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JP4559147B2 - 孔版印刷原紙用接着剤、孔版印刷原紙、およびその製造方法 - Google Patents

孔版印刷原紙用接着剤、孔版印刷原紙、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定組成のポリオレフィン樹脂と特定の媒体とを含有する孔版印刷原紙用接着剤、それを用いた孔版印刷原紙、およびその製造方法に関するものである。
従来より使用されている感熱性の孔版印刷原紙の構成は、ポリエステル系樹脂やポリ塩化ビニリデン系樹脂等の熱可塑性樹脂フィルムと該フィルムの溶融収縮温度では溶融収縮しないインク透過性の多孔性支持体(例えば、合成繊維または天然繊維、あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、紗、和紙等)とを接着剤で貼り合せ、該フィルム表面に、原稿または発熱素子との融着を防止するための被膜を設けたものである。この種の感熱性の孔版印刷原紙に用いる前記熱可塑性樹脂フィルムは、感熱穿孔性の感度を高めるために、2μm程度のきわめて薄いものが用いられている。さらに、近年、感熱穿孔性の感度を上げるために結晶化度の低いポリエステル系樹脂フィルムが用いられるようになってきた。
このように、孔版印刷原紙の基本構成は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体であることから、両者を貼り合せる接着剤が不可欠であり、接着剤の選定や接着方法が孔版印刷原紙の品質を左右する重要な要因となる。
接着剤には、原紙の感熱穿孔感度を低下しないように、ごく少量の塗布量で、強力な接着力と、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔温度以下で熱軟化溶融することが要求される。さらに、生産性を向上させる点、および、きわめて薄い熱可塑性樹脂フィルムに収縮等のダメージを与えない点等から、80℃以下程度の温度域での乾燥性、接着性が求められている。また、接着剤は耐水性を必要とし、耐水性が低い場合、印刷インキにより接着剤が軟化膨潤してしまい、フィルムと支持体とが剥離(デラミ)してしまう。
これまで、孔版印刷原紙のための接着剤や接着方法に関する数多くの技術提案がなされてきた。例えば、特許文献1にはホットメルト接着剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、飽和ポリエステル樹脂を難水溶性の有機溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)に溶解させた接着剤が、特許文献3には、酢酸ビニル樹脂やアクリル樹脂を水溶性のアルコール(メタノール等)を含む媒体に溶解させて使用することが記載されている。また、特許文献4にはウレタン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂等を水に分散した水系接着剤が開示されている。
特開昭59−16790号公報 特開昭57−182495号公報 特公昭47−17336号公報 特開2002−254849号公報
しかしながら、上記特許文献1のようなホットメルト接着剤を用いる場合、接着剤の粘度が高いために均一な薄膜塗布が困難である。また、接着剤を融点以上に加熱しなければならず、特殊な塗布装置や複雑な塗布工程が必要である。さらに、加熱によって薄い熱可塑性樹脂フィルムが収縮してしまうため、接着剤を多孔性支持体へ塗布しなければならず、支持体の繊維間結合力が弱いと繊維が接着剤塗布ローラーに剥ぎ取られてしまうため生産性が悪く、加熱温度が高すぎる場合には多孔性支持体が変形してしまう問題があった。
特許文献2の接着剤では、有機溶剤を使用するため、結晶性の低いポリエステル樹脂フィルムや合成繊維では、耐溶剤性が低く使用できないなど、基材が限定されてしまう問題があった。さらに、難水溶性の有機溶剤は環境面から使用が制限される傾向にある。特許文献3では、水溶性のアルコール(メタノール等)を使用しているため、結晶性の低いポリエステル樹脂フィルムや合成繊維を侵さないが、このような接着剤では少ない塗布量(例えば、1g/m2以下)での接着性に問題があった。さらに、特許文献2、3の接着剤では耐水性が低く、前述した印刷インキによりフィルムと支持体とが剥離してしまう問題があった。塗布量を増加させると接着性は向上するが、フィルムの穿孔性が阻害され、印刷鮮明度が低下してしまう問題がある。
また、特許文献4に開示された水系接着剤では、少ない塗布量での接着性に問題があった。
このように、接着力と感熱穿孔性という相反する特性を充分に満足し、耐水性が良好であり、しかも低温で乾燥でき生産性が良好な水系の接着剤は未だ知られていなかった。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂を含有する接着剤を用いることで、上記課題が全て一度に解決されることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)無水マレイン酸成分を0.1〜10質量%含有するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(1)と、不飽和カルボン酸成分を12〜30質量%含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(2)とからなり、(1)、(2)の固形分質量比(1)/(2)が95/5〜50/50であり、さらに無水マレイン酸成分の一部及び不飽和カルボン酸成分の一部が揮発性の塩基性化合物によって中和されてなるポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とからなる孔版印刷原紙用接着剤。
)ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径が0.3μm以下である(1)載の孔版印刷原紙用接着剤。
)熱可塑性樹脂フィルム(X)接着層(Z)、および多孔性支持体(Y)から構成される孔版印刷原紙であって、接着層(Z)が、無水マレイン酸成分を0.1〜10質量%含有するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(1)と、不飽和カルボン酸成分を12〜30質量%含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(2)とからなり、(1)、(2)の固形分質量比(1)/(2)が95/5〜50/50であるポリオレフィン樹脂(A)から構成される孔版印刷原紙。
)熱可塑性樹脂フィルム(X)と多孔性支持体(Y)とを、(1)又は(2)記載の接着剤を用いて、乾燥温度10〜80℃において接着することを特徴とする孔版印刷原紙の製造方法。
本発明の孔版印刷原紙用接着剤によれば、例えば1g/m2以下といった少ない塗布量でも熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを良好に接着することが可能であり、また、得られる孔版印刷原紙は、フィルムの穿孔性に優れており、印刷鮮明度も良好である。さらに、本発明の接着剤より形成される接着層は、耐水性が良好であり、印刷インキによるデラミも起こしにくい。そのうえ、本発明の接着剤は、80℃以下といった比較的低温度域、かつ短時間の乾燥条件においても良好な接着性を発現するため、生産性にも優れている。また、水性媒体中の有機溶剤量を減じた場合には、環境にも好ましいものとなる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の接着剤におけるポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸成分(A1)を0.1〜30質量%含むことが必要である。不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に微細かつ安定に分散または溶解させる(水性化)ために必要であり、この量は、樹脂の水性化のし易さ、分散粒子径、接着性等のバランスの点から、0.5〜22質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。(A1)の含有量が30質量%を超えると耐水性や基材フィルムとの密着性が低下してしまう。(A1)の含有量が0.1質量%未満の場合、接着性が低下したり、樹脂を水性媒体中に分散し難くなる。
(A1)成分は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分(A1)は、ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
(A1)成分の一部は揮発性の塩基性化合物で中和されていることが接着剤の分散安定性の点から必要である。揮発性の塩基性化合物としては、アンモニアまたは各種の有機アミン化合物、好ましくはアンモニアまたは常圧下での沸点が250℃以下である有機アミン化合物が挙げられる。沸点が250℃を超えると樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、接着剤の耐水性が悪化する場合がある。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。カルボキシル基は、上記した塩基性化合物によって少なくとも一部が中和されていればよく、接着剤の分散安定性の点から、中和度は30〜100%であることが好ましく、50〜100%がより好ましく、70〜100%がさらに好ましく、80〜100%が特に好ましい。カルボキシル基(酸無水物を含む)の一部が中和されていることでアニオンを生じ、アニオンの静電気的反発力によって樹脂微粒子間の凝集を防ぎ、接着剤を安定化させることができる。
なお、酸無水物を導入した場合には、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基性化合物を含有する媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
ポリオレフィン樹脂(A)のオレフィン成分(A2)としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。オレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、接着性や耐水性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
ポリオレフィン樹脂(A)中には、接着性を向上させる点から、(メタ)アクリル酸エステル成分(A3)を含有していることが好ましい。(A3)成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、様々な熱可塑性樹脂フィルム基材との良好な接着性を持たせるために、この範囲は1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。(A3)成分の比率が1質量%未満では、基材フィルムとの接着性が低下する恐れがある。一方、(A3)成分の含有量が40質量%を超えてもオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、基材フィルムとの接着性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル(A3)成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
また、上記成分以外に他の成分をポリオレフィン樹脂(A)全体の10質量%以下程度、含有していてもよく、他の成分としては、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数6を超えるアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄、などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。なお、酸変性とは、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸によって変性(具体的には、グラフト変性)されたものである。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。上記の中でも、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂(A)として、無水マレイン酸含有量が0.1〜10質量%のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(I)と不飽和カルボン酸含有量が12〜30質量%、好ましくは15〜25質量%のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(II)とを併用することで接着性が向上する。好ましい質量比は(I)/(II)=95/5〜50/50の範囲である。
本発明において、ポリオレフィン樹脂(A)は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、通常0.01〜5000g/10分、好ましくは0.1〜1000g/10分、より好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは2〜300g/10分、特に好ましくは2〜200g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、基材フィルムとの接着性が低下したり、樹脂の水性化が困難になったりする。一方、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが5000g/10分を超えると、塗膜は硬くてもろくなり、基材フィルムとの接着性が低下してしまう。
ポリオレフィン樹脂(A)の合成法は特に限定されず、一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得られる。
本発明の接着剤は、上述したポリオレフィン樹脂(A)が、水性媒体中に溶解または分散されたものである。水性媒体とは、水と、水と混合し得る他の溶媒とからなる。他の溶媒としては、特に水溶性の有機溶剤が好ましい。水溶性の有機溶剤とは、例えば、20℃における水に対する溶解性が100g/L以上のものである。水溶性有機溶剤の含有量は、媒体全量を100質量%とした場合、10〜98質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、40〜95質量%がさらに好ましく、50〜95質量%が特に好ましく、60〜95質量%が最も好ましい。その割合が98質量%を超えると樹脂の溶解性、分散性が低下する傾向にある。また、水性媒体は、上述した、ポリオレフィン樹脂のカルボン酸を中和するための揮発性の塩基性化合物も含有している。
水溶性有機溶剤としては、低温での乾燥性(生産性)の点から、常圧時の沸点が100℃以下のものが好ましく、その具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトンが挙げられ、接着剤の安定性および低温乾燥性の点からエタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤は、熱可塑性樹脂フィルムを侵しにくく、また、その含有量が多いときは、低温、短時間の乾燥でも優れた接着性が発現するため、孔版印刷原紙の生産性を高めることができる。
通常、ポリオレフィン樹脂(A)は、上記媒体中に分散状態(エマルション)として存在しており、その粒子径が乾燥造膜性、接着性に非常に重要である。樹脂粒子の数平均粒子径(以下、mn)は、0.3μm以下が好ましく、0.005〜0.3μmがより好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが最も好ましい。さらに、体積平均粒子径(以下、mw)に関しては、0.5μm以下が好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましく、0.01〜0.2μmが特に好ましい。粒子径を小さくすることで、低温(特に80℃以下)での乾燥造膜性、接着性が格段に向上する。
本発明において、基材フィルムや多孔性支持体との接着性、耐水性等の性能をさらに向上させるために、架橋剤を添加することができ、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部である。架橋剤の添加量が0.1質量部未満の場合は、各種性能の向上の程度が小さく、30質量部を超える場合は、加工性等の性能が低下してしまう。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、チタン塩化合物、アルミニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用しても良い。中でも、接着剤の液安定性や低温乾燥での接着性の点から、イソシアネート化合物が好ましい。
さらに、本発明の接着剤には、その特性が損なわれない範囲で、有機・無機フィラー、板状顔料、無機層状化合物、顔料、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、凍結融解安定剤、塗膜形成助剤、防腐剤、防カビ剤、防サビ剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、耐候剤、難燃剤、レベリング剤、ワキ防止剤等を添加することができる。さらに、初期接着性を向上させるために、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の他の樹脂を添加してもよく、こうした樹脂は、ガラス転移温度が30℃以下のものが好ましい。また、粘着付与剤やワックスを添加してもよい。
本発明の孔版印刷原紙は、熱可塑性樹脂フィルム(X)と多孔性支持体(Y)とを上記接着剤で貼り合わせたものであり、熱可塑性樹脂フィルム(X)、不飽和カルボン酸成分0.1〜30質量%含むポリオレフィン樹脂(A)からなる接着層(Z)、および多孔性支持体(Y)から構成される。
孔版印刷原紙を構成する熱可塑性樹脂フィルム(X)としては、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のホモポリマーやコポリマーから成るフィルムが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂フィルムが好ましく、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙げることができる。穿孔感度を向上させるために特に好ましくは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙げることができる。
上記熱可塑性樹脂フィルム(X)には必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。さらには必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機高分子粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
熱可塑性樹脂フィルム(X)の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜3.0μmである。厚さが5.0μmを超えると穿孔性を低下する場合があり、0.1μmより薄いと製膜安定性が悪化したり、耐刷性が低下する場合がある。
本発明の孔版印刷原紙における多孔性支持体(Y)は、短繊維を抄紙した抄造紙、不織布や織物、スクリーン紗等が例示され、不織布がより好ましく用いられるが、単体でも、2種以上の併用であってもよい。多孔性支持体(Y)の材質は、マニラ麻、こうぞ、みつまた、パルプ等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ビニロン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはその共重合体等から得られる合成繊維、レーヨン等の半合成繊維などが挙げられる。また芯鞘構造を有するバインダー繊維等でもよい。
多孔性支持体(Y)の坪量は、好ましくは3g/m2〜20g/m2、さらに好ましくは5g/m2〜15g/m2である。坪量が20g/m2を超えると、インキの通過性が低下して画像鮮明性が低下する。また坪量が3g/m2より少ないと支持体として十分な強度を得られない場合がある。
また、熱可塑性樹脂フィルム(X)のサーマルヘッドに接触すべき面側に、穿孔時の融着を防止するため、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等からなる薄層を設けることが望ましい。融着防止の薄層の厚みは好ましくは0.005μm〜0.4μm、より好ましくは0.01μm〜0.4μmである。薄層を設ける方法は特に限定されないが、水、溶剤等に希釈した溶液をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。
本発明において、接着剤の塗布方法は特に限定されず、接着剤または接着剤を希釈したものをロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布すればよい。また、接着剤は、熱可塑性樹脂フィルム(X)、多孔性支持体(Y)のいずれに塗布しても、また両方に塗布することもできるが、生産性を考慮すれば熱可塑性樹脂フィルム(X)に塗布することが好ましい。接着剤の乾燥後の塗布量は、0.1〜3g/m2の範囲が好ましく、0.2〜2g/m2の範囲がより好ましく、0.2〜1g/m2の範囲が特に好ましい。塗布量が0.1g/m2より少ない場合は接着性が悪く、3g/m2より多い場合は穿孔性が阻害される。本発明に用いる接着剤は上記のような少ない塗布量においても均一な接着層を形成でき、かつ接着性も良好である。
本発明の接着剤は、80℃以下の比較的低温の温度で乾燥することができるため、熱可塑性樹脂フィルム(X)や多孔性支持体(Y)の熱による変形を抑制することができる。より好ましい乾燥温度は、10〜80℃であり、40〜65℃がさらに好ましい。乾燥温度が低い場合には、乾燥時間が長くなる傾向にある。また、架橋剤を添加した場合には、乾燥後、20〜60℃程度でエージング処理を行い、架橋反応を進行させることが接着性をさらに向上させるうえで好ましい。
次に、接着剤の調製方法について記載する。
本発明の接着剤を得るための方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)と水性媒体(揮発性塩基性化合物、沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤、水)とを密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができる。
容器としては、水性媒体と樹脂との混合物を適度に撹拌できる、固/液撹拌装置や乳化機として当業者に知られている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能なものが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されない。
この装置内に原料を投入した後、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合し、次いで、槽内の温度を50〜200℃、好ましくは60〜200℃の温度に保ちつつ、好ましくは5〜120分間攪拌を続けることにより樹脂を十分に水性化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に冷却することにより、本発明の接着剤を得ることができる。槽内の温度が50℃未満の場合は、樹脂の水性化が困難になる。槽内の温度が200℃を超える場合には、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下するおそれがある。
また、本発明の接着剤を調製する際に後述する乳化剤を少量添加してもよい。乳化剤の添加量は、基材フィルムとの接着性、耐水性の点から、乳化剤の含有量はポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、乳化剤を実質的に含有しないことが特に好ましい。こうした化合物は接着層形成後にも層中に残存し、層を可塑化して各種性能を悪化させたり、層から溶出したりするからである。
本発明でいう乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
接着剤における、樹脂含有率(固形分濃度)は、目的とする塗布量や性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、接着剤の粘性を適度に保ち、薄く均一である接着層形成させる点で、1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。樹脂含有率の調製方法としては、特に限定されないが、樹脂含有率が15質量%以上の接着剤を調製しておき、そこへ、水および/または上述した沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤を所定量添加して調製する方法が好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
1. 樹脂の特性
(1)ポリオレフィン樹脂(A)の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。ポリオレフィン樹脂は、オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸含有量は樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から算出した。
(2)ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)
JIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
2. 接着剤の特性
(1)接着剤の固形分濃度
接着剤を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(2)ポリオレフィン樹脂の平均粒子径
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径および体積平均粒子径を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(3)接着剤のポットライフ
接着剤を室温で30日放置した後の接着剤の外観を次の3段階で評価した。
○:外観に変化なし。
△:増粘がみられる。
×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られる。
(4)接着剤中の有機溶剤含有量
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用い、接着剤を水で希釈したものを直接装置内に投入して、媒体中の有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
3.材料特性
実施例のようにして作製した感熱性の孔版原紙を用いて以下に示す評価を行った。
(1)耐ブロッキング性
製造直後の原紙を10cm×10cmの大きさに切り取り、これを50枚重ね、その上に5kgの重りを乗せて、45℃で7日間保存後に原紙同士を相互に分離し、その際の剥がれ具合を調べた。
○:全くブロッキングが生じず、原紙同士が分離しているもの。
△:わずかにひっつき、粘着が生じるが、容易に分離するもの。
×:強制的剥離を要するもの。
(2)耐水性
製造直後の原紙を30℃の水道水に1時間、浸漬させた後の熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との剥がれ具合を目視で評価した。
○:剥がれ無し
△:部分的に剥がれ有り
×:全体的に剥がれ有り
(3)剥離強度
孔版印刷原紙を15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度50mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定した。
つぎに、作製した各感熱性孔版原紙を室温で3日放置後、16ドット/mmのサーマルヘッドを備えた製版印刷機(ゲステットナー社製CD760)で、原稿として画像電子学会のファクシミリテストチャ−トNo.2およびカラーテストチャートNo.11 を用いて製版を行い、つぎの項目について評価した。
(4)網点再現性
ベタ画像部、ハーフトーン画像部の網点抜け(白抜け)の有無、その程度を目視評価した。
○:網点抜けがなく、均一なトーンで鮮明なもの。
△:網点抜けがごく一部にあるか、あるいはごく微小な網点抜けがあるが、目立たないもの。
×:網点抜けが明瞭に認められるもの。
(5)解像度
10線/mmの線、文字を目視で判読できるか否かを調べた。
○:鮮明で判読容易なもの。
△:線の太り、細り、トビ、カスレがあり、判読しにくいもの。
×:線、文字を判読できないもの。
(6)印刷耐久性
原紙の破れ、シワ、伸びがなく、初めの印刷物と同等の印刷物が得られる印刷枚数を求めた。
リオレフィン樹脂は市販のものを使用した。以下の接着剤の製造において使用したポリオレフィン樹脂の組成を表1に示す。
参考例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(イ)〔ボンダインHX−8290、アトフィナ社製〕、60.0gのイソプロパノール(和光純薬社製、沸点81℃)、3.7gのトリエチルアミン(和光純薬社製、沸点89℃)および176.3gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂(イ)の水性分散体を得た。得られた水性分散体に固形分濃度が10質量%となるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶媒を添加して接着剤E−2を調製した。
次に融点が230℃以下の共重合ポリエステル樹脂フィルム(厚み2.0μmの2軸延伸フィルム)にE−2を乾燥後の接着剤付着量が0.8g/m になるようにマイヤーバーにて塗布し、ウエットの状態で多孔性支持体(マニラ麻薄葉紙、8.5g/m )を貼り合わせ、60℃、15秒間乾燥させた。その後、この積層体のフィルム面にシリコンオイルエマルション(東レダウコーニング・シリコーン社製、SM−8701)を乾燥後塗布量が0.2g/m になるように塗布し、60℃、15秒間乾燥させ孔版印刷原紙を得た。
参考例2
ポリオレフィン樹脂としてエチレン−アクリル酸共重合体樹脂(エ)(プリマコール5980I、アクリル酸20質量%共重合体、ダウケミカル製)を用いた。ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂(プリマコール5980I(エ)、ダウケミカル社製)、16.8gのトリエチルアミン、および232.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに40分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁のポリオレフィン樹脂(エ)の水性分散体を得た。得られた水性分散体に固形分濃度が10質量%となるようにイソプロパノールを添加して接着剤E−5を調製した。
E−5を用いて参考例1と同様の方法で孔版印刷原紙を得た。
実施例
参考例1、2で得られた水性分散体をポリオレフィン樹脂(イ)と(エ)の固形分質量比が70/30になるように混合、攪拌した。この液に固形分濃度が10質量%となるようにイソプロパノールを添加して接着剤E−9を調製した。
E−9を用いて参考例1と同様の方法で孔版印刷原紙を得た。
比較例1
不飽和カルボキシル基の多いポリオレフィン樹脂としてエチレン−無水マレイン酸交互共重合体(オ)(Aldrich社製、無水マレイン酸含有量50質量%)を用いた。ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの樹脂(オ)、15.5gのトリエチルアミン、および224.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を100℃に保ってさらに10分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、ほぼ透明のポリオレフィン樹脂(オ)の水性分散体を得た。得られた水性分散体に固形分濃度が10質量%となるようにイソプロパノールを添加して接着剤S−1を調製した。
S−1を用いて参考例1と同様の方法で孔版印刷原紙を得た。
比較例2
参考例2において、トリエチルアミンに変えて不揮発性の塩基性化合物である水酸化ナトリウム(和光純薬社製、特級)を用いその添加量を6.7g、水の添加量233.7gとした以外は参考例2と同様の方法で微白濁のポリオレフィン樹脂(エ)の水性分散体を得た。得られた水性分散体に固形分濃度が10質量%となるようにイソプロパノールを添加して接着剤S−2を調製した。
S−2を用いて参考例1と同様の方法で孔版印刷原紙を得た。
本発明の接着剤を用いることで低温、短時間、しかも少ない塗布量で優れた接着性を発現した。さらに得られた孔版印刷原紙の耐ブロッキング性、耐水性、網点再現性、解像度、印刷耐久性等の性能も良好であった。以下に示す傾向が認められた。
(1)ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸が含有されており、しかもその量が適量の場合、接着性は良好であった(参考例1、2
)特定組成のポリオレフィン樹脂を混合することで接着性は向上した(実施例と参考例との比較)。
比較例1では、不飽和カルボキシル基の含有量が本発明の範囲外であったため、接着性が悪く、耐水性、網点再現性、解像度、印刷耐久性も悪かった。比較例2では不揮発性の塩基性化合物を用いたため、接着性が悪く、耐水性、網点再現性、解像度、印刷耐久性も悪かった。

Claims (4)

  1. 無水マレイン酸成分を0.1〜10質量%含有するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(1)と、不飽和カルボン酸成分を12〜30質量%含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(2)とからなり、(1)、(2)の固形分質量比(1)/(2)が95/5〜50/50であり、さらに無水マレイン酸成分の一部及び不飽和カルボン酸成分の一部が揮発性の塩基性化合物によって中和されてなるポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とからなる孔版印刷原紙用接着剤。
  2. ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径が0.3μm以下である請求項1載の孔版印刷原紙用接着剤。
  3. 熱可塑性樹脂フィルム(X)接着層(Z)、および多孔性支持体(Y)から構成される孔版印刷原紙であって、接着層(Z)が、無水マレイン酸成分を0.1〜10質量%含有するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体(1)と、不飽和カルボン酸成分を12〜30質量%含有するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体(2)とからなり、(1)、(2)の固形分質量比(1)/(2)が95/5〜50/50であるポリオレフィン樹脂(A)から構成される孔版印刷原紙。
  4. 熱可塑性樹脂フィルム(X)と多孔性支持体(Y)とを、請求項1又は2記載の接着剤を用いて、乾燥温度10〜80℃において接着することを特徴とする孔版印刷原紙の製造方法。
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