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JP4544557B2 - 管内張りの裏込め材及びそれを用いる施工方法 - Google Patents

管内張りの裏込め材及びそれを用いる施工方法 Download PDF

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JP4544557B2 JP2000258806A JP2000258806A JP4544557B2 JP 4544557 B2 JP4544557 B2 JP 4544557B2 JP 2000258806 A JP2000258806 A JP 2000258806A JP 2000258806 A JP2000258806 A JP 2000258806A JP 4544557 B2 JP4544557 B2 JP 4544557B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管内張りの裏込め工法に用いるセメント系の裏込め材及びそれを用いる施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
管ライニング施工の一つに、背面リブ付きストリップをスパイラル状に巻回して管内面にライナーを形成し、そのライナーと管との間に前記リブの介在で生じた空隙にグラウトなどを注入してライナーを固定する工法がある。
【0003】
この種の工法に用いられるグラウトと呼ばれるセメント系の裏込め材には、一般にセメントミルクと称される水硬性セメントと水とを配合してなるものであり、このセメントミルクを前記空隙に注入することが知られている。また、管ライニング施工に用いる裏込め材には、特開平11−105134号公報に記載されているポルトランドセメント等の接着性主材に黒曜石等の軽量骨材、膨張材、界面活性剤、樹脂エマルション等を配合した特殊モルタルなどもある。
【0004】
従来のグラウトと呼ばれるセメント系の裏込め材においては、セメントミルク等のように硬化時間を設定していない材料が使用されるため、次のような問題を有している。
▲1▼合成樹脂製のライニングでできた軟質管はでは、裏込め材の注入によりこの軟質管が浮上り易く、この浮上りを防止するために何らかの手段を講じる必要性があり、作業が煩雑となること。▲2▼硬化時間を設定していないため、注入後に材料分離を生じ易く、強度のバラツキやブリージング現象を起こし易い。
特開平11−105134号公報に記載されている特殊モルタルも、硬化時間が設定されていないため、前記▲1▼のような問題点を有している。
【0005】
また,グラウト材に硬化時間を設定した施工方法として、特公昭57−10058号公報には、セメント混練材料とカルシウムアルミネートないしカルシウムハロアルミネートからなる可溶性アルミと無水、半水もしくは二水の石膏または硫酸ソーダよりなる無機硫酸塩からなるセメント急硬剤が記載され、可溶性アルミと無機硫酸塩の割合が可溶性アルミ1質量部に対し0.1〜5質量部の範囲となる粉末状または懸濁状のセメント急硬剤とを、セメントに対し急硬剤が10〜50質量%の範囲となるように、個別に圧送してから合流混合させて施用する施工方法が記載されている。また、アルミナセメントと石膏の混合物を添加したセメントが、急硬性セメントとして既に知られていることが記載されている。
【0006】
前記特公昭57−10058号公報にも記載されているように、一般に急硬性セメントは、短時間内に強度を有する反面、凝結時間が短いので取り扱い中に凝結硬化してしまい施工に支障をきたすという問題がある。
その対策として一般に、その凝結効果を遅らせるために、急硬性セメントにグルコン酸、クエン酸等の有機カルボン酸やその塩などの凝結遅延剤を添加することが実施工の場面では不可欠である。ところが、凝結遅延剤を添加した場合でも、その効果は添加した凝結遅延剤の種類や量により変化し、更に温度や混練時間などの実施工における種々の付帯条件の影響を受ける。
【0007】
すなわち、可溶性アルミとしてカルシウムアルミネートまたはこれにハロゲン元素が固溶したカルシウムハロアルミネートである、12CaO・7Al2O3,3CaO・Al2O3または11CaO・7Al2O3・CaF2を含むセメント急硬剤の懸濁液とした場合には、それ自身が長くとも30分以内には凝結硬化してしまうため、実施工の場面では注入作業中に、調液槽や硬化材液(以下B液ともいう)を圧送するための配管やポンプ内で硬化物が生成し、作業を継続することができなくなる恐れがある。
【0008】
B液の硬化時間を遅らせて施工上必要なB液の安定性を確保するには、B液を調整する際に、グルコン酸、クエン酸等の有機カルボン酸やその塩などの凝結遅延剤を添加することが必要であり、また、凝結遅延剤を添加しても、その効果は添加した凝結遅延剤や量により変化し、更に温度や混練時間などの実施工における種々の付帯条件を受け、施工中、注入前に不測の凝結硬化が起こってB液を圧送できなくなるという問題点もある。また、B液の硬化を遅延させるための凝結遅延剤は、セメント急硬材を水と混練してB液を調製する前に、予めB液用の混練水に溶解させておくことを要し、作業を煩雑なものにするという問題点もある。
【0009】
なお、可溶性アルミCaO・Al2O3を用いたB液は、調製する際の水との量比にもよるが、3時間以上硬化せず、またアルミナセメントを用いた場合のB液の硬化時間は7時間程度であり、いずれも実施工上充分なB液の安定性を確保することはできるが、主材液(以下A液ともいう)とB液とを混合して形成された硬化体の圧縮強度が低いといった問題点があった。
【0010】
この問題の解決策として、硬化材液がアルミナセメントとII型無水石膏を含んでなり、かつブレーン値3000cm2/g以上のII型無水石膏をアルミナセメント1質量部に対し0.5〜1.5質量部配合し、主材液と硬化材液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント100質量部に対して、アルミナセメントとII型無水石膏との合計量が20質量部以上であるように用いることが記載されている特許2929352号公報がある。
【0011】
前記特許2929352号公報記載のように、B液に凝結遅延剤を添加することなく放置しても、調製後の安定性は高く、しかもA液とB液との混合液は15分以内に硬化し、材令1日の一軸圧縮強度値が10kg/cm2以上で、ブリージング率も20%以下であるという性質を有している。
【0012】
しかしながら、特許2929352号公報のグラウト材は地盤注入用薬液においては、この公報に記載の通り効果を奏するが、本発明の背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間にセメント系の裏込め材を注入する裏込め工法に用いる裏込め材とした場合には、硬化後の強度発現性やブリージングに対し、若干の改善が必要である。
【0013】
また、管ライニング施工におけるグラウトなどの裏込め材を注入する施工方法としては、管に密着巻したライナーの上部に細かなピッチで穴をあけ、その穴を通じて裏込め材を注入する方法が知られている。
【0014】
特許2843959号公報には、この注入を簡易的に行う工法として、全体的に開口のある弯曲型のスペーサを管内面に並行に設置し、その上からライナーの形成を行い、ライナーと管との間に介在でできた空隙を通じ、ライナー背面に裏込め材を注入する工法のことが記載されている。また、大口径の管ライニング施工における注入としては、ライニング管が潰されるのを防ぐために、例えば下半分を注入し、硬化後、更に上半分を注入する、という分割で注入するのが良いと記載されている。
【0015】
しかしながら、裏込め材を簡易的に注入する工法としては非常に効率的であるが、特に大口径を施工する場合には分割注入するために、裏込め材の硬化時間が設定されていないと、注入施工が数日にわたり、施工効率が逆に悪くなるという問題を有していた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間に注入するセメント系の裏込め材と該裏込め材を注入する工法において、裏込め材をA液とB液の2液とし、硬化時間を設定することにより、裏込め材の注入によりライナーの浮上りの恐れを解消し、かつ、形成される硬化体はブリージングがないために硬化体上部に脆弱部分を生ずることがなく、分割注入した場合には打継ぎ部の接着も良好で、さらに圧縮強度の発現を良好にする事により、分割注入した場合に混合液による浮き上がり防止などを解消できる裏込め材と裏込め材を注入する施工方法を提供することにある。
【0017】
本発明の裏込め材において、その性能としての、A液とB液との混合液の硬化時間・ブリージング率、ならびに形成された硬化体の圧縮強度は次の規定を満たすことを目的とする。
・硬化時間・・・A液とB液との混合液が、2分〜20分の範囲で硬化すること。
・ブリージング率・・・A液とB液との混合液が硬化した時の、混合液のブリージング率が0%であること。
・硬化体の圧縮強度・・・A液200Lあたり、普通ポルトランドセメント200kgを含むA液を用いた時に、A液とB液とを混合して形成された硬化体の材令1時間の圧縮強度が5kg/cm2以上、材令28日以降の圧縮強度(最終到達強度)が150kg/cm2以上であること。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、裏込め材をアルミナセメントを除く水硬性セメントを含んでなる主材液(A液)と、アルミナセメント及びII型無水石膏をある特定の割合で含んでなる硬化材液(B液)とから構成し、硬化時間と初期・最終強度を設定すること、また主材液と硬化材液とを混合して用いる際に、混合液中のアルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量がアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量に対し、特定の割合となるように混合すること、また、混合液中の主材液と硬化材液との混練水の合計質量がアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量に対し、特定の割合となるように混合することにより、A液とB液の混合液が、2分〜20分の範囲で硬化し、初期・最終強度を有し、かつ、ブリージングがない裏込め材及びそれを用いた施工方法により、格段に良好な性能と効率化を図れることを知り、本発明を完成した。
【0019】
本発明の第一の発明は、「背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間に注入するセメント系の裏込め材であって、該裏込め材がアルミナセメントを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメントとII型無水石膏を含む硬化材液からなり、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比が0.1〜0.4、かつ、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が0.45〜0.8であるように混合して用いることを特徴とする管内張りの裏込め材。」を要旨とする。
【0020】
本発明の第二の発明は、「背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間にセメント系の裏込め材を注入する裏込め工法において、該裏込め材がアルミナセメントを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメントII型無水石膏を含んでなる硬化材液とからなり、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比が0.1〜0.4、かつ、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が0.45〜0.8であるように混合して注入することを特徴とする管内張りの裏込め材の施工方法。」を要旨とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
【0022】
本発明の裏込め材における主材液(A液)は、水硬性セメント(アルミナセメントを除く)を水で混練したものである。主材として用いることのできる水硬性セメントとしては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色等の各種ポルトランドセメント類、高炉セメント・シリカセメント・フライアッシュセメントなどの混合セメント類などを挙げることができ、これらのセメントは一種ないし二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
A液における水硬性セメントの量比は、A液200Lあたり水硬性セメント200質量部以上、好ましくは220〜250質量部である。水硬性セメントが200質量部未満では、最終到達強度が低い。また、強度を高めるために水硬性セメントを250質量部を超えて配合すると、粘度が増大し、ポンプに負荷がかかるほか、混合性も悪なる傾向となるので、この場合には、水硬性セメントを200〜250質量部となるようにA液を調製し、硬化材液と比例注入する方法、例えば主材液:硬化材液が3:1となるように注入する、を用いることができる。
【0024】
本発明の裏込め材における硬化材液(B液)は、前記の水硬性セメントに対しての硬化材を水で混練したものである。硬化材として用いるアルミナセメントは、JIS−R2511「耐火物用アルミナセメント」に規定されるアルミナセメント1〜5種、もしくはこれに相当する品質を有するアルミナセメントである。
これらの内、アルミナセメント3種ないし4種、もしくはこれに相当する品質を有するものを用いることが好ましい。
【0025】
アルミナセメントは、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3などのカルシウムアルミネートを主成分とし、4CaO・Al2O3・FeO3などのカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Al2O3・SiO2などのカルシウムアルミノシリケートなどの化合物で構成されるセメントである。
【0026】
本発明におけるB液には、更に、アルミナセメントと共にII型無水石膏を併用する。B液におけるアルミナセメントとII型無水石膏の量比は、アルミナセメント1質量部に対し、II型無水石膏0.5質量部〜1.5質量部の範囲とする。アルミナセメント1質量部に対するII型無水石膏の配合比が0.5質量部未満、あるいは1.5質量部を超えると、主材液と混合し硬化させた硬化体の強度が低くなる。
【0027】
B液において、アルミナセメントと併用する石膏として、II型無水石膏以外の他の形態の石膏、例えばα半水石膏、β半水石膏、二水石膏、III型無水石膏などを用いると、いずれも硬化体の強度が低く目的の強度が得られない。なお、用いるII型無水石膏中にII型無水石膏以外の他の形態の石膏が不純物として混入することは許容される。
【0028】
B液を調製する際の、アルミナセメントとII型無水石膏との包袋は何でもよく、例えばアルミナセメントとII型無水石膏とを別々の袋で現場に搬入し、各々所定量をB液調製に用いる方法や、予めアルミナセメントとII型無水石膏とを所定量比で混合し、プレミックスの包装袋で現場に搬入し用いる方法、などを挙げることができる。現場の効率や煩雑性を考慮すると、後者の方法が好ましい。
【0029】
本発明の裏込め材は、A液とB液とを混合して使用する。A液とB液との量比は、混合液中の水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量に対して、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量比が0.1〜0.4、好ましくは0.15〜0.3の範囲となるように混合する。混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量に対して、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量比が0.1未満では、硬化時間、硬化体の初期・最終到達強度に関して満足できない。また、0.4を超える場合は、硬化体の初期強度に関して満足できない。
【0030】
本発明の裏込め材は、A液とB液との混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量に対して、主材液と硬化材液との混練水の合計量比が0.45〜0.8、好ましくは0.5〜0.6の範囲となるように混合する。混合液中のアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量に対して、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計量比が0.45未満では、混合液の流動性が得られずライナー背面に十分に充填できない。また、0.8を超える場合では、硬化体の初期・最終到達強度に関して満足できない。
【0031】
本発明の裏込め材を用いた裏込め材の施工方法においては、A液とB液とを前記の量比で混合してライナー背面の空隙に注入する。この様な量比でA液とB液とを混合する方法としては、例えば、200L当たりのA液中の水硬性セメントの質量を200としたときに、A液と等容量のB液中のアルミナセメントとII型無水石膏の合計質量が20以上となるように調製したA液とB液とをそれぞれ、単位時間当たりの送液容量を変化できるポンプ、或いは別々のポンプをもちいて個別にY字管、攪拌装置、注入管内に設けられた混合室(管内混合器、管路混合器)等に圧送して合流させ混合する方法が挙げられる。また、主材液と硬化材液両液の混合液中における、主材液中のアルミナセメントを除く水硬性セメントと硬化材液中のアルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量に対し、硬化材液中のアルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量比が0.1〜0.4、かつ、主材液中のアルミナセメントを除く水硬性セメントと硬化材液中のアルミナセメント・II型無水石膏との合計質量に対し、主材液中の混練水と硬化材液中の混練水との合計質量比が0.45〜0.8となる様に混合すれば、A液とB液の単位時間当たりの送液容量は、特に制限されることはなく、比率を変えても差し支えない。
【0032】
【実施例】
次に、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例および比較例
・A液:水硬性セメントとしての普通ポルトランドセメント(市販品)200kgに水137Lを加えて混練し、練り上がり容量が200Lとなるように調製した。
・B液:アルミナセメント(JIS R 2511、3種)を硬化材とし、それに表1に示す割合で各種のブレーン値を調整した石膏(市販品、但しIII型無水石膏は試薬1級)を配合した後に水を加えて混練し、練り上がり容量が200Lとなるように調製した。
【0034】
上記のようにして調製したA液とB液を用いて後記の項目の試験を行った。表1に水硬性セメントと水との配合割合、硬化材と併用した石膏の種類・ブレーン値および配合割合(質量比:石膏/硬化材)、B液の配合処方、A液とB液の注入割合、A液とB液の混合割合(質量比:硬化材と石膏の合計量/混合液中の水硬性セメント量とアルミナセメント量とII型無水石膏量の合計量)を示した。
【0035】
試験項目、試験方法ならびに評価内容は、次のとおりである。
・硬化時間:温度20℃において、A液とB液とをよく混合して容器内に静置し、混合後容器を傾けても内容物が動かなくなるまでの所要時間を測定し、硬化時間とした。
○・・・硬化時間が2分〜20分の範囲であった。
×・・・硬化時間が2分未満、或いは20分よりも長かった。
【0036】
・ブリージング率:A液とB液の混合液500mlをメスシリンダー(容量500ml)に入れて静置し、硬化時のブリージングの量(Vml)を測定し、次式によりブリージング率を求めた。
○・・・ブリージング率が0%であった。
×・・・ブリージング率が0%よりも大きかった。
【0037】
・硬化体の圧縮強度:A液とB液の混合液を円柱状の型枠(径5cm×高さ10cm)内に流し込み、形成された硬化体の材令1時間の一軸圧縮強度を測定した。
また、硬化体の材令1時間の一軸圧縮強度が5kg/cm2以上であった配合については、材令28日以降に一軸圧縮強度をアムスラー型万能試験機にて測定した。
○・・・材令1時間の圧縮強度値が5kg/cm2以上、かつ、材令28日以降の圧縮強度値が150kg/cm2以上であった。
×・・・材令1時間の圧縮強度値が5kg/cm2未満、或いは材令28日以降の圧縮強度値が150kg/cm2未満であった。
【0038】
各試験における、A液とB液の混合液の硬化時間、ブリージング率、ならびに形成された硬化体の圧縮強度値の、それぞれについての評価の結果及び総合評価を、表1に示した。
【0039】
・総合評価
○・・・いずれの評価結果も○であった。
×・・・A液とB液の混合液の硬化時間、ブリージング率、ならびに形成された硬化体の圧縮強度値のいずれかの評価結果が、×であった。
【0040】
【表1】
Figure 0004544557
【0041】
実験No.1〜5は、B液中でアルミナセメントと共に用いる石膏の種類の影響を示す。石膏としてII型無水石膏以外の他の形態の石膏−α半水、β半水、III型無水、二水石膏を用いたときには、いずれも本発明が目的とする強度値は得られなかった。(実験No.2〜5)
【0042】
実験No.6〜11は、A液とB液との混合割合−混合液中における水硬性セメントとアルミナセメントとII型無水石膏との合計質量に対し、アルミナセメント・II型無水石膏の合計質量の割合の影響を示す。水硬性セメントとアルミナセメントとII型無水石膏との合計質量に対し、アルミナセメント・II型無水石膏の合計質量比が0.1未満場合は(実験No.11)、本発明が目的とする硬化時間や硬化体の強度値が得られなかった。また、0.4を超える場合には(実験No.8)、本発明が目的とする硬化体の初期強度値が得られなかった。
【0043】
実験No.12は、水硬性セメントとアルミナセメント・II型無水石膏との合計質量に対して、主材液中の混練水と硬化材液中の混練水との合計質量比が0.8を超える場合であり、本発明が目的とする硬化時間や硬化体の強度値が得られなかった。
【0044】
また、表2に下記の条件で得たA液、B液及び混合液を用いて充填試験を行った。
・A液:水硬性セメントとしての普通ポルトランドセメント(市販品)と水を表2の配合で混練し、調製した。
・B液:アルミナセメント(JIS R 2511、3種)を硬化材とし、それに表2に示す割合で各種のブレーン値を調整した石膏(市販品、但しII型無水石膏は試薬1級)を配合した後に水を加えて混練し、練り上がり容量が200Lとなるように調製した。
【0045】
上記のようにして調製したA液とB液を用いて後記の項目の試験を行った。硬化材と併用した石膏の種類・ブレーン値および配合割合(質量比:石膏/硬化材)、B液の配合処方、A液とB液の注入割合、A液とB液の混合割合(質量比:硬化材と石膏の合計量/混合液中の水硬性セメント量とアルミナセメント量とII型無水石膏量の合計量)、混合液の水粉体比(水硬性セメントとアルミナセメント・II型無水石膏との合計質量に対し、主材液中の混練水と硬化材液中の混練水との合計質量比)を示した。
【0046】
試験項目、試験方法ならびに評価内容は、次の通りである。
・硬化時間:温度20℃において、A液とB液とをよく混合して容器内に静置し、混合後容器を傾けても内容物が動かなくなるまでの所要時間を測定し、硬化時間とした。
○・・・硬化時間が2分〜20分の範囲であった。
×・・・硬化時間が2分未満、或いは20分よりも長かった。
【0047】
・充填試験:径1200mm、長さ1mの模擬管に、調製したA液とB液を表2の注入比率で送液し、Y字管を用いて混合し、全体的に開口のある弯曲型のスペーサを管内面に並行に設置し、その上からライナーの形成を行い、ライナーと管との間に介在でできた空隙を通じて、ライナー背面に8回で分割充填した。1日静置後、分解し充填状況を目視で観察した。
○・・・十分に充填され、打ち継ぎ面も良好であった。
×・・・部分的にしか充填されていなかった。
【0048】
この試験結果を表2に示した。
【表2】
Figure 0004544557
【0049】
実験No.13〜16は、混合液の水−粉体比、すなわち、アルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏との合計質量に対し、主材液中の混練水と硬化材液中の混練水との合計質量比の硬化時間及び充填性への影響について示す。水硬性セメントとアルミナセメント・II型無水石膏との合計質量に対し、主材液中の混練水と硬化材液中の混練水との合計質量比が0.45未満の実験No.15では、粘度が上昇しすぎたために部分的にしか充填できなかった。また、実験No.16は混合液の水−粉体比が0.93と0.8以上の場合であり、硬化時間が30秒と2分より早く、充分に充填される前に硬化してしまうため部分的にしか充填されなかった。
【0050】
【発明の効果】
背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間にセメント系の裏込め材を注入する裏込め工法に用いる裏込め材と裏込め材を注入する工法において、本発明で規定する裏込め材を使用することにより以下のような効果がある。
(1)混合液の硬化時間を2分〜20分に設定できることにより、硬化時間が2分未満でライナー背面に裏込め材が充分に充填できないということや、硬化時間が20分を超えてA液とB液を混合した1時間後の初期強度が得られないということがない。
(2)A液とB液とを混合した1時間後の硬化体の圧縮強度が5kg/cm2未満では、分割注入をした場合に、強度不足により、新たに注入した裏込め材液が硬化体の背面にまわりやすく、ライナーを押し上げる可能性があるが、本発明の裏込め材はA液とB液とを混合した1時間後の硬化体の圧縮強度が5kg/cm2以上にできるのでライナーの浮き上がりの恐れがない。
(3)A液とB液とを混合し硬化して得た硬化体の最終到達強度が150kg/cm2以上であるので、管をライニングした後に管内を移動する物質の衝撃により管が破損することがない。
(4)形成される硬化体はブリージングがないために硬化体上部に脆弱部分を生じることがない。

Claims (2)

  1. 背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間に注入するセメント系の裏込め材であって、該裏込め材がアルミナセメントを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメントとII型無水石膏を含む硬化材液からなり、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比が0.1〜0.4、かつ、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が0.45〜0.8であるように混合して用いることを特徴とする管内張りの裏込め材。
  2. 背面にリブ付きストリップのスパイラル状巻回によるライナーと、これを施した管内面との間に前記リブで生じた隙間にセメント系の裏込め材を注入する裏込め工法において、該裏込め材がアルミナセメントを除く水硬性セメントを含んでなる主材液と、アルミナセメントII型無水石膏を含んでなる硬化材液とからなり、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比が0.1〜0.4、かつ、主材液と硬化材液とを両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が0.45〜0.8であるように混合して注入することを特徴とする管内張りの裏込め材の施工方法。
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