JP4517411B2 - 換金用景品のカウンティングシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技で収得した景品類を換金する際に用いられる換金用景品ケースに貼り付ける封緘シール及びこの封緘シールを用いた自動カウンティングシステムに係わり、詳しくは換金用景品ケースの封緘シールに設けた軟磁性層を磁気センサで接触又は非接触で読み取ることで、換金用景品数を自動的にカウントし、流通の簡便を図るとともに、偽造防止効果を高めた換金用景品とそのカウンタシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ遊技において、遊技の景品を換金する場合の交換媒体として、「金」をプラスチックのケース内に封入した換金用景品と呼ばれるものが使用されている。本換用金景品は、遊技の公正性のために、遊技者が取得した個数を正確にカウントすることが重要であるとともに、利用者にとっては迅速に交換が行われることが求められている。
【0003】
しかしながら、従来は店員が手作業で枚数を確認しており、より正確さ・安全性を高めるために換金用景品を読取り機械に投入するシステム提案(特開平7−185106)もあるが、利便性は高められていないのが現状である。
また、改竄、偽造された封緘シールが使用された場合には、自動的に検出することはできなく、結局は目視に頼っているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の問題点に鑑みて、本発明は、換金用景品ケースの員数を機械的に検出するとともに改竄、偽造された封緘シールが貼り付けられた換金用景品ケースの真偽判定できるような封緘シール及びカンティングシステムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明では、換金用景品ケースに用いられている封緘シールに磁性体層を設けることで、機械により正確にカウントすることが可能となるとともに、シール構成中にパターン状の剥離層を設け脆性シール化することで、剥がした際に磁性体層がパターン状に破壊されることから、偽造対策も施すことが可能となる。
封緘シールの読取り装置にしても、操作が容易であり、かつ一度剥がした封緘シールからは正規なものとは異なった出力波形が検出されることから、カウンティングと真偽判定を同時に行うことができ、迅速で信頼性の高い取り引きが可能になる。
【0006】
即ち、請求項1に記載の発明は、ホログラム形成層、反射層、粘着層及び脆性剥離層を有してなり、該反射層が金属光沢をもつ金属磁性材料からなる磁性層であり、該脆性剥離層は該粘着層の片面にパターン状に設けられ、該粘着層の脆性剥離層を設けた面が該反射層と接しており、はがした時に反射層が該脆性剥離層のパターンに追従して破壊されることを特徴とする封緘シールが少なくとも一面の一部分又は全面に貼り付けられた換金用景品のカウンティングシステムであって、封緘シール部分をそろえて並べられた該換金用景品に対して、バイアス磁界を発生させることにより当該封緘シール部分の反射層の磁気出力を読み取るセンサ部と、該センサ部が読み取った出力波形から換金用景品のエッジ部分での出力波形ピークを観測することにより換金用景品の数をカウントする員数算出手段と出力波形の形状が連続膜である封緘シールとは異なるか否かから真偽判定をする真偽判定手段を有するカウンタ部と、カウンタ部より員数を表示及び/又は出力させる出力部と、から成ることを特徴とした換金用景品のカウンティングシステムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に使用する換金用景品ケースの基本的な構成である。換金用景品ケースは透明のプラスチックケース内に「金」を収め、ホログラムシールで封緘し、更に透明フィルムでシュリンクして(図示しない)、偽造者が容易に「金」を取り出すことのないように構成されている。本発明の構成も従来と同様であるが、ホログラムシールであるところの封緘シールの構成が異なり、磁性体層とパターン状の脆性剥離層を含んでいる。
【0011】
図2は本発明に用いられる封緘シールの断面構成の一例を示したもので(a)が通常使用される時、(b)は脆性層が破壊された場合である。
【0012】
封緘シールには、ホログラム形成層が設けられており、その反射層(24)は通常アルミ蒸着膜を用いるが、金属光沢を有している材料なら反射層としては同じ機能をもち、金属光沢をもつ金属磁性材料を用いることは、従来より提案されている技術である。
使用されるのは、光反射性をもった磁性材料であり、例えば、Fe、Co、Niなどの金属単体、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Ni、Fe−Ni−Cr、Fe−Co−Niなどの合金、また中でも有効な材料としては、Fe,C,Co,Si、B、Moなどの合金をアモルファスに作製したFeC、FeCoSiB、FeNiMoB、FeBSi、FeBSiC、FeBSiCrなどの磁性材料がある。
これらの材料は透磁率が非常に高く、また膜の形成方法によって保磁力も10Oe以下と低くできるので、センシングを行う時には優位に働く。さらにこれらの材料を単独あるいは複合してなる積層体として使用することが可能であり、真空蒸着法、スパッタリング等の公知の薄膜形成技術にて形成される。膜厚は、反射率及び磁気特性の問題から50Å〜50000Åが好ましい。
また、これらの磁性材料を顔料としてインキ化すれば、印刷法を用いることができ、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、スクリーン印刷等の公知のコーティング法や印刷法により1000Å〜200000Å(0.1μm〜20μm)形成することも可能である。
【0013】
脆性層が破壊された場合は、反射層(磁性層)もパターン状に破壊される。従って一枚の封緘シールの中で反射層(磁性層)に亀裂が入ることになり、一度剥がしたものを再び貼り合わせても亀裂部分は磁気センサによって検出されてしまい、正規の連続膜である封緘シールとは異なった出力波形が観測され、真偽判定に利用することができる。
【0014】
その他の構成は通常の脆性シールと同じで、ここでは一例を示したが、支持体(21)、第1脆性剥離層(22)、ホログラム形成層(23)、反射層(磁性層)(24)、第2脆性剥離層(25)、粘着材層(26)、からなる。反射層(24)である磁性層が破壊される脆性構成ならば、本構成に限るものではないことはいうまでもない。
【0015】
図3は、本発明のカウンティングシステムのブロックを示すものである。
複数の換金用景品ケースを封緘シール部分をそろえて並べ、当該封緘シール部分をセンサ部(30)で後述する磁気センサでスキャニングさせて読み取る。読み取った換金用景品ケースの数に応じた出力波形を検出し、この出力波形をカウント部(31)に入力させる。このカウント部には換金用景品の数をカウントする員数算出手段(32)と出力波形の形状から真偽判定をする真偽判定手段(33)、その他このシステム全体を制御する機能を有している。カウンタ部で算出した員数及び換金金額をCRTディスプレイ或いはプリンターで印刷させる構成になっている。この出力された結果に基づいて換金される。
【0016】
<機械的読み取り方法>
磁性材料の機械的読み取り方法はいくつかあるが、大きくは接触式、非接触式の2つの方法がある。それぞれ、既存の技術の応用であり、接触式は磁気ヘッド、非接触式はMR(Magnetic Resistance)センサやMI(Magnetic Impedance)センサなどが利用可能である。
【0017】
磁気ヘッドは、ヘッドコアに少なくとも2つのコイル部を設け、直流電流により直流バイアス磁界を発生させながら、磁気バーコード部分をスキャンする方法が一般的である。この方法により磁気バーコードパターンに応じた出力電圧を得ることができる。
【0018】
MRセンサ、MIセンサなども基本的には磁気ヘッドと同様の読み取り方法である。即ち、バイアス磁界を発生させ、発生させた磁界中に磁性体が存在することによる磁界の変化を電圧として検出する方法である。このとき使用するバイアス磁界は直流でも交流でも構わない。
【0019】
本発明に係るシステムにおいては、非接触式で、近接で磁気を感知するセンサを用いるのが望ましい。
【0020】
図4は複数の換金用景品ケースをカウントする時の一例を示したもので、封緘シールが設けられている面をセンサ側に揃えてセッティングした時の図である。通常顧客は換金用景品ケースを重ねて店員に渡すので、読取り機のプレート上に縦に配列した換金用景品を図のように並べる。センサは支持台の下で封緘シールのある部分をスキャンし、換金用景品のカウンティングと真偽判定を行う。装置構成は図に示したものに限られるものではなく、基本的には磁気センサが封緘シール部分をスキャンできるような構成になっていればよい。
【0021】
出力波形は、封緘シールが正規のものだと、連続体であることから図4(a)に示すように、一枚の換金用景品のエッジ部分で出力波形ピークを観測することができる。従って、この波数をカウントすることで、金景品をカウントすることができる。一方、一度剥がして、外見上元に戻した脆性によって破壊された封緘シールの場合は、磁性層も破壊され不連続体になっているので、例えば(b)のような波形となり、異常があると判定することができる。
【0022】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。
【0023】
【実施例】
<封緘シールの作製>
実施例として図2の構成のものを以下に説明する。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体(21)上に、以下の組成からなる第1脆性剥離層形成用組成物を全面ベタに覆うように印刷、110℃で乾燥させ、厚さ1.5μmの第1脆性剥離層(22)を形成した。
<第1脆性剥離層形成用組成物>
アクリル樹脂 28部
ポリエステル樹脂 2部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
【0024】
次に下記の配合比からなるホログラム形成層用組成物をグラビアコート法により塗布、110℃で乾燥させ、厚さ1.0μmのホログラム形成層(23)を形成した。
<ホログラム形成層用組成物>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 25部
ウレタン樹脂 10部
メチルエチルケトン 70部
トルエン 30部
【0025】
次に電子ビーム(EB)により形成した回折格子(グレーティング)形状の微細な凹凸パターンを形成したニッケル製のプレス版をホログラム形成層上にプレス版の版面温度155℃で加熱・押圧した。
【0026】
次に反射層(磁気層)(24)として、磁性薄膜を、FeターゲットをCH4 またはC2 H4 を含むArガス中雰囲気中でDCスパッタして膜厚1μmでFe−C薄膜を連続して設けた。
【0027】
更に、反射層(磁気層)(24)の上に下記組成の第2脆性剥離層形成用組成物を部分的(パターン状)に覆うように印刷、110℃で乾燥させ、厚さ0.5μmの第2脆性剥離層(25)を形成した。
<第2脆性剥離層形成用組成物>
アクリル樹脂 30部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
【0028】
粘着層(26)としては、下記組成からなる粘着層形成用組成物をグラビア法により、乾燥温度110℃、厚さ20μmで形成した。
<粘着層形成用組成物>
アクリル系粘着剤 30部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
【0029】
前記のような工程で製造した封緘シールを「金」を内臓させたプラスチックケースに貼り、換金用景品の正規サンプルとした。
【0030】
試みに違法サンプルを作製しようと、封緘シールの支持体を手がかりに封緘シールを剥がそうとしたところ、第1脆性剥離層(22)及び第2脆性剥離層(25)で剥離し、剥離面に剥離したホログラム層(23)と反射層(24)の一部が残り、貼り替え不可能な状態になった。それを慎重に戻し、一見しただけでは貼り替えがわからないようにした。
【0031】
上述したように2種類のサンプルを使用して、磁気センサを用いてカウンティングを行った。用いたのはMRセンサである。図4のように、本発明による封緘シールを貼った換金用景品ケースを封緘シール面を揃えて4つ並べた。MRヘッドを埋め込んだ台座を用意し、バイアス電流を流した状態で、まとめられた4つの換金用景品ケースの封緘シール部分にセンサが当たるように台座上を滑らせ、その時の出力波形をオシロスコープで検出した。
その結果、4つの封緘シールとも正規のものであったときは、図5(a)のような波形が検出され、3つめに違法サンプルを並べた場合には図5(b)のような波形が検出され、本発明による読取りシステムを用いれば、機械読取りによるカウンティングと、偽造品確認の2つの機能を同時に持たせられることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
本発明のように、換金用景品ケースの少なくとも一面の一部分又は全体に用いられる封緘シールの層構成の中に磁性体層を設けることで、封緘シールの機械読取りが可能となりカウンティングシステムを構成することができる。これにより取り引きの迅速・簡便化が可能となる。また、封緘シールを脆性シールとして構成しておくことによって、偽造・変造を行うために封緘シールを剥がし、一見元に戻したような場合でも、カウンティングシステムにおいては異常波形を検出できるので、信頼性の高いシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による封緘シールを貼られた換金用景品ケース概略図。
【図2】本発明による封緘シールの断面構成図。(a)脆性層剥離前、(b)脆性層剥離後。
【図3】本発明によるカウンティングシステムのブロック図。
【図4】本発明によるカウンティングシステムの一装置例の概略図。
【図5】本発明によるカウンティングシステムによって、換金用景品ケースをカウントした時に得られる波形の一例。(a)正規換金用景品ケースだけの場合、(b)3番目に違法な換金用景品ケースがある場合。
【符号の説明】
11…… プラスチックケース
12…… 金
13…… 封緘シール
21…… 支持体
22…… 第1脆性剥離層
23…… ホログラム形成層
24…… 反射層(磁性層)
25…… 第2脆性剥離層
26…… 粘着剤
27…… 基材
30…… センサ部
31…… カウント部
32…… 員数算出手段
33…… 真偽判定手段
34…… 出力部
Claims (1)
- ホログラム形成層、反射層、粘着層及び脆性剥離層を有してなり、該反射層が金属光沢をもつ金属磁性材料からなる磁性層であり、該脆性剥離層は該粘着層の片面にパターン状に設けられ、該粘着層の脆性剥離層を設けた面が該反射層と接しており、はがした時に反射層が該脆性剥離層のパターンに追従して破壊されることを特徴とする封緘シールが少なくとも一面の一部分又は全面に貼り付けられた換金用景品のカウンティングシステムであって、封緘シール部分をそろえて並べられた該換金用景品に対して、バイアス磁界を発生させることにより当該封緘シール部分の反射層の磁気出力を読み取るセンサ部と、該センサ部が読み取った出力波形から換金用景品のエッジ部分での出力波形ピークを観測することにより換金用景品の数をカウントする員数算出手段と出力波形の形状が連続膜である封緘シールとは異なるか否かから真偽判定をする真偽判定手段を有するカウンタ部と、カウンタ部より員数を表示及び/又は出力させる出力部と、から成ることを特徴とした換金用景品のカウンティングシステム。
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