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JP4596140B2 - 記録装置、縁なし記録制御方法、縁なし記録制御プログラム - Google Patents

記録装置、縁なし記録制御方法、縁なし記録制御プログラム Download PDF

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JP4596140B2 JP2005052942A JP2005052942A JP4596140B2 JP 4596140 B2 JP4596140 B2 JP 4596140B2 JP 2005052942 A JP2005052942 A JP 2005052942A JP 2005052942 A JP2005052942 A JP 2005052942A JP 4596140 B2 JP4596140 B2 JP 4596140B2
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Description

本発明は、インクジェット式記録装置等の記録装置において、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録制御に関する。
いわゆる縁なし記録(印刷)と呼ばれる被記録材の記録面全面に余白無く記録を実行する記録方法が公知である。例えば、写真専用紙等にデジタルカメラで撮影したデジタル画像を写真専用紙の記録面全面に記録(印刷)すれば、四辺に余白を設けた場合より大きな画像サイズのデジタル写真を得られる。いわゆる銀塩写真は、縁ありプリントと縁なしプリントとをユーザが好みで選択できるが、それと同じことがデジタル写真においても可能となる。
このような縁なし記録(印刷)においては、被記録材のサイズと全く同じサイズの画像展開領域にデジタル画像データを展開して記録を実行すると、被記録材の搬送誤差や傾き等によって記録面の一部に余白が生じてしまう。そのため、被記録材のサイズより僅かに大きい画像展開領域にデジタル画像データを展開して記録を実行する必要がある。すなわち、デジタル画像の一部は、被記録材の外側に記録が実行されて捨てられてしまうことになる。したがって、この被記録材の外側へのデジタル画像のはみ出し量は、少なければ少ないほど理想的な縁なし記録に近づいていく反面、記録面の一部に余白が生じる虞が高くなることになる。
この縁なし記録実行時のデジタル画像のはみ出し量は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置と記録装置とが接続されていれば、パーソナルコンピュータ側のプリンタドライバやフォトレタッチアプリケーション等で、縁なし記録実行時のデジタル画像のはみ出し量をユーザが任意に調整することが可能である。例えば、被写体の一部が途切れた状態とならないように、縁なし記録のはみ出し量をデジタル画像ごとにデジタル画像の内容に応じて調整することができる。
ところが、DSC(デジタル・スチル・カメラ)等のデジタル画像処理装置を記録装置に直接接続して、DSCから送信されるデジタル画像ファイルに基づいて被記録材への記録を実行したり、記録装置のメモリカードスロットからメモリカード内のデジタル画像ファイルを直接読み込んで被記録材への記録を実行したりする用途が増えつつある。この場合、DSCや記録装置において上記のプリンタドライバやフォトレタッチアプリケーションと同等の機能を実現するとなると大幅なコスト増となり現実的ではない。そのため、一般的な記録装置においては、DSC等のデジタル画像処理装置を接続した状態、或いは記録装置単体での記録実行時には、記録装置内部に記憶されている固定値(レイアウト情報)で一定のはみ出し量での縁なし記録しか実行できない。したがって、DSC等のデジタル画像処理装置を接続した状態、或いは記録装置単体での記録実行時には、縁なし記録のはみ出し量をデジタル画像ごとにデジタル画像の内容に応じて調整することができない。
このような課題を解決可能な従来技術の一例としては、パーソナルコンピュータ上で作成した印刷条件設定スクリプトに基づいて記録を実行可能な記録装置が公知である。予めパーソナルコンピュータ上で作成した印刷条件設定スクリプトを不揮発性メモリカード等の記憶媒体に保存しておく。そして、DSC等のデジタル画像処理装置を接続した状態、或いは記録装置単体での記録実行時には、その印刷条件設定スクリプトを記録装置へ読み込ませ、その印刷条件設定スクリプトに基づいて記録を実行する。それによって、パーソナルコンピュータにおける高度で詳細な印刷条件設定が、DSC等のデジタル画像処理装置を接続した状態、或いは記録装置単体での記録実行時においても可能となる(例えば、特許文献1を参照)。
特開2002−254758号公報
しかしながら、上記従来技術においては、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で印刷条件設定スクリプトを予め作成しなければならない。したがって、スクリプトエディタプログラムが実装されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置が必須となるが、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置があるならば、スクリプトエディタプログラムで印刷条件設定スクリプトを作成するより、デジタル画像ファイルをパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に読み込ませて縁なし記録を実行するほうがユーザの手間も格段に少なく現実的である。
また、記録装置内部に記憶されている固定値(レイアウト情報)は、その記録装置における記録実行精度の誤差の最大値に合わせて一律の設定値に設定されているのが通常であり、記録装置個々に調整可能な構成になっていなかった。そのため、DSC等のデジタル画像処理装置を接続した状態、或いは記録装置単体での記録実行時には、充分すぎるほど大きなはみ出し量で縁なし記録が実行され、デジタル画像の被写体の一部が途切れてしまう場合もあった。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、縁なし記録実行時のはみ出し量を任意に調整可能な記録装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、縁なし記録実行時のはみ出し量を自動調整可能な記録装置を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材への記録を実行する記録実行手段と、該記録実行手段を制御する記録制御装置とを備えた記録装置であって、前記記録制御装置は、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録を実行する際には、レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定し、任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定し、前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更し、前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録制御を実行する、ことを特徴とした記録装置である。
ここで、レイアウト情報とは、被記録材への記録実行時の画像展開領域(大きさ、位置)及び被記録材領域(大きさ、位置)を固定的に規定する情報である。画像展開領域は、記録対象のデジタル画像データが展開されて記録が実行される領域である。縁あり記録の場合、画像展開領域は、被記録材領域より小さい領域で被記録材の内側に設定される。それによって、被記録材の記録面には、デジタル画像の外側に余白が形成される。一方、縁なし記録の場合、画像展開領域は、被記録材領域より大きい領域で被記録材の外側にはみ出すように設定される。それによって、被記録材の記録面には、デジタル画像が余白無く形成される。ここでのレイアウト情報は、記録制御装置内の不揮発性メモリ等に記憶されて記録装置内に保持されているレイアウト情報、デジタル画像データとともにDSC等のデジタル画像処理装置やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から送信されるレイアウト情報の双方を含む。
本発明の第1の態様における記録装置の記録制御装置は、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録を実行する際には、上記のレイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域のほかに、可変はみ出し領域を設定する。可変はみ出し領域は、任意に設定可能なはみ出し量でレイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた領域として設定される。そして、レイアウト情報に基づく画像展開領域が可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、可変はみ出し領域に包含されるように画像展開領域を変更する。すなわち、レイアウト情報に基づく被記録材領域に対するレイアウト情報に基づく画像展開領域のはみ出し量が、可変はみ出し領域のはみ出し量(任意に設定可能なはみ出し量)以下となるように画像展開領域を変更する。それによって、レイアウト情報に基づく画像展開領域の範囲内で、被記録材領域に対する画像展開領域のはみ出し量を任意に設定することができる。
これにより、本発明の第1の態様に記載の記録装置によれば、レイアウト情報に基づく画像展開領域の範囲内で、被記録材領域に対する画像展開領域のはみ出し量を任意に設定することができるので、縁なし記録実行時のはみ出し量を任意に調整することができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、設定された前記はみ出し量をユーザが任意に変更可能に構成されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、ユーザが任意に縁なし記録のはみ出し量を設定することができるので、例えば、被写体の一部が途切れた状態とならないように、縁なし記録のはみ出し量をデジタル画像ごとにデジタル画像の内容に応じてユーザが任意に調整して縁なし記録を実行することができる。
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様において、前記記録制御装置は、前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように、変更前と相似形に前記画像展開領域を縮小して変更する、ことを特徴とした記録装置である。
このように、画像展開領域を相似形に縮小して変更することによって、デジタル画像の縦横比をほとんど変更せずに縁なし記録のはみ出し量を任意に調整することができる。
本発明の第4の態様は、前述した第1の態様〜前述した第3の態様のいずれかにおいて、記録実行中における実際の被記録材領域を検出する被記録材検出手段を有し、前記記録制御装置は、前記被記録材検出手段により検出した被記録材領域と前記レイアウト情報に基づく被記録材領域との差に基づいて前記はみ出し量を算出して設定する、ことを特徴とした記録装置である。
前述したように、縁なし記録(印刷)においては、被記録材のサイズと全く同じサイズの画像展開領域にデジタル画像データを展開して記録を実行すると、被記録材の搬送誤差や傾き等によって記録面の一部に余白が生じてしまう。そのため、被記録材のサイズより僅かに大きい画像展開領域にデジタル画像データを展開して記録を実行する。すなわち、被記録材の搬送誤差や傾き等によって、記録実行中における実際の被記録材領域とレイアウト情報に基づく被記録材領域とにずれが生じるので、レイアウト情報に基づく被記録材領域より広い画像展開領域を設定して記録を実行することで、縁なし記録実行時に余白が生じないようにしている。
そこで、被記録材検出手段を設けて記録実行中における実際の被記録材領域を検出し、レイアウト情報に基づく被記録材領域と記録実行中における実際の被記録材領域との差に基づいて、可変はみ出し領域を設定する際のはみ出し量を算出して設定する。そして、レイアウト情報に基づく被記録材領域と記録実行中における実際の被記録材領域との差が大きければ、すなわち被記録材の搬送誤差や傾き等が大きければ、はみ出し量を大きく設定し、その差が小さければ、すなわち被記録材の搬送誤差や傾き等が小さければ、はみ出し量を小さく設定する。それによって、記録装置の個体ごとのばらつきや被記録材の特性の違い等に起因するばらつき等に柔軟に対応して、縁なし記録実行時におけるはみ出し量を、余白が生じない範囲で最小限となるように自動調整することができるという作用効果が得られる。
本発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、前記記録制御装置は、被記録材への縁なし記録を実行する度に被記録材への縁なし記録完了後、前記はみ出し量を算出して設定を更新する、ことを特徴とした記録装置である。
このように、可変はみ出し領域を設定する際のはみ出し量を、被記録材への縁なし記録を実行する度に算出して設定を更新することによって、経年変化に伴う被記録材の搬送精度の低下等にも柔軟に追従して、縁なし記録実行時におけるはみ出し量を余白が生じない範囲で最小限となるように自動調整することができる。
本発明の第6の態様は、前述した第5の態様において、前記記録制御装置は、被記録材の規格サイズ及び種別ごとに前記はみ出し量を算出して設定する、ことを特徴とした記録装置である。
このように、可変はみ出し領域を設定する際のはみ出し量を、被記録材の規格サイズ及び種別ごとに算出して設定することによって、被記録材の規格サイズ及び種別ごとに最適なはみ出し量で縁なし記録を実行することができる。
本発明の第7の態様は、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録制御方法であって、レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定する工程と、任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定する工程と、前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更する工程と、前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録を実行する工程とを有する、ことを特徴とした縁なし記録制御方法である。
本発明の第7の態様に記載の縁なし記録制御方法によれば、前述した第1の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第8の態様は、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録制御をコンピュータに実行させるための縁なし記録制御プログラムであって、レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定する手順と、任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定する手順と、前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更する手順と、前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録を実行する手順とを有する、ことを特徴とした縁なし記録制御プログラムである。
本発明の第8の態様に記載の縁なし記録制御プログラムによれば、この縁なし記録制御プログラムを実行可能な任意の記録装置に、前述した第1の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の要部平面図であり、図2はその側面図である。図3は、本発明に係るインクジェット式記録装置と「情報処理装置」とで構成される記録システムの概略のブロック図である。
インクジェット式記録装置50には、「被記録材」としての記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62を記録紙Pに対して主走査方向Xに走査させる「主走査駆動手段」として、主走査方向Xに移動可能にキャリッジガイド軸51に軸支されたキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61には、記録ヘッド62と後述するPWセンサ34とが搭載されており、CRモータ63(図3)の回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて主走査方向Xに往復動する。記録ヘッド62のヘッド面と対向する位置には、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pとのギャップを規定するプラテン52が設けられている。
キャリッジ61の主走査方向Xへの往復動領域の一端側の外側には、公知のキャッピング装置59が設けられている。記録を実行しない待機状態においては、キャリッジ61がキャッピング装置59の上まで移動して停止し、キャッピング装置59に配設されているキャップCPによって記録ヘッド62のヘッド面が封止される。このキャリッジ61の停止位置は、ホームポジションHPとして規定される。
また、インクジェット式記録装置50には、記録ヘッド62を記録紙Pに対して副走査方向Yに走査させる「副走査駆動手段」として、記録紙Pを副走査方向Yに搬送する搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54が設けられている。搬送駆動ローラ53は、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、搬送駆動ローラ53の回転により、記録紙Pは副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送駆動ローラ53に付勢され、記録紙Pが搬送駆動ローラ53の回転により搬送される際に、記録紙Pに接しながら記録紙Pの搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ53の外周面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ54によって、搬送駆動ローラ53の外周面に押しつけられた記録紙Pは、その外周面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の外周面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向に搬送される。インクジェット記録装置50の「記録実行手段」は、上述した「主走査駆動手段」と「副走査駆動手段」とで構成され、キャリッジ61とプラテン52の間に記録紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド62を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド62から記録紙Pにインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録紙Pに記録が行われる。
搬送駆動ローラ53の副走査方向Yの上流側には、多数の記録紙Pを積重可能な「被記録材積重手段」としての給紙トレイ57が配設されている。給紙トレイ57は、例えば普通紙やフォト紙等の記録紙Pを給紙(給送)可能な構成となっている。給紙トレイ57の近傍には、給紙トレイ57に積重されている記録紙Pの最上位の記録紙Pを「記録実行手段」へ自動給送する「自動給送手段」としてのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレイ57に設けられた給紙ローラ57b及び図示してない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ57bは、給紙トレイ57の一方側に配置されている。記録紙ガイド57aは、記録紙Pの幅に合わせて幅方向に摺動可能に給紙トレイ57に設けられている。そして、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する給紙ローラ57bの回転駆動力と、分離パッドの摩擦抵抗により、給紙トレイ57に置かれた記録紙Pを給紙する際に、複数の記録紙Pが一度に給紙されることなく最上位の記録紙Pのみが正確に分離されて一枚ずつ自動給紙されるように構成されている。給紙ローラ57bと搬送駆動ローラ53との間には、公知の技術による紙検出器33が配設されている。
一方、記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、「排出駆動ローラ」としての排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56とが設けられている。排紙駆動ローラ55は、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、排紙駆動ローラ55の回転により、記録実行後の記録紙Pは副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖った歯付きローラになっている。複数の排紙従動ローラ56は、それぞれ個々に排紙駆動ローラ55に付勢され、記録紙Pが排紙駆動ローラ55の回転により排紙される際に記録紙Pに接して記録紙Pの排紙に従動して回転する。
そして、給紙ローラ57bや搬送駆動ローラ53、及び排紙駆動ローラ55を回転駆動するPFモータ58(図3)、並びにキャリッジ61を主走査方向に駆動するCRモータ63(図3)は、後述する記録制御部100により駆動制御される。また、記録ヘッド62も同様に、記録制御部100により駆動制御されて記録紙Pの表面にインクを噴射する。インクジェット式記録装置50は、記録制御部100によって、キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながら記録ヘッド62から記録紙Pへインクを噴射する動作と、記録紙Pを副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Pへの記録が実行される。
引き続き図1〜図3を参照しながらインクジェット式記録装置50と「情報処理装置」とで構成される記録システム10、並びに「記録制御装置」としての記録制御部100について説明する。
記録制御部100は、ROM101、RAM102、ASIC(特定用途向け集積回路)103、MPU104、「不揮発性記憶媒体」としての不揮発性メモリ105、PFモータドライバ106、CRモータドライバ107及びヘッドドライバ108を備えている。MPU104には、ASIC103を介して搬送駆動ローラ53の回転量を検出する「回転量検出手段」としてのロータリエンコーダ31、キャリッジ61の移動量を検出する「キャリッジ移動量検出手段」としてのリニアエンコーダ32、搬送される記録紙Pの先端及び後端を検出する紙検出器33、主走査方向Xの記録紙Pの端部を検出するためのPWセンサ34、インクジェット式記録装置50の電源をON/OFFするための電源スイッチ35、「記録実行手段」による記録紙Pへの記録開始操作をするための記録操作スイッチ36、及び「設定入力手段」としての操作パネル39の出力信号が入力される。
公知のロータリエンコーダ31は、搬送駆動ローラ53の回転に連動して回転するロータリスケール311と、ロータリスケール311の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ312とを有している(図2)。搬送駆動ローラ53の回転に伴い変化するロータリスケールセンサ312の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
公知のリニアエンコーダ32は、キャリッジ61の近傍に主走査方向Xと略平行に配置されたリニアスケール321と、キャリッジ61に搭載されたリニアスケール321に等間隔に形成されているスリットを検出するリニアスケールセンサ322とを有している(図2)。キャリッジ61の主走査方向Xの移動量に応じたパルスの周期が移動速度に伴い変化するリニアスケールセンサ322の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
公知の紙検出器33は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)にのみ回動し得るよう記録紙Pの搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバーを有し、このレバーの先端が記録紙Pに押されることでレバーが回動し、それによって記録紙Pが検出される構成を成す検出器である(図2)。紙検出器33は、給紙ローラ57bより給紙された記録紙Pの始端位置及び終端位置を検出し、その検出信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。PWセンサ34は、非接触の光学式センサで構成されており、記録紙Pの主走査方向Xの端部位置(記録紙Pの側端位置)を検出し、その検出信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。紙検出器33及びPWセンサ34の出力信号に基づいて記録紙Pの搬送位置や記録紙Pのサイズ等がMPU104において演算される。
記録制御部100のシステムバスには、ROM101、RAM102、ASIC103、MPU104及び不揮発性メモリ105が接続されている。MPU104は、インクジェット式記録装置50の記録制御を実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。ROM101には、MPU104によるインクジェット式記録装置50の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納されており、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等は不揮発性メモリ105に記憶されている。RAM102は、MPU104の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。
ASIC103は、DCモータであるPFモータ58及びCRモータ63の速度制御、並びに記録ヘッド62の駆動制御を行う為の制御回路を有している。MPU104から送られてくる制御命令、ロータリエンコーダ31の出力信号、及びリニアエンコーダ32の出力信号に基づいて、PFモータ58及びCRモータ63の速度制御を行う為の各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をPFモータドライバ106及びCRモータドライバ107へ送出する。また、MPU104から送出される記録データ等に基づいて、記録ヘッド62の制御信号を演算生成してヘッドドライバ108へ送出して記録ヘッド62を駆動制御する。
ASIC103は、「情報処理装置」としてのパーソナルコンピュータ301、デジタルカメラ302或いは携帯電話端末303等との情報伝送を実現する「情報伝送手段」としてカードIF111、ホストIF112及びデバイスIF113を有している。
カードIF111は、「デジタル画像データ読込手段」としてのカードスロット200に挿入される不揮発性メモリカードやPCカード等のカードインタフェースを実現する。カードスロット200にメモリカードが挿入された場合には、メモリカードのデータの読み書きを可能にし、カードスロット200に赤外線通信インタフェースカードが挿入された場合には、携帯電話端末303等の赤外線通信機能を有する電子機器との赤外線通信インタフェースを実現する。
ホストIF112は、ホスト装置接続用のUSBコネクタ37に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)301等のホスト装置とのUSBインタフェースを実現する。USBコネクタ37は、インクジェット式記録装置50の背面側に配設されている(図2)。
デバイスIF113は、デバイス接続用のUSBコネクタ38に接続されるデジタルカメラ(DSC)302等のUSBデバイスとのUSBインタフェースを実現する。USBコネクタ38は、デジタルカメラ302等のUSBデバイスの着脱が容易に行えるようにインクジェット式記録装置50の前面側に配設されている(図2)。
つづいて、本発明に係る縁なし記録制御の第1実施例について説明する。
図4は、本発明に係る「記録制御装置」としての記録制御部100における縁なし記録制御の機能ブロック図の第1実施例である。
図5は、レイアウト情報に基づく記録紙領域を模式的に示した平面図である。
図6は、可変はみ出し領域を模式的に示した平面図である。
図7は、レイアウト情報に基づく画像展開領域を模式的に示した平面図である。
展開領域算出部11(図4)に入力されるレイアウト情報は、「レイアウト情報に基づく被記録材領域」としての記録紙領域PF(図5)の大きさと位置、及び記録紙Pへの記録実行時の画像展開領域IMF(図7)の大きさと位置を固定的に規定する情報を含んでいる。記録紙領域PFの大きさと位置は、記録紙Pの規定サイズと固定はみ出し量とで指定され、画像展開領域IMFの大きさと位置は、平面座標上の領域開始座標と領域終了座標で指定される。画像展開領域IMFは、記録対象のデジタル画像データが展開されて記録が実行される領域である。縁あり記録の場合、画像展開領域IMFは、記録紙領域PFより小さい領域で記録紙領域PFの内側に設定される。それによって、記録紙Pの記録面には、デジタル画像の外側に所定幅の余白が形成される。一方、縁なし記録の場合、画像展開領域IMFは、記録紙領域PFより大きい領域で記録紙領域PFの外側にはみ出すように設定される。それによって、記録紙Pの記録面には、デジタル画像が余白無く形成される。すなわち、縁なし記録を実行する際の記録紙領域PFの外側への画像展開領域IMFのはみ出し量は、上記のレイアウト情報により固定的に規定されている。
尚、ここでのレイアウト情報は、記録制御部100の不揮発性メモリ105等に記憶されてインクジェット式記録装置50内に保持されているレイアウト情報、デジタル画像データとともにデジタルカメラ302やパーソナルコンピュータ301等から送信されるレイアウト情報の双方を含む。
展開領域Fは、始点(0,0)と終点(XE,YE)で指定された平面座標の領域であり、この展開領域に記録紙領域PF(図5)、画像展開領域IMF(図7)及び可変はみ出し領域NF(図6)が設定される。展開領域算出部11は、レイアウト情報で指定されている記録紙Pの規定サイズと固定はみ出し量から領域開始座標(Xp1,Yp1)及び領域終了座標(Xp2,Yp2)を算出(後述)して記録紙領域PFを展開領域F上に設定する(図5)。上端固定はみ出し量T1、下端固定はみ出し量B1、左端固定はみ出し量L1及び右端固定はみ出し量R1は、レイアウト情報で固定的に規定される固定はみ出し量である。
展開領域算出部11は、記録紙領域PFを設定した後、レイアウト情報に基づく記録紙領域Pを任意に設定可能なはみ出し量で外側に広げた可変はみ出し領域NFを算出(後述)して設定する。任意に設定可能なはみ出し量は、レイアウト情報とは別個に展開領域算出部11に入力される。可変はみ出し領域NFは、領域開始座標(X1,Y1)及び領域終了座標(X2,Y2)で設定される領域である。上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2は、任意に設定可能なはみ出し量であり、それぞれ個別に任意のはみ出し量を設定することができる。
また、展開領域算出部11は、レイアウト情報で領域開始座標(Xd1,Yd1)及び領域終了座標(Xd2,Yd2)が指定されている画像展開領域IMFを展開領域F上に設定する(図5)。尚、当該実施例においては、画像展開領域IMFは、記録紙領域PFと同時に設定される。
つづいて、展開領域算出部11は、画像展開領域IMFが可変はみ出し領域NFの外側の領域を含んでいる場合には、可変はみ出し領域NFに包含されるように画像展開領域IMFを変更する(図7)。すなわち、レイアウト情報に基づく画像展開領域IMFの記録紙領域PFに対するはみ出し量が、可変はみ出し領域NFのはみ出し量以下となるように画像展開領域IMFを調整(後述)する。当該実施例においては、画像展開領域IMFは、はみ出し領域NFと同じ領域まで縮小され、領域開始座標(X1,Y1)及び領域終了座標(X2,Y2)で設定される領域に変更される。そして、変更された画像展開領域IMFの座標情報は、展開領域算出部11からレイアウト部15(図4)へ出力され、変更された画像展開領域IMFの座標情報に基づく画像展開領域サイズが展開領域算出部11からリサイズ部14(図4)へ出力される。
縁なし記録の実行対象となるデジタル画像ファイルは、デジタル画像ファイル入力部12(図4)を介してデコード部13(図4)へ出力され、デコード部13にてデコード(圧縮ファイルの解凍)される。デコード部13は、解凍後のデジタル画像データをリサイズ14へ出力する。リサイズ部14は、展開領域算出部11から取得した画像展開領域サイズに合わせてデジタル画像データのリサイズ(拡大又は縮小)を実行し、リサイズ後のデジタル画像データをレイアウト部15へ出力する。レイアウト部15は、展開領域算出部11から取得した変更後の画像展開領域IMFの座標情報に基づいて、画像展開領域IMFにリサイズ部14から出力されたリサイズ後のデジタル画像データを展開して最終出力画像データを生成し、記録処理部16(図4)へ出力する。記録処理部16は、最終出力画像データに基づいて記録紙Pへの記録を実行する。それによって、記録紙Pの外側に任意のはみ出し量(上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2)以下のはみ出し量で縁なし記録が実行される。
尚、図4に示した機能ブロック図における各機能ブロックは、展開領域算出部11以外は、従来のインクジェット式記録装置50と同じである。すなわち、展開処理算出部11を一連の記録実行処理ブロックに追加するだけで、任意のはみ出し量に対応したインクジェット式記録装置50を実現することができる。
以下、記録紙領域PF(図5)、画像展開領域IMF(図7)及び可変はみ出し領域NF(図6)が設定し、可変はみ出し領域NFに包含されるように画像展開領域IMFを調整する手順について説明する。
図8は、記録紙領域PF及び可変はみ出し領域NFの領域開始座標と領域終了座標の算出手順を示したフローチャートである。
まず、レイアウト情報から記録を実行する定形サイズ(A4、B5等)の記録紙Pの規定値(規定幅PWと規定長さPL)を取得する(ステップS1)。ここでの規定幅PWとは、記録紙Pの横方向長さの規定値であり、主走査方向Xの長さの規定値である。また、規定長さPLとは、記録紙Pの縦方向長さの規定値であり、副走査方向Yの長さの規定値である。つづいて、レイアウト情報から固定はみ出し量(上端固定はみ出し量T1、左端固定はみ出し量L1)を取得する(ステップS2)。
つづいて、レイアウト情報から取得した規定幅PW、規定長さPL、上端固定はみ出し量T1及び左端固定はみ出し量L1から記録紙領域PF(図5)の領域開始座標(Xp1,Yp1)及び領域終了座標(Xp2,Yp2)を算出する(ステップS3)。具体的には、図5からも明らかなように、記録紙領域PFの領域開始座標(Xp1,Yp1)及び領域終了座標(Xp2,Yp2)は、以下の式(1)〜式(4)により算出される。

Xp1=L1 …(1)
Yp1=T1 …(2)
Xp2=Xp1+PW …(3)
Yp2=Yp1+PL …(4)
つづいて、記録紙領域PFの領域開始座標(Xp1,Yp1)及び領域終了座標(Xp2,Yp2)から可変はみ出し領域NF(図6)の領域開始座標(X1,Y1)及び領域終了座標(X2,Y2)を算出する(ステップS4)。具体的には、図6からも明らかなように、可変はみ出し領域NFの領域開始座標(X1,Y1)及び領域終了座標(X2,Y2)は、以下の式(5)〜式(8)により算出される。

X1=Xp1−L2 …(5)
Y1=Yp1−T2 …(6)
X2=Xp2+R2 …(7)
Y2=Yp2+B2 …(8)

つづいて、画像展開領域IMF(図7)の領域開始座標(Xd1,Yd1)及び領域終了座標(Xd2,Yd2)を調整する(ステップS5)。
図9は、画像展開領域IMFの調整手順を示したフローチャートである。
まず、レイアウト情報で指定されている画像展開領域IMF(図7)の領域開始座標(Xd1,Yd1)及び領域終了座標(Xd2,Yd2)を取得する(ステップS11)。また、算出した(図8のステップS4)可変はみ出し領域NF(図6)の領域開始座標(X1,Y1)及び領域終了座標(X2,Y2)を取得する(ステップS12)。
つづいて、以下の手順により、可変はみ出し領域NFに包含されるように画像展開領域IMFを調整する(図7)。
まず、画像展開領域IMFの領域開始座標値Xd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値X1より小さいか否か(外側か否か)を判定する(ステップS13)。画像展開領域IMFの領域開始座標値Xd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値X1より小さい(外側にある)場合には(ステップS13でYes)、画像展開領域IMFの領域開始座標値Xd1をX1の座標値に変更する(ステップS14)。一方、画像展開領域IMFの領域開始座標値Xd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値X1以上である(内側にある)場合には(ステップS13でNo)、画像展開領域IMFの領域開始座標値Xd1は変更しない。
次に、画像展開領域IMFの領域開始座標値Yd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値Y1より小さいか否か(外側か否か)を判定する(ステップS15)。画像展開領域IMFの領域開始座標値Yd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値Y1より小さい(外側にある)場合には(ステップS15でYes)、画像展開領域IMFの領域開始座標値Yd1をY1の座標値に変更する(ステップS16)。一方、画像展開領域IMFの領域開始座標値Yd1が可変はみ出し領域NFの領域開始座標値Y1以上である(内側にある)場合には(ステップS13でNo)、画像展開領域IMFの領域開始座標値Yd1は変更しない。
つづいて、画像展開領域IMFの領域終了座標値Xd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値X2より大きいか否か(外側か否か)を判定する(ステップS17)。画像展開領域IMFの領域終了座標値Xd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値X2より大きい(外側にある)場合には(ステップS17でYes)、画像展開領域IMFの領域終了座標値Xd2をX2の座標値に変更する(ステップS18)。一方、画像展開領域IMFの領域終了座標値Xd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値X2以下である(内側にある)場合には(ステップS17でNo)、画像展開領域IMFの領域終了座標値Xd2は変更しない。
そして、画像展開領域IMFの領域終了座標値Yd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値Y2より大きいか否か(外側か否か)を判定する(ステップS19)。画像展開領域IMFの領域終了座標値Yd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値Y2より大きい(外側にある)場合には(ステップS19でYes)、画像展開領域IMFの領域終了座標値Yd2をY2の座標値に変更する(ステップS20)。一方、画像展開領域IMFの領域終了座標値Yd2が可変はみ出し領域NFの領域終了座標値Y2以下である(内側にある)場合には(ステップS17でNo)、画像展開領域IMFの領域終了座標値Yd2は変更しない。
上記の画像展開領域の調整手順によって、レイアウト情報により指定された画像展開領域IMFが任意のはみ出し量で設定されたはみ出し領域NFの外側の領域を含んでいる場合には、任意のはみ出し量で設定されたはみ出し領域NFに包含されるように画像展開領域IMFが縮小される。すなわち、レイアウト情報に基づく画像展開領域IMFの範囲内で、被記録材領域PFに対する画像展開領域IMFのはみ出し量を任意に設定することができるので、縁なし記録実行時のはみ出し量を任意に調整することができる。
このようにして、本発明に係るインクジェット式記録装置50は、縁なし記録実行時のはみ出し量を任意に調整することができ、任意のはみ出し量で縁なし記録を実行することができる。当該実施例において、任意に設定されたはみ出し量は、操作パネル39(図3)にてユーザが任意に変更することができるようになっている。それによって、例えば、被写体の一部が途切れた状態とならないように、縁なし記録のはみ出し量をデジタル画像ごとにデジタル画像の内容に応じてユーザが任意に調整して縁なし記録を実行することができる。
つづいて、本発明に係る縁なし記録制御の第2実施例について説明する。
当該実施例においては、上述した第1実施例に加えて、記録制御部100は、「被記録材検出手段」としての紙検出器33及びPWセンサ34(図3)により検出した記録紙Pの領域とレイアウト情報に基づく記録紙領域PFとの差に基づいて、縁なし記録実行時のはみ出し量を算出して自動設定する。
図10は、本発明に係る「記録制御装置」としての記録制御部100における縁なし記録制御の機能ブロック図の第2実施例である。
被記録材検出部17は、紙検出器33及びPWセンサ34(図3)が出力する記録紙Pの端部の検出信号に基づいて、記録実行中の記録紙Pの紙幅PW1(主走査方向Xの記録紙Pの最大検出幅)と紙長さPL1(副走査方向Yの記録紙Pの検出長さ)を算出してはみ出し量演算部18へ出力する。はみ出し量演算部18は、記録紙Pへの縁なし記録を実行する度に記録紙Pの紙幅PW1と紙長さPL1に基づいて、上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2を算出し(後述)、はみ出し量記憶部19へ出力する。はみ出し量記憶部19は、最新の上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2の設定を記録紙Pのサイズ及び種別ごとに記憶保持し、縁なし記録実行時に記録紙Pのサイズ及び種別に応じた上記はみ出し量を展開領域算出部11へ出力する。以降は、第1実施例における機能ブロック図(図4)と同様なので説明は省略する。
図11は、はみ出し量演算部18におけるはみ出し量の算出手順を示したフローチャートである。
まず、PWセンサ34(図3)による記録紙Pの最大検出幅PW1及び紙検出器33(図3)による記録紙Pの検出長さPL1を取得する(ステップS21)。また、レイアウト情報から記録を実行する記録紙Pの規定値(規定幅PWと規定長さPL)を取得する(ステップS22)。
つづいて、以下の手順により、はみ出し量(上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2)を算出する。
まず、最大検出幅PW1が規定幅PWより小さいか否かを判定する(ステップS23)。最大検出幅PW1が規定幅PWより小さい場合には(ステップS23でYes)、規定幅PWを最大検出幅PW1に変更する(ステップS24)。一方、最大検出幅PW1が規定幅PW以上である場合には(ステップS23でNo)、規定幅PWは変更しない。
次に、検出長さPL1が規定長さPLより小さいか否かを判定する(ステップS25)。検出長さPL1が規定長さPLより小さい場合には(ステップS25でYes)、規定長さPLを検出長さPL1に変更する(ステップS26)。一方、検出長さPL1が規定長さPL以上である場合には(ステップS25でNo)、規定長さPLは変更しない。
そして、上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2は、以下の式(9)〜式(12)により算出される(ステップS27)。

T2=(PL1−PL)÷2+上補正量αT …(9)
B2=(PL1−PL)÷2+下補正量αB …(10)
L2=(PW1−PW)÷2+左補正量αL …(11)
R2=(PW1−PW)÷2+右補正量αR …(12)

各補正量(αT、αB、αL、αR)は、記録紙Pの搬送精度のばらつき許容レベル等により決定される補正値であり、各はみ出し量(T2、B2、L2、R2)の最小値として位置づけられ、記録制御部100の不揮発性メモリ105(図3)等に記憶される固定値である。例えば、縁なし記録において、上端側(副走査方向Yの記録開始側)の搬送誤差より下端側(副走査方向Yの記録終了側)の搬送誤差の方が大きくなるのであれば、下補正量αBを上補正量αTより大きな値に設定するとはみ出し量がより少ない好適な縁なし記録結果が得られる。
このように、紙検出器33及びPWセンサ34(図3)にて記録実行中における記録紙Pの領域(実際の被記録材の領域)を検出し、レイアウト情報に基づく記録紙領域PF(被記録材領域)と記録実行中における記録紙Pの領域(実際の被記録材の領域)との差に基づいて、可変はみ出し領域NFを設定する際(図6)のはみ出し量を算出して設定する。差が大きければ、すなわち記録紙Pの搬送誤差や傾き等が大きければ、各はみ出し量を大きく設定し、差が小さければ、すなわち記録紙Pの搬送誤差や傾き等が小さければ、各はみ出し量を小さく設定する。それによって、インクジェット式記録装置50の個体ごとのばらつきや記録紙Pの特性の違い等に起因するばらつき等に柔軟に対応して、縁なし記録実行時におけるはみ出し量を、余白が生じない範囲で最小限となるように自動調整することができる。
また、可変はみ出し領域NFを設定する際のはみ出し量(上端可変はみ出し量T2、下端可変はみ出し量B2、左端可変はみ出し量L2及び右端可変はみ出し量R2)を、記録紙Pへの縁なし記録を実行する度に算出して設定を更新し、常に最新のはみ出し量の設定値で縁なし記録を実行する。それによって、経年変化に伴う記録紙Pの搬送精度の低下等にも柔軟に追従して、縁なし記録実行時におけるはみ出し量を、余白が生じない範囲で最小限となるように自動調整することができ、記録紙Pの外側に捨てられてしまう画像領域を常に最小限に止めることができる。
さらに、可変はみ出し領域NFを設定する際のはみ出し量を、記録紙Pの規格サイズ及び種別ごとに算出して設定することによって、記録紙Pの規格サイズ及び種別ごとに最適なはみ出し量で縁なし記録を実行することができる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の平面図である。 本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の側面図である。 本発明に係る記録システムの概略のブロック図である。 縁なし記録制御の機能ブロック図の第1実施例である。 レイアウト情報に基づく記録紙領域を模式的に示した平面図である。 可変はみ出し領域を模式的に示した平面図である。 レイアウト情報に基づく画像展開領域を模式的に示した平面図である。 記録紙領域及び可変はみ出し領域の算出手順のフローチャートである。 画像展開領域の調整手順を示したフローチャートである。 縁なし記録制御の機能ブロック図の第2実施例である。 はみ出し量の算出手順を示したフローチャートである。
符号の説明
50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、57 給紙トレイ、57b 給紙ローラ、58 PFモータ、59 キャッピング装置、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、63 CRモータ、100 記録制御部、101 ROM、102 RAM、103 ASIC、104 MPU、105 不揮発性メモリ、106 PFモータドライバ、107 CRモータドライバ、108 ヘッドドライバ、200 カードスロット、301 パーソナルコンピュータ、302 デジタルカメラ、303 携帯電話端末、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

Claims (7)

  1. 被記録材への記録を実行する記録実行手段と、該記録実行手段を制御する記録制御装置と、記録実行中における実際の被記録材領域を検出する被記録材検出手段とを備えた記録装置であって、
    前記記録制御装置は、被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録を実行する際には、
    レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定し、
    任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定し、
    前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更し、
    前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録制御を実行し、
    前記被記録材検出手段により検出した被記録材領域と前記レイアウト情報に基づく被記録材領域との差に基づいて前記はみ出し量を算出して設定する、ことを特徴とした記録装置。
  2. 請求項1において、設定された前記はみ出し量をユーザが任意に変更可能に構成されている、ことを特徴とした記録装置。
  3. 請求項1において、前記記録制御装置は、前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように、変更前と相似形に前記画像展開領域を縮小して変更する、ことを特徴とした記録装置。
  4. 請求項項1〜3のいずれか1項において、前記記録制御装置は、被記録材への縁なし記録を実行する度に被記録材への縁なし記録完了後、前記はみ出し量を算出して設定を更新する、ことを特徴とした記録装置。
  5. 請求項において、前記記録制御装置は、被記録材の規格サイズ及び種別ごとに前記はみ出し量を算出して設定する、ことを特徴とした記録装置。
  6. 被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録制御方法であって、
    レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定する工程と、
    任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定する工程と、
    前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更する工程と、
    前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録を実行する工程と
    記録実行中における実際の被記録材領域を検出する被記録材検出手段により検出した被記録材領域と前記レイアウト情報に基づく被記録材領域との差に基づいて前記はみ出し量を算出して設定する工程と、を有する、ことを特徴とした縁なし記録制御方法。
  7. 被記録材の記録面に余白無く記録を実行する縁なし記録制御をコンピュータに実行させるための縁なし記録制御プログラムであって、
    レイアウト情報に基づく被記録材領域及び画像展開領域を設定する手順と、
    任意に設定可能なはみ出し量で前記レイアウト情報に基づく被記録材領域を外側に広げた可変はみ出し領域を設定する手順と、
    前記画像展開領域が前記可変はみ出し領域の外側の領域を含んでいる場合には、前記可変はみ出し領域に包含されるように前記画像展開領域を変更する手順と、
    前記可変はみ出し領域に包含される前記画像展開領域にデジタル画像データを展開して前記画像展開領域の記録を実行する手順と
    記録実行中における実際の被記録材領域を検出する被記録材検出手段により検出した被記録材領域と前記レイアウト情報に基づく被記録材領域との差に基づいて前記はみ出し量を算出して設定する手順と、を有する、ことを特徴とした縁なし記録制御プログラム。
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