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JP4580683B2 - 永久磁石式リラクタンス型回転電機 - Google Patents

永久磁石式リラクタンス型回転電機 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石式リラクタンス型回転電機に関する。
一般に、永久磁石モータとしては、回転子鉄心外周に永久磁石を貼り付けた表面磁石型永久磁石モータと、永久磁石を回転子内に埋め込んだ埋め込み型永久磁石モータとが知られており、可変速駆動用としては、埋め込み型永久磁石モータが適している。
図12を用いて、埋め込み型永久磁石モータの回転子の構成を説明する。回転子101の外周部には、長方形の空洞102が等配で極数の数だけ設けてある。この回転子は4極であり、4個の空洞102を設けて永久磁石103を挿入してある。永久磁石103は、回転子101の径方向、または長方形状の断面の長い辺に垂直に磁化される。鉄心104は、空洞を打抜いた電磁鋼板を積層して形成してある(公知例としては非特許文献1参照)。
また、可変速特性に優れている高出力のモータとしては永久磁石式リラクタンス型回転電機が知られている。図13は、永久磁石式リラクタンス型回転電機の回転子を示しており、これを用いて説明する。この回転子201では、回転子鉄心202にV字状に設けた空洞203内に永久磁石204が配置され、この永久磁石204による磁極と、リラクタンストルクを発生するための鉄心の磁極205とで構成されている。この永久磁石式リラクタンス型回転電機は、リラクタンストルクと、永久磁石及び電流の相互作用によるトルク(磁石トルク)との両方を利用するものである。
特に、リラクタンストルクは、磁石トルクと同等からそれ以上の大きさを得ることができる特徴がある。可変速駆動時において、中・低速回転時はリラクタンストルクと磁石トルクとで駆動し、高速時は主にリラクタンストルクで駆動できるので、高出力で広い可変速運転が可能となる(公知例としては特許文献1、2参照)。
特開平11−27913号公報(第4頁) 特開平11−136912号公報 埋込磁石同期モータの設計と制御(オーム社)
上述した埋め込み型永久磁石モータでは、リラクタンストルクは磁石トルクよりも小さく、特に中・高回転速度域で適用する弱め磁束制御時では、その磁石トルクも小さくなるので、中・高速時に出力不足となる。
永久磁石式リラクタンス型回転電機においても、ハイブリッド自動車用駆動モータでは、車の駆動性能を向上させるために、さらなる小型・高トルク、高出力が要求されている。
また、弱め磁束制御時に電流により逆磁界の磁束を発生させる場合、永久磁石端部近傍の空隙面では永久磁石の磁束密度は急激に低下しているので、この領域では電流による磁束が多く残って分布する。これが回転機内に高調波磁束として分布して、電圧を増加させ、中・高速時の出力を低下させる。
さらに、前記の高調波磁束により鉄損が増加し、高調波磁束による電磁力で振動が発生する。これは前記の埋め込み型永久磁石モータでも同様に生じて問題となる。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、高トルク化と弱め磁束制御時の高出力化、損失低減による高効率化、低振動化等を図ることのできる永久磁石式リラクタンス型回転電機を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、少なくとの第1の空洞及び第1の空洞の外周側端部近傍に形成された第2の空洞を有する鉄心を備え磁気異方性を有する回転子と、前記第1の空洞に挿入され主磁石となる第1の永久磁石と、前記第2の空洞に挿入され、かつ前記第1の永久磁石よりも前記回転子の外周側に配置され補助磁石となる複数の第2の永久磁石とを有し、前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石により一つの磁極を構成すると共に、この磁極が前記回転子の外周部に周方向に間隔をおいて複数個設けられ、隣り合う前記磁極が互いに異極となるように構成され、隣り合う前記磁極の間には、リラクタンストルクを発生する磁極が前記回転子の鉄心の一部により形成されて成り、前記第1の永久磁石の磁化方向と前記第2の永久磁石の磁化方向は異なり、前記第2の永久磁石は前記回転子の外周面にほぼ垂直に向かう方向に磁化され、前記第1の永久磁石が前記回転子の外周面と固定子の間の空隙内に形成する磁束の方向の磁気抵抗を高くするように構成されたことを特徴としている。
本発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、最大電流を第2の永久磁石の磁束密度が最大となる位相で流すようにすることで、第1の永久磁石の磁束密度が小さい位相においても大きなトルクを得ることができる。また、弱め磁束制御時に電流により発生する高調波磁束が、第2の永久磁石により発生する空隙磁束によって相殺されるため、高調波磁束による出力低下を防ぐことができると同時に、高調波磁束による鉄損、電磁力による振動・騒音を低減することができる。
以下、本発明に係る永久磁石式リラクタンス型回転電機の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の回転電機は8極の場合で説明しているが、他の極数であってもよい。
図1は本発明の第1の実施形態の回転電機の断面図である。本実施形態の回転子1は、回転子鉄心2と、この回転子鉄心2の外周部の8箇所においてそれぞれV字状に配置された二つの第1の永久磁石3、3及び二つの第2の永久磁石4、4とから構成される。なお、回転子1の周囲には固定子(図示せず)が配置され、回転子1の外周面との間に空隙を形成している。
第1の永久磁石3、3は、回転子鉄心2の外周部の8箇所において、回転子鉄心2の外周面に向けて開いたV字状を成すように設けられた二つの第1の空洞5、5内に配置されている。また、第2の永久磁石4、4は、第1の空洞5、5の外周側端部の近傍に形成された第2の空洞6、6内に配置されている。なお、第2の永久磁石4、4は、第1の永久磁石3、3よりも回転子1の外周側に配置され、かつ回転子1の外周面に近接している。
第1の永久磁石3の磁化方向は、図2に示すように、V字の側面に垂直な方向(長方形状の断面の長い辺に対して垂直)とし、V字状に配置した二つの第1の永久磁石3、3は、それらの間に同じ極を形成する。第1の永久磁石3に連なる第2の永久磁石4も同極とする。
第1の永久磁石3、3をV字状に配置したことで、V字の中心軸に向かって第1の永久磁石3、3の磁束を集中して磁束密度を高くすることができる。また、第1の永久磁石3の端部及び回転子鉄心2を介して漏れる磁束はV字の外周側端部と内周側端部のみの狭い領域となるため、漏れ磁束を少なくすることができる。また、V字状に配置することにより、直線状の一個の磁石で1極を形成する場合と比べ、回転子鉄心断面積に対する磁石断面積を大きくすることができる。さらに、回転子鉄心2におけるV字状の永久磁石3、3に挟まれる部分を広くすることができるため、V字に沿って回転子鉄心2の磁気飽和が緩和されて多くの電機子巻線による磁束を流すことができる。
第1の永久磁石の磁化方向をV字の側面に垂直な方向としたことで、第1の永久磁石3、3の磁束はV字の中心軸を中心として起磁力を高めて、回転子鉄心2におけるV字で挟まれた部分の空隙中に磁束を分布させることができる。これにより、リラクタンストルクを発生させると同時に電流と永久磁石の鎖交磁束によるトルクも発生させることができる。
なお、第2の永久磁石4を第1の永久磁石3よりも回転子1の外周側に配置しているのは、第1の永久磁石3が形成する磁気回路において、第2の永久磁石が磁気抵抗にならないようにするためである。すなわち、回転子鉄心2における第1の永久磁石3の磁化方向の部分に第2の永久磁石を配置しないようにするためで、第1の永久磁石3の磁化方向と略直角方向に配置することになるので、第1の永久磁石3の端部側に配置する。第1の永久磁石3の端部は回転子1の内周側と外周側にあるが、空隙に近い外周側に第2の永久磁石4を配置することで、第2の永久磁石4の鎖交磁束を得る。
また、第2の永久磁石4を回転子1の外周部に近接して配置することで、第2の永久磁石4の磁化面がほぼ空隙に対向するので、回転子鉄心2内での第2の永久磁石4の漏れ磁束を少なくすることができる。
そして、V字状に配置した二つの第1の永久磁石3、3及びそれに連なる二つの第2の永久磁石4、4からなる組が形成する磁極は、隣り合う組と異極を形成するよう配置する。例えば、一組のV字状に配置した第1の永久磁石3、3がN極を形成すると、その隣のV字状に配置した第1の永久磁石3、3の組はS極を形成する。
図3は図2の要部拡大図である。同図に示すように、第1の永久磁石3が挿入される第1の空洞5における外周側端部と、第2の永久磁石4が挿入される第2の空洞6との間には第3の空洞7が形成されている。
第1の空洞5と第2の空洞6と第3の空洞7は連続するように形成されている。そして、第1の空洞5と第2の空洞6の間に挟まれた第3の空洞7内には磁性の突起12が設けられている。ここでは、磁性の突起12は、第1の永久磁石3の外周側端部の角と第2の永久磁石4の第3の空洞7側の端部の角に接している。
突起12は、第1の永久磁石3の前記端部の一辺と第2の永久磁石4の前記端部の一辺に接し、その接する面(辺)の範囲は第1及び第2の永久磁石3、4の位置決めが可能な最低長さとする。そして、磁性の突起12の先端部分は第1及び第2の永久磁石3、4に接する面の終点から半円を描く形状としてある。
突起12は先端が半円状なので突起12の先端部と対向するd軸バイパス磁路の鉄心面が最短距離になり、この部分に減磁界も集中する。したがって、第1の永久磁石3の端部と第2の永久磁石4の端部に生じる局所的に大きな減磁界を緩和することができる。
なお、突起12の先端形状は半円状に限られるものではなく、山型の形状であれば同様の効果を得ることができる。また、突起12は第1の永久磁石3の位置決めを行うと共に第1の永久磁石3の遠心力の一部を受ける作用もある。
第3の空洞7に面して第2の永久磁石4の外周側端部近傍にある鉄心部16は、第2の永久磁石4の外側面に対面する回転子鉄心2の外周側の部分の径方向厚みよりもよりも厚くしてある。
この鉄心部16は、第2の永久磁石4における第1の永久磁石3側の端部に接して第2の永久磁石4を位置決めすることができる。同時に鉄心部16はd軸バイパス磁路となるのでd軸方向に流れる磁束が増加する。さらに、鉄心部16におけるd軸バイパス磁路方向の磁気抵抗は小さくなるので、トルクリプルが低減される。
第1の永久磁石3の内周側端部には第4の空洞8を設けてあり、第1の空洞5と第4の空洞8は連続して形成されている。そして、第1の永久磁石3の端部と第4の空洞8の間の一部に回転子鉄心2と一体になった突起13を設けて第1の永久磁石3を位置決めしている。
第4の空洞8は、内周側断面が曲率の大きな曲線で囲まれた形状で、これらの第4の空洞8、8間には鉄心のブリッジ15が形成されている。この曲率の大きな曲線で形成される鉄心のブリッジ15は、曲線部分で応力集中を緩和するので、第1の永久磁石3と回転子鉄心2の遠心力に耐えることができる。
また、第4の空洞8はq軸の磁気抵抗を大きくする。第2の永久磁石4の磁化方向は、第2の永久磁石4の径方向断面の中心軸(第2の永久磁石4の中心部を回転子1の径方向に通る)方向を磁化方向としており、図2にその磁化方向を示す。
また、図3に示すように、第1の永久磁石3、3が成すV字の中心軸から機械角でα=-11°と11°(電気角は−45°と45°なので、機械角では、±45°÷(8/2)=±11°)の位置を中心軸として2個の第2の永久磁石4を配置してある。
第2の永久磁石4における第3の空洞7と反対側の端部には第5の空洞9を設けてある。そして、この第5の空洞9内では、磁性の突起14が、リラクタンストルクを発生する鉄心の磁極11から突出している。
第5の空洞9で形成される空隙面のブリッジ状鉄心曲線部は、第2の永久磁石4とV字状の第1の永久磁石3に挟まれた鉄心による遠心力の一部を受けており、曲線にすることによる応力を緩和している。同時に磁路断面も細くなり漏れ磁束も抑制することができる。
突起14は第2の永久磁石4の位置決めとなり、突起14の内周側にできる円状の空洞部は第2の永久磁石4の角部に配置できるので、この円状空洞部による第2の永久磁石4の磁力の低下を少なくでき、また、第2の永久磁石4にかかる減磁界も小さくできる。
また、V字状に配置した第1の永久磁石3、3が挟み込む鉄心間に第6の空洞10を設けてある。この第6の空洞10は鉄心の強度及び加工上許す限り回転子2の外周側に位置させる。このような第6の空洞10を設けたことで、q軸の磁気抵抗が増加するのでリラクタンストルクが増加する。また、第6の空洞10により回転子2の外周面のq軸部分に磁気的障壁ができるので、回転子2の表面に漏れる磁束を低減でき、同時にd軸バイパス磁路にd軸磁束を集めることができる。
上述したように、永久磁石としての磁極は、2個の第1の永久磁石3、3と2個の第2の永久磁石4、4により1極を形成する。そして、第1の永久磁石3、3及び第2の永久磁石4、4を1組として、隣合う組の磁極は異極となるように構成される。隣合う永久磁石の極の間には、磁気吸引力によりリラクタンストルクを発生する磁極11が鉄心の一部で形成されている。このリラクタンストルクを生じる鉄心の磁極11が8個あり、放射状に磁気的に結合された形状となっている。
なお、固定子には、分布巻、または集中巻の電機子巻線が適用できる。
このように構成された本実施の形態の作用について説明する。
はじめにリラクタンストルクに関する作用について述べる。回転子1の一つの磁極11と隣り合う磁極11は鉄心2で磁気的に結合されているので磁気抵抗が小さくなる。図2に示すように、この方向をd軸とする。さらに第1の永久磁石3の外周側に沿ってd軸と並列にd軸バイパス磁路が形成される。
一方、V字状に配置された二つの第1の永久磁石3、3の中心軸はq軸方向となる。このq軸方向は、第1の空洞5、第2の空洞6、第3の空洞7、第4の空洞8、第5の空洞9、第6の空洞10が設けられているため磁束が遮られ、磁気抵抗は高くなる。この磁気抵抗の差により磁気吸引力の差が生じて大きなリラクタンストルクを発生する。
次に永久磁石の磁束と電流の磁気的相互作用で生じるトルクについて述べる。図4は従来の一般的な永久磁石モータにおける永久磁石の空隙磁束密度分布と電流の関係を示したものである。磁束密度分布はほぼ正弦波状に分布し、最大トルクを得るために磁束密度が最大値の位置で電流が最大値になる位相である90°で通電される。永久磁石と電流によるトルク(磁石トルク)と、補助的なリラクタンストルクとを有する埋め込み型永久磁石モータは、一般的には、電流位相が110°〜135°程度で駆動される。
図5は、従来の永久磁石モータ、及び埋め込み型永久磁石モータにおいて、電流位相が135°で電流を通電したときの空隙磁束密度と電流の関係を示している。電流値が最大となる135°では磁束密度は減少しており、永久磁石の磁束と電流によるトルクは小さくなる。
また、図13に示す従来の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、回転子201に第1の永久磁石204のみをV字状に配置しており、V字の中心軸(q軸)近傍に多くの磁束が分布する。第1の永久磁石204の端部から鉄心の磁極間は永久磁石の磁束は急激に減少する。この場合も、電流値が最大となる135°では磁束密度は減少して永久磁石の磁束と電流による磁石トルクは小さくなる。
本実施形態では、第2の永久磁石4の径方向の中心軸が、第1の永久磁石3のV字の中心軸から機械角でα=−11°と11°に位置しているので電気角では45°と135°の位置に配置されていることになる。
図6は本実施形態における空隙磁束密度と電流の関係を示している。尚、第2の永久磁石4の磁束密度分布は近似的に正弦波分布で模式的に表している。第2の永久磁石4の磁束は45°と135°を最大値として分布する。電流は135°で最大値になる位相で制御すると、第2の永久磁石4の磁束が最大の領域において電流は最大値で流れるため大きなトルクが発生する。
したがって、第1の永久磁石3の磁束量が少なくなる135°の位相で最大電流を流す駆動を行っても磁石トルクを有効に利用できる。そして、リラクタンストルクもこのときほぼ最大であり、総合トルクは従来よりも大きくなる。
なお、このような効果を得るためには、第2の永久磁石4、4の中心軸が、第1の永久磁石3、3のV字の中心軸から、電気角で−20°〜−80°の範囲内と20°〜80°の範囲内、特に、−45°±10°の範囲内と45°±10°の範囲内に位置するように第2の永久磁石4、4を配置するのがよい。
弱め磁束制御では、図2に示すように、永久磁石3の磁束ψpmと逆方向の磁束ψiqを電流により発生させて、永久磁石の磁束ψpmを相殺させる。総和としては磁束量を減少させている。V字状に配置された第1の永久磁石3、3で挟まれる領域の空隙面では、第1の永久磁石3の磁束と電流の磁束が相殺されて磁束を大幅に減少でき、磁束の総和として0にすることもできる。
しかし、上述した弱め磁束による電流により弱め磁束制御を行った場合、合成磁束の総和は0にしても、図7に示すようにV字状に配置された第1の永久磁石3、3で挟まれた領域以外では電流による磁束ψiqhが残る。本発明では、図8に示すように、弱め磁束制御の電流により生じて残った磁束ψiqhは、第2の永久磁石4が空隙中に生じる磁束により相殺されて合成の磁束密度ψΣは小さくなる。
以上により、本発明の回転電機では総合トルクは増加し、弱め磁束時の合成磁束密度分布は全領域で低減することができる。
さらに、第2の永久磁石4の径方向中心軸が、第1の永久磁石3のV字の中心軸から機械角でα=-13。75°と13.75°(電気角55°÷(8/2)=13.75°)になる位置になるように第2の永久磁石4を配置すると、図9に示すように、第2の永久磁石4の磁束密度の高い部分は、電気角で35°(90°−55°=35°)と145°(90°+55°=145°)の位置に配置され、合成の磁束密度は全領域で大幅に低減され、ほぼ0になる。
これにより、主に第1の永久磁石3により発生する基本波磁束ψpmは弱め磁束電流により減少させ、弱め磁束時に残る高調波磁束ψiqhは第2の永久磁石4により低減できる。
したがって、弱め磁束制御時に電流による高調波磁束が低減でき、効果的に高調波を含む総磁束量を減少させることができる。同時に高調波による鉄損、電磁力による振動・騒音を低減できる。
このような効果を得るためには、第2の永久磁石4、4の中心軸が、第1の永久磁石3、3のV字の中心軸から、電気角で−55°±10°の範囲内と55°±10°の範囲内に位置するように第2の永久磁石4、4を配置するのがよい。
なお、各空洞の空いているスペースには非磁性材の部材を挿入することができる。例えば、非磁性材として導電性のある銅を挿入することにより高調波磁束を低減できる。また、回転子2の回転バランスをとるときは、空洞のスペースに非磁性材の重りを挿入して回転バランスをとるようにしてもよい。
次に、本発明に係る永久磁石式リラクタンス型回転電機の第2の実施形態を図10を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態では、回転子1の各極において、第1の永久磁石3、3が回転子鉄心2の第1の空洞5、5内にV字状に配置され、第2の永久磁石4、4は、第1の永久磁石3、3の端面に接するようにして回転子鉄心2内で空隙の広い面に対向するように配置される。
第1の永久磁石3、3の磁化方向はV字の両側面に垂直な方向(長方形断面の長い辺に対して垂直)とし、V字状に配置した2つの第1の永久磁石3、3は、それらの間に同じ極を形成する。そして、隣合うV字状に配置した第1の永久磁石3、3の組とは異極を形成するよう配置する。例えば、V字状に配置した第1の永久磁石3、3がV字間にN極を形成すると、隣のV字状に配置した第1の永久磁石3の組はS極を形成する。
第2の永久磁石4、4の磁化方向は空隙の広い面を向いており、V字状の第1の永久磁石3、3に連なる第2の永久磁石4、4を一組として同じ極を形成する。そして、隣合うV字状の第1の永久磁石3、3につながる第2の永久磁石4、4とは互いに異なる極にする。
本実施形態の基本的な作用は第1の実施形態と同様である。本実施形態の場合では、第1の永久磁石3と第2の永久磁石4の間に空洞が無いので、第1の実施形態の回転子と同じ断面積の場合には、永久磁石の磁束量を第1の実施形態よりも多くすることができる。したがって、永久磁石と電流による磁石トルクを増加させることができる。
次に、本発明に係る永久磁石式リラクタンス型回転電機の第3の実施形態を図11を用いて説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態では、第3の空洞7の一部に磁性の突起17を設けて第2の永久磁石4の端部まで突出させてある。突起17と第2の永久磁石4の端部との間は空間ができる形状としてある。第2の永久磁石4の端部側面に突起17を接触させるので、突起17と鉄心間に磁界が集中して、電流の磁界による第2の永久磁石4の減磁を緩和できる。
なお、本発明の構成は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施形態に種々の改変を施すことができる。
本発明の第1の実施形態の回転子の断面図。 実施形態の永久磁石の磁束と電流による磁束の流れを示す図。 図1の要部の拡大図。 従来の永久磁石回転電機における空隙磁束密度分布と電流の関係(相差角90°の位相で最大電流を通電)を示す図 従来の永久磁石回転電機における空隙磁束密度分布と電流の関係(相差角135°の位相で最大電流を通電)を示す図。 実施形態における空隙磁束密度分布と電流の関係(相差角135°の位相で最大電流を通電)を示す図。 実施形態における弱め磁束時の空隙磁束密度分布(第1の永久磁石の磁束と電流による弱め磁束)を示す図。 実施形態における空隙磁束密度分布(第2の永久磁石を45°と135°(第1の永久磁石の空隙磁束密度分布の中心軸から−45°と45°)の位置に配置したときの磁束密度分布)を示す図。 実施形態における空隙磁束密度分布(第2の永久磁石を35°と145°(第1の永久磁石の空隙磁束密度分布の中心軸から−55°と55°)の位置に配置したときの磁束密度分布)を示す図。 本発明の第2の実施形態の回転子の断面図。 本発明の第3の実施形態の回転子の要部拡大図。 従来の埋め込み型永久磁石回転電機の回転子の断面図。 従来の永久磁石式リラクタンス型回転電機の回転子の断面図。
符号の説明
1 回転子
2 回転子鉄心
3 第1の永久磁石
4 第2の永久磁石
5 第1の空洞
6 第2の空洞
7 第3の空洞
8 第4の空洞
9 第5の空洞
10 第6の空洞
11 鉄心の磁極(リラクタンストルクを発生する磁極)
12 第3の空洞にある突起
13 第4の空洞にある突起
14 第5の空洞にある突起
15 内周側鉄心ブリッジ
16 鉄心A部
17 第3の空洞にある突起

Claims (19)

  1. 少なくとの第1の空洞及び第1の空洞の外周側端部近傍に形成された第2の空洞を有する鉄心を備え磁気異方性を有する回転子と、
    前記第1の空洞に挿入され主磁石となる第1の永久磁石と、
    前記第2の空洞に挿入され、かつ前記第1の永久磁石よりも前記回転子の外周側に配置され補助磁石となる複数の第2の永久磁石とを有し、
    前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石により一つの磁極を構成すると共に、この磁極が前記回転子の外周部に周方向に間隔をおいて複数個設けられ、隣り合う前記磁極が互いに異極となるように構成され、
    隣り合う前記磁極の間には、リラクタンストルクを発生する磁極が前記回転子の鉄心の一部により形成されて成り、
    前記第1の永久磁石の磁化方向と前記第2の永久磁石の磁化方向は異なり、前記第2の永久磁石は前記回転子の外周面にほぼ垂直に向かう方向に磁化され、前記第1の永久磁石が前記回転子の外周面と固定子の間の空隙内に形成する磁束の方向の磁気抵抗を高くするように構成されたことを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  2. 前記各磁極において、前記第1の永久磁石が、前記回転子の外周側に向けて開いたV字状を成すように配置されたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  3. 前記第2の永久磁石は、前記回転子の外周面に近接して配置されたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  4. 前記第1の空洞と前記第2の空洞の間に第3の空洞が設けられたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  5. 前記第3の空洞内に突出する磁性の突起が設けられたことを特徴とする請求項4記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  6. 前記第1の空洞における前記第3の空洞と反対側の端部に第4の空洞が設けられたことを特徴とする請求項4又は5記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  7. 前記第2の空洞における前記第3の空洞と反対側の端部に第5の空洞が設けられたことを特徴とする請求項6記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  8. 前記第1の永久磁石の磁化方向は、前記第1の永久磁石により形成されるV字の側面に対してほぼ垂直に向かう方向であることを特徴とする請求項2記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  9. 前記第2の永久磁石の中心部を前記回転子の径方向に通る中心軸が、前記第1の永久磁石が形成する磁束密度分布の中心から、電気角で−20°〜−80°の範囲内と20°〜80°の範囲内に位置するように前記第2の永久磁石が配置されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  10. 前記第2の永久磁石の中心部を前記回転子の径方向に通る中心軸が、前記第1の永久磁石が形成する磁束密度分布の中心から、電気角で−45°±10°の範囲内と45°±10°の範囲内に位置するように前記第2の永久磁石が配置されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  11. 前記第2の永久磁石の中心部を前記回転子の径方向に通る中心軸が、前記第1の永久磁石が形成する磁束密度分布の中心から、電気角で−55°±10°の範囲内と55°±10°の範囲内に位置するように前記第2の永久磁石が配置されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  12. 前記磁性の突起の先端部が山型であることを特徴とする請求項5記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  13. 前記磁性の突起が、前記第1の永久磁石の端部及び前記第2の永久磁石の端部に接触するか、前記各端部との間に隙間が形成されるように配置され、前記突起の先端部は、前記各端部の角部から湾曲すると共に前記各角部間をつなぐ半円状の凸形状であることを特徴とする請求項5又は12記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  14. 前記第5の空洞内に突出する磁性の突起が設けられたことを特徴とする請求項7記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  15. 前記突起を、前記回転子の鉄心におけるリラクタンストルクを発生する磁極から突出させたことを特徴とする請求項14記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  16. 前記第2の永久磁石における前記第1の永久磁石側の端部が接する前記回転子の鉄心の外周側の部分は、前記第2の永久磁石の側面に対面する前記回転子の鉄心の外周側の部分よりも厚くしてあることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  17. V字状に配置された前記第1の永久磁石により挟み込まれるように前記回転子の鉄心に空洞が設けられたことを特徴とする請求項2記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  18. 前記第2の空洞内には、前記第2の永久磁石の端部まで突出させた磁性の突起が設けられたことを特徴とする請求項1、4〜7、12〜15のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  19. 前記各空洞内に非磁性材の部材が挿入されたことを特徴とする請求項1、4〜7、12〜15、17のいずれか一項記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
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