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JP4570829B2 - セメント質組成物およびメーソンリーユニットにおける白華制御 - Google Patents

セメント質組成物およびメーソンリーユニットにおける白華制御 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明はセメント質組成物(cementitious compositions)およびメーソンリーユニット(masonry units)用の混和材に関し、特に、セメントメーソンリーユニットにおける目に見える白華(visible efflorescence)を防止する方法、そしてポリアクリル酸が基になった重合体を含んで成るセメントおよびメーソンリーセメント組成物に関する。
【0002】
(発明の背景)
メーソンリーユニット[時にはコンクリートメーソンリーユニット(CMU)と呼ぶ]には、セグメンタルリテイニングウォール(segmental retaining wall)(SRW)ユニット、ペーバー(pavers)および建築用ブロックが含まれ、これらの全部が「メーソンリーコンクリート」[これは水和性セメント結合剤(hydratable cement binder)と微細骨材(fine aggregate)で構成されている]から作られている。用語「微細骨材」を本明細書および本明細書の以下で用いる場合、これは、粒子の少なくとも95%が0.375インチ(0.95cm)未満の平均直径を有する骨材[例えば非セメント質(non−cementitious)]粒子を意味しかつそれを指す。メーソンリーコンクリートには粗い骨材(典型的には直径が0.5インチを越える)[これは更に通常のコンクリート、例えば既に混合されているコンクリートなどで用いられる]が入っていない。
【0003】
より有意には、メーソンリーコンクリートはゼロの「スランプ(slump)」を示すと述べられている、即ちより正確には実質的に測定可能な流動性を示さないと述べられていることから、これと通常のコンクリートは異なる。スランプ特性の測定は、湿っているメーソンリーコンクリートを逆円錐(inverted cone)の中に入れた後に前記円錐を取り除きそしてその円錐形に成形されたサンプルの高さが低くなった場合にはその低くなった長さを測定することで行われる。ASTM C143(1988)(「ポートランドセメントコンクリートの標準的スランプ試験方法」)を参照のこと。メーソンリーコンクリートのスランプは典型的に0−0.75インチであり、従ってメーソンリーコンクリートは本質的に「ゼロスランプ」を示すと述べられている。
【0004】
白華現象は、低いスランプを示すセメント質混合物から作られたセメントメーソンリーユニット、例えばブロック、ペーバー、リテイニングウォールセグメント(retaining wall segments)および他の構造物などの表面の色が望ましくなく白くなるか或はそれらの表面に白っぽい付着物が存在するようになるとして明らかになる。メーソンリーユニットが美的用途で用いられる場合に白華が主要な問題になる。
【0005】
白華制御の目的で現在入手可能な化学品の使用には、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸亜鉛分散液、ステアリン酸カルシウム分散液)の使用およびトール油脂肪酸(TOFA)の使用が含まれ、本発明者らは、それらが可溶塩、例えば水酸化カルシウムなどがメーソンリーユニットの表面に水の媒介で移行するのを遅らせるか或は邪魔することで白華が起こる機構の1つを邪魔すると考えている。
【0006】
(発明の要約)
本発明の目的の1つは、セメントまたはメーソンリーユニットの表面の炭酸カルシウム付着物の目で見た外観を減少させることにある。
【0007】
本発明者らは、ポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体を含んで成っていて500−49,000、より好適には1,000−19,000、最も好適には1,000−10,000の分子量を有する重合体を用いることで前記を達成することができることを見いだした。
【0008】
本発明の典型的な組成物は、水和性セメント質結合剤(本組成物の総乾燥重量を基準にして好適には5−25%の量)および微細骨材部分(fine aggregate portion)(本組成物に含める固体の総乾燥重量を基準にして75から95%の量)を含んで成る。この組成物を水と混合して湿らせると、この組成物は、好適には、標準的スランプ測定円錐方法[例えばASTM C143(1988)(「ポートランドセメントコンクリートの標準的スランプ試験方法」)を参照]で試験した時に本質的にゼロのスランプを示すメーソンリーコンクリートになり、この組成物に、更に、ポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体を含んで成っていて500−49,000の範囲、最も好適には1,000−10,000の範囲の平均分子量を有する重合体も含有させる。前記重合体に好適にはアルカリもしくはアルカリ土類金属の塩(例えばポリアクリル酸ナトリウム)を含める。
【0009】
水和性セメント質組成物における白華を防止する本発明の典型的な方法は、ポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体を含んで成っていて500−49,000の範囲の平均分子量を有する重合体を水和性セメント質結合剤と一緒にすることを包含する。
【0010】
さらなる典型的な方法は特にメーソンリーコンクリートユニットにおける白華の防止に向けたものであり、これは、上述した重合体をセメント製造(例えば粉砕)中のセメントと一緒にするか或は前記重合体を好適には水溶液としてか或は前記重合体と1種以上の成分の組み合わせとしてメーソンリーコンクリート組成物成形中のメーソンリーコンクリート組成物に混合することで達成可能である。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点を本明細書の以下に示す。
【0012】
(典型的な態様の詳細な説明)
用語「メーソンリーコンクリート」を本明細書で用いる場合、これは、ポートランドセメントを5−25%[s/s総乾燥重量組成物(total dry weight composition)]と「微細骨材」を75−95%(s/s総乾燥重量組成物)を含有するセメント質組成物を意味しかつそれを指す[ASTM 136(1996)]。用語「微細骨材」を本明細書および本明細書の以下で用いる場合、これは、粒子の少なくとも95%が0.375インチ(0.95cm)未満の平均直径を有する骨材[例えば非セメント質]粒子を意味しかつそれを指す。メーソンリーコンクリートには粗い骨材(典型的には直径が0.5インチを越える)[これは更に通常のコンクリート、例えば既に混合されているコンクリートなどで用いられる]が入っていない。
【0013】
用語「セメントメーソンリーユニット」を本明細書で用いる可能性があるが、これは、水和性セメント質混合物から作られた構造物、例えばブロック、ペーバー、リテイニングウォールセグメントまたは他の三次元構造物、例えばパイプまたは建築用ブロックなどを指す。
【0014】
水和性セメントまたはセメント質結合剤[排他的ではないが、通常は、ポートランドセメント、メーソンリーセメントまたはモルタルセメント、そしてまた石灰石、水和石灰、飛散灰、高炉スラグおよびシリカフューム(silica fume)または他の材料(そのようなセメントに通常含まれている)も含有していてもよい](これに水を添加すると水和が誘導される)で構成されている混合物を指す目的で用語「セメント質組成物」を用いる。そのようなセメント質混合物には、セメント結合剤(cement binder)およびまた微細骨材(この上で定義した如き)を含有するペーストである「モルタル」が含まれる。メーソンリーユニットを生じさせる時に用いるセメント質混合物は既に混合されたコンクリートに比較してずっと低いスランプを示す(即ち低い流動性を示す)。メーソンリーユニットの製造は、典型的に、自立構造を有しかつ後で自己発生型(self−generated)硬化を起こし得るか或は外部熱処理で硬化し得るようなセメント質構造物を成形することを包含する。
【0015】
特定材料、例えば水和性セメント質結合剤(cementitious binder)、水および微細骨材(この上に定義した如き)を必要量でポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体(この重合体は500−49,000、より好適には1,000−19,000の平均分子量、最も好適には1,000−10,000の平均分子量を有する)と一緒に混合することを通して、本発明のセメント質組成物を生じさせることができる。
【0016】
本発明の別の典型的な方法は、セメント結合剤と微細骨材[および粗い骨材(平均直径が半インチの石であるとして定義)を2重量%未満の量で有する]で構成されていてゼロスランプ(例えば標準的円錐方法で試験した時に0−0.75のスランプ)を示すメーソンリーコンクリートを準備しそして前記コンクリートにポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体を含んで成ってい500−49,000の平均分子量を有する重合体を混合することを包含する。前記重合体の量を好適にはセメント質結合剤の総乾燥重量を基準にして0.01−5.0パーセントにし、より好適には、その量をセメント質結合剤の総乾燥重量を基準にして0.05−1.0パーセントにする。
【0017】
本発明で用いるに適した低分子量のポリアクリル酸が基になった重合体はBASF(Badische Aniline & Sodafabrik、Ludwigshafen、ドイツ)から商標SOKALANR CP−10の下で商業的に入手可能である。これは、平均分子量が約4,000の修飾(modified)アクリル酸ナトリウム重合体である。これは流動し得るコンクリートを生じさせる目的で以前に分散性混和材(dispersive admixture)として試験した分散剤であり、一般に、低分子量のポリアクリル酸重合体をセメント質組成物における白華を防止する目的で用いることは本発明を発明するまでは利用されておらず、特に、低分子量のポリアクリル酸重合体を本質的にスランプがゼロであることが限定特徴であるメーソンリーセメント質組成物またはコンクリートメーソンリーユニットで用いることは認識も示唆も成されていなかったと、本発明者らは考えている。
【0018】
本発明者らは、スランプが本質的にゼロのコンクリートに関係したメーソンリーコンクリートおよびコンクリートメーソンリーユニットに関連して低分子量のポリアクリリック(polyacrylic)が基になった重合体(例えば商標SOKOLANR CP−10の下で販売されている修飾ポリアクリル酸ナトリウム)をそれらに混合することは新規で特に驚くべきことであると考えている、と言うのは、SOKOLANR CP−10ポリアクリル酸は分散剤として機能することが従来から知られているがこれは本発明の目的と正反対であるからである。
【0019】
本発明の典型的なメーソンリー組成物はセメント質結合剤とポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体[この重合体は500−49,000の範囲(より好適には500−19,000の範囲、最も好適には1,000−10,000の範囲)の平均分子量を有する]を含んで成る。本メーソンリー組成物は、好適には、水和性セメント結合剤(本組成物の総乾燥重量を基準にして5−25%を構成)と微細骨材部分(この組成物に含まれる固体の総乾燥重量を基準にして75から95%を構成)を含有する。本組成物には好適には粗い骨材を全くか或は実質的に全く含有させないが、通常は、この組成物の総乾燥重量の2%以内ならばメーソンリーコンクリートにある種の粗い骨材を含有させてもよい。本メーソンリーコンクリート組成物は、この上に記述した如き標準的スランプ測定円錐方法で試験した時、湿った状態で本質的にゼロのスランプを示す。
【0020】
本発明の別の典型的なセメント質組成物は、この上に記述した低分子量のポリアクリル酸が基になった重合体を含有することに加えて更に脂肪酸(好適にはステアリン酸カルシウム分散液)および/またはラテックスも含んで成る。このような脂肪酸および/またはラテックスは白華制御および/またはラテックス(latex)の意味でさらなる利点を与えると考えている。さらなる白華制御の目的で使用可能な他の脂肪酸には、オレイン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、トール油脂肪酸などが含まれる。本発明の典型的な態様では一般にC8−C18脂肪酸およびそれらの塩を追加的白華制御剤として適切に用いることができると考えている。そのような脂肪酸を含めることに加えて場合によりまたラテックスをそれと組み合わせてもよい。そのような脂肪酸を0.01−5.0%s/s(セメントを基準)、より好適には0.5−1.0%s/s(セメント)の量で用いてもよい。
【0021】
目で見た白華減少にさらなる利点を与える目的で用いるに適切であると考えている典型的なラテックスには、これらに限定するものでないが、ポリカルボン酸(例えばアクリル酸、マレイン酸)、スチレン−ブタジエン、ポリウレタン、ブチルゴム、天然ゴムなどが含まれる。本発明で使用可能なラテックスの量は0.01−5.0%s/s(セメントを基準)、より好適には0.5−1.0%s/s(セメント)である。
【0022】
この上で述べたように、白華(水和性セメント質組成物から作られた構造物における)を防止する本発明の典型的な方法は、低分子量の重合体であるポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体を水和性セメント質結合剤に導入することを包含する。これを行うのは水和性セメント質組成物の製造(例えばセメントの粉砕)中または成形中であってもよく、これは、例えば前記重合体を前記組成物の1種以上の成分(例えば結合剤、微細骨材または添加水)と一緒にするか或はそれを水和性セメント質混合物の中に直接添加することなどで実施可能である。
【0023】
ポリアクリル酸をセメント組成物の中に混合する好適な様式は、水溶液(例えばポリアクリル酸ナトリウム)を添加水と一緒にする様式である。
【0024】
以下に示す実施例は単に説明の目的で示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【0025】
実施例1
ポートランドセメント(総乾燥重量を基準にして10.7%)を用いかつ微細骨材として砂(89.3%)を用いて水/セメント質結合剤の比率が0.3になるようにして3種類のメーソンリーコンクリートサンプルを生じさせた。1番目のサンプル(#1)が対照サンプルである。サンプル#2には、アクリル酸とマレイン酸から作られた共重合体(平均分子量が70,000)のナトリウム塩をセメント質結合剤の総乾燥重量を基準にして0.75%の量で含有させた。この共重合体はBASFから商標SOKOLANR「CP−5」の下で入手可能である。サンプル#3には、BASFから商標SOKOLANR「CP−10」の下で入手可能な修飾ポリアクリル酸ナトリウム重合体(平均分子量が4,000)をセメント質結合剤の総乾燥重量を基準にして0.67%の量で含有させた。前記3種類のサンプル組成物を用いてコンクリートメーソンリーブロックを鋳込み成形した後、密封容器に入れて1日硬化させた。次の日、その硬化したユニットを分割した後、このブロックの分割表面の中央部に5mlの水を注ぎ込んだ。次に、前記ブロックを一晩乾燥させた。次の日、サンプル#1(対照)の分割表面およびサンプル#2の分割表面の湿らせた部分の両方に目に見える白華(白っぽい曇り)が現れることが観察された。しかしながら、低分子量のポリアクリル酸が基になった重合体を含有させておいたサンプル#3はこれの表面に目に見える白華を全く示さなかった。この試験は、白華の防止はポリアクリル酸型重合体に固有の特性ではなく、本発明の低分子量ポリアクリル酸型の重合体を選択することが実際に独創的であることを立証していた。
【0026】
この上に示した説明および実施例は単に説明の目的を意図するものであり、本発明の範囲の限定を意図するものでない。

Claims (8)

  1. ポートランドセメントを含んで成る水和性セメント質結合剤を組成物の総乾燥重量を基準にして5−25%の量で含有しかつ更に粒子の少なくとも95%が0.375インチ未満の平均直径を有する非セメント質粒子を含んで成る微細骨材部分を組成物中の固体の総乾燥重量を基準にして75から95%を構成する量で含有していて組成物を標準的スランプ測定円錐方法で試験した時に湿った状態で本質的にゼロのスランプを示すセメント質組成物であって、500−49,000の範囲の平均分子量を有するポリアクリル酸またはアルカリもしくはアルカリ土類金属のポリアクリル酸塩またはそれの誘導体を更に含んで成っていて前記重合体が前記組成物に存在する前記セメント質結合剤の乾燥重量を基準にして0.01−5.0%の量で存在するセメント質組成物。
  2. 前記組成物がコンクリートメーソンリーユニットに成形されている請求項1記載の組成物。
  3. 前記コンクリートメーソンリーユニットがブリック、ペーバー、セグメンタルリテイニングウォール、パイプまたは建築用ブロックに成形されている請求項2記載の組成物。
  4. 前記ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩またはそれの誘導体が1,000−10,000の範囲の平均分子量を有する請求項1記載の組成物。
  5. 前記ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩またはそれの誘導体が4000の平均分子量を有するポリアクリル酸ナトリウムを含んで成る請求項1記載の組成物。
  6. 8−C18脂肪酸またはそれの塩もしくは誘導体を前記組成物中のセメントを基準にして0.01−5.0%の量で更に含んで成る請求項1記載の組成物。
  7. 前記ポリアクリル酸またはそれの塩もしくは誘導体が前記組成物中に前記セメント質結合剤の乾燥重量を基準にして0.1−1.0パーセントの量で存在する請求項1記載の組成物。
  8. 請求項1記載の組成物において、ポリカルボン酸、スチレン−ブタジエン、ポリウレタン、ブチルゴムおよび天然ゴムから成る群から選択される重合体を含んで成るラテックスが前記組成物中のセメントを基準にして0.5−1.0%の量で更に含まれている組成物。
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