JP4508494B2 - ガスハイドレート探査システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海底等といった水底の地盤内に存在するガスハイドレートを探査するための探査システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天然ガスは、地盤内に形成されたガス層(「フリーガス層」と呼ばれる)内部に気体状態で存在する場合が多く、こうしたフリーガス層から掘削されて利用される場合が一般的である。しかしこれとは別に、天然ガスが水和されて生成された、固体状態の水和物として存在する場合がある。この天然ガスの水和物(以下、「ガスハイドレート」と記す)とは、包接化合物(クラスレート化合物)の一種であって、複数の水分子(H2O)により形成された立体かご型の包接格子(クラスレート)の中に、天然ガスの成分であるメタン(CH4)、エタン(C2H6)等の分子が入り込み包接された結晶構造をなすものである。
こうしたガスハイドレートは、その内部に天然ガスが高密充填された状態となっている。理論上は、ガスハイドレート1m3中に、標準状態における気体に換算して約170m3の天然ガスが含まれていることとなり、次世代のエネルギー源として多大な注目を集めている。
【0003】
ガスハイドレートは、低温・高圧の条件下で生成されて安定的に存在することができるので、こうした条件に合致する地盤内に層をなして(「ガスハイドレート層」、あるいは単に「ハイドレート層」と呼ばれる)存在することができる。具体的には、北極圏や南極圏等の永久凍土層の下部、あるいは深度300m程度以深の海底地盤中等に広く分布することがわかってきている。また、我が国近海の海底地盤中にも多量に存在するであろうと考えられており、その探査あるいは調査が順次行われようとしている。
【0004】
このような、海底等の水底に存在するハイドレート層の探査方法としては、水上の探査船から音波を含む弾性波を探査信号として海底に向けて発信し、反射されてきた弾性波を受信して、弾性波の伝播速度等を解析してハイドレート層を探査する方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
こうした探査を高精度で行うにあたっては、探査船は、海上における自船の絶対的位置及び僚船との相対的位置を正確に把握し、その位置を保持することが求められる。こうした位置の把握はレーダー等を用いて行われることが多いが、海流、波高あるいは風等の影響により、位置の把握及びその保持は困難であった。
また、探査船から海底に向けて発受信される弾性波は水中で減衰されやすく、そのため、水深の深い場所や海底地形の起伏が激しい場所等における探査精度は、必ずしも良好ではなかった。
こうした様々な要因によって、水底に存在するガスハイドレートの探査精度や探査効率を向上させることは、非常に困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、水底に存在するガスハイドレートの探査精度及び探査効率を向上させることのできる、ガスハイドレート探査システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、水底の地盤内に存在するガスハイドレートを探査するためのシステムであって、水上側から水底方向に向かって弾性波を発信する発信機と、前記水底の地盤上に設置され、遠隔制御によって該水底の地盤を加震する加震部を有する探査用リグと、水底方向から反射してくる前記弾性波、又は前記加震部によって加震された前記水底の地盤から水中に伝播された弾性波を水上側で受信する受信機と、前記発信機又は前記受信機のうちの少なくとも一方と一体となって水上を移動し、人工衛星からの信号により自己位置を認識する自己位置認識装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このように、発信機又は受信機のうちの少なくとも一方を、人工衛星からの信号により自己位置を認識することができるようにしているので、海流、波高あるいは風等の影響を殆ど受けることなく、自己位置を常に高精度で把握し、その位置を保持あるいは変化に応じた更正を行いながら、ガスハイドレートを探査することができる。
また、水底の地盤上から探査信号を発信する探査用リグを用いるようにしているので、水を介さずに、水底の地盤に直接探査信号を発信することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガスハイドレート探査システムであって、前記発信機と前記自己位置認識装置とを有する少なくとも一隻の探査船と、前記受信機と前記自己位置認識装置とを有する少なくとも一隻の探査船と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このように、互いに自己位置認識装置を備えた複数の探査船を用いて探査信号の発受信を行うようにしているので、各々の探査船の絶対的位置を極めて正確に把握することができるとともに、探査船同士の相対的位置も極めて正確に把握することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のガスハイドレート探査システムであって、前記水底を探査し、探査した情報を前記探査船に送信する潜水艇を備えたことを特徴とする。
【0012】
このように、潜水艇を用いて海底を探査するようにしているので、水底により近い位置から水底を探査することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のガスハイドレート探査システムであって、前記探査用リグが、水中を移動するための推進装置を備えていることを特徴とする。
【0014】
このように、探査用リグに推進装置を備えるようにしているので、探査用リグの設置及び回収を容易に行うことができるとともに、探査するポイントを容易に変更することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記ガスハイドレート中のメタンに照射するためのレーザー光を発振するレーザー発振器と、前記メタンからのラマン散乱光を分光する分光器と、該分光器で分光された前記ラマン散乱光を分析して前記メタンを検出する検出器と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
このように、ラマン散乱光を分光分析することによって、すなわち化学的な成分分析によって、メタンを検出してガスハイドレートを探査するようにしているので、ガスハイドレートの存在をより確実に探査することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のガスハイドレート探査システムであって、前記レーザー発振器、前記分光器及び前記検出器とを探査船に備えるとともに、該探査船から前記水底の近傍位置まで垂下された光ファイバーを用いて、前記メタンに前記レーザー光を照射するとともに前記ラマン散乱光を前記分光器へと導入することを特徴とする。
【0018】
このように、光ファイバーを用いて、水底近傍位置のメタンにレーザー光を照射するとともにラマン散乱光を分光器へと導入するようにしているので、レーザー発振器、分光器及び検出器といった分光分析に必要な主たる機器類を探査船内に設けて、水との接触を避けることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
[第1参考実施形態]
まず、本発明に係るガスハイドレート探査システムの第1参考実施形態について、図1を用いて説明する。
このガスハイドレート探査システム(以下、単に「探査システム」と記す場合がある)は、海底地盤(水底の地盤)G内に形成されているハイドレート層(ガスハイドレート)Hを、音波を含む弾性波を用いて探査する、探査船10Aと探査船10Bとから構成されている。
これら探査船10A、10Bは、互いにほぼ同一の構成となっており、音波を含む弾性波(探査信号)を発信・受信してハイドレート層Hを探査する発受信機(発信機、受信機)11a、11bと、人工衛星Sからの信号により自船の位置を認識する自己位置認識装置12a、12bと、を各々備えている。すなわち探査船10A、10Bは、GPS(Grobal Posisioning System)によって自船の位置を正確に把握しながら、ハイドレート層Hの探査を行うことができるようになっている。なお図1においては、人工衛星Sを1つしか図示していないが、実際には複数の人工衛星Sからの信号によって、自己位置認識装置12a、12bは自船の位置を認識する。
【0021】
このように、自己位置認識装置12a、12bとによって、探査船10A及び10Bは海上における自船の絶対的位置を極めて高精度で認識することができるので、探査船10Aと10B同士の相対的位置に関しても、極めて高精度で割り出すことができる。
【0022】
この探査システムを用いた探査方法においては、探査船10Aあるいは探査船10Bから弾性波を海底地盤Gの表面(海底)に向けて発信し、海底から反射してきた弾性波(反射波)を探査船10Aあるいは探査船10Bが受信して解析し、ハイドレート層Hが存在するか否か、そして存在する場合にはその大きさ、深度、層厚等を探査することができる。図1においては、一例として、探査船10Aから弾性波lを発信し、探査船10Bが、海底から反射してくる反射波l1と、ハイドレート層Hから反射してくる反射波l2とを受信している様子を示している。
【0023】
本実施形態に係るガスハイドレート探査システムにおいては、探査船10A、10Bが、人工衛星S1、S2、S3からの信号によって、探査船10A、10Bは自己の絶対位置自己位置認識装置12a、12bを各々備えるようにしている。そのため、海流、波高あるいは風等の影響に左右されることなく、自船の絶対的位置を極めて高精度で把握し、その位置を保持することができるとともに、位置の変化に応じたデータ処理などの更正を実施することができる。またこのように、互いの自船の絶対的位置を非常に正確に把握できるので、探査船10Aと探査船10Bとの相対的位置も自ずと正確に把握することができる。そのため、ハイドレート層Hの探査を極めて高精度で行うことができる。
そして、僚船(他船)との相対的位置を測定するための装置、すなわちレーダー等といった高価な装置を必要とせず、探査システムを構築するためのコストを低廉化することができる。
【0024】
なお本実施形態においては、探査船を2隻用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。より多数の探査船を用いて探査船の船団を形成するようにすれば、より探査精度を向上させることができる。
また探査船が、発受信機を取り付けたフロートを単数もしくは複数曳航するようにしてもよい。この場合、探査船が最低1隻あれば探査することが可能であるので、探査コストをより低廉なものとすることができる。
【0025】
[第2参考実施形態]
本発明に係るガスハイドレート探査システムの第2参考実施形態について、図2を用いて説明する。
本実施形態においては、上記第1参考実施形態における探査システムの構成要素に、潜水艇20A、20Bを加えた構成となっている。すなわち、海上及び海中の双方から、海底地盤G内のハイドレート層Hを探査するものである。
【0026】
潜水艇20A、20Bは、搭乗員が操縦する有人の潜水艇であり、海中を潜行して海底の地形や地質等を探査するものである。これら潜水艇20A、20Bは、音波を含む弾性波を海底に向かって発信するとともに海底から反射してきた弾性波を受信する発受信機21a、21bと、ソナー、レーザーあるいはミリ波などを用いて探査船10A、10B或いは潜水艇同士で通信を行う通信装置(図示省略)と、を各々備えている。
【0027】
この探査システムを用いた探査方法においては、海上の探査船10A、10B、あるいは海中の潜水艇20A、20Bから弾性波を海底に向けて発信し、海底から反射してきた弾性波(反射波)を探査船10A、10B、あるいは潜水艇20A、20Bが受信する。
そして、弾性波により得られた情報に、潜水艇20A、20Bの搭乗員が海底側を目視して得た情報、すなわち海底地形の起伏状態あるいは地質等といった情報も加えて解析し、ハイドレート層Hが存在するか否か、そして存在する場合にはその大きさ、深度、層厚等を探査することができる。
【0028】
本実施形態に係るガスハイドレート探査システムにおいては、潜水艇20A、20Bを用いるようにしているので、より海底に近い位置から探査することができるので、弾性波の水中での減衰をより低減でき、ハイドレート層Hの探査精度を更に向上させることができる。
また、弾性波により得られた情報だけでなく、搭乗員が海底を目視して得られた情報も加えて総合的に探査することができるので、探査精度を更に向上させることができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、潜水艇を有人運転するものとしたが、自動運転が可能な無人のものであってもよい。
また、水艇を2隻用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。より多数の潜水艇を用いれば、より探査精度を向上させることができる。
更に、潜水艇が、発受信機を取り付けたフロートを単数もしくは複数曳航するように、すなわち水中を吹き流すようにしてもよい。この場合、潜水艇が最低1隻あれば探査することが可能であるので、探査コストをより低廉なものとすることができる。
【0030】
[第1の実施形態]
次に、本発明に係るガスハイドレート探査システムの第1の実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態においては、上記第2参考実施形態の構成要素に、海底地盤G上に配設された探査用リグ30を加えた構成となっている。そのため、上記第2参考実施形態におけると同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0031】
この探査用リグ30は、海底に設置されており、本体部31と、本体部31の下側に設けられ海底地盤G上に立脚する脚部32と、本体部33の下側に設けられ海底地盤Gを加震する加震部33と、を備えている。
本体部31は、海上の探査船10A、10Bあるいは潜水艇20A、20Bからの遠隔操作で加震部33を動作させる遠隔制御装置と、探査船10A、10Bあるいは潜水艇20A、20Bとの間で情報を送受信する通信装置と、を備えている(何れも図示省略)。
なお図3においては、探査用リグ30を1つしか図示していないが、実際には複数の探査用リグ30が配設されている。
【0032】
探査用リグ30によって加震された海底地盤Gからは弾性波が伝播されていき、別の探査用リグ30によって検出される。また、海底地盤Gから海水中に伝播された弾性波は、潜水艇20A、20Bあるいは探査船10A、10Bによって検出される。この弾性波の伝播速度等から、海底地盤Gの状況が把握できる。
【0033】
本実施形態に係るガスハイドレート探査システムにおいては、探査用リグ30を備え、海水を介さずに直接海底地盤Gに弾性波を発信できるようにしている。そのため、例えば水上や水中から弾性波を発信する場合のように、弾性波が水中で減衰することがないので、探査誤差が少なくより探査精度を更に向上させることができる。
また、一般的には高価である潜水艇の数を減らしても、探査精度を充分に高くできるので、システム全体を簡易な構成とすることができ、探査コストの低廉化及び探査効率の向上を図ることができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、複数の探査用リグを各々無線で遠隔制御するようにしているが、各々の探査用リグ同士を有線で結ぶようにしてもよい。
【0035】
また、上記した探査用リグ30の変形例としての探査用リグ30Aを、図4に示す。
この探査用リグ30Aは、探査用リグ30に、自力で海中を移動するための機能を付加したものであり、上記した探査用リグ30の本体部31に、推進装置36と、フロート37とを備えた構成となっている。
【0036】
推進装置36は、プロペラと、このプロペラを回転駆動させるアクチュエータ(図示省略)とから構成されており、本体部31の側方あるいは上方に複数設けられている。なお本体部31内には、これら推進装置36を遠隔制御するための遠隔制御手段(図示省略)が備えられている。すなわち、探査船10A、10Bあるいは潜水艇20A、20Bからの遠隔制御によって、探査用リグ30Aを海中移動させることができるようになっている。
フロート37は、深海での水圧に耐え得るようなファイバーや鋼殻等から構成されており、内部ガスの入排出等により、探査用リグ30Aに適度な浮力を与えるものである。このフロート37が設けられていることで、探査用リグ30Aは、海底に軟着陸できるとともに、海底からの離脱を容易に行うことができる。
【0037】
このような、推進装置36を備えた探査用リグ30Aを用いることとすれば、探査用リグ30Aの設置及び回収を容易に行うことができるとともに、探査するポイントを容易に変更することができるので、単位時間当たりに広範な範囲を探査することができ、探査効率を向上させることができる。
【0038】
[第2の実施形態]
本発明に係るガスハイドレート探査システムの第2の実施形態について、図5乃至図7を用いて説明する。
本実施形態における探査システムは、ラマン分光分析装置40を備えた探査船10Cにより構成されている。この探査船10Cは、ラマン分光分析装置40を備えている点以外は、上記第1参考実施形態及び第2参考実施形態において示した探査船10Aと同様の構成となっている。
【0039】
図5に示すように、ハイドレート層Hを含んでいる海底地盤Gの一部に亀裂等が生じると、この亀裂から、ハイドレート層H内のメタンが徐々に海中に漏洩してくる。図5においては、メタンが溶解した海水または気泡となって海中に漏洩しているメタン(メタンガス)を、符号mとして示している。すなわち、海中からメタンを検出することができれば、その下の海底地盤G内にハイドレート層Hが存在する可能性は非常に高いということになる。
ラマン分光装置40は、こうした海中のメタンmを検出することで、海底地盤G内のハイドレート層Hを探査することができるものである。
【0040】
ラマン分光分析装置40は、図6に示すように、レーザー発振器41と、ダイクロイックミラー42と、光ファイバー43と、分光器44と、検出器45と、を備えている。
このラマン分光分析装置40においては、光ファイバー43以外の構成要素は探査船10C内に設けられている。そして、光ファイバー43は、その先端部が海底近傍位置に達するようにして海中に垂下され、先端部に設けられた凸レンズ43aから海水中に対してレーザー光を照射するようになっている。
【0041】
この探査システムを用いた探査方法においては、まず、レーザー発振器41が、例えばアルゴン(Ar)イオンレーザーといったレーザー光Lを発振する。発振されたレーザー光Lは、ダイクロイックミラー42を透過し光ファイバー43内を進んで、先端部の凸レンズ43aから海水中に照射される。このレーザー光Lが海水中の各物質に入射されると、各物質の成分に対応して僅かに周波数のずれたラマン散乱光Rが散乱される。すなわち、このラマン散乱光R中には、各物質の成分に対応した特有の振動数を有する光成分が、多数含まれた状態となっている。このラマン散乱光Rを分光分析すれば、メタンmが海中に存在するか否かを検出することができる。
【0042】
ラマン散乱光Rのうちの一部は、凸レンズ43aから光ファイバー43内へと導入され、再び探査船10C側へと進んでいく。そして探査船10C上で、ダイクロイックミラー42によって分光器44へと導入され、ここで分光される。分光されたラマン散乱光Rは検出器45へと導入されて、ここでメタンmが存在するか否かを検出される。すなわち、メタンmに対応する光成分が検出されれば、その下の海底地盤G内に存在するハイドレート層Hが探査されることとなる。
【0043】
本実施形態に係るガスハイドレート探査システムにおいては、ラマン分光分析装置40を用いてラマン散乱光Rを分光分析することによって、すなわち化学的な成分分析によってメタンmを検出して、ハイドレート層Hを探査するようにしているので、ハイドレート層Hの存在をより確実に探査することができる。
また、こうしたガスハイドレート探査システムを用いた探査方法を、上記各実施形態において述べた弾性波を用いた探査の後に実施すれば、物理的根拠及び化学的根拠の双方によって、ハイドレート層Hの存在を裏付けることができる。
【0044】
更に、光ファイバー43を用いて、海底近傍位置のメタンmにレーザー光Rを照射するとともにラマン散乱光Rを分光器44へと導入するようにしているので、レーザー発振器41、分光器44及び検出器45といった、ラマン分光分析装置40の主たる構成要素を探査船10C内に設けることができる。そのため、精密な機器類と海水との接触を避けることができ、メンテナンスを容易にすることができると共に、ラマン分光分析装置40の信頼性、耐久性を向上させることができる。
【0045】
なお、海底地形の起伏が激しい場合などにおいては、レーザー発振器、分光器、検出器といった、ラマン分光分析装置の主たる構成要素を、無人の小型潜水艇などに搭載し、海中を潜行しながら探査するようにしてもよい。この場合には、光ファイバーは必須の構成要素ではない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るガスハイドレート探査システム及び探査方法においては、上記の如き構成を採用しているので、水底に存在するガスハイドレートの探査精度及び探査効率を向上させることのできる、ガスハイドレート探査システム及び探査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガスハイドレート探査システムの第1参考実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 本発明に係るガスハイドレート探査システムの第2参考実施形態を示す概略構成図である。
【図3】 本発明に係るガスハイドレート探査システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】 図3において示した探査用リグの変形例を示す概略構成図である。
【図5】 本発明に係るガスハイドレート探査システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図6】 ラマン分光分析装置を示す概略構成図である。
【図7】 図6における一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【符号の説明】
10A、10B、10C 探査船
11a、11b 発受信機(発信機、受信機)
12a、12b 自己位置認識装置
20A、20B 潜水艇
21a、21b 発受信機(発信機、受信機)
30、30A 探査用リグ
36 推進装置
37 フロート
40 ラマン分光分析装置
41 レーザー発振器
42 ダイクロイックミラー
43 光ファイバー
44 分光器
45 検出器
l、l1、l2 弾性波(探査信号)
m メタン(メタンガス)
G 海底地盤(水底の地盤)
H ハイドレート層(ガスハイドレート)
L レーザー光
R ラマン散乱光
S 人工衛星
Claims (6)
- 水底の地盤内に存在するガスハイドレートを探査するためのシステムであって、
水上側から水底方向に向かって弾性波を発信する発信機と、
前記水底の地盤上に設置され、遠隔制御によって該水底の地盤を加震する加震部を有する探査用リグと、
水底方向から反射してくる前記弾性波、又は前記加震部によって加震された前記水底の地盤から水中に伝播された弾性波を水上側で受信する受信機と、
前記発信機又は前記受信機のうちの少なくとも一方と一体となって水上を移動し、人工衛星からの信号により自己位置を認識する自己位置認識装置と、
を備えたことを特徴とするガスハイドレート探査システム。 - 前記発信機と前記自己位置認識装置とを有する少なくとも一隻の探査船と、
前記受信機と前記自己位置認識装置とを有する少なくとも一隻の探査船と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート探査システム。 - 前記水底を探査し、探査した情報を前記探査船に送信する潜水艇を備えたことを特徴とする請求項2に記載のガスハイドレート探査システム。
- 前記探査用リグが、水中を移動するための推進装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート探査システム。
- 前記ガスハイドレート中のメタンに照射するためのレーザー光を発振するレーザー発振器と、
前記メタンからのラマン散乱光を分光する分光器と、
該分光器で分光された前記ラマン散乱光を分析して前記メタンを検出する検出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項にガスハイドレート探査システム。 - 前記レーザー発振器、前記分光器及び前記検出器とを探査船に備えるとともに、
該探査船から前記水底の近傍位置まで垂下された光ファイバーを用いて、前記メタンに前記レーザー光を照射するとともに前記ラマン散乱光を前記分光器へと導入することを特徴とする請求項5に記載のガスハイドレート探査システム。
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