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JP4565095B2 - マイクロプラズマcvd装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス、金属、セラミックス、ポリマー等の各種基板材料の表面にグラファイト及びグラッシーカーボン等のカーボン系物質に代表される無機系物質を大気圧下において、非加熱基板上にマイクロメートルオーダーの領域にマスク等を用いずに直接に堆積させることを可能とする高密度マイクロプラズマCVD装置に関する。
グラファイト及びグラッシーカーボン等のカーボン系物質に代表される各種の無機系材料を基板上に堆積させるためには、これらの材料の融点が非常に高くまた、その結晶構造の誘起のために、高温に加熱した基板や、高温場を利用した調製が用いられている。例えば、近年盛んに研究されているカーボンナノチューブ等は、CVD法では500℃以上に加熱した基板上に、またレーザーアブレーション法では1000℃程度の高温場で調製されている。ガラス、セラミック及び金属等の耐熱性を有する基板上のみならず、ポリマー及び有機分子膜等の非常に熱に弱い材料からなる基板上に、又は、これらの材料を前もって集積させた基板上に、このような無機系材料を堆積させて、これらの有機系材料を破壊することなく無機系材料との複合化を図るためには、高温に加熱した基板又は高温場を必要としない無機系材料析出技術が要求される。
半導体等のプロセッシングにおいて、しばしば用いられている、スパッタリング等に代表されるプラズマプロセスにおいては、安定にプラズマを発生するために、通常、数mTorrから数十mTorr程度の真空中において無機系材料の堆積がなされている。しかしながら、ポリマー及び有機分子膜等の基板上に、又は、これらの材料を前もって集積させた基板上に、プラズマプロセスを用いて無機系材料を基板上に堆積させる場合、これらの基板材料からのガス発生又は基板自身に含まれている揮発性成分の蒸発のために、堆積物中への不純物の混入や欠陥の発生がおこるため、プラズマプロセスを用いるのは必ずしも好ましいことではなかった。
一方、半導体等の電子デバイスにおいては、その微細化が進んでおり、リソグラフィーを用いた微細化が図られている。マイクロメートルスケールの空間に直接に材料を堆積できれば、半導体等の電子デバイス作製においてリソグラフィーの工程を省くことができることから、マイクロメートルスケールの空間に無機系材料を直接堆積できる技術も要求されている。
本発明の目的は、簡単な工程で各種基板材料の表面にグラファイト及びグラッシーカーボン等のカーボン系物質に代表される無機系物質を、減圧下乃至加圧下において、基板を格別に加熱することなく、マイクロメートルオーダーの領域にマスク等を用いずに、直接に堆積させることである。
本発明は、円筒状の絶縁材料製プラズマトーチ、プラズマガス供給系、プラズマ発生用高周波電源、マッチングボックス、プラズマ点灯用イグナイター、雰囲気ガス吹き付けノズル及び堆積基板の位置を制御する3軸マニピュレーター等から構成される高密度マイクロプラズマCVD装置により、上記課題を解決するものである。
例えば、カーボンナノチューブ系の材料を基板上に堆積させるためには、アルゴン等の不活性ガスに代表されるプラズマガス中にメタン等の炭化水素ガスを混合しプラズマノズルに供給すればよい。あるいは、炭化水素ガスを含むガスを高密度プラズマと同時に非加熱基板上へ吹き付けることによっても可能である。このような無機系材料の調製は大気圧ばかりでなく減圧条件下乃至高圧条件下においても可能である。
本発明の高密度マイクロプラズマCVD装置によってカーボン系の材料が200μm程度の領域に格別の基板加熱をすることがなく大気圧下において調製できる。ここでは、炭化水素ガスを含むプラズマガスの流量を制御することによってカーボン系物質の構造を制御できることも明らかとなった。
図1及び2に、二つの異なるマイクロプラズマCVD装置の概要を示し、図3に、二つの異なる形状のプラズマトーチを示す。図1と図2の装置の違いは、プラズマ点灯方式の違いによる。これらは、プラズマ点火用のコイルおよび接地点(グランド)の違いから生じる。図1の場合、イグナイターから15kVの高電圧を、図3に示したように、プラズマ点灯用コイルへ数秒間印加してプラズマ点灯用コイルとプラズマトーチ内のワイヤー間での放電を誘起させ、これを利用してプラズマを点灯させる形式のものである(プラズマ点灯方式1)。
これに対し、図2の場合、イグナイターの高電圧は、プラズマトーチ接続口に印加され、キャピラリー支持パイプを介してワイヤーへも高電圧が印加される。その結果ワイヤーと高周波コイル間で放電が誘起され、これによりプラズマが点灯する(プラズマ点灯方式2)。この場合、図3に記載のプラズマ点灯用コイルは、不要である。このようなプラズマ点灯の方式の違いは、使用するプラズマガス、雰囲気ガス種、圧力等によって最適のものを選択することができる。さらに、高周波の出力によっては、ワイヤー及びプラズマ点灯用コイル、イグナイターを省くことも可能である。
また、本プラズマ装置で使用可能な高周波周波数は10kHzから1GHzで、その電力は0.1Wから100W程度の高周波を利用することができる。また、効率よく高周波の電力をプラズマトーチに供給するためには高周波のマッチングが非常に重要であり、プラズマ点灯後には直ちにマッチングボックスによりコイルから高周波電源へ戻ってくる反射波が望ましくは全く無くなるように、あるいは最低となるように調製する必要がある。
図3には使用可能なプラズマトーチの形状を示した。プラズマトーチはCVD装置のプラズマトーチ接続口に挿入して使用される。プラズマトーチは、キャピラリー支持パイプならびにキャピラリー、ワイヤーから構成される。前述したようにワイヤー及びプラズマ点灯用コイルは、キャピラリーの内径が500μm以上においては、省くことも可能であるが、高い高周波電力を必要とする。ワイヤーにはタングステン、タンタルなど高融点の金属を用いるのが望ましい。キャピラリー支持パイプの材質はステンレス等導電性のものが望ましいが、イグナイターによるプラズマ点灯を必要としない場合は、導電性がなくてもよくポリマーやセラミック等の材質でも良い。キャピラリーの材質については絶縁材料である必要があり、石英ガラスやセラミックスやポリマーなどを用いることができる。
形状については図3にあるように円筒状の形状ならびに先端部分が細くなった形状のもの等を使用することができ、キャピラリーの高周波コイル部分の内径は500nmから2000μmが望ましい。
基板支持部は、3軸マニピュレーターに接続されており、プラズマトーチ先端部との距離を変化させることが可能となっており、基板とプラズマトーチ先端部との距離は0mm以上100mm以下に調整が可能である。基板上のマイクロメートル以下の領域に材料を堆積させる場合には基板とプラズマトーチ先端部との距離が5mm以下であることが望ましく、この距離を変化させることによって堆積材料のサイズを制御することができる。また、基板を左右に動かすことによって線状に材料を堆積することも可能である。したがって基板を前後左右に移動させることによってマスク等を用いずにマイクロメートルの領域にパターンを描くことができる。
次に、具体的にカーボン系材料を堆積させる工程を以下に説明する。反応容器をまず真空ポンプで50mTorr以下の圧力に一度減圧し、そこへ雰囲気ガス、たとえば空気、アルゴン、メタン等の炭化水素とアルゴンの混合ガス等を所定の圧力になるようにガス導入パイプより満たす。プラズマガス導入パイプを通してアルゴンあるいはアルゴンと炭化水素の混合ガスを供給する。このとき総ガス供給量は、0.5ccmから200ccmに変化させることができる、また、炭化水素ガスの濃度を1%から5%に変化させることもできる。通常炭化水素ガスの濃度を5%以上に高くするとプラズマの安定性が低下し、プラズマが点灯しないこともある。
プラズマガスの流量が安定したところで、450MHz程度の高周波を35Wの出力で高周波コイルに印加する。これにより、キャピラリー内のコイル捲き回し部分に高周波電磁界が発生し、それと共にコイル内に届いているワイヤー22の先端部が高周波誘導加熱を受け、加熱状態となる。この状態において、イグナイター8を作動させ、点火用コイル6に、例えば、15kV程度の高電圧を印加すると、キャピラリー内の先端部分に放電が発生し、この放電により発生したプラズマを種火として、高周波コイル7を介して供給された高周波電力による誘導プラズマが発生する。発生した誘導プラズマは、高温状態のワイヤー22から発生される熱電子の供給を受け、安定に維持される。その結果、キャピラリーチューブの先端からは、微少径を持つプラズマフレームが噴出する。その後高周波のマッチングをとった後に、基板上にカーボン系材料を堆積させる。場合によっては、アルゴンガスだけによってプラズマを点灯させ、メタンガスをパイプより基板に吹き付けて堆積を行うことも可能である。
前記の装置を使い、プラズマトーチとして先端の直径がおよそ100μmの石英ガラスキャピラリーを用いて空気中760mTorrの圧力、プラズマガスとして1%メタン−アルゴン混合ガス、基板にハステロイおよびシリコンウェハーを用い、基板とプラズマトーチ先端部との距離を2mmにして行った。プラズマガスの供給量を50、100、200ccmの異なる3つの流量でそれぞれ2分間基板上にカーボン系材料を堆積させた。図4にプラズマガス供給量が50ccmおよび100ccmで作製した堆積物の走査電子顕微鏡写真を示した。供給量が50ccmで調製した場合、基板上に球状の物質が堆積していた(図4−1)。一方、100ccmで作製した場合は、球状の物質は観察できなかった(図4−2)。200ccmで調製した場合にも球状の物質が堆積していた。また、どの場合にも堆積物は直径200μmの円状に堆積しており、そのサイズは、プラズマガスの供給量にはそれほど依存しない。
得られた3種類のカーボン系物質堆積物の微細構造を透過電子顕微鏡によって調べた。図5、6および7、にプラズマガス供給量がそれぞれ50ccm、100ccmおよび200ccmで作製した堆積物の透過電子顕微鏡写真ならびに電子線回折パターンを示した(ただし図6については透過電子顕微鏡写真のみ)。プラズマガス供給量が50ccmで作製した堆積物は球状でかつ電子回折パターンがグラファイトに一致することからカーボンポリへドロンである。
一方、プラズマガス供給量が100ccmで作製した堆積物においてはグラファイトの層状構造が観察され、堆積物はクラファイトであった。またプラズマガス供給量が200ccmで作製した堆積物においては、球状ではあるものの、その電子線回折パターンは、ハーローパターンであることから、堆積物は、アモルファス状カーボンであった。
プラズマ点灯方式1を用いた高密度マイクロプラズマCVD装置図 プラズマ点灯方式2を用いた高密度マイクロプラズマCVD装置図 高密度マイクロプラズマCVD装置に用いるプラズマトーチの形状図 高密度マイクロプラズマCVD装置により作製したカーボン系物質堆積物の走査電子顕微鏡写真 高密度マイクロプラズマCVD装置によりプラズマガス供給量50ccmで作製したカーボン系物質堆積物の透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターン 高密度マイクロプラズマCVD装置によりプラズマガス供給量100ccmで作製したカーボン系物質堆積物の透過電子顕微鏡写真 高密度マイクロプラズマCVD装置によりプラズマガス供給量200ccmで作製したカーボン系物質堆積物の透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターン
符号の説明
1 プラズマガス導入パイプ
2 パイプ
3 絶縁フランジ
4 プラズマトーチ接続口
5 プラズトーチ
6 プラズマ点火用コイル
7 高周波コイル
8 イグナイター
9 高周波電源
10 高周波マッチングボックス
11 基板
12 基板用支持台
13 軸
14 3軸マニピュレーター
15 反応容器
16 プラズマガス導入バルブ
17 ガス導入バルブ
18 ガス導入パイプ
19 圧力調製バルブ
20 真空ポンプ
21 キャピラリー支持パイプ
22 ワイヤー
23 キャピラリー

Claims (5)

  1. マイクロプラズマCVD装置であって、該装置は、反応容器内に、先端に基板が取り付けられた基板支持台、円筒状の絶縁材料プラズマトーチ、プラズマガス供給系、該プラズマガスを励起する高周波コイル、該コイルに高周波電力を供給するプラズマ発生用高周波電源、該基板の位置を制御する制御装置から成り、前記プラズマトーチは、該トーチ内のプラズマ発生領域近傍にワイヤーを備えるとともに、プラズマトーチ接続口、キャピラリー支持パイプ及び上記ワイヤーを電気的に導通し、該ワイヤーと上記高周波コイルの間に高電圧を印加することにより、上記プラズマガスの電離を行うことを特徴とするマイクロプラズマCVD装置。
  2. 上記ワイヤーは、高融点金属であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロプラズマCVD装置。
  3. 上記プラズマガス供給系は、該プラズマガス及び基板に堆積させるための堆積用ガスが供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロプラズマCVD装置。
  4. 上記マイクロプラズマCVD装置には、上記プラズマガス供給系の他に基板に堆積させるための堆積用ガスを供給する堆積用ガス供給系を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかの請求項に記載のマイクロプラズマCVD装置。
  5. 上記プラズマガスは、アルゴンであり、上記堆積用ガスは、炭化水素であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの請求項に記載のマイクロプラズマCVD装置。
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