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JP4550031B2 - トナー供給ローラー製造用円筒成形型 - Google Patents

トナー供給ローラー製造用円筒成形型 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真装置の現像装置に使用する長期に亘って画像不良の発生を抑制できるトナー供給ローラーの製造に用いるトナー供給ローラー製造用円筒成形型に関する。
複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置には、電子写真感光体や静電記録誘電体等の潜像担持体上に形成した静電潜像の現像を行う現像装置が設けられる。現像装置には、例えば、所定のトナー(現像剤)を収納する現像容器と、現像容器の開口を閉塞し、一部は現像容器から露出して、露出した部分で潜像担持体と対向するように配置され、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラーとが設けられる。現像容器内には、現像ローラー表面にトナーを供給するトナー供給ローラーや、現像ローラー上に余剰のトナーを除去してトナーの薄膜を形成するブレード等が設けられる。
このような現像装置に用いられるトナー供給ローラーは、現像ローラー表面にトナーを供給しこれと同時に不要分を掻き取り、一定量のトナー供給を行うため、低硬度で、柔軟性を有し、表面にセル開口を有するウレタンフォーム層を有するものが用いられている。このようなウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーは、芯金の表面にポリウレタンフォームを形成し、その外面を切削加工し、表面にセルの開口を形成しスポンジ状とすると共に、ローラー状に成形して製造されている。スポンジの外面加工には、研磨機などの機械加工あるいは発熱したニクロム線によるカット等の溶融切断加工などが使用されている。研磨による加工により成形されるトナー供給ローラーにおいては、表面の毛羽立ちがトナー搬送量を不安定とし、画像不良の要因となる他、ローラー表面から脱落した毛羽が異物となって電子写真装置の他の部位に詰まる等、画像不良や故障を惹起するおそれもある。これらの従来のトナー供給ローラーにおいては、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することが困難であり、画像不良が発生するおそれがあることに加え、製造工程が煩雑であり、高い寸法精度を得ることは困難であり、加えて研磨や切削工程での廃棄分が生じる。
このようなウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーの製造工程の簡略化を図った製造方法として、内表面をフッ素樹脂コート処理しその表面粗さRzを5〜20μmとした成形型を用いて金軸とウレタンフォームとを一体成形する方法が報告されている。(特許文献1)。このフッ素樹脂コートと特定の表面粗さを有する成形型を用いて成形することにより、トナー供給ローラーは表面のスキン開口率がコントロールされ、表面開口率を20%以上として得られる。しかしながら、成形型を反復使用した場合、セル開口率や離型性が低下する場合があり、このような場合成形型の洗浄を頻繁に行う必要がある。また、洗浄、清掃を頻繁に繰り返すと、一般的にフッ素樹脂材料は耐摩耗性が低いため、損傷を受けやすく、フッ素樹脂コートした成形型は反復使用に対し耐久性が充分でない場合がある。フッ素樹脂材料の摩耗性の向上を目的としては、金属又はセラミックの平面基材表面にPEEK樹脂、PEKK樹脂、PPS樹脂及びPES樹脂等の樹脂とフッ素樹脂を溶融して形成した、Ra15μm〜40μm粗面化複合被膜が報告されている(特許文献2)。しかしながら、表面積の50%以上を開口面積が占めるようなセルを有する被膜として耐摩耗性を備えたトナー供給ローラーを成形可能な成形型の表面を形成する充分な耐摩耗性を備えた材料は知られていない。
特開平9−274373号公報 特開2003−48273号公報
本発明の課題は、研磨や切削などの煩雑な工程を不要とし、原料の無駄を省き、寸法精度が高く、特定のセルの開口を有し、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができるトナー供給ローラーを製造するためのトナー供給ローラー製造用円筒成形型を提供することにある。また、耐久性を高め、効率よい製造を可能とし安価なトナー供給ローラーを提供可能なトナー供給ローラー製造用円筒成形型を提供することにある。
本発明は、成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートとを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してトナー供給ローラーのウレタンフォーム層を形成するトナー供給ローラー製造用円筒成形型であって、成形キャビティが、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする表面層を有し、該表面層がフッ素樹脂を含有し、該フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる一種または二種以上であり、表面粗さRzが20μm以上40μm以下の範囲であり、表面粗さRaが10μm以下の範囲であることを特徴とするトナー供給ローラー製造用円筒成形型に関する。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて製造されるトナー供給ローラーは、研磨や切削などの煩雑な工程を不要とし、原料の無駄を省き、寸法精度が高く、特定のセルの開口を有し、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができる。また、本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型は、耐久性を高めることができ、トナー供給ローラーの効率よい製造を可能とし安価である。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型は、成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートとを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してトナー供給ローラーのウレタンフォーム層を形成するトナー供給ローラー製造用円筒成形型であって、成形キャビティが、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする表面層を有し、該表面層がフッ素樹脂を含有し、該フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる一種または二種以上であり、表面粗さRzが20μm以上40μm以下の範囲であり、表面粗さRaが10μm以下の範囲であることを特徴とする。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて形成されるトナー供給ローラーウレタンフォーム層は、低硬度であり柔軟性を有し、トナーを現像ローラー表面に供給すると共に、不要量を掻き取る機能を有する。かかるウレタンフォーム層はポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を用いて形成される。
ウレタンフォーム原料の主成分であるポリエーテルポリオールとしては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエステルポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオール等の公知のポリエーテルポリオール類を適宜選択して使用することができる。具体的には、ダイマー酸系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリエーテルポリオール;ポリオキシアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールを挙げることができる。これらは一種又は二種以上を組み合せて使用することができる。
これらのうちポリエーテルポリオールは、耐湿性、耐熱性に優れ耐久性に優れる軟質高弾性ウレタンフォーム層を得られるため好ましい。更に、エチレンオキシドを5モル%以上含有するポリエーテルポリエーテルポリオールを使用すると、成形性の向上を図ることができるため好ましい。
これらのポリエーテルポリオールは予めポリイソシアネートと重合させたプレポリマーとして用いることもできる。
ウレタンフォーム原料の主成分であるイソシアネートとしては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を挙げることができる。これらは、単独で、又は二種以上を組み合せて用いることができる。イソシアネートを公知の活性水素化合物の一種または二種以上と反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーも、上記イソシアネートとして使用することもできる。
ウレタンフォーム原料のNCOインデックスは60〜120であることが好ましく、70〜100であることがより好ましい。ここでNCOインデックスとは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基の総数をイソシアネート基と反応する活性水素の総数で除したものに100を乗じた値とする。即ち、イソシアネート基と反応する活性水素数とポリイソシアネート中のイソシアネート基が化学量論的に等しい場合にそのNCOインデックスは100となる。
ウレタンフォーム原料中のポリエーテルポリオールとイソシアネートとの含有量としては、質量比としてポリエーテルポリオール/イソシアネートが65/35〜85/15であることが好ましい。
上記ウレタンフォーム原料には、触媒、架橋剤、発泡剤、整泡剤、破泡剤などを含有させることができる。
触媒としては、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテル等公知の触媒を使用することができる。
架橋剤としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等公知のものを使用することができる。
発泡剤としては、水、低沸点物質、不活性ガス等の気体などを挙げることができる。
整泡剤としては、例えば、水溶性ポリエーテルシロキサン、東レ・ダウコーニング社製のSRX−274C、日本ユニカ社製のL−5309、L−520等のシリコーン系界面活性剤を使用することができる。
これらの、発泡剤、整泡剤等は発泡成形後のウレタンフォーム層の構造が連続気泡型または独立気泡型かによって、その使用量は適宜選択することができる。ポリオール100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、上記ウレタンフォーム原料には、その他必要に応じて所望の導電性を付与するため導電性付与剤や帯電防止剤、難燃剤、減粘剤、顔料、安定剤、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、酸化防止剤等を含有させることができる。導電付与剤としては、具体的には、カーボンブラック、グラフアイト、酸化チタン、酸化錫などの導電性の金属酸化物、Cu、Agなどの金属、これら導電性材料を粒子表面に被覆して導電化した粒子などを一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、カーボンブラックは、比較的少量(重量比)の添加によって、所望の導電性を付与できる点で好ましい。
上記ウレタンフォーム原料中の、イソシアネート、ポリエーテルポリオール、整泡剤の好適な組み合わせとして、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネートとTDIとの混合物、ポリエーテルポリオールとして、ポリエーテルポリエーテルポリオール、整泡剤として、水溶性ポリエーテルシロキサンとの組み合せを挙げることができる。この組み合わせは混合操作が容易であり得られるウレタンフォーム層の特性から好ましい。この組み合わせにおける各物質の使用量としては、ポリエーテルポリオール/整泡剤の質量比として、99.95/0.15〜90/10を挙げることができる。
このようなウレタンフォーム原料から成形されるウレタンフォーム層において、セルの構造は連続気泡型、独立気泡型、混在型などいずれのものであってもよいが、セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して50%から90%の範囲である。セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して50%以上であれば、現像ローラーへのトナーの供給量を一定量として供給することができる。また、セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して90%以下であれば容易に作製することができる。ここで、ウレタンフォーム層の全表面積に占めるセル開口面積の割合をセル開口率と称することもある。
ウレタンフォーム層表面のセルの開口面積はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出した開口部面積と非開口面積の比から求めた値を採用することができる。
更に、セルの平均開口径が100μmから500μmの範囲であることが好ましい。平均セル開口径が100μm以上であれば、トナーがセルに進入して目詰まりを生じることを抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。また、トナーの進入を抑制し、トナーの劣化を抑制することができる。平均セル開口径が500μm以下であれば、セルに侵入するトナー量の増大による表面の硬度の上昇を抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。
セルの平均開口径はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出した値を採用することができる。
このようなセルの平均開口径を得るためには、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする表面層を有する成形キャビティ表面を有する円筒成形型を用い、ウレタンフォーム原料に用いるポリエーテルポリオールの重合度、イソシアネートとの組成比、粘度、触媒の種類や使用量等を適切に選択し調整することによればよい。
更に、セルの平均壁厚が25μmから250μmの範囲であることが好ましい。平均セル壁幅が25μm以上であれば、トナー供給ローラーと現像ローラーとの接触面積を充分に確保することができ、現像ローラーから不要量のトナーを掻き取ることができる。また、平均セル壁幅が250μm以下であれば、トナー供給ローラーと現像ローラーとの接触面積が過大となるのを抑制することができ、トナー供給ローラーと現像ローラーとの摩擦の増大を抑制し、トナーの劣化を抑制することができる。
ここで、セルの壁幅は、図1に示すウレタンフォーム層表面において、隣接するセル開口4の中心を結ぶ線上におけるセル壁5の距離aをいう。平均セル壁幅はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出により求めることができる。
このような平均セル壁幅を得るためには、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする表面層が設けられた成形キャビティを有する円筒成形型を用い、ウレタンフォーム原料に用いるポリエーテルポリオールの重合度、イソシアネートとの組成比、粘度、触媒の種類や使用量等を適切に選択し調整することによればよい。
上記ウレタンフォーム層の密度としては、0.05g/cm2から0.15g/cm2であることが好ましい。また、厚さとしては、2.0mm〜8.0mmを挙げることができる。密度としては、非接触系レーザー測長機によりトナー供給ローラーの外径、ウレタンフォーム層長を算出してウレタンフォーム層の体積を求め、秤量計より測定したウレタン質量との比により求めることができる。
上記ウレタンフォーム層は芯金上に設けられることが好ましい。芯金としては、ウレタンフォーム層を支持し、現像ローラー上にトナーを供給し、その表面の不要量のトナーを掻き取るというトナー供給ローラーの作用に必要な強度を有するものが好ましい。その材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、これらの金属を含むSUS等のステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金を挙げることができる。これらのうち、鉄、ステンレス等を好ましいものとして挙げることができる。これらは防錆処理を施したものであってもよく、また、導電性や半導電性、絶縁性の塗料により塗装して使用することもできる。
芯金の形状としては、例えば、口径4〜6mm、長さ200〜400mmなどを挙げることができる。
上記芯金上にはウレタンフォーム層との接着を高めるための接着剤層を有していてもよい。接着剤層としては、公知の接着剤やホットメルトシール等を使用することができる。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型としては、その成形キャビティがポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分とする表面層を有する。
円筒成形型としては、円筒形状の成形キャビティを有するものであればよく、芯軸を設置して、芯軸と一体としたウレタンフォ−ム層を成形可能なものであってもよい。成形キャビティの軸方向に垂直方向の断面が円であるものに限らず、歯車状、即ち、軸と平行の溝若しくはスパイラル状の溝を有するものであってもよい。
円筒成形型の材質としては、金属製例えば、ステンレス鋼(SUS)製のものや樹脂製例えばPFA、PTFE等のフッ素樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ビニルウレタン等のラジカル硬化性不飽和樹脂とスチレンモノマーの反応性希釈剤よりなる熱硬化性プラスチック等を挙げることができる。
上記円筒成形型の成形キャビティはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分とする表面層を有する。表面層の主成分として含まれるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、耐摩耗性を向上させる。PEEKは、具体的には、オキシ−1,4−フェニレン−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレンの構造単位からなる、ビクトレックス・エムシー社製の単一グレードを示す物を挙げることができる。
これらPEEKは、表面層中に20〜90質量%の範囲で含有されることが好ましい。
上記成形キャビティの表面層には、フッ素樹脂(PFA)が含有され、成形型からの成形体の離型を容易にし、ウレタンフォームのセル開口率を高率にする。フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる一種または二種以上であることが、上記効果を顕著に得ることができるため好ましい。フッ素樹脂の表面層中の含有量としては、優れた離型性を有し、成形型の使用に伴い離型性やウレタンフォームのセルの開口率が低下するのを抑制する範囲であることが好ましい。
上記成形キャビティの表面層には、PEEK、PFAの他、ポリイミド等の樹脂や、その他、ポリエーテルサルフォン等を含有させることもできる。
上記成形キャビティの表面層の厚さとしては、例えば、5〜100μmを挙げることができる。
また、上記成形キャビティの表面層は、表面粗さRzが20μm以上40μm以下の範囲であり、表面粗さRaが10μm以下の範囲である。表面粗さRzは基準長さ毎の山頂の高い方から5点、谷底低い方から5点を選び、その平均高さである。表面層の表面粗さRzが20μm以上であることにより、成形型からの成形体の離型を容易にし、使用に伴い離型性やウレタンフォームのセルの開口率が低下するのを抑制することができる。表面層が表面粗さRzが40μm以下であることにより、成形型の表面凹凸により成形体表面に所望の表面粗さを超えた凹凸が形成されるのを抑制することができる。また、表面粗さRaは粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さLで割った値である。表面粗さRaが10μm以下であれば、成形型からの成形体の離型を容易にすることができる。
表面粗さRz、Raの値は、JIS−B0601:1994に準じた方法により、(株)小坂研究所製surfcorderSE−3400を用い、送り速度0.5mm/s、カットオフ0.8mm、測定長2.5mmの条件で測定した値を採用することができる。測定は円筒状成形型内壁の任意の3箇所について母線(長手)方向に行い、3つの値の単純平均を成形キャビティの表面粗さ(Rz、Ra)とした。
上記円筒成形型の成形キャビティの形状としては、長手方向に垂直な断面の形状が円を有する円柱状や、長手方向と平行又は螺旋の溝を有し、長手方向に垂直な断面の形状が、歯車型の形状等であってもよい。
このような円筒成形型の成形キャビティを作製する方法としては、成形キャビティの表面を粗面化又は表面改質を行い、その後上記材質の表面層を成形することが好ましい。粗面化若しくは表面改質をすることにより、表面層が成形キャビティ表面に物理的に強力に固着する。まず、表面粗面化処理の第1工程として、成形キャビティを400℃で空焼きする。これにより、成形キャビティ表面に付着していた油分などの汚れを除去する。次に、第2工程として、アルミナによるサンドブラストを行い、成形キャビティ表面に残っているその他の不純物を除去すると共に、表面を粗面化する。
その後、表面層を成形する。第1工程として、粗面化した成形キャビティ表面に表面層を密着させるためのプライマーを塗布し、400℃で60分間焼成し、プライマー層を成形キャビティに密着させ、下地処理を行う。次に、第2工程として、上記ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする樹脂液を作成し、プライマー上に塗布する。塗布は、静電粉体塗装、流動浸漬、またはスプレー塗装などの公知の塗装方法を使用し、成形キャビティの形状により、所望の粗さ及び厚さを有する表面層を得るため、塗膜の厚さを調節して行うことが好ましい。塗膜の厚さは、例えば10〜50μmとすることができるが、成形キャビティや樹脂液の材質に応じて適宜、調整することができる。塗膜の厚さが適切でないと、表面層粗さが不均一になり、ウレタンフォームの開口率が低下する等充分な機能を果たし難くなる。次に、第3工程として、塗膜を焼成炉で焼成する。塗膜の焼成は、300〜500℃等、所望の表面粗さが得られるように焼成温度を調整して、例えば、420℃(溶融温度)等で60分間行い、これによって、プライマー層と密着させると共に所望の表面粗さとすることができる。その後、徐冷し硬化しての表面層を成形することができる。
更に、表面層に所望の表面粗さを形成するため、ブラスト処理や、砥石を用いた研磨などの処理を行うことができる。成形キャビティ表面層の表面粗さの形成は成形キャビティの形状に大きく影響され、凹状(円筒状)であることが好ましい。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて得られるトナー供給ローラーの一例として、具体的には、図2に示すように、芯金2上にウレタンフォーム層3を有するトナー供給ローラー1を挙げることができる。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いてトナー供給ローラーを製造するには、ウレタンフォーム原料を調製する。ウレタンフォーム原料は、ポリエーテルポリオール、イソシアネート、触媒、所望により用いられる整泡剤、発泡剤としての水、その他助剤などを均質に混合して調製する。ウレタンフォーム原料を調製する際の温度は、例えば、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲とすることができ、混合時間は、例えば、1秒〜10分間、好ましくは3秒〜5分間程度とすることができる。
その後、成形キャビティ表面に上記表面層を有する円筒成形型に、芯金を配置し、得られたウレタンフォーム原料を直接キャビティに注入し、加熱して発泡、硬化してウレタンフォーム層を形成し、トナー供給ローラーを成形することができる。あるいは、成形キャビティに芯金を配置せずにウレタンフォーム原料を加熱して発泡、硬化してウレタンフォーム層を筒状又はシート状に形成し、これを、芯金に巻き付けトナー供給ローラーを成形することができる。
ウレタンフォーム原料を加熱して硬化する際の発泡方法については上記発泡剤をウレタンフォーム原料に混合する方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法などいずれの方法をも用いることができる。発泡、硬化時の温度は35℃から100℃にすることが好ましく、40℃から80℃にすることがより好ましい。
芯金とウレタンフォーム層との接合方法は上記のように芯金とポリウレタンフォームの間に接着剤層を設けることができる。この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。
このような成形型を用いて成形されるウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーは、その形状として、例えば、10mmから20mmの外径を有するものを挙げることができる。
また、本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて得られるウレタンフォーム層上に他の機能層を成形してもよく、また、芯金とウレタンフォーム層間に他の機能層を成形してもよい。
以下に、本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。以下、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を用いた。
[円筒成形型の調製]
以下に示すポリエーテルエーテルケトンを含有する塗布液、フッ素樹脂とポリエーテルエーテルケトンとを質量比20:80で含有する塗布液を調製し、内径14mmのパイプ状成形型の内側に、塗布した。以下に示す条件にて焼成し膜厚25μmの表面層を成形し、6種の円筒状成形型1〜7(実施例2〜5、参考例1、6、比較例1)を用意した。
1.塗布液:ポリエーテルエーテルケトン
焼成条件:420℃×60分
2.塗布液:PFA、ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス・エムシー社製)
焼成条件:400℃×60分
3.塗布液:PTFE、ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス・エムシー社製)
焼成条件:450℃×60分
4.塗布液:PFA、ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス・エムシー社製)
焼成条件:420℃×60分
5.塗布液:PFA、ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス・エムシー社製)
焼成条件:480℃×60分
6.塗布液:PFA、ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス・エムシー社製)
焼成条件:480℃×120分
7.塗布液:PFA
焼成条件:420℃×60分
[表面粗さの測定]
得られた円筒成形型の成形キャビティ表面層の表面粗さを、表面粗さ測定装置(東京精密社製:サーフコム120A)を用いて測定した。十点平均粗さマクロ表面粗さRzとミクロ表面粗さRaとをJIS B0601:1994に準じて測定した。結果を表1に示す。
[ウレタンフォーム原料の調製]
以下の原料を使用してウレタンフォーム原料を調製した。
(1)ポリエーテルポリオール
ポリオール1:EP−550N(商品名:三井武田ケミカル(株)製)
ポリオール2:FA−718 (商品名:三洋化成工業(株)製)
(2)イソシアネート
コロネート1021(商品名:日本ポリウレタン(株)製[TDI(トリレン・ジイソシアネート)/MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)/他=80/8/12(質量比)]の混合物、NCO%=44.5)
(3)触媒
触媒1:ToyoCat−ET(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
触媒2:ToyoCat−MR(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
(4)整泡剤
L5366(商品名:日本ユニカー(株)製シリコーン系整泡剤)
(5)発泡剤

(6)配合割合
(1)ポリオール1 80質量部
ポリオール2 20質量部
(2)イソシアネート 25質量部
(3)触媒1 1質量部
触媒2 0.3質量部
(4)整泡剤 1質量部
(5)発泡剤 2質量部
[トナー供給ローラーの調製]
上記円筒成形型の成形キャビティに口径5mm、長さ230mmの芯金を設置し、ウレタンフォーム原料を注入し、70℃、15分間加熱し、ウレタンフォーム層を成形した。
円筒成形型を用いて最初に作製したトナー供給ローラーと、同一の成形を反復し得られたトナー供給ローラーそれぞれについて、円筒成形型からの離型性の評価、セル開口率、セル開口変化率、セル壁幅を、以下のように測定した。結果を表1に示す。
更に、成形回数10回目のトナー供給ローラーを画像形成機に組み込み、以下のように連続画像出力を行い、出力画像について評価を行った。結果を表1に示す。
[トナー供給ローラーの特性評価]
[離型性]
成形回数が20回以上で成形型から容易に離型できるものを○、成形回数が20回以上で離型が若干重くなるが、水、MEK(メチルエチルケトン)等を含有する洗浄液を含む布で成形キャビティ表面を拭くと、離型が軽くなるものを△、成形回数が20回以下で離型が重くなり、洗浄液を含む布で成形キャビティを拭いても離型性が回復しないものを×とした。
[セル開口性]
成形回数10回目と20回目のウレタンフォーム層表面のセル開口について、リアルタイム走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製)を用いて、表面の画像を取り込み画像解析により2値化処理を行いセル開口面積率を求めた。
セル開口面積率[%]=(セル開口面積/画像範囲)×100
[セル開口変化率]
以下の数式にて、算出した。
セル開口変化率[%]
=(1−成形10回目のセル開口率/成形1回目のセル開口率)×100
[平均セル壁幅及びセル開口径]
成形回数10回目のトナー供給ローラーのポリウレタンフォーム層表面をリアルタイム走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製)で表面の画像を倍率50倍で取り込み、図2に示すように、隣接するセル4、4の中心を結んだ線上でのセル壁幅aを無作為に50点選択して測定し、その平均値を平均セル壁幅とした。同様に無作為に50個のセルを選択し、長径と短径を読み取り、その平均値を平均セル径として算出した。
[画像評価]
成形回数10回目に作製したトナー供給ローラーをフルカラーレーザービームプリンタ(キヤノン社製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、このカートリッジを取り付けたフルカラーレーザービームプリンタを用いて、連続耐久試験用のテキストページを連続4000枚出力した。出力終了後1晩以上放置してから各色ベタ画像を作像して、以下の基準により評価した。
○:良好なもの
×:色抜け、濃度むら等が生じたもの。色抜けとはイメージのあるところにトナーが供給されていないものをいう。濃度むらとはベタ画像が不均一になることをいう。
Figure 0004550031
成形型が、フッ素樹脂とポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる表面層を有する成形キャビティを有し、かつ表面層の表面粗さRzが20μm以上40μm以下、且つRaが10μm以下の範囲である成形キャビティ表面を有する実施例〜5はセル開口性、離型性、且つ、画像評価結果が良好である。参考例6は表面粗さRa10が以上のため、離型性が若干悪いが、清掃することにより繰り返し成形でき、その成形型から得られたトナー供給ローラーの画像評価も良好である。比較例1は、Rz、セル開口性が低く、セル開口変化率が高く、良好な画像が得られないことから、現像ローラーへトナーを一定量、均一に供給することができないことが分かる。
本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて得られたトナー供給ローラーの一例のウレタンフォーム層の表面を示す概略拡大図である。 本発明のトナー供給ローラー製造用円筒成形型を用いて得られたトナー供給ローラーの一例を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 トナー供給ローラー
2 芯金
3 ウレタンフォーム層
4 セル開口
5 セル壁
a セル壁幅

Claims (1)

  1. 成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートとを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してトナー供給ローラーのウレタンフォーム層を形成するトナー供給ローラー製造用円筒成形型であって、成形キャビティが、ポリエーテルエーテルケトンを主成分とする表面層を有し、該表面層がフッ素樹脂を含有し、該フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる一種または二種以上であり、表面粗さRzが20μm以上40μm以下の範囲であり、表面粗さRaが10μm以下の範囲であることを特徴とするトナー供給ローラー製造用円筒成形型。
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