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JP4562275B2 - 電気部品装着システムおよびそれの精度検査方法 - Google Patents

電気部品装着システムおよびそれの精度検査方法 Download PDF

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JP4562275B2
JP4562275B2 JP2000343641A JP2000343641A JP4562275B2 JP 4562275 B2 JP4562275 B2 JP 4562275B2 JP 2000343641 A JP2000343641 A JP 2000343641A JP 2000343641 A JP2000343641 A JP 2000343641A JP 4562275 B2 JP4562275 B2 JP 4562275B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気部品(電子部品を含む)をプリント配線板等の回路基材に装着する電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の検査に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気部品のリード線間隔の短縮や、装着密度の向上などの要求を満たすために、電気部品の装着精度の向上が強く求められている。装着精度を向上させるために、部品保持具,その部品保持具に保持された電気部品を撮像する撮像装置,電気部品が装着される回路基材の基準マークを撮像する撮像装置等、電気部品装着システムの装着精度に関連する部分のいずれか1つに対する他の相対位置ずれを取得し、それら相対位置ずれに基づいて電気部品装着システムの装着作業を制御することが既に行われている。従来の精度検査方法の1つにおいては、電気部品装着システムの製造時および整備時に、特別な検査装置を用いて前述の相対位置ずれが取得され調整が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発明の効果】
しかし、相対位置ずれの検出に特別な検査装置を必要とし、例えば、電気部品装着システムのユーザが簡易に検査を行うことはできなかった。
また、相対位置ずれは、気温の変化や、サーボモータの発熱,ボールねじ摩擦による温度上昇等に伴い、装着装置全体に変形が生じればその都度変化し、さらに、システム構成部品の摩耗や変形によっても変化する。したがって、装着精度を向上させるためには、相対位置ずれを頻繁に検出して、その変化に対応しなければならない。それに対し、従来の精度検査方法や装置においては、相対位置ずれの検出誤差を排除するために、相対位置ずれを複数回(理想的には数十回)検出して平均値を取得していたので、相対位置ずれの検出を頻繁に行うことができず、相対位置ずれの変化に十分に対応することが困難であった。
さらに、従来の精度検査においては、取得された装着精度に関連する固有値が絶対視されていた。上記のように、一時期に同じ固有値の検出を複数回行い、それらの平均値を真の固有値であるとすることは行われていたが、一旦真の固有値とされた値は、次に精度検査が行われるまでは、不変の値として使用されていたのである。しかし、実際には上記のように固有値の多くは装着作業の進行に伴い、あるいはシステムの使用量の累積に伴い変化する。
【0004】
本発明は、以上の事情を背景とし、電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の精度検査を改良すること、さらに具体的には、相対位置ずれ等、装着精度に関連する固有値を、簡易に、あるいは装着作業の進行やシステム使用量の累積に伴う変化に追従可能に検出できるようにすることを課題として為されたものであり、本発明によって、電気部品を保持する部品保持具と、周回する一対のベルトとそれらベルトを案内する一対のガイドレールとを備えて前記回路基材を搬送する基材コンベヤと、その基材コンベヤにより部品装着位置に搬送された回路基材を支持する基材支持装置と、前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像する第1撮像装置と、前記基材支持装置に支持された回路基材の少なくとも一部を撮像する第2撮像装置とを含み、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の精度を検査する方法であって、前記ガイドレールの上面の少なくとも1か所であって前記回路基材と干渉しない部分に載置部を設け、その載置部から前記部品保持具に検査用チップを保持させ、その検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において検査用チップの少なくとも一部をそれぞれ前記第1撮像装置により撮像した後、その部品保持具にその検査用チップを前記載置部に載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を前記第2撮像装置により撮像し、前記複数の回転位置の各々において前記第1撮像装置により撮像された検査用チップの複数の像に基づいて前記部品保持具,前記検査用チップおよび前記第1撮像装置の相対位置ずれである第1相対位置ずれを取得するとともに、前記第2撮像装置による前記検査用チップの撮像結果に基づいて前記検査用チップと前記第2撮像装置との相対位置ずれである第2相対位置ずれを取得し、それら第1および第2相対位置ずれに基づいて、前記部品保持具,前記第1撮像装置および前記第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つの相対位置ずれを取得することを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法が得られる。
また、本発明によって、(a)周回する一対のベルトとそれらベルトを案内する一対のガイドレールとを備えて、電気部品を装着すべき回路基材を搬送する基材コンベヤと、(b)その基材コンベヤにより部品装着位置に搬送された回路基材を保持する基材保持装置と、(c)電気部品を保持する部品保持具を前記基材保持装置に保持された回路基材に対して、その回路基材の表面に平行な方向に相対移動させる移動装置と、(d)前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像可能な第1撮像装置と、(e)前記回路基材の少なくとも一部を撮像可能な第2撮像装置と、(f)それら部品保持具,移動装置,第1撮像装置および第2撮像装置を制御することにより前記電気部品を前記回路基材に装着させる制御装置とを含む電気部品装着システムであって、前記ガイドレールの上面の少なくとも1か所であって前記回路基材と干渉しない部分に設けられた載置部を含み、かつ、前記制御装置が、前記部品保持具に前記載置部から検査用チップを保持させ、その検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において前記検査用チップの少なくとも一部をそれぞれ前記第1撮像装置に撮像させた後、その部品保持具にその検査用チップを前記載置部へ載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を前記第2撮像装置に撮像させ、前記複数の回転位置の各々において前記第1撮像装置により撮像された検査用チップの複数の像に基づいて前記部品保持具,前記検査用チップおよび前記第1撮像装置の相対位置ずれである第1相対位置ずれを取得するとともに、前記第2撮像装置による前記検査用チップの撮像結果に基づいて前記検査用チップと前記第2撮像装置との相対位置ずれである第2相対位置ずれを取得し、それら第1および第2相対位置ずれに基づいて、前記部品保持具,前記第1撮像装置および前記第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つの相対位置ずれを取得する検査用制御部を含むことを特徴とする電気部品装着システムが得られる。
このように、検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において検査用チップの少なくとも一部をそれぞれ第1撮像装置により撮像させれば、取得された複数の画像に基づいて部品保持具の位置を取得することができ、その保持具と検査用チップと第1撮像装置との相対位置ずれも取得することができる。また、検査用チップを載置部へ載置させて第2撮像装置に撮像させれば、検査用チップと第2撮像装置との相対位置ずれを取得することができる。しかも、載置部へ載置され、第2撮像装置により撮像される検査用チップは第1撮像装置により撮像されたものであるので、結局、検査用チップを媒体として、部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置の相対位置ずれを取得することができることとなる。
しかも、載置部をガイドレールの上面の少なくとも1か所であって前記回路基材と干渉しない部分に設けるものであるため、検査用チップの載置や撮像のために載置部を移動させる必要がなく、装置の構成が複雑になることを回避することができ、かつ、回路基材の搬入と搬出との間に、電気部品装着システムの精度検査を行うことができる。
本発明によって、さらに、下記各態様の精度検査方法,精度検査用記録媒体,電気部品装着システム等が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常にそれら事項をすべて一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
なお、以下の項の中には、特許請求の範囲の補正によって、特許請求の範囲に記載の発明でも、その下位概念の発明でもなくなたものも存在するが、特許請求の範囲に記載の発明を理解する上で有用な記載を含んでいるため、そのまま残すこととする。
【0005】
(1)電気部品を保持する部品保持具と、回路基材を支持する基材支持装置と、前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像する第1撮像装置と、前記基材支持装置に支持された回路基材の少なくとも一部を撮像する第2撮像装置とを含み、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の精度を検査する方法であって、
当該電気部品装着システム自体により、前記部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つのうちの少なくとも一方の相対位置ずれを検出することを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、電気部品装着システム自体により、それの装着精度を検査するので、装着精度の検査を簡易に行うことができる。したがって、頻繁に実行することも可能であり、気温の変化や、サーボモータの発熱,ボールねじ摩擦による温度上昇等に伴う装置全体の変形を逐次検出することも可能となる。なお、第1撮像装置と第2撮像装置とは、共通の撮像装置として構成されることも可能である。相対位置ずれには、いずれか1つに対する他の少なくとも1つの軸線の相対位置のずれと、軸線まわりの回転位置のずれである相対位相ずれとの少なくとも一方が含まれる。
(2)電気部品を保持する部品保持具と、回路基材を支持する基材支持装置と、前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像する第1撮像装置と、前記基材支持装置に支持された回路基材の少なくとも一部を撮像する第2撮像装置とを含み、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの装着精度に関連する部分を検査する方法であって、
前記部品保持具に検査用チップを保持させ、その部品保持具に保持された検査用チップの少なくとも一部を前記第1撮像装置により撮像した後、部品保持具に前記検査用チップを載置位置へ載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を前記第2撮像装置により撮像し、それら第1撮像装置の撮像結果と第2撮像装置の撮像結果とに基づいて、部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つのうちの少なくとも一方の相対位置ずれを検出する工程を含むことを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法は、同一の検査用チップについて、それが部品保持具に保持された状態と、載置位置へ載置された状態との撮像を行うことにより、検査用チップを媒体として、部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置のいずれか1つの他の2つのうちの少なくとも一方に対する相対位置を把握するものであり、電気部品装着システム自体の機能を利用して電気部品装着システムの部品装着精度に関連する部分の相対位置ずれを検出することができ、従来のように特別な治具を用いる必要がない。検査用チップとしては、検査専用に製造されたチップが望ましいが、装着されるべき通常の電気部品を使用することも可能である。
後に実施形態の項において詳細に説明するように、部品保持具と第2撮像装置との相対位置の変化が無視できるほど小さく、相対位置が不変と見なし得る場合、あるいは部品保持具と第2撮像装置と相対位置が予め検出されて判っている場合等には、本発明の実施に当たって部品保持具の位置を検出することは不可欠ではない。また、電気部品を支障なく保持し得る限り、部品保持具の実際の位置の正規の位置からのずれが装着位置精度に影響を与えない場合もあり、その場合にも部品保持具の位置を検出することは不可欠ではない。
電気部品装着システムは、例えば、部品保持具が回路基材の表面に沿った方向に移動させられることにより、電気部品が回路基材に装着される電気部品装着システムであってもよいし、部品保持具が電気部品を回路基材に装着する装着位置が固定的に定められ、回路基材支持装置により支持された回路基材が、装着位置に対して回路基材の表面に沿った方向に移動させられて、電気部品が回路基材に装着される電気部品装着システムであってもよい。
(3)前記第1撮像装置の撮像結果から、前記検査用チップと、前記部品保持具および前記第1撮像装置の少なくとも一方との相対位置ずれを取得するとともに、第2撮像装置の撮像結果から、第2撮像装置と載置された検査用チップとの相対位置ずれを取得する工程を含む(2) 項に記載の精度検査方法。
本項の記載の工程は、(2) 項に記載の精度検査方法における「第1撮像装置の撮像結果と第2撮像装置の撮像結果とに基づいて、部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つのうちの少なくとも一方の相対位置ずれを検出する工程の代表的な具体例である。
(4)前記部品保持具,第1撮像装置および第2撮像装置の相対位置ずれを検出する工程が、第2撮像装置の部品保持具と第1撮像装置との少なくとも一方に対する相対位置ずれを検出する工程を含む(2) 項または(3) 項に記載の精度検査方法。
第2撮像装置により回路基材を撮像して、現に保持されている電気部品の装着すべき装着位置を取得するのであるから、回路基材の位置に関連する第2撮像装置と、電気部品の位置に関連する部品保持具または第1撮像装置との相対位置を検出することが望ましい。特に、第1撮像装置と第2撮像装置との相対位置を検出すれば、電気部品の装着精度を向上させることが容易となる。
(5)前記検査用チップの前記部品保持具に対する位置ずれを取得した後、その位置ずれを修正して検査用チップを予め定められた載置位置へ載置させる (2)項ないし(4) 項に記載の精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、電気部品を回路基材に装着する場合と同様に、部品保持具に対する位置ずれを修正して載置した検査用チップの装着精度が検出される。この方法によれば電気部品の装着に関わるすべての部分の総合的な精度を検査することができる。それに対し、部品保持具に対する位置ずれを修正しないで検査用チップを載置位置へ載置させてもよい。この場合には、電気部品の部品保持具に対する位置ずれを修正する部分を除いた部分の精度を検出することができる。また、両方の検査を行って、両方の結果の差を取れば、電気部品の部品保持具に対する位置ずれを修正する部分のみの精度を検出することができる。
(6)前記検査用チップを、予め前記載置位置に準備しておく (2)項ないし(5) 項のいずれかに記載の精度検査方法。
検査用チップは、装着精度の検出毎に専用の供給装置により供給されるようにしてもよいが、その場合には、使用済みの検査用チップを排除する工程が必要となり精度検査のための作動が煩雑となる。それに対して、検査用チップを予め載置位置に準備しておけば、その検査用チップを載置位置から取り上げ、再び載置位置へ載置することを繰り返せばよく、使用済みの検査用チップを排除する工程を省略することができ、その分精度検査のための作動が簡略で済む。また、検査用チップが少量で済み、かつ、検査用チップを供給するチップ供給装置を設けずに済む。
(7)前記検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において第1撮像装置により検査用チップをそれぞれ撮像し、その撮像結果から検査用チップの部品保持具に対する位置ずれを取得する (2)項ないし (6)項のいずれかに記載の精度検査方法。
電気部品を回路基材に装着する際には、第1撮像装置により撮像される画像内における部品保持具の位置は不変であるとして、その不変の部品保持具位置と画像処理によって得られる電気部品の特定部分の位置(多くの場合中心位置)との位置ずれが、電気部品の部品保持具に対する位置ずれとして取得される。電気部品装着システムの装着精度を検査する際に、その電気部品を装着する場合と同様にして検査用チップの部品保持具に対する位置ずれを取得してもよいが、その場合は画像内における部品保持具の位置が正規の位置からずれている場合にそのずれを検出することができない。
それに対して、本項に記載の精度検査方法においては、部品保持具を回転させることによって検査用チップを複数の回転位置に回転させ、それら複数の回転位置における検査用チップを撮像し、得られた画像データに基づいて検査用チップの回転中心を取得し、その回転中心を部品保持具の位置として検出し得るとともに、その部品保持具の位置に対する検査用チップの位置ずれを正確に検出することができる。
(8)前記部品保持具の位置を、各回転位置において撮像された検査用チップの像の中心位置の全てを通過する円の中心として取得する(7) 項に記載の精度検査方法。
(9)前記複数の回転位置が360度を等角度間隔に分割した位置であり、前記部品保持具の位置を、各回転位置において撮像した検査用チップの像の中心位置の平均値として取得する(7) 項または(8) 項に記載の精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、部品保持具の位置を、検査用チップの像の中心位置の平均を算出することにより取得することができるので、部品保持具と検査用チップとの位置ずれを容易に取得することができる。1回の回転角度を小さくすれば、取得される検査用チップの中心位置のデータ数が増加し、中心位置の検出精度が高くなるが、所要撮像回数およびデータ処理が増加して検査に要する時間が長くなるため、90度程度が好適である。
(10)部品保持具により電気部品を保持し、基材支持装置に固定的に支持された回路基材の表面に平行な方向に前記部品保持具を移動させて、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの精度を検査する方法であって、
当該電気部品装着システムの作動中に、その電気部品装着システムの構成要素のうち、現に行われている装着作業に遅れを生じさせることなく使用可能な構成要素を使用して電気部品装着システムの電気部品の装着精度に関連する部分の精度検査を行うことを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、装着作業に遅れを生じさせることなく電気部品装着システムの装着精度を検査することができるので、装着システムの作動中に装着能率を低下させずに装着精度を検査することができる。
(11)前記回路基材の1つに対する電気部品の装着が終了し、その装着終了後の回路基材の搬出と次の回路基材の搬入とが行われる間に、前記部品保持具により前記検査用チップを前記載置位置に載置させ、その載置位置誤差を取得することにより、電気部品装着システムの精度を検査する(10)項に記載の精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、回路基材の搬入と搬出とが行われる間は、部品保持具や撮像装置が使用されないことを利用して、その間に装着精度を検出するので、装着作業中に作業能率を低下させずに装着精度の検査を行うことができる。部品保持具の回路基材の表面に平行な方向の移動により電気部品の装着を行う電気部品装着システムにおいて、上記載置位置を、回路基材上ではなく、かつ、回路基材搬送装置の可動部および搬送される回路基材と干渉しない位置に設定すれば、回路基材の搬入・搬出時であるか回路基材の静止中であるかに係わらず、部品保持具に検査用チップを載置位置に載置させることができる。
(12)前記載置位置を、前記基材支持装置上であって回路基材と干渉しない位置に設定した (10) 項または (11) 項に記載の精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、載置位置が基材支持装置上であってかつ回路基材と干渉しない位置に設けられることにより、精度検査と装着作業とが互に干渉し合うことを回避しつつ両者を実行することができる。例えば、載置位置に検査用チップが載置された状態で、回路基材に電気部品を装着する装着作業を行うことができるのである。
(13)前記載置位置を、前記基材支持装置上であってかつ移動不能である部分に設定した (10) 項ないし(12)項に記載の精度検査方法。
載置位置が移動部材上に設定される場合には、移動部材の加速,減速時に載置位置に載置された検査用チップが移動するおそれがあるのであるが、載置位置が移動不能な部分に設定されていれば、そのおそれがない。なお、載置位置は、第2撮像装置により撮像可能な範囲に設定される。
(14)部品保持具により電気部品を保持して回路基材に装着する電気部品装着システムの精度を検査する方法であって、
当該電気部品装着システムの装着精度に関連する固有値を、時間間隔をおいて複数回検出し、取得した複数個の固有値を積分的に処理して真の固有値とすることを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
上述の検査方法により取得された固有値には検出誤差が含まれる。本項に記載の精度検査方法においては、固有値が複数回取得されるので、その検出誤差の影響を小さくでき、真の固有値に近い値を得ることができる。しかも、複数回の固有値の検出が時間間隔をおいて行われ、検出結果が積分的に処理されるので、装着作業の進行に伴う固有値の変化や、電気部品装着システムの使用量の累積に伴う固有値の変化に追従することができる。
この方法は、電気部品装着システム自身により実行されてもよいし、装着システムとは別に装着精度を検査する精度検査装置が設けられ、その装置により実行されることとしてもよい。
上記積分的処理とは、過去に取得され、一旦真の固有値と見なされたものを尊重しつつ新たに取得された固有値により補正する補正処理の一種であって、過去の真の値と新しく取得された固有値との間の値を、新しい真の固有値とするものである。新しい真の固有値は、過去の真の固有値と、新しく取得された固有値との間の値であればどれでもよいが、ある内分点における値を新しい真の固有値とする場合は、それの内分比を一定としてもよいし、(16)項に記載するように補正を行った補正回数に応じて変化させてもよい。内分比は、過去の真の固有値と、新しく検出された固有値とをそれぞれどの程度尊重するのが妥当であるかに応じて決定されるべきものであり、固有値の変化が小さいと予測される場合ほど過去の真の固有値の尊重度合い(重み)が大きくされる。
(15)前記固有値の複数回の検出の各々を、前記電気部品を前記回路基材に装着する作業を間に挟んで行う(14)項に記載の精度検査方法。
上記複数回の固有値の検出の間に行われる電気部品の装着は、それ以前に検出された固有値に基づいて取得され、真の固有値と見なされた値に基づいて行われる。毎回の固有値の検出は1回でも複数回でもよいが、電気部品の装着作業の能率を低下させないで検出可能な回数とすることが望ましい。
本項に記載の精度検査方法によれば、電気部品の装着作業の進行や、電気部品装着システムの累積使用量の増加等に伴う固有値の変化に対応することができる。
(16)前記積分的処理が、過去の真の固有値と、新しく取得された固有値と、いままでに固有値を検出した検出回数とに基づいて新しい真の固有値を決定する(14)項または(15)項に記載の精度検査方法。
本項に記載の方法においては、検出回数に応じて前述の内分比を変化させつつ固有値が取得される。例えば、精度検査開始直後には、過去の真の固有値と今回検出された固有値との間の値であって、今回検出された新しい固有値に近い値が新しい真の固有値として取得され、固有値検出の回数が増加するにつれて今回検出された固有値より過去の真の固有値に近い値が新しい真の固有値とされるようにしたり、反対に今回検出された固有値に近い値が真の固有値とされるようにしたりすることができる。
(17)(1) 項ないし (9)項のいずれか1つに記載の精度検査方法であって、前記電気部品装着システムの作動中に、その電気部品装着システムの構成要素のうち、現に行われている装着作業に遅れを生じさせることなく使用可能な構成要素を使用して電気部品装着システムの電気部品の装着精度に関連する部分の精度検査を行うことを特徴とする精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、 (11) 項ないし(13)項のいずれか1つに記載の特徴を適用することができる。
(18)(14)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の精度検査方法であって、前記電気部品装着システムの作動中に、その電気部品装着システムの構成要素のうち、現に行われている装着作業に遅れを生じさせることなく使用可能な構成要素を使用して電気部品装着システムの電気部品の装着精度に関連する部分の精度検査を行うことを特徴とする精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、 (11) 項ないし(13)項のいずれか1つに記載の特徴を適用することができる。
(19)(1) 項ないし (9)項に記載の精度検出方法であって、
当該電気部品の装着システムの装着精度に関連する固有値を複数回検出し、取得した複数個の固有値を積分的に処理して真の固有値とすることを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、 (10) 項ないし(13)項,(15)項,(16)項のいずれか1つに記載の特徴を適用することができる。
(20)(1) 項ないし (9)項に記載の精度検査方法であって、
前記電気部品装着システムの作動中に、その電気部品装着システムの構成要素のうち、現に行われている装着作業に遅れを生じさせることなく使用可能な構成要素を使用して電気部品装着システムの電気部品の装着精度に関連する部分の精度検査を行って、当該電気部品の装着システムの装着精度に関連する固有値を複数回検出し、取得した複数個の固有値を積分的に処理して真の固有値とすることを特徴とする精度検査方法。
本項に記載の精度検査方法においては、 (11) 項ないし(13)項,(15)項,(16)項のいずれか1つに記載の特徴を適用することができる。
(21)前記検査用チップの載置位置を、前記部品保持具と前記回路基材とを回路基材の表面に平行な方向に相対移動させる移動装置の移動方向に隔たった複数の位置に設定する (2)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の精度検査方法。
このようにすれば、移動装置による部品保持具と回路基材との相対位置決め精度を、複数の位置において検出することができる。載置位置は、移動装置による移動範囲の全域に対応して分布する状態に設定することが望ましい。
(22)電気部品を保持する部品保持具と、回路基材を支持する基材支持装置と、前記電気部品を撮像する第1撮像装置と、前記回路基材を撮像する第2撮像装置とを含み、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの電気部品の装着精度を検出する方法であって、
前記部品保持具に検査用チップを保持させ、保持された検査用チップを第1撮像装置に撮像させ、その検査用チップを載置位置へ載置させた後、その載置された検査用チップを前記第2撮像装置に撮像させ、第1撮像装置により取得された検査用チップの像のデータと、第2撮像装置により取得された検査用チップの像のデータとに基づいて、それら第1撮像装置と第2撮像装置との光軸まわりの相対位相ずれを検出することを特徴とする精度検査方法。
第1撮像装置と第2撮像装置との相対位相ずれを検出するためには、部品保持具と第1撮像装置との相対位置が不変であることも、部品保持具と第1撮像装置との相対位置ずれを検出することも必要ではない。 (2)項ないし(21)項のいずれかの特徴を本項の検査方法に適用することができる。
(23)部品保持具により電気部品を保持して回路基材に装着する電気部品装着システムにおいて、その電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の検査をコンピュータにより行うための検査プログラムであって、
検査用チップを前記部品保持具に保持させる保持ステップと、
保持された検査用チップの少なくとも一部を第1撮像装置に撮像させる第1撮像ステップと、
部品保持具を予め定められた載置位置へ移動させて検査用チップを載置させる載置ステップと、
その載置した検査用チップの少なくとも一部を第2撮像装置により撮像する第2撮像ステップと、
前記第1撮像装置により得られた画像データに基づいて、前記検査用チップと、前記部品保持具および前記第1撮像装置の少なくとも一方との相対位置ずれを取得する第1画像処理ステップと、
前記第2撮像装置により得られた画像データに基づいて、前記検査用チップと前記第2撮像装置との相対位置ずれを取得する第2画像処理ステップと
を含む検査プログラムがコンピュータに読み取り可能に記録された記録媒体。
本項に記載のプログラムにおいては、 (2)項ないし(22)項に記載の特徴を適用することができる。このプログラムを既存の電気部品装着システムにおいて実行することにより自動で装着誤差を検出することが可能となる。
(24)前記第1画像処理ステップにおいて取得された検査用チップと、部品保持具および第1撮像装置の少なくとも一方との相対位置ずれ、および前記第2画像処理ステップにおいて取得された検査用チップと第2撮像装置との相対位置ずれに基づいて、前記電気部品装着システムによる電気部品の装着制御プログラムを修正する修正ステップを含む(23)項に記載の記録媒体。
このようにすれば、電気部品装着システムの装着誤差を自動的に除去あるいは低減させることができる。
(25)電気部品を保持する部品保持具と、
その部品保持具と前記電気部品が装着されるべき回路基材とを、回路基材の表面に平行な方向に相対移動させる移動装置と、
前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像可能な第1撮像装置と、
前記回路基材の少なくとも一部を撮像可能な第2撮像装置と、
それら部品保持具,移動装置,第1撮像装置および第2撮像装置を制御することにより前記電気部品を前記回路基材に装着させる制御装置と
を含む電気部品装着システムにおいて、
前記制御装置に、前記部品保持具に検査用チップを保持させ、その検査用チップの少なくとも一部を前記第1撮像装置に撮像させた後、部品保持具に検査用チップを予め定められた載置位置へ載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を第2撮像装置に撮像させ、前記第1撮像装置により取得された画像のデータに基づいて検査用チップと、部品保持具および第1撮像装置の少なくとも一方との相対位置ずれを取得するとともに、前記第2撮像装置により取得された画像のデータに基づいて検査用チップと第2撮像装置との位置ずれを取得する検査用制御部を設けたことを特徴とする電気部品装着システム。
本項に記載の電気部品装着システムにおいては、 (2)項ないし(24)項に記載の特徴を適用することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の1つである電気部品装着システムが図1,図2に示されている。この電気部品装着システムは特開平6−291490号公報に詳細に記載されているシステムと基本構成を同じくするものであるので、ここでは全体の説明は簡略にし、本発明に関連の深い部分のみを詳細に説明する。図2において10はベースである。ベース10上には複数本のコラム12が立設されており、コラム12に固定の固定台14に操作盤等が設けられている。ベース10上にはまた、図3に示すように、回路基材としてのプリント基板16(電気部品装着前のプリント配線板および電気部品装着後のプリント回路板の総称として使用する)をX軸方向(図3および図4において左右方向)に搬送する基板コンベヤ18が設けられている。プリント基板16は基板コンベヤ18により搬送され、プリント基板16は図示しない位置決め支持装置により予め定められた部品装着位置に位置決めされ、支持される。
【0007】
ベース10の水平面内においてX軸方向と直交するY軸方向の両側にはそれぞれ、フィーダ型電気部品供給装置20およびトレイ型電気部品供給装置22が設けられている。フィーダ型電気部品供給装置20においては、多数のフィーダ24がX軸方向に並べて設置される。各フィーダ24にはテーピング電気部品がセットされる。テーピング電気部品は、キャリヤテープに等間隔に形成された部品収容凹部の各々に電気部品が収容され、それら部品収容凹部の開口がキャリヤテープに貼り付けられたカバーフィルムによって塞がれることにより、キャリヤテープ送り時における電気部品の部品収容凹部からの飛び出しが防止されたものである。このキャリヤテープがY軸方向に所定ピッチずつ送られ、カバーフィルムが剥がされるとともに、部品供給位置へ送られる。
【0008】
また、トレイ型電気部品供給装置22は、電気部品を部品トレイに収容して供給する。部品トレイは、図1に示すように配設された多数の部品トレイ収容箱26内にそれぞれ複数枚ずつ積まれている。これら部品トレイ収容箱26はそれぞれ図示しない支持部材により支持され、図示を省略する昇降装置により順次部品供給位置へ上昇させられるのであるが、部品供給位置の上方には後述する装着ヘッドが電気部品を取り出すためのスペースを確保することが必要である。
【0009】
そのため、電気部品を供給し終わった部品トレイ収容箱26は、次の部品トレイ収容箱26が部品供給位置へ上昇させられるのと同時に、上記スペース分上昇させられ、上方の退避領域へ退避させられる。このトレイ型電気部品供給装置22は、部品トレイが電気部品を供給し終わっても部品トレイ収容箱26は部品トレイ1枚分ずつ上昇させられず、部品トレイが排出されるにつれて部品供給位置が部品トレイの1枚分ずつ下がることを除いて、特公平2−57719号公報に記載の電気部品供給装置と同じであり、説明は省略する。なお、部品トレイ収容箱26は、図3に二点鎖線で示すようにX軸方向に引き出して作業者が内部の点検等を行うことができるようにされている。
【0010】
これらフィーダ型電気部品供給装置20およびトレイ型電気部品供給装置22により供給される電気部品28は、ベース10上に設けられた電気部品装着装置30によってプリント基板16に装着される。ベース10上の基板コンベヤ18のY軸方向における両側にはそれぞれ、図2に示すようにX軸方向に延びるガイドレール32が設けられ、X軸スライド34がガイドブロック36において移動可能に嵌合されている。
【0011】
X軸スライド34は、図3に示すように、フィーダ型電気部品供給装置20から基板コンベヤ18を越えてトレイ型電気部品供給装置22にわたる長さを有し、2個のナット38(図4には1個のみ示されている)がそれぞれボールねじ40に螺合され、それらボールねじ40がそれぞれX軸サーボモータ42によって同期して回転させられることにより、X軸方向に移動させられる。
【0012】
図3および図4に示すように、X軸スライド34上には、Y軸スライド44がX軸方向に直交する方向であるY軸方向に移動可能に設けられている。X軸スライド34の垂直な側面46には、図4に示すように、Y軸方向に延びるボールねじ48が取り付けられるとともに、Y軸スライド44がナット50において螺合されており、ボールねじ48が図3に示すY軸サーボモータ52によりギヤ54,56を介して回転させられることにより、Y軸スライド44は一対のガイドレール58に案内されてY軸方向に移動させられる。
【0013】
Y軸スライド44の垂直な側面59には、図4に示すように、装着ヘッド60が取り付けられている。装着ヘッド60に、電気部品28を吸着する部品吸着具としての吸着ノズル62が、装着ヘッド60に対して昇降可能なホルダ64を介して設けられている。装着ヘッド60には、さらに、プリント基板16に設けられた基準であるフィデューシャルマーク(以下Fマークと称する)を撮像するFマークカメラ66(図3参照)と、電気部品28を撮像するパーツカメラ68とが移動不能に設けられている。Fマークカメラ66およびパーツカメラ68はCCDカメラである。Fマークカメラ66に対応して照明装置70が配設されており、Fマークおよびその周辺を照明する。Fマークカメラ66は照明装置70の中央に形成された開口からFマークを撮像する。ホルダ64は、吸着ノズル62に吸着された電気部品28を背後から照明するバックライト71を備えており、パーツカメラ68はバックライト71を明るい背景として電気部品28のシルエット像を取得することができる。
【0014】
前記X軸スライド34には、図3および図4に示すように2個の反射装置として2個のプリズム72が固定され、前記パーツカメラ68と共に撮像システムを構成している。これらプリズム72は、X軸スライド34の下部のY軸方向においてちょうどX軸スライド34を移動させるボールねじ40に対応する位置であって、フィーダ型電気部品供給装置20とプリント基板16との間およびトレイ型電気部品供給装置22とプリント基板16との間の位置に設けられている。
【0015】
これらプリズム72の構成は同じである。プリズム72のケーシング74は、図4に示すようにX軸スライド34に固定されており、プリズム72は、装着ヘッド60のY軸方向の移動経路の真下において、吸着ノズル62の中心線を含む垂直面に対して約45度、X軸スライド34から遠い部分ほど低くなる向きに傾斜させられた反射面76と、パーツカメラ68のY軸方向の移動経路の真下において、反射面76と垂直面に対して対称に傾斜させられた反射面78とを有する。
【0016】
また、ケーシング74のX軸スライド34側とは反対の外側面にはシャッタ80が固定されている。シャッタ80はY軸方向の寸法が反射面76,78と同じであり、ケーシング74から上方へ突出させられるとともに、突出端部はX軸スライド34側に水平に曲げられ、反射面78とパーツカメラ68との間に突出する遮蔽部82とされている。また、遮蔽部82のY軸方向の中央部には切欠84が設けられている。したがって、Y軸スライド44が移動するとき、パーツカメラ68は遮蔽部82上を移動し、切欠84を通過するときに反射面78からの反射光が得られるのであり、切欠84のX軸方向の寸法は、反射面78から反射される像形成光全体を通過させるに十分な大きさとされ、切欠84のY軸方向の寸法は、パーツカメラ68のY軸方向の移動速度vに露光時間tを掛けた大きさvtとされている。
【0017】
図1および図3に示すように、基板コンベヤ18に、後述する装着精度を検査するための検査用チップ100(図4参照)を載置する載置位置102が4か所設けられ、各載置位置102に検査用チップ100がそれぞれ載置されている。
基板コンベヤ18は図示を省略する一対のベルトを案内するガイドレール104を備えており、これらガイドレール104の間隔を変更することによって、寸法の異なるプリント基板16を搬送し得るようにされているが、それらガイドレール104の上面の、前記部品装着位置に位置決めされたプリント基板16に隣接する位置に、2か所ずつの載置位置102が設けられているのである。
【0018】
なお、載置位置102は4か所でなく、1か所でもよいし、適宜の複数か所設けられてもよい。また、検査用チップ100は、各載置位置102に1個ずつ載置されるようにしてもよく、複数個ずつ載置されるようにしてもよい。さらに、検査用チップ100は、各載置位置102に専用としてもよく、複数の載置位置102に共用としてもよい。本実施形態では、各載置位置102に、専用の検査用チップ100が1個ずつ配設されているものとする。
【0019】
本実施形態における検査用チップ100は、ゲージチップと称されるプラスチック製の小片で、平面形状,寸法が3mm×6mmの矩形をなすものであるが、装着されるべき電気部品自体を検査用チップとして利用してもよく、あるいは高い寸法精度で製作された石英ガラス製の検査用チップを使用してもよい。
【0020】
本電気部品装着システムは、制御手段として、図5に示す制御装置110を備えている。制御装置110は、CPU112,ROM114,RAM116およびそれらを接続するバス118を有するコンピュータを主体とするものである。
バス118には画像入力インタフェース122が接続され、前記Fマークカメラ66およびパーツカメラ68が接続されている。バス118にはまた、サーボインタフェース124が接続され、X軸サーボモータ42およびY軸サーボモータ52が接続されている。バス118にはまたデジタル入力インタフェース126が接続されている。バス118にはさらに、デジタル出力インタフェース128が接続され、基板コンベヤ18,フィーダ型電気部品供給装置20,トレイ型電気部品供給装置22,電気部品装着装置30等が接続されている。上記ROM114には、電気部品28をプリント基板16に装着するための装着プログラムを始め、種々の制御プログラムが記憶させられており、その中に、図8ないし図11のフローチャートで表される装着精度検査プログラムが含まれている。
【0021】
次に作動を説明する。電気部品をプリント基板16に装着する装着作業は、前記特開平6−291490号公報に詳細に記載されているので、全体の説明は簡略にし、本発明に関連の深い部分を詳細に説明する。
プリント基板16に電気部品28を装着する場合には、装着ヘッド60は、X軸スライド34およびY軸スライド44の移動によりフィーダ型電気部品供給装置20またはトレイ型電気部品供給装置22の部品供給位置へ移動して電気部品28を保持する。吸着ノズル62が電気部品28に接触させられた後、吸着ノズル62に負圧が供給されて吸着ノズル62が電気部品28を吸着し、その後、吸着ノズル62が上昇させられるのである。
【0022】
電気部品28を保持した装着ヘッド60はフィーダ24の部品供給位置とプリント基板16の部品装着位置とを結ぶ直線に沿って部品装着位置へ移動させられるのであるが、この際、X軸スライド34の部品供給位置と部品装着位置との間の位置に固定されているプリズム72上を通過する。部品供給位置および部品装着位置がフィーダ型電気部品供給装置20およびプリント基板16のいずれの位置にあっても、装着ヘッド60が部品供給位置から部品装着位置へ移動するためには必ず、X軸スライド34上をY軸方向へ移動してフィーダ型電気部品供給装置20とプリント基板16との間の部分を通る。したがって、装着ヘッド60は、X軸スライド34の部品供給位置と部品装着位置との間に位置する部分に固定されているプリズム72上を必ず通過するのである。
【0023】
このとき、バックライト71を明るい背景とする電気部品28のシルエット像を形成する光は、反射面76により水平方向に反射された後、反射面78により上方へ反射される。装着ヘッド60がプリズム72上を通過するとき、電気部品28は反射面76上を通り、パーツカメラ68は反射面78上を通過し、シャッタ80の遮蔽部82に形成された切欠84を通って撮像面に入光する像形成光により電気部品28のシルエット像がパーツカメラ68により撮像される。
【0024】
パーツカメラ68は吸着ノズル62と共にY軸スライド44に取り付けられており、吸着ノズル62に保持された電気部品28と一体的に移動するため、電気部品28およびパーツカメラ68がプリズム72上を通過するとき、反射面78により反射される像形成光はパーツカメラ68に追従してくることとなり、パーツカメラ68はY軸スライド44の移動中でも電気部品28を静止しているのと同じ状態で撮像することができる。前述のようにシャッタ80の切欠84のY軸方向の長さはパーツカメラ68の露光時間に移動速度を掛けた長さとされており、撮像素子は像形成光により十分に露光され、電気部品28を撮像する。
【0025】
撮像された像のデータは制御装置110において保持位置誤差のない正規の像のデータと比較され、中心位置誤差ΔX,ΔYおよび回転位置誤差Δθが算出される。また、プリント基板16の水平位置誤差ΔX′,ΔY′はプリント基板16に設けられたFマークを予めFマークカメラ66によって撮像することにより算出されており、部品装着位置へ移動するまでの間にこれら誤差に基づいて電気部品の移動距離が修正されるとともに電気部品28が回転させられて回転位置誤差Δθが修正され、電気部品28はプリント基板16の部品装着位置へ正しい姿勢で装着される。
【0026】
上述の処理と並行して、装着ヘッド60がプリント基板16の部品装着位置上へ移動させられ、吸着ノズル62が下降させられて電気部品28を装着位置に装着する。以上で1回の装着作業が終了する。
【0027】
本実施形態の電気部品装着システムにおいては、以上の電気部品28の装着作業中に、装置精度の検査が行われる。図8ないし図11にフローチャートで表される装着精度検査プログラムが実行されるのである。本装着精度検査プログラムは、電気部品装着システムの運転中は常に実行されて装着作業の進行が監視されており、装着作業に遅れを生じさせることなく装着精度を検査し得る機会を捉えて、装着作業検査が行われる。具体的には、1枚のプリント基板16に装着すべき全ての電気部品28の装着が終了し、装着が終了したプリント基板16の基板コンベヤ18による搬出が開始される際に装着作業検査も開始され、次に電気部品28が装着されるべきプリント基板16の搬入および位置決めが終了する前に終了されるのである。
【0028】
装着精度の検査が開始されると、まず装着ヘッド60が前述の4つの載置位置102のうちいずれか1つ(例えば、最も近いもの)に対応する位置に移動させられる。吸着ノズル62により、フィーダ24から電気部品28が吸着される際と同様に、予め載置位置102に載置されている検査用チップ100が吸着される。検査用チップ100が吸着ノズル62に吸着された状態で吸着部材を撮像する第1撮像位置へ移動させられる。第1撮像位置は、2つのプリズム72のうち、今回検査用チップを吸着した載置位置102に近い方のプリズム72に対応する位置である。装着ヘッド60がプリズム72上を通過して2往復させられ、シャッタ80の切欠84から外れた位置で吸着ノズル62が90度ずつ回転させられ、0度,90度,180度および270度の各回転位置において検査用チップ100が撮像される。
【0029】
撮像により取得された4つの画像データに基づいてそれぞれ検査用チップ100の像の中心座標が演算される。図6に示すように、パーツカメラ68の視野150に対して予め設定された座標面(ここでは、視野の中心を原点Oとする座標面が設定されているとし、その座標面と直交し、原点を通る直線をパーツカメラ68の光軸と称することとする)において、各回転位置における検査用チップ100の像の中心座標がそれぞれ取得されるのである(図においては、検査用チップ100の像が1つのみ示されている)。ここで、n番目(ただし、nは1以上4以下の整数)に撮像された画像データにおける中心座標を(Xn,Yn)と仮定すると、それら検査用チップ100の中心座標の平均値(XAVE,YAVE)が、以下に示す式(1),(2)により算出される。
【0030】
AVE=(X1+X2+X3+X4)/4・・・(1)
AVE=(Y1+Y2+Y3+Y4)/4・・・(2)
【0031】
さらに、今回算出された平均値(XAVE,YAVE)に基づいて、過去に取得された吸着ノズル62の回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が積分的に補正され、新しい回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が取得される。この積分的補正については、後に詳述する。
【0032】
上記中心座標の平均値(XAVE,YAVE)および新しい回転中心座標(XCENTER,YCENTER)の演算は、装着ヘッド60が載置位置102に向かって移動させられている間に行われるが、さらに、吸着ノズル62が90度回転させられるとともに、新しく取得された回転中心座標(XCENTER,YCENTER)と、1番目に取得された検査用チップ100の画像データとに基づいて検査用チップ100の中心位置および姿勢が修正され、その後、元の載置位置102に載置される。
このように、本実施形態においては、検査用チップ100は元の載置位置102に戻されるが、複数の載置位置102に1個の検査用チップ100が共用される場合には、検査用チップ100が元の載置位置102とは異なる載置位置102に載置されるようにしてもよい。ただし、現に検査用チップ100が載置されている載置位置102が記憶されることが必要である。
【0033】
次に、載置された検査用チップ100がFマークカメラ66により撮像される。装着ヘッド60が、吸着ノズル62により検査用チップ100を載置位置102へ載置した位置からFマークカメラ66が載置位置102の真上に位置するように移動させられて、検査用チップ100がFマークカメラ66により撮像されるのである。ここで、吸着ノズル62の回転中心とFマークカメラ66との相対位置は予め設定されているので、その相対位置に誤差が生じていなければ、Fマークカメラ66の視野の中心に検査用チップ100の中心が位置するはずであり、かつ、検査用チップ100の姿勢に傾きは生じないはずである。したがって、図7に示すように、検査用チップ100の像の中心のFマークカメラ66の視野160の中心からの位置ずれ(X,Y)を検出すれば、それが吸着ノズル62の回転中心のFマークカメラ66の視野中心に対する相対位置ずれ(吸着ノズル62とFマークカメラ66との相対位置ずれと称する)を表す。
さらに、検査用チップ100の予め想定された姿勢(本実施形態においては、延びの方向が視野160のY軸に沿った姿勢)に対する傾きθを検出すれば、それは、Fマークカメラ66の視野とパーツカメラ68の視野との相対的な傾きである相対位相ずれ(Fマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相ずれと称する)を表すことになる。
【0034】
なお、検査用チップ100の姿勢は修正されずに載置されるようにしてもよい。検査用チップ100の姿勢が修正されずに載置される場合は、姿勢の修正に伴う演算負荷が軽減され、さらに、姿勢修正に伴って生じる吸着ノズル62の回転角度誤差や吸着ノズル62の回転に伴う検査用チップ100の中心位置変化の演算誤差の影響を受けることなく、吸着ノズル62,Fマークカメラ66およびパーツカメラ68の相対位置ずれと、パーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位相ずれとを検出することができる。換言すれば、姿勢修正に伴って生じる吸着ノズル62の回転角度誤差や吸着ノズル62の回転に伴う検査用チップ100の中心位置変化の演算誤差を含めて電気部品装着システムの精度検査をしたい場合には、検査用チップ100の姿勢が修正されて載置されるようにすればよいのである。さらに、検査用チップ100の姿勢を修正して載置される場合と、修正しないで載置される場合とを検査し、両検査の結果を比較することにより、姿勢修正に伴う誤差と他の誤差とが分離して検出されるようにしてもよい。
【0035】
上述のようにして、吸着ノズル62のパーツカメラ68に対する相対位置である第1相対位置と、吸着ノズル62とFマークカメラ66との相対位置ずれに基づく相対位置である第2相対位置と、パーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位相ずれに基づく傾きである回転傾きとが取得され、予め設定されているそれら第1,第2相対位置と回転傾きとが積分的に補正される。以上で1回の装着精度検査が終了し、電気部品28をプリント基板16に装着する装着作業が再開される。
【0036】
以上の装着精度検査を図8ないし図11のフローチャートに基づいてさらに詳細に説明する。
まずステップS1(以下単にS1と称する。他のステップについても同じ。)ないしS3において、1枚のプリント基板16に電気部品28を装着する装着作業が開始されることが待たれる。S1において、装着開始フラグFSTARTが0であるか否かが判定される。装着開始フラグFSTARTは、0で今回の装着作業の開始が検出されていないことを示し、1で装着作業の開始が既に検出されたことを示す。今回の実行において装着開始フラグFSTARTは初期値0であるので、S1の判定がYESとなり、S2に進み、装着作業が開始されたか否かが判定される。装着作業が開始されていないと仮定すれば、S2の判定はNOとなり本プログラムの1回の実行が終了する。これに対して装着作業が開始されている場合はS2の判定がYESとなり、S3において装着開始フラグFSTARTが1とされる。以後の本プログラムの実行においては、S1の判定がNOとなりS4へスキップする。
【0037】
装着作業の開始が検出されると、次にS4ないしS6においてその装着作業が終了することが待たれる。S1およびS2と同様に、S4およびS5が繰り返し実行されて装着作業の終了が検出されると、S6において装着終了フラグFENDが1とされる。以後の本プログラムの実行においては、S4の判定がNOとなりS10へスキップする。
【0038】
装着作業の終了が検出されると、S7において次の装着作業を実行することが禁止される。ここで次の装着作業とは、装着ヘッド60を使用する作業のことであり、装着ヘッド60を使用しないプリント基板16の搬入・搬出作業等は許容される。本プログラムの装着精度の検査は、プリント基板16の搬入・搬出作業中に十分に終了することができる長さのものであり、装着精度の検査終了前に装着作業が開始されることはないのであるが、万一検査終了前に次の装着作業が実行されることがあれば、装着ヘッド60の作動について相矛盾する2つの命令が出力されることとなり、吸着ノズル62の破損等の原因となるおそれがあるため、念のために検査中は次の装着作業の実行が禁止されるのである。
【0039】
次にS8において検査用チップ100が予め載置されている載置位置102において吸着ノズル62に吸着され、S9においてその検査用チップ100をパーツカメラ68により撮像するために、装着ヘッド60が、2つのプリズム72のうち載置位置102に近い方に対応する第1撮像位置へ移動させられる。
【0040】
次に、装着ヘッド60がプリズム72上を通過するように2往復させられ、シャッタ80の切欠84から外れた位置で吸着ノズル62が90度ずつ回転させられ、0度,90度,180度および270度の各回転位置において検査用チップ100が撮像される。
【0041】
まず、図9に示すように、S10において第1撮像フラグF1が0であるか否かが判定される。第1撮像フラグF1は、0でパーツカメラ68により検査用チップ100を4回撮像する第1撮像が終了していないことを示し、1で第1撮像が既に終了していることを示す。今回の実行においては第1撮像フラグF1は初期値0であるのでS10の判定はYESとなり、S11において第1撮像工程のうち今回の撮像の回数である撮像回数nが4以下であるか否かが判定される。今回の実行において、撮像回数nが1であるとすればS11の判定はYESとなる。S12において装着ヘッド60が第1撮像位置を通過させられてn回目(今回はn=1)の撮像がおこなわれ、S13において、装着ヘッド60が、第1撮像位置からY軸方向に一定距離lだけ離間した停止位置において停止させられる。
撮像回数nが偶数である場合と奇数である場合とで、装着ヘッド60の移動させられる方向は逆向きとなるが、第1撮像位置の両側において装着ヘッド60が停止させられる停止位置の第1撮像位置からの距離lは等しくされている。次にS14において吸着ノズル62が90度回転させられる。
【0042】
次にS15において、今回(n回目)の撮像により取得された画像が画像データnが処理され検査用チップ100の中心座標(Xn,Yn)が取得される。S16において撮像回数nに1が加算されて新しい撮像回数nとされる。以上で本プログラムの1回の実行が終了する。S12ないしS16が繰り返し実行されて、検査用チップ100が4回撮像されると、次に本プログラムが実行される際にはS11の判定がNOとなりS17において第1撮像フラグF1 が1とされ、本プログラムの1回の実行が終了する。以後、1回の精度検査が終了するまで、S11ないしS17がスキップされる。
【0043】
これら吸着ノズル62の回転と移動とは、図9においては、便宜上、時間的に前後して行われるものとして示したが、実際には、S13およびS14と、S15の画像処理とが並行して行われる。勿論、図9に示す通りの順序で行われるようにしてもよい。
【0044】
次に本プログラムが実行されれば、図10に示すように、S18において、S12ないしS16において取得された検査用チップ100の4つの中心座標(Xn,Yn)が読み出される。そして、S19において、前述の式(1)および式(2)に基づいて、それら4つの中心座標(Xn,Yn)の平均(XAVE,YAVE)が算出され、S20において、過去の真の固有値の1つである過去の回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が読み出される。ここで、固有値とは、個々の電気部品装着システムに固有の値であり、過去の真の固有値とは、電気部品装着システムの運転開始後最初の装着精度検査の場合には、その電気部品装着システムに予め設定された設定固有値であり、2回目以降の装着精度検査においては前回の検査に基づいて取得された固有値を意味する。
【0045】
S21において、過去の回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が、前記検査用チップ100の中心座標の平均値(XAVE,YAVE)と、補正用指数Nとに基づいて補正される。具体的には、下記の式(3)および式(4)に基づいて新しい回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が取得される。補正用指数Nは電気部品装着システムの運転開始時に1とされ、システムが連続して運転されている間は検査が行われるごとに1が加算される6以下の自然数である。補正用指数Nは、6まで増加すると電気部品装着システムが連続して作業を行っている間はその値が保たれる。
【0046】
CENTER=(XAVE−XCENTER)/2(N-1)+XCENTER・・・(3)
CENTER=(YAVE−YCENTER)/2(N-1)+YCENTER・・・(4)
【0047】
次にS22およびS23において吸着ノズル62の回転と載置位置102への移動が行われる。具体的には、吸着ノズル62が回転させられ、吸着ノズル62に吸着された検査用チップ100が載置位置102に対して傾かない姿勢とされるとともに、検査用チップ100の中心が載置位置102の中心と一致する位置に移動させられるのである。これら吸着ノズル62の回転と移動とは、図10においては、便宜上、時間的に前後して行われるものとして示したが、実際には、S14,S15の最終部分(第4回目の撮像結果の画像処理と吸着ノズル62の270度から360度への回転)およびS18ないしS21の画像処理と並行して行われる。勿論、図10に示す通りの順序で行われるようにしてもよい。
【0048】
次にS24において、検査用チップ100が載置位置102へ載置される。図11に示すS25において、その検査用チップ100をFマークカメラ66により撮像する第2撮像工程が実行される。S26において第2撮像工程により取得された画像データに基づいて検査用チップ100の中心座標と傾きとが取得される。Fマークカメラ66の視野160内に予め設定されている座標面(ここでは、視野160の中心を原点とする座標面が設定されているとし、その座標面と直交し、原点を通る直線をFマークカメラ66の光軸と称することとする)上における検査用チップ100の中心座標(X,Y)と、座標面に対する検査用チップ100のFマークカメラ66の光軸まわりの傾きθとが取得されるのである。
【0049】
続いて、S27において上記検査用チップ100の中心座標(X,Y)および傾きθが、それぞれ吸着ノズル62の回転中心とFマークカメラ66との相対位置ずれおよびFマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相ずれとされる。S12ないしS19において取得された検査用チップ100の中心座標と吸着ノズル62の回転中心座標とに基づいて、S24において検査用チップ100が、それの中心がFマークカメラ66の視野中心に対応するようにかつ、座標面の位相と一致するように載置されているはずである。したがって、Fマークカメラ66に対する現在の吸着ノズル62の相対位置は、直前に設定された過去の真の固有値に対して、水平方向に(X,Y)だけずれた値となり、Fマークカメラ66のパーツカメラ68に対する相対位相は、直前に設定された過去の真の固有値に対して光軸まわりにθだけずれた値となる。
【0050】
次にS28において、過去の真の固有値のうちFマークカメラ66に対する吸着ノズル62の回転中心座標(X0,Y0)およびFマークカメラ66のパーツカメラ68に対する回転位相θ0が読みだされる。S29において、次項に示す式(5)ないし式(7)により新しい回転中心座標(X0,Y0)および回転位相θ0が取得される。
【0051】
0=X/2(N-1)+X0・・・(5)
0=Y/2(N-1)+Y0・・・(6)
θ0=θ/2(N-1)+θ0・・・(7)
【0052】
S30において補正用指数Nが6より小さいか否かが判定される。今回のプログラムの実行において、補正用指数Nが1であるとすればS30の判定はYESとなりS31において補正用指数Nに1が加算されて新しい補正用指数Nとされる。これに対して補正用指数Nが6である場合は、S30の判定がNOとなりS32にスキップする。本実施形態においては、電気部品装着システムの運転が開始された直後においては、新しく検出された値を尊重するために過去の固有値と最新の検出値との間の値であって最新の検出値に近い値を取得するが、補正回数が増大すれば、過去の固有値を尊重してそれに近い値を取得するように補正が行われる。
【0053】
ここで、本実施形態においては補正用指数Nの上限が6とされているが、補正用指数が7以上となれば、過去の固有値を補正する補正値が小さくなりすぎて固有値の緩やかな変化にでも十分に追従できなくなるので、それを回避するために補正用指数Nの上限値が定められているのである。
【0054】
次にS32において、各フラグFSTART,FENDおよびF1が0とされ、撮像回数nが1とされる。S33において次の装着作業の禁止が解除されて、装着作業の開始が許容される。以上で本プログラムの1回の実行が終了する。
【0055】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の電気部品装着システムにおいては、Fマークカメラ66が「第2撮像装置」を構成し、パーツカメラ68が「第1撮像装置」を構成している。さらに、装着精度検査プログラムのうちS12ないしS16が「第1撮像ステップ」を構成し、S18ないしS21が「第1画像処理ステップ」を構成し、S22ないしS24が「載置ステップ」を構成し、S25が「第2撮像ステップ」を構成し、S26ないしS29が「第2画像処理ステップ」を構成している。
【0056】
本実施形態においては、パーツカメラ68に対する吸着ノズル62の相対位置と、Fマークカメラ66に対する吸着ノズル62の相対位置と、Fマークカメラ66に対するパーツカメラ68の相対位相ずれとが検出され補正されるので、電気部品装着システムの装着精度が向上する効果が得られる。
なお、Fマークカメラ66は、予め別の方法により、それの装着装置本体に対する相対位置ずれおよび相対位相ずれが検出されるようにすることができる。例えば、装着装置にFマークカメラ66の相対位置ずれおよび相対位相ずれ検出用の少なくとも1つのマークを位置固定に設け、そのマークがFマークカメラ66により適数回撮像され、撮像された画像のデータからFマークカメラ66の相対位置ずれおよび相対位相ずれが演算されるようにするのである。
【0057】
具体的には、例えば、Fマークカメラ66が、X,Y移動方向に平行に取り付けられている場合は、画像データ内においてたて・よこに並んだ複数個のFマークをそれぞれ通過する2本の直線とX,Y軸とは平行となるが、Fマークカメラ66が、垂直軸線まわりに回転させられた状態で取り付けられている場合は、それら直線とX,Y軸とが交差する。画像内におけるX,Y軸に対する、直線の傾きの平均値が、Fマークカメラ66の装着装置本体に対する傾きとして取得される。
【0058】
なお、本実施形態においては、S23において吸着ノズル62に吸着された検査用チップ100の姿勢が修正されてから載置位置102に載置されるので、第2撮像ステップにおいて取得された傾きθには、Fマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相ずれと、吸着ノズル62の回転誤差との両方が含まれる。
これに対して、S23をスキップして、吸着ノズル62に吸着された検査用チップ100の姿勢を修正せずに載置位置102に載置されるようにすれば、Fマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相ずれのみを検出することができる。さらに、S23をスキップする場合と、S23を実行する場合とが交互に実行されて、両方の検出結果からFマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相ずれと、吸着ノズル62の回転誤差との両方を分けて検出されるようにすることもできる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、電気部品装着システムの運転が開始された直後においては、現に検出された値を尊重するために過去の固有値と最新の検出値との間の値であって最新の検出値に近い値を取得し、温度変化等に伴う固有値の変化に十分に対応することができる。さらに、補正回数が増大すれば、過去の固有値を尊重してそれに近い値を取得することにより、固有値の変化が小さくなった場合に、最新の検出値に含まれる検出誤差の影響を小さくすることができる。
【0060】
これに対して、運転中の固有値の変化量が時間経過とともに減少せず、検出誤差より大きい場合は、過去に取得された固有値よりも最新の検出値を尊重して新しい固有値が取得されるようにすることが望ましい。
【0061】
また、上記実施形態においては、電気部品装着システムの装着精度がプリント基板が1枚装着されるごとに検査されるようにされていたが、プリント基板が複数枚装着されるごとに検査されるようにしてもよいし、装着されるプリント基板の枚数に係わらず一定時間経過するごと(厳密には一定時間経過後の最初のプリント基板交換時)に検査されるようにしてもよい。例えば、電気部品装着システムに電源が投入されて、システムが立ち上げられた際に検査を実行し、以後、5分経過する毎に、経過後最初にプリント基板の搬入・搬出が行われる間に検査を実行することができる。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、過去の真の固有値を最新の検出値に基づいて補正する際の補正用指数Nが、固有値が補正された補正回数に基づいて定められるようにされていたが、補正用指数Nは一定とされてもよい。その場合は、装着精度検出と固有値の補正とを行う頻度が、電気部品28が装着されたプリント基板16の枚数や経過時間により変化させられるようにすることが望ましい。例えば、運転開始から1時間の間は、固有値の変化が大きいので頻繁に固有値の補正が行われるようにし、それ以後は、固有値の変化が沈静化するので補正を行う頻度が低くされ、必要以上に補正が行われないようにするのである。
【0063】
前記実施形態においては、装着精度を検査する場合に、必ず載置された検査用チップ100が撮像され、Fマークカメラ66の視野中心に対する検査用チップ100の中心の座標(X,Y)および傾きθが検出されるようにされていた。しかし、前記実施形態の電気部品装着システムにおいては、吸着ノズル62とFマークカメラ66とパーツカメラ68とが装着ヘッド60に固定的に、かつ、相対移動不能に設けられており、それらの相対位置はほぼ一定と見なし得る。したがって、吸着ノズル62とFマークカメラ66との相対位置、およびFマークカメラ66とパーツカメラ68との相対位相の変化が無視できるほど小さく、中心座標(X,Y)および傾きθが実質的に一定であると見なし、最初に装着精度が検査される際に中心座標(X,Y)および傾きθが取得され、以後の装着精度検査においては最初に取得された値が用いられるようにしてもよい。装着精度が複数回検査されるごとに中心座標(X,Y)および傾きθが取得されるようにしてもよいし、取得される頻度を変化させてもよく、中心座標(X,Y)および傾きθの補正量が規定値以下となった後は中心座標(X,Y)および傾きθの取得が省略されるようにしてもよい。
【0064】
前記実施形態においては、装着精度を検査する場合に、必ず吸着ノズル62の回転中心座標(XCENTER,YCENTER)が検出されるようにされていた。しかし、前記実施形態の電気部品装着システムにおいては、吸着ノズル62とパーツカメラ68とが装着ヘッド60に固定的に、かつ、相対移動不能に設けられており、しかもX軸スライド34に固定されたプリズム72を利用して撮像するので、反射経路のずれによる画像の位置ずれも無視できるほど小さいと考えて良い。したがって、吸着ノズル62のパーツカメラ68に対する位置が実質的に一定であると見なし、最初に装着精度が検査される際に検査用チップ100を回転させて回転中心座標(XCENTER,YCENTER)を取得し、以後の装着精度検査においては、最初に取得された値が用いられるようにしても良い。装着精度が複数回検査されるごとに回転中心座標を取得するようにしても良いし、取得される頻度を変化させても良く、回転中心座標の補正量が規定値以下となった後は回転中心座標の取得が省略されるようにしても良い。
【0065】
さらに、吸着ノズル62のパーツカメラ68およびFマークカメラ66に対する相対位置を取得することは不可欠ではなく、検査用チップ100を媒体として、パーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位置および相対位相のみを検出しても良い。その場合には、パーツカメラ68により検査用チップ100を1回撮像して検査用チップ100の中心のパーツカメラ68の座標面内における座標および位相を取得し、検査用チップ100の姿勢等を修正して、載置位置102に載置する。この場合には、検査用チップ100の中心がFマークカメラ66の視野中心に対応するように、かつ、位相が理想的となるように載置されているはずであるので、Fマークカメラ66により撮像された検査用チップ100の像の中心位置のずれおよび位相ずれは、直前に設定された過去の真の固有値のうちパーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位置および相対位相に対するずれであることになる。吸着ノズル62の相対位置ずれに基づく位置ずれがパーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位置ずれに吸収された状態となるので、この方法によっても装着精度の検査が可能となる。
【0066】
前記実施形態においては、装着精度検査プログラムがメインプログラム(即ち、電気部品装着プログラム)とは独立して実行されるようにされていた。これに対して装着精度検査プログラムが、メインプログラムに組み込まれていてもよいし、装着精度検査プログラムのうちの一部、例えば、精度検査を開始するタイミングを監視する部分がメインプログラムに組み込まれて、その部分により出力される信号に基づいて精度検査プログラムが実行されるようにしてもよい。
【0067】
前記実施形態の電気部品装着システムにおいては、装着ヘッド60に吸着ノズル62が1個設けられ、その吸着ノズル62とパーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位置が取得されたが、装着ヘッド60に回転テーブルが設けられ、その回転テーブルに、それの回転中心から一定距離離れた位置に、複数個の吸着ノズル62が等角度間隔に設けられ、それら吸着ノズル62の各々とパーツカメラ68とFマークカメラ66との相対位置が取得されるようにしてもよい。
【0068】
なお、第1撮像工程を別の態様とすることもできる。この態様においては、第1撮像工程は、装着ヘッド60が第1撮像位置において停止させられ、その場所で検査用チップ100が、90度ずつ4回回転させられて各回転位置において撮像される。この場合は、パーツカメラ68により検査用チップ100が撮像される撮像タイミングが、例えば電子シャッタにより制御される。ここで、電子シャッタは、各撮像素子について電荷がチャージされている場合に、その電荷を消去するものである。その電子シャッタにより、各回の撮像を開始する際に各撮像素子にチャージされている電荷を全て消去し、一定時間(本態様においては100分の1秒)露光して電気部品を撮像するのである。以下、詳細に説明する。
【0069】
図12に示すように、S110において第1撮像フラグF1が0であるか否かが判定され、S111において第1撮像工程のうち今回の撮像の回数である撮像回数nが4以下であるか否かが判定される。今回の実行において、撮像回数nが1であるとすればS111の判定はYESとなり、S112においてn回目(今回はn=1)の撮像がおこなわれる。次にS113において、n回目の撮像により取得された画像が画像データnとしてコンピュータのRAM116に記憶される。S114において画像データnが処理され検査用チップ100の中心座標(Xn,Yn)が取得される。
【0070】
S115において吸着ノズル62が90度回転させられ、S116において撮像回数nに1が加算されて新しい撮像回数nとされる。以上で本プログラムの1回の実行が終了する。S112ないしS116が繰り返し実行されて、検査用チップ100が4回撮像される。次に本プログラムが実行される際にはS111の判定がNOとなりS117において第1撮像フラグF1が1とされ、以後はS111ないしS117がスキップされる。
【0071】
さらに、前記実施形態の電気部品装着システムにおいては、装着ヘッド60とパーツカメラ68とFマークカメラ66とが一体的に、X,Y方向に移動可能とされていたが、パーツカメラ68がX軸スライド34に固定的に設けられた電気部品装着システムにも本発明を適用することができる。その形態の電気部品装着システムの一例を図13に示す。装着ヘッド200にホルダ64を介して吸着ノズル62が保持され、さらにFマークカメラ66が移動不能に取り付けられている。X軸スライド34には、反射装置としての一組の反射鏡202,204が図示しないブラケットにより固定されている。一方の反射鏡202は、装着ヘッド200のY軸方向の移動経路の真下において、吸着ノズル62の中心線を含む垂直面に対して約45度傾斜させられ、それのX軸スライド34に近い側の端部が下方に位置する反射面206を有する。それに対して他方の反射鏡204は、X軸スライド34を挟んだ反対側に反射鏡202の反射面206と垂直面に対して対称に傾斜し、X軸スライド34に近い側の端部が下方に位置する反射面208を有する。これら反射鏡202,204はX軸スライド34を移動させるボールねじ40の上方の位置であって、フィーダ型電気部品供給装置20とプリント基盤との間、およびトレイ型電気部品供給装置22とプリント基盤との間の位置に設けられている。X軸スライド34の装着ヘッド200が設けられた側とは反対側であって、前記反射鏡204の反射面208に対向する位置において、吸着ノズル62に保持された検査用チップ100を撮像するパーツカメラ210が固定されている。
【0072】
このような電気部品装着システムにおいては、パーツカメラ210の、吸着ノズル62およびFマークカメラ66に対するY軸方向における相対位置が固定的ではなく、その相対位置が時間的に変化する可能性がある。このため、本態様においては、吸着ノズル62のパーツカメラ210に対する相対位置を周期的に検出することが望ましい。
【0073】
さらに、図14に示すように、パーツカメラ250がベース10に固定的に、かつ上向き設けられ、吸着ノズル62とFマークカメラ66とが一体的にX,Y軸方向に移動可能とされても良い。その場合にも、パーツカメラ250の吸着ノズル62およびFマークカメラ66に対する相対位置が固定的ではないので、上記態様と同じことが言える。
【0074】
さらに、別の態様の電気部品装着システムに本発明を適用することも可能である。例えば、図15に示すように、垂直軸線周りに回転可能にかつ移動不能に設けられたインデックステーブルに支持された吸着ノズル62に電気部品が保持され、回路基材が基材移動装置により回路基材の表面に平行な方向に移動させられて、回路基材の任意の位置に電気部品が装着されるいわゆるインデックス式装着システムにおいても装着精度を検査することができる。以下、インデックス式着システムについて簡単に説明する。
【0075】
同図において、302は電気部品装着装置、304は電気部品供給装置である。電気部品装着装置302は、垂直軸線まわりに間欠回転するインデックステーブル306を備えている。インデックステーブル306は、複数の吸着ヘッド62を等角度間隔に保持し、図示しないインデックス用サーボモータ,カム,カムフォロワおよび回転軸等により構成される間欠回転装置により間欠回転させられ、吸着ヘッド62が順次部品供給位置(部品取出し位置),部品姿勢検出位置,部品姿勢修正位置,部品装着位置等の作動位置へ移動させられる。複数の吸着ヘッド62は、順次作動位置に位置決めされて、電気部品のプリント基板16への装着に必要な各種作動を行う。
【0076】
電気部品供給装置304は、フィーダ支持台330と、その上に搭載された複数個の電気部品フィーダ24とを有する。複数個の電気部品フィーダ24は、各部品供給部が水平面内の1本の直線(この直線の方向をX方向とする)に沿って並ぶ状態でフィーダ支持台330に支持されている。フィーダ支持台330は、ボールねじ334がX軸サーボモータ336によって回転させられることにより、一対のガイドレール338に沿ってX軸方向に移動させられ、それによって電気部品フィーダ24の部品供給部が部品供給位置へ選択的に移動させられる。これらボールねじ334およびX軸サーボモータ336等が支持台移動装置340を構成しているのである。
【0077】
プリント基板16は、XYテーブル350を備えたプリント基板位置決め支持装置352(以下、位置決め支持装置352と称する)により支持され、XY平面内の任意の位置へ移動させられる。位置決め支持装置352は、前記電気部品装着装置302および電気部品供給装置304と共に基台354上に設けられており、図示しない搬入装置からプリント基板16を受け取り、電気部品の装着後、同じく図示しない搬出装置に引き渡す。これら搬入装置および搬出装置はそれぞれベルトコンベアを備えており、プリント基板16をX方向に搬送する。XYテーブル350は、基台354に設けられたボールねじ356がX軸サーボモータ358によって回転させられることにより、一対のガイドレール360に沿ってX方向へ直線移動させられるXテーブル362と、そのXテーブル362上に設けられ、ボールねじ364がY軸サーボモータ366によって回転させられることにより、一対のガイドレール368に沿ってY軸方向へ直線移動させられるYテーブル370とを備えている。このYテーブル370上であって、プリント基板16に干渉しない位置に複数個の載置位置102が設けられている。駆動源たるサーボモータは回転角度を高精度で制御可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。また、電動回転モータに代えてリニアモータを用いてもよい。Fマークカメラ372は、装置本体に固定的に垂直方向下向きに取り付けられている。
【0078】
この態様においては、パーツカメラ380が図示しない支持装置により、吸着ノズル62の部品姿勢検出位置に対応する位置に固定的に設けられている。具体的には、吸着ノズル62の停止位置の真下に導光装置382が設けられ、その導光装置382がインデックステーブル306の回転中心と部品姿勢検出位置にある吸着ノズル62を通過する直線にそって水平に設けられている。導光装置382は図示は省略するが、一対の反射鏡を備え、入力側の反射鏡が吸着ノズル62の真下に位置するように形成されるとともに、出力側の反射鏡がインデックステーブル306より外側に位置するように形成されている。導光装置382はそれら一対の反射鏡により、出力側から垂直方向上向きに像形成光を出力するように構成されている。その導光装置382の出力側の上方にパーツカメラ380が垂直方向下向きに配設されている。パーツカメラ380は一対の反射鏡により反射された像を取得するので、吸着ノズル62に対向する位置において直接撮像するのと同様の像を取得することができる。しかも、導光装置382が一放射線に沿って設けられているので、吸着ノズル62が部品装着位置に到達した状態における向きに対応する向きで撮像することができる。
なお、部品姿勢検出位置は、部品供給位置から、部品装着位置までの間であって、比較的部品供給位置に近い位置に設定されている。検査用チップ100が部品姿勢検出位置においてパーツカメラ380に撮像されれば、部品姿勢修正位置に到達するまでに画像処理が完了するようにされているのである。
【0079】
本電気部品装着システムにおいては、先の実施形態における吸着ノズル62とパーツカメラ68とのように相対位置が固定的ではなく、各吸着ノズル62は、それのパーツカメラ380に対する相対位置が常に変化させられる。このため、本態様においては、装着精度の検査に当たって、各吸着ノズル62に吸着された検査用チップ100を複数回回転させ、各回転位置において撮像し、吸着ノズル62とパーツカメラ380との相対位置が検査される。
【0080】
さらに、インデックステーブル306が移動不能に設けられているので、吸着ノズル62のプリント基板16に電気部品を装着する装着位置が固定的に定められ、その装着位置にある吸着ノズル62に今回装着すべきプリント基板16側の装着位置が対向するように、XYテーブル350が移動させられて装着が行われる。これと同様に検査用チップ100を載置位置102に載置する際は載置位置102が、吸着ヘッドに対向するようにXYテーブル350が移動させられて検査用チップ100が載置される。したがって、本態様の電気部品装着システムにおいては、回路基材としてのプリント基板16の搬出・搬入作業と並行して装着精度を検査することができないので、例えば、1つのフィーダ支持台330の複数の部品フィーダ24のいずれかの部品がなくなり、別のフィーダ支持台と交替させられるテーブル交替時や、組み立てるべきプリント回路板等の電気回路が変わる段取り替え時等に装着精度検査が行われるようにしたり、装着作業が中断されて検査が行われるようにしたりすることになる。
【0081】
以上、本発明の実施形態のいくつかを詳細に説明したが、これは例示であり、本発明は、上記形態以外にも、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発明の効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である電気部品装着システムの一部を抜き出して示す斜視図である。
【図2】図1の電気部品装着システムの側面図である。
【図3】図1の電気部品装着システムの平面図である。
【図4】上記電気部品装着システムのうち装着ヘッドを拡大して示す側面断面図である。
【図5】上記電気部品装着システムの制御装置を示すブロック図である。
【図6】上記電気システムのパーツカメラにより撮像された像を示す図である。
【図7】上記電気システムのFマークカメラにより撮像された像を示す図である。
【図8】上記制御装置において実行される装着精度検査プログラムのうち検査開始判定部分を示すフローチャートである。
【図9】上記装着精度検査プログラムの第1撮像ステップを示すフローチャートである。
【図10】上記装着精度検査プログラムの第1相対位置取得おより補正部分を示すフローチャートである。
【図11】上記装着精度検査プログラムの第2撮像ステップおよび第2画像処理を示すフローチャートである。
【図12】別の態様の装着精度検査プログラムにおける第1撮像ステップを示すフローチャートである。
【図13】別の実施形態である電気部品装着システムの図4に対応する側面断面図である。
【図14】さらに別の実施形態である電気部品装着システムの図3に対応する平面図である。
【図15】さらに別の実施形態である電気部品装着システムの平面図である。
【符号の説明】
16:プリント基板 18:基板コンベヤ 28:電気部品 30:電気部品装着装置 32:ガイドレール 34:X軸スライド 36:ガイドブロック 38:ナット 40:ボールねじ 42:X軸サーボモータ 44:Y軸スライド 48:ボールねじ 50:ナット 52:Y軸サーボモータ 58:ガイドレール 60:装着ヘッド 62:吸着ノズル 66:Fマークカメラ 68:パーツカメラ 100:検査用チップ 102:載置位置

Claims (4)

  1. 電気部品を保持する部品保持具と、周回する一対のベルトとそれらベルトを案内する一対のガイドレールとを備えて回路基材を搬送する基材コンベヤと、その基材コンベヤにより部品装着位置に搬送された回路基材を支持する基材支持装置と、前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像する第1撮像装置と、前記基材支持装置に支持された回路基材の少なくとも一部を撮像する第2撮像装置とを含み、電気部品を回路基材に装着する電気部品装着システムの装着精度に関連する部分の精度を検査する方法であって、
    前記ガイドレールの上面の少なくとも1か所であって前記回路基材と干渉しない部分に載置部を設け、その載置部から前記部品保持具に検査用チップを保持させ、その検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において検査用チップの少なくとも一部をそれぞれ前記第1撮像装置により撮像した後、その部品保持具にその検査用チップを前記載置部に載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を前記第2撮像装置により撮像し、前記複数の回転位置の各々において前記第1撮像装置により撮像された検査用チップの複数の像に基づいて前記部品保持具,前記検査用チップおよび前記第1撮像装置の相対位置ずれである第1相対位置ずれを取得するとともに、前記第2撮像装置による前記検査用チップの撮像結果に基づいて前記検査用チップと前記第2撮像装置との相対位置ずれである第2相対位置ずれを取得し、それら第1および第2相対位置ずれに基づいて、前記部品保持具,前記第1撮像装置および前記第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つの相対位置ずれを取得することを特徴とする電気部品装着システムの精度検査方法。
  2. 前記回路基材の1つに対する電気部品の装着が終了し、その装着終了後の回路基材の搬出と次の回路基材の搬入とが行われる間に、前記部品保持具による前記載置部からの前記検査用チップの保持,前記第1撮像装置による撮像,前記載置部への載置および前記第2撮像装置による撮像が行われることにより、当該電気部品装着システムの精度が検査される請求項1に記載の電気部品装着システムの精度検査方法。
  3. 当該電気部品装着システムの装着精度に関連する固有値が、前記電気部品を前記回路基材に装着する作業を間に挟んで複数回検出され、取得された複数個の固有値を積分的に処理して真の固有値とされる請求項1または2に記載の電気部品装着システムの精度検査方法。
  4. 周回する一対のベルトとそれらベルトを案内する一対のガイドレールとを備えて、電気部品を装着すべき回路基材を搬送する基材コンベヤと、
    その基材コンベヤにより部品装着位置に搬送された回路基材を保持する基材保持装置
    と、
    電気部品を保持する部品保持具を前記基材保持装置に保持された回路基材に対して、その回路基材の表面に平行な方向に相対移動させる移動装置と、
    前記部品保持具に保持された電気部品の少なくとも一部を撮像可能な第1撮像装置と、
    前記回路基材の少なくとも一部を撮像可能な第2撮像装置と、
    それら部品保持具,移動装置,第1撮像装置および第2撮像装置を制御することにより前記電気部品を前記回路基材に装着させる制御装置と
    を含む電気部品装着システムであって、
    前記ガイドレールの上面の少なくとも1か所であって前記回路基材と干渉しない部分に設けられた載置部を含み、かつ、前記制御装置が、前記部品保持具に前記載置部から検査用チップを保持させ、その検査用チップを保持した部品保持具を複数の回転位置へ回転させ、各回転位置において前記検査用チップの少なくとも一部をそれぞれ前記第1撮像装置に撮像させた後、その部品保持具にその検査用チップを前記載置部へ載置させ、載置された検査用チップの少なくとも一部を前記第2撮像装置に撮像させ、前記複数の回転位置の各々において前記第1撮像装置により撮像された検査用チップの複数の像に基づいて前記部品保持具,前記検査用チップおよび前記第1撮像装置の相対位置ずれである第1相対位置ずれを取得するとともに、前記第2撮像装置による前記検査用チップの撮像結果に基づいて前記検査用チップと前記第2撮像装置との相対位置ずれである第2相対位置ずれを取得し、それら第1および第2相対位置ずれに基づいて、前記部品保持具,前記第1撮像装置および前記第2撮像装置のいずれか1つに対する他の2つの相対位置ずれを取得する検査用制御部を含むことを特徴とする電気部品装着システム。
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