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JP4588935B2 - 電子写真記録用紙 - Google Patents

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JP4588935B2
JP4588935B2 JP2001211103A JP2001211103A JP4588935B2 JP 4588935 B2 JP4588935 B2 JP 4588935B2 JP 2001211103 A JP2001211103 A JP 2001211103A JP 2001211103 A JP2001211103 A JP 2001211103A JP 4588935 B2 JP4588935 B2 JP 4588935B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、レーザプリンタ等によって良好にカラー記録が可能で、濃度、色調、階調等の記録品質に優れ、かつ、定着性、耐水性、耐久性等に優れた電子写真記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近における複写機、プリンタの進歩は目覚ましく、価格面のみならず、記録品質、記録速度等の性能面でも飛躍的に向上しつつある。そのため、従来は、印刷機械によって作成していたポスター、カタログ、パンフレット等の印刷物も、現在は、複写機、プリンタを使用して、従来の記録品質を維持しつつ、より簡便、迅速に作成できるようになった。特に、複写機、プリンタによる記録は、多種類、少部数の印刷物を迅速に作成するのに好適である。
【0003】
各種複写機、プリンタの中でも、電子写真方式を採用した複写機、プリンタ、特に、半導体レーザを使用する複写機、プリンタは、高解像度、高速記録が可能である点で優れている。カラー化に対しては、現像装置を複数必要とするために装置が大型化する、顔料であるトナーを使用するために色調が若干劣るという問題点はあるが、感光ドラム、現像装置等の小型化、トナー、記録用紙等の改良により、これらの問題点も解消されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電子写真複写機、レーザプリンタ等によってカラー記録される従来の電子写真記録用紙は、パルプ紙からなる基材層の表面に合成シリカ粉末を主成分とする顔料、水系接着剤、インクセット剤等を含有する記録層を形成したものであって、濃度、色調、階調等の記録品質、又、定着性、耐水性、耐久性等に関しても、未だ十分に満足いくものではなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点を解決すべく為されたものであって、特に電子写真複写機、レーザプリンタ等によるカラー記録に適し、濃度、色調、階調等の記録品質に優れ、かつ、定着性、耐水性、耐久性等に優れた電子写真記録用紙を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、コッブ吸水度が1〜30g/mである耐水性を有する加工紙ないし無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムからなる基材層の少なくとも片面に、塗工層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる記録層を積層してなり、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、5Vの電圧を印加し、周波数300Hzで測定した静電容量が12〜37pF/cmである電子写真記録用紙を構成したものである。
【0007】
本発明は、又、コッブ吸水度が1〜30g/mである耐水性を有する加工紙ないし無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムからなる基材層の表面に塗工層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる記録層を、基材層の裏面に合成樹脂フィルムからなる保護層を積層してなり、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、5Vの電圧を印加し、周波数300Hzで測定した静電容量が12〜37pF/cmである電子写真記録用紙を構成したものである。
【0008】
ここで、記録層の塗工層と反対面に、予め印刷を施してもよい。又、基材層の記録層を積層する面に、予め印刷を施してもよい。
【0009】
基材層としての耐水性を有する加工紙は、印画紙原紙またはジアゾ原紙であってもよく、基材層としての無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムは、オレフィン系樹脂を35〜99重量%、無機及び/又は有機微細粉末を1〜65重量%含有するものであってもよい。
【0010】
基材層としての無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムは、次式(1)で定義される空孔率が15〜45%であることが好ましい
【数1】
Figure 0004588935
【0011】
電子写真記録用紙にはバーコードを印字してもよい。又、電子写真記録用紙の最外層の一方の面に粘着剤層を形成してもよい。
【0012】
本発明は、又、前記電子写真記録用紙を記録物に使用したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真記録用紙の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示す本発明の電子写真記録用紙1は、耐水性を有する紙材からなる基材層2の片面に、塗工層4を有する耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムからなる記録層3を積層したものである。
【0015】
基材層
基材層2としては、肉厚が20〜300μm、好ましくは50〜150μmの耐水性を有する加工紙又は無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムを適用する。
【0016】
耐水性を有する加工紙としては、パルプ原紙に耐水性を有する塗工剤を塗布又は含浸させたもの、パルプ原紙に耐水性を有する合成樹脂を塗布又は融着させたもの等が適用される。具体的には、印画紙原紙、ジアゾ原紙、耐水紙が挙げられる。
加工紙の耐水性は、コッブ吸水度(JIS P8140)50g/m2以下、好ましくは40g/m2以下、特に好ましくは1〜30g/m2である。
【0017】
ポリオレフィン系フィルムにおけるポリオレフィンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、或いはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂を適用することができる。さらに、これら樹脂を2種以上混合したものを適用してもよい。これらの中でも、コスト、耐水性、耐薬品性の面から、高密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂を適用するのが好ましい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティック、シンジオタクティック及び種々の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、又、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0018】
ポリオレフィン系フィルムは、65重量%以下の無機及び/又は有機微細粉末を含有する。
無機微細粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ等であって、その平均粒径が0.01〜15μmのものが使用される。
有機微細粉末としては、ポリオレフィン系フィルムの主要成分樹脂の融点より高い融点乃至はガラス転移温度を有するものが使用される。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で、融点が120℃〜300℃、乃至はガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものが挙げられる。
【0019】
ポリオレフィン系フィルムの構造としては、単層構造、ベース層と表面層の2層構造、ベース層の表裏面に表面層が存在する3層構造、又は、ベース層と表面層間に他の樹脂フィルム層が介在する多層構造のいずれでもよく、これらの多層構造は、共押し出し法、ラミネート法等、公知の方法で製造できる。
ポリオレフィン系フィルムの組成としては、オレフィン系樹脂を35〜99重量%、無機及び/又は有機微細粉末を1〜65重量%含有する。好ましくはオレフィン系樹脂を50〜95重量%、無機及び/又は有機微細粉末を5〜50重量%含有する。
【0020】
ポリオレフィン系フィルムがベース層及び表面層を有する多層構造である場合、ベース層は、オレフィン系樹脂を35〜99重量%、無機及び/又は有機微細粉末を1〜65重量%含有し、表面層は、オレフィン系樹脂25〜100重量%、無機及び/又は有機微細粉末を0〜75重量%含有する。好ましくは、ベース層は、オレフィン系樹脂を50〜95重量%、無機及び/又は有機微細粉末を3〜50重量%含有し、表面層は、オレフィン系樹脂を30〜99重量%、無機及び/又は有機微細粉末を1〜70重量%含有する。
比較的柔軟性のあるポリオレフィン系フィルムを得るためには、無機及び/又は有機微細粉末は、単層構造又は多層構造のベース層中の含有量が65重量%以下であることが好ましく、表面強度をより良好なレベルとするためには、表面層中の含有量が75重量%以下であることが好ましい。
【0021】
ポリオレフィン系フィルムは、必要に応じて、さらに、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等を含有してもよい。例えば、安定剤として、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、光安定剤として、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の光安定剤を0.001〜1重量%、無機微細粉末の分散剤として、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸等を0.01〜4重量%配合してもよい。
【0022】
ポリオレフィン系フィルムは、静電容量が4〜1000pF/cm2であることを特徴とする。
【0023】
ポリオレフィン系フィルムは、その成形工程において、少なくとも一軸方向に延伸して成形されることが好ましい。
延伸方法としては、公知の方法を適用できる。例えば、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブン、リニアモーター及びチューブラー法の組み合わせによる同時二軸延伸等を挙げることができる。
延伸時の温度は、使用するオレフィン系樹脂の種類及び延伸プロセスに合わせて適宜選択される。具体的には、プロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合には110〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)の場合には80〜120℃と、融点より2〜60℃低い温度に設定することが好ましい。延伸速度は、20〜350m/分とする。
【0024】
延伸倍率は、特に限定されず、目的と使用するオレフィン系樹脂の特性によって適宜選択される。例えば、プロピレン単独重合体又はその共重合体を使用し、一軸延伸する場合には、好ましくは1.2〜12倍、より好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸する場合には、面積倍率で好ましくは1.5〜60倍、より好ましくは10〜50倍である。他のオレフィン系樹脂を使用し、一軸延伸する場合には、好ましくは1.2〜10倍、より好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸する場合には、面積倍率で好ましくは1.5〜20倍、より好ましくは4〜12倍である。
さらに、必要に応じて高温での熱処理が施される。
【0025】
無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムとしては、延伸することによってフィルム内部に微細なボイド(空孔)が形成され、不透明度(JIS P−8138)が85%以上、好ましくは90%以上、次式(1)で定義される空孔率が10〜60%、好ましくは15〜45%のものを適用するのが好ましい。
【0026】
【数1】
Figure 0004588935
【0027】
延伸フィルムの空孔率が10%未満では、記録用紙1の軽量化が乏しく、逆に空孔率が60%を越えては、記録用紙1の強度(引張強度、曲げ強度)が低くなり、実用的ではない。
【0028】
無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムの肉厚は、20〜300μmの範囲であり、20μm未満ではボイドを有する延伸フィルムを製造することが困難であり、300μmを越えては記録用紙1の市場への供給がA3、菊判サイズ等のシート状に裁断し、これを梱包して輸送するものに限られ、巻きロールとしての供給が困難となる。
【0029】
記録層
記録層3としては、肉厚が5〜100μm、好ましくは12〜50μmの耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムを適用する。
耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムを適用するのが好ましい。ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス−α,β(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4'−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の2官能カルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等のグリコールの少なくとも1種とを重縮合して得られるポリエステルを挙げることができる。この中でも、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合で得られるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0030】
塗工層
塗工層4としては、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリルウレタン樹脂若しくはポリエステル系ポリウレタン100〜40重量%と無機微細粉末0〜60重量%からなるものを適用する。
ウレタン樹脂は、高分子ポリオールが少なくとも2個以上の水酸基を有するオルガノポリシロキサンポリオールと他の高分子ポリオールとからなるウレタン樹脂である。又、アクリルウレタン樹脂は、特公昭53−32386号公報、特公昭52−73985号公報等に開示されている。
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、焼成クレイ、酸化チタン、硫酸バリウム、珪藻土等を使用することができる。
塗工層における塗布量としては、乾燥後の固形分量で0.5〜20g/m2 、好ましくは2〜8g/m2 とする。
【0031】
接着剤
基材層2と記録層3とを貼着する接着剤としては、液状のアンカーコート剤、例えば、ポリウレタン系アンカーコート剤としては、東洋モートン(株)のEL−150(商品名)、又はBLS−2080AとBLS−2080Bの混合物、ポリエステル系アンカーコート剤としては、同社のAD−503(商品名)を適用することができる。アンカーコート剤は、秤量が0.5〜25g/m2 となるように塗布される。
又、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサーリン)、塩化ポリエチレン、塩化ポリプロピレン等のホットメルト接着剤を適用することもできる。
アンカーコート剤を使用する場合は、基材層2である紙材の表面にアンカーコート剤を塗布し、次いで、記録層3である合成樹脂フイルムを重ね、圧着ロールで加圧接着すればよく、ホットメルト接着剤を使用する場合は、基材層2である紙材の表面上にダイより溶融フィルム状に押し出してラミネートし、次いで、記録層3である合成樹脂フイルムを重ね、圧着ロールで加圧接着すればよい。
【0032】
本発明の電子写真記録用紙1は、紙材からなる基材層2の少なくとも片面に、絶縁性を有する合成樹脂フィルムからなる記録層3を積層し、静電容量が10〜100pF/cm2であるものであるから、十分に帯電して静電荷を保持することができ、露光後に感光体ドラムに付着しているトナーを効率的に転移、付着させることができて、濃度、色調、階調等の記録品質、定着性を大幅に向上させることができる。
【0033】
静電容量には、並列等価容量或いは直列等価容量がある。一般的に等価容量の測定は、測定周波数範囲により測定法が選定される。測定周波数が10Hz以下の場合には超低周波ブリッジを用い、10Hz〜3MHzの場合には変成器ブリッジを用い、1MHzを越える場合には、並列T型ブリッジ、高周波シェリングブリッジ、Qメータ、共振法、定在波法、空洞共振法を用いる。又、測定周波数の交流信号に対して、回路部品に対する電圧・電流ベクトルを測定し、この値から静電容量を算出するLCRメータ等でも測定できる。
【0034】
記録用紙の静電容量を測定する測定装置としては、平行に配設した平板状印可電極と平板状ガード電極との間に試料を一定圧力で挟み込め、5V程度の電圧が印加でき、測定周波数が任意に選定できる測定装置が好ましい。このような測定機によれば、周波数を変更することにより、試料の周波数依存性が把握でき、適性使用範囲の指標にできる。
試料は、できるだけ厚みが均一で表面が平滑なものが好ましい。表面状態が悪いと、試料と電極との間に空気層が形成され、測定値に大きな誤差を与える。この場合、試料と電極との電気的接触を完全にするために、銀導電性塗料を塗布するか、真空蒸着することが好ましい。
測定装置の具体例としては、横河電機(株)社の「LCRメータ4274A」、HEWLETT PACKARD社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」、日置電機(株)社の「HIOKI 3522 LCRハイテスター」などが挙げられる。
【0035】
本発明の電子写真記録用紙の静電容量の測定には、HEWLETT PACKARD社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、温度23℃、相対湿度50%の環境条件下で、直径38mmの印加電極とガード電極との間に電極直径より大きい試料を挟み込み、5Vの電圧を印加し、10Hz〜1MHzの範囲の周波数で測定し、周波数300Hzの測定値を代表値とした。
本発明の電子写真記録用紙の静電容量は、単位電極面積当たり10pF/cm2以上であり、好ましくは10〜1000pF/cm2、より好ましくは12〜
800pF/cm2、更に好ましくは15〜300pF/cm2である。静電容量が10pF/cm2未満であると、プリンタのどの印字モードで印字しても、トナー転写率が低く、十分な印字濃度が得られない。又、静電容量が1000pF/cm2を越えると、プリンタ排紙時にプリンタ内でトナーを記録用紙に転写するために印加された電荷が記録用紙に残り、排紙トレイ上で記録用紙同士が引き合い、ブロッキングを来たして好ましくない。
【0036】
又、電子写真記録用紙1は、耐水性を有する紙材からなる基材層2、耐水性を有する合成樹脂フィルムからなる記録層3を積層したものであるから、耐水性、耐久性に関しても、大幅に向上させることができる。
【0037】
図2に示す本発明の電子写真記録用紙11は、耐水性を有する紙材からなる基材層2の表面に塗工層4を有する耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムからなる記録層3、及び裏面に耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムからなる保護層5を積層したものである。
【0038】
電子写真記録用紙11における基材層2、記録層3、塗工層4の材料、又、接着剤の材料も、上記電子写真記録用紙1におけると同一のものを適用する。
【0039】
保護層
基材層2の裏面に設けられる合成樹脂フィルムからなる保護層5としては、肉厚が5〜100μm、好ましくは12〜50μmの耐水性、絶縁性を有する合成樹脂フィルムを適用する。
保護層5に使用する合成樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のα−オレフィン2〜5種の共重合体等のオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド等を使用することができる。さらに、それら2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
電子写真記録用紙11を構成するには、前記アンカーコート剤を使用する場合は、基材層2である紙材の表面及び裏面にアンカーコート剤を塗布し、次いで、表面に記録層3である合成樹脂フイルムを、裏面に保護層5である合成樹脂フィルムを重ね合わせ、圧着ロールで加圧接着すればよく、前記ホットメルト接着剤を使用する場合は、基材層2である紙材の表面及び裏面にダイより溶融フィルム状に押し出してラミネートし、次いで、表面に記録層3である合成樹脂フイルムを、裏面に保護層5である合成樹脂フィルムを重ね合わせ、圧着ロールで加圧接着すればよい。
【0041】
本発明の電子写真記録用紙の厚さは、通常70〜500μm、好ましくは75〜400μm、さらに好ましくは80〜300μmである。又、その坪量は、通常70〜500g/m2、好ましくは75〜400g/m2、さらに好ましくは80〜300g/m2である。
【0042】
本発明の電子写真記録用紙11は、紙材からなる基材層2の表面及び裏面に、絶縁性を有する合成樹脂フィルムからなる記録層3及び保護層5を積層したものであるから、電子写真記録用紙1と同様に、十分に帯電して静電荷を保持することができ、露光後に感光体ドラムに付着しているトナーを効率的に転移、付着させることができて、濃度、色調、階調等の記録品質、定着性を大幅に向上させることができる。
【0043】
本発明の電子写真記録用紙は、その最外層の一方の面に粘着剤層を形成したものとしてもよい。粘着剤層の種類、厚さ(塗工量)は、被着体の種類や使用される環境、接着の強度等により種々選択が可能である。
粘着剤層は、一般に用いられる水系又は溶剤系の粘着剤を塗工、乾燥して形成することができる。粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系等の合成高分子粘着剤を使用することができ、有機溶媒溶液や、ディスパージョン、エマルジョン等の水に分散された形態で使用される。又、電子写真記録用紙の不透明度向上のため、粘着剤に酸化チタン等の顔料を含有させてもよい。
粘着剤層は、溶液状態で剥離紙のシリコン処理面上に塗工して形成することができる。場合によっては、粘着剤層を電子写真記録用紙に直接に塗工して形成することもある。塗工は、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等により行われ、必要により、スムージングを行ったり、乾燥工程を経て、粘着剤層が形成される。
粘着剤層の厚さは、ラベルの使用目的に応じて種々選択することができるが、通常2〜30μmであり、好ましくは5〜20μmである。
本発明の電子写真記録用紙は、粘着剤層の表面に剥離紙を有してもよい。剥離紙としては、通常一般的なものを使用することができる。例えば、上質紙やクラフト紙をそのまま又はカレンダー処理、樹脂塗工若しくはフィルムラミネートしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルム等にシリコン処理を施したものが使用できる。剥離紙は、電子写真記録用紙に貼付使用するに際して、粘着剤層との剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシリコン処理が施されるのが一般的である。
【0044】
記録装置
本発明の電子写真記録用紙は、電子写真複写機、レーザプリンタ等によって良好にカラー記録が可能である。
電子写真カラー記録方式には、▲1▼1色づつ中間転写し、複数色を中間転写体に転写後、用紙に転写現像する中間転写方式、▲2▼2つ以上の感光体を使用し、1色づつ複数色を用紙に転写現像するタンデム方式、▲3▼2つ以上の感光体を使用し、1色づつ複数色を中間転写体に転写後、用紙に転写現像するタンデム+転写方式の3種類があり、本願では▲2▼、▲3▼を総称してタンデム方式という。
本発明の電子写真記録用紙は、▲1▼の中間転写方式にも使用できるが、▲1▼の方式にあっては、小型の電子写真複写機等の場合には、装置内で電子写真記録用紙が搬送中にしごかれて使用が困難なことがある。▲2▼、▲3▼のタンデム方式は、高速化に対応し、装置の構造上電子写真記録用紙が搬送中にしごかれることが少なく好適である。
【0045】
本発明の電子写真記録用紙には、上記記録装置を用いて記録する前に、通常の印刷(例えば油性、UVオフセット、グラビア、フレキソ印刷等)を施すこともできる。必要により、管理用のバーコードをこれら印刷や、熱転写方式、電子写真方式により印字してもよい。
本発明の電子写真記録用紙には、販売促進、視認性を高めるために、記録層となる合成樹脂フィルムの裏面(塗工層と反対面)に、基材層と積層する前に、全面印刷又は部分印刷を施してもよい。又、基材層の記録層を積層する面に、基材層と積層する前に、全面印刷又は部分印刷を施してもよい。
【0046】
尚、本発明の電子写真記録用紙を使用した記録物は、POPカード(ポスター、ステッカー、ディスプレイ等)、下敷き(ランチマット、テーブルマット、文房具用等)、マニュアル(職務、作業、操作等の各種マニュアル、工程表、時間割等)、チャート類(海図、天気図、図表、罫線表等)、カタログ、カード(プライスカード、ポイントカード、メンバーズカード、各種会員証、学生証、免許証、社員証、出入許可証、組合証、身分証明証、学生受講カード、図書カード、診察券、管理カード、駐車許可証、スキー回数券、CD、MDタイトルカード、CD、MDインデックスカード、フォトカード等)、パネル、プレート(金属板の代替え)、ブロマイド、保存書類(ワープロ文書、各種名簿、鑑定書、認定書、重要書類、賞状等)、図鑑、図面(建築図面、土木現場画面等)、地図(海図、路線図、屋外用地図等)、定期券、店頭価格表、登山ガイド、名刺、迷子札、料理のレシピ、案内板(売り場案内、方向・行き先案内、お菓子・食品等)、園芸用POP(差しラベル等)、スケジュール表、ロード・サイン(葬式・住宅展示場所等)、回覧板、室名札、校内記録表、表示板(立ち入り禁止、林道作業等の)、区画杭、表札、カレンダー(画像入り)、簡易ホワイトボード、はがき、グリーティングカード、チラシ、絵本・紙芝居、携帯用時刻表、アルバム絵日記、紙工作(ペーパークラフト)、コピー原稿、うちわ、メガホン、マウスパッド、しおり、ペット用トイレ、包装資材(包装紙、箱、袋等)、コースター、植木鉢、ラミネート不要の印刷物、ラベルライターの代替え印刷物、粘着ラベル等として利用することが可能である。
【0047】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
尚、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0048】
記録用紙の製造例
(合成紙の製造例)
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(a)を270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。そして、このシートを150℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
メルトフローレート(MFR)4g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム46重量%とを混合した組成物(b)を別の押出機にて210℃で混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記工程で得られた5倍縦延伸フィルムの両面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。
次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱し、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして3層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(b/a/b=10μm/60μm/10μm)の積層フィルムで、不透明度87%、空孔率31%、密度0.79g/cm3 、クラーク剛度(S値)縦方向13、横方向23、静電容量9pF/m2の合成紙を得た。
【0049】
(塗工溶液の製造例)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メチルメタクリレート50部、エチルアクリレート35部およびトルエン100部を、攪拌機、環流冷却管及び温度計を装着した三ツ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.6部を開始剤として80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル重合体の50%トルエン溶液であった。
次いで、この溶液100重量部に塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHL)75%酢酸エチル溶液を20重量部、シラノール基を含むポリビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製:R−1130、重合度1700)の水溶液を20重量部、平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウム粉末(白石カルシウム製)を20重量部で配合した。この混合物に酢酸ブチルを添加して固形分を35%に調整し、塗工溶液を得た。
【0050】
(実施例1)
肉厚25μmの東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラー)の表面に、(塗工溶液の製造例)で得られた塗工溶液を乾燥固形分が1g/mとなるように塗布し、その後80度℃で1時間硬化させて、塗工層4を有する記録層3を形成した。
コッブ法吸水度が24.8g/mの王子製紙(株)製の印画紙用OTP原紙(坪量175g/m)を基材層2として使用し、その表裏面に東洋モートン(株)のポリウレタン系アンカーコート剤“BLS−2080A”及び“BLS−2080B”の混合物からなる接着剤を4g/m(固形分の割合)塗布した。
次いで、基材層2の表面側に上記記録層3を塗工層4が外側になるように重ね合わせ、さらに、基材層2の裏面側に肉厚19μmの帝人デュポンフィルム(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:メリネックス377)を保護層5として重ね合わせ、圧着ロールを用いて貼着し、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/加工紙/ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した構成の肉厚220μm、静電容量26pF/cm の電子写真記録用紙11を得た。
【0051】
(実施例2)
実施例1において、保護層5のポリエチレンテレフタレートフィルムを肉厚20μmの東レ(株)製二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:トレファンBO YM11)に代えた以外は、実施例1と同様にして、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/加工紙/ポリプロピレンフィルムを積層した構成の肉厚220μm、静電容量15pF/cm の電子写真記録用紙11を得た。
【0052】
(実施例3)
実施例1において、基材層2の加工紙を(合成紙の製造例)で得られた合成紙に代えた以外は、実施例1と同様にして、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/合成紙/ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した構成の肉厚126μm、静電容量18pF/cm の電子写真記録用紙11を得た。
【0053】
(実施例4)
実施例1において、保護層5を形成せず、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/加工紙を積層した構成の肉厚195μm、静電容量37pF/cm の電子写真記録用紙1を得た。
【0054】
(比較例1)
実施例1において、基材層2の加工紙を上質紙(坪量64g/m)に代えた以外は、実施例1と同様にして、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/上質紙/ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した構成の肉厚130μm、静電容量19pF/cm の電子写真記録用紙を得た。
【0055】
(比較例2)
実施例2において、記録層5のポリエチレンテレフタレートフィルムを肉厚25μmの二村化学工業(株)製二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:太閤FOR−BT)に代えた以外は、実施例2と同様にして、塗工層/ポリプロピレンフィルム/加工紙/ポリプロピレンフィルムを積層した構成の肉厚215μm、静電容量8pF/cm の電子写真記録用紙を得た。
【0056】
評価方法及び結果
(記録品質の評価)
カシオ(株)製カラーレーザプリンタN4−612IIを使用し、上記電子写真記録用紙の記録層にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色カラートナーによるテスト画像記録を実施し、濃度、色調、階調等の記録品質を、以下の評価基準によって目視判定した。
○ :濃度、色調、階調いずれも良好である。
△ :記録濃度がやや低い。
× :濃度、色調、階調のいずれかが劣り、使用に耐えない。
【0057】
(耐水性の評価)
さらに、記録された記録用紙を10分間静水中に浸した後乾燥して、記録画像の残存状況と、記録用紙の皺の発生状況を、以下の評価基準によって目視判定した。
○ :記録用紙に皺の発生もなく、濃度、色調、階調いずれも良好である。
△ :記録用紙に皺が発生し、実用上問題である。
× :記録用紙に皺が発生し、使用に耐えない。
【0058】
【表1】
Figure 0004588935
【0059】
上記評価の結果は、表1に示す通りであり、本発明の電子写真記録用紙は、濃度、色調、階調等の記録品質に優れ、かつ、定着性、耐水性、耐久性等にも優れていることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真記録用紙の一実施例の一部拡大断面図である。
【図2】本発明の電子写真記録用紙の他実施例の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 電子写真記録用紙
2 基材層
3 記録層
4 塗工層
5 保護層
11 電子写真記録用紙

Claims (10)

  1. コッブ吸水度が1〜30g/mである耐水性を有する加工紙ないし無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムからなる基材層の少なくとも片面に、塗工層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる記録層を積層してなり、
    温度23℃、相対湿度50%の環境下で、5Vの電圧を印加し、周波数300Hzで測定した静電容量が12〜37pF/cmであることを特徴とする電子写真記録用紙。
  2. コッブ吸水度が1〜30g/mである耐水性を有する加工紙ないし無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムからなる基材層の表面に塗工層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなる記録層を、基材層の裏面に合成樹脂フィルムからなる保護層を積層してなり、
    温度23℃、相対湿度50%の環境下で、5Vの電圧を印加し、周波数300Hzで測定した静電容量が12〜37pF/cmであることを特徴とする電子写真記録用紙。
  3. 前記記録層の塗工層と反対面に、予め印刷を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真記録用紙。
  4. 前記基材層の記録層を積層する面に、予め印刷を施したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子写真記録用紙。
  5. 前記基材層としての耐水性を有する加工紙は、印画紙原紙またはジアゾ原紙であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電子写真記録用紙。
  6. 前記基材層としての無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムは、オレフィン系樹脂を35〜99重量%、無機及び/又は有機微細粉末を1〜65重量%含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電子写真記録用紙。
  7. 前記基材層としての無機及び/又は有機微細粉末を含有するポリオレフィン系フィルムは、次式(1)で定義される空孔率が15〜45%であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電子写真記録用紙。
    Figure 0004588935
  8. 前記記録層の塗工層にバーコードを印字した請求項1〜7の何れかに記載の電子写真記録用紙。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の電子写真記録用紙の最外層の一方の面に粘着剤層を有する電子写真記録用紙。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の電子写真記録用紙を使用した記録物。
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