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JP4566921B2 - 無線通信装置およびアンテナ制御方法 - Google Patents

無線通信装置およびアンテナ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、マルチユーザMIMOの中継用アンテナのような比較的環境変動が小さくなるような環境下で、アンテナ構成による相関やSNRの差などを利用してMIMOの伝送特性を改善し、また、高所の基地局での適用において、基地局付近とゾーン端などで使い分けるような方法にも利用可能な無線通信装置およびアンテナ制御方法に関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。但し、ここでの伝送速度とは、物理レイヤ上での伝送速度であって、実際には、MAC(Medium Access Control )レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は、30Mbps程度である。
一方で、有線LANの世界では、Ethernet(登録商標)の100Base−Tインタフェースを始め、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)の普及から、100Mbpsの高速回線の提供が普及しており、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。
そのための技術としては、MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局側で各アンテナから送信した独立な信号を推定し、データを再生するものである。
さらに、基地局に多くの素子数を有し、複数のユーザと複数のMIMO伝送路を構築することで、仮想的なMIMO伝送を実現するための手段として、マルチユーザMIMOシステムが近年注目を集めている。
MIMO技術を用いた理論的な最大伝送容量Cは、以下の式で求めることが理論的に導出することができる(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0004566921
上記数式(1)において、ρは信号対雑音電力比、Mは送信アンテナ素子数、Iは、受信素子数N×Nの単位行列である。また、Hは、送信アンテナと受信アンテナ間の伝搬チャネル応答を表す伝達関数行列であり、以下の数式(2)で記述することができる。
Figure 0004566921
ここで、hijはi番目の送信アンテナからj番目の受信アンテナへの伝搬路のチャネル応答である。数式(1)より、MIMO伝送においては、まず、従来のシステムと同様に、SNR(Signal−to−Noise Ratio)を上げることが重要である。さらに、MIMO伝送では、アンテナ間の相関を下げることが必要となる。
ここで、SNRは、基地局と端末間の距離、送信電力、基地局と端末との間の見通しなどで決定されるため、基本的には、基地局と端末との位置関係で決定されるファクタである。一方、相関は、使用するアンテナ構成(素子数,素子指向性,素子間隔,偏波など)や伝搬チャネル(角度,遅延ひろがり)などに大きく依存することが知られている。屋内環境では、この相関値が比較的低い値を取ることが知られているが、屋外環境では、伝搬路の角度ひろがりが小さくなるため、アンテナ間の相関が非常に高くなることが知られている。
図6は、従来技術による、送信アンテナ素子2素子,受信アンテナ素子2素子とした場合に、伝達関数行列Hに対して相関値を変化させた場合のMIMO伝送の伝送容量を示す概念図である。図6は、数式(1)において、伝達関数行列Hに対して相関値を変化させた場合のMIMO伝送の伝送容量を示している。横軸はSNRを表し、縦軸は伝送容量を表す。図から分かるように、相関が非常に高くなることにより、MIMOの伝送容量が著しく低下する。したがって、MIMOチャネルでは、アンテナ間の相関を下げることが非常に重要である。
アンテナ間の相関を下げながら、MIMOの伝送を行う手法として、図7に示す直交偏波を用いるMIMO構成が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。図7に示すように、送信側では、信号生成部1により直交する異なる偏波の2つの信号S1、S2を生成し、該信号S1、S2を、各々、送信機2−1、2−2により、直交する2つのアンテナ3−1、3−2から送信する。受信側では、同様の直交する2つのアンテナ5−1、5−2を用いて受信機6−1、6−2で送信側からの信号を受信し、復号処理部7で上記信号S1、S2を取り出す。上記構成では、伝搬路4により、受信信号における偏波の識別度は若干劣化するものの、屋外環境などでは、数dB程度の交差偏波識別度を確保することができる。
このため、受信側で予め2個の偏波の分離を行うとともに、ゼロフォーシング(ZF)やMMSE(Minimum Mean Square Error)などの干渉キャンセラを用いることで、アンテナ間の相関が高い場合でも、MIMO伝送による容量が低下しないことが報告されている。また、この方法では、通常の垂直偏波でアンテナを用いるよりも、アンテナのサイズを小型化することが可能である。
I.E. Telatar, "Capacity of multiantenna Gaussian channels", Euro. Trans. Telecommun., vol.1, no.6, Nov./Dec. 1999. Paulaj et al., Introduction to Space Time Wireless Communications, Cambridge Publisher, 2003
しかしながら、上述した従来技術による、直交偏波を用いたMIMO構成では、以下のような問題が生じる。直交偏波で受信する受信電力は、垂直偏波で得られる受信電力よりも一般に小さいことが得られている。移動通信環境では、直交偏波を用いた受信電力は垂直偏波を用いた受信電力よりも3dB程度低くなることが知られている。図8は、図6の結果に対し、相関が低くなる状況(図6:相関=0,0.7)では、相関が高くなる状況(図8:相関=0.98,1)に対して、SNRが3dB低くなると仮定した場合の伝送容量の違いを示す概念図である。
図から明らかなように、例え、相関を低くすることができたとしても、SNRが低い領域では、相関が高いアンテナ構成の方が有利になる。こういった領域は、無線通信では、ゾーン端や、もしくはシャドーイングなどにより見通しがよい環境となる場合である。一般に、移動通信環境では、数十dB程度のダイナミックレンジを確保しており、SNRのとり得る範囲が大きい。このため、従来技術では、広いSNRの範囲で有効となる、実現が難しいMIMO用のアンテナ構成が必要となるという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、マルチユーザMIMOの中継用アンテナのような比較的環境変動が小さくなるような環境下であっても、簡易なアンテナ構成で高い伝送容量を得ることができる無線通信装置およびアンテナ制御方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置であって、前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力と相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択し、前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、垂直偏波および水平偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とする無線通信装置。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置であって、前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力と相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナ素子として選択するアンテナ選択手段を具備し、前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、+45度および−45度偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とする無線通信装置。
本発明は、上記の発明において、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定する受信電力測定手段と、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定する相関値測定手段と、前記受信電力測定手段により測定された受信信号電力と前記相関値測定手段により測定された相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得する伝送容量取得手段とを具備し、前記アンテナ選択手段は、前記伝送容量取得手段により取得された、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択することを特徴とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置におけ2るアンテナ制御方法であって、前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定するステップと、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定するステップと、前記受信信号電力と前記相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得するステップと、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するステップとを含み、前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、垂直偏波および水平偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とするアンテナ制御方法。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置におけるアンテナ制御方法であって、前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定するステップと、前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定するステップと、前記受信信号電力と前記相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得するステップと、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するステップとを含み、前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、+45度および−45度偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とするアンテナ制御方法。
この発明によれば、第1のアンテナ群を、少なくとも2種類以上の異なる特性を有する複数のアンテナ素子群から構成し、アンテナ選択手段によって、複数のアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力と相関値とに基づいて、複数のアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択する。したがって、マルチユーザMIMOの中継用アンテナのような比較的環境変動が小さくなるような環境下であっても、簡易なアンテナ構成で高い伝送容量を得ることができるという利点が得られる。
以下、本発明の一実施形態による無線通信装置を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。図において、無線通信装置は、送信信号生成部11、2つの送信機12−1、12−2、サーキュレータ13−1、13−2、スイッチ14、アンテナ素子群15−1、15−2、2つの受信機16−1、16−2、受信電力測定部17、相関値測定部18、伝送容量テーブル19、伝送容量参照部20、スイッチ切替制御部21を備えている。
送信信号生成部11は、送信信号S1、S2を生成し、送信機12−1〜12−2に供給する。送信信号生成部11は、例えば、MIMO伝送において空間分割多重伝送を行う場合には、送信すべき信号をシリアル−パラレル変換する機能を有する。また、時空間符号化伝送を行う場合には、Alamouti法に基づく信号変換方法などに従って信号を変換する機能を有する。この機能は、MIMO伝送における基本機能であり、例えば、「文献:大鐘,MIMOシステムの基礎と要素技術,アンテナ・伝播における設計・解析手法ワークショップ,W29,30」などに開示されている。
送信機12−1、12−2は、サーキュレータ13−1、13−2を介して、スイッチ14によって選択されたアンテナ素子群15−1またはアンテナ素子群15−2のいずれかから信号S1、S2を送信する。なお、送信アンテナの選択については後述する。受信機16−1、16−2は、スイッチ14により切り替え制御されるアンテナ素子群15−1およびアンテナ素子群15−2により受信した、図示しない他の無線通信装置からの信号を、サーキュレータ13−1、13−2を介して受信する。受信電力測定部17は、受信機16−1、16−2により受信された各信号の受信電力を測定する。相関値測定部1は、受信機16−1、16−2により受信された各信号の相関値を測定する。
伝送容量テーブル19は、テーブル化された、受信電力と相関値に対する伝送容量とを予め記憶している。伝送容量参照部20は、それぞれのアンテナ素子群で受信された信号の受信電力と相関値とが入力されると、上記伝送容量テーブル19を参照して、それぞれの受信電力と相関値とに対する伝送容量を取得する。
前述したように、MIMO伝送の伝送容量は、受信電力と相関値とで表すことが可能であり、これらの値を求めれば、どのアンテナ素子群が送信すべきアンテナとして適切かを判定することができる。また、伝送容量を毎回求めるには、伝搬チャネル応答を正確に求める必要がある。このため、求めた受信電力と相関値とから、伝送容量を容易に得ることを可能にするために、上述した伝送容量テーブル19および伝送容量参照部20とを設けている。
スイッチ切替制御部21は、伝送容量参照部20により取得されたそれぞれの伝送容量を比較し、大きな伝送容量に対応するアンテナ素子群を送信アンテナとして用いるべく、スイッチ14に対して切り替え制御を指示する。スイッチ14は、スイッチ切替制御部21からの切り替え制御指示に従って、サーキュレータ13−1、13−2にどちらかのアンテナ素子群を接続するようになっている。これにより、送信機12−1、12−2からの信号は、スイッチ14によって選択されたアンテナ素子群15−1、またはアンテナ素子群15−2のいずれかの伝送容量が大きい方から送信されることになる。
本第1実施形態では、複数のアンテナ素子群(本第1実施形態では2つ)を用意し、使用するアンテナを受信電力や相関値などのMIMOの伝送容量を決定するパラメータから得られる結果に従って、いずれかのアンテナ素子群を選択することにより、受信電力に依存することなく、良好なMIMO伝送を実現する。複数のアンテナ素子群は、各アンテナ素子群間で、偏波、指向性、配置、素子間隔が異なる複数のアンテナ素子から構成される。図1に示す構成では、複数のアンテナ素子群として、Z方向(垂直配置)のアンテナ素子群15−1とX方向(水平配置)のアンテナ素子群15−2を備えている。
なお、複数のアンテナ素子群としては、後述する第2、第3の実施形態で説明するように、垂直偏波やそれと直交する水平偏波を持つアンテナ素子群や、±45度偏波のアンテナ素子群、あるいは右旋・左旋偏波のアンテナ素子群、指向性が異なるアンテナ素子群であってもよい。さらに、図1のアンテナ素子群は2つであるが、3つ以上であってもよい(後述する図5を参照)。
次に、図2は、本第1実施形態による無線通信装置のアンテナ制御動作を説明するためのフローチャートである。図1に示す構成では、2種類のアンテナ素子群、すなわちアンテナ素子群15−1、15−2が存在するため、それぞれのアンテナ素子群に対して、図2に示すステップS1〜S5、ステップS6〜S10の処理を繰り返す。このステップは、アンテナ素子群の数と一致する。なお、どちらから始めてもかまわない。
まず、アンテナ素子群(垂直偏波アンテナ素子群)15−1で信号を受信し(S1)、該受信電力を受信電力測定部17で測定し(S2)、相関値を相関値測定部18で測定する(S3)。次に、受信電力と相関値とを伝送容量参照部20に入力し(S4)、伝送容量テーブル19から伝送容量Cvを取得する(S5)。
同様に、アンテナ素子群(水平偏波アンテナ素子)15−2でも同じ処理を行い(S6〜S10)、伝送容量Chを取得する。次に、スイッチ切替制御部21において、伝送容量Cvと伝送容量Chとを比較し、伝送容量Cvが伝送容量Chより大であるか否かを判定する(S11)。そして、伝送容量Cvの方が大きい場合には、アンテナ素子群15−1を選択するようにスイッチ14に対して切り替え制御を指示する(S12)。これにより、送信機12−1、12−2からの信号は、アンテナ素子群15−1から送信される(S14)。
一方、伝送容量Chの方が大きい場合には、アンテナ素子群15−2を選択するようにスイッチ14に対して切り替え制御を指示する(S13)。これにより、送信機12−1、12−2からの信号は、アンテナ素子群15−2から送信される(S14)。
上述した第1実施形態によれば、MIMO通信している場所に関係なく、その場所で与えられる電力にとって最も適切なアンテナを用いてMIMO伝送を行うことができる。
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。この構成では、図1に示す構成とは異なり、相関値の測定を行わず、受信電力だけを測定し、該受信電力の大小に従って、送信に用いるべきアンテナ素子群を決定することを特徴としている。
一般に、平均的な相関値は、例えば、屋内、屋外の差、あるいは基地局が設置されている高さなどに依存することが知られている。例えば、設置時に基地局の高さが分かり、おおよその相関値が予め分かっていれば、受信電力だけでアンテナ素子群の選択を行うことができ、非常に簡易な方法で効率的に送信アンテナを決定することができる。なお、本第2実施形態では、複数のアンテナ素子群として、Z方向(垂直配置)のアンテナ素子群15−1と、±45度偏波のアンテナ素子群15−3とを備えている。
本第2実施形態でのアンテナ制御動作は、アンテナ素子群15−2に代わって、±45度偏波のアンテナ素子群15−3を用いる点、また、相関値を求めず、通信状況から予め分かっている相関値と受信電力測定部17で測定したそれぞれのアンテナ素子群の受信電力との差分から得られるしきい値に基づいて、スイッチ切替制御部21により、前記複数のアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして決定し、スイッチ14を切り替え制御して送信に用いるべきアンテナ素子群を選択する点を除けば、基本的に、前述した第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、スイッチ切替制御部21において、何らかの相関値の情報が必要になる。ある無線システムの想定される使用環境において、相関値が概ね所定の値であると期待される場合には、システム固有の値として固定的に設定しておいても構わない。ないしは、無線通信装置を設置する際に、相関値情報を外部から無線通知装置に対して設定しても構わない。この場合、必ずしも相関値そのものを値として入力する必要はなく、例えば、屋内・屋外の選択、設置時の基地局の高さ情報、無線システムの種別などを選択して入力し、それらの組み合わせに対応する相関値をメモリテーブル等から参照して設定することも可能である。
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図4は、本発明の第3実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。本第3実施形態では、図4に示すように、複数のアンテナ素子群として、異なる方向(X、Y、Z)のアンテナ素子群15−4、アンテナ素子群15−5、アンテナ素子群15−6が設けられている。ここで、アンテナ素子群15−4の各アンテナ素子の方向をX1、Y1、Z1、アンテナ素子群15−5の各アンテナ素子の方向をX2、Y2、Z2、アンテナ素子群15−6の各アンテナ素子の方向をX3、Y3、Z3とする。
送信機12−1、12−2、12−3は、各々、それぞれのアンテナ素子群15−4〜15−6のX、Y、Z方向のいずれかに切り替え可能に接続することができるようになっている。すなわち、スイッチ14−1、14−2、14−3は、(X1、X2、X3)を選択することも可能であるし、(Y1、Y2、Y3)、(Z1、Z2、Z3)や、(X1、Y2、Z3)といったアンテナ素子を選択することも可能である。この構成では、スイッチ14−1、14−2、14−3として、3分岐スイッチといった汎用のスイッチを用いることができ、より容易に実装することが可能になる。
本第3実施形態でのアンテナ制御動作は、異なる方向(X、Y、Z)のアンテナ素子からなるアンテナ素子群15−4、15−5、15−6を用いる点、受信電力測定部17で測定したそれぞれのアンテナ素子群の各アンテナ素子に対する受信電力、および相関値からそれぞれの伝送容量を求め、該伝送容量の大小に従って、スイッチ切替制御部21によりスイッチ14−1〜14−3を切り替えて送信に用いるべきアンテナ素子を選択する点を除けば、基本的に、前述した第1または第2実施形態と同様である。
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図5は、本第4実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、図4に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。本第4実施形態では、図5に示すように、複数のアンテナ素子群として、それぞれが異なる方向のアンテナ素子からなるアンテナ素子群15−7、アンテナ素子群15−8、アンテナ素子群15−9が設けられている。アンテナ素子群15−7のアンテナ素子は、Z方向(Z1、Z2、Z3)に配置されており、アンテナ素子群15−8のアンテナ素子は、X方向(X1、X2、X3)、アンテナ素子群15−9のアンテナ素子は、X、Y、Z方向(X、Y、Z)に配置されている。送信機12−1、12−2、12−3は、各々、それぞれのアンテナ素子群15−7〜15−9のいずれかに切り替え可能に接続することができるようになっている。
本第4実施形態でのアンテナ制御動作は、それぞれが異なる方向のアンテナ素子からなるアンテナ素子群15−7、アンテナ素子群15−8、アンテナ素子群15−9を用いる点を除けば、基本的に、前述した第1または第2実施形態と同様である。
上述した第1ないし第4実施形態によれば、SNRが場所により大きく異なるような移動通信環境においても、高い伝送容量を得ることが可能となる。
なお、本発明の第1実施形態においては、選択可能なアンテナの組み合わせは、図1におけるアンテナ15−1またはアンテナ15−2の2種類であった。したがって、図2の説明においては、ステップS1〜S5、およびステップS6〜S10の2種類の処理を別途行い、この結果としてステップS11において二者択一を行い、スイッチ14による切り替えを行っていた。しかし、本発明の第3実施形態では、アンテナの組み合わせパターンは、全部で27通り(3×3×3通り)であり、また、第4実施形態では、アンテナの選択肢は3通りである。この場合には、ステップS1〜S5、およびステップS6〜S10に相当する処理をその組み合わせの数だけ、ないしは、その一部分を実施し、その中で伝送容量を最大にするアンテナを選択するようにスイッチの切り替えを行う。
また、例えば、一続きの無線信号を受信する際に、ステップS1〜S5およびステップS6〜S10に相当する処理は、同時に行うことはできない。したがって、例えば、パケットベースでの通信であれば、1つの無線パケットを受信した際に、ステップS1〜S5に相当する処理を実施し、次の無線パケットを受信した際に、ステップS6〜S10に相当する処理を実施するなど、一連の受信処理の区切り毎に異なる処理を実施することも可能である。この場合、スイッチの切り替え処理は、取得済みの受信電力情報および相関値情報の中で最大の伝送容量を与えるアンテナの組み合わせを選択するようにスイッチを切り替えればよい。
ないしは、比較的環境変動が小さい環境の場合には、通信の開始前に選択可能な全てのアンテナの組み合わせに対し、ステップS1〜S5およびステップS6〜S10に相当する全ての処理を実施し、十分な学習の後にスイッチの選択を行っても構わない。この場合、ステップS11〜S13に相当する処理は、毎回行わなくても、一旦、判定を行った結果をメモリテーブル上に記録しておき、この内容を参照することで、ステップS14を実施しても、図2で説明した処理と等価な処理を実現できる。また、環境変動が完全に無視できない場合には、ある程度の間隔で定期的に最適なアンテナを再選択することも可能である。
本発明の第1実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本第1実施形態による無線通信装置のアンテナ制御動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本第4実施形態による無線通信装置の構成を示すブロック図である。 従来技術による、送信アンテナ素子2素子,受信アンテナ素子2素子とした場合に、伝達関数行列Hに対して相関値を変化させた場合のMIMO伝送の伝送容量の違いを示す概念図である。 従来技術による直交偏波を用いるMIMO構成を示すブロック図である。 図6の結果に対し、相関が低くなる状況では、相関が高くなる状況に対して、SNRが3dB低くなると仮定した場合の伝送容量の違いを示す概念図である。
符号の説明
11 送信信号生成部
12−1、12−2、12−3 送信機
13−1、13−2 サーキュレータ
14、14−1、14−2、14−3 スイッチ(アンテナ選択手段)
15−1〜15−9 アンテナ素子群(複数のアンテナ素子群)
16−1、16−2 受信機
17 受信電力測定部(受信電力測定手段)
18 相関値測定部(相関値測定手段)
19 伝送容量テーブル(伝送容量取得手段)
20 伝送容量参照部(伝送容量取得手段)
21 スイッチ切替制御部(アンテナ選択手段)

Claims (5)

  1. 複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置であって、
    前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力と相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するアンテナ選択手段を具備し、
    前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、
    前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、垂直偏波および水平偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とする無線通信装置。
  2. 複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置であって、
    前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力と相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するアンテナ選択手段を具備し、
    前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、
    前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、+45度および−45度偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とする無線通信装置。
  3. 前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定する受信電力測定手段と、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定する相関値測定手段と、
    前記受信電力測定手段により測定された受信信号電力と前記相関値測定手段により測定された相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得する伝送容量取得手段とを具備し、
    前記アンテナ選択手段は、前記伝送容量取得手段により取得された、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置におけるアンテナ制御方法であって、
    前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定するステップと、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定するステップと、
    前記受信信号電力と前記相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得するステップと、
    前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するステップと
    を含み、
    前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、
    前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、垂直偏波および水平偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とするアンテナ制御方法。
  5. 複数のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、前記第1のアンテナ群と他の無線通信装置が備える複数のアンテナで構成される第2のアンテナ群とにより構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信を行う無線通信装置におけるアンテナ制御方法であって、
    前記第1のアンテナ群は、異なる特性を有する2つのアンテナ素子群からなり、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の受信信号電力を測定するステップと、
    前記2つのアンテナ素子群の各々で受信される受信信号の相関値を測定するステップと、
    前記受信信号電力と前記相関値とに基づいて、前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量を取得するステップと、
    前記2つのアンテナ素子群の各々の伝送容量に基づいて、前記2つのアンテナ素子群のいずれかを送信用アンテナとして選択するステップと
    を含み、
    前記2つのアンテナ素子群は、垂直偏波を有する複数のアンテナ素子からなる第1のアンテナ素子群と、2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子からなる第2のアンテナ素子群とから構成され、
    前記2つの偏波特性を有する複数のアンテナ素子は、+45度および−45度偏波を有する複数のアンテナ素子であることを特徴とするアンテナ制御方法。
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