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JP4517996B2 - 下引き層形成用塗布液、該塗布液の製造方法、該塗布液を塗布してなる下引き層を有する感光体、該感光体を用いる画像形成装置、および該感光体を用いる電子写真カートリッジ - Google Patents

下引き層形成用塗布液、該塗布液の製造方法、該塗布液を塗布してなる下引き層を有する感光体、該感光体を用いる画像形成装置、および該感光体を用いる電子写真カートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体の下引き層を塗布、乾燥して形成する際に用いる下引き層形成用塗布液の製造方法、該方法による塗布液を塗布してなる下引き層上に感光層を有する感光体、該感光体を用いる画像形成装置、および該感光体を用いる電子写真カートリッジに関するものである。本発明の製造方法よりなる下引き層形成用塗布液を、塗布、乾燥して形成した下引き層上に感光層を有する電子写真感光体は、電子写真方式のプリンター、ファクシミリ、複写機などに好適に用いることができる。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、無機系の光導電材料に比し、無公害、製造が容易等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した有機感光体が開発されている。通常有機感光体は、導電性支持体上に感光層を形成してなるが、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた単層の感光層を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層してなる複数の層からなる感光層を有する、いわゆる積層型感光体などが知られている。
有機感光体では、感光体の使用環境の変化や繰り返し使用による電気特性等の変化により、当該感光体を用いて形成された画像に様々な欠陥が見られることがあり、安定して良好な画像を形成するために、導電性基板と感光層の間にバインダー樹脂と酸化チタン粒子を有する下引き層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1 参照)。
有機感光体の有する層は、通常その生産性の高さから、各種溶媒中に材料を溶解または分散した塗布液を、塗布、乾燥することにより形成されるが、酸化チタン粒子とバインダー樹脂を含有する下引き層では、酸化チタン粒子とバインダー樹脂は下引き層中において相溶しない状態で存在しているため、下引き層形成用塗布液は、酸化チタン粒子を分散した塗布液により塗布形成される。
従来、このような塗布液は、酸化チタン粒子を長時間に亘り、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミルなどの公知の機械的な粉砕装置で有機溶媒中にて湿式分散することにより製造するのが一般的であった(例えば、特許文献1 参照)。そして、下引き層形成用塗布液中の酸化チタン粒子を分散メディアを用いて分散する場合、分散メディアの材質をチタニアまたはジルコニアにすることにより、低温低湿条件下でも帯電露光繰り返し特性の優れた電子写真感光体を提供することができることが開示されている(例えば、特許文献2 参照)。しかしながら、より高画質の画像形成が要求される中で、従来の技術では画像の点や、生産時における塗布液の安定性等、種々の点で未だ性能的に不十分な点が多かった。
特開平11−202519号公報 特開平6−273962号公報
本発明は、前記の電子写真技術の背景を鑑みて創案されたもので、高い安定性を有する下引き層形成用塗布液、様々な使用環境下でも高い画質の画像を形成することが可能で、しかも黒点や色点などの画像欠陥が発現し難い高性能の電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および前記感光体を用いた電子写真カートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に関し鋭意検討した結果、下引き層形成用塗布液における酸化チタン粒子の分散に利用される分散メディアとして、通常用いられる分散メディアの粒子径に比し、特に小粒子径の分散メディアを用いることにより、使用時の安定性に優れた下引き層形成用塗布液を得ることができ、該塗布液を塗布、乾燥して得られる下引き層を有する電子写真感光体は、異なる使用環境においても良好な電気特性を有し、該感光体を用いた画像形成装置によれば高品質な画像を形成することが可能であり、しかも絶縁破壊などにより発生すると考えられる黒点や色点などの画像欠陥が極めて発現し難いことを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明の第一の要旨は、金属酸化物粒子およびバインダー樹脂を含有する電子写真感光体の下引き層形成用塗布液において、該塗布液中の金属酸化物凝集体二次粒子の体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体の下引き層形成用塗布液にある。
また、本発明の第の要旨は、導電性支持体上に、バインダー樹脂と金属酸化物粒子を含有する下引き層、および該層上に形成される感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の金属酸化物凝集体二次粒子の体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体にある。
また、本発明の第の要旨は、本発明の係る電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置、および該帯電手段が、該電子写真感光体に接触配置することを特徴とする画像形成装置にある。
また、本発明の第の要旨は、本発明に係る電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置であって、該像露光手段に用いられる光の波長が、350nm〜600nmであることを特徴とする画像形成装置にある。
また、本発明の第の要旨は、本発明に係る電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つを有することを特徴とする電子写真カートリッジ、および該帯電手段が、該電子写真感光体に接触配置することを特徴とする電子写真カートリッジにある。
本発明によれば、下引き層形成用塗布液は安定した状態となり、ゲル化したり、分散された酸化チタン粒子が沈殿したりすることがなく、長期保存および使用が可能となる。また、該塗布液の使用時における粘性をはじめとする物性の変化が小さくなり、連続して支持体上に塗布し乾燥して感光層を形成する際に、製造されたそれぞれの感光層の膜厚が均一なものとなる。更に、本発明の方法により製造された塗布液を用いて形成された下引き層を有する電子写真感光体は、低温低湿度でも安定した電気特性を有し、電気特性に優れている。そして、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置によれば、黒点や色点などの画像欠陥の極めて少ない良好な画像を形成することができ、特に該電子写真感光体に接触配置する帯電手段により帯電される画像形成装置において、黒点や色点などの画像欠陥の極めて少ない良好な画像を形成することができる。また、本発明の電子写真感光体を用い、像露光手段に用いられる光の波長が350nm〜600nmである画像形成装置によれば、初期帯電電位および感度が高いことからして高品質の画像を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明は、電子写真感光体の下引き層形成用塗布液、該塗布液の製造方法、該塗布液を塗布形成してなる下引き層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いる画像形成装置、および該電子写真感光体を用いた電子写真カートリッジに係るものである。本発明に係る電子写真感光体は、導電性支持体上に下引き層と感光層を有するものである。本発明に係る下引き層は、導電性支持体と感光層の間に設けられ、導電性支持体と感光層との接着性の改善、導電性支持体の汚れや傷のなどの隠蔽、不純物や表面物性の不均質化によるキャリヤ注入の防止、電気特性の不均一性の改良、繰り返し使用による表面電位低下の防止、画質欠陥の原因となる局所的な表面電位変動の防止等の機能を有し、光電特性の発現に必須ではない層である。
<下引き層形成用塗布液>
本発明の下引き層形成用塗布液は、下引き層を形成するために用いられ、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下である金属酸化物凝集体二次粒子を含有する。
本発明に係る電子写真感光体の下引き層形成用塗布液において、金属酸化物粒子の一次粒子は、凝集して凝集体二次粒子となる。本発明で規定する金属酸化物粒子の体積平均粒子径、および累積90%粒子径とは、該凝集体二次粒子に係る値であって、粒子の全体積を100%として累積カーブを求めた時、その累積カーブが50%となる点の粒子径を体積平均粒子径(中心径:Median径)とし、累積カーブが90%となる点の粒子径を累積90%粒子径とする。これらの値は、重量沈降法、光透過式粒度分布測定法などの公知の方法により測定することが可能である。一例としては、日機装株式会社製粒度分析計(商品名:マイクロトラックUPA U150(MODEL 9340))等により測定することができる。
本発明に係る電子写真感光体の下引き層形成用塗布液の光透過率は、通常知られる分光光度計(absorption spectrophotometer)により測定することができる。光透過率を測定する際のセルサイズ、試料濃度などの条件は、使用する金属酸化物粒子の粒子径、屈折率などの物性により変化するため、通常、測定しようとする波長領域(本発明においては、400nm〜1000nm)において、検出器の測定限界を超えないように適宜試料濃度を調整する。本発明では、液中の金属酸化物粒子の量が、0.0075重量%〜0.012重量%となるように試料濃度を調整する。試料濃度を調製するための溶媒には、通常、下引き層形成用塗布液の溶媒として用いられている溶媒が用いられるが、下引き層形成用塗布液の溶媒およびバインダー樹脂と相溶性があり、混合した場合に濁りなどを生じず、400nm〜1000nmの波長領域において大きな光吸収を持たないものであればどのようなものでも使用することができる。より具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどの炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類が用いられる。
また、測定する際のセルサイズ(光路長)は、10mmの物を用いる。使用するセルは、400nm〜1000nmの範囲において実質的に透明であるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、石英のセルを用いることが好ましく、特には試料セルと標準セルの透過率特性の差が特定範囲内にあるようなマッチドセルを用いることが好ましい。
<金属酸化物粒子>
本発明に係る金属酸化物粒子としては、通常電子写真感光体に使用可能な如何なる金属酸化物粒子も使用することができる。金属酸化物粒子として、より具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。これらの中でもバンドギャップが2〜4eVの金属酸化物粒子が好ましい。金属酸化物粒子は、一種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中でも、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、および酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは酸化チタンおよび酸化アルミニウムである、特には酸化チタンが好ましい。
酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、これらの結晶状態の異なるものから、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
金属酸化物粒子は、その表面に種々の表面処理を行ってもよい。例えば、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、有機珪素化合物等の有機物による処理を施していてもよい。特に、酸化チタン粒子を用いる場合には、有機珪素化合物により表面処理されていることが好ましい。有機珪素化合物としては、ジメチルポリシロキサンまたは、メチル水素ポリシロキサン等のシリコーンオイル及びメチルジメトキシシラン、ジフェニルジジメトキシシラン等オルガノシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が一般的であるが下記一般式(1)の構造で表されるシラン処理剤が金属酸化物粒子との反応性も良く最も良好な処理剤である。
Figure 0004517996
式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基を表し、より具体的にはメチル基またはエチル基を示す。Rは、アルキル基またはアルコキシ基であって、より具体的には、メチル基、エチル基、メトキシ基及びエトキシ基よりなる群より選ばれた基を示す。なお、これらの表面処理された粒子の最表面はこのような処理剤で処理されているが、該処理のその前に酸化アルミ、酸化珪素または酸化ジルコニウム等の処理剤などで処理されていても構わない。酸化チタン粒子は、一種類の粒子のみを用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。
使用する金属酸化物粒子は、通常、平均一次粒子径が500nm以下のものが用いられ、好ましくは1nm〜100nmのものが用いられ、より好ましくは5〜50nmのものが用いられる。この平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission electron micloscope 以下、TEMということがある)により直接観察される粒子の径の算術平均値によって求めることが可能である。
また、使用する金属酸化物粒子としては種々の屈折率を有するものが利用可能であるが、通常電子写真感光体に用いることのできるものであれば、どのようなものも使用可能である。好ましくは、屈折率1.4以上であって、屈折率3.0以下のものが用いられる。金属酸化物粒子の屈折率は、各種の刊行物に記載されているが、例えばフィラー活用辞典(フィラー研究会編,大成社,1994)によれば下記表1のようになっている。
Figure 0004517996
本発明に係る金属酸化物粒子のうち、酸化チタン粒子の具体的な商品名としては、表面処理を施していない超微粒子酸化チタン「TTO−55(N)」、Al被覆を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(A)」、「TTO−55(B)」、ステアリン酸で表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(C)」、Alとオルガノシロキサンで表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(S)」、高純度酸化チタン「CR−EL」、硫酸法酸化チタン「R−550」、「R−580」、「R−630」、「R−670」、「R−680」、「R−780」、「A−100」、「A−220」、「W−10」、塩素法酸化チタン「CR−50」、「CR−58」、「CR−60」、「CR−60−2」、「CR−67」、導電性酸化チタン「SN−100P」、「SN−100D」、「ET−300W」(以上、石原産業株式会社製)や、「R−60」、「A−110」、「A−150」などの酸化チタンをはじめ、Al被覆を施した「SR−1」、「R−GL」、「R−5N」、「R−5N−2」、「R−52N」、「RK−1」、「A−SP」、SiO,Al被覆を施した「R−GX」、「R−7E」、ZnO,SiO,Al被覆を施した「R−650」、ZrO,Al被覆を施した「R−61N」(以上、堺化学工業株式会社製)、また、SiO,Alで表面処理された「TR−700」、ZnO,SiO,Alで表面処理された「TR−840」、「TA−500」の他、「TA−100」、「TA−200」、「TA−300」など表面未処理の酸化チタン、Alで表面処理を施した「TA−400」(以上、富士チタン工業株式会社製)、表面処理を施していない「MT−150W」、「MT−500B」、SiO,Alで表面処理された「MT−100SA」、「MT−500SA」、SiO,Alとオルガノシロキサンで表面処理された「MT−100SAS」、「MT−500SAS」(テイカ株式会社製)等が挙げられる。
また、酸化アルミニウム粒子の具体的な商品名としては、「Aluminium Oxide C」(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
また、酸化珪素粒子の具体的な商品名としては、「200CF」、「R972」(日本アエロジル社製)、「KEP−30」(日本触媒株式会社製)等が挙げられる。
また、酸化スズ粒子の具体的な商品名としては、「SN−100P」(石原産業株式会社製)等が挙げられる。
そして、酸化亜鉛粒子の具体的な商品名としては「MZ−305S」(テイカ株式会社製)が挙げられるが、本発明において使用可能な金属酸化物粒子は、これらに限定されるものではない。
本発明に係る電子写真感光体の下引き層形成用塗布液において、バインダー樹脂1重量部に対して、金属酸化物粒子は、0.5重量部〜4重量部の範囲で用いることが好ましい。
<バインダー樹脂>
本発明に係る電子写真感光体の下引き層形成用塗布液において使用されるバインダー樹脂としては、電子写真感光体の下引き層形成用塗布液に通常用いられる、有機溶剤に可溶であって、且つ形成後の下引き層が、感光層形成用の塗布液に用いられる有機溶剤に不溶であるか、溶解性の低く、実質上混合しないものであれば、特に限定されるものではない。
このようなバインダー樹脂としては例えば、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等のポリアミド樹脂は、良好な分散性および塗布性を示し好ましい。
ポリアミド樹脂としては例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチル変性ナイロンのようにナイロンを化学的に変性させたタイプなどのアルコール可溶性ナイロン樹脂をあげることができる。具体的な商品名としては、例えば「CM4000」「CM8000」(以上、東レ製)、「F−30K」「MF−30」「EF−30T」(以上、ナガセケムテック株式会社製)等があげられる。
これらポリアミド樹脂の中でも、下記一般式(2)で表されるジアミンを構成成分として含む共重合ポリアミド樹脂が特に好ましく用いられる。
Figure 0004517996
一般式(2)においてR〜Rは、水素原子または有機置換基を表す。m,nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、置換基が複数の場合それらの置換基は互いに異なっていてもよい。R〜Rで表される有機置換基としては、炭素数20以下の、ヘテロ原子を含んでいても構わない炭化水素基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基があげられ、更に好ましくはアルキル基、またはアルコキシ基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
前記一般式(2)で表されるジアミンを構成成分として含む共重合ポリアミド樹脂は、他に例えば、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム類;1,4−ブタンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−アイコサンジカルボン酸等のジカルボン酸類;1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等のジアミン類;ピペラジン等を組み合わせて、二元、三元、四元等に共重合させたものが挙げられる。この共重合比率について特に限定はないが、通常、前記一般式(2)で表されるジアミン成分が5〜40mol%であり、好ましくは5〜30mol%である。
共重合ポリアミドの数平均分子量としては、10000〜50000が好ましく、特に好適には15000〜35000である。数平均分子量が小さすぎても、大きすぎても膜の均一性を保つことが難しくなりやすい。共重合ポリアミドの製造方法には特に制限はなく、通常のポリアミドの重縮合方法が適宜適用され、溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等が用いられる。また重合に際して、酢酸や安息香酸等の一塩基酸、あるいは、ヘキシルアミン、アニリン等の一酸塩基、分子量調節剤として加えることも何らさしつかえない。
また、亜リン酸ソーダ、次亜リン酸ソーダ、亜リン酸、次亜リン酸やヒンダードフェノールに代表される熱安定剤やその他の重合添加剤を加えることも可能である。本発明で使用される共重合ポリアミドの具体例を以下に示す。但し具体例中、共重合比率はモノマーの仕込み比率(モル比率)を表す。
Figure 0004517996
<下引き層形成用塗布液に用いる溶媒>
本発明の下引き層形成用塗布液に用いる有機溶媒としては、本発明に係る下引き層用のバインダー樹脂を溶解することができる有機溶媒であれば、どのようなものでも使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはノルマルプロピルアルコール等の炭素数5以下のアルコール類;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド等の含窒素有機溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類があげられるが、これらの中から任意の組み合わせ及び任意の割合の混合溶媒で用いることができる。また、単独では本発明に係る下引き層用のバインダー樹脂を溶解しない有機溶媒であっても、例えば上記の有機溶媒との混合溶媒とすることで該バインダー樹脂を溶解可能で有れば、使用することができる。一般に、混合溶媒を用いた方が塗布ムラを少なくすることができる。
本発明の下引き層形成用塗布液に用いる有機溶媒と、バインダー樹脂、酸化チタン粒子などの固形分の量比は、下引き層形成用塗布液の塗布方法により異なり、適用する塗布方法において均一な塗膜が形成されるように適宜変更して用いればよい。
<分散方法>
本発明の下引き層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含有するものであるが、該金属酸化物粒子は塗布液中に分散されて存在する。塗布液中に金属酸化物粒子を分散させるには、例えば、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミルなどの公知の機械的な粉砕装置で有機溶媒中にて湿式分散することにより製造することができるが、分散メディアを利用して分散することが好ましい。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いて分散しても構わないが、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも塗布液を循環させて分散できるものが好ましく、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミルが用いられる。サンドミルは、縦型、横型いずれのものでもよい。サンドミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等任意のものを使用できる。
好ましくは、液循環型のサンドミルが用いられ、円筒形のステータと、ステータの一端に設けられるスラリーの供給口と、ステータの他端に設けられるスラリーの排出口と、ステータ内に充填されるメディアと供給口より供給されたスラリーを攪拌混合するピン、ディスク或いはアニューラタイプのロータと、排出口に連結され、かつロータと一体をなして回転するか、或いはロータとは別個に独立して回転し、遠心力の作用によりメディアとスラリーに分離して、スラリーを排出口より排出させるインペラタイプのセパレータとよりなる湿式攪拌ボールミルにおいて、セパレータを回転駆動するシャフトの軸心を上記排出口に通ずる中空な排出口としたものが特に好ましい。
このような湿式攪拌ボールミルによれば、セパレータによりメディアを分離したスラリーはシャフトの軸心を通って排出されるが、軸心では遠心力が作用しないため、スラリー は運動エネルギーを有しない状態で排出される。このために運動エネルギーが無駄に放出されず、無駄な動力が消費されなくなる。
このような湿式攪拌ボールミルは、横向きでもよいが、メディアの充填率を多くするために好ましくは縦向きで、排出口がミル上端に設けられる。またセパレータもメディア充填レベルより上方に設けるのが望ましい。排出口をミル上端に設ける場合、供給口はミル底部に設けられる。好ましい態様において、供給口は弁座と、弁座に昇降可能に嵌合し、弁座のエッジと線接触が可能なV形、台形或いはコーン状の弁体とより構成され、弁座のエッジとV形、台形或いはコーン状の弁体との間にメディアが通過し得ないような環状のスリットを形成することにより、原料スラリーは供給されるが、メディアの落ち込みは防止できるようにされる。また弁体を上昇させることによりスリットを広げてメディアを排出させたり、或いは弁体を降下させることによりスリットを閉じてミルを密閉させることが可能である。更にスリットは弁体と弁座のエッジで形成されるため、原料スラリー中の租粒子が噛み込み難く、噛み込んでも上下に抜け出し易く詰まりを生じにくい。
また、弁体を振動手段により上下に振動させるようにすれば、スリットに噛み込んだ粗粒子をスリットより抜け出させることができるうえ、噛み込み自体が生じ難くなる。しかも弁体の振動により原料スラリーに剪断力が加わって粘度が低下し、上記スリットへの原料スラリー通過量、すなわち供給量を増加させることができる。弁体を振動させる振動手段としては、バイブレータなどの機械的手段のほか、弁体と一体をなすピストンに作用する圧縮空気の圧力を変動させる手段、例えば往復動型の圧縮機、圧縮空気の吸排を切換える電磁切換弁等を用いることができる。
このような湿式攪拌ボールミルにはまた、底部にメディアを分離するスクリーンと、製品スラリーの取出し口を設け、粉砕終了後、ミル内に残留する製品スラリーを取り出せるようにするのが望ましい。
円筒形の縦型のステータと、ステータの底部に設けられる製品スラリーの供給口と、ステータの上端に設けられるスラリーの排出口と、ステータの上端に軸支され、モータ等の駆動手段によって回転駆動されるシャフトと、シャフトに固定され、ステータ内に充填されるメディアと供給口より供給されたスラリーを攪拌混合するピン、ディスク或いはアニューラタイプのロータと、排出口近くに設けられ、スラリーよりメディアを分離するセパレータと、ステータ上端のシャフトを支承する軸承部に設けられるメカニカルシールとからなる縦型の湿式攪拌ボールミルにおいて、メカニカルシールのメイティングリングと接触するOリングが嵌合する環状溝の下側部に下方に向かって拡開するテーパ状の切込みを形成したものである。
本発明に係る湿式攪拌ボールミルによれば、メカニカルシールをメディアやスラリー
が運動エネルギーを殆ど有しない軸心部で、しかもそれらの液面レベルより上方のステータ上端に設けることによりメカニカルシールのメイティングリングとOリング嵌合溝下側部との間にメディアやスラリーが入り込むのを大幅に減らすことができる。
その上、Oリングが嵌合する環状溝の下側部は、切込みにより下方に向かって拡開し、クリアランスが広がっているため、スラリーやメディアが入り込んで噛み込んだり、固化することによる詰まりを生じ難く、メイティングリングのシールリングへの追随が円滑に行われてメカニカルシールの機能維持が行われる。なお、Oリングが嵌合する嵌合溝の下側部は断面V形をなし、全体が薄肉となる訳ではないから、強度が損なわれることはないし、Oリングの保持機能が損なわれることもない。
円筒形のステータと、ステータの一端に設けられるスラリーの供給口と、ステータの他端に設けられるスラリーの排出口と、ステータ内に充填されるメディアと供給口より供給されたスラリーを攪拌混合するピン、ディスク或いはアニューラタイプのロータと、排出口に連結され、かつロータと一体をなして回転するか、或いはロータとは別個に独立して回転し、遠心力の作用によりメディアとスラリーに分離して、スラリーを排出口より排出させるインペラタイプのセパレータとよりなる湿式攪拌ボールミルにおいて、セパレータを、対向する内側面にブレードの嵌合溝を備えた二枚のディスクと、嵌合溝に嵌合してディスク間に介在するブレードと、ブレードを介在させたディスクを両側より挟持する支持手段とからなるもので、好ましい態様において支持手段は段付軸をなすシャフトの段と、シャフトに嵌合してディスクを押さえる円筒状の押え手段とより構成され、シャフトの段と押え手段とでブレードを介在させたディスクを両側より挟み込んで支持するようにされる。
図3において、原料スラリーは、縦型湿式攪拌ボールミルに供給され、該ミルでメディアと共に攪拌されることにより粉砕されたのち、セパレータ14でメディアを分離してシャフト15の軸心を通って排出され、戻される経路を辿り、循環粉砕されるようになっている。
縦型湿式攪拌ボールミルは、図3に詳細に示されるように、縦向きの円筒形で、かつミル冷却のための冷却水が通されるジャケット16を備えたステータ17と、ステータ17の軸心に位置してステータ上部において回転可能に軸承されると共に、軸承部にメカニカルシールを備え、かつ上側部の軸心を中空な排出路19としたシャフト15と、シャフト下端部に径方向に突設されるピンないしディスク状のロータ21と、シャフト上部に固着され、駆動力を伝達するプーリ24と、シャフト上端の開口端に装着されるロータリージョイント25と、ステータ内の上部近くにおいてシャフト15に固着されるメディア分離のためのセパレータ14と、ステータ底部にシャフト15の軸端に対向して設けられる原料スラリーの供給口26と、ステータ底部の偏心位置に設けられる製品スラリー取出し口29に設置される格子状のスクリーンサポート27上に取着され、メディアを分離するスクリーン28とからなっている。セパレータ14は、シャフト15に一定の間隔を存して固着される一対のディスク31と、両ディスク31を連結するブレード32とよりなってインペラを構成し、シャフト15と共に回転してディスク間に入り込んだメディアとスラリーに遠心力を付与し、その比重差によりメディアを径方向外方に飛ばす一方、スラリーをシャフト15の軸心の排出路19を通って排出させるようにしている。原料スラリーの供給口26は、ステータ底部に形成される弁座に昇降可能に嵌合する逆台形状の弁体35と、ステータ底部より下向きに突出する有底の円筒体36よりなり、原料スラリーの供給により弁体35が押し上げられると、弁座との間に環状のスリットが形成され、これより原料スラリーがミル内に供給されるようになる。
原料供給時の弁体35は、円筒体36内に送り込まれた原料スラリーの供給圧によりミル内の圧力に抗して上昇し、弁座との間にスリットを形成する。
スリットでの詰まりを解消するため、弁体35が短い周期で上限位置まで上昇する上下動を繰返して噛み込みを解消できるようにしてある。この弁体35の振動は、常時行っておいてもよいし、原料スラリー中に粗粒子が多量に含まれる場合に行ってもよく、また詰まりによって原料スラリーの供給圧が上昇したとき、これに連動して行われるようにしてもよい。
このような構造を有する湿式撹拌ボールミルとしては、具体的には例えば寿工業株式会社製のウルトラアペックスミルがあげられる。
次に、原料スラリーの粉砕方法について説明する。ボールミルのステータ17内にメディアを充填し、外部動力により駆動されてロータ21及びセパレータ14が回転駆動される一方、原料スラリーが一定量、供給口26に送られ、これにより弁座のエッジと弁体35との間に形成されるスリットを通してミル内に供給される。
ロータ21の回転によりミル内の原料スラリーとメディアが攪拌混合されてスラリーの粉砕が行われ、またセパレータ14の回転により、セパレータ内に入り込んだメディアとスラリーが比重差により分離され、比重の重いメディアが径方向外方に飛ばされるのに対し、比重の軽いスラリーがシャフト15の軸心に形成される排出路19を通して排出され、原料タンクに戻される。粉砕がある程度進行した段階でスラリーの粒度を適宜測定し、所望粒度に達すると、一旦原料ポンプを停止し、ついでミルの運転を停止し、粉砕を終了する。
このような縦型湿式攪拌ボールミルを用いて、金属酸化物粒子を分散させる場合、ミル内に充填されるメディアの充填率は50〜100%で粉砕するようにするのが好ましく、より好ましくは70〜95%、特に好ましくは80〜90%である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液を分散するのに適用される湿式攪拌ボールミルは、セパレータがスクリーンやスリット機構であってもよいが、インペラタイプのものが望ましく、縦型であることが好ましい。湿式攪拌ボールミルは縦向きにし、セパレータをミル上部に設けることが望まれるが、特にメディアの充填率を80〜90%に設定すると、粉砕が最も効率的に行われるうえ、セパレータをメディア充填レベルより上方に位置させることが可能となり、メディアがセパレータに乗って排出されるのを防止することができる効果もある。
本発明に係る下引き層形成用塗布液を分散するのに適用される湿式攪拌ボールミルの運転条件は、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物凝集体二次粒子の体積平均粒子径、下引き層形成用塗布液の安定性、該塗布液を塗布形成してなる下引き層の表面形状、該塗布液を塗布形成してなる下引き層を有する電子写真感光体の特性に影響し、特に下引き層形成用塗布液の供給速度と、ロータの回転速度が影響の大きいものとしてあげられる。
下引き層形成用塗布液の供給速度は、ミル中に下引き層形成用塗布液の滞留する時間が関係するため、ミルの容積およびその形状の影響を受けるが、通常用いられるステータの場合、ミル容積1リットル(以下、Lと略記することがある)あたり20kg/時間〜80kg/時間の範囲が好ましく、より好ましくはミル容積1Lあたり30kg/時間〜70kg/時間の範囲である。
また、ロータの回転速度は、ロータの形状やステータとの間隙などのパラメータの影響を受けるが、通常用いられるステータおよびロータの場合、ロータ先端部の周速が5m/秒〜20m/秒の範囲となることが好ましく、より好ましくは8m/秒〜15m/秒の範囲であり、特には10m/秒〜12m/秒である。
分散メディアは、通常、下引き層形成用塗布液に対し容積比で0.5〜5倍用いる。分散メディア以外に、分散後に容易に除去することのできる分散助剤を併用して実施することも可能である。分散助剤の例としては、食塩、ぼう硝等が挙げられる。
金属酸化物の分散は、分散溶媒の共存下湿式で行なうことが好ましいが、バインダー樹脂や各種添加剤を同時に混合していても構わない。該溶媒としては、特に制限されないが、前記の下引き層形成用塗布液に用いる有機溶媒を用いれば、分散後に溶媒交換などの工程を経る必要が無くなり好適である。これらの溶媒は何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて混合溶媒として用いても良い。
溶媒の使用量は、生産性の観点から、分散対象となる金属酸化物1重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常500重量部以下、好ましくは100重量部以下の範囲である。機械的分散時の温度としては、溶媒(または混合溶媒)の凝固点以上、沸点以下で行なうことが可能であるが、製造時の安全性の面から、通常、10℃以上、200℃以下の範囲で行なわれる。
分散メディアを用いた分散処理後、該分散メディアを分離・除去し、更に超音波処理することが好ましい。超音波処理は、下引き層形成用塗布液に超音波振動を加えるものであるが、振動周波数等には特に制限はなく、通常、周波数10kHz〜40kHz、好ましくは15kHz〜35kHzの発振器により超音波振動を加える。
超音波発振機の出力に特に制限はないが、通常100W〜5kWのものが用いられる。通常、多量の塗布液を大出力の超音波発振機による超音波で処理するよりも、少量の塗布液を抄出力の超音波発振機による超音波で処理する方が分散効率が良いため、一度に処理する下引き層形成用塗布液の量は、1〜50Lが好ましく、より好ましくは5〜30Lであって、特には10〜20Lが好ましい。また、この場合の超音波発振機の出力は、200W〜3kWが好ましく、より好ましくは300W〜2kWであって、特には500W〜1.5kWが好ましい。
下引き層形成用塗布液に超音波振動を加える方法に特に制限はないが、下引き層形成用塗布液を納めた容器中に超音波発振機を直接浸漬する方法、下引き層形成用塗布液を納めた容器外壁に超音波発振機を接触させる方法、超音波発信機により振動を加えた液体の中に下引き層形成用塗布液を納めた溶液を浸漬する方法などがあげられる。これらの方法の中でも、超音波発信機により振動を加えた液体の中に下引き層形成用塗布液を納めた溶液を浸漬する方法が好適に用いられる。この場合、超音波発信機により振動を加える液体としては、水;メタノール等のアルコール類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;シリコーンオイルなどの油脂類があげられるが、製造上の安全性、コスト、洗浄性などを勘案すれば、水を用いることが好ましい。超音波発信機により振動を加えた液体の中に下引き層形成用塗布液を納めた溶液を浸漬する方法では、該液体の温度により超音波処理の効率が変化するため、該液体の温度を一定に保つことが好ましい。加えた超音波振動により振動を加えた液体の温度が上昇することがある。該液体の温度は、通常は5〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃の温度範囲において超音波処理することが好ましい。
超音波処理する際に下引き層形成用塗布液を納める容器としては、電子写真感光体用の感光層を形成するのに用いられる下引き層形成用塗布液を入れるのに通常用いられる容器であればどのような容器でも構わないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の容器や、ガラス製容器、金属製の缶があげられる。これらの中では金属製の缶が好ましく、特に、JIS Z 1602 に規定される、18リットル金属製缶が好適に用いられる。有機溶媒に侵され難く、衝撃に強いからである。
下引き層形成用塗布液は、粗大な粒子を除去するために、必要に応じて濾過した後使用される。この場合の濾過メディアとしては、通常濾過するために用いられる、セルロース繊維、樹脂繊維、ガラス繊維など、何れの濾過材を用いても構わない。濾過メディアの形態としては、濾過面積が大きく効率がよいことなどの理由により、芯材に各種繊維を巻き付けた、いわゆるワインドフィルターが好ましい。芯材としては従前公知の何れの芯材も用いることができるが、ステンレスの芯材、ポリプロピレンなどの下引き層形成用塗布液に溶解しない樹脂製の芯材等があげられる。
このようにして製造された下引き層形成用塗布液は、所望により更に結着剤や種々の助剤などを添加して、下引き層の形成に用いる。
<分散メディア>
本発明において、酸化チタン粒子を下引き層用塗布液に分散させるには、平均粒子径5μm〜200μmの分散メディアを用いる。
分散メディアは通常、真球に近い形状をしているため、例えばJIS Z 8801:2000等に記載のふるいによりふるい分けする方法や、画像解析により測定することにより平均粒子径を求めることができ、アルキメデス法により密度を測定することができる。具体的には例えば、(株)ニレコ製のLUZEX50等に代表される画像解析装置により、平均粒子径と真球度を測定することが可能である。分散メディアの平均粒子径としては、通常5μm〜200μmのものが用いられ、特に10μm〜100μmであるのが好ましい。一般に小さな粒径の分散メディアの方が、短時間で均一な分散液を与える傾向があるが、過度に粒径が小さくなると分散メディアの質量が小さくなりすぎて効率よい分散ができなくなる。
分散メディアの密度としては、通常5.5g/cm以上のものが用いられ、好ましくは5.9g/cm以上、より好ましくは6.0g/cm以上のものが用いられる。一般に、より高密度の分散メディアを使用して分散した方が短時間で均一な分散液を与える傾向がある。分散メディアの真球度としては、1.08以下のものが好ましく、より好ましくは1.07以下の真球度を持つ分散メディアを用いる。
分散メディアの材質としては、下引き層形成用塗布液に不溶、且つ、比重が下引き層形成用塗布液より大きなものであって、下引き層形成用塗布液と反応したり、下引き層形成用塗布液変質させたりしないものであれば、公知の如何なる分散メディアも使用することができ、クローム球(玉軸受用鋼球)、カーボン球(炭素鋼球)等のスチール球;ステンレス球;窒化珪素球、炭化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミック球;窒化チタン、炭窒化チタン等の膜でコーティングされた球などがあげられるが、これらの中でもセラミック球が好ましく、特にはジルコニア焼成ボールが好ましい。より具体的には、特許第3400836号公報に記載のジルコニア焼成ビーズを用いることが特に好ましい。
<下引き層形成方法>
本発明に係る下引き層は、下引き層形成用塗布液を支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、スパイラル塗布、リング塗布、バーコート塗布、ロールコート塗布、ブレード塗布等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥することにより形成される。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
浸漬塗布法の場合、通常、下引き層形成用塗布液の全固形分濃度は、通常1重量%以上、好ましくは10重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とし、粘度を好ましくは0.1cps以上、また、好ましくは100cps以下の範囲とする。
その後塗布膜を乾燥するが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度、時間を調整する。乾燥温度は通常100〜250℃、好ましくは110℃〜170℃、さらに好ましくは115℃〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機を用いることができる。
<電子写真感光体>
本発明に係る電子写真感光体の有する感光層は、導電性支持体上に下引き層と感光層を有し、下引き層は導電性支持体と感光層の間に設けられる。感光層の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能であって、具体的には例えば、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた単層の感光層を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層してなる複数の層からなる感光層を有する、いわゆる積層型感光体などがあげられる。一般に光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
本発明に係る電子写真感光体の有する感光層は、公知のいずれの形態であっても構わないが、感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性など総合的に勘案して、積層型の感光体が好ましく、より好ましくは導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した順積層型感光体が好ましい。
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理を施してから用いてもよい。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/L、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/L、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dmの範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行なわれればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25℃以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下の範囲で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上、また、通常6.5以下、好ましくは6.0以下の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/Lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下の範囲で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは15分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。更に、実質上塩類を含有しない高温水または高温水蒸気により処理しても構わない。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。陽極酸化被膜の平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<下引き層>
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。また、下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加してもよい。
本発明に係る下引き層の表面形状は、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)、面内算術平均粗さ(Ra)、面内最大粗さ(P−V)に特徴を持つものであり、これらの数値は、JIS B 0601:2001の規格における、二乗平均平方根高さ、算術平均高さ、最大高さ、の基準長さを基準面に拡張した数値であり、基準面における高さ方向の値であるZ(x)を用いて、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)はZ(x)の二乗平均平方根を、面内算術平均粗さ(Ra)はZ(x)の絶対値の平均を、面内最大粗さ(P−V)はZ(x)の山高さの最大値と谷深さの最大値との和を表す。本発明に係る下引き層の面内2乗平均平方根粗さ(RMS)は、通常10〜100nmの範囲にあり、好ましくは20〜50nmの範囲にある。本発明に係る下引き層の面内算術平均粗さ(Ra)は、通常10〜50nmの範囲にあり、好ましくは10〜50nmの範囲にある。また、本発明に係る下引き層の面内最大粗さ(P−V)は、通常100〜1000nmの範囲にあり、好ましくは300〜800nmの範囲にある。
これらの表面形状の数値は、基準面内の凹凸を高精度に測定することが可能な表面形状分析装置により測定されれば、どのような表面形状分析装置により測定されても構わないが、光干渉顕微鏡を用いて高精度位相シフト検出法と干渉縞の次数計数を組み合わせて、試料表面の凹凸を検出する方法により測定することが好ましく、より具体的には株式会社菱化システムのMicromapを用いて、干渉縞アドレッシング方式により、Waveモードで測定することが好ましい。
また、本発明に係る電子写真感光体の下引き層は、該下引き層を結着しているバインダー樹脂を溶解することができる溶媒に分散して分散液とした場合に、該分散液の光透過率が特定の物性を示すものである。この場合の光透過率も、本発明に係る電子写真感光体の下引き層形成用塗布液の光透過率を測定する場合と同様にして測定することができる。
本発明に係る下引き層を分散して分散液とする際には、下引き層を結着するバインダー樹脂については実質上溶解せず、下引き層の上に形成されている感光層などを溶解することができる溶媒により下引き層上の層を溶解除去した後、下引き層を結着するバインダー樹脂を溶媒に溶解することによって分散液とすることが可能であって、この際の溶媒としては、400nm〜1000nmの波長領域において大きな光吸収を持たない溶媒を使用すればよい。
より具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類が用いられ、特にはメタノール、エタノール、および/または1−プロパノールが用いられる。
本発明に係る下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒で分散した液の、波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差は、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上の場合には0.3(Abs)以下であり、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以下の場合には0.02(Abs)以下である。より好ましくは、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上の場合には0.2(Abs)以下であり、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以下の場合には0.01(Abs)以下である。吸光度の値は、測定する液の固形分濃度に依存するため、本発明においては、液中の金属酸化物濃度が、0.003wt%〜0.0075wt%の範囲となるように分散することが好ましい。
また、本発明に係る電子写真感光体の有する下引き層の正反射率は、本発明に特定の値を示すものである。本発明における下引き層の正反射率とは、導電性支持体に対する、導電性支持体上の下引き層の正反射率を示しているが、該反射率は該下引き層の膜厚によって変化するため、本発明においては該下引き層が2μmの場合の反射率として規定する。
本発明に係る電子写真感光体の下引き層は、該下引き層が含有する金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長480nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長480nmの光に対する正反射の比が、50%以上であり、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以下の場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長400nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長400nmの光に対する正反射の比が、50%以上である。ここで、該下引き層が、複数種の屈折率2.0以上の金属酸化物粒子を含有する場合でも、複数種の屈折率2.0以下の金属酸化物粒子を含有する場合でも、上記と同様の正反射であるものが好ましい。また、該下引き層が、屈折率2.0以上の金属酸化物粒子、および屈折率2.0以下の金属酸化物粒子を同時に含んでいる場合では、屈折率2.0以上の金属酸化物粒子を含有する場合と同様に、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長480nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長480nmの光に対する正反射の比が、50%以上であることが好ましい。
一方、本発明に係る電子写真感光体においては、下引き層の膜厚が2μmであることに限定されず、任意の膜厚であってかまわない。下引き層の膜厚が2μm以外の厚さの場合には、該電子写真感光体の下引き層を形成する際に用いた下引き層形成用塗布液を用いて、該電子写真感光体と同等の導電性支持体上に、膜厚2μmの下引き層を塗布形成してその下引き層について正反射率を測定することができる。また、別の方法としては、当該電子写真感光体の下引き層の正反射率を測定し、その膜厚が2μmである場合に換算する方法がある。
以下、その換算方法について説明する。
本発明に特定の単色光が下引き層を通過し、導電性支持体上で正反射し、ふたたび下引き層を通過して検出される場合に、光に対して垂直な厚さdLの薄い層を仮定する。
dLを通過後の光の強度の減少量−dIは層を通過する前の光の強度IとdLに比例すると考えられ、式で表現すると次のように書くことができる(kは定数)。
−dI=kIdL・・・・・・・・・・・・・(1)
式(1)を変形すると次の様になる。
−dI/I=kdL・・・・・・・・・・・・(2)
式(2)の両辺をそれぞれ、IからIまで、0からLまでの区間で積分すると次の様な式が得られる。
log(I/I)=kL・・・・・・・・・(3)
これは、溶液系に於いてLambertの法則と呼ばれるものと同じであり、本発明に於ける反射率の測定にも適用することができる。
式(3)を変形すると、
I=Iexp(−kL)・・・・・・・・・(4)
となり、入射光が導電性基体表面に到達するまでの挙動が式(4)で表される。
一方、本発明に於ける正反射率は、入射光の導電性基体に対する反射光を分母とするため、素管表面での反射率R=I/Iを考える。
すると、式(4)に従って導電性基体表面に到達した光は、反射率Rを乗じられた上で正反射し、ふたたび光路長Lを通って下引き層表面に出ていく。すなわち、
I=Iexp(−kL)・R・exp(−kL)・・(5)
となり、R=I/Iを代入し、さらに変形することで、
I/I=exp(−2kL)・・・・・・・・(6)
という関係式を得ることができる。これが、導電性基体に対する反射率に対する、下引き層に対する反射率の値であり、これを正反射率と定義する。
さて、上述の通り、2μmの下引き層に於いて光路長は往復で4μmになるが、任意の導電性支持体上の下引き層の反射率Tは、下引き層の膜厚L(このとき光路長2Lとなる)の関数であり、T(L)と表される。式(6)から、
T(L)=I/I=exp(−2kL)・・・(7)
一方、知りたい値はT(2)であるため、式(4)にL=2を代入して、
T(2)=I/I=exp(−4k)・・・(8)
となり、式(4)と式(5)を連立させてkを消去すると、
T(2)=T(L)2/L・・・・・・・・・・(9)
となる。
すなわち、下引き層の膜厚がL(μm)であるとき、該下引き層の反射率T(L)を測定することで、下引き層が2μmである場合の反射率T(2)を相当の確度で見積もることができる。下引き層の膜厚Lの値は、粗さ計などの任意の膜厚計測装置で計測することができる。
<電荷発生物質>
本発明で電子写真感光体に用いる電荷発生物質としては、従来から本用途に用いることが提案されている任意の物質を用いることができる。このような物質としては例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料、ピリリウム系顔料、チアピリリウム系顔料、インジゴ系顔料、多環キノン系顔料、スクエアリック酸系顔料などが挙げられる。特にフタロシアニン顔料、またはアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
本発明では、電荷発生物質としてフタロシアニン系化合物を用いる場合に高い効果を示し好ましい。フタロシアニン系化合物として具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン、そしてそれらの有する各種の結晶型があげられる。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニンの中でも、A型(β型)、B型(α型)及びD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。さらに、これらのフタロシアニン系化合物の中でも、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°及び27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.2,14.1,15.3,19.7,27.1°に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°及び30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°及び28.3°に主たる回折ピークを示すヒドロキシカリウムフタロシアニン、並びに、7.4°,16.6°,25.5°及び28.3°に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの中でも、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましく、この場合、9.5°、24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンがとりわけ好ましい。
フタロシアニン系化合物は、単一の化合物のもののみを用いてもよいし、いくつかの混合あるいは混晶状態でもよい。ここでのフタロシアニン系化合物の混合あるいは混晶状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン系化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に摩砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
また、フタロシアニン系化合物を用いる場合に、フタロシアニン系化合物以外の電荷発生物質を用いても構わない。例えば、アゾ顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、ベンズイミダゾール顔料、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、スクエアリウム塩等を混合して用いることができる。
電荷発生物質は、感光層形成用塗布液中に分散されるが、該塗布液中に分散される前に、予め前粉砕されていても構わない。前粉砕は、種々の装置を用いて行うことができるが、通常はボールミル、サンドグラインドミルなどを用いて行う。これらの粉砕装置に投入する粉砕媒体としては、粉砕処理に際して、粉砕媒体が粉化することがなく、かつ分散処理後は容易に分離できるものであればどのようなものでも使用することが可能で、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、セラミックス等の、ビーズやボールが挙げられる。前粉砕では、体積平均粒子径で500μm以下となるよう粉砕することが好ましく、より好ましくは250μm以下まで粉砕する。体積平均粒子径は、当業者が通常用いるどのような方法で測定しても構わないが、通常沈降法や遠心沈降法で測定される。
<電荷輸送物質>
電荷輸送物質としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリグリシジルカルバゾール、ポリアセナフチレン等の高分子化合物;ピレン,アントラセン等の多環芳香族化合物;インドール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物;p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン,N−メチルカルバゾール−3−カルバルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物;5−(4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン)−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン等のスチリル系化合物;p−トリトリルアミン等のトリアリールアミン系化合物;N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物;ブタジエン系化合物;ジ−(p−ジトリルアミノフェニル)メタン等のトリフェニルメタン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチリル系化合物、ブタジエン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、もしくはこれらが複数結合されたものが好適に用いられる。これらの電荷輸送物質は単独でも、いくつかを混合して用いてもよい。
<感光層用バインダー樹脂>
本発明の電子写真感光体に係る感光層は、光導電性材料を各種バインダー樹脂で結着した形で形成する。バインダー樹脂としては、電子写真感光体に用いることができる公知の如何なるバインダー樹脂も使用可能であるが、具体的には例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアクル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体等が用いられる。またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。
<電荷発生層を含有する層>
・積層型感光体
感光体がいわゆる積層型感光体である場合、電荷発生物質を含有する層は、通常電荷発生層であるが、電荷輸送層中に含まれていても構わない。電荷発生物質を含有する層が電荷発生層である場合、電荷発生物質の使用比率は、電荷発生層に含まれるバインダー樹脂に100重量部に対して、通常30〜500重量部の範囲で使用され、より好ましくは50〜300重量部である。使用量が少なすぎると電子写真感光体としての電気特性が十分ではなくなり、少なすぎると塗布液の安定性を損なう。電荷発生物質を含有する層中の電荷発生物質の体積平均粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm〜2μm 、好ましくは0.15μm〜0.8μmが好適である。電荷発生層には、成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、シリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤を含有していてもよい。
・単層型感光体
感光体がいわゆる単層型感光体である場合には、後に記載する電荷輸送層と同様の配合割合のバインダー樹脂と電荷輸送物質を主成分とするマトリックス中に、前記電荷発生物質が分散される。この場合の電荷発生物質の粒子径は十分小さいことが必要であり、体積平均粒子径で好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少なすぎると十分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があるため、例えば好ましくは0.5〜50重量% 、より好ましくは10〜45重量%で使用される。感光層の膜厚は、通常5〜5
0μm 、より好ましくは10〜45μmで使用される。また単層型感光体の感光層も、
成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、シリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤を含有していてもよい。
<電荷輸送物質を含有する層>
いわゆる積層型感光体の場合、電荷輸送層は電荷輸送機能を持った樹脂単独で形成されても良いが、前記電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散または溶解された構成がより好ましい。いわゆる単層型感光体の場合、電荷発生物質の分散されるマトリックスとして前記電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散または溶解された構成が用いられる。
電荷輸送物質を含有する層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂などが挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。
また電荷輸送物質を含有する層には、必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、レベリング剤、電子吸引性物質等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送物質を含有する層の膜厚は、通常5〜60μm、好ましくは10〜45μm、より好ましくは15〜27μmの厚さで使用される。
前記バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の範囲で、より好ましくは40〜120重量部の範囲で使用される。
<表面層>
最表面層として従来公知の、例えば熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマーを主体とする表面保護層やオーバーコート層を設けてもよい。
<層形成法>
感光体の各層は、本発明の下引き層形成用塗布液のように、層に含有させる物質を溶媒に溶解または分散させて得られた塗布液を、例えば浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、リング塗布方法等の公知の方法を用いて順次塗布、形成される。この場合、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
<有機溶媒>
塗布液に用いる有機溶媒としては、前記の湿式機械的分散に用いることのできる溶媒が使用できる。好ましい例としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノン,1−ヘキサノール,1,3−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のエーテルケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の(ハロ)芳香族炭化水素類;酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類があげられる。またこれらの溶媒の中でも特に、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテルケトン類が、好適に用いられる。また、より好適なものとしては、トルエン,キシレン,1−ヘキサノール,1,3−ブタンジオール,4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等があげられる。
これらの中から少なくとも1種類の溶媒が用いられるが、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いても構わない。混合する溶媒としては、エーテル類、アルコール類、アミド類、スルホキシド類、エーテルケトン類アミド類、スルホキシド類、エーテルケトン類が適しているが、中でも1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、1−プロパノールなどのアルコール類が適している。特に好適には、エーテル類が混合される。これは、特にオキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生物質として塗布液を製造する際に、該フタロシアニンの結晶形安定化能、分散安定性などの面からである。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜600nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中でも波長380nm〜600nmの短波長の単色光などで露光することが好ましく、より好ましくは波長380nm〜500nmの単色光で露光することである。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、またはこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、またはこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71または72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下本発明の実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例で用いる「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
<実施例1>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
前記酸化チタン分散液と、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、および、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行い、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比が3/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の重量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18.0重量%の下引き層形成用塗布液Aを得た。
Figure 0004517996
この下引き層形成用塗布液Aについて、作製時と室温120日保存後の粘度変化率(120日保存後の粘度と作製時の粘度の差を、作製時の粘度で除した値)と、作製時の酸化チタンの粒度分布を測定した。粘度は、E型粘度計(トキメック社製、製品名 ED)を用い、JIS Z 8803に準じた方法で測定し、粒度分布は、粒度分析計(日機装社製、商品名:マイクロトラックUPA(MODEL 9340))を用い、サンプル濃度指数(SIGNAL LEVEL)が0.6〜0.8になるように、メタノール/1−プロパノール=7/3の混合溶媒で希釈し、25℃で測定した。酸化チタン粒子の全体積を100%として累積カーブを求めた時、その累積カーブが50%となる点の粒子径を体積平均粒子径(中心径:Median径)とし、累積カーブが90%となる点の粒子径を累積90%粒子径とした。結果を表2に示す。
<実施例2>
ウルトラアペックスミルで分散する際の分散メディアとして、直径約50μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用いた以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液Bを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。また、この下引き層形成用塗布液Bを、固形分濃度が0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.011重量%)となるように、メタノール/1−プロパノール=7/3(重量比)混合溶媒分散液に希釈し、該希釈液の波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−1650PC)により測定した。結果を、表3に示す。
<実施例3>
ウルトラアペックスミルで分散する際のロータ周速を、12m/秒とした以外は、実施例2と同様にして下引き層形成用塗布液Cを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
<実施例4>
ウルトラアペックスミルで分散する際の分散メディアとして、直径約30μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用いた以外は、実施例3と同様にして下引き層形成用塗布液Dを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
<実施例5>
実施例2で用いた表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドの重量比を2/1とした以外は、実施例2と同様にして下引き層形成用塗布液Eを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.01重量%)とした以外は、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<実施例6>
表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドの重量比を4/1とした以外は、実施例2と同様にして下引き層形成用塗布液Fを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.012重量%)とした以外は、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<実施例7>
実施例1において使用した表面処理酸化チタンの代わりに、平均一次粒子径13nmの、酸化アルミニウム粒子(日本アエロジル社製 Aluminum Oxide C)を用い、含有する固形分の濃度が8.0重量%、該酸化アルミニウム粒子/共重合ポリアミドの重量比を1/1とした以外は、実施例2と同様にして下引き層形成用塗布液Gを作製し、その固形分の濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.0075重量%)となるよう希釈した以外は、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<比較例1>
表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合し、直径約5mmのアルミナボール(株式会社ニッカトー製 HD)を用いてボールミルで5時間分散して得た分散スラリー液をそのまま用いて、ウルトラアペックスミルを用いて分散しなかった以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液Hを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.011重量%)とした以外は、実施例2と同様にして物性を測定した。結果を表2および表3に示す。
<比較例2>
比較例1でボールミル分散に用いたボールを、直径約5mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用いた以外は、比較例1と同様にして下引き層形成用塗布液Iを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
<比較例3>
比較例1で用いた表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドの重量比を2/1とした以外は、比較例1と同様にして下引き層形成用塗布液Jを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.01重量%)とした以外は、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<比較例4>
比較例1で用いた表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドの重量比を4/1とした以外は、比較例1と同様にして下引き層形成用塗布液Kを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.012重量%)とした以外は、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<実施例8>
実施例2において使用した分散装置、寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)の代わりに、ミル容積約1Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−1型)を用いて、下引き層形成用塗布液の液流量を30kg/時間とした以外は、実施例2と同様にして引き層形成用塗布液Lを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
<実施例9>
実施例2において使用した分散装置、寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)の代わりに、ミル容積約1Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−1型)を用いて、分散メディアとして直径約30μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用い、ロータ周速を12m/秒とし、下引き層形成用塗布液の液流量を30kg/時間とした以外は、実施例2と同様にして引き層形成用塗布液Mを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
<比較例5>
比較例1において使用した表面処理酸化チタンの代わりに、平均一次粒子径13nmの、日本アエロジル社製 Aluminum Oxide C(酸化アルミニウム粒子)を用いて、含有する固形分の濃度が8.0重量%、該酸化アルミニウム粒子/共重合ポリアミドの重量比を1/1として、ボールミルで分散する代わりに出力600Wの超音波発振器により6時間分散した以外は、比較例1と同様にして下引き層形成用塗布液Nを作製し、その固形分濃度を0.015重量%(金属酸化物粒子濃度、0.0075重量%)とした以外は、、実施例2と同様にして波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差を測定した。結果を表3に示す。
<正反射率の評価>
実施例2、5〜7、および比較例1、3〜5で作製した下引き層形成用塗布液を用いて導電性支持体上に形成した下引き層の、正反射の比を以下のようにして評価した。結果を表4に示す。
表4に示す外径30mm、長さ250mm、肉厚0.8mmのアルミニウム管(引抜鏡面管、および切削管)上に、乾燥後の膜厚が2μmになるように、表4に示す下引き層形
成用塗布液を塗布、乾燥して下引き層を形成した。
この下引き層の400nmの光、または480nmの光における反射率をマルチ分光光度計(大塚電子製 MCPD−3000)で測定した。光源にはハロゲンランプを用い、光源および検出器に装備された光ファイバーケーブルの先端を、下引き層表面から垂直方向に2mm離して設置し、下引き層表面に対して垂直方向の光を入射し、同軸逆方向に反射する光を検出した。下引き層を塗布していないアルミニウム切削管表面で当該反射光の測定を行ない、この値を100%として、下引き層表面での反射光を測定し、その割合を正反射率(%)とした。
Figure 0004517996
Figure 0004517996
Figure 0004517996
本発明の方法により作製された下引き層形成用塗布液は、平均粒子径が小さく、且つ粒子径の分布幅が小さいため、液の安定性が高く、均一な下引き層を形成することが可能であって、しかも長期間の保存によっても粘度変化が小さく安定性が高い。また、該下引き層形成用塗布液を塗布形成してなる下引き層の均一性が高く、光を散乱させにくいため、正反射率が高い。
<実施例10>
下引き層形成用塗布液Aを、外径24mm、長さ236.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム切削管上に、浸漬塗布により、乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。下引き層の表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ、凝集物は殆ど観察されなかった。
電荷発生物質として、図2に示すCuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン20重量部と、1,2−ジメトキシエタン280重量部を混合し、サンドグラインドミルで2時間分散処理を行い、分散液を作製した。続いてこの分散液と、10重量部のポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)、253重量部の1,2−ジメトキシエタン、85重量部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を混合し、更に234重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合し、超音波分散機処理した後に、孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック社製 マイテックス LC)でろ過し、電荷発生層用塗布液を作製した。この電荷発生層用塗布液を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように、浸漬塗布により塗布、乾燥して電荷発生層を形成した。
次にこの電荷発生層の上に、下記に示すヒドラゾン化合物56部と、
Figure 0004517996
下記に示すヒドラゾン化合物14部、
Figure 0004517996
および、下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂100部、
Figure 0004517996
シリコーンオイル0.05重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640重量部に溶解させた電荷輸送層用塗布液を、乾燥後の膜厚が17μmとなるように
塗布し、室温において25分間風乾した。さらに125℃において20分間乾燥して電荷輸送層を設けて電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体P1とする。
この感光体P1の絶縁破壊強度を、下記のようにして測定した。すなわち、温度25℃、相対湿度50%環境下に該感光体を固定し、体積抵抗率が約2MΩ・cmでドラム長より両端が約2cmずつ短い帯電ローラを押し当て、直流電圧−3kVを印加し、絶縁破壊するまでの時間を測定した。その結果を表5に示す。
また、該感光体を電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmのレーザー光を5.0μJ/cmの強度で照射し、露光後100m秒後の表面電位を、温度25℃、相対湿度50%(以下、NN環境ということがある)環境下、および温度5℃、相対湿度10%(以下、LL環境ということがある)で測定した。その結果を表5に示す。
<実施例11>
下引き層の膜厚が3μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例10と同様にして感光体P2を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体P2を評価した結果を表5に示す。
<実施例12>
酸化チタンと共重合ポリアミドの重量比を、酸化チタン/共重合ポリアミド=2/1とした以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液A2を作製した。
下引き層形成用塗布液として前記塗布液A2を用いた以外は、実施例10と同様にして感光体P3を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体P3を評価した結果を表5に示す。
<実施例13>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例2に記載の下引き層形成用塗布液Bを用いた以外は、実施例10と同様にして感光体Q1を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。この下引き層の表面形状を、株式会社菱化システムのMicromapによりWaveモードで、測定波長552nm、対物レンズ倍率40倍、測定面190μm×148μm、背景の形状補正(Term)円柱で測定したところ、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)の値が、43.2nmであり、面内算術平均粗さ(Ra)の値が、30.7nmであり、面内最大粗さ(P−V)の値が、744nmであった。実施例10と同様にして感光体Q1を評価した結果を表5に示す。
<実施例14>
下引き層の膜厚が3μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例13と同様にして感光体Q2を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして、感光体Q2を評価した結果を表5に示す。
<実施例15>
下引き層形成用塗布液として前記塗布液Eを用いた以外は、実施例13と同様にして感光体Q3を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体Q3を評価した結果を表5に示す。
<実施例16>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例3に記載の下引き層形成用塗布液Cを用いた以外は、実施例10と同様にして感光体R1を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体R1を評価した結果を表5に示す。
<実施例17>
下引き層の膜厚が3μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例16と同様にして感光体R2を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして、感光体R2を評価した結果を表5に示す。
<実施例18>
酸化チタンと共重合ポリアミドの重量比を、酸化チタン/共重合ポリアミド=2/1とした以外は、実施例3と同様にして下引き層形成用塗布液C2を作製した。
下引き層形成用塗布液として前記塗布液C2を用いた以外は、実施例16と同様にして感光体R3を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体R3を評価した結果を表5に示す。
<実施例19>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例4に記載の下引き層形成用塗布液Dを用いた以外は、実施例10と同様にして感光体S1を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。また、実施例10と同様にして下引き層の表面形状を測定したところ、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)の値が、25.5nmであり、面内算術平均粗さ(Ra)の値が、17.7nmであり、面内最大粗さ(P−V)の値が、510nmであった。実施例10と同様にして感光体S1を評価した結果を表5に示す。
<実施例20>
下引き層の膜厚が3μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例19と同様にして感光体S2を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして、感光体S2を評価した結果を表5に示す。
<実施例21>
酸化チタンと共重合ポリアミドの重量比を、酸化チタン/共重合ポリアミド=2/1とした以外は、実施例4と同様にして下引き層形成用塗布液D2を作製した。
下引き層形成用塗布液として前記塗布液D2を用いた以外は、実施例19と同様にして感光体S3を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ凝集物は殆ど観察されなかった。実施例10と同様にして感光体S3を評価した結果を表5に示す。
<比較例6>
下引き層形成用塗布液として、前記比較例1に記載の下引き層形成用塗布液Hを用いた以外は、実施例10と同様にして感光体T1を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ、多数の酸化チタン凝集物が見られた。また、この際の下引き層の表面形状を実施例13と同様にして測定したところ、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)の値が、148.4nmであり、面内算術平均粗さ(Ra)の値が、95.3nmであり、面内最大粗さ(P−V)の値が、2565nmであった。実施例10と同様にして感光体T1を評価した結果を表5に示す。
<比較例7>
下引き層の膜厚が3μmとなるように下引き層を設けた以外は、比較例6と同様にして感光体T2を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ、多数の酸化チタン凝集物が見られた。実施例10と同様にして感光体T2を評価した結果を表5に示す。
<比較例8>
下引き層形成用塗布液として前記塗布液Jを用いた以外は、比較例6と同様にして感光体T3を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ多数の酸化チタン凝集物が見られた。実施例10と同様にして感
光体T3を評価した結果を表5に示す。
<比較例9>
下引き層形成用塗布液として、前記比較例2に記載の下引き層形成用塗布液Iを用いた以外は、実施例10と同様にして感光体U1を作製した。この際の下引き層を、実施例10と同様に、表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ、多数の酸化チタン凝集物が見られた。感光体U1は、下引き層の成分および厚さのむらが激しく、電気特性を評価することはできなかった。
Figure 0004517996
本発明の電子写真感光体は、凝集などの無い均一な下引き層を有し、環境差による電位の変動が小さく、しかも耐絶縁破壊性能に優れる。
<実施例22>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例2に記載の下引き層形成用塗布液Bを用い、外径30mm、長さ285mm、肉厚0.8mmのアルミニウム切削管上に、浸漬塗布により、乾燥後の膜厚が2.4μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。下引き層の表面を走査型電子顕微鏡により観察をしたところ、凝集物は殆ど観察されなかった。
この下引き層94.2cmを、メタノール70cm、1−プロパノール30cmの混合用液に浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物凝集体二次粒子の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、体積平均粒子径は0.078μmであって、累積90%粒子径が0.108μmであった。
実施例10と同様にして作製した電荷発生層用塗布液を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように、浸漬塗布により塗布、乾燥して電荷発生層を形成した。
次にこの電荷発生層の上に、電荷輸送物質として以下に示す構造を主体とする、特開2002−080432公報記載の組成物(A)を60部、
Figure 0004517996
下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂100部、
Figure 0004517996
およびシリコーンオイル0.05重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640重量部に溶解させた塗布液を、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、乾燥して電荷輸送層を設け、電子写真感光体を作製した。
この電子写真感光体の感光層94.2cmを、テトラヒドロフラン100cmに浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70cm、1−プロパノール30cmの混合用液に浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物凝集体二次粒子の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、体積平均粒子径は0.079μmであって、累積90%粒子径が0.124μmであった。
作製した感光体を、セイコーエプソン株式会社製カラープリンター(製品名:InterColor LP−1500C)のカートリッジに装着し、フルカラー画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。得られた画像1.6cm四方中に観察される微小色点の数を表6に示す。
<実施例23>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例3に記載の下引き層形成用塗布液Cを用いた以外は、実施例22と同様にしてフルカラー画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。得られた画像1.6cm四方中に観察される微小色点の数を表6に示す。
<実施例24>
下引き層形成用塗布液として、前記実施例4に記載の下引き層形成用塗布液Dを用いた以外は、実施例22と同様にしてフルカラー画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。得られた画像1.6cm四方中に観察される微小色点の数を表6に示す。
<比較例10>
下引き層形成用塗布液として、前記比較例1に記載の下引き層形成用塗布液Hを用いた以外は、実施例22と同様にして電子写真感光体を作製した。
該電子写真感光層の下引き層94.2cmを、メタノール70cm、1−プロパノール30cmの混合用液に浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物凝集体二次粒子の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、体積平均粒子径は0.113μmであって、累積90%粒子径が0.196μmであった。
また、この電子写真感光体の感光層94.2cmを、テトラヒドロフラン100cmに浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して溶解除去した後、
同部分をメタノール70cm、1−プロパノール30cmの混合用液に浸漬し、出力600Wの超音波発信器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物凝集体二次粒子の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、体積平均粒子径は0.123μmであって、累積90%粒子径が0.193μmであった。
この電子写真感光体を用いて、フルカラー画像を形成したところ、多数の色点が観察され、良好な画像を得ることはできなかった。得られた画像1.6cm四方中に観察される微小色点の数を表6に示す。
Figure 0004517996
本発明の電子写真感光体は、感光体特性も良好で絶縁破壊にも強く、しかも色点などの画像欠陥の少ない非常に優れた性能を有している。
<実施例25>
実施例13で作製した感光体Q1を25℃50%環境下に該感光体を固定し、体積抵抗率が約2MΩ・cmでドラム長より両端が約2cmずつ短い帯電ローラを押し当て、直流電圧−1kVを1分間印加した後、直流電圧−1.5kVを1分間印加し、同様にして1分間印加する毎に−0.5kVずつ電圧を下げることを繰り返した場合、直流電圧−4.5kVを印加したところで、絶縁破壊が起こった。
<実施例26>
実施例13で用いた下引き層形成用塗布液Bの代わりに、下引き層形成用塗布液Dを用いた以外は、実施例13と同様にして作製した感光体に、実施例25と同様の方法で直流電圧を印加したところ、直流電圧−4.5kVを印加したところで、絶縁破壊が起こった。
<比較例11>
実施例13で作製した感光体Q1の代わりに、比較例6で作製した感光体T1を用いた以外は、実施例25と同様にして感光体に直流電圧を印加したところ、直流電圧−3.5kVを印加したところで、絶縁破壊が起こった。
<実施例27>
実施例13で作製した感光体Q1を、Samsung社製のプリンターML1430に搭載して、印字濃度5%で絶縁破壊による画像欠陥が観察されるまで画像形成を繰り返したところ、50000枚の画像を形成してもなお、画像欠陥は観察されなかった。
<比較例12>
比較例6で作製した感光体T1を、Samsung社製のプリンターML1430に搭載して、印字濃度5%で絶縁破壊による画像欠陥が観察されるまで画像形成を繰り返したところ、35000枚の画像を形成した時点で、画像欠陥が観察された。
<実施例28>
下引き層形成用塗布液Bを、外径24mm、長さ236.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム切削管上に、浸漬塗布により、乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
下記式で表される電荷発生物質、
Figure 0004517996
1.5部と1,2−ジメトキシエタン30部を混合し、サンドグラインドミルで8時間粉砕し、微粒化分散処理を行なった。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)0.75部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製品、PKHH)0.75部を1,2−ジメトキシエタン28.5部に溶解したバインダー溶液と混合し、最後に1,2−ジメトキシエタンと4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの任意混合液13.5部を加えて、固形分(顔料+樹脂)濃度4.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調整した。この電荷発生層形成用塗布液を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.6μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次にこの電荷発生層の上に、下記に示すトリフェニルアミン化合物67部と、
Figure 0004517996
下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂100部、
Figure 0004517996
下記構造の化合物0.5部
Figure 0004517996
シリコーンオイル0.02重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640重量部に溶解させた電荷輸送層用塗布液を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように
塗布し、室温において25分間風乾し、さらに125℃において20分間乾燥して電荷輸送層を設けて電子写真感光体を作製した。
以上で得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
暗所で、スコロトロン帯電器のグリッド電圧−800Vで放電を行ない感光体を帯電させたときの、感光体初期表面電位を測定した。次に、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで450nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm)を測定し、この値を感度E1/2としたところ、初期帯電電位は−708V、感度E1/2は3.288μJ/cmであった。初期帯電電位は数値が高い(電位の絶対値が大きい)ほうが帯電性が良く、感度は数値が小さいほど高感度であることを示す。
<比較例13>
下引き層形成用塗布液として、前記比較例1に記載の下引き層形成用塗布液Hを用いた以外は、実施例28と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例28と同様にして電気特性を評価したところ、初期帯電電位は−696V、感度E1/2は3.304μJ/cmであった。
実施例28と比較例13の結果から、本発明の電子写真感光体は特に、露光波長が350nm〜600nmの単色光で露光した場合に、感度に優れることが分かる。
本発明の下引き層形成用塗布液は保存安定性が高く、該塗布液を塗布してなる下引き層を有する電子写真感光体を高品質に高効率に製造することが可能であって、該電子写真感光体は、耐久安定性に優れ、画像欠陥などが発生し難いため、該感光体を用いる画像形成装置によれば、高品質の画像を形成することができる。また、塗布液の製造方法によれば、前記下引き層形成用塗布液を効率よく生産できる上に、より保存安定性が高い下引き層形成用塗布液を得ることができ、更にはより高品質の電子写真感光体を得ることができる。よって、電子写真感光体が用いられる各種の分野、例えば複写機、プリンター、印刷機等の分野において好適に用いることができる。
本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例10〜24の電子写真感光体において、電荷発生物質として用いたオキシチタニウムフタロシアニンの、CuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンである。 本発明に係わる湿式攪拌ボールミルの縦断面図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
14 セパレータ
15 シャフト
16 ジャケット
17 ステータ
19 排出路
21 ロータ
24 プーリ
25 ロータリージョイント
26 原料スラリーの供給口
27 スクリーンサポート
28 スクリーン
29 製品スラリー取出し口
31 ディスク
32 ブレード
35 弁体

Claims (9)

  1. 金属酸化物粒子およびポリアミド樹脂を含有する電子写真感光体の下引き層形成用塗布液において、該塗布液中の金属酸化物凝集体二次粒子の体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体の下引き層形成用塗布液。
  2. 前記金属酸化物粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の下引き層形成用塗布液。
  3. 導電性支持体上に、ポリアミド樹脂と金属酸化物粒子を含有する下引き層、および該層上に形成される感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の金属酸化物凝集体二次粒子の体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体。
  4. 前記金属酸化物粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置において、該感光体が前記請求項3又は4に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触配置することを特徴とする、請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記像露光手段に用いられる光の波長が、350nm〜600nmであることを特徴とする、請求項または請求項に記載の画像形成装置。
  8. 電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つを有することを特徴とする
    電子写真カートリッジにおいて、該感光体が前記請求項3又は4に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真カートリッジ。
  9. 前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触配置することを特徴とする、請求項に記載の電子写真カートリッジ。
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