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JP4560001B2 - 太陽電池用封止膜及びこの封止膜を用いた太陽電池 - Google Patents

太陽電池用封止膜及びこの封止膜を用いた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする太陽電池用封止膜及びこの封止膜を用いた太陽電池に関し、特に生産性に優れた太陽電池用封止膜及び太陽電池に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。
太陽電池は、一般に、図1に示すように、表面側透明保護部材としてのガラス基板1と裏面側保護部材(バックカバー)2との間にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)フィルムの封止膜3A,3Bにより、シリコン発電素子等の太陽電池用セル4を封止した構成とされている。なお、以下において、セルに対して受光面側に配置する封止膜を「表面側封止膜」と称し、セルの後方側に配置する封止膜を「裏面側封止膜」と称す。
このような太陽電池は、ガラス基板1、表面側封止用EVAフィルム3A、シリコン発電素子4、裏面側封止用EVAフィルム3B及びバックカバー2をこの順で積層し、加熱加圧して、EVAを架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。
上記太陽電池においては、太陽電池に入射した光をできるだけ効率よく太陽電池用セル内に取り込めるようにすることが発電効率の向上の点から強く望まれている。従って、封止用EVAフィルムは、できるだけ高い透明性を有し、入射した太陽光を吸収したり、反射したりすることが無く、太陽光のほとんどを透過させるものが望ましい。さらに太陽電池を長期に使用した場合に、光、熱等の影響により、封止用EVAフィルムが退色等により黄変して、太陽光の透過率が低下する現象が見られ、耐光性、耐熱性に優れた封止用EVAフィルムが求められ、これらの特性の一段の向上が望まれている。
上記のような透明性、耐光性、耐熱性に比較的優れた封止用EVAフィルムであっても、太陽電池(モジュール)を製造する際、シリコン発電素子を透明基板内に封止する工程に長時間を要するのであれば、生産性の観点から問題となる。一般に、上記特性が向上した封止用EVAフィルムは、封止工程において比較的長時間要することが多い。即ち、ガラス基板1、表面側封止用EVAフィルム3A、シリコン発電素子4、裏面側封止用EVAフィルム3B及びバックカバー2をこの順で積層し、加熱加圧して、EVAフィルムを架橋硬化させて接着一体化する工程において、EVAフィルムを架橋硬化するための時間が数十分要し、これが太陽電池の製造に長時間要する大きな原因と考えられている。
一般に、架橋に用いられる有機化酸化物(架橋剤)として、半減期温度の低い反応性の高いものを使用することにより、或いは有機化酸化物を増量することにより、EVAフィルムをより短時間で架橋硬化することができる。しかしながら、半減期温度の低い有機化酸化物(例、アルキルパーオキシエステル、パーオキシケタール)を使用した場合、或いは有機化酸化物を増量した場合、架橋後のEVAフィルムの長期使用によりフクレが発生し易いとの問題がある。
一方、透明性及び各種機械物性の向上のために、架橋助剤を使用することも知られている。例えば、特許文献1(特開平2001−206921号公報)には、エチレン/酢酸ビニル共重合体に架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを使用することにより高い透明性を有するエチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート三元共重合体(EVAT)の透明膜が得られることが記載されている。
特開平2001−206921号公報
上記架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレートを使用した場合は、架橋密度は向上するが、架橋速度は十分大きくならない。架橋速度を大きくするために、前述のように、半減期温度の低い有機化酸化物を使用したり、或いは有機化酸化物を増量する必要があり、この場合、架橋時間は短縮されるが、成形時や、長期使用後にフクレ(発泡)が発生し易いとの問題がある。
本発明者等は、高い架橋密度を維持しながら、フクレの発生を抑制して、なおかつ架橋時間を短縮するために鋭意検討を重ね、本発明に到達したものである。
従って、本発明は、生産性に優れ、フクレ等が見られない外観の良好な太陽電池用封止膜を提供することを目的とする。
また本発明は、生産性に優れ、外観が良好で、経時的にフクレ等の発生のない耐久性に優れた太陽電池用封止膜を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記太陽電池用封止膜を用いた生産性に優れ、外観の良好な太陽電池を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、上記太陽電池用封止膜を用いた生産性に優れ、外観が良好で、耐久性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、フクレの発生を抑制することにより良好な外観が長期に保持することができるとの特性を維持しながら、なおかつ架橋時間を短縮した、良好な特性と優れた生産性を兼備した太陽電池用封止膜を得るために鋭意検討を重ねてきた。本発明者等の検討によれば、有機化酸化物の種類(半減期温度等)の選択、増量によって、架橋時間を短縮することは可能であるが、フクレの発生を安定して抑えることは困難であった。そこで、有機化酸化物以外の材料についてその可能性を探り、架橋助剤の中から特定の2種の組合せを用いることにより、フクレの発生の抑制と、架橋速度の向上を同時に実現できることを見いだした。
従って、上記目的は、
エチレン/酢酸ビニル共重合体、有機過酸化物及び架橋助剤を含む太陽電池用封止膜において、
該有機過酸化物として、下記式I:
Figure 0004560001

[但し、R 1 がメチル基を表し、R 2 がエチレン基を表し、そしてR 3 がt−ブチル基を表す。]で表されるジアルキルパーオキサイドを含み、
該架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含み、
トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの合計配合量が、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して1〜2.5質量%の範囲であり、且つ
トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの配合比が、質量で65:35〜85:15の範囲にあることを特徴とする太陽電池用封止膜により達成することができる。
本発明の太陽電池用封止膜の好ましい態様を以下に列記する。
)トリアリルイソシアヌレートを、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.5〜2.0質量%含んでいる。
)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.1〜0.5質量%含んでいる。
(3)有機過酸化物として、
下記式II:
Figure 0004560001
[但し、 4 がt−ブチル基を表し、そしてR 5 が2−エチルヘキシル基を表す。]
で表されるパーオキシエステルを含んでいる。
)上記パーオキシエステルとジアルキルパーオキサイドとを併用し、且つパーオキシエステルのジアルキルパーオキサイドに対する質量比(パーオキシエステル/ジアルキルパーオキサイド)が1/99〜9/91の範囲となるように使用することが好ましい。
)有機過酸化物を、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部含有している。
)架橋助剤(ラジカル重合性基を有する化合物)を、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して1.0〜10質量部含有している。
)さらにジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む。本発明の封止膜の組成物の系において、黄変防止効果が特に優れている。
)さらにシランカップリング剤を含む。接着性が向上し、耐熱性等が向上する。
)エチレン/酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル単位が、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して10〜36質量%の範囲にある。
また、本発明の封止膜の好ましい架橋温度は135〜180℃(さらに140〜180℃、特に155〜180℃)である。また架橋時間は一般に5〜30分(特に5〜15分)である。
また本発明は、
表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に封止膜を用いて太陽電池用セルを封止してなる太陽電池において、該太陽電池用セルと裏面側保護部材との間に介在させる封止膜として上記の太陽電池用封止膜を用いて架橋一体化されていることを特徴とする太陽電池にもある。
本発明の太陽電池用封止膜は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、有機過酸化物及び架橋助剤を主成分とし、その架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとを併用している。これにより、EVAの架橋時間が大幅に短縮され、なおかつ架橋時及びその後のフクレの発生もほとんど見られない。
また長期使用した場合のフクレ等の発生が顕著に抑えられ、長期に良好な外観を維持することができる。従って、本発明の太陽電池用封止膜は、高い生産性を有し、良好な外観を備えた、地球性に優れたのである。
従って、このような太陽電池用封止膜を有する太陽電池も、高い生産性、良好な外観を有し、かつ耐久性も向上している。
本発明の太陽電池用封止膜は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、有機過酸化物(架橋剤)及び架橋助剤を主成分とするものである。そして、本発明では、この架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含んでいる(一般に、合計量でエチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.1〜10質量%)。これにより、フクレの発生を抑えて良好な外観を維持しながら、架橋速度を高めることが可能である。特に、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを、質量で一般に10:90〜90:10、好ましくは60:40〜90:10、特に65:35〜85:15の配合比(トリアリルイソシアヌレート:トリメチロールプロパントリメタクリレート)で使用することにより、フクレの発生の抑制と、架橋速度の向上を、極めて高次元で実現することができる。
従って、本発明の太陽電池用封止膜は、EVAの架橋速度が速く、架橋時及びその後のフクレの発生が顕著に抑えられており、優れた生産性、良好な外観、そして向上した耐久性を備えている。
本発明の太陽電池用封止膜は、例えば、上記構成を有するEVA樹脂組成物を常法に従って成膜することにより、容易に製造することができる。
得られる本発明の太陽電池用封止膜の厚さは、一般に50μm〜2mmの範囲である。
次に、本発明のEVA樹脂組成物について説明する。
本発明のEVA樹脂組成物に用いられる有機樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)が使用される。さらに、ポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)、塩化ビニル樹脂を副次的に使用することもできる。その場合、特にPVBが好ましい。
上記EVAは、酢酸ビニル含有率が、一般に10〜40質量であり、10〜36質量%、特に10〜33質量%、中でも20〜30質量%であることが好ましい。この酢酸ビニル含有率が40質量を超えると、樹脂の粘性が低下し、封止時にガラス基板とバックカバーとの間から流れ出し易くなり好ましくない。さらに、粘着性が増大して、取扱いが困難となる。酢酸ビニル含有率が10質量未満になると、加工性が低下し、得られるフィルムが硬質になりすぎるため、脱気性が低下し、太陽電池作製時にセルに損傷を与えやすくなる。
本発明で用いられるEVAは、メルトフローレートが0.7〜40g/10分、特に1.5〜10g/10分であることが好ましい。
本発明で用いるEVA樹脂組成物には、耐久性、耐候性の向上のために有機過酸化物(架橋剤)を含有しており、これにより架橋構造が得られる。
上記の有機過酸化物(架橋剤)としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられ、特に、配合時の安定性を考慮に入れれば、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。
本発明のおいては、有機過酸化物として、下記式I:
Figure 0004560001

[但し、R 1 がメチル基を表し、R 2 がエチレン基を表し、そしてR 3 がt−ブチル基を表す。]で表されるジアルキルパーオキサイド、即ち2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを含んでいる。本発明の架橋助剤の組合せを、この式Iのジアルキルパーオキサイドを使用した条件で使用した場合に、効果的であり、フクレの抑制と生産性の向上を特に高次元で実現することができる。
有機過酸化物(全体量で)は、一般にEVA100重量部に対して一般に5質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、特に0.2〜3質量部に範囲で使用される。
或いは、有機化酸化物として、
下記式II:
Figure 0004560001
[但し、R4t−ブチル基を表し、そしてR 5 が2−エチルヘキシル基を表す。]
で表されるパーオキシエステル、即ちt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを使用することも好ましい。
上記パーオキシエステルを使用することが、特に架橋速度の観点から好ましい。
式Iのジアルキルパーオキサイドと式IIのパーオキシエステルとの両方使用することも好ましく、パーオキシエステルのジアルキルパーオキサイドに対する質量比(パーオキシエステル/ジアルキルパーオキサイド)は1/99〜9/91の範囲とすることが好ましい。
上記式Iのジアルキルパーオキサイドは、一般に半減期温度が高く、フクレが発生し難いが、EVAの架橋に比較的長時間を要する。上記式IIのパーオキシエステルは、一般に半減期温度が低いのでEVAの架橋時間は短縮されるが、フクレが発生し易い。本発明の特定の架橋助剤の組合せを用いることにより、フクレを抑制し、架橋時間を短縮することができる。上記いずれかの有機酸化物を使用しても良い。特に2種併用が好ましい。1種類使用する場合は、上記式Iのジアルキルパーオキサイドが好ましい。
またこのような特性は、高温で短時間架橋することにより得られ易い傾向にあることも分かった。好ましい架橋温度は135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃である。架橋時間(後述の脱気時間とプレス時間の合計)は一般に5〜30分(特に5〜15分)である。
本発明では、フクレを防止しながら、架橋速度を向上させるために、架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)として、トリアリルイソシアヌレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとを含んでいる。架橋助剤は、一般に、EVAのゲル分率を向上させ、耐久性を向上するためにEVA樹脂に添加されるものであるが、本発明では架橋速度の向上に利用したものであり、着眼点は画期的なものである。
本発明では、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを特定の配合比で使用することが、フクレ発生の抑制、及び架橋時間の短縮に特に有効である。本発明において、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの配合比は、質量で65:35〜85:15(トリアリルイソシアヌレート:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート)である。
トリアリルイソシアヌレートの使用量は、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に0.5〜5質量%が好ましく、特に0.5〜2.0質量%である。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの使用量は、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.01〜4質量%が好ましく、更に0.1〜2質量%が好ましく、特に0.1〜0.5質量%である本発明において、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの合計の使用量は、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して1〜2.5質量%の範囲である
上記以外の架橋助剤も、副次的な量で使用しても良い。このような架橋助剤としては、公知のもの、例えばトリアリルシアヌレート等の3官能性アリル化合物、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレート等の2官能性アリル化合物、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)等の単官能又は2官能性の(メタ)アクリレート化合物も挙げることができる。トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートと共に、上記2官能性の(メタ)アクリレート化合物を併用することも可能であるが、3官能性の化合物を併用することが好ましい。
また、太陽電池の封止膜として、発電素子との接着力向上の目的で、EVA樹脂にシランカップリング剤を添加することができる。この目的に使用されるシランカップリング剤としては公知のもの、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、EVA100質量部に対して5質量部以下、好ましくは0.1〜2質量部で使用される
また、EVAの安定性を向上する目的でハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを添加することができ、これらのは、EVA樹脂100重量部に対して一般に5質量部以下で使用される。
本発明では、必要に応じ、さらに着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。着色剤の例としては、金属酸化物、金属粉等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、アヂ系、酸性又は塩基染料系レーキ等の有機顔料がある。紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のモノヒドロキシアルコキシベンゾフェノン系;2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等のジヒドロキシアルコキシベンゾフェノン系;2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;フェニルサルシレート;p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートフェノール系がある。また光安定剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、老化防止剤としては、アミン系;フェノール系;ビスフェニル系を挙げることができる。
本発明では、黄変防止のために、上記ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤を使用することが好ましい。特に2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。
上記紫外線吸収剤等は、それぞれ、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲で一般に使用される。
上記本発明のEVA樹脂組成物を、例えば、押出成形、カレンダー成形等により加熱圧延することにより成膜することにより、常法に従い本発明の太陽電池用封止膜を製造することができる。尚、加熱温度は、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、40〜80℃が好ましい。
本発明の太陽電池用封止膜を用いて太陽電池を製造するには、図1に示すようにガラス基板1、EVAフィルム3A、シリコン発電素子4、EVAフィルム3B及びバックカバー2を積層するに当り、裏面側EVAフィルム3Bとして、本発明の封止膜を用い、また、表面側のEVAフィルム3Aとしても本発明の封止膜を用いて積層し、積層体を常法に従って、真空ラミネータで温度135〜180℃(さらに140〜180℃、特に155〜180℃)、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間8〜45分で加熱加圧圧着すれば良く、この加熱加圧時に、EVAフィルム3A,3Bが架橋して耐光性、耐熱性及び耐候性に優れた封止膜を形成することができる。
本発明で使用されるガラス基板1は、通常珪酸塩ガラスである。ガラス板厚は、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものである。
本発明で使用されるバックガード2は、一般にプラスチックフィルム(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))であるが、耐熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルムが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
[実施例1]
[EVA樹脂組成物配合1(質量部)]
EVA樹脂: 100
(酢酸ビニル含有量26重量%、メルトフローレート4g/10分)
架橋剤1: 1.5
(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
架橋助剤1(トリアリルイソシアヌレート): 1.0
架橋助剤2(トリメチロールプロパントリメタクリレート): 0.5
添加剤1(ヒンダードアミン系光安定剤) 0.1
[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート]
添加剤2(紫外線吸収剤): 0.03
(2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン)
上記配合のEVA樹脂組成物を用いて、80℃で押出成形法して、EVAフィルムを成膜した。フィルムの厚さは600μmであった。
得られたEVAフィルムを表面側封止用EVAフィルム3A及び裏面側封止用EVAフィルム3Bとして用い、図1に示すように、厚さ3mmのガラス板1、厚さ38μmのフッ化ポリエチレンフィルムよりなるバックカバー2との間に太陽電池用セル4を封止して太陽電池を製造した。なお、封止は、真空ラミネーターで、真空下、温度約140〜175℃、脱気時間3分、プレス時間10分間の条件で、加熱圧着し、EVAを架橋することにより行った。
[比較例1]
EVA樹脂組成物配合1において、架橋助剤1(1.0質量部)のみ使用し、架橋助剤2を使用しなかった以外、実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
[参考例1]
EVA樹脂組成物配合1において、架橋助剤2の使用量を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外、実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
[実施例2]
EVA樹脂組成物配合1において、架橋剤1の使用量を1.5質量部から1.9質量部に変更した以外、実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
[比較例2]
実施例2において、架橋助剤1(1.0質量部)のみ使用し、架橋助剤2を使用しなかった以外、実施例2と同様にして太陽電池を製造した。
[参考例2]
実施例2において、架橋助剤2の使用量を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外、実施例2と同様にして太陽電池を製造した。
[実施例3]
EVA樹脂組成物配合1において、架橋剤1の使用量を1.5質量部から2.1質量部に、架橋助剤1の使用量を1.0質量部から2.0質量部変更した以外、実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
[比較例3]
実施例3において、架橋助剤1(2.0質量部)のみ使用し、架橋助剤2を使用しなかった以外、実施例と同様にして太陽電池を製造した。
[参考例3]
実施例3において、架橋助剤1の使用量を2.0質量部から1.0質量部に、架橋助剤2の使用量を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外、実施例3と同様にして太陽電池を製造した。
[実施例4]
[EVA樹脂組成物配合2(質量部)]
EVA樹脂: 100
(酢酸ビニル含有量26重量%、メルトフローレート4g/10分)
架橋剤1: 1.3
(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
架橋剤2: 0.1
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート)
架橋助剤1(トリアリルイソシアヌレート): 2.0
架橋助剤2(トリメチロールプロパントリメタクリレート): 0.5
添加剤1(ヒンダードアミン系光安定剤) 0.1
[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート]
添加剤2(紫外線吸収剤): 0.03
(2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン)
上記配合のEVA樹脂組成物を用いて、80℃で押出成形法して、EVAフィルムを成膜した。フィルムの厚さは600μmであった。
得られたEVAフィルムを表面側封止用EVAフィルム3A及び裏面側封止用EVAフィルム3Bとして用い、図1に示すように、厚さ3mmのガラス板1、厚さ38μmのフッ化ポリエチレンフィルムよりなるバックカバー2との間に太陽電池用セル4を封止して太陽電池を製造した。なお、封止は、真空ラミネーターで、真空下、温度約140〜175℃、脱気時間3分、プレス時間10分間の条件で、加熱圧着し、EVAを架橋することにより行った。
<上記太陽電池用封止膜の評価>
(1)50%架橋時トルク(kgf/cm)
上記各実施例、比較例及び参考例と同様の樹脂組成物を、剥離層を有するガラス板に同様にして形成し、その後シートを剥離した。得られたシートを150℃に設定し、そのトルクをキュアトルクメータ(IV型;JSR(株)製)にて、15分間に亘ってその値を読みとることにより測定し、50%架橋時の値を、トルク最大値と最小値の中間値を50%架橋とした。
(2)50%架橋到達時間(分)
上記各実施例、比較例及び参考例と同じ樹脂組成物を、剥離層を有するガラス板に同様にして形成し、その後シートを剥離した。得られたシートを150℃に設定し、そのトルクをキュアトルクメータ(IV型;JSR(株)製)にて、15分間に亘ってその値を読みとることにより測定し、50%架橋に要した時間を決定し、50%架橋到達時間とした。
(3)発泡(フクレ)
得られた太陽電池を、温度85℃及び相対湿度85%の環境下で800時間放置し、放置後の外観(フクレ、発泡)を目視で観察し、下記のように評価した。
○:フクレ、発泡が見られない
△:フクレ、発泡が若干見られる
×:フクレ、発泡が見られる
結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004560001

Figure 0004560001

上記結果から明らかなように、本発明の特定の2種類の架橋助剤を使用した場合、1種類のみ使用した比較例の封止膜に比較して、短時間で架橋が可能であり、且つフクレの発生もない。
一般的な太陽電池を示す断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 バックカバー
3A,3B EVAフィルム
4 シリコン発電素子

Claims (10)

  1. エチレン/酢酸ビニル共重合体、有機過酸化物及び架橋助剤を含む太陽電池用封止膜において、
    該有機過酸化物として、
    下記式I:
    Figure 0004560001

    [但し、R 1 がメチル基を表し、R 2 がエチレン基を表し、そしてR 3 がt−ブチル基を表す。]で表されるジアルキルパーオキサイドを含み、
    該架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含み、
    トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの合計配合量が、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して1〜2.5質量%の範囲であり、且つ
    トリアリルイソシアヌレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの配合比が、質量で65:35〜85:15の範囲にあることを特徴とする太陽電池用封止膜。
  2. トリアリルイソシアヌレートを、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.5〜2.0質量%含む請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
  3. トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを、エチレン/酢酸ビニル共重合体に対して0.1〜0.5質量%含む請求項1又は2に記載の太陽電池用封止膜。
  4. 有機過酸化物として、
    下記式II:
    Figure 0004560001

    [但し、R4がt−ブチル基を表し、そしてR5が2−エチルヘキシル基を表す。]
    で表されるパーオキシエステルを含んでいる請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  5. 有機過酸化物を、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有している請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  6. 架橋助剤を、合計量で、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部含有している請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  7. さらにジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  8. さらにシランカップリング剤を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  9. エチレン/酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル単位が、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して10〜36質量%の範囲にある請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  10. 表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に封止膜を介して太陽電池用セルを封止してなる太陽電池において、
    前記封止膜が請求項1〜のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜であることを特徴とする太陽電池。
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