JP4558569B2 - 超高強度繊維補強セメント組成物、超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート、並びに超高強度セメント混和材 - Google Patents
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Description
金属繊維で補強した超高強度、高曲げを発現するセメント組成物やそれを用いたセメント系硬化体に関しては既に提案されており、セメント、平均粒径1.5μm未満のポゾラン物質、平均粒径1.5〜20μmの石英質粉末、骨材からなるセメント組成物と金属繊維を用いて圧縮強度1500kgf/cm2(147N/mm2)、曲げ強度150kgf/cm2(14.7N/mm2)以上のセメント系硬化体を得るというものである(特許文献1参照)。
(1)セメント、シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、石膏、及び金属繊維を含有し、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度繊維補強セメント組成物である。
(2)セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部を含有することを特徴とする前記(1)の超高強度繊維補強セメント組成物である。
(3)セメント、シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、石膏、細骨材及び金属繊維を含有し、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度繊維補強モルタル又はコンクリートである。
(4)セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部を含有することを特徴とする前記(3)の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリートである。
(5)前記金属繊維が、長さ5〜30mmのものであることを特徴とする前記(3)又は(4)の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリートである。
(6)セメントとシリカフュームと石炭ガス化フライアッシュと石膏の合計100質量部に対して、細骨材50〜200質量部、練り混ぜ水と高性能減水剤の合計15〜25質量部を含有し、金属繊維をモルタル又はコンクリート1m3当たり0.5〜3容積%含有することを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれか一の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリートである。
(7)150N/mm2以上の圧縮強度と、20N/mm2以上の曲げ強度を有することを特徴とする前記(3)〜(6)のいずれか一の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリートである。
(8)シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、及び石膏を主成分とし、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度セメント混和材である。
(9)セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部の割合で使用することを特徴とする前記(8)の超高強度セメント混和材である。
なお、本発明で使用する配合割合や添加量を示す部や%は質量基準であるが、金属繊維の場合のみ習慣上容積基準である。
本発明の超高強度繊維補強セメント組成物等に使用するセメントは、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩性、及び白色などの各種ポルトランドセメント、高炉スラグや通常のフライアッシュをポルトランドセメントに混合した混合セメント、エコセメント、超早強セメントや急硬セメントなどである。また、これらのセメントの複数を任意量混合したセメントも使用できる。なお、エトリンガイトを生成させるのに適した普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉スラグセメントなどがより好ましい。
CGFAはシリカフュームと同様に粒径が球状であるので、高性能減水剤と併用すると流動性を高める効果を有するが、ポゾラン活性はシリカフュームより低いので強度増進効果は小さい。
CGFAが5質量部未満では流動性や曲げ強度の改善効果は小さく、50質量部を超えると圧縮強度の低下を招くことになる。シリカフュームに対するCGFAの配合割合は、CGFAが増えるにつれて流動性も曲げ強度も改善効果が順次大きくなる。しかし、ピークの値を超えると、CGFA量が増えるにつれて、それらの改善効果が低下する。したがって、シリカフュームとCGFAの配合割合には好ましい範囲があり、本願のより好ましい範囲はシリカフューム90〜60質量部、CGFA10〜40質量部である。
また、特定の比率のシリカフュームとCGFAは合計量で、セメント100質量部に対して5〜40質量部添加される。5質量部未満では流動性の向上及び圧縮強度や曲げ強度に対する強度増進効果が小さく、40質量部を超えて添加した場合、流動性の低下をもたらすと同時に添加率に応じた強度増進効果が期待できないので、性能的にも経済的にも好ましくない。本願におけるより好ましい範囲は7〜30質量部である。
石膏は、セメント100質量部に対して無水物換算で0.5〜8質量部配合され、0.5質量部未満では流動性や強度を高める作用は小さく、8質量部を超えて配合してもそれ以上強度の増進効果が期待できない。好ましくは1〜5質量部である。
さらに、任意量の粗骨材を併用することも可能である。粗骨材の品質も細骨材と同様に特に限定されるものではなく、生コン工場で用いられているものを使用することが可能である。
高性能減水剤とは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤、および、ポリカルボン酸塩系減水剤などのいずれかを主成分とするものであり、これらの一種又は二種以上が使用されるものである。ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤には、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物などがあり、減水率が大きくて空気連行性がなく、凝結遅延性も小さい特徴を有する反面、フローやスランプ保持性が小さいという課題を有する。市販品としては電気化学工業(株)社商品名「FT-500」とそのシリーズ、花王(株)社商品名「マイティー100(粉末)」や「マイティー150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)社商品名「セルフロー155」、竹本油脂(株)社商品名「ポールファインMF」等、及び(株)フローリック社商品名「フローリックPS」とそのシリーズなどが代表的である。芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤としては、(株)フローリック社商品名「フローリックVP200」とそのシリーズがあり、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系高性能減水剤には、グレースケミカルズ社商品名「ダーレックスFT-3S」、昭和電工建材(株)社商品名「モルマスターF-10(粉末)」や「モルマスターF-20(粉末)」が挙げられる。
高性能AE減水剤は、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系高性能減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系の改良型もあるが、一般的にはポリカルボン酸塩系減水剤を意味する場合がある。ポリカルボン酸塩系減水剤は不飽和カルボン酸モノマーを成分として含む共重合体又はその塩であり、例えばポリアルキレングリコールモノアクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールモノメタクリル酸エステル、無水マレイン酸及びスチレンの共重合体やアクリル酸やメタクリル酸塩の共重合体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体から導かれた共重合体などが主流であり、高性能減水剤系よりも少ない添加量で減水率が大きい。一般に、空気連行性を有し、凝結硬化の遅延性も大きい反面、フローやスランプ保持性が良好であるという特徴を有する。(株)エヌエムビー社商品名「レオビルドSP8N,8HU」シリーズ、フローリック(株)社商品名「フローリックSF500S」シリーズ、竹本油脂(株)社商品名「チュポールHP8」、「チュポールHP11」シリーズ、グレースケミカルズ(株)社商品名「ダーレックススーパー100」、「ダーレックススーパー200」、「ダーレックススーパー300」、「ダーレックススーパー1000」シリーズ、花王(株)社商品名「マイティー3000」、「マイティー21WH」、「マイティー21WH」シリーズ、その他が市販されている。
金属繊維の配合量はモルタル又はコンクリート1m3中に0.5〜3容積%であり、0.5容積%未満では曲げ強度を向上させる効果は小さく、3容積%を超えて配合しても曲げ強度の配合率に応じた増加は期待できない。好ましくは0.7〜2.5容積%である。なお、金属繊維の材質は特に限定されないが、鋼製、ステンレス製が入手し易いのでより好ましい。
また、本発明の超高強度繊維モルタル又はコンクリート等の養生方法は限定されるものではなく、場所打ちコンクリートでは通常の養生方法、製品工場のコンクリートでは蒸気養生、オートクレーブ養生、及び温水養生などが可能である。
実施例で使用する材料と試験項目とその方法を以下にまとめて示す。
セメント:電気化学工業(株)社製 普通ポルトランドセメント、密度3.16 g/cm3
細骨材 :新潟県姫川産川砂、5mm以下、密度2.62 g/ cm3
SF :シリカフューム、エルケム社製、密度2.44 g /cm3
CGFA:オランダ産、密度2.44 g/cc
石膏 :不溶性無水石膏、天然産、密度2.82 g/ cm3
高性能減水剤:ポリカルボン酸塩系減水剤、グレースケミカルズ(株)社製「スーパー1000N」
金属繊維A:直径0.2mm、長さ20mmのステンレス製、引張強度2000N/mm2以上、密度7.85 g/cm3
金属繊維B:直径0.2mm、長さ15mmの鋼製、引張強度2000N/mm2、密度7.80 g/ cm3
金属繊維C:直径0.2mm、長さ3,5,10,15,20,30,40mmの鋼製、引張強度1600N/mm2、密度7.80 g/ cm3
・モルタルの練り混ぜとフローの測定
JIS R 5201に準じた。フローは、抜き上げたときの静置フロー値(mm)とした。
・モルタル強度の測定方法
曲げ強度はJIS R 5201に準じ、圧縮強度はφ5×10cmの型枠に成型したものを用いた。
なお、モルタルの練り混ぜはJIS R 5201のモルタルミキサーを使用し、セメント、シリカフューム、CGFA、石膏及び細骨材をあらかじめポリエチレン袋の中で手混合したものを練り鉢に入れ、水に高性能減水剤を溶解した練り混ぜ水を添加して、低速で5分間、高速で2分間練り混ぜた。金属繊維はモルタルが練り上がってから低速攪拌しながら少しずつ添加し、添加し終わってから3分間練り混ぜた。また、養生方法は、成形した超高強度繊維モルタル供試体は直ちに20℃恒温室内で型枠上面をビニールシートにより封緘養生後、翌日脱型、蒸気養生槽に入れて80℃まで昇温し、24時間蒸気養生を行った。蒸気養生後自然放冷を行った後、強度測定試験を実施した。
細骨材量を増加させてゆくと、水量も多くなるが脆性的性質が改善されるために、圧縮強度は増加し、最大を示した後、低下する。したがって、圧縮強度から細骨材の配合量は50〜200質量部であり、好ましくは60〜150質量部である(実験No.2-1〜No.2-14)。なお、細骨材量が200質量部で水量が25質量部でも、金属繊維B0.5容積%配合で曲げ強度は20N/mm2を超え、圧縮強度も150N/mm2を超えることが示される(実験No.2-15)。
曲げ強度は金属繊維Bの配合量に大きく依存するが、3.5容積%を超えて配合しても曲げ強度の増加は認められないことも示されている(実験No.2-10)。
Claims (9)
- セメント、シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、石膏、及び金属繊維を含有し、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度繊維補強セメント組成物。
- セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の超高強度繊維補強セメント組成物。
- セメント、シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、石膏、細骨材及び金属繊維を含有し、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート。
- セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部を含有することを特徴とする請求項3に記載の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート。
- 前記金属繊維が、長さ5〜30mmのものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート。
- セメントとシリカフュームと石炭ガス化フライアッシュと石膏の合計100質量部に対して、細骨材50〜200質量部、練り混ぜ水と高性能減水剤の合計15〜25質量部を含有し、金属繊維をモルタル又はコンクリート1m3当たり0.5〜3容積%含有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート。
- 150N/mm2以上の圧縮強度と、20N/mm2以上の曲げ強度を有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の超高強度繊維補強モルタル又はコンクリート。
- シリカフューム、石炭ガス化フライアッシュ、及び石膏を主成分とし、かつ、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの割合が質量比で95〜50部:5〜50部であることを特徴とする超高強度セメント混和材。
- セメント100質量部に対して、シリカフュームと石炭ガス化フライアッシュの合計5〜40質量部、石膏0.5〜8質量部の割合で使用することを特徴とする請求項8に記載の超高強度セメント混和材。
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