限はないが、好ましくは100000以下であるのが良い。数平均分子量が200未満であると、得られるグラフト重合体の分子量が低くなり、十分な分散性能が発揮されない場合がある。一方、数平均分子量が100000を越えると、粘度が高くなる傾向があり、グラフト重合を行う際に取扱いにくくなるので、好ましくない。
本発明において用いられるグラフト成分(B)は、N−ビニルピロリドン(b1)を必須とするものである。ピロリドン基をグラフト重合体中に存在させることにより、優れた分散能と吸着能とを付与することができ、例えば、得られたグラフト重合体をスケール防止剤に用いた場合には効果的にスケールの発生を防止することができ、洗剤添加剤に用いた場合には繊維から水に溶けだした染料を吸着、分散させて他の繊維に移染するのを防止することができる。
【0011】
本発明において用いられるグラフト成分(B)は、N−ビニルピロリドン(b1)のほかに、モノエチレン性不飽和単量体(b2)をもさらに含むものであってもよい。モノエチレン性不飽和単量体(b2)をグラフト重合体中に存在させることにより、さらに優れた分散能を付与することができるからである。モノエチレン性不飽和単量体(b2)とは、具体的には、カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)および/またはカチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)である。但し、前記単量体(b2−1)は、加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体であってもよい。これらモノエチレン性不飽和単量体(b2)は、1種または2種以上を用いてもよい。
【0012】
グラフト成分(B)としてモノエチレン性不飽和単量体(b2)をも含む場合、N−ビニルピロリドン(b1)とモノエチレン性不飽和単量体(b2)との重量比は、(b1)1重量部に対し(b2)0〜5重量部とすることが好ましく、さらに好ましくは(b1)1重量部に対し(b2)0〜3重量部とするのがよい。モノエチレン性不飽和単量体(b2)がこの範囲よりも多くなると、N−ビニルピロリドン(b1)の含有割合が低くなり、ピロリドン基による吸着効果を十分に発揮できないので好ましくない。
前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等が挙げられ、これらの中でも特に、アクリル酸またはそのエステル、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。これらは、1種または2種以上を用いてもよい。
【0013】
前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)が加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体を含む場合、前記構造を有する単量体の加水分解により生じるカルボキシル基を含めて、前記単量体(b2−1)由来の全構造単位の50モル%以上の構造単位がカルボキシル基を有している必要がある。但し、前記構造を有する単量体の加水分解により生じるカルボキシル基としては、加水分解によって生じたカルボン酸塩もカルボキシル基とみなすものとする。好ましくは、前記単量体(b2−1)由来の全構造単位の60モル%以上の構造単位が、さらに好ましくは前記単量体(b2−1)由来の構造単位の全部が、カルボキシル基を有するようにするのがよい。カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)由来の全構造単位の50モル%以上の構造単位がカルボキシル基を有するようにすることによって、得られるグラフト重合体に優れた親水性を保持させることができるのである。カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)として、カルボキシル基を有する単量体(x)と、エステルなどの加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体(y)とを併用する場合、例えば、前記単量体(b2−1)のうち、カルボキシル基を有する単量体(x)が50モル%以上であれば、エステルなどの単量体(y)の加水分解は行わなくてもよい。
【0014】
前記加水分解によるカルボン酸(塩)への変換は、例えば、水中でアルカリ加水分解により行えばよい。具体的には、後述のグラフト重合により得られた重合体に水を加えて水溶液またはスラリー状とし、そこへアルカリを添加して、必要に応じて加熱する。アルカリとしては、特に限定されないが、水酸化ナトリウムが好ましい。なお、加水分解により生じるアルコール分は、そのままでもよいが、加熱や減圧によって除去してもよい。また、加水分解により変換されたカルボン酸(塩)は、カルボン酸の形でもよいし、カルボン酸の塩の形となっていてもよい。
【0015】
前記カチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)としては、特に制限はないが、具体的には、例えば、N−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。また、これら化合物のアミノ基を、塩化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル等の公知の4級化剤を用いて4級化したものでもよい。また、重合後に4級化してもよい。
本発明のグラフト重合体の製造方法は、まず、エチレンオキシドを含むアルキレンオキシド成分を重合してポリエーテル化合物(A)を得、次いで、このポリエーテル化合物(A)に前記グラフト成分(B)を、重合開始剤の存在下、グラフト重合させるものである。
【0016】
前記ポリエーテル化合物(A)は、例えば、前記エチレンオキシドを必須成分として含むアルキレンオキシド成分を、重合の開始点となる被反応化合物の存在下、公知の方法等で重合することにより得られる。
ポリエーテル化合物(A)を得る際に用いられる前記被反応化合物としては、環状エーテルの重合開始点となる化合物であれば特に制限はなく、具体的には、例えば、水、アルコール類、ハロゲン化水素類、アンモニア、アミン類、ヒドロキシルアミン類、カルボン酸類等を挙げることができ、これらのなかでも特に、水、アルコール類、アミン類が好適である。さらに具体的には、アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の炭素数1〜22の1級脂肪族アルコール;フェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ナフトール等の芳香族アルコール;イソプロピルアルコールやn−パラフィンを酸化して得られるアルコール等の炭素数3〜18の2級アルコール;tert−ブタノール等の3級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類;ソルビトール等のポリオール類;等を挙げることができる。また、アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。これら例示の被反応化合物として用いられる化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0017】
ポリエーテル化合物(A)を得る際の重合方法については、特に制限はなく、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコラート等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属あるいは半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合、等を適宜選択すればよい。
本発明において用いられるポリエーテル化合物(A)は、前記アルキレンオキシド成分を前記重合方法で重合することにより直接得られるポリエーテルでも良いし、このポリエーテルから誘導された誘導体でも良い。このような誘導体としては、例えば、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、ハロゲン基等の基を複数有する架橋剤とポリエーテルとを反応させて得られる架橋体等が挙げられる。
【0018】
本発明において、グラフト重合の際に用いられる重合開始剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは、有機過酸化物が好適である。有機過酸化物としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−イソプロピルヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシビバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、クミルパーオキシオクトエート、tert−ヘキシルパーオキシビバレート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケタール類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;アセチルシクロヘキシルスルファニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート等のその他の有機過酸化物;等が挙げられる。重合開始剤として用いられるこれら例示の化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
前記重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、好ましくは、グラフト成分(B)に対して0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%であることが良い。重合開始剤量が0.1重量%未満であると、ポリエーテル化合物(A)へのグラフト率が低下する傾向があり、一方、30重量%を越えると、例えば重合開始剤として前記例示の有機過酸化物を用いた場合、有機過酸化物が高価であるため、経済的に好ましくない。
前記重合開始剤の添加方法は、特に制限されることなく、例えば、グラフト重合の前にポリエーテル化合物(A)および/または各グラフト成分(B)にあらかじめ添加しておいてもよいし、あるいは、あらかじめ添加することなくグラフト重合の際に各グラフト成分(B)と同時に添加してもよい。好ましくは、後者の方法、すなわちグラフト重合の際に各グラフト成分(B)と同時に添加する方法がよい。
【0020】
グラフト重合の際に用いられる溶媒としては、特に制限はないが、原料として使用される単量体の溶媒への連鎖移動定数ができるだけ小さいものが好ましい。
このような溶媒として、具体的には、例えば、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のジエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル等の酢酸系化合物;等を挙げることができ、これら例示の化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、前記例示のうち、アルコール類およびジエーテル類中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0021】
グラフト重合の際に用いられる溶媒の使用量としては、特に制限はないが、好ましくは、反応系全体の20重量%以下、さらに好ましくは、実質的に無溶媒とすることが良い。溶媒量が反応系全体の20重量%を越えると、各グラフト成分(B)のグラフト率が低下することがあり、好ましくない。
グラフト重合の際の反応温度は、特に制限はされないが、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90〜160℃とすることが良い。反応温度が80℃未満であると、グラフト重合が進行しにくく、ポリエーテル化合物(A)へのグラフト率が低下する傾向があり、一方、160℃を越えると、ポリエーテル化合物(A)および得られたグラフト重合体の熱分解が起こるおそれがあるので、好ましくない。
【0022】
本発明のグラフト重合体の一般的な用途としては、例えば、洗剤用添加剤、スケール防止剤、各種無機物や有機物の分散剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋剤、保湿剤等が挙げられる。より具体的には、洗剤用再汚染防止剤、洗剤用移染防止剤、シリカ系スケール防止剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用顔料分散剤、塗料用シックナー、化粧品用シックナー、化粧品用分散剤、化粧品用バインダー、化粧品用保湿剤、化粧料調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、リンス添加剤、サンスクリーン組成物添加剤、樹脂用フィラー分散剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、吸水性樹脂用原料、肥料用バインダー、高分子架橋剤、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、感圧接着剤、紙用接着剤、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、スティック糊、泥土分散剤、重金属捕捉剤、金属表面処理剤等の用途に好適に用いられる。
【0023】
本発明のスケール防止剤は、前述の本発明のグラフト重合体を必須成分として含有するものである。グラフト重合体の有しているピロリドン基とオキシエチレン鎖が、炭酸カルシウム等の水に難溶な無機粒子を強力に分散するため、本発明のスケール防止剤は効果的にスケールの発生を防止することができるのである。
本発明のスケール防止剤は、以下のスケールの分散試験により測定された吸光度が、通常、0.25以上、好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上、最も好ましくは0.5以上となるものである。スケールの分散試験においてはこの吸光度の数値が大きいほど濁度が低く、スケールの分散性に優れることを示す。
【0024】
〔スケールの分散試験〕内径2.5cm、100mlの活栓付き比色管に、Mg3 Si4 10(OH)2 の構造を有するタルク1gをとり、グラフト重合体50ppm(本明細書中、「ppm」は重量基準)、Ca200ppm(CaCO3 換算、CaCl2 として添加)となるように調製した水溶液100mlを加える。この比色管を100回上下に振とうした後、3時間静置する。そして、比色管の底から15cmの高さのところからホールピペットで1mlの試験液を採取し、分光光度計を用いて、10×10mmセル、波長380nmで、この試験液の吸光度を測定する。
【0025】
本発明のスケール防止剤は、前記グラフト重合体以外の他の成分を含むものであっても良い。他の成分としては、具体的には、例えば、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスホノカルボン酸等のリン酸化合物;亜鉛等の金属塩;塩素、次亜塩素酸塩、ヒドラジン等の殺菌剤;等を挙げることができる。これら例示の成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの配合量については、特に制限はなく各々適宜設定すればよい。すなわち、本発明のスケール防止剤は、少なくとも前記グラフト重合体を含有していればよく、スケール防止剤中のグラフト重合体の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜100重量%、より好ましくは1〜100重量%である。
【0026】
本発明のスケール防止剤は、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、鉄等のスケールの防止、除去に効果を発揮することができ、特にシリカ系スケールに対する分散能に優れるものである。
本発明のスケール防止剤は、冷却水系、ボイラー水系、鉄鋼プロセス水系、海水淡水化装置、オイルフィード、製紙プロセスにおけるパルプ溶解釜、黒液濃縮釜等の水系に、そのまま添加すればよい。また、本発明のスケール防止剤が本発明のグラフト重合体以外の成分をも含有している場合には、グラフト重合体とそれ以外の各成分とを別々に添加することもできる。
【0027】
本発明のスケール防止剤を水系中に添加する際の添加量は、スケール防止剤に含まれる前記グラフト重合体が、通常、使用する水系中0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppmとなるようにすればよい。
本発明のスケール防止剤は、公知のスケール防止剤と併用することもできる。
公知のスケール防止剤としては、例えば、アクリル酸重合体;マレイン酸重合体;アクリル酸等と、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロパンスルホン酸やアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸化合物との共重合体;アクリル酸等と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基を有するモノエチレン性不飽和化合物との共重合体;等が挙げられる。
【0028】
本発明の洗剤添加剤は、前述の本発明のグラフト重合体を必須成分として含有するものである。グラフト重合体の有しているピロリドン基とオキシエチレン鎖とが、洗浄により繊維から水に溶けだした染料を吸着、分散するため、本発明の洗剤添加剤は他の繊維への移染を効果的に防止することができるのである。本発明の洗剤添加剤の好ましい実施形態は、具体的には移染防止剤である。
本発明の洗剤添加剤は、以下の方法により測定された移染防止率が、通常、25%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上となるものである。本発明の洗剤添加剤によれば、少なくとも25%以上の移染防止率を維持することができ、確実に移染を防止することができる。
【0029】
〔移染防止率〕まず、ドデシル硫酸ナトリウム20重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル15重量%、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム8重量%、エタノール7重量%、水50重量%からなる洗剤組成物を調製する。次に、500mlのビーカーに、前記洗剤組成物0.1重量%(界面活性剤濃度430ppm)と、染料としてエバンスブルー(和光純薬製)0.4ppmと、グラフト重合体10ppmと、を含む洗浄液500mlを、カルシウム/マグネシウム=3/1(モル)からなる硬度3°DHの水を用いて調製する。そして、5cm×5cmの綿布(原布)を用意し、2枚を前記洗浄液に浸し、マグネットスターラーで15分間攪拌して洗浄を行う。次いで、洗浄液を前記と同じ水に変え、同様に15分間攪拌してすすぎを行い、乾燥した後、試験布とする。一方、グラフト重合体を加えない以外は前記と同様の洗浄液を調製し、同様にして2枚の綿布を洗浄、すすぎ、乾燥し、ブランク布とする。そして、測色色差計を用いて、試験布、原布、ブランク布、各2枚づつについて反射率を測定し、それぞれ2枚の平均をY値とし、得られたY値を用いて以下の式により移染防止率を算出する。
移染防止率(%)
=(試験布Y値−ブランク布Y値)/(原布Y値−ブランク布Y値)×100
本発明の洗剤添加剤は、家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等へ配合されて、移染防止の効果を発揮するものである。このときの洗剤添加剤の配合量は、特に限定されないが、家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等に対して、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%となるようにするのがよい。特に、洗剤へ配合する場合には、界面活性剤に対して、グラフト重合体が0.1〜5重量%となるようにすればよい。また、本発明の洗剤添加剤が配合される洗剤の組成や形態は、特に限定されるものではない。例えば、洗剤の組成としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、これらの混合系等の洗剤に適用することができ、洗剤の形態としては、粉体洗剤でもよいし、液体洗剤でもよい。
【0030】
また、本発明の洗剤添加剤が配合される家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等へは、従来から洗剤添加物として汎用されているアクリル酸重合体やアクリル酸/マレイン酸共重合体等が配合されていてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例および比較例について説明するが、本発明は該実施例により何ら制限されるものではない。
以下の実施例および比較例で得られたグラフト重合体、比較グラフト重合体、さらに比較重合体については、以下の方法で、スケール防止剤として用いた場合のスケールの分散試験、および、洗剤添加剤として用いた場合の移染防止率の評価を行った。
〔スケールの分散試験〕
冷却水系におけるシリカスケールの代表的な組成である、Mg3 Si4 10(OH)2 の構造を有するタルクの分散性を評価した。
【0032】
内径2.5cm、100mlの活栓付き比色管に、前記タルク(和光純薬製)1gをとり、グラフト重合体50ppm、Ca200ppm(CaCO3 換算、CaCl2 として添加)となるように調製した水溶液100mlを加えた。この比色管を100回上下に振とうした後、3時間静置した。そして、比色管の底から15cmの高さのところからホールピペットで1mlの試験液を採取した。この試験液の濁度を、分光光度計(UV−1200、島津製作所製)を用いて、10×10mmセル、波長380nmで吸光度を測定することによって評価した。吸光度の数値が大きいほど分散性に優れることを示す。
【0033】
〔移染防止率〕
まず、ドデシル硫酸ナトリウム20重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル15重量%、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム8重量%、エタノール7重量%、水50重量%からなる洗剤組成物を調製した。
次に、500mlのビーカーに、前記洗剤組成物0.1重量%(界面活性剤濃度430ppm)と、染料としてエバンスブルー(和光純薬製)0.4ppmと、グラフト重合体10ppmと、を含む洗浄液500mlを、カルシウム/マグネシウム=3/1(モル)からなる硬度3°DHの水を用いて調製した。そして、5cm×5cmの綿布(原布)を用意し、2枚を前記洗浄液に浸し、マグネットスターラーで15分間攪拌して洗浄を行った。次いで、洗浄液を前記と同じ水に変え、同様に15分間攪拌してすすぎを行い、乾燥した後、試験布とした。一方、グラフト重合体を加えない以外は前記と同様の洗浄液を調製し、同様にして2枚の綿布を洗浄、すすぎ、乾燥し、ブランク布とした。そして、測色色差計(ND−1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて、試験布、原布、ブランク布、各2枚づつについて反射率を測定し、それぞれ2枚の平均をY値とした。得られたY値を用いて、以下の式により移染防止率を算出した。
移染防止率(%)
=(試験布Y値−ブランク布Y値)/(原布Y値−ブランク布Y値)×100
〔実施例1〕
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、数平均分子量10000のポリエチレングリコール150重量部を仕込み、窒素気流下、加熱して溶解させた後、攪拌しながら149℃まで昇温した。次に、温度を149〜150℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン50重量部と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)2.5重量部とを、別々に、1時間かけて連続的に滴下し、さらにその後、1時間攪拌を続けて、グラフト重合体1を得た。
【0034】
得られたグラフト重合体1についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.32であった。また、移染防止率は33%であった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして数平均分子量10000のポリエチレングリコール150重量部を溶解させた後、攪拌しながら148℃まで昇温した。次に、温度を148〜152℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン34重量部とN−ビニルイミダゾール3重量部との混合物と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)1.9重量部とを、別々に、45分間かけて連続的に滴下し、さらにその後、30分間攪拌を続けて、グラフト重合体2を得た。
【0035】
得られたグラフト重合体2についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.47であった。また、移染防止率は54%であった。
〔実施例3〕
実施例1と同様にして数平均分子量10000のポリエチレングリコール150重量部を溶解させた後、攪拌しながら140℃まで昇温した。次に、温度を140〜141℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン30重量部とn−ブチルアクリレート20重量部との混合物と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)2.5重量部とを、別々に、1時間かけて連続的に滴下し、さらにその後、1時間攪拌を続けた。その後、水200重量部を加えて水溶液とし、この水溶液に48重量%水酸化ナトリウム水溶液11.8重量部を加えて加水分解を行った。次いで、還流冷却管を取り外し、水溶液を100℃に加熱することにより加水分解で生成したn−ブタノールを除去して、グラフト重合体3を得た。得られたグラフト重合体3は、その酸価より、n−ブチルアクリレート由来の全構造単位のうちの90モル%が加水分解されてカルボン酸(塩)になっているものであると推測された。
【0036】
得られたグラフト重合体3についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.50であった。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして数平均分子量10000のポリエチレングリコール150重量部を溶解させた後、攪拌しながら148℃まで昇温した。次に、温度を148〜152℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン10重量部と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)0.5重量部とを、別々に、30分間かけて連続的に滴下し、さらにその後、30分間攪拌を続けて、比較グラフト重合体1を得た。
【0037】
得られた比較グラフト重合体1についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.15であった。また、移染防止率は10%であった。
〔比較例2〕
実施例1と同様にして数平均分子量10000のポリエチレングリコール50重量部を溶解させた後、攪拌しながら140℃まで昇温した。次に、温度を140〜142℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン25重量部とn−ブチルアクリレート50重量部との混合物と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)4重量部とを、別々に、60分間かけて連続的に滴下し、さらにその後、30分間攪拌を続けて、比較グラフト重合体2を得た。
【0038】
得られた比較グラフト重合体2についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.14であった。また、移染防止率は19%であった。
〔比較例3〕
実施例3と同様にして数平均分子量10000のポリエチレングリコール150重量部を溶解させた後、攪拌しながら140℃まで昇温した。次に、温度を140〜141℃に保ちながら、N−ビニルピロリドン30重量部とn−ブチルアクリレート20重量部との混合物と、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」日本油脂(株)製)2.5重量部とを、別々に、60分間かけて連続的に滴下し、さらにその後、60分間攪拌を続け、その後加水分解を行うことなく比較グラフト重合体3を得た。
【0039】
得られた比較グラフト重合体3についてスケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.17であった。
〔比較重合体〕
比較重合体として数平均分子量60000のアクリル酸/マレイン酸共重合体(モル比7/3)について、スケールの分散試験を行った結果、吸光度は0.19であった。また、移染防止率を測定したところ移染防止率は3%であった。 比較重合体として数平均分子量5000のポリアクリル酸について、移染防止率を測定したところ移染防止率は−3%であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な親水性を有するとともに、吸着性および分散性に優れた新規なグラフト重合体を提供することができる。
さらに、本発明によれば、分散性に優れたスケール防止剤、および、移染防止能に優れた洗剤添加剤を提供することができる。

Claims (1)

  1. グラフト重合体を必須成分として含有するスケール防止剤であって、
    前記グラフト重合体は、
    少なくとも50モル%のエチレンオキシドを含むアルキレンオキシド成分を重合させてなる数平均分子量200以上のポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(b1)を必須としモノエチレン性不飽和単量体(b2)を含むことがあるグラフト成分(B)が、(A)の1重量部に対して(B)が0.1〜1.2重量部となるようにグラフト重合されてなり、
    前記N−ビニルピロリドン(b1)と前記モノエチレン性不飽和単量体(b2)との重量比が、(b1)1重量部に対し(b2)0〜5重量部であり、
    前記モノエチレン性不飽和単量体(b2)が、カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)(但し、該単量体(b2−1)は、加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体であってもよい)および/またはカチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)からなり、
    前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)が前記加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有する単量体を含む場合は、前記構造を有する単量体の加水分解により生じるカルボキシル基(但し、カルボン酸塩である場合もカルボキシル基とみなす)を含めて、前記単量体(b2−1)由来の全構造単位の50モル%以上の構造単位がカルボキシル基を有しており、
    かつ、前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和単量体(b2−1)がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸からなる少なくとも1つであるか、および/または、前記アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのエステルであるとともに、前記カチオン性のモノエチレン性不飽和単量体(b2−2)がN−ビニルイミダゾールおよびビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、
    グラフト重合体である、
    ことを特徴とする、スケール防止剤。
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