図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の主要部構成例を示す図で、画像処理装置は、原稿の表裏を読み取り可能な原稿読取装置1、画像形成を行うプリンタ部20、プリンタ部20の下に配置された給紙ユニット部30、出力原稿にステープル等の処理を行うフィニッシャ部40を備えている。プリンタ部20の略中央位置に、感光体ドラム21を中心とする電子写真プロセス部が配置されている。
上記電子写真プロセス部は、感光体ドラム21を中心としてその周囲に、帯電ユニット22と、光走査ユニット23と、現像ユニット24と、転写ユニット25と、クリーニングユニット26とが配置されている。
帯電ユニット22は、感光体ドラム21の表面を均一に帯電させるものである。光走査ユニット23は、均一に帯電された感光体ドラム21上に光像を走査して静電潜像を書き込むものである。現像ユニット24は、光走査ユニット23により書き込まれた静電潜像を現像剤により再現するものである。
転写ユニット25は、感光体ドラム21上に記録再現された画像を記録媒体上に転写するものである。クリーニングユニット26は、感光体ドラム21上に残留した現像剤を除去して、感光体ドラム21上に新たな画像を記録することができるようにするものである。
なお、このクリーニングユニット26により除去された残留現像剤は、現像ユニット24の現像剤供給部27に回収され、リサイクルされる。なお、本発明の画像処理装置は、このように残留現像剤をリサイクルするプロセスを備えているものに限定されるものではない。
次に、給紙ユニット部30について説明する。給紙ユニット部30は、複数の給紙トレイ31,32,33,34を備えている。これらの給紙トレイ31,32,33,34を備えていることにより、給紙ユニット部30は、記録媒体としての多彩な用紙を、例えばサイズ毎に分別して収容することができる。
そして、画像処理装置は、これらの給紙トレイ31,32,33,34の中から1つのトレイを選択する。さらに、画像処理装置は、この選択されたトレイから用紙を1枚ずつ分離し、感光体ドラム21と転写ユニット25との間に供給する。そして、転写ユニット25は、供給された用紙に、感光体ドラム21上に記録再現された画像を転写する。
ここで、給紙トレイ31〜34について、より具体的に説明する。給紙トレイ31と給紙トレイ32とは、互いに並列配置されている。そして、給紙トレイ31および給紙トレイ32の下側に、給紙トレイ33が配置されており、さらに、給紙トレイ33の下側に給紙トレイ34が配置されている。
また、給紙トレイ33および給紙トレイ34の容量は、同程度の容量とされている。さらに、給紙トレイ31および給紙トレイ32の容量は、給紙トレイ33あるいは給紙トレイ34の容量よりも大きく設定されている。
そして、給紙ユニット部30は、給紙トレイ31,32,33,34に収容された用紙をプリンタ部20に向かって搬送するために、第1搬送経路35と第2搬送経路36とを備えている。なお、第1搬送経路35は、給紙トレイ31,33,34に収容された用紙をプリンタ部20に向かって搬送するものであり、第2搬送経路36は、給紙トレイ32に収容された用紙をプリンタ部20に向かって搬送するものである。
また、第1搬送経路35は、給紙ユニット部30のフレーム37に沿って鉛直方向に延びている。一方、第2搬送経路36は、フレーム37に沿って水平方向に延びている。
したがって、給紙ユニット部30の内部では、給紙トレイ31〜34と、第1搬送経路35と、第2搬送経路36とが効率よく配置されており、給紙ユニット部30の省スペース化が実現されている。
なお、各給紙トレイ31,32,33,34に用紙をセットする場合は、画像処理装置本体の前面側方向に目的の給紙トレイ31,32,33,34を引き出して用紙の補給を行う。
ところで、第1搬送経路35中にて用紙が詰まった場合は、第1搬送経路35を構成するガイド35a(図中斜線部で示す)を、給紙ユニット部30の奥側を支点としてユーザの手前側に回動する。これにより、第1搬送経路35中で詰まった用紙を取り除くことができる。なお、この除去操作は、第1搬送経路35とフレーム37との間に予め確保されている作業空間を用いて行う。
また、第2搬送経路36中にて用紙が詰まった場合も、第2搬送経路36を構成するガイド36a(図中斜線部で示す)を、給紙ユニット部30の奥側を支点として手前側に回動する。これにより、第2搬送経路36中で詰まった用紙を取り除くことができる。なお、この除去操作は、並列配置された給紙トレイ31および給紙トレイ32をユーザの手前側に引き出すことにより、第2搬送経路36の下方に作業空間を確保した上で行うこととなる。
なお、上記の説明では、第1搬送経路35を構成するガイド35aが、給紙ユニットの奥側を支点としてユーザの手前側に回動する構成となっているが、ガイド35aの下端部を支点として、給紙ユニット部30の左側面の一部とともに左側に回動し、第1搬送経路35を開放する構成としてもよい。
また、本実施の形態の画像処理装置では、給紙トレイ31,32を同時に引き出すことができる構成としているが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、それぞれの給紙トレイを独立して引き出せる構成としてもよい。この場合、給紙トレイ31を手前側に引き出すことにより、第2搬送経路36中に詰まった用紙を取り除くための作業空間を、第2搬送経路36の下方に確保すればよい。
次に、並列配置された給紙トレイ31と給紙トレイ32との関係についてより具体的に説明する。図1に示すように、給紙トレイ31の方が、給紙トレイ32よりもユニットとしての幅が大きく設定されている。これは、給紙トレイ31,32のそれぞれに収容される用紙のサイズの違いによるものである。さらに、第2搬送経路36中に詰まった用紙を取り除くための作業空間をより大きく確保するためである。
つまり、給紙トレイ31の幅を大きく確保すると、給紙トレイ32からプリンタ部20に向かって用紙を搬送供給する第2搬送経路36は必然的に長くなる。そのために、第2搬送経路36中に用紙が詰まった場合に、第2搬送経路36を広範囲にわたって開放することが可能となる。
さらに、給紙トレイ31を、給紙トレイ32よりもユニットとしての幅を大きく設定することにより、第2搬送経路36の開放幅は、給紙トレイ32から送り出された用紙の長さよりも大きく設定される。したがって、第2搬送経路36中に詰まった用紙を、開放された第2搬送経路36の範囲内において簡単に見つけることができる。
次に、給紙トレイ31からの用紙供給時に用紙の搬送異常が発生した場合の対処方法について説明する。給紙トレイ31からプリンタ部20に至るまでの搬送経路は、第1搬送経路35を介してプリンタ部20へと導く構成とされている。これは、給紙トレイ31から無理に第2搬送経路36を介してプリンタ部20に用紙を供給すると、プリンタ部20手前において第1搬送経路35と第2搬送経路36とを合流させるためのレイアウトが複雑になるからである。
その結果、給紙トレイ31からプリンタ部20への用紙給紙が不安定になるとともに、詰まった用紙を取り除くとなると、搬送経路の合流部分付近を開放しながらの用紙除去が複雑な作業となるからである。最悪の場合、用紙を取り出す際に用紙がちぎれてしまい、ちぎれた用紙が搬送経路中に残って動作不良の原因となる可能性がある。
そこで、本実施の形態では、給紙トレイ31からの用紙を、第1搬送経路35を介してプリンタ部20に供給する構成とし、第1搬送経路35と第2搬送経路36とを合流させるためのレイアウトを簡略化している。したがって、第1搬送経路35の一部を大きく開放させて、第1搬送経路35中に詰まった用紙を簡単に取り除くことが可能となる。
また、第2搬送経路36の下流側に、比較的少量の用紙がセットされる手差し給紙ユニット28を設ける構成としてもよい。この手差し給紙ユニット28は、画像処理装置のオプション構成として、ユーザ側の必要に応じて後から付加するようにしてもよい。
図2は、図1に示した原稿読取装置1の主要部構成例を示す図である。本実施形態の原稿読取装置1は、例えば、デジタル複写機等の画像処理装置に設けられており、搬送されてくる原稿の一方の面を読み取る第1の読取手段と、該原稿の他方の面を読み取る第2の読取手段と、第1の読取手段及び第2の読取手段からなる原稿読取手段の上方から原稿読取手段に向けて原稿の表裏を反転させて該原稿を搬送する第1の原稿搬送手段と、原稿読取手段の側方から原稿読取手段に向けて略直線的に原稿を搬送する第2の原稿搬送手段と、を備えている。
図2において、上記第1の原稿搬送手段は、第1の原稿収容部である原稿載置トレイ2、給紙ローラ6、原稿さばき手段7、湾曲搬送経路8で構成され、原稿載置トレイ2にセットされた標準原稿Aを湾曲搬送経路8で表裏を反転させて原稿読取手段に供給する。また、上記第2の原稿搬送手段は、第2の原稿収容部である原稿載置トレイ19、給紙ローラ19aで構成され、原稿載置トレイ19にセットされた厚紙原稿Bを給紙ローラ19aにより略直線的に原稿読取手段に供給する。ここで、厚紙原稿Bは、標準原稿Aに比べて厚手の用紙を用いた原稿とする。また、原稿読取装置1は、ガラス原稿台9、第1の読取手段であるCCD読取ユニット10、レジスト・斜行補正領域13、レジストローラ14、第2の読取手段であるCIS読取ユニット15、排出ローラ16、及び排出トレイ18を備えている。上記原稿読取手段は、CCD読取ユニット10及びCIS読取ユニット15で構成されている。
原稿載置トレイ2と原稿載置トレイ19とは、原稿をセットするときに、お互いのトレイが邪魔にならないように、互いに重ならない位置に配置され、両トレイともセットされた原稿を原稿読取装置1の中心部の方向(図中、矢印の方向)に向けて給紙するようになっている。
原稿載置トレイ2は、原稿読取装置1から片持ち梁状に張り出して固定状態に設けられる載置トレイ固定部2aと、この載置トレイ固定部2aの延長上に設けられて昇降自在の電動トレイ3とからなっている。本実施の形態では、この電動トレイ3は、給紙ローラ6への標準原稿Aの供給をスムーズに行うために特に設けられたものとなっている。なお、図2において電動トレイ3の上側に見えているのは、原稿読取装置1の後部側において、電動トレイ3の端部に立設されている側面ガイド壁3aである。
上記の電動トレイ3は、載置トレイ固定部2aの端部側にヒンジ部3bを有して回動可能に取り付けられている。一方、電動トレイ3の自由端側の下方には、この電動トレイ3における自由端側の底面を支持するレバー4がレバーシャフト4aを軸として回動可能に設けられている。そして、このレバーシャフト4aは、原稿読取装置1の後側に延びており、原稿読取装置1の後側に設けられた図示しないモータに例えばギア等を介して回転可能に接続されている。したがって、モータを駆動することによりレバーシャフト4aが回転し、これにより、レバーシャフト4aに固定して設けられているレバー4がこのレバーシャフト4aを中心に回動し、レバー4の先端に当接された電動トレイ3を下側から押し上げる。その結果、電動トレイ3が、ヒンジ部3bを中心として回動し、上昇移動するようになっている。なお、レバー4を逆回転させると、電動トレイ3が下降するようになっている。
また、電動トレイ3には、さらに、振り子5及びセンサS1が設けられており、これら振り子5及びセンサS1によって、電動トレイ3は、原稿載置トレイ2上に標準原稿Aが載置されたときに、標準原稿Aを載せた状態でレバー4により上昇して給紙ローラ6への標準原稿Aの供給をスムーズに行うようになっている。したがって、電動トレイ3及びレバー4は、原稿昇降手段としての機能を有している。なお、振り子5の動作を含む電動トレイ3の昇降動作の詳しい説明については後述する。
次に、給紙ローラ6は、原稿載置トレイ2に載置された標準原稿Aを1枚ずつ取り出して湾曲搬送経路8に供給するためのものである。原稿さばき手段7は、給紙ローラ6から供給される標準原稿Aを、確実に一枚ずつ湾曲搬送経路8に送り出すためのものである。
湾曲搬送経路8は、原稿載置トレイ2から排出トレイ18まで標準原稿Aを搬送する経路をコンパクトにするために設けられる原稿の搬送路である。湾曲搬送経路8は、標準原稿Aを搬送するための送りローラR1〜R3を備えている。
また、湾曲搬送経路8は、送りローラR1から送りローラR3の位置までが、一定の曲率で湾曲した状態に形成されている。さらに、湾曲搬送経路8は、図2に示すように、原稿読取装置1の設置幅の範囲内において、内側に向かって設けられている。すなわち、原稿読取装置1では、原稿載置トレイ2が原稿読取装置1の外側に設けられており、湾曲搬送経路8の湾曲部分が原稿読取装置1の内側に向かって凸となるように湾曲している。
送りローラR1,R2は、湾曲搬送経路8において標準原稿Aを搬送するためのローラである。送りローラR3は、湾曲搬送経路8を介して搬送された標準原稿Aを、レジスト・斜行補正領域13に送り出して、レジストローラ14とともにレジスト及び斜行補正を行うためのものである。
レジスト・斜行補正領域13は、送りローラR3とレジストローラ14との間で、標準原稿Aのレジスト及び斜行補正を行うために設けた領域である。レジストローラ14は、送りローラR3からレジスト・斜行補正領域13を介して送り出された標準原稿Aの先端を捕捉して停止させ、所定のタイミングで読取位置へと送り出すためのものである。
ガラス原稿台9は、図示しない例えばブック原稿をその上に載置して、CCD読取ユニット10によって画像を読み取る際の原稿台である。CCD読取ユニット10及びCIS読取ユニット15は、原稿載置トレイ2からの標準原稿Aと、原稿載置トレイ19からの厚紙原稿Bとを読み取る原稿読取手段として機能する。
CCD読取ユニット10は、移動読取手段としての光学ユニット11及びCCD12からなる。CCD12は、光を電気信号に変換する半導体製の受光素子である。
CCD読取ユニット10は、例えば、読取位置L1の画像を光学ユニット11を用いて縮小してCCD12に結像させて、標準原稿Aの一面を読み取るようになっている。この場合、CCD読取ユニット10は、読取位置L1において光学ユニット11を固定させたまま、搬送されている標準原稿Aを読み取る。
また、CCD読取ユニット10は、ガラス原稿台9に載置した図示しない原稿に対して、光学ユニット10を読取位置L1から読取位置L2,L3まで移動させて原稿を読み取ることもできる。ただし、読取位置L1は、光学ユニット10の読取通過ポイントにしか過ぎない。すなわち、読取位置L1は、待機中のホームポジションでもあり、ガラス原稿台9にセットされた標準原稿Aを露光走査する際には、読取位置L1から読取位置L3の範囲内でスキャンを行う。また、このときのスキャン幅も、読取位置L1から読取位置L3の間をフルにスキャンするのではなく、原稿サイズ、記録サイズ、倍率等の関係から決定される範囲をスキャンする。
一方、CIS読取ユニット15は、読取位置L4において、搬送されている標準原稿Aの上記とは異なる一面を、標準原稿Aの搬送路と略同等の幅(最大原稿幅よりも若干広い幅)を有する図示しないリニアCCDを用いて読み取るようになっている。
CIS読取ユニット15の読取位置L4は、CCD読取ユニット10の読取位置L1〜L3の占める領域の外側となっている。この構成によれば、例えば、CIS読取ユニット15の読取位置L4がCCD読取ユニット10の読取位置L1〜L3の占める領域の内部にある場合と比較して、ガラス原稿台9に載置した図示しない原稿を読み取る際に、光学ユニット11を余分に移動させる手間を省くことができる。
排出ローラ16は、標準原稿A又は厚紙原稿Bを排出トレイ18に排出するためのものである。排出トレイ18は、搬送されて画像が読み取られた標準原稿A又は厚紙原稿Bを排出して載置するためのものである。
上記構成の原稿読取装置1における原稿の読取動作について標準原稿Aを例として以下に説明する。まず、原稿載置トレイ2上に原稿が載置されていない状態では、振り子5の先端が、電動トレイ3の載置面上に表れている。すなわち、振り子5は、電動トレイ3に回動自在に回動軸によって軸支されており、シーソーのように揺動自在となっているとともに、回動軸から各端部へのアームの距離が互いに異なっている。したがって、電動トレイ3に原稿が載置されていないときには、振り子5の短い方のアームの先端が電動トレイ3の載置面上に表れるようになっている。そして、原稿載置トレイ2上に標準原稿Aが載置されることによって、振り子5の先端が標準原稿Aによって載置面下に押し込まれる。これにより、振り子5が回動軸を中心として回動し、振り子5の他端がセンサS1に当接するので、このセンサS1によって振り子5の回動が検知され、原稿載置トレイ2上に標準原稿Aが載置されたと判断される。
その結果、所定のタイミングでレバー4がレバーシャフト4aを中心として反時計回りに回転し、それとともにレバー4の端部が電動トレイ3の底面を押し上げ、電動トレイ3が回動して上昇する。電動トレイ3は、原稿載置トレイ2の上面にセットされた標準原稿Aの束の最上面が給紙ローラ6に接触し、給紙ローラ6への標準原稿Aの供給がスムーズに行える位置で停止するようになっている。すなわち、給紙ローラ6に備えられたセンサS2を用いて、標準原稿Aの束の最上面による給紙ローラ6への押圧が検出され、これにより所定の押圧状態で電動トレイ3が停止するようになっている。また、このように電動トレイ3を上昇させて標準原稿Aを給紙ローラ6に接触させることができるので、標準原稿Aは、給紙ローラ6に対して常に平行な状態が維持される。
この状態において標準原稿Aの読み込み開始信号が入力されると、給紙ローラ6は回転駆動して、標準原稿Aを1枚ずつ湾曲搬送経路8に順次供給する。なお、電動トレイ3が上昇して所定の位置で停止した後に、一定時間にわたって上記した標準原稿Aの読み込み開始信号が入力されなかった場合には、電動トレイ3は所定のレベルまで降下する。
給紙ローラ6から供給された標準原稿Aは、原稿さばき手段7にて確実に1枚ずつに分離されて、湾曲搬送経路8へと送り出される。仮に、給紙ローラ6によって複数枚の原稿が供給された場合であっても、原稿さばき手段7によって、原稿載置トレイ2上において最も上に位置していた標準原稿Aの1枚のみを確実に送り出すことができる。
原稿さばき手段7によって分離された1枚の標準原稿Aは、センサS3によって、原稿さばき手段7によりさばかれた標準原稿Aの到達が検知される。その後、標準原稿Aは、送りローラR1によって湾曲搬送経路8に導かれる。
湾曲搬送経路8は、原稿載置トレイ2に通常セットされ得るものであってかつメーカが保証できるような標準原稿Aを安定して搬送できるように、搬送中の標準原稿Aが所定の範囲の曲率となるように設計されている。したがって、例えば、ある程度こしのある厚紙の原稿を用いる場合にも、湾曲搬送経路8は搬送中の原稿を緩やかな曲率にて支障なく搬送することができるようになっている。しかし、より厚手の原稿(厚紙原稿B)を搬送する場合、たとえ曲率が緩やかであっても搬送がスムーズにいかないことがある。そこで、本発明の原稿読取装置1は、第2の原稿給紙手段を備え、厚紙原稿Bを原稿載置トレイ19にセットしてスムーズに搬送できるように構成している。
また、湾曲搬送経路8においては、さらに、従動ローラからなる送りローラR2を介して標準原稿Aが送り出される。湾曲搬送経路8の出口付近においては、センサS4によって、湾曲搬送経路8を経由した標準原稿Aの搬送状態を検出し、標準原稿Aが問題なく搬送されてきたかどうかを確認する。そして、送りローラR3によって、レジスト・斜行補正領域13に標準原稿Aを送り出す。
標準原稿Aの先端がレジスト・斜行補正領域13を通過し、レジストローラ14の手前に配置されたセンサS5によってその先端部分が検出されると、レジストローラ14を停止させたままの状態でさらに送りローラR3によって標準原稿Aが送り出される。これにより、所定の時間にわたって、レジスト・斜行補正領域13において、レジスト及び斜行の補正が行われる。
レジスト・斜行補正領域13は、上述のレジスト及び斜行の補正が行われる際に、送りローラR3とレジストローラ14との間において標準原稿Aが略直線状となるように設計されている。具体的には、レジスト・斜行補正領域13の上下にはガイド面が設けられている。また、上ガイド面は、断面が逆V字状に形成されており、これによって、搬送経路の上側に空間ができるようになっている。
したがって、例えば、こしのある厚手の厚紙原稿Bを搬送する場合においても、上方に開放された空間を用いて厚紙原稿Bに撓みを形成させ、レジスト補正後の厚紙原稿Bが待機中もその補正後の状態を維持するようになっている。したがって、確実にレジスト及び斜行の補正を行うことができる。
具体的には、回転停止したレジストローラ14のニップ部分に原稿の先端が到達しても、その上流側つまり湾曲搬送経路8の出口に設けられた送りローラR3は、原稿の搬送を継続する。この送りローラR3は、一方の駆動ローラに対して他方の従動ローラが圧接した一対のローラとなっており、先端がレジストローラ14によって規制された原稿を後方から押し付けることにより、原稿の搬送状態が斜めになっていれば、その原稿を真っ直ぐになるように補正するようにしている。より詳細には、送りローラR3の従動ローラは、原稿を搬送できる程度の圧力で駆動ローラ側に圧接する一方、斜め送り状態にある原稿が補正されるときに滑る程度の圧力で原稿を把持している。
また、本実施の形態では、原稿の斜め送り補正が行われた後も、原稿がその状態を保てるように、レジストローラ14と送りローラR3との間、つまりレジスト・斜行補正領域13において、原稿に撓みを形成させた状態で原稿を待機させる。これは、原稿の先端がレジストローラ14のニップに向かって、当接した状態で原稿の搬送再開をまっているようにしたものであり、先端調整及び斜め送り補正後も原稿にずれが発生しないように考慮されているものである。
また、レジスト・斜行補正領域13の原稿の搬送方向にわたる長さ、すなわち送りローラR3とレジストローラ14と間の距離は、原稿読取装置1において原稿として使用可能な原稿のうち、最もサイズの小さい原稿を考慮して設定されている。この結果、送りローラR3とレジストローラ14と間の距離は、最もサイズの小さい原稿が通過する際の長さよりは小さいように設定されており、これにより、最もサイズの小さい原稿でも確実に搬送を行えるようになっている。ただし、必ずしもこれに限らず、送りローラR3とレジストローラ14と間の距離をできるだけ長くとって、レジスト補正する際にレジスト・斜行補正領域13に送り込まれる原稿の領域をできるだけ広くすれば、例えば、湾曲搬送経路8中に停滞している原稿の後端部分が少なくなり、原稿の後端部分が抵抗となって補正に影響を与えることが少なくなる。
上述したように、レジスト及び斜行の補正が行われると、次に、所定のタイミングでレジストローラ14が回転して、原稿を読取位置L1へと送り出すようになっている。読取位置L1においては、CCD読取ユニット10によって、搬送されている原稿の一面が読み取られる。読取位置L1にはその上側に第1ガイド部材としてのガイドG1が形成されており、搬送される原稿はこのガイドG1によって案内される範囲内を通過するようになっている。
ここで、CCD読取ユニット10は焦点深度の補償範囲が比較的広くなっているとともに、ガイドG1は、搬送される原稿が確実にCCD読取ユニット10の焦点深度の範囲内となる位置に設けられている。このため、例えば、レジストローラ14から搬送される原稿のこしが強いことにより原稿上の読取位置L1が高くなっても、又は、原稿の紙厚が薄いことにより原稿上の読取位置L1が低くなっても、読取位置L1において原稿を確実に読み取ることができる。
次いで、レジストローラ14が原稿をさらに送り出すことによって、原稿は読取位置L4を通過する。読取位置L4においては、搬送されている原稿の、上述の一面とは逆の面が読み取られる。また、読取位置L4の下側には第2ガイド部材としてのガイドG2が形成されているので、搬送される原稿はこのガイドG2によって案内される範囲内を通過するようになっている。なお、ガイドG2及びCCD読み取りポイントにおけるガラス板は、CCD読取ユニット10のガラス原稿台9を延長して1枚のガラス板にて構成したり、又は、図示されていないが、CCD読み取りポイントにおけるガラス板を延長して1枚のガラス板にて構成したりすることも可能である。
ここで、CIS読取ユニット15は、焦点深度の補償範囲が比較的狭くなっている。しかし、CIS読取ユニット15における読取位置L4は、レジストローラ14から離れているので、レジストローラ14から搬送されてくる原稿のたわみも少ない。したがって、この読取位置L4において、原稿を確実に読み取ることができる。また、ガイドG2は、CIS読取ユニット15の原稿読取面と略平行に設けられているとともに、搬送される原稿がCIS読取ユニット15の焦点深度の範囲内となるように設計されている。これにより、原稿の読取を確実にできる。また、読取の途中で原稿を折り曲げるおそれを無くすことができる。
このようにして読み取られた原稿は、排出ローラ16により、原稿排出点17よりも低い位置にあって、原稿読取装置1本体の側面に形成された排出トレイ18へと排出される。このときセンサS6によって原稿が排出されたかどうかが確認される。
図2において、本発明の原稿読取装置1は、図1に示した画像処理装置に装着されており、原稿載置トレイ2、給紙ローラ6、原稿さばき手段7、湾曲搬送経路8で構成された第1の原稿搬送手段と、原稿載置トレイ19、給紙ローラ19aで構成された第2の原稿搬送手段と、さらに、原稿読取装置1を制御する制御部51、CIS読取ユニット15で読み取られた原稿面の画像データを記憶するページメモリである第1メモリ52、CCD読取ユニット10で読み取られた原稿面の画像データを記憶するページメモリである第2メモリ53、表示部54、操作部55、ハードディスク(HD)56、画像処理部57から構成されている。
なお、表示部54、操作部55、HD56、画像処理部57は、デジタル複合機などの画像処理装置側に備えられており、この画像処理装置は、原稿読取装置1と連携して各種処理を実行する。
第1の原稿搬送手段は、原稿読取手段(CCD読取ユニット10及びCIS読取ユニット15)の上方から原稿読取手段に向けて標準原稿Aの表裏を反転させて標準原稿Aを搬送する。また、第2の原稿搬送手段は、原稿読取手段の側方から原稿読取手段に向けて略直線的に厚紙原稿Bを搬送する。制御部51は、第1の原稿搬送手段あるいは第2の原稿搬送手段から原稿読取手段に向けて原稿が搬送されるように制御する。
原稿載置トレイ2に標準原稿Aの表面を上にしてセットし、原稿載置トレイ19に厚紙原稿Bの表面を上にしてセットする。各原稿がセットされたことは、センサS7、センサS8でそれぞれ検知され、制御部51に通知される。
原稿載置トレイ2から給紙される標準原稿Aは、湾曲搬送経路8で表裏が反転され、第1の読取手段であるCCD読取ユニット10で標準原稿Aの表面が読み取られ、読み取られた表面の画像データは第2メモリ53に記憶される。また、第2の読取手段であるCIS読取ユニット15で標準原稿Aの裏面が読み取られ、読み取られた裏面の画像データは第1メモリ52に記憶される。原稿読取装置1は、通常、第1メモリ52に原稿の裏面側、第2メモリ53に原稿の表面側がそれぞれ記憶されるように設定されている。なお、原稿の表裏は説明の便宜上用いているが、例えば、両面原稿の場合、1枚のページにおいてページ番号の若いほうが表となる。
また、原稿載置トレイ19から給紙される厚紙原稿Bは、略直線的に搬送され、第1の読取手段であるCCD読取ユニット10で厚紙原稿Bの裏面が表面として読み取られ、読み取られた面の画像データは第2メモリ53に記憶される。また、第2の読取手段であるCIS読取ユニット15で厚紙原稿Bの表面が裏面として読み取られ、読み取られた面の画像データは第1メモリ52に記憶される。
従って、第1メモリ52には、標準原稿Aの裏面と厚紙原稿Bの表面が記憶され、第2メモリ53には、標準原稿Aの表面と厚紙原稿Bの裏面が記憶されることになる。通常、第2メモリ53に記憶される画像データを表面として先に出力するように設定されているため、標準原稿Aの場合、表、裏の順に出力されるが、厚紙原稿Bの場合、裏、表の順に出力され、順序が逆になってしまう。そこで、制御部51は、CCD読取ユニット10(第2メモリ53)とCIS読取ユニット15(第1メモリ52)で読み取られる原稿の表裏の関係を、第1の原稿搬送手段(標準原稿A)と第2の原稿搬送手段(厚紙原稿B)で反転するように切り替える。制御部51は、表裏を切り替えた状態の画像データをHD56に記憶する。
上記において、厚紙原稿Bの裏面は表面としてCCD読取ユニット10で読み取られ、厚紙原稿Bの表面は裏面としてCIS読取ユニット15で読み取られるため、制御部51は、各メモリ上の厚紙原稿Bの表裏の関係を反転させて切り替える。すなわち、CCD読取ユニット10で読み取った面(第2メモリ53)が厚紙原稿Bの裏面、CIS読取ユニット15で読み取った面(第1メモリ52)が厚紙原稿Bの表面とし、表裏を切り替えた画像データをHD56に記憶しておく。画像処理装置が備える画像処理部57は、HD56に記憶された画像データの表面から順に出力する。このように、両方の原稿搬送手段に同じ原稿面(表面又は裏面)をセットしたときに、出力順序が逆になることがないため、正しい順序で出力することができる。
なお、以上の説明では、各原稿の表面を上にしてセットした例について示したが、原稿載置トレイ2に標準原稿Aの裏面を上にしてセットし、原稿載置トレイ19に厚紙原稿Bの裏面を上にしてセットしてもよい。この場合、標準原稿Aの表裏関係を反転させれば、同じ結果が得られる。
図3は、本発明の原稿読取装置1の動作例を説明するためのフロー図である。なお、本例では、原稿載置トレイ2に標準原稿Aの表面を上にしてセットし、原稿載置トレイ19に厚紙原稿Bの表面を上にしてセットした場合を代表例として説明する。まず、原稿読取装置1は、第1トレイ(すなわち、原稿載置トレイ2)に標準原稿Aがセットされたかどうかを判断し(ステップS1)、標準原稿Aがセットされた場合(YESの場合)、電動トレイ3を上昇させ(ステップS2)、コピースイッチがONされたかどうかを判断する(ステップS3)。コピースイッチがONされた場合(YESの場合)、標準原稿Aを給紙し(ステップS4)、また、コピースイッチがONされない場合(NOの場合)、ステップS3で待機する。
次に、標準原稿Aが問題なく搬送されているかどうかを判断し(ステップS5)、搬送OKの場合(YESの場合)、標準原稿Aの読み取りを開始し(ステップS6)、第1メモリ52(CIS読取ユニット15)に標準原稿Aの裏面を、第2メモリ53(CCD読取ユニット10)に標準原稿Aの表面をそれぞれ記憶し(ステップS7)、読み取った標準原稿Aを排出し(ステップS8)、次の原稿があるかどうかを判断し(ステップS9)、次の原稿がある場合(YESの場合)、ステップS4に戻り処理を繰り返す。また、上記ステップS9において、次の原稿がない場合(NOの場合)、そのまま終了する。
また、上記ステップS5において、搬送に問題があった場合(NOの場合)、電動トレイ3を降下させ(ステップS10)、原稿チェックを行って(ステップS11)、ステップS1に戻る。
また、ステップS1において、原稿載置トレイ2に標準原稿Aがセットされていないと判断された場合(NOの場合)、原稿読取装置1は、第2トレイ(すなわち、原稿載置トレイ19)に厚紙原稿Bがセットされたかどうかを判断し(ステップS12)、厚紙原稿Bがセットされた場合(YESの場合)、厚紙原稿Bを給紙し(ステップS13)、厚紙原稿Bが問題なく搬送されているかどうかを判断し(ステップS14)、搬送OKの場合(YESの場合)、厚紙原稿Bの読み取りを開始する(ステップS15)。このとき、第1メモリ52(CIS読取ユニット15)には厚紙原稿Bの表面が裏面として、第2メモリ53(CCD読取ユニット10)には厚紙原稿Bの裏面が表面としてそれぞれ記憶されるため、各メモリの厚紙原稿Bの表裏の関係を反転させてHD56に記憶する(ステップS16)。次に、読み取った厚紙原稿Bを排出し(ステップS17)、次の原稿があるかどうかを判断し(ステップS18)、次の原稿がある場合(YESの場合)、ステップS13に戻り処理を繰り返す。また、上記ステップS18において、次の原稿がない場合(NOの場合)、ステップS1に戻る。
また、上記ステップS12において、原稿載置トレイ19に厚紙原稿Bがセットされていないと判断された場合(NOの場合)、ステップS1に戻り、また、上記ステップS14において、搬送に問題があった場合(NOの場合)、原稿チェックを行って(ステップS19)、ステップS1に戻る。
本発明によれば、原稿の表裏を反転させて原稿を搬送する第1の原稿搬送手段と、原稿を略直線的に搬送する第2の原稿搬送手段とを備えているために、該第2の原稿搬送手段で厚紙原稿をスムーズに搬送することができる。
さらに、両方の原稿搬送手段に同じ原稿面(表面又は裏面)をセットしたときに、出力順序が逆になることがないため、ユーザはセットする原稿面を原稿搬送手段によっていちいち変える必要がなくなる。
1…原稿読取装置、20…プリンタ部、21…感光体ドラム、22…帯電ユニット、23…光走査ユニット、24…現像ユニット、25…転写ユニット、26…クリーニングユニット、27…現像剤供給部、28…手差し給紙ユニット、30…給紙ユニット部、31,32,33,34…給紙トレイ、35…第1搬送経路、36…第2搬送経路、40…フィニッシャ部、2,19…原稿載置トレイ、3…電動トレイ、4…レバー、5…振り子、6…給紙ローラ、7…原稿さばき手段、8…湾曲搬送経路、9…ガラス原稿台、10…CCD読取ユニット、11…光学ユニット、12…CCD、13…レジスト・斜行補正領域、14…レジストローラ、15…CIS読取ユニット、16…排出ローラ、17…原稿排出点、18…排出トレイ、51…制御部、52…第1メモリ、53…第2メモリ、54…表示部、55…操作部、56…HD、57…画像処理部。