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JP4597423B2 - 位置補正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、GPSを利用した位置検出装置に用いられる位置補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両に搭載されるGPSを利用した位置検出装置としては、特開平8−68651号公報に示すようなものが知られている。この位置検出装置は、GPSの各衛星と自車両との距離の誤差により発生する測位位置のばらつきを、測位位置の平均化を行わずになくす位置補正装置を備えている。つまり、位置補正装置によって、最後に算出した自車両の速度と方位から予測する推定位置と実際の測定位置との加重平均を行い、次の測定タイミングにおける補正された現在位置を求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の位置補正装置においては、GPSの誤差から発生する測定位置のばらつきを減少させることはできるものの、この補正装置を用いた位置検出装置の出力する位置情報には、必ずGPSの測位遅延時間に起因する真の車両の位置とのずれの発生が避けられないという問題があった。すなわち、位置検出装置の出力する位置情報は、測位遅延時間分だけ過去のものとなり、実際にはその時間分だけ車両は移動しているので、位置情報を得られた時点で真の車両の位置とはずれが生じてしまうのである。
特に、従来の位置補正装置は測位遅延時間の誤差を補正しないため、従来の位置補正装置を利用した位置検出装置では、測位遅延時間の誤差を含んだまま位置情報の表示を行っている。
しかし、実際には測定条件によって測位遅延時間は大きく変動するため、地図上の表示には問題にならないような誤差も、以下のような場合では問題となっていた。例えば、従来の位置補正装置を利用した位置検出装置を、車車間通信等を用いて相互に位置情報を交換し、周辺の車両の状況を運転者に知らせるとか、周辺の車両の状況により車両制御を行うとかいうような用途に利用する場合、互いの車両の位置検出装置の誤差が加算される形になるので、誤差が大き過ぎて、正確な互いの車両位置を特定できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、GPSを利用した位置検出装置が算出する位置情報の測位遅延時間を、測位遅延時間の変化に追従してリアルタイムで求め、位置情報を適正に補正する位置補正装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、GPS(Global Positioning System)の測位に基づいて推定される推定車両速度と車速センサが測定した実車両速度とから、車両の位置情報を補正する位置補正装置であって、加速度センサから車両の加速度に関する情報を取得して、加速度を求める加速度計算手段と、該加速度計算手段により求められた加速度が所定値以上となり時間差の算出に誤差が含まれる可能性が大きいか否かを判定する加速度判定手段と、該加速度判定手段により加速度が所定値以上であると判定された場合に、時間とともに変化する推定車両速度と実車両速度とを比較し、両者の時間方向のずれから、GPSの測位遅延時間を算出する測位遅延算出手段(例えば実施の形態のステップS8)と、測位遅延算出手段が算出した測位遅延時間に従って、位置情報を補正する位置情報補正手段(例えば実施の形態のS12〜S13)とを設けたことを特徴とする。
以上の構成により、GPSの測位により求まる推定車両速度と車速センサで測定した実際の車両速度の時間変化のずれから、GPSの測位遅延時間をリアルタイムで正確に求めることが可能となる。従って、測位遅延時間分だけ車両が移動する距離を推定して、GPSの測位から求まる推定車両位置を補正することで、より正確な車両位置を推定することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、図2を用いて、本実施の形態の位置補正装置を利用した位置検出装置について簡単に説明する。図2は、本実施の形態の位置補正装置が補正した位置情報を、自車両の運転者に通知する位置検出装置の構成を示す図である。
図2において、符号1は、位置検出装置を制御するCPU(中央演算装置)を備えた演算部であって、本実施の形態の位置補正装置を含み、GPS2や無線通信装置3、更には車両搭載センサ類4、車両の傾きを検出するヨーレートセンサ5等から得られた自車両の走行状態と周辺の交通状況を、本実施の形態の位置補正装置によって補正した自車両の位置情報とともに表示して運転者に通知する。
【0007】
更に、個々の構成要素を説明すると、GPS2は、GPSアンテナ21で受信したGPSの電波から取得した信号を、FMアンテナ22で受信した情報によって補正して演算部1へ出力するGPS受信機である。
無線通信装置3は、車車間・路車間通信アンテナ31を用いて、自車両の周辺の他車両と、互いの走行状態をデータとして送受信する。なお、送信においては、演算部1に含まれる本実施の形態の位置補正装置によって補正した自車両の位置情報を、他車両に対して送信する。一方、受信された他車両の走行状態は、周辺状況の判断材料とされるとともに、演算部1を介して運転者へ通知される。
【0008】
また、車両搭載センサ類4は、自車両の周囲の状態を検出するレーダ装置、赤外線センサ、及び超音波センサや、自車両の動作状態を検出する速度センサ、加速度センサ、ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ、ステアリングの操舵量を検出する操舵センサ、車両搭載の変速機のシフト位置を検出するシフト位置センサ、車両のスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ等のセンサ類を含んでいる。更に、ターンシグナルを表示するためのウィンカ(方向指示スイッチ)のように運転者が操作するスイッチの状態から運転者による自車両の制御状態を取得する手段や、カメラ等を用いて検知した運転者の視線から運転者の意志や運転者が注意を向けている方向を取得する手段を含むものとする。演算部1は、これらの車両搭載センサ類4から、自車両の速度や加速度、停止、右左折等の走行状態や自車両の運転者の意志を示す情報を取得する。
【0009】
また、演算部1は、GPS2が出力する位置情報を基に、地図データベース6を検索して自車両が現在走行している交差点等の道路情報を取得する。
また、演算部1には、得られた自車両の走行状態と周辺の交通状況を、地図情報を基にした自車両の位置情報とともに表示するための表示手段が接続されている。表示手段には、Display7として、例えば自車両のコンソールに設置されるNAVIDisplayやフロントウィンドウの運転者の前方視界を妨げない位置に情報を表示するHUD(Head Up Display )、更には自車両の走行状態を数字で表すメータと一体化されたメータ一体Display等の画像表示手段が含まれる。また、音声出力手段として、Audio処理部8とスピーカ9等も含まれ、画像表示や音声出力で効果的に運転者に対して情報を通知する。
【0010】
次に、図1を用いて、本実施の形態の位置補正装置を利用した位置検出装置の演算部1における位置補正の機能ブロックを説明する。
図1において、距離・速度計算部11は、車両搭載センサ類4に含まれる車速センサから得た情報により、車両の移動距離と走行速度を計算する。角度計算部12は、ヨーレートセンサ5から得られた情報により車両の傾きを示す角度を計算する。
また、相対位置計算部13は、距離・速度計算部11が計算した移動距離と走行速度、及び角度計算部12が計算した車両の傾きを示す角度より、移動前の位置からの相対位置を計算する。
求められた相対位置は、相対位置の積み重ねによって、道路データを基準とした絶対位置を計算する自立航法絶対位置計算部14へ入力され、GPSの測位によらない絶対位置が求められる。
【0011】
また、GPS評価部15では、自己精度評価関数によりGPS2から受信した信号の測位状態を自己評価し、評価結果を算出する。自己精度評価関数に入力する評価項目は、測位誤差推定標準偏差の長軸半径値、およびその平均値、測位誤差推定標準偏差の短軸半径値、およびその平均値、連続測位時間サンプル数、測位ステータス、補正衛星数 測位開始からの時間、標高変化、方位変化、GPS位置変更後のマップマッチング回数、GPS位置変更後の走行時間等である。
また、GPS評価部15からGPSデータの評価結果を受け取った先投げ計算部16では、GPS評価部15で評価された推定車両速度の時間変化を示す特性と、車両搭載センサ類4に含まれる車速センサから得た情報により求めた車両速度の時間変化を示す特性とを比較し、両者の時間方向のずれからGPS評価部15における測位遅延時間を求める。また、先投げ計算部16は、求められた測位遅延時間を用いて、測位座標から求まる位置情報を所定の式により補正して現在車両位置を予測して求める。なお、先投げ計算部16の現在車両位置の予測方法の詳細は後述する。
【0012】
更に、上述の自立航法絶対位置計算部14で求められた絶対位置、及びGPS評価部15で評価された各評価値、更に先投げ計算部16で計算された現在車両位置は、地図ベース位置更新処理部17へ入力される。
地図ベース位置更新処理部17では、更新される前の情報を用いて、地図データベース6に記録された地図情報から道路上の位置を特定するマップマッチング計算部18のデータと、上述のGPS評価部15で評価された各評価値及び先投げ計算部16で計算された現在車両位置とを基に、自立航法絶対位置計算部14が出力する道路データを基準とした絶対位置から求まる表示位置を更新し、Display7へ出力する。
【0013】
一方、上述の相対位置計算部13で求められた移動前の位置からの相対位置、及び先投げ計算部16で計算された現在車両位置、更にマップマッチング計算部18が求めた道路上の位置を示す情報は、現在位置更新処理部19へ入力される。現在位置更新処理部19では、これらの情報を基に、道路データを基準としない現在位置の絶対位置を更新する。
【0014】
次に、先投げ計算部16の測位遅延時間の求め方と、求められた測位遅延時間を用いた位置情報の補正方法について、更に図面を用いて詳細に説明する。
図3は、先投げ計算部16における測定遅延時間の求め方を示した概念図である。図3に示すように、先投げ計算部16では、GPS評価部15で評価された推定車両速度の時間変化を示す特性(グラフ1)と、車両搭載センサ類4に含まれる車速センサから得た情報により求めた車両速度の時間変化を示す特性(グラフ2)とを比較し、両者の時間方向のずれからGPS評価部15における測位遅延時間を求める。なお、両者の時間方向のずれを求める場合、上述のグラフ1とグラフ2において、時間の変化に対する速度の変化が大きい部分(グラフの傾きが大きい部分:図3に示した算出範囲)同士を比較することとし、時間の変化に対する速度の変化が小さい部分(グラフの傾きが小さい部分:図3に示した非算出範囲)では、時間差の算出に誤差が含まれる可能性が大きいので、グラフの比較は行わないものとする。
【0015】
また、図4は、先投げ計算部16における位置情報の補正の様子を示した概念図である。
図4に示すように、現在測位位置50に対して、速度と加速度のみから求まる補正位置51は、現在測位位置で測定された進行方向を距離(Lt−Lt-1)だけ伸ばした位置にある。この補正位置は、一次元での考察として
【数1】
Figure 0004597423
によって、補正距離(Lt−Lt-1)として求まる。
また、図4に示すように、現在測位位置50に対して、速度と加速度と角速度から求まる補正位置52は、現在測位位置で測定された進行方向に対して角度(θt−θt-1)だけずれた位置にある。この補正位置は、二次元での考察として
【数2】
Figure 0004597423
によって、推定現在位置Stと推定方位θtとして求まる。
【0016】
次に、図5のフローチャートを用いて、本実施の形態の位置補正装置の動作について説明する。
図5は、演算部1における位置補正の処理の流れを示すフローチャートである。GPSの出力する位置情報の補正を行うか否かは、GPSの自己精度評価関数により求めた自己評価状態により決定する。GPSの測位状態が安定している場合、自己精度評価関数の評価値は小さな値を示す。
以下、補正手順を示す。まず、予め決められた所定の値を補正値として代入する(ステップS1)。
次に、GPS評価部15により、GPSの受信状態の監視を行い(ステップS2)、GPSの受信状態に変化があるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3において、GPSの受信状態に変化があった場合(ステップS3のYES)、自己精度評価関数を用いて自己評価を行い、GPSの測位状態を評価する(ステップS4)。
【0017】
また、ステップS3において、GPSの受信状態に変化がない場合(ステップS3のNO)、ステップS2へ戻り、GPS評価部15により、GPSの受信状態の監視を続ける。
ステップS4において自己評価値が求まったら、GPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態であるか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5において、自己評価値から、GPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態であると判定された場合(ステップS5のYES)、車両搭載センサ類4に含まれる加速度センサから加速度に関する情報を取得して、車両の加速度を求める(ステップS6)。
また、ステップS5において、自己評価値から、GPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態でないと判定された場合(ステップS5のNO)、ステップS2へ戻り、GPS評価部15により、GPSの受信状態の監視を続ける。
【0018】
次に、ステップS6において求められた加速度が、所定の値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。
ステップS7において、求められた加速度が所定の値以上であった場合(ステップS7のYES)、図3で示した方法により、GPS評価部15で評価された推定車両速度の時間変化を示す特性(グラフ1)と、車両搭載センサ類4に含まれる車速センサから得た情報により求めた車両速度の時間変化を示す特性(グラフ2)とを比較し、両者の時間方向のずれからGPS評価部15における測位遅延時間を求める(ステップS8)。
また、ステップS7において、求められた加速度が所定の値未満であった場合(ステップS7のNO)、ステップS6へ戻り、加速度を測定し続ける。
【0019】
次に、ステップS8において測位遅延時間が求まったら、再度、自己精度評価関数を用いてGPSの自己評価を行う。そして、自己評価値によりGPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態であるか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS9において、自己評価値から、GPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態であると判定された場合(ステップS9のYES)、ステップS8において求められた最新の測位遅延時間を、それ以前に求められた所定の数の測位遅延時間の総和に加算して全データ数で割ることにより、測位遅延時間の移動平均を求める(ステップS10)。
また、ステップS9において、自己評価値から、GPSの測位状態が位置補正を行っても良い状態でないと判定された場合(ステップS9のNO)、ステップS2へ戻り、GPS評価部15により、GPSの受信状態の監視を続ける。
【0020】
そして、ステップS10における測位遅延時間の移動平均値のサンプル数が、所定の個数以上になったか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において、測位遅延時間の移動平均値のサンプル数が、所定の個数以上になっていた場合(ステップS11のYES)、図4に示した位置補正式へ、求められた測位遅延時間を補正値として代入し(ステップS12)、GPS2の測位座標から求まる位置情報を補正して現在位置情報を求める(ステップS13)。
【0021】
なお、上述の実施の形態においては、地図ベース位置更新処理部17が、先投げ計算部16で計算された現在車両位置を基に、自立航法絶対位置計算部14が出力する道路データを基準とした絶対位置から求まる表示位置を更新していたが、表示上では正確な絶対位置と現在道路位置が一致しない場合があるので、表示上違和感がないように、先投げ計算部16で計算された現在車両位置を用いずに、表示用に用いる地図に従った、地図ベースの位置情報を別に算出するようにしても良い。
このように、例えば周辺車両との位置比較等の車両の制御用に求める位置情報と、運転者等へ表示する位置情報とを区別することにより、地図データベースの誤差に関係なく違和感のない表示を行うことが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1に記載の発明によれば、GPSの受信状態によって変化するGPSの測位遅延時間を、GPSの測位に基づいて推定される車両速度の時間変化を示す特性と、車速センサが測定した実車両速度の時間変化を示す特性との時間方向のずれから、リアルタイムで正確に求めることができるようになる。
従って、いつでも本発明の位置補正装置は、測位遅延時間分だけ車両が移動する距離を推定して、GPSの測位から求まる推定車両位置を補正し、より正確な車両位置を推定することができる。
そのため、本発明の位置補正装置を利用して求めた車両の位置情報を、車車間通信等を用いて相互に位置情報を交換し、周辺の車両の状況を運転者に知らせるとか、周辺の車両の状況により車両制御を行うとかいうような用途に利用した場合、自車両が正確な周辺車両との位置を認識できるようになり、より正確かつ安全に交通制御を行うことが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の位置補正装置の機能ブロック図である。
【図2】 同実施の形態の位置補正装置を利用した位置検出装置の構成を示す図である。
【図3】 同実施の形態の位置補正装置の先投げ計算部16における測定遅延時間の求め方を示した概念図である。
【図4】 同実施の形態の位置補正装置の先投げ計算部16における位置情報の補正の様子を示した概念図である。
【図5】 同実施の形態の位置補正装置を含む演算部1における位置補正の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 演算部
2 GPS
4 車両搭載センサ類
5 ヨーレートセンサ
11 距離・速度計算部
12 角度計算部
13 相対位置計算部
14 自立航法絶対位置計算部
15 GPS評価部
16 先投げ計算部
17 地図ベース位置更新処理部
18 マップマッチング計算部
19 現在位置更新処理部
S8 測位遅延算出手段
S12〜S13 位置情報補正手段

Claims (1)

  1. GPS(Global Positioning System )の測位に基づいて推定される推定車両速度と車速センサが測定した実車両速度とから、車両の位置情報を補正する位置補正装置であって、
    加速度センサから車両の加速度に関する情報を取得して、加速度を求める加速度計算手段と、
    該加速度計算手段により求められた加速度が所定値以上となり時間差の算出に誤差が含まれる可能性が大きいか否かを判定する加速度判定手段と、
    該加速度判定手段により加速度が所定値以上であると判定された場合に、時間とともに変化する前記推定車両速度と前記実車両速度とを比較し、両者の時間方向のずれから、前記GPSの測位遅延時間を算出する測位遅延算出手段と、
    前記測位遅延算出手段が算出した測位遅延時間に従って、前記位置情報を補正する位置情報補正手段と、
    を設けたことを特徴とする位置補正装置。
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