JP4520016B2 - 電子内視鏡装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体から発せられる自家蛍光による蛍光観察が可能な電子内視鏡装置に、関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検体としての生体に紫外光等の励起光を照射した場合にこの生体から発せられる蛍光(自家蛍光)を撮像することにより、生体の観察に供する電子内視鏡装置が、利用されている。なお、病変の生じた生体組織から発せられる自家蛍光の強度は、健康な生体組織から発せられる自家蛍光の強度よりも小さいことが知られている。従って、術者は、この自家蛍光による被検体の蛍光画像を観察することにより、その蛍光強度の小さい領域に、病変が生じている可能性が高いと、認識することができる。
【0003】
この電子内視鏡装置は、白色光と励起光とを交互に切り換えて射出する光源ユニット,射出された白色光及び励起光を導く照明光学系,及び,照明光により照明された被検体を撮像するCCDを、備えている。
【0004】
そして、照明光学系から射出された白色光が被検体を照明している間に、CCDは、その被検体の像を取得し、参照画像信号として出力する。一方、照明光学系から射出された励起光が被検体を照射すると、この被検体は、自家蛍光を発する。すると、CCDは、この自家蛍光による被検体像を撮像して、蛍光画像信号として出力する。
【0005】
これら参照画像信号及び蛍光画像信号に基づいて、被検体の診断用画像信号が生成される。即ち、参照画像信号における特定の色成分に対応した部分から、蛍光画像信号が減算されることにより、診断用画像信号が生成される。この診断用画像信号は、モニタに診断用画像として表示される。
【0006】
この診断用画像は、被検体における自家蛍光の発せられていない部分については、モノクロ画像と同様に表示される。しかし、この診断用画像は、被検体における自家蛍光が発せられている部分については、その自家蛍光の強度に応じて着色された状態で、表示される。従って、術者は、この診断用画像を観察することにより、被検体の形状を把握するとともに、当該被検体における自家蛍光の強度を認識して、診断を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術による電子内視鏡装置は、被検体のモノクロ画像を示す参照用画像信号に画像処理を施すことにより、診断用画像信号を生成している。従って、術者は、被検体のカラー画像を観察することはできない。
【0008】
なお、被検体のカラー画像と上記診断用画像とを切り換えて観察可能な電子内視鏡装置も提案されている。しかし、この電子内視鏡装置は、被検体のカラー画像と診断用画像とを同時に動画表示することができない。従って、術者は、被検体のカラー画像を観察しつつ、当該カラー画像における自家蛍光の強度分布を同時に知ることはできない。
【0009】
そこで、被検体のカラー画像信号に自家蛍光の強度分布に応じた画像処理がなされた診断用画像信号を生成する電子内視鏡装置を提供することを、本発明の課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子内視鏡装置は、上記課題を解決するために、以下のような構成を採用した。
【0011】
即ち、この電子内視鏡装置は、被検体を照明する照明光学系と、青色光,緑色光,赤色光,及び,生体組織自体からの蛍光を励起する励起光を発し、これら青色光,緑色光,赤色光,及び励起光を、順次、前記照明光学系へ導く光源ユニットと、前記被検体表面からの光のうちの励起光以外の成分を収束させて、この被検体表面の像を形成する対物光学系と、前記対物光学系によって形成された被検体表面の像を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子により取得された画像信号のうち、前記照明光学系に青色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてB画像信号を取得し、前記照明光学系に緑色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてG画像信号を取得し、前記照明光学系に赤色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてR画像信号を取得し、前記照明光学系に励起光が導かれている期間に対応する部分に基づいて蛍光画像信号を取得し、取得したB画像信号,G画像信号,及びR画像信号から選択される参照画像信号から、蛍光画像信号を減算することにより差分信号を生成し、生成した差分信号の強度に応じて、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号から選択される1つ以上の増幅対象信号を増幅し、増幅した増幅対象信号,並びに,B画像信号,G画像信号,及びR画像信号のうちの増幅対象信号以外の信号を、診断用画像信号として出力するプロセッサとを、備えたことを特徴とする。
【0012】
このように構成されると、増幅対象信号は、参照画像信号から蛍光画像信号が差し引かれることにより得られた差分信号の強度に応じて、増幅される。即ち、増幅対象信号における被検体の自家蛍光が弱い部分に相当する部分が、大きく増幅される。なお、前記増幅対象信号は、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号であってもよい。また、この増幅対象信号は、B画像信号のみであってもよい。
【0013】
なお、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号のうち、通常、G画像信号が最も大きな強度で取得される。このため、参照画像信号は、このG画像信号であることが好ましい。
【0014】
また、プロセッサは、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号を、輝度信号,及び1つ以上の色差信号に変換してもよい。この場合には、プロセッサは、輝度信号を参照画像信号及び増幅対象信号とする。なお、色差信号は、一対であってもよく、単一であってもよい。さらに、プロセッサは、増幅された増幅対象信号(輝度信号)と、増幅されていない色差信号とを、診断用画像信号として出力してもよく、これら輝度信号及び色差信号を、カラー画像のB成分,G成分,及びR成分に夫々対応した3つの画像信号に変換した後に、これら各画像信号を診断用画像信号として出力してもよい。
【0015】
また、増幅対象信号が増幅される際のゲイン(係数値)は、差分信号の強度が大きい場合には大きく設定され、差分信号の強度が小さい場合には小さく設定される。なお、このゲインは、差分信号の強度に対して比例していてもよく、差分信号の強度に応じて階段状(ステップ状)に変化してもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態による電子内視鏡装置について、説明する。
【0017】
【第1実施形態】
<電子内視鏡装置の全体構成>
図1は、この電子内視鏡装置の構成図である。この図1に示されるように、電子内視鏡装置は、電子内視鏡1,及び,外部装置(光源・プロセッサ装置)2を、備えている。
【0018】
まず、電子内視鏡(以下、内視鏡と略記)1について説明する。この内視鏡1は、図1にはその形状が示されていないが、生体内に挿入される可撓管状の挿入部,この挿入部の基端側に対して一体に連結された操作部,及び,この操作部と外部装置2とを連結するライトガイド可撓管を、備えている。
【0019】
内視鏡1の挿入部の先端は、硬質部材製の図示せぬ先端部により封止されている。また、この挿入部の先端近傍の所定領域には、図示せぬ湾曲機構が組み込まれており、当該領域を湾曲させることができる。操作部には、湾曲機構を湾曲操作するためのダイヤル,及び各種操作スイッチが、設けられている。
【0020】
この内視鏡1の先端部には、少なくとも3つの開口が開けられており、これら3つの開口のうちの2つは、配光レンズ11,及び,対物レンズ12により、夫々封止されている。なお、他の開口の1つは、鉗子孔として利用される。
【0021】
さらに、内視鏡1は、ライトガイド13を有している。このライトガイド13は、光ファイバが多数束ねられてなるファイババンドルから構成されている。そして、このライトガイド13は、その先端面(出射面)を配光レンズ11に対向させるとともに、挿入部,操作部及びライトガイド可撓管内を引き通され、その基端側が外部装置2内に引き込まれている。なお、これらライトガイド13及び配光レンズ11は、照明光学系に相当する。
【0022】
また、内視鏡1は、撮像素子としてのCCD(charge-coupled device)エリアセンサ14を備えている。このCCDエリアセンサ(以下CCDと略記)14の撮像面は、内視鏡1の先端部が被検体に対向配置された状態において、対物レンズ12が当該被検体の像を結ぶ位置に、配置されている。なお、これら対物レンズ12及びCCD14間の光路中には、図示せぬ励起光カットフィルタが、挿入配置されている。この励起光カットフィルタは、生体の自家蛍光を励起する励起光を遮断するとともに、可視光を透過させる。これら対物レンズ12及び励起光カットフィルタは、対物光学系に相当する。
【0023】
次に、外部装置2について説明する。この外部装置2は、光源ユニット20,並びに,タイミングコントローラT1,画像信号処理回路T2及びシステムコントローラT3を有するプロセッサTを、備えている。
【0024】
この外部装置2における光源ユニット20は、白色光源21及び励起光源22を、備えている。一方の白色光源21は、図示せぬキセノンランプ及びリフレクタを、有している。そして、この白色光源21は、そのキセノンランプが発した白色光(可視光)を、リフレクタで反射させることにより、平行光として射出する。他方の励起光源22は、図示せぬUVランプ及びリフレクタを、有している。なお、この励起光源22のUVランプは、生体の自家蛍光を励起する紫外帯域の励起光を、発する。そして、この励起光源22は、そのUVランプが発した励起光を、リフレクタで反射させることにより、平行光として射出する。
【0025】
白色光源21から発せられた白色光の光路上には、集光レンズ23が、配置されている。この集光レンズ23は、入射した平行光を、ライトガイド13の基端面(入射面)に収束させる。
【0026】
この集光レンズ23から射出された収束光の光路上におけるライトガイド13以前の所定位置には、ホイール24が挿入されている。このホイール24は、図2に示されるように、円板状に形成され、その外周に沿ったリング状の部分に、4つの開口が開けられている。これら各開口は、互いに、その周方向に沿った長さが異なっているため、その大きさが異なっている。即ち、図2における左側の開口が最も大きく、図2の時計廻り順に小さくなっている。
【0027】
そして、これら各開口には、大きいものから順に、透明部材240,Bフィルタ241,Gフィルタ242,及びRフィルタ243が、夫々填め込まれている。Bフィルタ241は、青色帯域の光(B光)のみを透過させるフィルタであり、Gフィルタ242は、緑色帯域の光(G光)のみを透過させるフィルタであり、Rフィルタ243は、赤色帯域の光(R光)のみを透過させるフィルタである。なお、透明部材240は、少なくとも励起光を透過させる平行平板状の光学部材である。また、この透明部材240の周方向の長さは、ホイール24の外周における半周に近い長さである。
【0028】
図1に示されるように、このホイール24は、モータ25に連結されている。そして、ホイール24は、モータ25に駆動されて回転し、そのBフィルタ241,Gフィルタ242,Rフィルタ243,透明部材240を、順次繰り返して光路中に挿入する。
【0029】
なお、白色光源21から発せられた白色光の光路における集光レンズ23以前の所定位置において、当該白色光の光路と励起光の光路とは、直交している。即ち、励起光源22は、発した励起光が、白色光源21から発せられた白色光の光路上における上記所定位置で、当該白色光の光路と直交するように、配置されている。これら白色光及び励起光の光路同士が直交する位置には、切換ホイール26が、挿入される。
【0030】
この切換ホイール26は、図3に示されるように、円板の半周に亘って、切り欠きが形成されたのと同等の形状に、形成されている。即ち、この切換ホイール26は、大径の半円部分及び小径の半円部分が一体に接合されたのと同等の形状に、形成されている。なお、この切換ホイール26は、白色光を遮断するとともに励起光を反射する特性を有する板状部材からなっている。
【0031】
図1に示されるように、この切換ホイール26は、モータ27に連結されており、その中心軸を中心として回転する。なお、この切換ホイール26の中心軸は、各光源部21,22から射出された白色光及び励起光の光路を含む平面内に配置されている。さらに、この切換ホイール26は、これら白色光及び励起光が互いに交差する位置に、その大径部分が差し掛かることができるように、配置されている。
【0032】
そして、この切換ホイール26は、その大径部分が、白色光と励起光とが交差する位置に差し掛かった状態において、白色光を遮断するとともに、励起光を反射させる。なお、この切換ホイール26は、白色光と励起光とが交差する位置にその小径部分が近接した場合には、これら白色光及び励起光に干渉しないように、配置されている。
【0033】
そして、この切換ホイール26の小径部分が白色光と励起光との交差位置に近接した状態において、この切換ホイール26に干渉されずに直進した白色光は、集光レンズ23へ向う。しかし、切換ホイール26に干渉されずに直進した励起光は、この集光レンズ23へは向わないので、当該集光レンズ23に入射するのは、白色光のみである。この白色光は、集光レンズ23によりライトガイド13の基端面に収束される。
【0034】
この切換ホイール26の大径部分が白色光と励起光との交差位置に差し掛かった状態において、励起光は、この切換ホイール26に反射されて集光レンズ23へ向う。しかし、白色光は、この切換ホイール26に遮断されて、集光レンズ23に入射することがない。そして、切換ホイール26に反射された励起光は、集光レンズ23によりライトガイド13の基端面に収束される。
【0035】
従って、切換ホイール26が回転すると、白色光及び励起光は、交互に、集光レンズ23へ入射する。なお、モータ27は、切換ホイール26を等速回転させる。このため、集光レンズ23から射出される白色光の射出時間及び励起光の射出時間は、互いに等しくなっている。
【0036】
また、プロセッサTにおけるタイミングコントローラT1,画像信号処理回路T2,及びシステムコントローラT3は、相互に接続されている。このプロセッサTのタイミングコントローラT1は、各モータ25,27に夫々接続されている。そして、このタイミングコントローラT1は、これら各モータ25,27を夫々同期させて、等速回転させる。
【0037】
即ち、タイミングコントローラT1は、切換ホイール26の小径部分が白色光と励起光との交差位置に近接している期間中に、ホイール24の各フィルタ241〜243を光路中に挿入させるとともに、切換ホイール26の大径部分が白色光と励起光との交差位置に差し掛かっている期間中にホイール24の透明部材240を光路中に挿入させるように、これら両ホイール24,26を夫々等速回転させる。
【0038】
すると、切換ホイール26の小径部分の近傍を通過して集光レンズ23を透過した白色光は、ホイール24の各フィルタ241〜243により、順次、B光,G光,及びR光に変換される。そして、切換ホイール26の大径部分により反射された励起光は、集光レンズ23を透過した後に、ホイール24の透明部材240を透過する。このため、ライトガイド13の基端面には、B光,G光,R光,及び励起光が、順次、繰り返し収束する。
【0039】
そして、これらB光,G光,R光,及び励起光は、このライトガイド13により導かれて、配光レンズ11へ向かう。すると、配光レンズ11からは、これらB光,G光,R光,及び励起光が、順次、繰り返し射出される。
【0040】
この配光レンズ11から射出されたB光,G光,及びR光が、順次、被検体を照射している期間中に、内視鏡1の対物レンズ12は、CCD14の撮像面近傍に被検体像を形成する。この被検体像は、CCD14により画像信号に変換される。一方、配光レンズ11から射出された励起光が被検体を照射している期間中に、この被検体は、自家蛍光を発する。従って、対物レンズ12へは、この被検体から発せられた自家蛍光,及び,この被検体表面において反射された励起光が、入射する。但し、励起光は、図示せぬ励起光カットフィルタにより遮断されるので、CCD14の撮像面近傍には、被検体の自家蛍光のみによる被検体像が形成される。この被検体像は、CCD14により画像信号に変換される。
【0041】
なお、CCD14は、プロセッサTのタイミングコントローラT1に接続されており、このタイミングコントローラT1から送信された駆動信号に従って、画像信号を出力する。また、プロセッサTの画像信号処理回路T2は、CCD14に接続されており、このCCD14から出力された画像信号を取得する。
【0042】
図4は、本実施形態の照明及び画像取得のタイミングチャートである。なお、この図4の(A)は、配光レンズ11から被検体へ向けて射出されたB光,G光,及びR光の照射期間を示している。また、この図4の(B)は、タイミングコントローラT1から出力されたCCD14への駆動信号を示している。
【0043】
この図4の(A)及び(B)に示されるように、配光レンズ11からB光が射出される「B照射」期間が、CCD14の「B蓄積」期間に相当する。即ち、被検体にB光が照射された状態において、CCD14の各画素には、B光による被検体像に対応した電荷が蓄積される。このように蓄積された電荷は、直後の「B転送」期間中に、B画像信号として画像信号処理回路T2へ送信される。
【0044】
この「B転送」期間の直後の「G蓄積」期間は、配光レンズ11からG光が射出される「G照射」期間に対応している。この「G蓄積」期間において、CCD14の各画素には、G光による被検体像に対応した電荷が蓄積される。このように蓄積された電荷は、直後の「G転送」期間中に、G画像信号として画像信号処理回路T2へ送信される。
【0045】
この「G転送」期間の直後の「R蓄積」期間は、配光レンズ11からR光が射出される「R照射」期間に対応している。この「R蓄積」期間において、CCD14の各画素には、R光による被検体像に対応した電荷が蓄積される。このように蓄積された電荷は、直後の「R転送」期間中に、R画像信号として画像信号処理回路T2へ送信される。
【0046】
一方、配光レンズ11からUV光が射出される「UV照射」期間が、CCD14の「F蓄積」期間に相当する。即ち、被検体にUV光が照射された状態において、CCD14の各画素には、自家蛍光(F光)による被検体像に対応した電荷が蓄積される。このように蓄積された電荷は、直後の「F転送」期間中に、F画像信号(蛍光画像信号)として画像信号処理回路T2へ送信される。
【0047】
なお、実際には、上記各照射期間の長さは互いに異なっている。即ち、時間が長いものから順に、「UV照射」期間,「B照射」期間,「G照射」期間,及び「R照射」期間になっている。しかし、図4では、模式的に、これら各照射期間は互いに等しく示されている。
【0048】
<画像信号処理回路の構成>
この画像信号処理回路T2は、これらB画像信号,G画像信号,R画像信号,及びF画像信号を取得して処理し、モニタ3に画像表示させる回路である。図5は、画像信号処理回路T2を示すブロック図である。この図5に示されるように、画像信号処理回路T2は、タイミングコントローラT1に夫々接続されたCCDプロセス回路T21,A/DコンバータT22,フレームメモリT23,4つのメモリT24〜T27,演算回路T28,及び,ビデオプロセス回路T29を、備えている。
【0049】
CCDプロセス回路T21は、CCD14に接続されている。そして、このCCDプロセス回路T21は、CCD14から出力された画像信号を取得して、ホワイトバランスの調整,及びγ補正等の処理を施した後に、出力する。A/DコンバータT22は、CCDプロセス回路T21から出力された画像信号をA/D変換して、デジタルの画像信号(画像データ)として出力する。
【0050】
フレームメモリT23は、CCD14の画素毎に10ビットのデータを記憶可能な記憶領域を有する。そして、A/DコンバータT22から出力された画像データは、一旦、このフレームメモリT23内に格納される。そして、このフレームメモリT23内に格納された信号は、入力のときとは異なる所定のタイミングで、出力される。
【0051】
4つのメモリT24〜T27は、いずれも、CCD14の画素毎に10ビットのデータを記憶可能な記憶領域を、有する。これら各メモリT24〜T27は、フレームメモリT23に夫々接続されている。そして、これら各メモリT24〜T27には、フレームメモリT23から出力された信号が、入力される。但し、各メモリT24〜T27には、タイミングコントローラT1により夫々指定された期間中にフレームメモリT23から出力された画像データのみが、格納される。
【0052】
図6は、演算回路T28のブロック図である。この演算回路T28は、減算器,ルックアップテーブルLUT,係数器M,及び3つの出力端子P1〜P3を、有している。この係数器Mは、各メモリT24,T25,T26,及びルックアップテーブルLUTに、夫々接続されている。ルックアップテーブルLUTは、減算器を介して、メモリT25及びメモリT27に接続されている。
【0053】
この係数器Mは、各メモリT24〜T26から読み出されたB画像データ,G画像データ,及びR画像データにおける各画素の輝度値に、以下に説明する係数値を乗ずることにより、増幅する。なお、ルックアップテーブルLUTは、メモリT25から読み出されたG画像データと、メモリT27から読み出されたF画像データとの差分データ(差分信号)を取得して、この差分データの各画素毎に係数値を決定するとともに、決定した係数値を、係数器Mに設定する。なお、このG画像データは、参照画像信号として利用されている。
【0054】
図7は、差分データの値と係数値との関係を示すグラフである。このグラフの横軸は、差分データにおける各画素の輝度値を示し、縦軸は、係数値を示している。ルックアップテーブルLUTは、このグラフに従って、入力した差分データの各画素の輝度値に、夫々、係数値を関連付ける。そして、各画素毎に関連付けられた輝度値が、係数器Mに順次設定される。この図7のグラフに示されるように、輝度値が大きくなるにつれて、係数値は、段階的に大きくなる。即ち、輝度値が大きくなるにつれて、係数値は、1.0から0.2単位で段階的に2.0まで大きくなる。
【0055】
係数器Mは、メモリT24から読み出されたB画像データの各画素の輝度値を順次取得するとともに、取得した各画素の輝度値に当該画素に関連付けられた係数値を乗ずることにより、このB画像データを増幅する。同時に、この係数器Mは、メモリT25から読み出されたG画像データの各画素の輝度値を順次取得するとともに、取得した各画素の輝度値に当該画素に関連付けられた係数値を乗ずることにより、このG画像データを増幅する。同時に、この係数器Mは、メモリT26から読み出されたR画像データの各画素の輝度値を順次取得するとともに、取得した各画素の輝度値に当該画素に関連付けられた係数値を乗ずることにより、このR画像データを増幅する。これらB,G,Rの各画像データ(画像信号)は、増幅対象信号に相当する。
【0056】
そして、係数器Mは、増幅したB画像データを第1の出力端子P1へ出力し、増幅したG画像データを第2の出力端子へ出力し、増幅したR画像データを第3の出力端子P3へ出力する。
【0057】
なお、図5に示されるように、この演算回路T28は、ビデオプロセス回路T29に接続されている。さらに、このビデオプロセス回路T29は、モニタ3に接続されている。そして、図6に示された演算回路T28の各出力端子P1,P2,P3から出力された画像データは、夫々、カラー画像のB成分,G成分,R成分として、ビデオプロセス回路T29に入力する。
【0058】
このビデオプロセス回路T29は、B成分,G成分,及びR成分に夫々対応したデータを、D/A変換することにより、アナログのB画像信号,G画像信号,及びR画像信号を、取得する。さらに、このビデオプロセス回路T29は、これらB画像信号,G画像信号,及びR画像信号とともに動画表示用の所定の仕様に基づく同期信号を、モニタ3へ出力する。そして、モニタ3は、これらB画像信号,G画像信号,及びR画像信号,並びに,同期信号に基づいて、画像(診断用画像)をその画面に動画表示する。
【0059】
<第1実施形態の作用>
上記のように、演算回路T28は、メモリT25から読み出されたG画像データとメモリT27から読み出されたF画像データとの差分データに基づき、係数器Mにおける増幅のゲインを調節している。例えば、被検体のある領域に関して、G画像データの画素の輝度値が略一定であったとしても、この領域内の特定の部分においてのみF画像データの輝度値が低くなっているとすると、この特定の部分に対応する差分データの各画素の値は、その周辺の部分に対応する各画素の値に比べて大きくなる。
【0060】
このため、上記の特定の部分に対応する画素に関連付けられた係数値は、この特定の部分の周辺に対応する画素に関連付けられた係数値よりも、大きくなる。従って、図8に示されるように、診断用画像において、被検体における特定の部分Hはその周辺部分に比べて明るく表示される。なお、係数器Mは、B画像データ,G画像データ,及びR画像データを、その同一の画素に対しては同一の係数値を乗ずることにより、増幅している。このため、診断用画像において、被検体における自家蛍光の弱い部分は、その輝度が変化するもののその色は殆ど変わっていない。
【0061】
従って、術者は、この診断用画像を観察することにより、被検体における自家蛍光が弱くなった部分を容易に識別することができるだけでなく、被検体の実際の色を略正確に認識することができる。
【0062】
さらに、係数器Mの係数値は、差分データの各画素の値の変化に応じて、段階的に変化するので、差分データにおける輝度値の近い画素同士は、その係数値が互いに等しくなる。従って、図8に示されるように、診断用画像には、自家蛍光の強度に応じて段階的なパターンが現れる。このため、術者は、診断用画像におけるパターンを観察することにより、自家蛍光の強度の差を明確に認識することができる。
【0063】
【第2実施形態】
本実施形態の電子内視鏡装置は、上記の第1実施形態の電子内視鏡装置の構成において、上記の演算回路T28を本実施形態の演算回路T28’で置き換えた点を、特徴としている。
【0064】
図9は、この演算回路T28’のブロック図である。この図9に示されるように、演算回路T28’は、減算器,第1変換器V1,第2変換器V2,係数器M,及びルックアップテーブルLUTを、有している。第1変換器V1は、各メモリT24,T25,T26に、夫々接続されている。この第1変換器V1は、各メモリT24,T25,T26から夫々読み出されたB画像データ,G画像データ,及びR画像データを、輝度信号を示すCYデータ,並びに,一対の色差信号を夫々示すCbデータ及びCrデータに変換して出力する。これら輝度信号及び色差信号は、CCIR等において定められた規格に従うものであってもよい。
【0065】
係数器Mは、第1変換器V1におけるCYデータが出力される端子,及びルックアップテーブルLUTに接続されている。そして、この係数器Mは、第1変換器V1から出力されたCYデータを取得するとともに、このCYデータを、その各画素の値に係数値を乗ずることにより、増幅する。
【0066】
ルックアップテーブルLUTは、減算器を介して、第1変換器V1におけるCYデータが出力される端子,及びメモリT27に接続されている。そして、このルックアップテーブルLUTは、第1変換器V1から出力されたCYデータと、メモリT27から読み出されたF画像データとの差分データを取得し、この差分データの各画素の値に、夫々、係数値を関連付ける。なお、係数値は、第1実施形態の場合と同様に、差分データが大きくなると、所定の単位ずつ段階的に大きくなる。そして、各画素毎に関連付けられた輝度値が、係数器Mに順次設定される。
【0067】
第2変換器V2は、係数器M,並びに,第1変換器V1におけるCbデータ及びCrデータが出力される一対の端子に夫々接続されている。そして、この第2変換器V2は、係数器Mにより増幅されたCYデータと第1変換器V1から出力されたCbデータ及びCrデータとを取得して、B画像データ,G画像データ,及びR画像データに変換して出力する。
【0068】
なお、演算回路T28’は、上記第1実施形態の演算回路T28と同様に、3つの出力端子P1〜P3を、有している。そして、第2変換器V2から出力されたB画像データ,G画像データ,及びR画像データは、夫々、各出力端子P1,P2,P3へ出力される。
【0069】
上述のように、本実施形態の演算回路T28’は、B画像データ,G画像データ,及びR画像データをCYデータ,Cbデータ,及びCrデータに変換し、これらのうちの輝度信号を示すCYデータのみを増幅している。このため、モニタ3に表示される診断用画像では、被検体における自家蛍光の弱い部分は、その色が変化することなく、その輝度のみが高くなっている。従って、術者は、この診断用画像を観察することにより、被検体における自家蛍光の弱い部分を容易に識別できるだけでなく、被検体の色を正確に認識することができる。
【0070】
【第3実施形態】
本実施形態の電子内視鏡装置は、上記の第1実施形態の電子内視鏡装置の構成において、上記の演算回路T28を本実施形態の演算回路T28’’で置き換えた点を、特徴としている。図10は、この演算回路T28’’のブロック図である。
【0071】
なお、図6に示された第1実施形態の演算回路T28において、その係数器Mは、各メモリT24〜T26から読み出されたB画像データ,G画像データ,及びR画像データを、夫々増幅していた。これに対し、本実施形態の演算回路T28’’は、メモリT24から読み出されたB画像データのみを増幅して、第1の出力端子P1へ出力する。そして、各メモリT25,T26から読み出されたG画像データ,及びR画像データは、夫々、増幅されずに各出力端子P2,P3へ出力される。この演算回路T28’’におけるその他の構成は、上記演算回路T28と同様である。
【0072】
そして、この演算回路T28’’のルックアップテーブルLUTは、メモリT25から読み出されたG画像データと、メモリT27から読み出されたF画像データとの差分データを、取得し、この差分データの各画素毎に、第1実施形態と同様に係数値を決定し、係数器Mに設定する。
【0073】
この演算回路T28’’の各出力端子P1〜P3から出力されたデータは、ビデオプロセス回路T29により診断用画像信号に変換される。すると、モニタ3には、この診断用画像信号が診断用画像として表示される。この診断用画像は、被検体のカラー画像を基に、被検体における自家蛍光が弱い部分に対応する領域が青く着色された状態で、表示されている。従って、術者は、被検体をそのカラー画像に近い状態で観察できるとともに、この被検体における自家蛍光の弱くなった部分が青く着色されている故に、当該部分を明確に識別することができる。
【0074】
なお、被検体が消化器等の器官である場合には、当該被検体は、赤っぽい色をしている。このため、診断用画像における自家蛍光の弱い部分が青く着色されると、術者は、当該部分を識別しやすい。
【0075】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明の電子内視鏡装置は、被検体のカラー画像に対応する画像信号に対して、この被検体における自家蛍光の強度分布に応じた画像処理を施すことにより、診断用画像信号を生成している。従って、この診断用画像信号が診断用画像として表示されると、術者は、この診断用画像を観察することにより、被検体のカラー画像を認識するとともに当該被検体における自家蛍光の強度分布を知ることができる。このため、術者は、被検体における病変が生じた可能性のある部分を、明瞭に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の電子内視鏡装置を示す構成図
【図2】 本発明の実施形態のホイールを示す図
【図3】 本発明の実施形態の切換ホイールを示す図
【図4】 本発明の実施形態の照明及び画像取得のタイミングチャート
【図5】 本発明の実施形態の画像信号処理回路を示すブロック図
【図6】 本発明の第1実施形態の演算回路を示すブロック図
【図7】 差分データの値と係数値との関係を示すグラフ
【図8】 診断用画像例を示す模式図
【図9】 本発明の第2実施形態の演算回路を示すブロック図
【図10】 本発明の第3実施形態の演算回路を示すブロック図
【符号の説明】
1 電子内視鏡
11 配光レンズ
12 対物レンズ
13 ライトガイド
14 CCDエリアセンサ
2 外部装置(光源・プロセッサ装置)
20 光源ユニット
24 ホイール
25,27 モータ
26 切換ホイール
T プロセッサ
T1 タイミングコントローラ
T2 画像信号処理回路
T28 演算回路
M 係数器
LUT ルックアップテーブル
V1 第1変換器
V2 第2変換器
T3 システムコントローラ
Claims (9)
- 被検体を照明する照明光学系と、
青色光,緑色光,赤色光,及び,生体組織自体からの蛍光を励起する励起光を発し、これら青色光,緑色光,赤色光,及び励起光を、順次、前記照明光学系へ導く光源ユニットと、
前記被検体表面からの光のうちの励起光以外の成分を収束させて、この被検体表面の像を形成する対物光学系と、
前記対物光学系によって形成された被検体表面の像を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子により取得された画像信号のうち、前記照明光学系に青色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてB画像信号を取得し、前記照明光学系に緑色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてG画像信号を取得し、前記照明光学系に赤色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてR画像信号を取得し、前記照明光学系に励起光が導かれている期間に対応する部分に基づいて蛍光画像信号を取得し、取得したB画像信号,G画像信号,及びR画像信号から選択される参照画像信号から、蛍光画像信号を減算することにより差分信号を生成し、生成した差分信号の強度に応じて、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号から選択される1つ以上の増幅対象信号を増幅し、増幅した増幅対象信号,並びに,B画像信号,G画像信号,及びR画像信号のうちの増幅対象信号以外の信号を、診断用画像信号として出力するプロセッサと
を備えたことを特徴とする電子内視鏡装置。 - 前記増幅対象信号は、B画像信号,G画像信号,及びR画像信号である
ことを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡装置。 - 前記増幅対象信号は、B画像信号のみである
ことを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡装置。 - 前記参照画像信号は、G画像信号である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子内視鏡装置。 - 被検体を照明する照明光学系と、
青色光,緑色光,赤色光,及び,生体組織自体からの蛍光を励起する励起光を発し、これら青色光,緑色光,赤色光,及び励起光を、順次、前記照明光学系へ導く光源ユニットと、
前記被検体表面からの光のうちの励起光以外の成分を収束させて、この被検体表面の像を形成する対物光学系と、
前記対物光学系によって形成された被検体表面の像を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子により取得された画像信号のうち、前記照明光学系に青色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてB画像信号を取得し、前記照明光学系に緑色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてG画像信号を取得し、前記照明光学系に赤色光が導かれている期間に対応する部分に基づいてR画像信号を取得し、前記照明光学系に励起光が導かれている期間に対応する部分に基づいて蛍光画像信号を取得し、取得したB画像信号,G画像信号,及びR画像信号を、輝度信号,及び1つ以上の色差信号に変換し、この輝度信号から蛍光画像信号を減算することにより差分信号を生成し、輝度信号を増幅対象信号として指定するとともに、指定した増幅対象信号を、生成した差分信号の強度に応じて増幅し、増幅した増幅対象信号,及び色差信号を、診断用画像信号として出力するプロセッサと
を備えたことを特徴とする電子内視鏡装置。 - 前記プロセッサは、増幅した増幅対象信号,及び色差信号を、カラー画像の青色成分,緑色成分,及び赤色成分に夫々対応させた3つの画像信号に変換するとともに、変換したこれら各画像信号を、診断用画像信号として出力する
ことを特徴とする請求項5記載の電子内視鏡装置。 - 前記プロセッサは、差分信号の強度が大きくなると、増幅対象信号の増幅のゲインを大きくする
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子内視鏡装置。 - 前記プロセッサは、差分信号の強度に応じて、増幅対象信号の増幅のゲインを段階的に変化させる
ことを特徴とする請求項7記載の電子内視鏡装置。 - 前記プロセッサから出力された画像信号を表示するモニタを、
さらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子内視鏡装置。
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