JP4513226B2 - 運転操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体に対し回動可能に支持されるとともに運転者により回動操作される操作レバー等の操作部材の回動操作量に応じて車両の制御量を変更する車両の運転操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平8−142873号公報に記載されているように、車体に対して傾動(回動)可能に支持された操作レバーの操作量に応じ、車両の運転に係る制御量の一つである操舵角を変更する運転操作装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、車両の運転操作終了時、又は運転操作開始時等において、操作レバーの傾動角度(回動位置)をどのように制御すべきであるかの検討がなされていない。また、車両の運転操作終了時、又は運転操作開始時等において同操作レバーを電動モータで所定の回動位置まで回動させるように構成した場合、同操作レバーの回動を阻止する物体が存在するときには、同電動モータに対して過大な負荷が長時間加わり、その結果、同電動モータに過熱が生じたり、その寿命が短くなる等の問題が生じる。
【0004】
【本発明の概要】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであって、その特徴は、車体に対し回動可能に支持されるとともに運転者により回動操作される操作部材の回動操作量に応じて車両の制御量を変更するための制御量変更用のモータに電流を流すことにより、前記操作部材との機械的連結を介することなく同車両の制御量を同操作部材の回動操作量に応じて変更する車両の運転操作装置であって、流される電流に応じた回転トルクを発生し同回転トルクを前記操作部材に付与することで同操作部材を回動する反力発生用電動モータと、運転者による前記車両の運転操作中に前記操作部材が同運転者により回動操作され同操作部材の回動操作量に応じて前記車両の制御量が変更されているときに、前記反力発生用電動モータに回転トルクを発生させて同運転者による同回動操作に対する反力を発生させるように同反力発生用電動モータに電流を流す電流制御手段と、を備える運転操作装置において、前記操作部材の回動位置を所定の目標回動位置とする回動要求を発生する回動要求発生手段と、前記反力発生用電動モータの負荷を検出する負荷検出手段と、を備え、前記回動要求発生手段は、前記車両の運転操作終了後に前記所定の目標回動位置を前記操作部材の回動中央位置である中立位置とするように構成され、前記電流制御手段は、前記回動要求が発生したとき同回動要求に応じて前記反力発生用電動モータに回転トルクを発生させるように同反力発生用電動モータに流される電流を制御するとともに、前記検出された前記反力発生用電動モータの負荷が所定値以上となったとき同反力発生用電動モータの発生している回転トルクを保持するように同反力発生用電動モータに流される電流を制御するように構成されたことにある。
【0005】
これによれば、操作レバー等の操作部材が車体に対し回動可能に支持され、同操作部材が運転者により回動操作されることにより車両の制御量を変更するためのモータ(制御量変更用のモータ)に電流が流され、車両の制御量が変更される。また、操作部材の回動位置を所定の回動位置とする要求が発生したとき、同要求に応じた回転トルクが発生するように反力発生用電動モータに電流が流される。
更に、回動要求発生手段は、前記車両の運転操作終了後に前記所定の目標回動位置を前記操作部材の回動中央位置である中立位置とするように構成されている。これによれば、車両のイグニッションスイッチが「オン」状態から「オフ」状態へと変更された後、或いは運転者が降車した後等の車両の運転操作終了後に、前記操作部材の回動位置を中立位置とする回動要求が発生されるので、反力発生用電動モータがこれに応じて駆動され、同操作部材の回動位置が中立位置に戻される。
このとき、反力発生用電動モータの負荷が所定値以上となると、同反力発生用電動モータの発生している回転トルクが保持されるように同反力発生用電動モータに流される電流が制御される。従って、例えば、操作部材と車体との間に物体が挟み込まれるような状況が発生しても、同反力発生用電動モータに流れる電流が制限され、同反力発生用電動モータに流れる電流が過大とならないので、同反力発生用電動モータが過熱する等の事態が回避される。
【0007】
更に、運転者による操作部材の操作時に反力発生用電動モータによって適切な反力を付与することができるので、運転操作性を向上させることができる。また、反力発生用の電動モータと操作部材の位置を要求に応じて変更するための電動モータとを同一の電動モータとすることができるので、装置の製造コストを低減することができる。
【0010】
また、上記何れかの場合において、前記操作部材の回動位置を同操作部材の回動中央位置である中立位置とする向きの付勢力を同操作部材に与える付勢手段を備えることが好適である。
【0011】
これによれば、車両の運転操作終了後等において、電動モータの発生する回転トルクを消失させるだけで、操作部材を中立位置に移動することが可能となる。また、車両の運転操作終了後等において、電動モータを駆動して操作部材を中立位置に移動させるように構成した場合には、同電動モータの仕事量を低減することができる。
【0012】
また、上記車両の運転操作終了後に操作部材を中立位置に戻すように構成した場合、前記回動要求発生手段は、前記車両の運転操作終了時における前記操作部材の回動位置を記憶するとともに、同車両の運転操作開始時に前記所定の目標回動位置を同記憶した回動位置とするように構成されることが好適である。
【0013】
例えば、上記車両の運転操作装置を操舵装置として使用した場合、車両を操舵した状態(タイヤ切れ角(操舵角)が「0」でない状態)で運転操作を終了することがあり、この場合、操作部材の回動位置は中立位置に戻されるので、次に運転操作を開始するとき、操作部材の回動位置(操作量)と実際のタイヤ切れ角とが不一致となるため、運転操作に支障を生じる惧れがある。そこで、上記のように、車両の運転操作終了時において、操作部材の回動位置を記憶しておき、車両の運転操作開始時に同操作部材を記憶した回動位置まで電動モータにより移動すれば、同運転操作開始時の操作部材と実際のタイヤ切れ角とが相応しくなるので、運転操作性を向上することができる。
【0014】
また、上記の何れかの場合において、前記電流制御手段は、前記反力発生用電動モータの回転トルクが保持されてから所定時間以上にわたり前記検出された同反力発生用電動モータの負荷が所定値以上の場合、同反力発生用電動モータの発生トルクを消滅させるように構成されることが好適である。
【0015】
これによれば、反力発生用電動モータの負荷が所定値以上となった状態(即ち、反力発生用電動モータに比較的大きな電流が流されている状態)が所定時間以上継続したとき、同反力発生用電動モータに流れる電流が消滅させられるので、同反力発生用電動モータが過熱から保護される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明による車両の運転操作装置の一実施形態について説明する。この運転操作装置は、図1及び図2に示した操作部材としての操作レバー(ジョイスティック)10を備えている。操作レバー10は、車両の運転席近傍に設けられ、図1に矢印で示したように、運転者により全体を前後方向及び左右方向に傾動(回動)させられるようになっている。
【0017】
図2は、上記操作レバー10を含む操作レバー装置の概略斜視図を示している。上記操作レバー10は、円柱棒状のロッド10aと、同ロッド10aの上部外周に固定された円柱状の把持部10bとを備えている。ロッド10aは略中央部に球状部10cを備えていて、同球状部10cにて車体に対して左右及び前後方向に回動可能に支持されている。なお、ロッド10aの軸方向が鉛直上下方向に沿う場合、操作レバー10の回動位置はその回動方向中央位置である中立位置にあるものと定義される。また、ロッド10aには、同ロッド10aの車両左右方向の歪を同車両左右方向の操作力FSとして検出する歪センサ(即ち、操作力センサ)10dと、同ロッド10aの車両前後方向の歪を同車両前後方向の操作力FZとして検出する歪センサ(即ち、操作力センサ)10eとが備えられている。
【0018】
また、操作レバー装置は、操作レバー10の車両左右方向の回動に対する反力(中立位置から車両左右方向に回動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する左右方向反力発生機構20を備えている。この左右方向反力発生機構20は、ガイドプレート21、回転軸22、第1歯車23、第2歯車24、直流電動モータ(左右反力用モータ)25、及び操作量センサ26を備えている。
【0019】
ガイドプレート21は、L字状に屈曲されてなる板状部材であり、回転軸22が固定された面が鉛直面内に存在するように配置され、水平方向に存在するように配置される面に前記ロッド10aの直径より若干だけ大きい幅を有して車両前後方向に長手方向を有する溝21aが設けられ、同溝内21a内をロッド10aが貫通するように構成されている。
【0020】
回転軸22は、その軸線が車両前後方向に沿うとともに、前記操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持されていて、中央部に第1歯車23を一体的に備えている。この第1歯車23は電動モータ25の回転軸に固定された第2歯車24に噛合している。
【0021】
以上の構成により、操作レバー10は車体に対して左右方向に回動可能に支持されるとともに、電動モータ25の回転により(電動モータ25の発生トルクにより)ガイドプレート21が回転軸22回りに回動し、これにより、操作レバー10が左右方向に回動するようになっている。また、操作量センサ26は、回転軸22の端部位置において車体に固定されていて、同回転軸22の回転角を操作レバー10の左右方向の操作量Xnとして検出するようになっている。なお、操作レバー10が左右方向の中立位置にあるとき、操作量Xnが「0」となるように、操作量センサ26の出力が調整されている。
【0022】
更に、操作レバー装置は、操作レバー10の車両前後方向の回動に対する反力(中立位置から車両前後方向に回動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する前後方向反力発生機構30を備えている。この前後方向反力発生機構30は、ガイドプレート31、回転軸32、第3歯車33、第4歯車34、直流電動モータ(前後反力用モータ)35、及び操作量センサ36を備えている。
【0023】
ガイドプレート31は、L字状に屈曲されてなる板状部材であり、回転軸32が固定された面が鉛直面内に存在するように配置され、水平方向に存在するように配置される面に前記ロッド10aの直径より若干だけ大きい幅を有して車両左右方向に長手方向を有する溝31aが設けられ、同溝内31a内をロッド10aが貫通するように構成されている。
【0024】
回転軸32は、その軸線が車両左右方向に沿うとともに、前記操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持されていて、中央部に第3歯車33を一体的に備えている。この第3歯車33は電動モータ35の回転軸に固定された第4歯車34に噛合している。
【0025】
以上の構成により、操作レバー10は車体に対して前後方向に回動可能に支持されるとともに、電動モータ35の回転により(電動モータ35の発生トルクにより)ガイドプレート31が回転軸32回りに回動し、これにより、操作レバー10が前後方向に回動するようになっている。また、操作量センサ36は、回転軸32の端部位置において車体に固定されていて、同回転軸32の回転角を操作レバー10の前後方向の操作量Ynとして検出するようになっている。なお、操作レバー10が前後方向の中立位置にあるとき、操作量Ynが「0」となるように、操作量センサ36の出力が調整されている。なお、このような構成の結果、上記操作力センサ10d,10eは、実質的に電動モータ25,35の負荷を検出する負荷検出手段を構成することになる。
【0026】
次に、本運転操作装置の電気制御装置について図3を参照しながら説明する。なお、図3は、説明を簡単にするため、左右方向の反力発生機構20と操舵角制御機構とを電気制御装置とともに示すが、前後方向の反力発生機構30、操作レバー10の前後方向の操作により変更される車両の内燃機関のスロットル開度及びブレーキアクチュエータの図示を省略している。
【0027】
この電気制御装置40は、マイクロコンピュータ41と、左右方向反力発生機構の電動モータ25に所定の電流を流すための駆動回路42と、操舵用電動モータ51に所定の電流を流すための駆動回路43とを備えている。
【0028】
マイクロコンピュータ41は、CPU41aと、入力インターフェース41bと、出力インターフェース41cと、EEPROM41d(Electrical Erasable PROM)とを含んでいて、CPU41aは、後述するプログラム及びマップ等を記憶したROM、及びCPU41aによるプログラムの実行時に一時的に演算値を記憶するRAMからなるメモリ41eを内蔵している。
【0029】
入力インターフェース41bは、バスを介してCPU41aに接続されるとともに、操作量センサ26、操作力センサ10d、及び車速Vを検出する車速センサ61と接続されていて、これらのセンサの検出値をCPU41aに供給するようになっている。また、入力インターフェース41bは、駆動回路42の抵抗42bの上流側と接続されていて、同抵抗42bの上流側電位を検出することで電動モータ25に流れる実際のモータ電流値(実モータ電流)RIをCPU41aに供給するようになっている。
【0030】
出力インターフェース41cは、バスを介してCPU41aに接続されるとともに、駆動回路42,43、及び常開(ノーマリー・オープン)型のリレー44に接続されていて、CPU41aからの指令に基づきこれらの状態を変更する信号を送出するようになっている。
【0031】
EEPROM41dは、車両バッテリ70からの電源の供給を受けない状態においてもデータを記憶・保持する記憶手段であり、バスを介してCPU41aと接続されていて、電源が供給されている状態にて同CPU41aから供給されるデータを格納するとともに、CPU41aの要求に応じて保持しているデータを同CPU41aに供給するようになっている。
【0032】
駆動回路42は、ゲートが出力インターフェース41cにそれぞれ接続されたMOSFETからなる4個のスイッチング素子Tr1〜Tr4と、2つの抵抗42a,42bとを備えている。抵抗42aの一端は、車両に搭載されたバッテリ70の電源ラインLに上流側端子が接続されたリレー44の下流側端子に接続されていて、同抵抗42aの他端はスイッチング素子Tr1,Tr2の各ドレインに接続されている。スイッチング素子Tr1,Tr2のソースは、スイッチング素子Tr3,Tr4のドレインにそれぞれ接続され、同スイッチング素子Tr3,Tr4のソースは抵抗42bを介して接地されている。また、スイッチング素子Tr1とTr3との間は電動モータ25の一側に接続され、スイッチング素子Tr2とTr4との間は電動モータ25の他側に接続されている。
【0033】
以上の構成により、駆動回路42(即ち、電動モータ25)はリレー44がオン(閉成)したときにバッテリ70から電源の供給を受け得る状態となり、スイッチング素子Tr1,Tr4が選択的に導通状態(オン状態)とされたとき、電動モータ25に所定の方向の電流が流れて同電動モータ25は一方向に回転し、スイッチング素子Tr2,Tr3が選択的に導通状態とされたとき、電動モータ25に前記所定の方向と反対方向の電流が流れて同電動モータ25は他方向に回転する。また、リレー44がオフ(開成)したときには電動モータ25の電源供給経路が遮断され、同電動モータ25への通電は停止する。
【0034】
駆動回路43は、上記駆動回路42と同様であり、出力インターフェース41cを介して与えられるCPU41aからの指示に応じて操舵用モータ51に所定の電流を流すようになっている。これにより、操舵用モータ51が回転トルクを発生して操舵機構52が作動し、所定の操舵角θ(タイヤ切れ角)が達成されるようになっている。
【0035】
前記バッテリ70の電源ラインLには、運転者によりオン(閉成)状態又はオフ(開成)状態に切換えられるイグニッションスイッチ45の一端が接続されている。イグニッションスイッチ45の他端はダイオードD1を介してCPU41a、入力インターフェース41b、出力インターフェース41c、及びEEPROM41dに接続されていて、イグニッションスイッチ45がオン状態とされたとき、それぞれに電源が供給されるようになっている。また、ダイオードD1の下流は、リレー44の下流側から前記ダイオードD1の下流側へ向う電流のみを許容するダイオードD2を介して前記リレー44の下流側端子と接続されていて、リレー44がオン状態とされたときは、イグニッションスイッチ45の状態にかかわらず、CPU41a、入力インターフェース41b、出力インターフェース41c、及びEEPROM41dに電源が供給されるようになっている。
【0036】
なお、図3においては省略されているが、実際には入力インターフェース41bに操作量センサ36が接続されるとともに、出力インターフェース41cには警告灯、電動モータ35に電流を付与するための駆動回路、及び他のアクチュエータが接続されている。
【0037】
次に、上記のように構成した運転操作装置の作動について説明すると、CPU41aは、イグニッションスイッチ45又はリレー44を介してバッテリ70と接続されている場合、図4に示した操舵角制御ルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
【0038】
従って、今、イグニッションスイッチ45が「オン」状態にあって、車両が通常の運転状態にあるとすると、CPU41aは所定のタイミングにてステップ400から処理を開始し、ステップ405にて通常運転制御許容フラグFKの値が「1」であるか否かを判定する。この通常運転制御許容フラグFKの値は、後述するように、通常の運転においては「1」とされているので、CPU41aはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、操作量センサ26の検出する現在の操作量Xnと同ステップ410内に示した操作量Xnと操舵角θとの関係を示す操舵角マップとから操舵角θを決定する。
【0039】
次いで、CPU41aはステップ415に進み、同ステップ415にて前記決定された操舵角θに応じて操舵用電動モータ51に流すべき操舵用モータ電流SMIを決定し、続くステップ420にて同操舵用モータ電流SMIを操舵用電動モータ51に流すように駆動回路43に指示を与え、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。以上の作動は、通常運転制御許容フラグFKの値が「1」である限り、所定時間の経過毎に繰り返し実行される。この結果、操舵用電動モータ51が回転駆動され、現在の操作量Xnに応じた操舵角θが達成される。
【0040】
なお、通常運転制御許容フラグFKの値が「0」である場合、CPU41aはステップ405にて「No」と判定して直ちにステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。従って、通常運転制御許容フラグが「1」でない場合(「0」である場合)、操舵角θは変更されない。後述するように、通常運転制御許容フラグFKは、イグニッションスイッチ45が「オン」状態から「オフ」状態へと変更されたとき直ちに「0」とされるので、操舵角θは同イグニッションスイッチ45が「オン」状態から「オフ」状態へと変更された時点の操舵角に維持されることになる。
【0041】
一方、CPU41aは、イグニッションスイッチ45又はリレー44を介してバッテリ70と接続されている場合、図5に示した反力モータ電流制御ルーチンを所定時間Δtの経過毎に実行するようになっている。なお、この反力モータ電流制御ルーチンは、電流制御手段の一部を構成している。
【0042】
今、イグニッションスイッチ45が「オン」状態にあって、車両が通常の運転状態にあるとして説明を続けると、CPU41aは所定のタイミングにてステップ500から処理を開始し、ステップ505にて通常運転制御許容フラグFKの値が「0」か否かを判定する。前述したように、通常の運転状態においては、通常運転制御許容フラグFKの値は「1」となっているので、CPU41aはステップ505にて「No」と判定してステップ510に進み、同ステップ510にて現在の操作量Xnを読み込み、続くステップ515にて現在の車速Vを読み込む。
【0043】
次いで、CPU41aはステップ520に進み、同ステップ520にて操作量Xnと、車速Vと、同ステップ520中に示した反力決定マップとから反力TFを決定する。なお、図示した反力決定マップから明らかなように、反力TFは、その絶対値が同一の操作量Xnに対しては車速Vが大きいほど大きくなるように設定される。これは高速走行時の安定性を向上するためである。そして、CPU41aはステップ525に進み、同ステップ525にて前記決定された反力TFに応じて電動モータ25に流すべき電流IMを決定して同電流IMを同電動モータ25に流すように駆動回路42に対し指示を与え、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
このような処理は、所定時間Δtの経過毎に繰り返される。従って、通常の運転状態にあっては、操作量Xnと車速Vとに応じた反力(回転トルク)が電動モータ25により発生させられて、操作レバー10に反力が付与される。
【0045】
次に、運転者が車両の運転を終了するためにイグニッションスイッチを「オン」状態から「オフ」状態に変更した場合(運転操作終了時)の作動について説明する。このとき、操作レバー10は中立位置からある程度の量だけ操作されているとして説明を続ける。先ず、イグニッションスイッチ45が「オン」状態から「オフ」状態に変更されると、CPU41aは図6に示したイグニッションスイッチオフ時ルーチンの処理をステップ600から開始する。なお、この場合、CPU41aにはリレー44を介して電源が供給されている。
【0046】
次いで、CPU41aはステップ605に進んで通常運転制御許容フラグFKの値を「0」に設定し、ステップ610に進んで現在の操作量Xnを記憶操作量Xiとして設定する。次に、CPU41aはステップ615にて記憶操作量XiをEEPROM41dに格納し、続くステップ620にて目標操作量Xtを現在の操作量Xnとする。次いで、CPU41aはステップ625に進んで中立位置の操作量N(実際には「0」)を最終目標操作量Xstに設定し、ステップ630に進んでカウンタCNTの値を「0」とする。なお、ステップ625は、操作レバー10の回動位置を中立位置とする要求を発生する回動要求発生手段の一部を構成している。
【0047】
これにより、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンを実行すると、通常運転制御許容フラグFKの値は「0」であるから、CPU41aはステップ505にて「Yes」と判定してステップ530に進み、同ステップ530にて漸減処理実行フラグFZENの値が「0」か否かを判定する。この漸減処理実行フラグFZENの値は、後述する漸減処理実行条件が成立したときに「1」とされ、同漸減処理が終了したときに「0」とされる。従って、通常運転制御終了直後のイグニッションスイッチ「オフ」時には、漸減処理実行フラグの値は「0」であるから、CPU41aはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、同ステップ535にて最終目標操作量Xstと目標操作量Xtとが等しいか否かを判定する。
【0048】
この場合、最終目標操作量Xstはステップ625の処理により中立位置Nと等しく、目標操作量Xtは前記ステップ620の処理により現在の操作量Xnと等しくされている。従って、CPU41aはステップ535にて「No」と判定してステップ540に進み、同ステップ540にて最終目標操作量Xstが目標操作量Xtより大きいか否かを判定する。そして、CPU41aは、最終目標操作量Xstが目標操作量Xtより大きければ、ステップ545に進んで目標操作量Xtを所定量Δx(Δx>0)だけ増大し、最終目標操作量Xstが目標操作量Xtより小さければ、ステップ550に進んで目標操作量Xtを所定量Δxだけ減少させる。即ち、ステップ540〜ステップ550にて、目標操作量Xtが所定量Δxだけ最終目標操作量Xstに接近させられる。
【0049】
次いで、CPU41aはステップ555に進み、目標操作量Xtと現在の操作量Xnとの差(Xt−Xn)と、同ステップ555に示された電流決定マップとに基いて、同差を小さくするように左右反力用モータ25に流すべき電流IMを決定し、同電流IMを電動モータ25に流すように駆動回路42に指示を与える。なお、電流決定マップは、目標操作量Xtと現在の操作量Xnとの差が大きいほど、電流IMの絶対値が大きくなるように設定されている。
【0050】
また、現段階においては、ステップ620にて目標操作量Xtと現在の操作量Xnが等しくされ、ステップ545又はステップ550にて目標操作量XtがΔxだけ増減されているから、目標操作量Xtと現在の操作量Xnの差はΔx又は−Δxであり、この差に応じた電流IMが電動モータ25に流される。この結果、電動モータ25は操作レバー10を中立位置Nに向けて回動するための回転トルクを発生し、これにより操作レバー10は中立位置Nに向けて回動する。その後、CPU41aはステップ595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0051】
一方、CPU41aはステップ635に進み、同ステップ635にて現在の操作量Xnと中立位置N(中立位置を表す操作量N、即ち、ここでは最終目標操作量Xst)との差の絶対値(|Xn−N|)が所定の閾値Tha1より大きいか否かを判定する。現段階では、操作レバーが中立位置からある程度の量だけ操作されている状態にてイグニッションスイッチ45が「オン」状態から「オフ」状態へと変更された直後であり、操作レバー10が中立位置に向けて回動され始めた直後であるので、現在の操作量Xnと中立位置Nとの差の絶対値(|Xn−N|)は閾値Tha1より大きい。従って、CPU41aはステップ635にて「Yes」と判定してステップ640に進み、同ステップ640にて操作力センサ10dの検出する操作力の絶対値(|FS|)が閾値Thfs1より大きいか否かを判定する。
【0052】
このとき、操作レバー10の作動を妨げる物体が存在していなければ、操作レバー10に歪は生じないので、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs1より小さい。従って、CPU41aはステップ640にて「No」と判定してステップ625に戻り、以降、ステップ625,630,635,640を繰り返し実行する。
【0053】
この結果、所定時間Δtの経過毎に図5に示した反力モータ電流制御ルーチンのステップ505,530,535,540〜550,555が実行されることにより、操作レバー10の回動位置は中立位置Nに近づく。これにより、所定の時間が経過すると、現在の操作量Xnと中立位置Nとの差の絶対値(|Xn−N|)は閾値Tha1より小さくなるので、CPU41aはステップ635にて「No」と判定してステップ645に進み、リレー44を「オフ」状態とすることで電気制御装置40への電源供給を停止する(パワーオフする)。
【0054】
次に、操作レバー10が中立位置Nに向けて回動しているときに、同操作レバー10と車体との間に物体が挟みこまれる等により、同操作レバー10が回動できなくなった場合について説明すると、この場合、ロッド10aに歪が生じるので、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs1より大きくなる。従って、CPU41aはステップ640にて「Yes」と判定してステップ650に進み、同ステップ650にてカウンタCNTの値を「1」だけ大きくする。
【0055】
次いで、CPU41aはステップ655に進んで最終目標操作量Xstをその時点の目標操作量Xtと等しく設定し、ステップ660にてタイマTをリセットしてスタートする(タイマTによる計時を開始する。)。そして、CPU41aはステップ665にて所定時間T0の経過を待ち、所定時間T0が経過するとステップ670にてカウンタCNTの値が閾値Thc1より大きいか否かを判定する。
【0056】
現時点においては、カウンタCNTの値は「0」から「1」だけ増大された直後であるから閾値Thc1より小さいので、CPU41aはステップ670にて「No」と判定してステップ640に戻る。
【0057】
この状態で、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンの処理を行うと、CPU41aはステップ500,505,530,535と進み、同ステップ535にて最終目標操作量Xstと目標操作量Xtとが等しいか否かを判定する。この場合、最終目標操作量Xstと目標操作量Xtは先のステップ655にて等しくされているから、CPU41aはステップ535にて「Yes」と判定してステップ555に直接進む。換言すると、CPU41aはステップ545、又はステップ550を実行せず、目標操作量Xtはその時点の値に維持される。
【0058】
この結果、目標操作量Xtと現在の操作量Xnが共にその時点の値に維持されることになり、同目標操作量Xtと現在の操作量Xnの差も一定となるので、電流IMは一定値となって、電動モータ25には同一定の電流IMが継続して流され、同電動モータ25は一定の回転トルクを発生し続ける。
【0059】
この状態が継続すると、CPU41aは図6のステップ640〜670を繰り返し実行することになるので、カウンタCNTの値はステップ650の処理により増大し続け、所定の時間が経過すると閾値Thc1より大きくなる。この場合、CPU41aは、ステップ670にて「Yes」と判定してステップ675に進み、漸減処理実行フラグFZENの値を「1」に設定してステップ695に進み、同ステップ695にて本ルーチンを終了する。
【0060】
このとき、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンの処理を行うと、同CPU41aはステップ505に続くステップ530にて「No」と判定してステップ560に進み、同ステップ560にて電動モータ25に流すべき電流IMの値が「0」より大きい値となっているか否か(正か負か)を判定し、電流IMが「0」より大きければステップ565に進んでその時点の電流IMから所定の微小電流Δi(Δi>0)だけ減じた電流を新たな電流IMとするとともに、電流IMが「0」より小さければステップ570に進んでその時点の電流IMに所定の微小電流Δiを加えた電流を新たな電流IMとする。即ち、ステップ560〜570により、電流IMの絶対値(|IM|)が「0」に向けて微小電流Δiだけ小さくされ、電流IMが徐々に消滅させられる。
【0061】
次いで、CPU41aはステップ575に進み、電流IMの絶対値(|IM|)が閾値IM0(IM0>0)より大きいか否かを判定する。この場合、電流IMの絶対値(|IM|)は「0」に向けて小さくされ始めた直後であるから、閾値IM0よりも大きい。従って、CPU41aはステップ575にて「No」と判定して直接ステップ595に進み、同ステップ595にて本ルーチンを一旦終了する。
【0062】
以降、所定時間が経過する毎に、CPU41aはステップ500,530,560〜575を実行するので、電流IMの絶対値(|IM|)は小さくなり、やがて閾値IM0よりも小さくなるので、CPU41aはステップ575にて「Yes」と判定してステップ580に進み、同ステップ580にて漸減処理実行フラグFZENの値を「0」に戻し、続くステップ585にてリレー44を「オフ」状態とすることで電気制御装置40への電源供給を停止し、ステップ595に進んで本ルーチンを終了する。
【0063】
以上のように、操作レバー10を中立位置Nに向けて回動している場合に、操作レバー10の回動を阻止する物体が存在すると、操作力FS、即ち、電動モータ25に加わる負荷が大きくなり、そのまま放置すると目標操作量Xtが変更されて操作量Xnとの差が大きくなり、過大な電流IMが電動モータ25に流されるところ、上記実施形態においては、目標操作量Xtが変化しないように操作されることで、電流IMが一定値(即ち、電動モータ25の発生トルクが一定値)に保持されるので、同電動モータ25の過熱等が防止される。
【0064】
また、操作力FS、即ち、電動モータ25に加わる負荷が大きくなり、電流IMが一定値(即ち、電動モータ25の発生トルクが一定値)となるように保持されてから、同状態の継続時間がカウンタCNTと閾値Thc1によって決定される時間より長くなると、電流IMの絶対値(|IM|)が徐々に「0」に向けて減少され、やがて電流IMが消滅する。これにより、電動モータ25に比較的大きな一定電流が長時間にわたり流されることが防止されるので、同電動モータ25が過熱しない。また、電流IMの絶対値(|IM|)が所定時間Δtに微小電流Δiだけ減少されるから、電動モータ25から操作レバー10に付与される回転トルク(即ち、反力)が徐々に減少されるので、操作レバー10の回動の阻止を運転手が行っている場合等において、同運転手に対して急激な力の変化を与える事態が防止される。
【0065】
なお、操作力FS、即ち、電動モータ25に加わる負荷が大きくなり、電流IMが一定値に保持されてから、カウンタCNTの値が閾値Thc1を超えるまでの期間に、操作レバー10の回動を阻止する要因が消滅したとき(操作レバー10の回動を阻止していた物体が除去されたとき等)には、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs1より小さくなるので、CPU41aはステップ640にて「No」と判定してステップ625に戻る。
【0066】
この結果、ステップ625にて最終目標操作量Xstが中立位置の操作量Nに再設定され、ステップ630にてカウンタCNTの値が「0」にクリアされる。これにより、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンを実行すると、同CPU41aはステップ505,530,535〜550と進んで目標操作量Xtを最終目標操作量Xst(即ち、中立位置N)に向けて変更するため、操作レバー10が徐々に中立位置に向けて回動を開始する。
【0067】
次に、運転者が車両の運転を開始するためにイグニッションスイッチを「オフ」状態から「オン」状態に変更した場合(運転操作開始時)の作動について説明すると、CPU41aは図7に示したイグニッションスイッチオン時ルーチンの処理をステップ700から開始し、ステップ705に進んでリレー44をオン(閉成)する。CPU41aは、次いで、ステップ710に進み、同ステップ710にて現在の操作量Xnを目標操作量Xtに設定し、続くステップ715にて最終目標操作量Xstの値を記憶操作量Xiの値とする。なお、ステップ715は、操作レバー10の回動位置を記憶された位置とする要求を発生する回動要求発生手段の一部を構成している。
【0068】
この結果、CPU41aが所定のタイミングにて図5に示した反力モータ電流制御ルーチンの処理を開始すると、同CPU41aはステップ500に続くステップ505にて通常運転制御許容フラグFKの値が「0」か否かを判定する。この通常運転制御許容フラグFKの値は、前回の運転終了時(前回のイグニッションスイッチの「オフ」時)に図6のステップ605にて「0」に設定されているので、CPU41aはステップ505にて「Yes」と判定してステップ530に進み、漸減処理実行フラグFZENの値が「0」か否かを判定する。この漸減処理実行フラグFZENの値は、通常は「0」であり、また、前回の運転操作終了時に図6のステップ675にて「1」とされた場合であっても、図5のステップ580にて「0」とされている。従って、CPU41aはステップ530にて「Yes」と判定してステップ535〜ステップ550の処理を実行する。この結果、目標操作量Xtは、記憶操作量Xiと等しくされた最終目標操作量Xstに徐々に近づき、ステップ555の処理を実行することにより、目標操作量Xtと現在の操作量Xnとの差がなくなるように電動モータ25に電流IMが流されて(電動モータ25が回転トルクを発生して)、操作レバー10が最終目標操作量Xst、即ち、記憶操作量Xiに向けて回動する。
【0069】
ところで、CPU41aは図7のステップ715に続いてステップ720に進み、同ステップ720にてカウンタCNTの値を「0」に設定し、続くステップ725にて現在の操作量Xnと記憶操作量Xiとの差の絶対値(|Xn−Xi|)が所定の閾値Tha1より大きいか否かを判定する。そして、現在の操作量Xnと記憶操作量Xiとの差の絶対値(|Xn−Xi|)が所定の閾値Tha1より小さければ、CPU41aはステップ725にて「No」と判定してステップ730に進み、同ステップ730にて通常運転制御許容フラグFKの値を「1」に設定した後、ステップ795に進んで本ルーチンを終了する。
【0070】
この結果、CPU41aが図4に示した操舵角制御ルーチンの処理を開始してステップ405に進んだとき、同ステップ405に「Yes」と判定してステップ410〜420に進むので、操作量Xnに応じた操舵角θの操舵角制御が実行される。同様に、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンの処理を開始してステップ505に進んだとき、同CPU41aは同ステップ505にて「No」と判定してステップ510〜525に進むので、操作量Xnと車速Vに応じた反力制御が実行される。
【0071】
一方、図7のステップ725の実行時点において、現在の操作量Xnと記憶操作量Xiとの差の絶対値(|Xn−Xi|)が所定の閾値Tha1より大きければ、CPU41aは同ステップ725にて「Yes」と判定してステップ735に進み、同ステップ735にて操作力の絶対値(|FS|)が閾値Thfs2より大きいか否かを判定する。
【0072】
このとき、操作レバー10の作動を妨げる物体が存在していなければ、操作レバー10に歪は生じないので、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs2より小さい。従って、CPU41aはステップ735にて「No」と判定してステップ715に戻り、以降、ステップ715,720,725,735を繰り返し実行する。
【0073】
この結果、所定時間Δtの経過毎に図5に示した反力モータ電流制御ルーチンのステップ505,530,535〜555が実行されることにより、操作レバー10の回動位置は記憶操作量Xiに近づく。従って、所定の時間が経過すると、現在の操作量Xnと記憶操作量Xiとの差の絶対値(|Xn−Xi|)は閾値Tha2より小さくなるので、CPU41aはステップ725にて「No」と判定してステップ730に進み、通常運転制御許容フラグFKを「1」に設定する。
【0074】
以上のように、操作レバー10は、イグニッションスイッチ45が「オフ」状態から「オン」状態に変更されたとき記憶操作量Xiに向けて回動され、操作量Xnが記憶操作量Xiに略等しくなった時点で停止される。また、この時点で、通常運転制御許容フラグFKの値が「1」に変更され、操作量Xnに応じた操舵角制御が開始される。一方、操舵角θはイグニッションスイッチ45が「オン」状態から「オフ」状態へと変更されたときの記憶操作量Xiに応じた角度となっている。以上により、操作レバー10の位置(操作量Xn)が実際の操舵角θに対応したものとなってから通常の操舵角制御が開始されるので、操作レバー10の回動位置と操舵角θとの不適合が発生せず、運転操作性が向上する。
【0075】
次に、操作レバー10が記憶操作量Xiの位置に向けて回動しているときに、同操作レバー10と車体との間に物体が挟みこまれる等により、同操作レバー10が回動できない場合について説明すると、この場合、ロッド10aに歪が生じるので、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs2より大きくなる。従って、CPU41aはステップ735にて「Yes」と判定してステップ740に進み、同ステップ740にてカウンタCNTの値を「1」だけ大きくする。
【0076】
次いで、CPU41aはステップ745に進んで最終目標操作量Xstをその時点の目標操作量Xtと等しく設定し、ステップ750にてタイマTをリセットしてスタートする(タイマTによる計時を開始する。)。そして、CPU41aはステップ755にて所定時間T0の経過を待ち、所定時間T0が経過するとステップ760にてカウンタCNTの値が閾値Thc2より大きいか否かを判定する。
【0077】
現時点においては、カウンタCNTの値は「0」から「1」だけ増大された直後であるから閾値Thc2より小さいため、CPU41aはステップ760にて「No」と判定してステップ735に戻る。
【0078】
この状態で、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンの処理を行うと、CPU41aはステップ500,505,530,535と進み、同ステップ535にて最終目標操作量Xstと目標操作量Xtとが等しいか否かを判定する。この場合、最終目標操作量Xstと目標操作量Xtは先のステップ745にて等しくされているから、CPU41aはステップ535にて「Yes」と判定してステップ555に直接進む。換言すると、目標操作量Xtはその時点の値に維持される。
【0079】
この結果、目標操作量Xtと現在の操作量Xnが共にその時点の値に維持されることになり、同目標操作量Xtと現在の操作量Xnの差も一定となるので、電流IMは一定値となって、電動モータ25には同一定の電流IMが継続して流され、同電動モータ25は一定の回転トルクを発生し続ける。
【0080】
この状態が継続すると、CPU41aは図7のステップ735〜760を繰り返し実行することになるので、カウンタCNTの値はステップ740の処理により増大し続け、所定の時間が経過すると閾値Thc2より大きくなる。この場合、CPU41aは、ステップ760にて「Yes」と判定してステップ765に進み、出力インターフェース41cに接続された図示しない警告灯を点灯して警報を発生し、ステップ795に進んで本ルーチンを終了する。
【0081】
以上のように、操作レバー10をイグニッションスイッチを「オン」状態から「オフ」状態に変更した時点の記憶操作量Xiに向けて回動している場合に、操作レバー10の回動を阻止する物体が存在すると、操作力FS、即ち、電動モータ25に加わる負荷が大きくなり、そのまま放置すると目標操作量Xtと操作量Xnとの差が大きくなって、過大な電流IMが電動モータ25に流されるところ、上記実施形態においては、電流IMが一定値(即ち、電動モータ25の発生トルクが一定値)となるように保持されるので、同電動モータ25の過熱等が防止される。
【0082】
なお、操作力FS、即ち、電動モータ25に加わる負荷が大きくなり、電流IMが一定値に保持されてから、カウンタCNTの値が閾値Thc2を超えるまでの期間に、操作レバー10の回動を阻止する要因が消滅したとき(操作レバー10の回動を阻止していた物体が除去されたとき等)には、操作力FSの絶対値(|FS|)は閾値Thfs2より小さくなるので、CPU41aはステップ735にて「No」と判定してステップ715に戻る。
【0083】
この結果、ステップ715にて最終目標操作量Xstが記憶操作量Xiに再設定され、ステップ720にてカウンタCNTの値が「0」にクリアされるこれにより、CPU41aが図5に示した反力モータ電流制御ルーチンを実行すると、同CPU41aはステップ505,530,535,540〜550と進んで目標操作量Xtを最終目標操作量Xst(即ち、記憶操作量Xi)に向けて変更するため、操作レバー10が徐々に記憶された位置に向けて回動を開始する。
【0084】
以上、説明したように、本発明による運転操作装置の一実施形態によれば、運転操作終了後において操作レバー10が中立位置に戻される。このとき、操作レバー10の回動が規制されると、一定時間だけ電動モータ25に一定の電流が流され、同状態が継続する場合には同電流が徐々に減少されて消滅する。従って、電動モータ25が過熱等から保護され、同電動モータ25の寿命を長くすることができる。
【0085】
また、上記実施形態によれば、運転操作開始時において、前回の運転操作終了時の操作レバー10の回動位置まで同操作レバー10が回動され、これにより操舵角θと操作レバーの対応関係が一致させられる。従って、運転操作開始時の運転操作性が向上する。更に、操作レバー10を前回の運転操作終了時における回動位置まで回動しているときに、同操作レバー10の回動が規制されると、一定時間だけ電動モータ25に一定の電流が流され、同状態が継続する場合には警報が発生される。これにより、運転者は操作レバー10の回動に支障が生じていることを知ることができ、適切な対応を行うことができる。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、操舵角制御は操作力FSを考慮して行ってもよく、また電動モータ25に流れる電流IMは、所謂電流のPI制御又はPID制御により決定してもよい。また、操作レバー10の操作量に応じて変更される車両の制御量は、操舵角θに限定されることはなく、車両に搭載された駆動源(エンジン)の出力(例えば、スロットル開度)や制動力等であってもよい。更に、操作レバー10は、必ずしも円柱状でなくてもよく、また車体の前後方向のみ、又は車体の左右方向のみに回動可能なものでもよい。更に、捜査レバー10の前後方向の位置を(左右方向の位置に加えて)運転操作終了後に中立位置に戻し、運転操作開始時に前記運転操作終了時の位置にまで戻してもよい。
【0087】
加えて、例えば、前記操作レバー10のロッド10aよりも車両前方位置の車体に一端が係止され他端が同操作レバー10のロッド10aに対して係止されたバネ、及び前記操作レバー10のロッド10aよりも車両後方位置の車体に一端が係止され他端が同操作レバー10のロッド10aに対して係止されたバネ(即ち付勢手段)により、操作レバー10の位置が前後方向の中立位置となるようにする向きの付勢力を同操作レバー10に機械的に与えておいてもよい。同様に、前記操作レバー10のロッド10aよりも車両左方位置の車体に一端が係止され他端が同操作レバー10のロッド10aに対して係止されたバネ、及び前記操作レバー10のロッド10aよりも車両右方位置の車体に一端が係止され他端が同操作レバー10のロッド10aに対して係止されたバネ(即ち、付勢手段)により、操作レバー10の位置が左右方向中立位置となるようにする向きの付勢力を同操作レバー10に機械的に与えておいてもよい。更に、電動モータ25,35はブラシモータの他、ブラシレスモータ等の他のモータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る運転操作装置の操作レバーの概略図である。
【図2】 図1に示した操作レバーを含む操作レバー装置の概略斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る運転操作装置の電気制御装置を示すブロック図である。
【図4】 図3に示したCPUが実行する操舵角制御ルーチン(プログラム)を示すフローチャートである。
【図5】 図3に示したCPUが実行する反力モータ電流制御ルーチン(プログラム)を示すフローチャートである。
【図6】 図3に示したCPUが実行するイグニッションスイッチオフ時ルーチン(プログラム)を示すフローチャートである。
【図7】 図3に示したCPUが実行するイグニッションスイッチオン時ルーチン(プログラム)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…操作レバー、10a…ロッド、10d,10e…操作力センサ(歪センサ)、20…左右方向反力発生機構、21…ガイドプレート、25…直流電動モータ(左右反力モータ)、26…操作量センサ、30…前後方向反力発生機構、31…ガイドプレート、35…直流電動モータ、36…操作量センサ、40…電気制御装置、41…マイクロコンピュータ、41a…CPU、42,43…駆動回路、44…リレー、45…イグニッションスイッチ、51…操舵用電動モータ、52…操舵機構、61…車速センサ。
Claims (4)
- 車体に対し回動可能に支持されるとともに運転者により回動操作される操作部材の回動操作量に応じて車両の制御量を変更するための制御量変更用のモータに電流を流すことにより、前記操作部材との機械的連結を介することなく同車両の制御量を同操作部材の回動操作量に応じて変更する車両の運転操作装置であって、
流される電流に応じた回転トルクを発生し同回転トルクを前記操作部材に付与することで同操作部材を回動する反力発生用電動モータと、
運転者による前記車両の運転操作中に前記操作部材が同運転者により回動操作され同操作部材の回動操作量に応じて前記車両の制御量が変更されているときに、前記反力発生用電動モータに回転トルクを発生させて同運転者による同回動操作に対する反力を発生させるように同反力発生用電動モータに電流を流す電流制御手段と、
を備える運転操作装置において、
前記操作部材の回動位置を所定の目標回動位置とする回動要求を発生する回動要求発生手段と、
前記反力発生用電動モータの負荷を検出する負荷検出手段と、
を備え、
前記回動要求発生手段は、
前記車両の運転操作終了後に前記所定の目標回動位置を前記操作部材の回動中央位置である中立位置とするように構成され、
前記電流制御手段は、
前記回動要求が発生したとき同回動要求に応じて前記反力発生用電動モータに回転トルクを発生させるように同反力発生用電動モータに流される電流を制御するとともに、前記検出された前記反力発生用電動モータの負荷が所定値以上となったとき同反力発生用電動モータの発生している回転トルクを保持するように同反力発生用電動モータに流される電流を制御するように構成された運転操作装置。 - 請求項1に記載の運転操作装置において、
前記操作部材の回動位置を前記中立位置とする向きの付勢力を同操作部材に与える付勢手段を備えた運転操作装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の運転操作装置において、
前記回動要求発生手段は、前記車両の運転操作終了時における前記操作部材の回動位置を記憶するとともに、同車両の運転操作開始時に前記所定の目標回動位置を同記憶した回動位置とするように構成された運転操作装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の運転操作装置において、
前記電流制御手段は、前記反力発生用電動モータの回転トルクが保持されてから所定時間以上にわたり前記検出された同反力発生用電動モータの負荷が前記所定値以上の場合、同反力発生用電動モータに流れる電流を消滅させるように構成された運転操作装置。
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